2
プロローグ パソコンとつなぐなら USB が最適! 4 1.パソコンと周辺機器の 接続方法いろいろ あなたのお手元にある FPGA ボードをパソコンにつ なごうとするとき,どの接続インターフェースを選択 しますか?ちょっとパソコン本体の後ろをのぞいてみ てください.様々なコネクタが並んでいると思います が,ディスプレイ用コネクタ以外で,周辺機器の接続 に使えそうなインターフェースを図1 に整理してみま した. (1)レガシー・インターフェース レガシー・インターフェースは制御方法は簡単です が,さすがに今時のパソコンにCOMポートやLPT ポートはありません. (2)PCI Expressなどの拡張スロット 性能重視で設計する場合は,このインターフェース が最も有効でしょう.しかし,拡張スロットを使うた めには,パソコン本体のカバーを開けて拡張カードを 差し込み,ねじ止めも必要になるなど,非常に手間が かかります. (3)Ethernet このインターフェースは,パソコンと接続するだけ でなく直接インターネットに接続することもできるの が特徴です.しかし,一般的な Ethernet は,ケーブル で電源を供給することができないため,電源が別途必 要になります. (4)USB とにかくてっとり早く目の前のパソコンとつなぎた い!というのであれば,やはりUSBを採用するのが 一番でしょう.パソコンとの通信はもちろん,ケーブ ル1本で電源も同時に供給できる点が非常に便利で す.通信速度は,下は1.5Mbps(ロースピード)から, 上は5Gbps(スーパースピード)まで,用途に合わせ て最適な通信速度・規格を採用できます. 以上を整理すると,やはりUSBでつなぐのが一番! となるでしょう. プロローグ 接続インターフェースはいろいろあるけど パソコンとつなぐなら USB が最適! 編集部 LPTポート COMポート デメリット: 今時のパソコンには COM ポートや LPT ポートはない! メリット:制御が簡単! aレガシー・インターフェース デメリット:LAN ケーブルで電源供給できない メリット: インターネットにも直接つながる! cEthernet 図1  パソコンと周辺機器の 接続インターフェース メリット: ・パソコンならどれでもつながる! ・ケーブル 1 本で電源も供給! 用途に合わせて通信速度が選べる(下は1.5Mbpsから上は 5Gbpsまで)スケーラビリティ高し! dUSB デメリット:なし?! PCIスロット PCI Express×16 スロット PCI Express×1 カード bPCI Expressなどの拡張スロット デメリット: ・筐体を開けるのが大変 ・小型デスクトップやノート・パソコンには拡張スロットがない メリット:高速大容量転送が可能!

プロローグ 接続インターフェースはいろいろあるけど パソコ …4 プロローグ パソコンとつなぐならUSBが最適! 1.パソコンと周辺機器の

  • Upload
    others

  • View
    3

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: プロローグ 接続インターフェースはいろいろあるけど パソコ …4 プロローグ パソコンとつなぐならUSBが最適! 1.パソコンと周辺機器の

プロローグ パソコンとつなぐならUSBが最適!4

1.パソコンと周辺機器の 接続方法いろいろ

 あなたのお手元にあるFPGAボードをパソコンにつなごうとするとき,どの接続インターフェースを選択しますか?ちょっとパソコン本体の後ろをのぞいてみてください.様々なコネクタが並んでいると思いますが,ディスプレイ用コネクタ以外で,周辺機器の接続に使えそうなインターフェースを図1に整理してみました.

(1)レガシー・インターフェース レガシー・インターフェースは制御方法は簡単ですが,さすがに今時のパソコンにCOMポートやLPTポートはありません.

(2)PCI Expressなどの拡張スロット 性能重視で設計する場合は,このインターフェースが最も有効でしょう.しかし,拡張スロットを使うためには,パソコン本体のカバーを開けて拡張カードを

差し込み,ねじ止めも必要になるなど,非常に手間がかかります.

(3)Ethernet このインターフェースは,パソコンと接続するだけでなく直接インターネットに接続することもできるのが特徴です.しかし,一般的なEthernetは,ケーブルで電源を供給することができないため,電源が別途必要になります.

(4)USB とにかくてっとり早く目の前のパソコンとつなぎたい!というのであれば,やはりUSBを採用するのが一番でしょう.パソコンとの通信はもちろん,ケーブル1本で電源も同時に供給できる点が非常に便利です.通信速度は,下は1.5Mbps(ロースピード)から,上は5Gbps(スーパースピード)まで,用途に合わせて最適な通信速度・規格を採用できます. 以上を整理すると,やはりUSBでつなぐのが一番!となるでしょう.

