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低カルシウム血症/顎骨壊死
ランマークの適正使用について多発性骨髄腫による骨病変及び固形癌骨転移による骨病変
本冊子では、ランマークを適正に使用していただくため、本剤の副作用である低カルシウム血症及び顎骨壊死の発現状況や発現時期、投与前・投与中に注意すべき事項等について解説しています。本剤の使用に際しては、本冊子を熟読いただき、十分に注意をしていただきますようお願い致します。
低カルシウム血症については、以下にご注意くださいますようお願い致します。・ 投与前及び投与後頻回に血清カルシウムを測定してください。・ カルシウム及びビタミンDの経口補充のもとに本剤を投与してください。・ 重度の腎機能障害患者では低カルシウム血症を起こすおそれが高いため、慎重に投与してください。・ 低カルシウム血症が認められた場合には、カルシウム及びビタミンDの経口投与に加えて、緊急を要する場合には、カルシウムの点滴投与を併用するなど、適切な処置を速やかに行ってください。
日本標準商品分類番号 873999
A0002013年00月印刷
RMK000ヘRMK1L00006-0PI
提携製造販売元(資料請求先)
2019年6月改訂RMK7RM0106
☆�本剤の添付文書については、PMDAホームページ「医薬品に関する情報」(http://www.pmda.go.jp/safety/info-services/drugs/0001.html)�及び弊社ホームページ(https://www.medicallibrary-dsc.info)に掲載しておりますので、ご参照いただきますようお願い申し上げます。
本剤の添付文書は、こちらからご参照ください。
〈製品情報お問い合わせ先〉第一三共株式会社 製品情報センターTEL:0120-189-132
0120-065-132(がん・医療用麻薬専用)〔受付時間�月~金�9:00~17:30(土、日、祝日、当社休日を除く)〕
2 3
ランマーク(一般名:デノスマブ)は、RANKLを標的とするヒト型IgG2モノクローナル抗体製剤です。RANKLは、破骨細胞及び破骨細胞前駆細胞表面のRANKに結合する破骨細胞の形成、機能、生存に必須のメディエーターです。ランマークはRANKLを特異的に阻害し、破骨細胞による骨吸収を抑制します。
ランマークの3つの第Ⅲ相臨床試験結果から、骨転移を有する進行がん患者における安全性とSRE(skeletal related event:骨関連事象)発現抑制に対する有効性が確認されましたが、低カルシウム血症及び顎骨壊死が認められ、その発現率は5.8%
(165/2,841例)及び1.8%(52/2,841例)でした。
本冊子は、ランマークの低カルシウム血症及び顎骨壊死の発現状況と、投与の際の注意を示しています。日常診療の場において、ランマーク投与による治療の参考としてご活用いただければ幸いに存じます。
はじめに
監修:徳島大学藤井節郎記念医科学センター顧問
松本 俊夫先生大阪大学大学院歯学研究科口腔分子免疫制御学講座 生化学教室 特任教授
米田 俊之先生
はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2効能又は効果、用法及び用量 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3使用上の注意 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
低カルシウム血症 ランマーク投与に際しての注意 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 低カルシウム血症について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12 長期使用に関する特定使用成績調査における低カルシウム血症の発現状況 ・・・・・・・・・ 13 主な症例の概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19 Q&A ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20 低カルシウム血症への対策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21 [コラム]体内のカルシウム代謝調節 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22
顎骨壊死 ランマーク投与に際しての注意 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 24 顎骨壊死への対策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 29 顎骨壊死について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30
ランマーク投与に際してのチェックポイント ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 32
その他 治療中止後の多発性椎体骨折 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33
目次
4. 効能又は効果○ 多発性骨髄腫による骨病変及び固形癌骨転移による骨病変○ 骨巨細胞腫
5. 効能又は効果に関連する注意〈骨巨細胞腫〉5.1 骨端線閉鎖を伴わない骨格が未成熟な患者に対する本剤の有効性及び安全性は確立していない。[9.7.1、9.7.2、
17.1.4、17.1.5 参照]5.2 患者の年齢、体重等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上
で、適応患者の選択を行うこと。[17.1.4、17.1.5 参照]
6. 用法及び用量〈多発性骨髄腫による骨病変及び固形癌骨転移による骨病変〉通常、成人にはデノスマブ(遺伝子組換え)として120mgを4週間に1回、皮下投与する。
〈骨巨細胞腫〉通常、デノスマブ(遺伝子組換え)として120mgを第1日、第8日、第15日、第29日、その後は4週間に1回、皮下投与する。
7. 用法及び用量に関連する注意7.1 本剤によるグレード3又は4の副作用が発現した場合、グレード1以下に回復するまで休薬を考慮すること(グレードは
CTCAEに準じる)。7.2 本剤による重篤な低カルシウム血症の発現を軽減するため、血清補正カルシウム値が高値でない限り、毎日少なくとも
カルシウムとして500mg(骨巨細胞腫の場合は600mg)及び天然型ビタミンDとして400IUの投与を行うこと。ただし、腎機能障害患者では、ビタミンDの活性化が障害されているため、腎機能障害の程度に応じ、ビタミンDについては活性型ビタミンDを使用するとともに、カルシウムについては投与の必要性を判断し、投与量を適宜調整すること。
[1.1、17.1.1-17.1.5 参照]
効能又は効果、用法及び用量
4 5
ランマーク投与に際しての注意低カルシウム血症
1. 警告〈効能共通〉1.1 本剤の治療開始後数日から、重篤な低カルシウム血症があらわれることがあり、死亡に至った例が報告されている。本
剤の投与に際しては、頻回に血液検査を行い、観察を十分に行うこと。本剤による重篤な低カルシウム血症の発現を軽減するため、血清補正カルシウム値が高値でない限り、カルシウム及びビタミンDの経口補充のもとに本剤を投与すること。[7.2 参照]
1.2 重度の腎機能障害患者では低カルシウム血症を起こすおそれが高いため、慎重に投与すること。[9.2.1 参照]1.3 本剤投与後に低カルシウム血症が認められた場合には、カルシウム及びビタミンDの経口投与に加えて、緊急を要する
場合には、カルシウムの点滴投与を併用するなど、適切な処置を速やかに行うこと。[11.1.1 参照]〈骨巨細胞腫〉1.4 本剤の投与は、緊急時に十分対応できる医療施設において、骨巨細胞腫の診断及び治療に十分な知識・経験を持つ医
師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ行うこと。
2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者2.2 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5 参照]
8. 重要な基本的注意〈効能共通〉8.1 本剤はプラリアと同一成分(デノスマブ)を含むため、本剤投与中の患者にはプラリアの投与を避けること。8.2 低カルシウム血症があらわれることがあるので、本剤投与開始前に、血清カルシウム、リン等の血清電解質濃度を測定
すること。血清補正カルシウム値を確認し、低カルシウム血症が認められた場合には、低カルシウム血症を是正した後に、本剤の投与を開始すること。[9.1.1、11.1.1 参照]
8.3 治療開始後数日から、低カルシウム血症があらわれることがある。本剤投与後は、患者の状態に注意し、頻回に血清カルシウム、リン等の血清電解質濃度を測定すること。[11.1.1 参照]
8.4 顎骨壊死・顎骨骨髄炎があらわれることがあり、本剤の長期投与により顎骨壊死の発現率の増加が認められている。報告された症例の多くが抜歯等の顎骨に対する侵襲的な歯科処置や局所感染に関連して発現している。リスク因子としては、悪性腫瘍、化学療法、血管新生阻害薬、コルチコステロイド治療、放射線療法、口腔の不衛生、歯科処置の既往等が知られている。本剤の投与開始前は口腔内の管理状態を確認し、必要に応じて、患者に対し適切な歯科検査を受け、侵襲的な歯科処置をできる限り済ませておくよう指導すること。本剤投与中に歯科処置が必要になった場合には、できる限り非侵襲的な歯科処置を受けるよう指導すること。また、口腔内を清潔に保つこと、定期的な歯科検査を受けること、歯科受診時に本剤の使用を歯科医師に告知して侵襲的な歯科処置はできる限り避けることなどを患者に十分説明し、異常が認められた場合には、直ちに歯科・口腔外科を受診するように指導すること。[11.1.2 参照]
