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18 10 -2018 ケーブル技術ショー2018 報告 特集 ンター間でのFTTH伝送や、異なるケーブルテ レビ局間での受信点の相互バックアップなど、 長距離伝送の用途に使うことができる。現在、 多くのケーブルテレビ局では光送信器の更新時 期に入っている。この更新に合わせて長距離伝 送用途の新しい光送信器を3.2 GHz対応にした いと考えているケーブルテレビ局の要望に応え た製品が、ミハル通信の「3224MHz外部変調 型光送信器」だ。この製品は3.2 GHz対応だが、 HFCのケーブルテレビ局が使用することもでき る。最初はHFCで使用し、将来FTTH化すると きにはそのまま高度BS左旋放送のIF伝送に対 応することが可能だ。 この製品には、3Uサブラックに実装できる スロットタイプ(写真1 )と1Uタイプ(写真2)の 2種類がある。3Uスロットタイプは従来から多 数のケーブルテレビ局で使われているミハル通 信の3Uサブラック「MOTSD-SR-3JE」に実装 できる。 「そのためすでにミハル通信の2.6GHz直接 変調型光送信器などを導入されているケーブル テレビ局のサブラックのスロットが空いていれば、 そこに3Uスロットタイプの『3224 MHz外部変 調型光送信器』を実装してそのまま使えます。 また外部変調型光送信器を単独で導入される場 合は、それに合わせて冗長用の同軸アンプや光 ファイバー増幅器、光スイッチなども同じサブ ラックに実装できるため、使い勝手がとても良 いのです。今年のケーブル技術ショーでも、来 場されたお客様からはこれらの点を高く評価 いただきました」(ミハル通信株式会社 ビジ ネス・テクノロジーセンター エキスパート 伊東 真杉氏) 1Uタイプの製品は、1Uの方がスペース効率 が高くなる既存の2.6 GHzや770 MHzの外部変 調型光送信器を使っているケーブルテレビ局に 向けた製品だ。3 Uスロットタイプと1Uタイプ の機能、性能は同じで、導入するケーブルテレ ビ局は自社のヘッドエンド構成に応じて最適な 方を選べる。 「3224MHz外部変調型光送信器」にはその 他にも特長がある。まず、ゲイン、ボリューム、 スロープコントロールの調整機能が70~ 770MHz帯と1000~3224MHz帯でそれぞれ 独立しているため、帯域ごとに信号レベル補正 できる。また監視機能には一般的なプロトコル であるSNMPを使用しているため、ケーブルテ レビ局が従来から使っている監視システムの上 に乗せることができ、統合監視がしやすい。 外部変調型光送信では唯一の国内メーカー製 であることの利点も大きい。海外メーカー製の 場合は修理・保守を行う場合、海外に送って修 理後に日本に戻さなければいけないことが多い。 それに対して国産の「3224MHz外部変調型光 送信器」は神奈川県鎌倉市にあるミハル通信の 本社工場できめ細かいメンテナンスを受けること ができる。その場合、修理だけでなく不具合の 内容や原因を細かく説明したレポートも提供され 3224MHz外部変調型光送信器 既存3Uサブラックを使用可能 同じ機能の1Uタイプも用意 今回のケーブル技術ショーでミハル通信ブー スに来場したケーブルテレビ局関係者に特に注 目された新製品が、高度BS左旋放送のIF伝送 に対応できる「3224MHz外部変調型光送信 器」だ。この製品は、国産としては唯一の外部 変調型光送信器。その機能と国産であることが 評価され、すでにケーブルテレビ局での導入が 進み始めている。 直接変調型光送信器はレーザーに直接強度 変調をかけるため、長距離伝送に弱い。それに 対して外部変調型光送信器はレーザーダイオー ドをCW光源として使いマッハ・ツェンダー型 変調器で変調をかけるため、長距離伝送に非常 に強いのが特長だ。そのためセンターとサブセ ケーブル技術ショー 2018のミハル通信ブースは、会場が東京国際フォーラムに 移ってから最高の来場者数を記録した。特に高度BS対応ヘッドエンドとFTTH 伝送機器に来場者の関心が集まった。この記事では、今年の来場者から特に注目 が集まった3つの新製品、❶「3224MHz外部変調型光送信器」、❷「マルチ ポート型光ファイバー増幅器(MOSFシリーズ)」、❸「3224MHz V-ONU」に ついて、機能の特長を解説する。いずれもミハル通信が提案する次世代ブロード バンド伝送システム(図1 )を構成する機器だ。 (取材・文:渡辺 元・本誌編集長) 唯一の国産3.2 GHz外部変調型光送信器など ショーで注目FTTH伝送機器新製品 写真 2 「3224MHz外部変調型光送信器」の 1Uタイプ ミハル通信 写真 1 「3224MHz外部変調型光送信器」の 3Uスロットタイプ

