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トラクター動力式集材機の開発と ローダークレーン付林業用トレーラー
による作業システム
有限会社 藤原造林 藤原 正志
平成24年度 林野庁補助事業「先進的林業機械緊急実証・普及事業」(全国事務局:自然産業研究所) 有限会社藤原造林 平成26年3月
山梨県の森林の現状
地域の森林・林業の概況
山梨県の特徴は、標高約400mから2000m級の山々を有しているお椀型の盆地地形で、森林率は約78%の森林県であります。その森林の約半分は県有林(約15万8千ha)と呼ばれ、道有林に次ぐ面積を所有する県でもあります。地形的には急峻と思われがちであるが、八ヶ岳山麓や富士山麓では地形が緩やかで経営的に林業を実践できるところでもある。しかし、一般的な林業経営林は比較的な急傾斜に多く見られ、昔から架線集材が盛んな地域でもあります。そんな状況下の中ではありますが、ここ数年、車両系林業機械の普及が進み一部においては、山地崩壊のリスクが高まりつつある箇所も増えております。
当社はそういったリスクをなくすため、集約している森林の地形条件等について、架線系と車両系で使い分けております。車両系で可能な箇所についても2.5mの森林作業道で使用可能な小型車両系の作業システムを導入し、森林への負担軽減を図っております。架線系については、地形等を考慮し、技術の伝承を踏まえて積極的に活用しております。架線系は造材機と組み合わせることで、高効率な作業システムであり現在でもこのシステムを選択肢の一つしているところは多いと思っております。
平成24年度 林野庁補助事業「先進的林業機械緊急実証・普及事業」(全国事務局:自然産業研究所) 有限会社藤原造林 平成26年3月
本事業における取組みのきっかけとポイント
急傾斜地が多い日本の森林において架線系の作業システムは必要不可欠な技術であり、この架線技術の伝承と新たな集材機のあり方とその利用方法を考えることを目的としました。
平成24年度 林野庁補助事業「先進的林業機械緊急実証・普及事業」(全国事務局:自然産業研究所) 有限会社藤原造林 平成26年3月
ベーストラクター・・・バルトラA93モデルHITECH
導入機械について1
バルトラトラクターの特徴・・・フィンランド製トラクター 60周年を2011に迎えた。世界75か国に販売されている。 エンジン出力・・・101馬力/2270回転、370NM/1500 回転 運転席を、180度回転することで、後方の操作性も向上させている 4WDシステムとブレーキ同調システム(トラクターとの同調) フロントPTOプラスクイックフィチ フロント荷重を重視した優れた重量配分と安定性 価格・・・1100万位(後部ドライビングシステム装備のため)為替変動あり
機械の内容と特徴
平成24年度 林野庁補助事業「先進的林業機械緊急実証・普及事業」(全国事務局:自然産業研究所) 有限会社藤原造林 平成26年3月
トレーラー部分・・・FARMI VARIO 101(4WD)4571ローダークレーン付
導入機械について2
ファルミフォレストトレーラーの特徴・・・50年の歴史あるメーカー トレーラー部・・・油圧操舵装置、4WD走行システム、 ローダー部・・・電子制御操作レバー、アウトリガー付ローダークレーン リーチ長はこのクラス最大で7.1m 価格・・・4WDトレーラー。ローダークレーン付きで700万位(為替変動あり)
機械の内容と特徴
平成24年度 林野庁補助事業「先進的林業機械緊急実証・普及事業」(全国事務局:自然産業研究所) 有限会社藤原造林 平成26年3月
導入機械について3 釜原鉄工所製SK型ウインチ SK40-3A型
釜原鉄工所製SKウインチの特徴 SK40-3A型の102PS、36.8kg・mのエンジンに対応できるウインチ 信頼のおけるウインチメーカー 価格・・・E/G無430万位、油圧ユニット価格300万位
