25
新型コロナウイルス感染症対策本部(第 21 回) 日時:令和2年3月 20 日(金) 16 15 分~16 30 場所:官邸2階小ホール 1.開 2.議 (1)新型コロナウイルス感染症への対応について 3.閉 (配布資料) 資料1 厚生労働省提出資料

新型コロナウイルス感染症対策本部(第 21 回)...新型コロナウイルス感染症対策本部(第21 回) 日時:令和2年3月 20日(金) 16 時15分~16時30分

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Page 1: 新型コロナウイルス感染症対策本部(第 21 回)...新型コロナウイルス感染症対策本部(第21 回) 日時:令和2年3月 20日(金) 16 時15分~16時30分

新型コロナウイルス感染症対策本部(第 21 回)

日時:令和2年3月 20日(金)

16時 15分~16時 30分

場所:官邸2階小ホール

議 事 次 第

1.開 会

2.議 事

(1)新型コロナウイルス感染症への対応について

3.閉 会

(配布資料)

資料1 厚生労働省提出資料

Page 2: 新型コロナウイルス感染症対策本部(第 21 回)...新型コロナウイルス感染症対策本部(第21 回) 日時:令和2年3月 20日(金) 16 時15分~16時30分

新型コロナウィルスに関連した感染症の現状と対策

令和2年3月20日(金)

厚生労働省

CS383319
スタンプ
Page 3: 新型コロナウイルス感染症対策本部(第 21 回)...新型コロナウイルス感染症対策本部(第21 回) 日時:令和2年3月 20日(金) 16 時15分~16時30分

中国 香港 マカオ 日本 韓国 台湾シンガポール

ネパール

タイベトナ

ムマレーシア

豪州 米国 カナダフラン

スドイツ

カンボジア

スリランカ

アラブ首長国連邦

フィンランド

フィリピン

インドイタリ

ア英国 ロシア

スウェーデン

スペイン

感染者数 80928 192 15 943 8565 100 313 1 212 75 790 568 7786 621 9134 8198 35 51 113 336 202 156 35713 2626 147 1279 13716死亡者数 3245 4 33 91 1 1 2 6 150 9 264 13 17 3 2978 103 8 598

ベルギー

エジプト

イランイスラエル

レバノン

クウェー

バーレーン

オマーン

アフガニスタン

イラクアル

ジェリア

オーストリア

スイスクロアチア

ブラジル

ジョージア

パキスタン

北マケドニア

ギリシア

ノルウェー

ルーマニア

デンマーク

エストニア

オランダ

サンマリノ

リトアニア

ナイジェリ

ア感染者数 1486 196 17361 433 133 142 256 39 22 164 74 1646 2772 81 372 38 299 35 418 1423 260 1044 258 2051 119 27 8死亡者数 14 6 1135 3 1 12 7 4 21 3 5 3 4 58 11

アイスランド

アゼルバイ

ジャン

ベラルーシ

ニュージーランド

メキシコ

カタール

ルクセンブル

クモナコ

エクアドル

アイルランド

チェコアルメニア

ドミニカ共和

インドネシア

アンドラ

ポルトガル

ラトビア

セネガル

サウジアラビ

ヨルダン

アルゼンチン

チリウクライナ

モロッコ

チュニジア

ハンガリー

リヒテンシュタイン

感染者数 250 28 51 20 93 452 203 7 111 292 464 84 21 227 53 448 71 31 171 52 79 238 16 49 29 58 28死亡者数 1 2 2 2 1 19 1 2 2 2 1

ポーランド

スロベニア

パレスチナ

ボスニア・ヘルツェ

南アフリカ

ジブラルタル(英

ブータン

カメルーン

トーゴセルビ

アスロバキア

バチカン

コロンビア

ペルーコスタリカ

マルタパラグアイ

バングラデシュ

モルドバ

ブルガリア

モルディブ

ブルネイ

キプロス

アルバニア

ブルキナファ

チャンネル諸島(英

モンゴル

感染者数 251 275 41 38 116 3 1 10 1 83 105 1 93 145 50 38 11 14 30 92 13 68 49 59 20 1 6死亡者数 5 1 1 1 2 2 1

パナマボリビ

ホンジュラ

コンゴ民主共和国

ジャマイカ

トルココートジボ

ワール

ガイアナ

ガーンジー(英

領)

ジャージー(英

ケイマン諸島(英

キューバ

トリニダー

ド・ト

スーダン

ギニアエチオピア

ケニアグアテマラ

ベネズエラ

ガボン ガーナアンティグア・

バーブーダ

カザフスタン

ウルグアイ

アルバナミビ

アセー

シェル

感染者数 86 12 9 4 13 191 9 7 1 5 1 7 7 2 1 6 3 6 36 1 7 1 35 50 4 2 4死亡者数 1 2 1 1 1 1

セントルシア

ルワンダ

エスワティニ

キュラソー

スリナム

モーリタニア

コソボコンゴ共和国

セントビンセント及び

クレナディーン諸

中央アフリカ

ウズベキスタ

赤道ギニア

プエルトリコ

リベリア

タンザニア

グリーンラン

ソマリア

ベナン バハマモンテネグロ

バルバドス(英領)

キルギス

ザンビア

ジブチガンビ

アその他 計

感染者数 2 8 1 3 1 1 2 1 1 1 15 4 3 2 3 1 1 2 1 2 2 3 2 1 1 712 210498死亡者数 7 8875

新型コロナウイルスに関連した感染症の発生状況等について(令和2年3月19日18時時点)

※1 うち101例は無症状病原体保有者(症状はないが、検査が陽性となった者)※2 この他にチャーター便で帰国後、3月1日に死亡したとオーストラリア政府が発表した1名がいる。当該死亡者は豪州の死亡者欄に計上。 1

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新型コロナウイルス感染症の発生状況※令和2年3月19日18時時点【国内事例】 ※括弧内は前日からの変化

【上陸前事例】※括弧内は前日からの変化PCR検査陽性者※【 】は無症状病原体保有者数

退院等している者 人工呼吸器又は集中治療室に入院している者※7

死亡者

クルーズ船事例(水際対策で確認)(3,711人)※4

712※5【333】

567※6(+16)

15 7※8

※令和2年3月19日18時時点

※4那覇港出港時点の人数。うち日本国籍の者1,341人 ※5船会社の医療スタッフとして途中乗船し、PCR陽性となった1名は含めず、チャーター便で帰国した40名を含む。国内事例同様入院後に有症状となった者は無症状病原体保有者数から除いている。※6退院等している者567名のうち有症状298名、無症状269名。チャーター便で帰国した者を除く。※7 28名が重症から軽~中等症へ改善(うち7名は退院) ※8この他にチャーター便で帰国後、3月1日に死亡したとオーストラリア政府が発表した1名がいる。

※1 うち日本国籍の者670人※2 今までに重症から軽~中等症へ改善した者は17名※3 これに加え、空港検疫で7名PCR検査陽性者が確認されており、合計すると950例となる。

PCR検査陽性者

PCR検査実施人数うち無

症状者うち有症状者 症状

有無確認中

うち退院した者

うち入院治療を要する者

うち退院した者

うち入院治療を要する者

うち死亡者うち軽~

中等症の者

うち人工呼吸器又は集中治療室に入院している者※2

うち確認中

うち入院待機中の者

うち入院中の者

うち入院待機中の者

国内事例(チャーター便帰国者を除く)

928※1

(+36)97

(+1)30

(+3)67

(-2)62(-2) 5 829

(+35)182(+9)

614(+24)

373 (+17)

50(+1)

182 (+7)

9(-1)

33(+2) 2 18,015

(+3,943)

チャーター便帰国者事例(水際対策で確

認)