8.5 本剤又はビスホスホネート系薬剤を長期使用している患者において、非外傷性の大腿骨転子下及び近位大腿骨骨幹部の非定型骨折が発現したとの報告がある。これらの報告では、完全骨折が起こる数週間から数ヵ月前に大腿部や鼠径部等において前駆痛が認められている報告もあることから、本剤の投与開始後にこのような症状が認められた場合には、X線検査等を行い、適切な処置を行うこと。また、両側性の骨折が生じる可能性があることから、片側で非定型骨折が起きた場合には、反対側の大腿骨の症状等を確認し、X線検査を行うなど、慎重に観察すること。X線検査時には骨皮質の肥厚等、特徴的な画像所見がみられており、そのような場合には適切な処置を行うこと。[11.1.4 参照]
〈多発性骨髄腫による骨病変及び固形癌骨転移による骨病変〉8.6 本剤の投与は、がん治療に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ
行うこと。
9. 特定の背景を有する患者に関する注意(抜粋)9.1 合併症・既往歴等のある患者9.1.1 低カルシウム血症の患者又は低カルシウム血症を起こすおそれのある患者
低カルシウム血症が発現又は増悪するおそれがある。[8.2 参照]9.1.2 肺転移を有する骨巨細胞腫患者
気胸が発現するおそれがある。9.2 腎機能障害患者9.2.1 重度の腎機能障害のある患者
低カルシウム血症を起こすおそれがある。本剤の第Ⅲ相臨床試験では、クレアチニンクリアランス値が30mL/min未満の重度腎疾患患者及び透析の必要な末期腎不全患者は対象から除外されている。[1.2、17.3.1 参照]
詳細につきましては本剤の添付文書をご参照ください。
使用上の注意
・ 国内において、低カルシウム血症との関連性を否定できない死亡例が報告されています。
・ 低カルシウム血症は、初回投与後数日から発現しました。・ 本剤投与前及び投与後頻回に、血清補正カルシウム値を確認してください。・ 低カルシウム血症が認められた場合は、低カルシウム血症が是正されるまで本剤の投
与を控えてください。
ランマークの国内販売開始後(2012年4月17日〜2017年9月26日)に報告された、低カルシウム血症の副作用は1,506例1,639件*1(低カルシウム血症 : 1,375例1,508件、血中カルシウム減少 : 127例127件、補正カルシウム減少 : 4例4件、調査中の症例を含む)でした。このうち重篤副作用は229例231件であり、低カルシウム血症との関連性を否定できない死亡例は2例でした。*1 情報源 : 自発報告[文献情報含む]及び特定使用成績調査からの情報で詳細情報調査中のデータを含む
特定使用成績調査における低カルシウム血症発現までの投与回数と日数について長期使用に関する特定使用成績調査の中間集計*2の安全性解析対象3,021例のうち、低カルシウム血症(血中カルシウム低下)は426例(14.10%)に認められました。ランマーク投与による低カルシウム血症の多くは、重症度を問わず初回投与以降2回目投与当日までに認められました。一方、2回目投与以降にも低カルシウム血症が認められ、その多くはグレード2以下でしたが、グレード3又は4の低カルシウム血症も認められました。*2 中間集計 : 2016年3月26日までに再調査が完了し、固定した3,021例の6ヵ月調査票を対象に集計
●低カルシウム血症発現までの投与回数と重症度(調査担当医判定グレード)
300
250
200
150
100
50
0
(例)
1回目投与後(279例)
2回目投与後(61例)
3回目投与後(33例)
4回目投与後(23例)
5回目投与後(17例)
6回目投与後(12例)
7回目投与後(1例)
1
グレード 4 欠測グレード 3グレード 2グレード 1
1119
117
131
38
16
18 1412
欠測1例
グレード3(1例)グレード1(1例)
グレード4(1例)グレード2(1例)
グレード4(3例)グレード3(4例)
89 10
グレード3(3例)グレード3(4例)グレード2(4例)
症例数
(多発性骨髄腫患者及び固形癌骨転移患者を対象とした長期使用に関する特定使用成績調査 中間集計)
6 7
初回投与以降2回目投与当日までに、低カルシウム血症(血中カルシウム低下)を発現した279例の発現までの日数は以下のとおりでした。
●低カルシウム血症発現までの日数(n=279)*1
45
40
35
30
25
20
15
10
5
0
(例)
1 2 4 63 5 7 8 9 1112 14 16 18 20 2210 13 15 17 19 21 2324 26 28 3025 27 29 3132 3433 3536
発現までの日数
症例数
グレード 4 欠測グレード 3グレード 2グレード 1
6週目(37〜43)
7週目(44〜50)
8週目(51〜57)
9週目(58〜64)
10週以降(65〜82)
カルシウム・ビタミンD補充 発現までの日数 最低値までの日数 8.5mg/dLを下回るまでの日数*2
全体 11日(7, 29)n=261
27日(10, 46)n=256
14日(8, 29)n=219
無 14日(7, 24)n=71
21日(10, 36)n=68
15日(8, 23)n=56
有 11日(7, 29)n=190
29日(10, 53)n=188
13日(7, 29)n=163
補充有のうちデノタス又はカルシチュウで補充された症例
11日(7, 29)n=82
21日(8, 38)n=95
11.5日(7, 29)n=82
中央値(IQR)*1 副作用として報告された低カルシウム血症(血中カルシウム低下)426例のうち、1回目投与後2回目投与当日までに発現した279例を対象とした*2 アルブミン補正カルシウム値(血清アルブミン値が欠測例では血清カルシウム値)が8.5mg/dLを下回らなかった症例は集計から除外した
(多発性骨髄腫患者及び固形癌骨転移患者を対象とした長期使用に関する特定使用成績調査 中間集計)
ランマーク投与に際しての注意低カルシウム血症
ランマーク群における低カルシウム血症の発現率は、ゾレドロン酸群における発現率と比較して高率でした。
第Ⅲ相臨床試験における低カルシウム血症の発現状況第Ⅲ相臨床試験[骨転移を有する進行乳癌患者対象試験(日本が参加した国際共同試験)、骨転移を有するホルモン不応性(去勢抵抗性)前立腺癌患者対象試験(外国臨床試験)及び多発性骨髄腫又は骨転移を有する進行固形癌(乳癌及び前立腺癌を除く)患者対象試験(外国臨床試験)]において、低カルシウム血症の副作用の発現率は5.8%
(165/2,841例)であり、このうち重篤副作用の発現率は1.1% (30/2,841例)でした。(承認時)なお、ベースラインのクレアチニンクリアランス値が30mL/min未満の重度腎疾患患者及び透析の必要な末期腎不全患者は対象から除外していました。
●第Ⅲ相臨床試験 低カルシウム血症の有害事象、副作用*1別の発現率
進行乳癌患者対象試験
ホルモン不応性前立腺癌患者
対象試験
多発性骨髄腫又は進行固形癌患者
対象試験3試験合計
ランマーク群120mg Q4W
ゾレドロン酸群4mg Q4W
ランマーク群120mg Q4W
ゾレドロン酸群4mg Q4W
ランマーク群120mg Q4W
ゾレドロン酸群4mg Q4W
ランマーク群120mg Q4W
ゾレドロン酸群4mg Q4W
有害事象の発現率
(発現症例/ 総症例*2)
5.6%(57/1,020)
3.5%(35/1,013)
12.8%(121/943)
5.8%(55/945)
10.8%(95/878)
5.8%(51/878)
9.6%(273/2,841)
5.0%(141/2,836)
副作用*3の発現率
(発現症例/ 総症例*2)
2.9%(30/1,020)
1.9%(19/1,013)
7.6%(72/943)
3.4%(32/945)
7.2%(63/878)
3.3%(29/878)
5.8%(165/2,841)
2.8%(80/2,836)
*1 低カルシウム血症の有害事象/副作用として、ICH国際医薬用語集日本語版(MedDRA/J ver.12.1)の4つの基本語(PT)(低カルシウム血症、血中カルシウム減少、カルシウム欠乏、カルシウムイオン減少)について評価を行った
*2 本試験における組み入れ症例のうち、安全性解析対象症例を分母とした*3 有害事象のうち、本剤との因果関係を否定できないもの
また、骨転移を有する進行乳癌患者対象試験における日本人患者では、低カルシウム血症の副作用の発現率は4.3%(3/69例)であり、このうち重篤副作用の発現率は1.4%(1/69例)でした。
承認時評価資料(臨床的安全性の概要)
未治療の多発性骨髄腫患者を対象とした第Ⅲ相臨床試験(日本が参加した国際共同試験)において、低カルシウム血症の副作用の発現率は、7.3%(63/850例)でした。なお、ベースラインのクレアチニンクリアランス値が30mL/min未満の重度腎疾患患者及び透析の必要な末期腎不全患者は対象から除外していました。
●第Ⅲ相臨床試験(多発性骨髄腫患者対象) 低カルシウム血症の有害事象、副作用*4別の発現率ランマーク群
120mg Q4Wゾレドロン酸群4mg Q4W
有害事象の発現率(発現症例/総症例*5)
16.9%(114/850)
12.4%(106/852)
副作用*6の発現率(発現症例/総症例*5)
7.3%(63/850)
4.2%(37/852)
*4 低カルシウム血症の有害事象として、ICH国際医薬用語集日本語版(MedDRA/J ver.19.0)の3つの基本語(PT)(低カルシウム血症、血中カルシウム減少、カルシウムイオン減少)について評価を行った
*5 本試験における組み入れ症例のうち、安全性解析対象症例を分母とした*6 有害事象のうち、本剤との因果関係を否定できないもの
社内資料
8 9
・ カルシウム又はビタミンDの補充を受けた患者では、低カルシウム血症の発現率が低く、程度も軽度でした。