平成24年度 林野庁補助事業「先進的林業機械緊急実証・普及事業」(全国事務局:自然産業研究所) 有限会社藤原造林 平成26年3月
現行の作業システムの問題点
・集材機の経年劣化による破損等の故障により一時的に作業が休工または、交換部品がメーカーにすでに無い
・集材機自体の問題として新規でのエンジン開発が無い(排ガス規制が影響)また、
変速機についても開発が行われていない)
機械の改良により見込む効果
シンプルな構造である集材機本体をトラクターの動力で動かすことで、エンジンの
問題は解決できる。また、ローダークレーン付き林業用トレーラーを使用することで
集材機の移動・設置についても新たな可能性が広がり、架線の設営から集材作業
システム等トータル的な生産性が向上するものと考えている。
また、土木工事等への使用についても可能になるものと考える。
本取組みにより改善しようとする点 集材機本体について
架線集材機本体については、現時点、開発や改良が行われておらず、課題の多い林業機械の一つでもある。しかし、構造がシンプルであり、造材機と組み合わせることで高効率な作業システムとして選択されている。
平成24年度 林野庁補助事業「先進的林業機械緊急実証・普及事業」(全国事務局:自然産業研究所) 有限会社藤原造林 平成26年3月
トラクター部分・・・動力を架線集材機動力に変換する機構の検討・開発、その際の変速機構の検討・開発
(出力取出し接続部の改良、操作レバー、スイッチ、変速機等の追加や変更と改良、油圧配管の増設とアクセルリンク等の移動設置、安全ガード製作など)
トレーラー部分・・・集材機の移動・設置を容易に行えるクレーン付きトレーラー機構の検討・開発
(トラーラーの組立、油圧配管及びアウトリガーの追加設置、
集材機搭載取付加工(限り積み降ろしを可能にする)等)
集材機の部分・・・接合部分の検討・開発
(トラクターとの結合部の製作改良、インプット側の製作、改良、運転位置の変更等)
想定していた機械の改良点
平成24年度 林野庁補助事業「先進的林業機械緊急実証・普及事業」(全国事務局:自然産業研究所) 有限会社藤原造林 平成26年3月
改良後について
当初、課題であった接合部分や動力伝達部について、外部油圧ポンプ式駆動式としたことやトラクター内でローダークレーンを操作する方法を取り入れたことで、結果的に課題としていたシャフト式の動力取出しやトラクター改良、インプット側の製作、改良、運転位置の変更等ほぼすべて解決された。
平成24年度 林野庁補助事業「先進的林業機械緊急実証・普及事業」(全国事務局:自然産業研究所) 有限会社藤原造林 平成26年3月
新たな作業システムを検証する中で変化する作業
トラクター駆動式集材機により変化する作業
1、集材機の搬入・設置 ⇒ 変化する
2、架線仮設作業 ⇒ 変化しない
3、集材作業 ⇒ 変化する
4、造材作業 ⇒ 将来的に変化する
5、運材作業 ⇒ 変化する
平成24年度 林野庁補助事業「先進的林業機械緊急実証・普及事業」(全国事務局:自然産業研究所) 有限会社藤原造林 平成26年3月
検証すべきポイントとして
集材機の搬入方法の変化⇒時間計測により評価する
集材作業の変化⇒従来使用機械の見直しで評価
運材作業 ⇒集材量毎に集積場所への運搬可能になるので
大きな土場を要しない等、運材作業については
重要な工程なので、総合的に評価する
トラクター外部駆動式集材機において、集材機を動かすということが第一に重要なことであり、それが可能になることでプラスの作業を含め、総合的に評価する必要があると考えました。
平成24年度 林野庁補助事業「先進的林業機械緊急実証・普及事業」(全国事務局:自然産業研究所) 有限会社藤原造林 平成26年3月
油圧駆動型集材機による運転状況
平成24年度 林野庁補助事業「先進的林業機械緊急実証・普及事業」(全国事務局:自然産業研究所) 有限会社藤原造林 平成26年3月
ローダーでの積み込み状況
平成24年度 林野庁補助事業「先進的林業機械緊急実証・普及事業」(全国事務局:自然産業研究所) 有限会社藤原造林 平成26年3月