ミハル通信18 1 18 特集 ケーブル技術ショー2018報告 ンター間でのFTTH伝送や、異なるケーブルテ レビ局間での受信点の相互バックアップなど、

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18 10 -2018

ケーブル技術ショー2018報告特集

ンター間でのFTTH伝送や、異なるケーブルテレビ局間での受信点の相互バックアップなど、長距離伝送の用途に使うことができる。現在、多くのケーブルテレビ局では光送信器の更新時期に入っている。この更新に合わせて長距離伝送用途の新しい光送信器を3.2GHz対応にしたいと考えているケーブルテレビ局の要望に応えた製品が、ミハル通信の「3224MHz外部変調型光送信器」だ。この製品は3.2GHz対応だが、HFCのケーブルテレビ局が使用することもできる。最初はHFCで使用し、将来FTTH化するときにはそのまま高度BS左旋放送のIF伝送に対応することが可能だ。 この製品には、3Uサブラックに実装できるスロットタイプ(写真1)と1Uタイプ(写真2)の2種類がある。3Uスロットタイプは従来から多数のケーブルテレビ局で使われているミハル通信の3Uサブラック「MOTSD-SR-3JE」に実装できる。 「そのためすでにミハル通信の2.6GHz直接変調型光送信器などを導入されているケーブルテレビ局のサブラックのスロットが空いていれば、そこに3Uスロットタイプの『3224MHz外部変調型光送信器』を実装してそのまま使えます。また外部変調型光送信器を単独で導入される場合は、それに合わせて冗長用の同軸アンプや光ファイバー増幅器、光スイッチなども同じサブラックに実装できるため、使い勝手がとても良いのです。今年のケーブル技術ショーでも、来

場されたお客様からはこれらの点を高く評価いただきました」(ミハル通信株式会社 ビジネス・テクノロジーセンター エキスパート 伊東真杉氏) 1Uタイプの製品は、1Uの方がスペース効率が高くなる既存の2.6GHzや770MHzの外部変調型光送信器を使っているケーブルテレビ局に向けた製品だ。3Uスロットタイプと1Uタイプの機能、性能は同じで、導入するケーブルテレビ局は自社のヘッドエンド構成に応じて最適な方を選べる。 「3224MHz外部変調型光送信器」にはその他にも特長がある。まず、ゲイン、ボリューム、スロープコントロールの調整 機 能が70~770MHz帯と1000~3224MHz帯でそれぞれ独立しているため、帯域ごとに信号レベル補正できる。また監視機能には一般的なプロトコルであるSNMPを使用しているため、ケーブルテレビ局が従来から使っている監視システムの上に乗せることができ、統合監視がしやすい。 外部変調型光送信では唯一の国内メーカー製であることの利点も大きい。海外メーカー製の場合は修理・保守を行う場合、海外に送って修理後に日本に戻さなければいけないことが多い。それに対して国産の「3224MHz外部変調型光送信器」は神奈川県鎌倉市にあるミハル通信の本社工場できめ細かいメンテナンスを受けることができる。その場合、修理だけでなく不具合の内容や原因を細かく説明したレポートも提供され

❶ 3224MHz外部変調型光送信器既存3Uサブラックを使用可能同じ機能の1Uタイプも用意

 今回のケーブル技術ショーでミハル通信ブースに来場したケーブルテレビ局関係者に特に注目された新製品が、高度BS左旋放送のIF伝送に対応できる「3224MHz外部変調型光送信器」だ。この製品は、国産としては唯一の外部変調型光送信器。その機能と国産であることが評価され、すでにケーブルテレビ局での導入が進み始めている。 直接変調型光送信器はレーザーに直接強度変調をかけるため、長距離伝送に弱い。それに対して外部変調型光送信器はレーザーダイオードをCW光源として使いマッハ・ツェンダー型変調器で変調をかけるため、長距離伝送に非常に強いのが特長だ。そのためセンターとサブセ