15 4 4 0 0 0 11 11 0 0 0 0 0 0 0 829

合計 943※3

(+36)101(+1)

34(+3)

67(-2)

62(-2) 5 840

(+35)193(+9)

614(+24)

373(+17)

50(+1)

182(+7)

9(-1)

33(+2) 2 18,844

(+3,943)

2

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PCR検査陽性者退院者 現在も入院等 死亡者

943(+36)227(+12) 683(+22)

33(+2)

【国内事例】新型コロナウイルス感染症に関する入退院の状況

(注)1【国内事例】には、上記のほか空港検疫で確認されたPCR検査陽性者7名がいる。2【クルーズ船事例】にはチャーター便帰国した者(40名)は含めない。3【クルーズ船事例】には藤田岡崎医療センター分を含む。

3月19日(木)18時時点

PCR検査陽性者退院者 現在も入院等 死亡者

672567(+16) 98(-16) 7

【クルーズ船事例】

PCR検査陽性者退院者 現在も入院等 死亡者

1615(+36)794(+28) 781(+6)

40(+2)

【総計】

重症→軽~中等症になった者 17

重症→軽~中等症になった者 28

重症→軽~中等症になった者 45

3

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帰国者・接触者相談センター 帰国者・接触者外来等 (参考)一般電話相談窓口

設置目安

各保健所への設置を目安

※保健所件数:472件(H31.4.1)

二次医療圏に1カ所以上

※二次医療圏数:335(H30.4.1)

なし

※一般電話相談窓口は医療機関の紹介を行わないため、地域ごとに設置する必要がなく、各自治体が必要な回線数を設置できていればよい。

設置件数

47都道府県、527施設で設置

※2/12に全都道府県での設置を確認、前日比±0施設

47都道府県、1,017施設で設置※2/13に全都道府県での設置を確認、前日比+11施設

※2/21に全二次医療圏での設置を確認

47都道府県で設置済

対応件数

相談件数は全国で227,742件(2/3~3/18)

※前日比8,147件増加

帰国者・接触者外来の受診者数は全国で10,026件(2/1~3/18)

※前日比475件増加

東京都:8,712件(1/29~2/27)(2/26:428件、2/27:414件)

大阪府:5,174件(1/29~2/27)(2/26:263件、2/27:215件)

宮城県:2,272件(2/4~2/27)(2/26:213件、2/27:242件)

岡山県:1,067件(2/4~2/27)(2/26:126件、2/27:164件)

※報告対象ではないため、専用ダイヤルを設置したいくつかの都道府県へ聞き取り調査を実施。

その他

・保健所のほか、県庁や市役所の感染症対策担当課に設置している都道府県もある。

・全都道府県が24時間土日も対応可能である(各ホームページ上でも公表)。

・2/27に相談件数の増加が著しい27都道府県に電話回線の状況を聴取したが、特段輻輳は生じていない。

・1,017施設のうち感染症指定医療機関は409施設。

・専用回線を設置している都道府県は神奈川県含め22都府県。

・都道府県とは別に一般電話相談窓口を設置している市区町村もある。

新型コロナウイルス感染症に係る国内の体制整備について3/19(木)17時時点

4

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1 新型コ

ロナウ

イル

ス感染

症対

策専門

家会

「新型

コロナ

ウイ

ルス感

染症

対策の

状況

分析

・提言

」(2020年

3月

19日

本専門家会議は、政府の新型コロナウイルス感染症対策本部の下、新型コロナウイルス

感染症の対策について医学的な見地から助言等を行うために設置されました(令和2年

2

月14日 新型コロナウイルス感染症対策本部決定)。この見解は、新型コロナウイルス厚

生労働省対策本部クラスター対策班が分析した内容等に基づき、専門家会議において検討

した結果をまとめています。

現在までに明らかになってきた情報をもとに、現状の状況分析を行い、その正確な情報

提供に努めるとともに、政府及び自治体に対し提言を、国民の皆様及び事業者の方々に対

しお願いをすることとしています。

分析結果等はあくまでも現時点のものであり、随時、変更される可能性があります。

Ⅰ.

はじめに

新型コロナウイルス感染症の流行が始まり、わずか数か月ほどの間にパンデミックと言

われる世界的な流行となりました。この感染症については、まだ不明の点も多い一方、多

くのことが明らかになってきました。例えば、この感染症に罹患しても約

80%の人は軽症

で済むこと、5%程の方は重篤化し、亡くなる方もいること、高齢者や基礎疾患を持つ方

は特に重症化しやすいことなどです。これまで世界で

19万人以上の感染者と、8,000人近

い死亡者が報告されています。本専門家会議は、新型コロナウイルス感染症について十分

な注意と対策が必要な感染症であると考えています。特に、気付かないうちに感染が市中

に拡がり、あるときに突然爆発的に患者が急増(オーバーシュート(爆発的患者急増))す

ると、医療提供体制に過剰な負荷がかかり、それまで行われていた適切な医療が提供でき

なくなることが懸念されます。こうした事態が発生すると、既にいくつもの先進国・地域

で見られているように、一定期間の不要不急の外出自粛や移動の制限(いわゆるロックダ

ウンに類する措置)に追い込まれることになります。

私達は、我が国がこのような事態を回避し、できるだけ被害を小さくするための提案と

して、本提言を取りまとめました。政府や国民の皆様などには内容をご理解いただき、我

が国の被害を少しでも減らすための政策や行動につなげていただきたいと考えています。

Ⅱ.状

況分析

1.

WHO

によ

るパンデ

ミッ

クとの

認識

(3月

11日)

と日本

の対策

につ

いて

世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は、2020年3月

11日の会見において、世

界で感染が拡がりつつある新型コロナウイルスについて、「パンデミック(世界的な大流

行)とみなせる」と表明しました。中国、韓国以外での感染状況が加速する現状に強い懸

念が示されましたが、「事態をパンデミックと描写することそれ自体が、ウイルスの脅威に

対するWHOの評価や、WHOの対応、各国の対応を変えることにはならない」とも述べ

5

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2 ています。

以上のことから、専

門家

会議

として

は、

現時点

では

、社会

・経

済機能

への

影響を

最小

としな

がら、

感染

拡大

防止

の効果を

最大

限にす

ると

いう

、これ

までの

方針

を続け

てい

く必

要があ

ると考えています。そ

のた

め、「

①クラ

スタ

ー(

患者

集団)の

早期

発見・

早期

応」、「

②患者

の早

期診断

・重

症者へ

の集

中治療

の充

実と医

療提

供体制

の確

保」、「

③市

民の

行動変

容」と

いう

3本柱

の基

本戦略

は、

さらに

維持

、必要

に応

じて

強化

し、速や

かに

行わ

なけれ

ばなら

ない

と考え

てい

ます。

さらに、これまで報告の少なかった欧州や米国などの諸外国で新規感染者数が急増して

おり、中東、東南アジア、アフリカなどでも大規模感染が拡がっていることが推定される

ことなどから、感染者ゼロを目指す国内での封じ込めは困難な状況です。このため、こう

した国々から、我

が国に

持ち

込まれ

る新

型コロ

ナウ

イルス

への

対応

や、国

内にお

いて

も、

後述す

る、ク

ラス

ター(

患者

集団)

の感

染源(

リン

ク)が

追え

ない事

例が

散発的

に発

生し

ている

ことな

どへ

の対策

は依

然とし

て必

須であり、クラスターの早期把握とともに、地域

ごとの状況に応じた「市民の行動変容」や「強い行動自粛の呼びかけ」をお願いすること

などにより、い

かに

して

小規

模な感

染の

連鎖に

留め

、それ

ぞれ

の地域

にお

いて

適切な

制御

を行っ

た上で

収束

を図っ

てい

けるか

が重

要に

なって

きてい

ます

2.