検証すべきポイントとして(その他)
集材機設置事の安全性と簡易に設置する手法の評価
造材機とローダークレーンの連携作業についての検証
集材機運転時間と運材作業時間との関連評価
森林作業道または林業専用道におけるトラクターの大きさ検証
将来的にローダークレーンからハーベスターに変化することが可能か。
平成24年度 林野庁補助事業「先進的林業機械緊急実証・普及事業」(全国事務局:自然産業研究所) 有限会社藤原造林 平成26年3月
現地検討会で提案した作業システム
平成24年度 林野庁補助事業「先進的林業機械緊急実証・普及事業」(全国事務局:自然産業研究所) 有限会社藤原造林 平成26年3月
作業システムの評価結果として
集材に関しては、予想以上に力があり集材の効率が格段に向上した。
造材機との連携作業により、生産性を向上することが出来るとともに、集材機運転中のローダークレーン作業が可能であり、複合的な作業システムとして評価できた。また、集材機の油圧を断つことで、トラクター運材もでき、作業システム全体の生産性の向上につながることが確認できた。
データ的な生産性については、今後検証していく予定である。
現段階での運材工程については、実証期間が短いため、オペレーティングに多少の時間を有している。
集材機の設置については、安全かつ簡易に設置する方法をさらに検討する必要がある。
平成24年度 林野庁補助事業「先進的林業機械緊急実証・普及事業」(全国事務局:自然産業研究所) 有限会社藤原造林 平成26年3月
トラクター及びローダークレーン付き林業用トレーラーについて
機械を効率的に活用するため
トラクターの設置場所(主索との関係)
造材機との連携作業(集材・造材・積込)
林業用トレーラーとしての可能性大(速度が速い・積載量は11t)
外部油圧ポンプ駆動式集材機について
労働負担低減等から
集材機の振動がほぼ無いに等しい
エンジンの騒音が大幅に低減された
従来型の運転とほぼ変わらない
エンジンが無いため集材機が軽量(アウトリガーを除く)
バッテリーいらずで集材機が動く
評価で明らかになった事項
平成24年度 林野庁補助事業「先進的林業機械緊急実証・普及事業」(全国事務局:自然産業研究所) 有限会社藤原造林 平成26年3月
検証評価の課題として残ったもの
集材機運転時間と木材運搬時間の組み合わせ時間の評価(集材機オペが運搬作業も行う場合)
その際の効率的な運搬距離の評価
索張り可能なスパン(動力に見合うスパン確認)
トラック運材との連携距離の評価
安全に運搬するためのトレーラー運転技術の評価
平成24年度 林野庁補助事業「先進的林業機械緊急実証・普及事業」(全国事務局:自然産業研究所) 有限会社藤原造林 平成26年3月
今後の検証を踏まえ、導入した機械を 普及機に仕上げるためのポイント
今後の検証内容について
林業用トレーラーを使用する集材機の運搬設置とその設置場所の環境と設置時間
集材機運転中のローダークレーンの作業種
距離による林業用トレーラーの運搬時間
普及機にするポイント
トラクター・トレーラーの小型化 複雑な地形の日本において、トラクター及び林業用トレーラーを2.5mの森林作業道でも使用可能機械にすることで、急峻地な地形でも木材の運搬から、集材機の設置・運搬等々に十分活用できる。また、海外のメーカーはそれに対応してくれることも確認できた。なので今後についても、微力ではあるがそうなるよう働きかけていきたい。
平成24年度 林野庁補助事業「先進的林業機械緊急実証・普及事業」(全国事務局:自然産業研究所) 有限会社藤原造林 平成26年3月
ご清聴ありがとうございました
以上、今回の取り組みのまとめになります。
今回の取り組んだ事業について、さまざまな皆様のお力添えのもと完成することができ、心より感謝いたします。
平成24年度 林野庁補助事業「先進的林業機械緊急実証・普及事業」(全国事務局:自然産業研究所) 有限会社藤原造林 平成26年3月