プロローグ 接続インターフェースはいろいろあるけど

パソコンとつなぐならUSBが最適! 編集部

LPTポート

COMポート

デメリット:今時のパソコンにはCOMポートやLPTポートはない!

メリット:制御が簡単!

(a) レガシー・インターフェース

デメリット:LANケーブルで電源供給できない

メリット:インターネットにも直接つながる!

(c) Ethernet

図1 パソコンと周辺機器の接続インターフェース

メリット:・パソコンならどれでもつながる!・ケーブル1本で電源も供給!・�用途に合わせて通信速度が選べる(下は1.5Mbpsから上は5Gbpsまで)スケーラビリティ高し!

(d) USB

デメリット:なし?!

PCIスロット

PCI Express×16スロット

PCI Express×1カード

(b) PCI Expressなどの拡張スロット

デメリット:・筐体を開けるのが大変・小型デスクトップやノート・パソコンには拡張スロットがない

メリット:高速大容量転送が可能!

Page 2: プロローグ 接続インターフェースはいろいろあるけど パソコ …4 プロローグ パソコンとつなぐならUSBが最適! 1.パソコンと周辺機器の

2.周辺機器はUSBでつなごう!  

No.2

5

も,市販されているUSB周辺機器を購入して接続したほうが安価になる場面が増えています.そこで,FPGAにUSBホスト機能を実装し,様々なUSB周辺機器を自由自在に接続する方法を解説します(写真3).● FPGAをAndroid端末から制御できる→第5章 最後に,Android端末とFPGAを接続して制御する事例を紹介します(写真4).FPGAシステムへのグラフィカル・ユーザ・インターフェース(GUI)の実装は,液晶パネルやタッチパネルなどの物理デバイスも必要でコストがかかります.これらを備えた安価な装置といえば,昨今普及しているAndroid端末を思い浮かべます.そこで,FPGAとAndroid端末をUSB経由で接続し,Android上に構築したGUIからFPGAを制御する方法があります.

2.周辺機器はUSBでつなごう! 

● USB機器を設計するときのシステム構成を理解しよう→第1章

 第1章では,USB機器を設計するときのハードウェアおよびソフトウェアも含めた,システムの構成要素について解説します.また,USBインターフェース部分を,各種方法で実現する方法などを比較し解説します.● FPGA+物理層チップでUSB 3.0接続!→第2章 第2章では,USB 3.0に対応する機器をFPGAを使って設計する事例について解説します(写真1).FPGAとUSB 3.0の間には物理層チップ(PHY)を接続し,FPGA+物理層チップという構成で400Mバイト/秒以上という高速データ転送を実現しています.● USB 3.0コントローラ+FPGAでお手軽USB 3.0

接続→第3章 FPGA+物理層チップという構成にすると,様々な部分をカスタマイズできるので柔軟なシステム構成を実現できますが,USB 3.0に対する深い理解がないと設計が難しい部分があります.そこで,USB 3.0の全ての処理をUSBコントローラに任せ,データ転送部分だけをFPGAで設計するという方法があります.第3章では,USB 3.0対応コントローラとしてEZ-USB FX3を取り上げて紹介します(写真2).● FPGAにUSB周辺機器を接続しよう!→第4章 現在,非常に多くの種類のUSB周辺機器が,安価に販売されています.FPGAボードへある機能を追加したい場合,その機能モジュールを直接接続するより

CycloneIVUSB 3.0マイクロBコネクタ

物理層チップ

写真1 Cyclone IV搭載USB 3.0開発キットによるUSBターゲット機器設計(第2章)

Artix-7DDR3 SDRAM

EZ-USB FX3 USB 3.0標準Bコネクタ

写真2 Artix-7&EZ-USB FX3搭載USB 3.0評価ボードによるUSBターゲット機器設計(第3章)

MicroBoard+MicroBoard 拡張ボード

USBマウス USBメモリ

USBキーボード

セルフ・パワーUSBハブ

写真3 Spartan-6搭載MicroBoard+MicroBoard拡張ボードによるUSBホスト設計(第4章)

USB接続

Android端末 FTDIチップ

クセグメントLEDを制御している

DE0-nano

写真4 Android端末にDE0-nanoをつないで制御(第5章)

特集 USB

3.0×FPGA

1

2

3

5

4

プロローグ