クラスタ

ー対

策の

現状に

ついて

世界保

健機関

(W

HO)

のテドロス事務局長は

、2020年3月13日の事

務局

長のス

テー

トメン

トにお

いて

、日本

が「

クラス

ター

(患者

集団

)の早

期発

見・早

期対

応」と

いう

戦略

をとっ

て様々

な取

組を進

めて

きたこ

とを

高く評

価しています。諸外国では数百~数千人規

模の感染者数になるまで介入されなかったことが死亡者数の急増を引き起こしたものと考

えられますが、日本では少人数のクラスター(患者集団)から把握し、この感染症を一定

の制御下に置くことができていることが、諸外国との患者発生状況と死亡者数の差につな

がっていると判断しています。

これまで、厚生労働省のクラスター対策班では、感染者、濃厚接触者、保健所、地方公

共団体のご協力を得て、クラスター(患者集団)を早期に発見し、その方々に対して人と

人との接触をできるだけ絶つよう要請しながら、継続的に健康状態を確認する、という活

動をしてきました。その結果、急速な感染拡大を抑制することに成功している地域も出て

きています。

しかしながら、現在の国及び地方公共団体におけるクラスター対策の実施体制には、そ

もそもクラスター(患者集団)対策を指揮できる専門家が少ないことや、帰国者接触者相

談センターへの対応を含めて保健所における労務負担が過重になっており、クラスター対

策に人員を割けないことなど様々な課題が存在しています。

6

Page 9: 新型コロナウイルス感染症対策本部(第 21 回)...新型コロナウイルス感染症対策本部(第21 回) 日時:令和2年3月 20日(金) 16 時15分~16時30分

3 3

.北

海道の

感染

状況と

対策

の効果

につ

いて

【注意】※:新型コロナウイルス感染症の感染から発病に要する潜伏期間の平均値は約5

日間であり、発病から診断され報告までに要している平均日数は約8日間となってい

ます。そのため、我々が今日見ているデータは、その約2週間前の新規感染の状況を

捉えたものである、すなわち3月上旬頃の状況であるというタイムラグがあることを

ご理解下さい。

急激な感染拡大の兆候があった北海道においては、2020年

2月

28日に知事より緊急事

態宣言が発出され、週末の外出自粛要請のほか、大規模イベントの開催自粛、学校の休校

などが行われました。その他にも、道民や事業者、若者が主体となった啓発の取組みが、

いち早く進展しています。

北海道の感染状況をみると、緊急事態宣言が出される前の

2月

27日、28日には

10名を

超える新規感染者の報告が続きましたが、その後急激な感染拡大を示す状況は認められて

おらず、直近の数日では0~5名以内の報告に留まっています(図

1左)。流行規模の拡大

には至っていませんが、他方、感染源(リンク)が追えない新規感染者数は横ばいに留ま

っており、コミュニティにおける伝播は確実には止まっていません。

また、図1に示すように、実

効再

生産数

(感染症の流行が進行中の集団のある時刻にお

ける、1人の感染者が生み出した二次感染者数の平均値)は

、日によって変動はあるもの

の概ね1程度で推移していましたが、緊急事態宣言の発出後は1を下回る日も増えていま

す。(図1の青い線を参照)。緊

急事

態の発生

前と

発生後

の同

一期間

(2月

16日~

28日と

29日

~3月

12日)

で実

効再

生産数

を推

定する

と0.9(

95%信頼

区間

:0.7、

1.1)か

ら0.7

(95%信頼

区間

:0.4、

0.9)へ

と減

少をしま

した

さらに、北海道においては、感染者、濃厚接触者、地方公共団体、保健所の皆様のご協

力とご努力により、クラスター(患者集団)を十分に把握できたことで、この感染症の爆

発的な増加を避けることができたと考えています。以上の状況から、専

門家

会議と

して

は、北

海道で

は一

定程度

、新

規感染

者の

増加を

抑え

られ

ている

ことを

示し

ている

と判

断し

ていま

すが、

依然

として

流行

は明確

に収

束に向

かっ

ておら

ず憂

慮すべ

き状

態が続

いて

いる

と考え

ていま

す。

また、

北海

道知事

によ

る緊急

事態

宣言

を契機

として

、道

民の皆

様が

日常

生活の

行動を

変容

させ、

事業

者の方

々が

迅速に

対策

を講じ

られ

たこと

につ

いては

、急

速な

感染拡

大の防

止と

いう観

点か

らみて

一定

の効果

があ

ったも

のと

判断

しています。

ただし、緊急事態宣言、大規模イベントの自粛要請等のうち、どのような対策やどのよ

うな行動変容が最も効果を上げたかについては定かではありません。また、決してこの先

について楽観視できる状況になったわけではなく、最近、患者数が増加傾向にある札幌な

どを含め、引き続き、これまで集団感染が確認された場に共通する3つの条件を避けるた

めの取組を行っていく必要があります。

7

Page 10: 新型コロナウイルス感染症対策本部(第 21 回)...新型コロナウイルス感染症対策本部(第21 回) 日時:令和2年3月 20日(金) 16 時15分~16時30分

4 4

.現

在の

国内

の感

染状

況と

対策

の効

果に

つい

て【

注意

】※

(1

)国

内の

感染

状況

につ

いて

北海

道以

外の

新規

感染

者数

は、

日ご

との

差はあ

るも

のの

、都

市部

を中

心に

漸増

して

り、

3月

10日

以降

、新

規感

染者

数の

報告

が50例

を超

える

日も

続い

てい

ます

。ま

た、

高齢

者福

祉施

設で

集団

感染

が発

生す

る事

例が

あり

ます

。こ

のこ

とは

、既

に一

定の

地域

では

感染

が広

がり

つつ

あり

、高

齢者

など

感染

に弱

い立

場の

方々

に症

状が

現れ

てし

まっ

たこ

とを

意味

して

いま

す。

図2

に示

した

よう

に、

日本

全国

の実

効再

生産

数は

、日

によ

って

変動は

ある

もの

の、

1を

はさ

んで

変動

して

いる

状況

が続

いた

もの

の、

3月

上旬

以降

をみ

ると

、連

続し

て1

を下

回り

続け

てい

ます

。今

後とも

、こ

の動

向が

どの

よう

に変

化す

るの

か、

注意

深く

観察

を続

けな

ら、

状況

に応

じた

必要

な対

応を

その

都度

、機

敏に

講じ

るこ

とが

求め

られ

ます

また

、図

3に

示し

たよ

うに

、感

染源

(リ

ンク

)が

分か

らな

い感

染者

の増

加が

生じ

てい

地域

が散

発的

に発

生し

てい

ます

。今

後、

クラス

ター

(患

者集

団)

の感

染源

(リ

ンク

)が

左上

:発

病時

刻に

基づ

く流

行曲

線。

左下

:リ

ンク

のな

い感

染者

の流

行曲

線(

報道

発表

ベー

ス)。

右上

:推

定さ

れた

感染

時刻

別の

新規

感染

者数

(左

縦軸

・棒

グラ

フ;

黄色

は国

内発

生、

灰色

は輸

入感

染者

)と

それ

に基

づく

実効

再生

産数

(1

人あ

たり

が生

み出

した

2次

感染

者数

・青

線)