・ 本剤による重篤な低カルシウム血症の発現を軽減するため、血清補正カルシウム値が高値でない限り、毎日少なくともカルシウムとして500mg及び天然型ビタミンDとして400IUの投与を行ってください。
第Ⅲ相臨床試験におけるカルシウム又はビタミンD補充の有無による低カルシウム血症の発現状況
ランマークの3つの第Ⅲ相臨床試験において、試験期間中にカルシウム又はビタミンDの補充を受けた患者の低カルシウム血症の有害事象の発現率は、補充を受けなかった患者の発現率と比較して低率でした。
●第Ⅲ相臨床試験 経口カルシウム又は経口ビタミンD補充の有無別による低カルシウム血症の発現状況
発現率(発現症例/総症例)
経口カルシウム又は経口ビタミンDの補充を受けた患者*1
経口カルシウム又は経口ビタミンDの補充を受けなかった患者*2
ランマーク群 ゾレドロン酸群 ランマーク群 ゾレドロン酸群
全グレード 8.7%(213/2,461)
4.6%(111/2,418)
15.8%(60/380)
7.2%(30/418)
グレード 1 2.4%(59/2,461)
1.8%(44/2,418)
7.1%(27/380)
3.3%(14/418)
グレード 2 3.8%(94/2,461)
1.4%(35/2,418)
6.1%(23/380)
2.9%(12/418)
グレード 3 1.8%(44/2,461)
1.1%(27/2,418)
1.8%(7/380)
0.7%(3/418)
グレード 4 0.7%(16/2,461)
0.2%(5/2,418)
0.8%(3/380)
0.2%(1/418)
*1 試験期間中のいずれかの時期に経口カルシウム又は経口ビタミンDの投与を受けた患者、ただし初回の低カルシウム血症発現以降にのみ経口カルシウム又は経口ビタミンDの投与を受けた患者を除く
*2 経口カルシウム又は経口ビタミンDの投与を一度も受けなかった患者又は初回の低カルシウム血症発現以降にのみ経口カルシウム又は経口ビタミンDの投与を受けた患者
Body JJ. et al.: Eur J Cancer. 51(13), 1812-1821, 2015
ランマークの第Ⅲ相臨床試験では、カルシウム剤及びビタミンD剤の補充を強く推奨しました。ランマークの3つの第Ⅲ相臨床試験では、高カルシウム血症*3の発現が確認されない限り、500mg以上のカルシウム剤及び400IU以上の天然型ビタミンD剤を連日補充することを強く推奨しました。骨転移を有する進行乳癌患者対象試験(日本が参加した国際共同試験)における日本人患者に対しては、全試験期間を通じ、新カルシチュウD3(一般用医薬品)*4が全症例に使用されました。
*3 血清補正カルシウム値>2.9mmol/L 又は >11.5mg/dL、あるいはカルシウムイオン値>1.5mmol/L*4 本剤と有効成分が同等の医療用医薬品:デノタスチュアブル配合錠については以下のとおりである
有効成分(1錠中): 沈降炭酸カルシウム(日局)762.5mg(カルシウムとして305mg)、コレカルシフェロール(日局)0.005mg(200IU)、炭酸マグネシウム(日局)59.2mg(マグネシウムとして15mg)を含む
効能・効果:RANKL阻害剤(デノスマブ(遺伝子組換え)等)投与に伴う低カルシウム血症の治療及び予防用法・用量:通常、1日1回2錠を経口投与する。なお、患者の状態又は臨床検査値に応じて適宜増減する。<用法・用量に関連する使用上の注意(抜粋)>2. 多発性骨髄腫による骨病変及び固形癌骨転移による骨病変におけるデノスマブ(遺伝子組換え)投与時の重篤な低カルシウム血症の発現を軽減するため
本剤を投与する場合は、毎日少なくとも1日1回2錠投与すること。
特定使用成績調査*1におけるカルシウム又はビタミンD補充の有無による低カルシウム血症の発現状況
長期使用に関する特定使用成績調査の中間集計*1において、ランマーク投与期間中にカルシウム又はビタミンDを補充した例では、補充をしていない例と比較して低カルシウム血症の発現率が低率でした。
*1 中間集計 : 2016年3月26日までに再調査が完了し、固定した3,021例の6ヵ月調査票を対象に集計
● 長期使用に関する特定使用成績調査 カルシウム又はビタミンD補充の有無*2別による低カルシウム血症発現状況
投与期間中のカルシウム・ビタミンD経口補充の有無
無
全グレード
グレード 3以上
無
有
有
[95%信頼区間*3]
[17.27, 26.36]
[11.92, 14.51]
[1.00, 1.94]
[1.04, 4.66]
0 5 25(%)
201510
72/334(21.56%)
354/2,687(13.17%)
8/334(2.40%)
38/2,687(1.41%)
*2 低カルシウム血症発現前までに何らかの経口カルシウム又は経口ビタミンDの補充が開始された症例を有として集計*3 Clopper-Pearson法
(多発性骨髄腫患者及び固形癌骨転移患者を対象とした長期使用に関する特定使用成績調査 中間集計)
ランマーク投与に際しての注意低カルシウム血症
10 11
・ 重度の腎機能障害患者では、低カルシウム血症を起こすおそれが高いため、慎重に投与してください。
・ 腎機能障害患者では、ビタミンDの活性化が障害されているため、腎機能障害の程度に応じ、ビタミンDについては活性型ビタミンDを使用するとともに、カルシウムについては投与の必要性を判断し、投与量を適宜調整してください。
腎機能障害患者における低カルシウム血症の発現状況重度の腎機能障害のある患者や透析を受けている末期腎不全患者では、カルシウムの尿からの再吸収機能及び腸管での吸収機能が低下している可能性があり、低カルシウム血症の発現率が高くなるおそれがあるため、本剤投与時はカルシウム及びビタミンDを補充するとともに、十分にモニタリングをしてください。(Q&A Q1 参照)本剤の第Ⅲ相臨床試験では、クレアチニンクリアランス値が30mL/min未満の重度腎疾患患者及び透析の必要な末期腎不全患者は対象から除外されており、本剤の使用経験は限られています。
●腎機能の程度が異なる被験者を対象とした薬物動態試験*1 低カルシウム血症の有害事象*2の発現状況
腎機能の程度*3
正常 軽度腎疾患 中等度腎疾患 重度腎疾患 透析の必要な末期腎不全
発現率(発現症例/総症例)
0%(0/12)
15%(2/13)
23%(3/13)
33%(3/9)
25%(2/8)
*1 デノスマブ60mgを単回皮下投与した(ランマークの承認された用量は、120mgである)本試験では、カルシウム及びビタミンDの補充については、試験途中にプロトコールを変更し、試験期間中、全ての腎機能障害患者にカルシウム(1,000mg)及び天然型ビタミンD(800IU)を毎日補充することと規定したただし実際に、腎機能障害患者に本剤を投与する際は、腎機能障害の程度に応じ、ビタミンDについては活性型ビタミンDを使用するとともに、カルシウムについては投与の必要性を判断し、投与量を適宜調整すること(Q&A Q1 参照)
*2 低カルシウム血症の有害事象として、ICH国際医薬用語集日本語版(MedDRA/J ver.12.1)の4つの基本語(PT)(低カルシウム血症、血中カルシウム減少、カルシウム欠乏、カルシウムイオン減少)について評価を行った
*3 軽度腎疾患:クレアチニンクリアランス(CCr)50〜80mL/min、中等度腎疾患:CCr30〜49mL/min、重度腎疾患:CCr30mL/min未満
Block G. A. et al.:J Bone Miner Res. 27(7), 1471-1479, 2012社内資料:腎機能の程度が異なる被験者を対象とした薬物動態試験における低カルシウム血症の発現状況
● 重度腎疾患患者及び透析の必要な末期腎不全患者を対象とした外国第Ⅰ相臨床試験*4 低カルシウム血症の有害事象*5
の発現状況
重度腎疾患*6 透析の必要な末期腎不全
発現率(発現症例/総症例)
18.8%(3/16)
62.5%(10/16)
血清補正カルシウム値7.0mg/dL未満[1.75mmol/未満]又は症候性の低カルシウム血症の発現率
(発現症例/総症例)
6.3%(1/16)
12.5%(2/16)
*4 デノスマブ120mgをday1、day29に皮下投与した本試験では、カルシウム及びビタミンDの補充については、試験期間中、全ての患者にカルシウム(1,000mg)及び天然型ビタミンD(800IU)を毎日補充することと規定し、透析の必要な末期腎不全患者においては、血清補正カルシウム値に応じて補充量を調整し、既に活性型ビタミンDを補充している患者は引き続き活性型ビタミンDを補充したただし実際に、腎機能障害患者に本剤を投与する際は、腎機能障害の程度に応じ、ビタミンDについては活性型ビタミンDを使用するとともに、カルシウムについては投与の必要性を判断し、投与量を適宜調整すること(Q&A Q1 参照)
*5 低カルシウム血症の有害事象として、ICH国際医薬用語集日本語版(MedDRA/J ver.15.0)の2つの基本語(PT)(低カルシウム血症、血中カルシウム減少)について評価を行った
*6 重度腎疾患:CCr30mL/min未満
社内資料:重度腎疾患患者及び透析の必要な末期腎不全患者を対象とした第Ⅰ相臨床試験結果
長期使用に関する特定使用成績調査の中間集計*1において、腎機能別での低カルシウム血症発現率に明らかな差は認められませんでしたが、腎機能低下例で発現率が高くなる傾向が示唆されました。また、腎機能低下患者
(CCr<30mL/min)で活性型ビタミンDを使用しなかった患者における低カルシウム血症の発現率は21.79%(17/78例)でした。
*1 中間集計 : 2016年3月26日までに再調査が完了し、固定した3,021例の6ヵ月調査票を対象に集計
●長期使用に関する特定使用成績調査 投与前クレアチニンクリアランス値*2別による低カルシウム血症の発現率
投与前クレアチニンクリアランス値(mL/min)
CCr<30
30≦CCr<60
60≦CCr<90
90≦CCr
欠測
[95%信頼区間*3]
[12.47, 25.59]
[13.83, 19.05]
[11.93, 16.32]