ケーブル技術ショー 2018のミハル通信ブースは、会場が東京国際フォーラムに移ってから最高の来場者数を記録した。特に高度BS対応ヘッドエンドとFTTH伝送機器に来場者の関心が集まった。この記事では、今年の来場者から特に注目が集まった3つの新製品、❶「3224MHz外部変調型光送信器」、❷「マルチポート型光ファイバー増幅器(MOSFシリーズ)」、❸「3224MHz V-ONU」について、機能の特長を解説する。いずれもミハル通信が提案する次世代ブロードバンド伝送システム(図1)を構成する機器だ。(取材・文:渡辺 元・本誌編集長)

唯一の国産3.2GHz外部変調型光送信器などショーで注目のFTTH伝送機器の新製品

写真2「3224MHz外部変調型光送信器」の1Uタイプ

ミハル通信

写真1「3224MHz外部変調型光送信器」の3Uスロットタイプ

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光出力ポートを実装することができる実装効率の高さと、光出力にMPOコネクターを採用したことが特長の製品だ。MPOコネクターはSCコネクター 8出力分を1個のコネクターで対応できるため、配線数が1/8となり取り回しがとても楽になる。しかし小規模なケーブルテレビ局にとっては、光出力ポート数はこれほどは必要ない。 そこでミハル通信は3Uサブラックに実装する「マルチポート型光ファイバー増幅器(MOSFシリーズ)」をリニューアルした。9スロット、最大72光出力ポートで、小規模ケーブルテレビ局に適している。 「外観デザインやインターフェースなどは2008年に発売した従来のMOSFシリーズの光ファイバー増幅器を踏襲していますが、MPOコネクターの使用など機能、性能、部品は新しいMOAPNシリーズと同等なものに刷新しました(図2)。これまでMOSFシリーズの3Uサブラックを使用されているケーブルテレビ局は、既存のサブラックを新製品でも継続的にご利用いただけます。10年以上使用して古くなった光ファイバー増幅器のスロットから順番に新製品に交換することもできます。更新時期に少ない費用負担で機器を交換することが可能な製品です」(ミハル通信株式会社 ビジネス・テクノロジーセンター 主査 田原雅史氏) 新製品は8月~ 9月に発売する予定だ。

❸「3224MHz V-ONU」従来の2.6GHz V-ONUと同じ大きさで商品化を実現

 高度BS左旋放送に対応しているミハル通信の新製品「3224MHz V-ONU」は、すでに導入実績のある従来の2.6GHz V-ONUと同じ大きさで広帯 域を実 現した。3.2GHz V-ONUは2.6GHz V-ONUに比べてチャンネル数が多いため歪特性に対処した設計が必要になるなど小型化は難しいが、新製品は従来の「2681MHz V-ONU」と同じサイズで商品化を実現した。他社のものも含め商品化された3.2GHz V-ONUとしては国内初だ(同社調べ)。この新製品は今年3月にケーブルテレビ局に初導入され、現在実際に加入者宅で使われている。また「2681MHz V-ONU」も縦型にして従来製品の体積比で4/5程度まで小型化した。 ミハル通信ならではの高機能、使い勝手の良さ、そして信頼性を兼ね備えたこれらのFTTH伝送機器の新製品は、高度BS対応と通信高速化にいち早く取り組みたいケーブルテレビ局の現在のニーズに的確に応えている。

るため、ケーブルテレビ局は安心して使える。 「3224MHz外部変調型光送信器」は7月27日、初の導入ケーブルテレビ局であるケーブルメディアワイワイ(宮崎県)に出荷した。同局がこの製品の導入を決めたのは、前述のような製品の特長はもちろんだが、すでに同社の3Uサブラック「MOTSD-SR-3JE」を導入済みだったので、その空きスロットに実装できるメリットも大きかった。ケーブルメディアワイワイは高度BSや地デジの局間伝送やFTTHにこの装置を使用していく。現在、ミハル通信には同局以外のケーブルテレビ局からもバックオーダーが寄せられており、需要の高さを物語っていると言えよう。

❷ マルチポート型光ファイバー増幅器(MOSFシリーズ)」

1個8光出力のMPOコネクター採用小規模局向けの3Uサブラック型

 ミハル通信は「マルチポート型光ファイバー増幅器(MOAPNシリーズ)」を2017年に発売した。4Uのサブラックで18スロット、最大144

「マルチポート型光ファイバー増幅器(MOSFシリーズ)」

国内初の「3224MHz V-ONU」

【図1】 ミハル通信が提案する次世代ブロードバンド伝送システム

【図2】 「マルチポート型光ファイバー増幅器(MOSFシリーズ)」は強靭性・効率性・作業性を向上させる