の推

定値

。青

線は

最尤

推定

値、

薄青

い影

は95%

信頼

区間

であ

る。

右下

:緊

急事

態宣

言前

後の

同一

期間

(2

月16

日~

28日

と29

日~

3月

12日

)を

定数

と想

定し

た場

合の

実効

再生

産数

の推

定値

8

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5 か

らな

い感

染者

が増

えて

いく

場合

は、

その

背景

に、

どの

よう

な規

模の

感染

者が

存在

して

るか

がわ

から

なく

なる

こと

を意

味し

てい

ます

。現

時点

では

、こ

うし

た感

染経

路が

明ら

かで

はな

い患

者が

増加

して

いる

地域

は局

地的

かつ

小規

模に

留ま

って

いる

もの

の、

今後

、こ

うし

た地

域が

全国

に拡

大し

、さ

らに

、ク

ラス

ター

(患

者集

団)

の感

染源

(リ

ンク

)が

分か

らな

い感

染者

が増

加し

てい

くと

、い

つか

、ど

こか

で爆

発的

な感

染拡

大(

オー

バー

シュ

ート

(爆

発的

患者

急増

))

が生

じ、

ひい

ては

重症

者の

増加

を起

こし

かね

ませ

ん。

以上

の状

況か

ら、

日本

国内

の感

染の

状況

につ

いて

は、

3月

9日

付の専

門家

会議

の見

解で

も示

した

よう

に、

引き

続き

、持

ちこ

たえ

てい

ます

が、

一部

の地

域で

感染

拡大

がみ

られ

す。

諸外

国の

例を

みて

いて

も、

今後

、地

域に

おい

て、

感染

源(

リン

ク)

が分

から

ない

患者

数が

継続

的に

増加

し、

こう

した

地域

が全

国に

拡大

すれ

ば、

どこ

かの

地域

を発

端と

して

、爆

発的

な感

染拡

大を

伴う

大規

模流

行に

つな

がり

かね

ない

と考

えて

いま

す。

注:

カレ

ンダ

ー時

刻(

横軸

)別

の推

定の

新規

感染

者数

(左

縦軸

・棒

グラ

フ;

黄色

は国

内発

生、

灰色

は輸

入感

染者

)と

それ

に基

づく

実効

再生

産数

(1

人あ

たり

が生

み出

した

2次

感染

者数

・青

線)

の推

定値

。青

線は

最尤

推定

値、

薄青

い影

は95%

信頼

区間

であ

る。

9

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6

(2

)

国内

での

様々

な対

策の

効果

につ

いて

北海

道以

外の

地域

にお

いて

も、

政府

によ

って

要請

され

た大

規模

イベ

ント

開催

自粛

や、

全国

一斉

休校

が実

施さ

れた

ほか

、急

速な

感染

拡大

が危

惧さ

れる

地域

にお

ける

的確

な積

的疫

学調

査の

実施

など

が行

われ

まし

た。

この

結果

、た

とえ

ば、

時差

出勤

への

協力

によ

り、

首都

圏で

はピ

ーク

時の

乗車

率が

減少

する

など

、事

業の

特徴

に応

じた

事業

継続

方法

の変

更や

働き

やす

い環

境整

備に

工夫

が凝

され

てい

ます

それ

らが

なか

った

こと

との

比較

はで

きな

いも

のの

、現

時点

では

、「

メガ

クラ

スタ

ー(

大な

患者

集団

)」

の形

成は

なさ

れて

いな

いと

推測

され

ます

。ま

た、

図3

で示

した

よう

に、

都市

部を

有す

る地

域を

中心

に発

症者

の漸

増が

認め

られ

てい

ます

。一

方、

日本

全国

で見

ば、

大規

模イ

ベン

ト等

の自

粛や

学校

の休

校等

の直

接の

影響

なの

か、

それ

に付

随し

て国

の行

動変

容が

生じ

たの

か、

その

内訳

まで

は分

から

ない

もの

の、

一連

の国

民の

適切

な行

変容

によ

り、

国内

での

新規

感染

者数

が若

干減

少す

ると

とも

に、

効果

があ

った

こと

を意

して

いま

す。

しか

しなが

ら、

海外

から

の流

入は

続い

てお

り、

また

、一

般に

感染

症の

増減

には

一定

の小

幅な

サイ

クル

が存

在し

てい

るこ

とな

どか

ら、

引き

続き

、そ

の動

向を

注視

注:

2020年

2月

27日

~3

月4

日、

3月

5日

~11

日お

よび

3月

12~18

日の

間に

報道

発表

され

た各

都道

府県

の感

染源

がわ

から

ない

感染

者数

の相

対割

合(

各期

間中

の全

国総

計値

を100%

とし

たと

きの

各都

道府

県の

割合

)。こ

れら

のう

ち積

極的

疫学

調査

によ

って

感染

源が

探知

され

た者

は、

今後

、集

計値

から

引か

れて

いく

こと

とな

る。

流動

的な

数字

であ

るこ

とに

注意

が必

要で

ある

10

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7

ていくととも

に、市民や事業者の皆様に、最も感染拡大のリスクを高める環境(①換気

の悪い密閉空

間、②人が密集している、③近距離での会話や発声が行われる、という

3

つの条件が同

時に重なった場)での行動を十分抑制していただくことが重要です。

(3

)重症化

する

患者さ

んに

ついて

日本国内で

は、2020年3月

18日までに、感染が確認された症状のある人

758例のう

ち、入院治療

中の人は

579例おり、そのうち、軽症から中等度の人が

337名(58.2%)、

人工呼吸器を

使用または集中治療を受けている人が

46名(7.9%)となっています。ま

た、150例(

25.9%)は既に軽快し退院しています。

図4に示す

ように、日本国内では、2020年

3月

18日までに確認された死亡者数は

29

名であり、イ

タリアなどの国と比べて、入院者に占める死亡者数の割合も低く抑えられ

ています。

このことは

、限られた医療資源のなかであっても、日本の医師が重症化しそうな患者

さんの大半を

検出し、適切な治療ができているという、我が国の医療の質の高さを示唆

していると考

えられます。

しかしなが

ら、既に地域によっては軽症者や回復後の観察期間にある患者等によって

指定感染症病

床が圧迫されてきていること、死亡者数が増加傾向にある状況も鑑みる

と、専

門家

会議と

しては

、欧

州で起

きて

いるよ

うな

爆発的

な感

染拡大

の可

能性や

、そ

に伴う

地域の

医療

提供体

制が

受ける

であ

ろう

影響

の深刻さ

につ

いても

、十

分考慮

して

かなけ

ればな

らな

いと考

えて

います

00

00

01

10

13

02

211

1420

50

20

31

10

08

64

75

02

2017

10

00

00

01

23

34

21

24

41

64

37

26

13

66

06

30

66

617

2827

4149

37

132

97

168

196189

252

173

368349

345

1112

1115

1517

21

4943

5463

7585

94

245

0

135

0 50

100

150

200

250

300

350

400

2020/3/2

2020/3/3

2020/3/4

2020/3/5

2020/3/6

2020/3/7

2020/3/8

2020/3/9

2020/3/10

2020/3/11

2020/3/12

2020/3/13

2020/3/14

2020/3/15

2020/3/16

2020/3/17

2020/3/18

死亡者数

英国

米国

日本

韓国

イタリア

イラン

図4.国別報告日毎の新規死亡者数

11

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8 5

.今

後の見

通し

につい

今日我々が見ているこの感染症の感染者数のデータは、感染から発病に要する潜伏期間と

発病から診断され報告までに要する期間も含めて、その約2週間前の新規感染の状況を捉え

たものにすぎません。すなわち、どこかで感染に気付かない人たちによるクラスター(患者

集団)が断続的に発生し、その大規模化や連鎖が生じ、オー

バー

シュ

ート(

爆発的

患者急

増)