[10.88, 16.13]
0 30(%)
2010
27/147(18.37%)
132/809(16.32%)
141/1,006(14.02%)
91/682(13.34%)
35/377(9.28%)
*2 Cockcroft-Gault式により算出*3 Clopper-Pearson法 (多発性骨髄腫患者及び固形癌骨転移患者を対象とした長期使用に関する特定使用成績調査 中間集計)
● 長期使用に関する特定使用成績調査 腎機能の程度が異なる患者を対象とした活性型ビタミンD補充有無別の低カルシウム血症の発現率
発現例数投与前CCr(mL/min)*5 活性型VD製剤 デノタス*6
Ca製剤・VD製剤投与の有無と種類
10/69
16/58
1/20
51/353
58/372
22/83
51/402
68/496
22/106
31/257
43/352
17/71
①
②
③
○
×
×
×
○
×
①
②
③
○
×
×
×
○
×
①
②
③
○
×
×
×
○
×
①
②
③
○
×
×
×
○
×
CCr<30(147例)
30≦CCr<60(809例)
60≦CCr<90(1006例)
90≦CCr(682例)
[7.17, 25.04]
[16.66, 40.90]
[0.13, 24.87]
[10.95, 18.55]
[12.06, 19.68]
[17.42, 37.34]
[9.59, 16.34]
[10.81, 17.05]
[13.49, 29.72]
[8.34, 16.68]
[8.98, 16.10]
[14.61, 35.54]
発現例数426/3021 [12.88, 15.39]
0 10 20 30 40 50[95%信頼区間*4]全体
項 目(%)
0 10 20 30 40 50[95%信頼区間*4](%)
14.10%
14.49%
5.00%
14.45%
15.59%
26.51%
12.69%
13.71%
20.75%
12.06%
12.22%
23.94%
27.59%
*4 Clopper-Pearson法*5 Cockcroft-Gault式により算出*6 デノタスチュアブル配合錠、又は新カルシチュウD3
Ca製剤・VD製剤投与の有無と種類①低カルシウム血症発現までに、Ca製剤と活性型VD製剤の併用、又は活性型VD製剤単独投与を開始した症例②低カルシウム血症発現までに、Ca製剤単独、又は新カルシチュウD3の投与を開始した症例③低カルシウム血症発現までに、Ca製剤、活性型VD製剤、新カルシチュウD3のいずれも投与開始されなかった症例
(多発性骨髄腫患者及び固形癌骨転移患者を対象とした長期使用に関する特定使用成績調査 中間集計)
ランマーク投与に際しての注意低カルシウム血症
12 13
低カルシウム血症が認められた場合には、カルシウム及びビタミンDの経口投与に加えて、緊急を要する場合には、カルシウムの点滴投与を併用するなど、適切な処置を速やかに行ってください。
臨床的特徴低カルシウム血症はしばしば無症候性です。臨床症状があらわれる場合、背部及び下肢の筋肉の痙攣が一般的にみられます。重度低カルシウム血症では、テタニー、喉頭痙攣、全身性痙攣、不整脈を引き起こす場合があります。テタニーは、口唇、舌、手指、足の感覚異常からなる感覚症状、遷延し有痛性の場合もある手足の痙攣、全身性の筋肉痛、及び顔面筋の痙攣を特徴とします。慢性低カルシウム血症では、乾燥した鱗状の皮膚、割れやすい爪、硬い毛髪など、その他多数の異常が認められます。
診断基準血清カルシウム値が8.5mg/dL未満の場合を低カルシウム血症と診断します。低カルシウム血症の原因には、副甲状腺機能低下症、ビタミンD作用低下症、及び腎不全等があります。 血清カルシウム値は、低アルブミン血症などがあると、カルシウム代謝に異常がなくても低値となるため、見かけ上、低カルシウム血症を示すことになります。そのため、血清カルシウムの測定時に血清アルブミン値が4.0g/dLを下回っている場合には、血清カルシウム値を以下の式により補正する必要があります。
補正カルシウム値(mg/dL)=血清カルシウム値(mg/dL)+4-血清アルブミン値(g/dL)
なお、低カルシウム血症のCTCAEグレード分類は以下のとおりです。
グレード分類(CTCAE v5.0)
グレード 1 グレード 2 グレード 3 グレード 4
低カルシウム血症
補正血清カルシウム<LLN〜8.0mg/dL;<LLN〜2.0mmol/L;イオン化カルシウム<LLN〜1.0mmol/L
補正血清カルシウム<8.0〜7.0mg/dL;<2.0〜1.75mmol/L;イオン化カルシウム<1.0〜0.9mmol/L;症状がある
補正血清カルシウム<7.0〜6.0mg/dL;<1.75〜1.5mmol/L;イオン化カルシウム<0.9〜0.8mmol/L;入院を要する
補正血清カルシウム<6.0mg/dL;<1.5mmol/L;イオン化カルシウム<0.8mmol/L;生命を脅かす
LLN:(施設)基準値下限
厚生労働省難治性疾患克服研究事業 ホルモン受容機構異常に関する調査研究報告書CTCAE v5.0-JCOG 2018年11月6日版(抜粋)
低カルシウム血症について
低カルシウム血症について低カルシウム血症
長期使用に関する特定使用成績調査の中間集計*1の安全性解析対象3,021例のうち、低カルシウム血症(血中カルシウム低下)は426例(14.10%)に認められました。
*1 中間集計 : 2016年3月26日までに再調査が完了し、固定した3,021例の6ヵ月調査票を対象に集計
CTCAEグレード別 低カルシウム血症発現率● 調査担当医判定グレード及び補正カルシウム値に基づくグレード別 低カルシウム血症発現率
N=3,021
CTCAE グレード*2
計(グレード 1以上)0
n(%)1
n(%)2
n(%)3
n(%)4
n(%)5
n(%)欠測
n(%)
調査担当医判定グレード - 221
(7.32)158
(5.23)31
(1.03)15
(0.50) 0 1(0.03)
425(14.07)
【参考】アルブミン補正カルシウム値に
基づく判定*3
54(1.79)
163(5.40)
160(5.30)
34(1.13)
15(0.50) 0 0 372
(12.31)
*2 低カルシウム血症が複数回発現した症例のCTCAE グレードは初発のグレードを用いた*3 アルブミン補正カルシウム値が算出できない場合、血清カルシウム値を用いてグレードを判定した。なお、本調査では施設正常値下限の情報を収集していな
いため、正常値下限を8.5mg/dLと定義し集計を行った(多発性骨髄腫患者及び固形癌骨転移患者を対象とした長期使用に関する特定使用成績調査 中間集計)
低カルシウム血症の発現率に関する部分集団解析低カルシウム血症の発現率について患者背景別の要因分析を次頁に示します。なお、次の背景(要因)を有する患者では、低カルシウム血症の発現率が高い傾向*4が示唆されました。①性別:男性>女性②年齢:65歳以上>65歳未満③癌種:前立腺癌、肺癌、多発性骨髄腫>乳癌④入院・外来:入院患者>外来患者⑤PS:1以上>0⑥骨病変の部位数:3以上>1⑦骨関連事象既往歴:有>無⑧その他の合併症:有>無⑨ビスホスホネート製剤の使用歴:無>有⑩ビスホスホネート製剤による低カルシウム血症の既往:有>無⑪初回低カルシウム血症発現前の血清カルシウムの検査頻度(検査回数/投与回数):1回以上2回未満又は2回以上3回未
満>1回未満⑫本剤投与前の臨床検査値(カルシウム、補正カルシウム、総蛋白、アルブミン):中央値未満>中央値以上⑬本剤投与前の臨床検査値(ALP):中央値以上>中央値未満⑭本剤投与期間中のカルシウム製剤・ビタミンD製剤の併用:無>有⑮本剤投与期間中のカルシウム製剤の併用:無>有⑯本剤投与開始時のPPIの併用:有>無
*4 発現率の95%信頼区間が重ならなかったことによる
長期使用に関する特定使用成績調査における低カルシウム血症の発現状況低カルシウム血症
14 15
● 低カルシウム血症の発現率に関する部分集団解析
[95%信頼区間*1]項 目 発現例数全体
性別 男426/3,021253/1,475173/1,546女
年齢 65歳未満 141/1,185285/1,83665歳以上
癌種
PS
入院・外来
薬剤アレルギー歴
喫煙習慣
飲酒習慣
飲酒頻度
骨病変
乳癌前立腺癌
多発性骨髄腫肺癌
小細胞肺癌非小細胞肺癌その他
103/1,180138/84832/148109/53015/4294/48844/318
55kg未満 55kg以上体重(中央値区分)
無有012≧3
012≧3
吸っていない現在吸っている飲まない飲む
無有
無有無有無有
1日未満/週1-2日/週 3-4日/週ほぼ毎日/週
長骨椎骨骨盤肋骨その他溶骨性造骨性混合性不明
193/1,249140/88545/38166/589
1/13102/1,09390/676233/1,239
161/843368/2,316289/1,700242/1,45896/575
1/13425/3,008
入院外来
199/1,325204/1,408183/782243/2,239372/2,67237/179
291/1,93434/178219/1,37380/47915/10711/959/7240/228
119/1,441175/1,00173/32159/255
0 10 20 30 40
骨病変の部位*2
骨転移以外の転移巣
骨関連事象の既往歴
その他の合併症詳細*2
その他の合併症
骨病変の部位数
骨病変の型*2
腎機能障害
腎疾患の程度(透析の有無)
腎疾患の程度(クレアチニンクリアランス*3
(mL/min))
132/1,121289/1,877268/2,113156/901150/1,323272/1,671
41/2049/6430/18222/131101/6316/3024/125222/1,312
腎疾患原発癌と関連のない他の癌
心疾患肝疾患
内分泌・代謝性疾患免疫疾患歯科疾患その他の疾患
無有無有
383/2,80243/219422/3,0104/11
CCr<3030≦CCr<6060≦CCr<9090≦CCr