が始ま

ってい

たと

しても

、事前に

はそ

の兆候を

察知

できず

、気付いた

とき

には制

御で

きな

なって

しまう

とい

うのが

、こ

の感染

症対

策の

難しさ

です

もしオ

ーバ

ーシュ

ートが

起き

ると、欧州

でも見

られ

るよう

に、その地

域で

は医療

提供

体制

が崩壊

状態に

陥り

、この

感染

症のみ

なら

ず、通

常で

あれば

救済

できる

生命

を救済

でき

なくな

るとい

う事態

に至

りかね

ませ

ん。この

ため

、爆

発的

患者急

増が

起きた

イタ

リアや

スペ

イン、

フラン

スとい

った

国々(

図5

)では

、数週

間の

間、都市を

封鎖

した

り、強

制的な

外出

禁止の

措置や

生活必

需品

以外の

店舗

閉鎖な

どを

行う、い

わゆ

る「ロッ

クダウ

ン」と

呼ばれ

る強

硬な

措置を

採ら

ざる

を得なく

なる

事態

となっています。

注:

報告日

付(横

軸)別の

国別

感染

者数の

推移。イ

タリ

ア、

スペイ

ン、ドイ

ツ、

フラ

ンス

などで同

様の

増殖

率で指

数関数的

増殖

が見

られる

(オーバ

ーシ

ュー

ト)。

図5.国別の累積感染者数の推移

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

2/14/2020

2/19/2020

2/24/2020

2/29/2020

3/5/2020

3/10/2020

3/15/2020

患者数

報告日

日本

シンガポール

ドイツ

イタリア

スペイン

フランス

35713人13910人

12327人9043人

12

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9

日本のある特定地域(人口

10万人)

に、現

在、

欧州で起こっているような大規模流行が

生じ、さらにロ

ックダウンに類する措置などが講じられなかったと仮定した場合にどのよう

な事態が生じるのでしょうか。北海道大学西浦教授の推計によれば、図

6のとおり、

基本

再生

産数

(R

0 :す

べて

の者

が感

受性

を有

する

集団

にお

いて

1人

の感

染者

が生

み出

た二次感染者数の平均値)が欧州(ドイツ並み)のR

0 =2.5程度であるとすると、症状の出

ない人や軽症の人を含めて、流行

50日目には

1日の新規感染者数が

5,414人にのぼり、最

終的に人口の

79.9%が感染すると考えられます。また、呼吸管理・全身管理を要する重

篤患

者数が流行

62日目には

1,096人に上り、この結果、地域における現有の人工呼吸器の数を

超えてしまうことが想定されるため、広域な連携や受入体制の充実を図るべきです。

ただし、もち

ろん今回の推計に基づき各地域ごとに人工呼吸器等を整備するべきという趣

旨ではなく、今

回示した基本再生算数がもたらす大幅な感染の拡大が生じないよう、クラス

ター対策等強力な公衆衛生学的対策を講じることで、これから各都道府県が整備しようとし

ている医療

提供体

制を

上回らない

ように

する

べきです。(各地

域で

整備すべき

医療提

供体

についての考え方は6で示すとおり)

なお、オーバーシュートが生じる可能性は、人が密集し、都市としての人の出入りが多い

大都市圏の方がより高いと考えられます。

このため、有事に備え、十分な医療提供体制が必要になることは当然のこととして、こう

した状況を可能な限り回避するための取組がより重要になります。それには、多くの人々の

十分な行動変容を通じた協力が不可欠であり、地域クラスター対策の抜本的拡充だけでは全

く不十分です。すなわち、も

し大

多数

の国民

や事業

者の皆

様が

、人と

人と

の接触

をで

きる限

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

3500

4000

010

20

30

40

50

60

70

80

90

100

新規感染者数(人/10万)

時刻(日)

新規感染者(0-14歳)

新規感染者(15-64歳)

新規感染者(65歳以上)

0

50

100

150

200

250

010

20

30

40

50

60

70

80

90100110120

重篤患者数(人/10万)

時刻(日)

重篤患者(15-64歳)

重篤患者(65歳以上)

図6.大規模流行時に想定される

10万人当たりの新規感染者数(左)と

重篤患者数(右)

注:

いず

れも

10万

人あ

たり

の新

規感

染者

数等

。右

図の

赤実

線は

日本

国内

の10

万人

あた

りの

使用

可能

な人

工呼

吸器

台数

を示

す。

13

Page 16: 新型コロナウイルス感染症対策本部(第 21 回)...新型コロナウイルス感染症対策本部(第21 回) 日時:令和2年3月 20日(金) 16 時15分~16時30分

10 り

絶つ

努力、「

3つ

の条

件が

同時に

重な

る場」

を避

けてい

ただ

く努力

を続

けて

いただ

けない

場合に

は、既に

複数の国

で報

告され

てい

るよう

に、感染

に気

づかない

人た

ちによ

るク

ラスタ

ー(患者

集団)が断

続的

に発

生し、その大

規模

化や

連鎖が

生じ

えます

。そし

て、あ

る日、オ

ーバー

シュー

ト(爆発的

患者

急増

)が

起こりか

ねな

いと考

えま

す。そして、そうした事態が

生じた場合には、その時点で取り得る政策的な選択肢は、我が国でも、幾つかの国で実施さ

れているロックダウンに類する措置を講じる以外にほとんどない、ということも、国民の皆

様にあらかじめ、ご理解いただいておく必要があります。

したがって

、我々

とし

ては、「3

つの条

件が

同時に重な

る場」

を避

けるための

取組を

、地

域特性なども踏まえながら、これまで以上に、より国民の皆様に徹底していただくことによ

り、多くの犠牲

の上に成り立つロックダウンのような事後的な劇薬ではない「日本型の感染

症対策」を模索していく必要があると考えています。

このため、地域別の予兆を少しでも早く把握しながら、もし、特定地域にオーバーシュー

トの兆しが見られた場合には、まずは、地域別の対応を徹底していただくとともに、全国的

にも、より

一層の

行動

変容が必要

である

と考

えています

。特に

、こ

れまでの事

例を見

ると

症状が軽い方が、感染に気がつかないまま、街を出歩いて感染を拡大させている可能性があ

り、こうした方々を含め、地域の皆さん全員が「3つの条件が同時に重なる場」を避けるな

どの行動変容を徹底していただくことが極めて重要です。

また、これ

までに

わか

ってきたこ

ととし

ては

、オーバー

シュー

トの

リスクを高

めるの

が、

「3つの条

件が同

時に

重なる場」

を避け

にく

い状況が生

じやす

い、「全国から

不特定

多数

人々が集まるイベント」であるといえます。イベントそのものがリスクの低い場で行われた

としても、イベ

ントの前後で人々が交流する機会を制限できない場合には、急速な感染拡大

のリスクを

高めま

す。

また、規模

の大き

なイ

ベントの場

合は、

会場

に感染者が

いた場

合に

クラスター(患者集団)の連鎖が発生し、爆発的な感染拡大のリスクを高めます。

現時点では、安全な規模や地域による基準を設けられるような科学的な根拠はなく、これ

までの事例から判断するしかない状況です。

「3つの条件が同時に重なる場」を避けるなど適切な対応をとられれば、オーバーシュー

トを未然に防ぐこともあり得ますが、国内外の現在の感染状況を考えれば、短期的収束は考

えにくく長期戦を覚悟する必要があります。

6.地

域ごと

に準

備が必

要な

医療提

供体

制につ

いて

上記患者数の見通しに基づき、各地域で完全な医療提供体制を構築することは到底不可能

です。また、現時点で有効な治療薬、ワ

クチンは存在せず、人工呼吸器やエクモといった重

症患者に有効な医療機器も使用するためには高度に訓練された医師、臨床工学技士、看護

等が多数必

要であ

り、

既存の医療

従事者

で対

応可能な数

しか増

加さ

せることは

できま

せん

そのため、最

もこの感染症による死者を減らすために、まずは各地域で初期に考えられる

(すでに各

地域に

示し

た患者推計

モデル

に基

づいた)感

染者数

、外

来患者数、

入院患

者数

重篤患者数に応じた医療提供体制が整えられるよう、この感染症を重点的に受け入れる医療

機関の設定や、重点医療機関等への医療従事者の派遣、予定手術、予定入院の延期等できう

14

Page 17: 新型コロナウイルス感染症対策本部(第 21 回)...新型コロナウイルス感染症対策本部(第21 回) 日時:令和2年3月 20日(金) 16 時15分~16時30分

11 るかぎりの医療提供体制の整備を各都道府県が実施することが早急に必要と考えます。

また、毎日の

陽性患者数のデータ等を通じて、必要に応じ特に重篤患者に係る広域調整を

行うため、

都道府

県を

越え

た広域

調整本

部の

設置準備等

があら

かじ

め必要と考

えられ

ます

7.地

域ごと

の対

応に関

する

基本的

な考

え方

今後、日本のどこかでオーバーシュートが生じた場合には、地域ごとに断続的に発生し

ていくことが想定されます。こうした状況下では、社会・経済機能への影響を最小限とし

ながら、感染拡大防止とクラスター連鎖防止の効果を最大限にしていく観点から、地域の

感染状況別にバランスをとって必要な対応を行っていく必要があります。

感染状況が拡大傾向にある地域では、まん延のおそれが高い段階にならないように、ま

ずは、地域における独自のメッセージやアラートの発出や一律自粛の必要性について適切

に検討する必要があります。その場合、社会・経済活動への影響も考慮し、導入する具体

的な自粛内容、タイミング、導入後の実施期間などを十分に見極め、特に「感染拡大が急

速に広まりそうな局面」や「地域」において、その危機を乗り越えられるまでの期間に限

って導入することを基本とすべきだと考えます。

感染状況が収束に向かい始めている地域並びに一定程度に収まってきている地域では、

後述するように、人の集まるイベントや「3つの条件が同時に重なる場」を徹底的に回避

する対策をしたうえで、感染拡大のリスクの低い活動から、徐々に解除することを検討す

ることになると考えます。ただし、一度、収束の傾向が認められたとしても、クラスター

(患者集団)発生の早期発見を通じて、感染拡大の兆しが見られた場合には、再び、感染

拡大のリスクの低い活動も含めて停止する必要が生じえます。

感染状況が確認されていない地域では、学校における様々な活動や、屋外でのスポーツ

やスポーツ観戦、文化・芸術施設の利用などを、適切にそれらのリスクを判断した上で、

感染拡大のリスクの低い活動から実施してください。ただし、急激な感染拡大への備え

と、「3つの条件が同時に重なる場」を徹底的に回避する対策は不可欠です。

8.学

校等に

つい

政府は、2月

27日に、全国の小中高・特別支援学校の一斉臨時休校を要請しました。学

校の一斉休校については、3.で触れたように、北海道においては他の取組と相まって全

体として一定の効果が現れていると考えますが、学校の一斉休校だけを取り出し「まん延

防止」に向けた定量的な効果を測定することは困難です。

また、この感染症は、子どもは重症化する可能性が低いと考えられています。一方で

は、中国等では重症化した事例も少数例ながら報告されており、更に、一般には重症化し

にくい特性から、無症状又は症状の軽い子どもたちが、高齢者等を含む家族内感染を引き

起こし、クラスター連鎖のきっかけとなる可能性などを指摘する海外論文なども見られて

おり、現時点では、確たることは言えない状況であると考えています。ただし、上記7.

の「感染状況が拡大傾向にある地域」では、一定期間、学校を休校にすることも一つの選

択肢と考えられます。

15

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12 Ⅲ

.提

言等

1.

政府及び

地方

公共団

体へ

の提言

(1)

クラス

ター

対策の

抜本

的な強

現在の実施体制では、クラスターの早期発見・早期対応という戦略を更に継続する

のは厳しく、爆発的な感染拡大を伴う大規模流行を回避できなくなる可能性がありま

す。

このため、専

門家

会議と

して

は、抜

本的

なクラ

スタ

ー対策

の拡

充を迅

速に

実施す

きであ

ると考

え、

その一

刻も

早い実

現を

政府に

強く

要望し

ます

。具体的には、①

地域

でクラ

スター

(患

者集団

)対

策を指

揮す

る専門

家を

支援す

る人

材の確

保、②地方公共

団体間の強力な広域連携の推進を図った上で、③地

方公

共団

体間で保

持す

る感染

者情

報を

それぞれ

の地

域のリ

スク

アセス

メン

トに活

用で

きるシ

ステ

ムを作

るこ

と、④保健

所が大

規模な

クラ

スター

対策

に専念

でき

る人員

と予

算の投

入等が挙げられます。

(2)

北海道

及び

各地方

公共

団体へ

のお

願い

この先、新たな感染者やクラスターの発生もあり得ますので、引き続き注意深く警

戒を続けながら、今

後は

、適

宜、必

要に

応じて

、今

回と同

様の

対応を

講じ

ること

も視

野に入

れてお

く必

要があ

りま

す。

一方で、この

北海

道の経

験は

、他の

地域

におい

も、政

府との

緊密

な情報

連携

により

、地

方公

共団体

の首長

によ

る独自

のメ

ッセー

ジや

アラー

トの発

出等

が、地

域住

民の行

動変

容につ

なが

り、一

定の

効果を

上げ

る可能

性を

示唆し

ている

と考

えます

。感染状況が拡大傾向にある地方公共団体におかれまして

は、まん延のおそれが高くならないように、厚生労働省からもたらされた情報等を基

に、まずは、地域住民の行動変容につなげるための自発的な取組の実施も考慮してい

ただきたいと考えます。

(3)「

3つ

の条件

が同

時に

重なっ

た場

」を避

ける

取組の

必要

性に関

する

周知啓

発の

徹底

まん延の防止に当たっては、国民の行動変容を一層徹底していく必要があります。

このため、専門家会議としては、国に対しては、3つの条件が同時に重なった場を避

けることの必要性についての周知広報の充実を求めます。

(4)

重症者

を優

先する

医療

体制の

構築

重症患者に対する診療には、特別な知識や環境、医療機器を要するため、診療でき

る人員と資源を継続的に確保することが重要な課題です。そのため、一般医療機関の

うちどの機関が感染者の受入れをするか、あらかじめ決めておく必要があります。そ

の上で、関係医療機関の連携・協力の下、受入病床数を増やすだけでなく、一般医療

機関の医療従事者にも新型コロナウイルス感染症の診療に参加していただく支援が不

可欠です。

そこで、専門家会議としては、重症者を優先する医療体制へ迅速に移行するため、

地域の感染拡大の状況に応じて、受診、入院、退院の方針を以下のように変更する検

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13

討を進めるべきだと判断します。

重症化リスクの高い人(強いだるさ、息苦しさなどを訴える人)又は高齢者、基礎

疾患のある人については、早めに受診していただく

入院治療が必要ない軽症者や

無症

状の陽性者は、自宅療養とする※。ただし、電話

による健

康状態の把握は継続する

入院の対象を、新型コロナウイルス感染症に関連して持続的に酸素投与が必要な肺

炎を有する患者、入院治療が必要な合併症を有する患者その他継続的な入院治療を

必要とする患者とする

症状が回復してきたら

退院及び自

宅待機にて安静とし、電話による

健康状態の把握は

継続する

また、症状が軽い陽性者等が、高齢者や基礎疾患がある人と同居していて家族内感染

のおそれが高い場合は、接触の機会を減らすための方策を検討する。具体的には

、症

状が軽い陽性者等が宿泊施設等での療養を行うことや、同居家族が

受診した上で一時

的に別の場所に滞在すること

など、家族内感染リスクを下げる取組みを行う

このような基本的考えに立って、地域の

実情に応じた、重症度などによる

医療機関の役

割分担をあらかじめ決めておくことが重要です。

※ 現在は、まん延防止の観点から、入院治療の必要のない軽症者も含めて、感染

症法

の規定に基づく措置入院の対象としています。

(5)