27/147132/809141/1,00691/682
[12.88, 15.39]14.10%
11.19%11.90%
21.62%20.57%
19.26%
10.85%
11.58%12.50%
19.10%
11.81%
9.33%
11.78%
12.68%
11.34%
20.10%
20.00%19.20%
36.36%19.63%
11.21%
19.10%
20.67%
[15.26, 19.18][9.66, 12.87][10.11, 13.88][13.90, 17.26]
[13.14, 17.06][12.69, 16.44][20.48, 26.53][9.59, 12.22][12.63, 15.29][14.99, 27.35]
[13.48, 16.72][13.61, 25.66][14.05, 18.00][13.47, 20.35]
[0.19, 36.03][12.90, 15.43]
[0.19, 36.03][7.67, 11.21][10.84, 16.11][16.67, 21.09][9.95, 13.81][13.79, 17.11][11.29, 14.18][14.90, 19.95][9.68, 13.17][14.54, 18.14]
[12.42, 15.00][14.59, 25.52][12.80, 15.31][10.93, 69.21][12.47, 25.59][13.83, 19.05][11.93, 16.32][10.88, 16.13]
[14.83, 26.26][6.64, 25.02][11.41, 22.69][10.83, 24.31][13.23, 19.10][7.71, 38.57][12.71, 27.21][14.93, 19.06]
[16.50, 21.92][14.42, 17.44][15.24, 18.87][14.72, 18.61][13.74, 20.00]
[8.06, 22.07][5.92, 19.77][5.88, 22.41][12.84, 23.11]
[6.89, 9.80][15.18, 19.98][18.27, 27.72][18.10, 28.81]
[7.18, 10.49][13.85, 18.93][15.28, 29.13][17.20, 24.26][21.55, 51.97][15.86, 23.05][10.24, 18.13]
[13.49, 17.58][13.48, 18.39][8.75, 15.48][8.77, 14.03]
(%)
17.15%
15.52%8.73%
16.27%
35.71%
13.84%15.02%14.49%
23.40%
13.92%
8.26%17.48%
15.95%16.70%
15.05%
14.02%
17.54%
14.13%
15.89%17.00%16.60%16.70%15.45%15.82%
13.31%18.81%
7.69%
7.69%
15.40%
17.31%
16.28%
14.06%16.48%16.79%16.01%
16.92%13.67%
14.02%
18.37%16.32%
14.02%13.34%
22.74%23.14%
*1 Clopper-Pearson法に基づく正確な95%信頼区間*2 内訳の集計は重複集計とする*3 Cockcroft-Gault式
[95%信頼区間*1]項 目 発現例数
癌に対する治療歴
カルシウム製剤・ビタミンD製剤の使用歴ビスホスホネート製剤の
使用歴ビスホスホネート製剤による低カルシウム血症の既往歴
85/591334/2,390337/2,33759/403335/2,05088/957339/2,54611/39
324/2,495102/526313/2,372113/649
PPIの併用
臨床検査値の投与前値
1回未満1回以上2回未満2回以上3回未満3回以上4回未満4回以上
初回低カルシウム血症発現前の臨床検査(血清カルシウム)の実施頻度(回/投与回数)
無有無有無有無有
無有無有
ナトリウム(mEq/L)(中央値区分)
<140.0≧140.0<4.20≧4.20<104.0≧104.0<9.20≧9.20<9.40≧9.40<9.40≧9.40<2.10≧2.10<3.30≧3.30<6.90≧6.90<3.90≧3.90<15.60≧15.60<0.730≧0.730<304.0≧304.0
カリウム(mEq/L)(中央値区分)クロル(mEq/L)(中央値区分)カルシウム(mg/dL)(中央値区分)補正カルシウム(mg/dL)(中央値区分)
補正カルシウム又はカルシウム(mg/dL)(中央値区分)マグネシウム(mg/dL)(中央値区分)リン(mg/dL)(中央値区分)総蛋白(g/dL)(中央値区分)アルブミン(g/dL)(中央値区分)尿素窒素(mg/dL)(中央値区分)
クレアチニン(mg/dL)(中央値区分)ALP(IU/L)
(中央値区分)
無有
無有無有
無有
194/1,409203/1,411189/1,440223/1,45036/501116/509
62/45094/562194/1,108161/1,364208/1,138151/1,227
6/5112/75
78/1,124207/1,06375/36329/18337/288
182/1,119219/1,591254/1,296142/1,436197/965151/1,287244/1,284161/1,480
188/1,107217/1,639168/1,195237/1,552
0 10 20 30 40
カルシウム製剤又は
ビタミンD製剤の併用*4
カルシウム製剤の併用*4
投与開始時*5
投与期間内*6
投与開始時
投与期間内
投与開始時*5
投与期間内*6
無有無有
活性型ビタミンD製剤の
併用*4
投与開始時*5
投与期間内*6
無有無有
カルシウム製剤及び
活性型ビタミンD製剤の併用*4
投与開始時*5
投与期間内*6
無有無有
活性型ビタミンD製剤のみの併用*4
投与開始時*5
投与期間内*6
72/334354/2,687
108/736318/2,285
127/866299/2,15591/455335/2,566279/1,942147/1,079265/1,724161/1,297298/2,072128/949284/1,845142/1,176407/2,89119/130407/2,90019/121
[11.65, 17.47][12.61, 15.43][13.02, 15.91][11.34, 18.47][14.77, 18.01][7.44, 11.21]
[5.52, 8.59][17.13, 21.98][16.61, 25.20][10.88, 21.96][9.21, 17.27]
[12.02, 14.70][15.00, 44.87][11.69, 14.37][16.10, 23.03][11.86, 14.62][14.57, 20.55]
[14.82, 19.33][11.64, 14.98][12.14, 16.16][13.52, 17.16][14.15, 18.56][12.11, 15.56][17.47, 21.87][8.39, 11.55][17.91, 23.10][10.02, 13.62][16.89, 21.26][9.34, 12.58][4.44, 23.87][8.55, 26.28][10.73, 17.31][13.73, 20.07][15.31, 19.88][10.14, 13.64][16.07, 20.65][10.52, 14.28]
[17.27, 26.36][11.92, 14.51][12.37, 17.20][12.44, 15.41][16.42, 23.98][11.77, 14.42]
[12.83, 15.40][9.03, 21.88][12.79, 15.35][9.73, 23.43]
[12.84, 16.01][11.63, 15.82][13.70, 17.16][10.67, 14.33][12.90, 15.97][11.38, 15.83][13.78, 17.12][10.27, 14.07]
[12.01, 15.68][12.60, 16.33][11.42, 14.98][13.56, 17.34][5.08, 9.81][19.21, 26.68][12.20, 17.44][12.52, 15.40]
(%)
14.38%13.97%14.42%14.64%
9.20%13.32%
12.99%19.39%
13.20%
19.47%20.66%
12.85%
16.34%
28.21%
17.41%6.94%
15.85%
16.98%13.24%14.06%15.27%16.26%
19.60%
20.41%
19.00%
16.00%
17.51%
18.28%
15.38%
13.78%16.73%
11.80%
12.31%13.77%14.39%13.13%
7.19%
15.37%
14.67%13.92%
13.17%14.67%
20.00%13.87%
13.06%14.37%13.62%
12.41%14.38%13.49%15.39%
12.07%14.08%14.62%14.03%15.70%
21.56%
22.79%
13.76%
9.89%
11.73%
10.88%11.76%
*1 Clopper-Pearson法に基づく正確な95%信頼区間*4 初回低カルシウム血症(副作用)発現前の併用で、使用理由が有害事象以外の場合*5 本剤投与開始時からの併用*6 本剤投与開始後から低カルシウム血症発現前までの併用
(多発性骨髄腫患者及び固形癌骨転移患者を対象とした長期使用に関する特定使用成績調査 中間集計)
長期使用に関する特定使用成績調査における低カルシウム血症の発現状況低カルシウム血症
16 17
グレード3以上の低カルシウム血症の発現率に関する部分集団解析グレード3以上の低カルシウム血症の発現率について患者背景別の要因分析を以下に示します。なお、次の背景