学校等

につ

いて

春休み明け

以降の学校に当たっては、多くの子どもたちや教職員が、日常的に長時間

集まることに

よる感染リスク等に備えていくことが重要です。この観点から、まずは、

地域ごとのま

ん延の状況を踏まえていくことが重要です。さらに、今後、どこかの地域

でオーバーシ

ュートが生じた場合には、Ⅱ.7の地域ごとの対応に関する基本的な考え

方を十分踏ま

えていただくことが必要です。

また、日々

の学校現場における「3つの条件が同時に重なる場」を避けるため、①換

気の悪い密閉

空間にしないための換気の徹底、②多くの人が手の届く距離に集まらない

ための配慮、

③近距離での会話や大声での発声をできるだけ控えるなど、保健管理や環

境衛生を良好

に保つような取組を進めていくことが重要です。

併せて、咳

エチケットや手洗いなどの基本的な感染症対策の徹底にもご留意くださ

い。

児童生徒や

学校の教職員については、学校現場で感染リスクに備えるとともに、学校

外での生活で

感染症の予防に努めていくことが重要です。日頃から、集団感染しやすい

場所や場面を

避けるという行動によって急速な感染拡大を防げる可能性が高まります。

例えば、でき

るだけ換気を行って密閉空間を作らないようにしたり、咳エチケットや手

洗いなどの基

本的な感染症対策を徹底したり、バランスのとれた食事、適度な運動、休

養、睡眠など

で抵抗力を高めていくことにも心がけてくださるようお願いします。

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14

教職員本人

やその家族等が罹患した場合並びに本人に発熱等の風邪症状が見られる場

合には、学校

へ出勤させないよう徹底してください。また、児童生徒にも、同様の取組

の徹底を図る

ようにしてください。

また、大学

等におかれては学生等に対して、本提言に記載した感染リスクを高める行動

を慎むよう、正確な情報提供や周知を

お願いいたします。特に春休み期間に、感染症危険

情報が高い国・地域に

海外旅行や海外

留学等で渡航した学生等が帰国する際などには、新

たな渡航の慎

重な検討や一時帰国を含めた安全確保の対応方策の検討に加え、帰国して2

週間は体調管

理を行い、体調に変化があった場合には、受診の目安を参考に適切な対応を

取るよう、学

生等への情報提供や周知をお願いいたします。

2.

市民と事

業者

の皆様

(1)

3つの

条件

が同時

に重

なっ

た場に

おける

活動

の自粛

のお

願い

これまでに明らかになったデータから、集団感染が確認された場に共通するのは、①

換気の悪い密閉空間であった、②多くの人が密集していた、③近距離(互いに手を伸ば

したら届く距離)での会話や発声が行われたという3つの条件が同時に重なった場とい

うことが分かっています。例えば、屋形船、スポーツジム、ライブハウス、展示商談

会、懇親会等での発生が疑われるクラスターの発生が報告されています。

皆さんが、「3つの条件が同時に重なった場所」を避けるだけで、多くの人々の重症

化を食い止め、命を救えます。

(2)

感染者

、濃

厚接触

者等

に対す

る偏

見や差

別に

ついて

感染者

、濃

厚接触

者とそ

の家

族、

この感

染症の

対策

や治療

にあ

たる医

療従

事者と

その

家族

に対する

偏見

や差別

につ

ながる

よう

な行為

は、

断じて

許さ

れませ

ん。

誰もが感染

者、濃厚接触

者になりうる状況であることを受け止めてください。

報道関係者

におかれましては、個人情報保護と公衆衛生対策の観点から特段の配慮を

お願いします

感染症対策に取り組む医療従事者が、差別等されることのないよう、市民等は高い意

識を持つことが求められます。

(3)

積極的

疫学

調査へ

のご

協力の

お願

この感染症

との闘いは、今後一定期間は続き、国内で急速な感染の拡大を抑制できた

としても、流

行地から帰国する邦人や来日する外国人からの感染も増える見込みのた

め、さらに警

戒を強める必要があります。

感染者

、濃

厚接触

者の方

々は、保健所による積極的疫学調査にご協力ください。

詳し

い行動歴を調

査することで感染源を突き止め、他の感染者を早期に発見することが感染

拡大の防止の

ために不可欠となります。

また、事業

者におかれましては、集団感染が発生した場合には、その情報を公開する

ことにご協力

ください。速やかな情報の公開が、感染者の早期発見につながります。

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(4)

高齢者

や持

病のあ

る方

など重

症化

リスク

の高

い皆様

への

お願い

新型コロナ

ウイルスの国内ならびに海外での分析によっても高齢であれば比較的健康

であっても感

染し、重症化する可能性が高いことがわかっています。また、持病にも

様々なものが

ありますが、できるだけ良好なコントロールをしていただくようにし、ま

た感染リスク

を下げるような行動をお願いします。また通常の予防接種も、感染症の複

合にならない

ために重要です。

これまでは

外出機会の多かった方におかれましても、今後は感染リスクを下げるよう

注意をお願い

します。特に、共有の物品がある場所、不特定多数の人がいる場所などへ

の訪問は避け

てください。なお、外出機会を確保することは日々の健康を維持するため

にも重要にな

ります。お一人や限られた人数での散歩などは感染リスクが低い行動で

す。

(5)

高齢者

や持

病のあ

る方

に接す

る機

会のあ

る職

業なら

びに

家庭の

方へ

のお願

高齢者や持病のある方に接する機会のある、医療、介護、福祉ならびに一般の事業者

で働く人は一層の感染対策を行うことが求められます。発熱や感冒症状の確認ならび

に、感染リスクの高い場所に行く機会を減らすなどの対応が当分の間求められます。

これまでの国内外の感染例でも、家庭内での感染の拡大はよくみられています。同居

の家族、特に、そのご家庭の高齢者を訪問される際には、十分な体調確認を行った上

で、高齢者の方と接していただくようにしてください。

(6)

若者世

代の

皆様へ

のお

願い

若者世代は

、新型コロナウイルス感染による重症化リスクは高くありません。しか

し、無症状又

は症状が軽い方が、本人は気づかずに感染を広めてしまう事例が多く見ら

れます。この

ため、感染の広がりをできるだけ少なくするためには、 改めて、3つの条

件が同時に重

なった場に近づくことを避けていただきますようにお願いします。特に、

オーバーシュ

ート(爆発的患者急増)のリスクを高めるのが、「3つの条件が同時に重な

る場」を避け

にくい状況が生じやすい、「全国から不特定多数の人々が集まるイベント」

であることも

わかってきました。イベントそのものがリスクの低い場で行われたとして

も、イベント

の前後で人々が交流する機会を制限できない場合には、急速な感染拡大の

リスクを高め

ますので、十分に注意して行動してください。

また、ご自

身が新型コロナウイルスに罹患した場合やその家族等が罹患した場合並び

に発熱等の風

邪症状が見られる場合には、ご自身の経過観察をご自宅で継続するととも

に外出を避け

るように徹底してください。

(7)

医療従

事者

の皆様

への

お願い

今後、患者数の漸増やオーバーシュート(爆発的患者急増)が起こると、感染症指定

医療機関等だけでは対応が困難となりますので、多くの医療機関(診療を原則行わない

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医療機関を除く)が新型コロナウイルス感染症の診療を行うことになります。その際、

地域における医療機関ごとの役割分担(軽症者は在宅療養、重症者は高次医療機関、そ

の他は診療所や一般医療機関で診療するなど)を踏まえ、医療ニーズの低減努力(一般

患者の外来受診間隔を開ける、ファクス処方の利用、待機的入院・手術の延期等)をお

願いいたします。また、各医療機関におかれましては、それぞれの診療継続計画に基づ

き、医療従事者の適切な配置等をご検討ください。医療につきましては、新型インフル

エンザ等及び鳥インフルエンザ等に関する関係省庁対策会議「平成25年6月26日

(平成30年6月21日一部改訂)新型インフルエンザ等対策ガイドライン」のⅥ 医

療体制に関するガイドラインが準用可能ですのでご参照ください。

(8)

PCR

検査

につい

新型コロナ

ウイルス感染症においては、医師が感染を疑う患者には、PCR検査が実

施されること

になっています。また、積極的疫学調査において検査の必要性がある濃厚

接触者にもP

CR検査が実施されます。このように適切な対象者を検査することで、新

型コロナウイ

ルスに感染した疑いのある肺炎患者への診断・治療を行っているほか、濃

厚接触者の検

査により、感染のクラスター連鎖をとめ、感染拡大を防止しています。す

でに、検査受

け入れ能力は増強されており、今後も現状で必要なPCR検査が速やかに

実施されるべ

きと考えています。今後は、わが国全体の感染状況を把握するための調査

も必要です。

なお、PC

R検査法は優れた検査ではありますが、万能ではなく感染していても陽性

と出ない例も

あります。したがって、PCR検査のみならず、臨床症状もあわせて判断

する必要があ

ります。また、迅速診断法や血清抗体検査法などの導入により、より迅速

で正確な診断

が期待されています。

(9)

大規模

イベ

ント等

の取

扱いに

つい

2月

26日

に政府が要請した、全国的な大規模イベント等の自粛の成果については、そ

の効果だけを

取り出した「まん延防止」に対する定量的な効果測定をできる状況にはな

いと考えてい

ますが、専門家会議としては、以下のような観点から、引き続き、全国的

な大規模イベ

ント等については、主催者がリスクを判断して慎重な対応が求められると

思います。

全国規模の

大規模イベント等については、

①多くの人が

一堂に会するという集団感染リスクが想定され、この結果、地域の医療提

供体制に大

きな影響を及ぼしかねないこと(例:海外の宗教行事等)

②イベント会場のみならず、その前後などに付随して人の密集が生じること

(例:札幌雪まつりのような屋外イベントでも、近辺で3つの条件が重なったことに

伴う集団感染が生じていること)

③全国から人

が集まることに伴う各地での拡散リスク、及び、それにより感染者が生じ

た場合のク

ラスター対策の困難性

20

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(例:大阪のライブハウス事案(16都道府県に伝播))

④上記のリスクは屋内・屋外の別、あるいは、人数の規模には必ずしもよらないこと

などの観点か

ら、大規模イベント等を通して集団感染が起こると全国的な感染拡大に繋

がると懸念さ

れます。

このため、

地域における感染者の実情やその必要性等にかんがみて、主催者がどうし

ても、開催す

る必要があると判断する際には以下①~③などを十分注意して行っていた

だきたい。

しかし、そ

うしたリスクへの対応が整わない場合は、中止又は延期をしていただく必

要があると考

えています。

また仮にこ

うした対策を行えていた場合でも、その時点での流行状況に合わせて、急

な中止又は延

期をしていただく備えも必要です。

①人が集まる場の前後も含めた適切な感染予防対策の実施、

②密閉空間・

密集場所・密接場面などクラスター(集団)感染発生リスクが高い状況の

回避、

③感染が発生

した場合の参加者への確実な連絡と行政機関による調査への協力

などへの対

応を講ずることが求められます。

(別添「多

くの人が参加する場での感染対策のあり方の例」参照)

(9

)事業者

の皆

様へ

のお願

以下の事項

に留意して、多様な働き方で働く方も含めて、従業員の感染予防に努めて

ください。

・労働者が発熱などの風邪症状が見られる際に、休みやすい環境の整備

・テレワーク

や時差通勤の活用推進

・お子さんの

学校が学級閉鎖になった際に、保護者である労働者が休みやすいように配

・感染拡大防

止の観点から、イベント開催の必要性を改めて検討

・別添「多く

の人が参加する場での感染対策のあり方の例」の2)クラスター(集団)

感染発生リ

スクの高い状況の回避のための取組に準じて、従業員の集団感染の予防に

も十分留意

してください。

・海外出張で

帰国した場合には、2週間は職員の健康状態を確認し、体調に変化があっ

た場合には

、受診の目安を参考に適切な対応を取るよう職員への周知徹底をしてくだ

さい。

Ⅳ.終

わりに

この状況分析・提言については、今後、国際的な状況、新規感染者数の動向、国民や行

政に知らせるべき新たな重要な知見等が生じた場合に、政府が、「緊急事態宣言」の発動も

21

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18 含めた必要な対応が迅速かつ果断にとれるよう、適宜、必要に応じて検討を行い、見直し

を行うものとします。

22

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19 別

多くの

人が

参加す

る場

での感

染対

策のあ

り方

の例】

1)人が集まる場の前後も含めた適切な感染予防対策の実施

○参加時に体温の測定ならびに症状の有無を確認し、具合の悪い方は参加を認めない。

○過去2週間以内に発熱や感冒症状で受診や服薬等をした方は参加しない。

○感染拡大している地域や国への訪問歴が

14日以内にある方は参加しない。

○体調不良の方が参加しないように、キャンセル代などについて配慮をする。

○発熱者や具

合の悪い方が特定された場合には、接触感染のおそれのある場所や接触し

た可能性の

ある者等に対して、適切な感染予防対策を行う。

○会場に入る際の手洗いの実施ならびに、イベントの途中においても適宜手洗いが

できるような場の確保。

○主に参加者の手が触れる場所をアルコールや次亜塩素酸ナトリウムを含有したもので

拭き取りを定期的に行う。

〇飛沫感染等を防ぐための徹底した対策を行う(例えば、「手が届く範囲以上の距離を保

つ」、「声を出す機会を最小限にする」、「咳エチケットに準じて声を出す機会が多い場

面はマスクを着用させる」など)

2)クラスター(集団)感染発生リスクの高い状況の回避

○換気の悪い密閉空間にしないよう、換気設備の適切な運転・点検を実施する。定期的

に外気を取り入れる換気を実施する。

○人を密集させない環境を整備。会場に入る定員をいつもより少なく定め、入退場に

時間差を設けるなど動線を工夫する。

○大きな発声をさせない環境づくり(声援などは控える)

〇共有物の適正な管理又は消毒の徹底等

3)感染が発生した場合の参加者への確実な連絡と行政機関による調査への協力

○人が集まる場に参加した者の中に感染者がでた場合には、その他の参加者に対して

絡をとり、症状の確認、場合によっては保健所などの公的機関に連絡がとれる体制

確保する。

○参加した個人は、保健所などの聞き取りに協力する、また濃厚接触者となった場合

は、接触してから2週間を目安に自宅待機の要請が行われる可能性がある。

4)その他

○食事の提供

は、大皿などでの取り分けは避け、パッケージされた軽食を個別に提供す

る等の工夫

をする。

○終了後の懇親会は、開催しない・させないようにする。

※ 上記は例であり、様々な工夫が考えられる。

23