(要因)を有する患者では、グレード3以上の低カルシウム血症の発現率が高い傾向*が示されました。①PS:2>0②骨病変の部位数:3以上>1③透析:有>無④本剤投与前のカルシウム値:中央値未満>中央値以上
* 発現率の95%信頼区間が重ならなかったことによる
●低カルシウム血症(CTCAE グレード3以上)の発現率に関する部分集団解析
[95%信頼区間*1]項 目 発現例数全体
性別 男46/3,02129/1,47517/1,546女
年齢 65歳未満 13/1,18533/1,83665歳以上
癌種
PS
入院・外来
薬剤アレルギー歴
喫煙習慣
飲酒習慣
飲酒頻度
骨病変
乳癌前立腺癌
多発性骨髄腫肺癌
小細胞肺癌非小細胞肺癌その他
11/1,18020/8484/1484/5300/424/4887/318
55kg未満55kg以上体重(中央値区分)
無有012≧3
012≧3
吸っていない現在吸っている飲まない飲む
無有
無有無有
1日未満/週1-2日/週 3-4日/週ほぼ毎日/週
長骨椎骨骨盤肋骨その他
溶骨性造骨性混合性不明
15/1,24917/8855/38111/5890/137/1,09311/67628/1,239
19/84342/2,31634/1,70030/1,4587/575
0/1346/3,008
入院外来
20/1,32524/1,40819/78227/2,23939/2,6726/179
27/1,9342/17821/1,3734/4791/1071/950/723/228
12/1,44115/1,00111/3218/255
0 5 10 15 20
骨病変の部位*2
骨転移以外の転移巣
骨関連事象の既往歴
骨病変の部位数
骨病変の型*2
15/1,12130/1,87727/2,11318/901
[1.12, 2.03]1.52%
1.10%1.10%
0.75%0.00%0.82%
[1.32, 2.81][0.64, 1.75][0.59, 1.87][1.24, 2.52]
[0.92, 2.32][1.10, 2.53][1.47, 3.77][0.80, 1.75][1.04, 1.99][1.24, 7.15]
[0.92, 2.02][0.14, 4.00][0.95, 2.33][0.23, 2.12]
[0.00, 24.71][1.12, 2.03]
[0.00, 24.71][0.26, 1.32][0.82, 2.89][1.51, 3.25][0.75, 2.20][1.08, 2.27][0.84, 1.85][1.19, 3.14]
[1.36, 3.50][1.31, 2.44][1.39, 2.78][1.39, 2.92][0.49, 2.49]
[0.02, 5.10][0.03, 5.73][0.00, 4.99][0.27, 3.80]
[0.43, 1.45][0.84, 2.46][1.72, 6.05][1.36, 6.09]
[0.47, 1.66][1.45, 3.62][0.74, 6.78][0.21, 1.92][0.00, 8.41][0.22, 2.09][0.89, 4.48]
[0.67, 1.97][1.12, 3.06][0.43, 3.04][0.94, 3.32]
(%)
1.97%
1.80%0.93%
2.20%1.51%
2.43%1.21%1.46%
0.83%1.50%
1.70%
3.35%
3.43%3.14%
1.40%1.12%1.53%0.84%0.93%1.05%
0.00%
0.00%1.32%
1.53%
1.22%1.20%1.92%1.31%1.87%
0.00%0.64%1.63%2.26%
1.34%1.60%1.28%2.00%
2.70%2.36%
2.25%1.81%2.00%2.06%
*1 Clopper-Pearson法に基づく正確な95%信頼区間*2 内訳の集計は重複集計とする
[95%信頼区間*1]項 目 発現例数
癌に対する治療歴
カルシウム製剤・ビタミンD製剤の使用歴ビスホスホネート製剤の
使用歴ビスホスホネート製剤による低カルシウム血症の既往歴
6/59139/2,39032/2,3379/40332/2,05013/95738/2,5460/39
35/2,49511/52635/2,37211/649
PPIの併用
臨床検査値の投与前値
1回未満1回以上2回未満2回以上3回未満3回以上4回未満4回以上
初回低カルシウム血症発現前の臨床検査(血清カルシウム)の実施頻度(回/投与回数)
無有無有無有無有
無有無有
ナトリウム(mEq/L)(中央値区分)
<140.0≧140.0<4.20≧4.20<104.0≧104.0<9.20≧9.20<9.40≧9.40<9.40≧9.40<2.10≧2.10<3.30≧3.30<6.90≧6.90<3.90≧3.90<15.60≧15.60<0.730≧0.730<304.0≧304.0
カリウム(mEq/L)(中央値区分)クロル(mEq/L)(中央値区分)カルシウム(mg/dL)(中央値区分)補正カルシウム(mg/dL)(中央値区分)
補正カルシウム又はカルシウム(mg/dL)(中央値区分)マグネシウム(mg/dL)(中央値区分)リン(mg/dL)(中央値区分)総蛋白(g/dL)(中央値区分)アルブミン(g/dL)(中央値区分)尿素窒素(mg/dL)(中央値区分)
クレアチニン(mg/dL)(中央値区分)ALP(IU/L)
(中央値区分)
14/1,40929/1,41113/1,44032/1,4502/50110/509
11/45011/56221/1,10814/1,36424/1,13814/1,227
0/512/75
11/1,12422/1,0637/3633/1833/288
19/1,11925/1,59136/1,2969/1,43623/96514/1,28730/1,28415/1,480
25/1,10719/1,63916/1,19528/1,552
0 5 10 15 20
投与開始時
投与期間内
[0.37, 2.20][1.16, 2.22][0.94, 1.93][1.03, 4.20][1.07, 2.20][0.73, 2.31]
[0.49, 1.74][1.30, 3.12][0.78, 3.93][0.34, 4.72][0.22, 3.01]
[1.06, 2.04][0.00, 9.03][0.98, 1.95][1.05, 3.71][1.03, 2.05][0.85, 3.01]
[1.47, 3.32][0.70, 1.80][0.77, 2.17][1.20, 2.60][1.03, 2.64][1.02, 2.31][1.95, 3.83][0.29, 1.19][1.52, 3.55][0.60, 1.82][1.58, 3.32][0.57, 1.67][0.00, 6.98][0.32, 9.30][1.23, 4.33][0.98, 3.48][1.18, 2.88][0.56, 1.72][1.36, 3.12][0.63, 1.91][0.54, 1.66][1.38, 2.94][0.48, 1.54][1.51, 3.10][0.05, 1.43][0.95, 3.58]
(%)
1.02%1.63%1.37%
無有
その他の合併症詳細*2
その他の合併症
腎機能障害
腎疾患の程度(透析の有無)
腎機能の程度(クレアチニンクリアランス*3
(mL/min))
12/1,32334/1,671
5/2041/644/1824/13110/6311/300/12525/1,312
腎疾患原発癌と関連のない他の癌
心疾患肝疾患
内分泌・代謝性疾患免疫疾患歯科疾患その他の疾患
無有無有
38/2,8028/21944/3,0102/11
CCr<3030≦CCr<6060≦CCr<9090≦CCr
5/14720/80912/1,0066/682
0.91%
1.58%
0.00%1.91%
[0.47, 1.58][1.41, 2.83]
[0.96, 1.86][1.59, 7.07][1.06, 1.96][2.28, 51.78][1.11, 7.76][1.52, 3.79][0.62, 2.07][0.32, 1.90]
[0.80, 5.63][0.04, 8.40][0.60, 5.53][0.84, 7.63][0.76, 2.90][0.08, 17.22][0.00, 2.91][1.24, 2.80]
1.36%
1.46%
3.40%2.47%
1.19%0.88%
2.03%2.45%
1.56%2.20%3.05%
3.33%
3.65%
18.18%
2.23%
1.36%1.49%
1.40%2.09%1.48%1.69%0.98%2.07%1.93%1.64%1.04%2.26%
1.16%1.34%1.80%1.70%1.57%2.78%
0.63%2.38%
1.09%2.34%
0.00%2.67%2.44%1.96%1.90%
1.03%2.11%
1.14%0.99%2.06%
0.90%2.21%
0.40%1.96%
1.01%
0.00%
1.56%
*1 Clopper-Pearson法に基づく正確な95%信頼区間*2 内訳の集計は重複集計とする*3 Cockcroft-Gault式
長期使用に関する特定使用成績調査における低カルシウム血症の発現状況低カルシウム血症
18 19
●本剤との因果関係が否定できないとされる重篤な低カルシウム血症の副作用を発現した死亡症例の概要
主な症例の概要低カルシウム血症
性・年齢
使用理由(合併症)
投与量投与開始から発現までの
期間経過及び処置
男50歳代
非小細胞肺癌骨転移
による骨病変(非小細胞肺癌)(静脈血栓症)
(腎障害)
120mg10日後
本剤投与約6年前本剤投与約4年前本剤投与約1年前本剤投与18日前本 剤 投 与 日
投 与 6 日 後投 与 1 0 日 後
(発現日)投 与 1 3 日 後投 与 1 7 日 後
投 与 1 9 日 後
投 与 2 0 日 後
投 与 2 4 日 後
投 与 2 5 日 後投 与 2 7 日 後
投 与 2 8 日 後投 与 3 1 日 後
非小細胞肺癌発症。肺右上葉切除施行。CEA 3.4ng/mL。リンパ節転移を認め、リンパ節郭清及び右肺部分切除施行。CEA 7.9ng/mL。CEA 41.4ng/mL。転移性骨腫瘍の存在が判明し、非小細胞肺癌骨転移による骨病変に対し、本剤投与。NSAIDsに起因すると考えられる腎障害を認めていた。高カルシウム血症(補正カルシウム値12.4mg/dL)が認められたため、カルシウム及びビタミンDの補充は未実施。リン5.0mg/dL、血清クレアチニン3.9mg/dL、PS 2。補正カルシウム8.5mg/dL、リン3.6mg/dL、血清クレアチニン3.2mg/dL。入院。低カルシウム血症を発現。補正カルシウム8.2mg/dL、リン2.7mg/dL、血清クレアチニン2.7mg/dL。補正カルシウム7.8mg/dL、リン2.2mg/dL、血清クレアチニン2.4mg/dL。補正カルシウム7.2mg/dL、リン2.2mg/dL、血清クレアチニン1.8mg/dL。心電図異常なし。低カルシウム血症に伴う臨床症状なし。補正カルシウム6.8mg/dL、リン2.3mg/dL、血清クレアチニン1.89mg/dL。CEA 95.5ng/mL。原疾患の急速な進行を認めており、ALK肺癌(IHC陽性、FISH判定保留)の可能性も考えられ、クリゾチニブの投与を開始したが、数日の間では臨床的改善は認められなかった。補正カルシウム5.5mg/dL、リン3.4mg/dL、血清クレアチニン2.9mg/dL、PS 3。突然心肺停止、蘇生処置により心拍再開。人工呼吸管理開始。グルコン酸カルシウム8.5%静脈注射(850mgを1回)。補正カルシウム6.1mg/dL、リン3.1mg/dL、血清クレアチニン3.0mg/dL。補正カルシウム5.8mg/dL、リン10.7mg/dL、血清クレアチニン9.2mg/dL。グルコン酸カルシウム8.5%静脈注射(850mgを1回)。グルコン酸カルシウム8.5%静脈注射(850mgを1回)。死亡(死因:癌死、報告医師より、「直接死因としては非小細胞肺癌の悪化と考えられたが、著明な低カルシウム血症から突然心肺停止を来たした可能性は否定できない」との報告あり)。
臨床検査値
投与9日前 投与日 投与
6日後投与
10日後(発現日)
投与13日後
投与17日後
投与19日後
投与24日後
投与25日後
投与27日後
補正Ca(mg/dL) 10.7 12.4 8.5 8.2 7.8 7.2 6.8 5.5 6.1 5.8
血清Ca(mg/dL) 10.2 12.1 8.2 7.8 7.3 6.8 6.5 5.2 5.7 4.4
血清アルブミン(g/dL) 3.5 3.7 3.7 3.6 3.5 3.6 3.7 3.7 3.6 2.6
血清K(mEq/L) 4.5 5.0 4.6 5.7 5.1 4.9 4.2 4.5 4.3 6.0
無機リン(mg/dL) 4.8 5.0 3.6 2.7 2.2 2.2 2.3 3.4 3.1 10.7
BUN(mg/dL) 26.2 29.8 34.7 25.7 24.7 18.0 20.8 32.1 32.0 97.3
クレアチニン(mg/dL) 2.94 3.90 3.20 2.72 2.43 1.81 1.89 2.88 3.01 9.21
eGFR 19 14 17 21 23 32 31 19 18 5
AST(GOT)(IU/L) 36 26 31 28 39 39 33 60 342 447
ALT(GPT)(IU/L) 15 12 11 13 15 15 17 34 112 103
LDH(IU/L) 1060 784 1215 1235 1634 1911 1754 1594 2571 3271
ALP(IU/L) 677 583 616 591 535 525 514 472 590 373
CRP(mg/dL) 4.52 2.91 5.09 8.37 6.05 9.00 12.07 18.85 35.83 19.08
白血球数(×102/μL) 132 109 126 106 100 121 125 139 142 220
赤血球数(×104/μL) 363 377 357 369 331 320 320 278 408 370
血小板数(×104/μL) 27.9 29.5 25.0 30.9 31.4 32.5 35.7 38.8 35.4 12.7
併用薬 : ケトプロフェンテープ、ラベプラゾールナトリウム、ワルファリンカリウム、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、セレコキシブ、ロキソプロフェンナトリウム、クリゾチニブ
[95%信頼区間*1]項 目 発現例数
無有
無有無有
無有
0 5 10 15 20
カルシウム製剤又は
ビタミンD製剤の併用*4
カルシウム製剤の併用*4
投与開始時*5
投与期間内*6
投与開始時*5
投与期間内*6
無有無有
活性型ビタミンD製剤の
併用*4
投与開始時*5
投与期間内*6
無有無有
カルシウム製剤又は
活性型ビタミンD製剤の併用*4
投与開始時*5
投与期間内*6
無有無有
活性型ビタミンD製剤のみの併用*4
投与開始時*5
投与期間内*6
8/33438/2,687
12/73634/2,285
14/86632/2,15511/45535/2,56632/1,94214/1,07929/1,72417/1,29734/2,07212/94932/1,84514/1,17644/2,8912/13043/2,9003/121
[1.04, 4.66][1.00, 1.94][0.89, 2.70][1.02, 2.09][1.21, 4.28][0.95, 1.89]
[1.11, 2.04][0.19, 5.45][1.08, 1.99][0.51, 7.07]
[1.13, 2.32][0.71, 2.17][1.13, 2.41][0.77, 2.09][1.14, 2.29][0.66, 2.20][1.19, 2.44][0.65, 1.99]
[0.85, 2.83][1.03, 2.07]
(%)
1.63%1.49%
1.41%1.62%1.48%
1.36%1.65%1.30%1.68%1.31%1.64%1.26%1.73%1.19%1.52%1.54%1.48%
2.40%
2.42%
2.48%*1 Clopper-Pearson法に基づく正確な95%信頼区間*4 初回低カルシウム血症(副作用)発現前の併用で、使用理由が有害事象以外の場合*5 本剤投与開始時からの併用*6 本剤投与開始後から低カルシウム血症発現前までの併用
(多発性骨髄腫患者及び固形癌骨転移患者を対象とした長期使用に関する特定使用成績調査 中間集計)
長期使用に関する特定使用成績調査における低カルシウム血症の発現状況低カルシウム血症
20 21
Q & A低カルシウム血症
Q1 低カルシウム血症を予防するために、重度の腎機能障害患者では、カルシウム及びビタミンDをどのように補充すべきか
A1 腎機能障害のある患者では、ビタミンD活性化が障害されており、また電解質異常を起こしやすい状態にあります。腎機能の障害の程度に応じ、個々の患者において、天然型ビタミンDではなく、活性型ビタミンDを使用する必要性を判断する必要があります。また、カルシウムについては投与の必要性を判断し、投与量を適宜調整する必要があります。必要に応じ、活性型ビタミンDの薬剤選択、カルシウム投与の必要性及び投与量等について腎臓の専門医師に相談してください。
Q2 血清補正カルシウム値が高値の場合、カルシウム及びビタミンDの補充はどのように補充すべきか
A2 血清補正カルシウム値が高値の患者では、カルシウム及びビタミンDの補充を控えてください。ランマーク投与後モニタリングを実施し、血清補正カルシウム値が正常範囲(8.5〜10.4mg/dL)まで低下していることが確認できた場合は、補充を開始し、血清カルシウム、リン等の血清電解質濃度を定期的に測定・評価してください。
Q3 カルシウム及びビタミンDを補充することで、高カルシウム血症が発現する可能性はあるのか
A3 高カルシウム血症が発現する可能性がありますので、定期的な血清カルシウム、リン等の血清電解質濃度の測定を徹底してください。なお、第Ⅲ相臨床試験における高カルシウム血症の有害事象の発現率は、以下のとおりでした。
●第Ⅲ相臨床試験 経口カルシウム又は経口ビタミンD補充の有無別による高カルシウム血症の有害事象の発現状況経口カルシウム又は経口ビタミンDの
補充を受けた患者*2 経口カルシウム又は経口ビタミンDの
補充を受けなかった患者*3 ランマーク群 ゾレドロン酸群 ランマーク群 ゾレドロン酸群
発現率 (発現症例/総症例*1)
1.4%(36/2,511)
2.1%(50/2,439)
0.9%(3/330)
0.2%(1/397)
*1 本試験における組み入れ症例のうち、安全性解析対象症例を分母とした*2 初回の高カルシウム血症発現以降にのみ経口カルシウム又は経口ビタミンDの投与を受けた患者を除き、試験期間中のいずれかの時期に経口カルシウム又
は経口ビタミンDの投与を受けた患者 *3 経口カルシウム又は経口ビタミンDの投与を一度も受けなかった患者又は初回の高カルシウム血症発現以降にのみ経口カルシウム又は経口ビタミンDの投与
を受けた患者承認時評価資料(臨床的安全性の概要)
Q4 経口摂取不良な症例(カルシウム及びビタミンDの経口補充不能)にランマークを投与できるか
A4 本剤の国内販売開始後に報告された重篤な低カルシウム血症症例において、カルシウム及びビタミンDの経口補充が実施されていない症例や、経口摂取不良な症例、胃全摘術後等の吸収障害リスクを有する症例等が認められています。これらの症例では、本剤の添付文書上規定しているカルシウム及びビタミンDの経口補充管理が適切に実施されていないことが重篤な低カルシウム血症を来たした一因となったと考えられます。血清補正カルシウム値が高値でない限り、カルシウム及びビタミンDの経口補充を必ず実施してください。経口摂取不良例等の添付文書上規定しているカルシウム及びビタミンDの経口補充管理が不可能な患者に対しては、本剤の投与を控えてください。
ランマーク投与前及び投与中は、以下を参考に、適切な処置を行ってください。
低カルシウム血症に対する投与前、投与中の検査等
ランマーク投与を検討する場合
低カルシウム血症のある患者
低カルシウム血症が是正された場合
低カルシウム血症が是正されなかった場合
腎機能正常患者の場合 腎機能障害患者の場合
本剤投与前に、低カルシウム血症を治療してください。
投与開始前に血清補正カルシウム*1、リン等の血清電解質濃度を測定・評価してください。
・以下の患者には慎重に投与してください。 -低カルシウム血症を起こすおそれのある患者 -重度の腎機能障害のある患者
・治療開始後数日から、低カルシウム血症があらわれることがあるので、患者の状態に十分注意してください。
・本剤投与開始後は、患者の状態に注意し、頻回に血清カルシウム、リン等の血清電解質濃度を測定してください。
・重篤な低カルシウム血症の発現を軽減するため、患者の状態に合わせて以下の補充療法を毎日行ってください。
低カルシウム血症が是正されるまで、ランマーク投与を見合わせてください。
ランマーク投与
カルシウム及びビタミンDの経口投与に加えて*、緊急を要する場合には、カルシウムの点滴投与を併用するなど、適切な処置を速やかに行ってください。
*カルシウム及びビタミンDの経口補充を継続してください。
低カルシウム血症が認められた場合
血清補正カルシウム値*1が高値でない限り、毎日の補充療法として少なくともカルシウムとして500mg及び天然型ビタミンDとして400IUを補充投与してください。
毎日の補充療法として、腎機能の障害の程度に応じ、活性型ビタミンDを使用するとともに、カルシウムについては投与の必要性を判断し、投与量を適宜調整してください。
*1 血清アルブミンが4.0g/dL未満の場合には、以下の式による補正カルシウム値を用いてください補正カルシウム値(mg/dL)=血清カルシウム値(mg/dL)+4-血清アルブミン値(g/dL)
低カルシウム血症への対策(多発性骨髄腫による骨病変及び固形癌骨転移による骨病変)
低カルシウム血症
22 23
コラム
血清カルシウム濃度とカルシウム代謝調節体内におけるカルシウムの99%は骨に蓄えられており、残り1%弱は細胞内など軟部組織に存在し、血液中には 0.1%程度が存在するに過ぎません。細胞機能の維持など重要な生理作用を示し緻密な調節を受けているのは、 血液中カルシウムの約50%を占めるイオン化カルシウムです。残りの約50%はアルブミンなどと結合して存在し ています。そのため、低アルブミン血症などがあると、カルシウム代謝に異常がなくても血清カルシウム濃度が見かけ上低値となるため、誤って低カルシウム血症と判断してしまいます。血清アルブミンが4.0g/dLを下回る場合 に血清カルシウム値を補正する必要があるのはこのためです(21ページ参照)。
血清カルシウム濃度は、骨におけるカルシウムの蓄積・流出、腸におけるカルシウムの吸収、腎臓におけるカルシウムの排泄・再吸収といった出入りのバランスの総和として調節されており、その調節には副甲状腺ホルモン
(PTH)及び活性型ビタミンDが中心的な役割を担っています。
体内のカルシウム代謝が正常な状態では、血清カルシウム濃度は適正なレベルに維持されていますが、血清カルシウム濃度が低下した場合は、PTH分泌が亢進し(❶)、骨吸収の促進(❷)及び腎臓の尿細管でのカルシウムの 再吸収が促進され(❸)、血清カルシウム濃度を元にもどそうとします。しかし、これだけでは血清カルシウムの 上昇には不十分であり、PTHは同時に1α水酸化酵素を誘導することにより(❹)、活性型ビタミンD産生が促進 され、腸からのカルシウム吸収が促進されます。これらが相まって血清カルシウム濃度が上昇します。
1,25(OH)2D↑
骨吸収↑
Ca吸収↓
骨吸収↓
1α水酸化酵素↑
Ca再吸収↑
1α水酸化酵素↓
Ca再吸収↓
PTH↓
CaSR
CaSR
上昇
低下
血中Ca2+
1,25(OH)2D↓PTH↑
❶Ca吸収↑
❶PTH分泌の亢進
❸カルシウム 再吸収の促進
❹1α水酸化 酵素の誘導
❷骨吸収 の亢進
❸二次性副甲状腺機能 亢進症の状態を呈している
PTH ; 副甲状腺ホルモン CaSR ; カルシウム感知受容体 1,25(OH)2D ; 1,25水酸化ビタミンD
❷リン排泄の抑制も重なり、常に血清 カルシウム濃度は低値である
❶ビタミンD活性化が 障害されている
慢性腎不全患者では、ビタミンD活性化の障害のため、腸からのカルシウム吸収が抑制されており(❶)、また、リン排泄の抑制により常に血清カルシウム濃度が低値となっているため(❷)、もとから二次性副甲状腺機能亢進症の状態にあります(❸)。そのため、このような患者にランマークを投与した場合、骨からのカルシウム動員が抑制され、低カルシウム 血症がよりあらわれやすくなります。
また、食欲不振や絶食(食事制限)などにより腸からのカルシウム供給が低下している状態では(❶)、ビタミンDを補充してもカルシウムの吸収を高めることはできません。したがって、経口摂取不良の患者では、カルシウム製剤の経静脈的な補充が必要になります。
体内のカルシウム代謝調節MEMO
24 25
第Ⅲ相臨床試験において、顎骨壊死の発現率は1.8%でした。(承認時)
第Ⅲ相臨床試験における顎骨壊死の発現状況第Ⅲ相臨床試験[骨転移を有する進行乳癌患者対象試験(日本が参加した国際共同試験)、骨転移を有するホルモン不応性(去勢抵抗性)前立腺癌患者対象試験(外国臨床試験)及び多発性骨髄腫又は骨転移を有する進行固形癌(乳癌及び前立腺癌を除く)患者対象試験(外国臨床試験)]*1において、顎骨壊死(Osteonecrosis of the Jaw; 以降、ONJと記載)と判定された事象*2の発現率は1.8%(52/2,841例)でした。骨転移を有する進行乳癌患者対象試験における日本人患者では、ONJと判定された事象の発現率は1.4%(1/69例)でした。また、未治療の多発性骨髄腫患者を対象とした第Ⅲ相臨床試験(日本が参加した国際共同試験)において、ONJと判定された事象*2の発現率は4.1%(35/850例)でした。日本人患者では、ONJと判定された事象の発現率は12.5%(3/24例)でした。(承認時)*1 本剤の投与期間の中央値12.0ヵ月、範囲0.1-40.5*2 ONJの可能性が考えられる事象については、外部の独立判定委員会が標準的な基準に基づいて盲検下で評価した
●第Ⅲ相臨床試験 ONJと判定された事象の発現率
進行乳癌患者対象試験
ホルモン不応性前立腺癌患者
対象試験
多発性骨髄腫又は進行固形癌患者
対象試験3試験合計
発現率(ONJと判定された事象/総症例)
2.0%(20/1,020例)
2.3%(22/943例)
1.1%(10/878例)
1.8%(52/2,841例)
承認時評価資料(臨床的安全性の概要)
●第Ⅲ相臨床試験(進行乳癌患者対象)のうちの日本人患者 ONJと判定された事象の発現率進行乳癌患者対象試験(日本人患者のみ)
発現率(ONJと判定された事象/総症例)
1.4%(1/69例)
承認時評価資料(臨床的安全性の概要)
●第Ⅲ相臨床試験(多発性骨髄腫患者対象) ONJと判定された事象の発現率全体 日本人患者のみ
発現率(ONJと判定された事象/総症例)
4.1%(35/850例)
12.5%(3/24例)
社内資料
患者の既往歴についてONJと判定された患者の多くは、抜歯、口腔衛生不良、又は歯科補綴物の使用の既往歴がありました。
●第Ⅲ相臨床試験 ONJと判定された患者の既往歴
進行乳癌患者対象試験
ホルモン不応性前立腺癌患者
対象試験
多発性骨髄腫又は進行固形癌患者
対象試験3試験合計
抜歯、口腔衛生不良、又は歯科補綴物の使用
90.0%(18/20例)
77.3%(17/22例)
70.0%(7/10例)
80.8%(42/52例)
血管新生阻害剤*3 20.0%(4/20例)
4.5%(1/22例)
10.0%(1/10例)
11.5%(6/52例)
化学療法剤*3 75.0%(15/20例)
68.2%(15/22例)
60.0%(6/10例)
69.2%(36/52例)
ビスホスホネート製剤 0%(0/20例)
4.5%(1/22例)
0%(0/10例)
1.9%(1/52例)
*3 投与中も含む承認時評価資料(臨床的安全性の概要)
長期投与における顎骨壊死の発現状況第Ⅲ相臨床試験のうち、本剤の非盲検延長投与を実施した2試験[骨転移を有する進行乳癌患者対象試験(日本が参加した国際共同試験)及び骨転移を有するホルモン不応性(去勢抵抗性)前立腺癌患者対象試験(外国臨床試験)]*4におけるONJの人年法による発現率は、100人年あたり治療開始1年目で1.1、2年目で3.7、その後で4.6であり、投与期間に応じて発現率が上昇しました。また、未治療の多発性骨髄腫患者を対象とした第Ⅲ相臨床試験(日本が参加した国際共同試験)*5におけるONJの人年法による発現率は、100人年あたり治療開始1年目で2.0、2年目で5.0、その後で4.5であり、同様に投与期間に応じて発現率が上昇する傾向がみられました。
●第Ⅲ相臨床試験 ONJの発現率(人年法による発現率)試験開始〜≦12ヵ月 12ヵ月<〜≦24ヵ月 >24ヵ月
乳癌・前立腺癌対象試験*4
人年法による発現率(100人年あたり) 1.1 3.7 4.6
多発性骨髄腫対象試験*5
人年法による発現率(100人年あたり) 2.0 5.0 4.5
*4 本剤の全投与期間の中央値 14.9ヵ月(範囲0.1-67.2)、ONJ発現までの中央値 20.6ヵ月(範囲4-53)*5 本剤の全投与期間の中央値 15.8ヵ月(範囲1-49.8)、ONJ発現までの中央値 18.7ヵ月(範囲1-44)
社内資料
ランマーク投与に際しての注意顎骨壊死
26 27
併用薬の投与状況ランマーク投与後にONJを発現した120例における、化学療法剤、ステロイド製剤、血管新生阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤及びこれら4種の薬剤のいずれかの併用の有無は以下のとおりでした。
●併用薬の投与状況
下記薬剤のいずれかの併用(不明24例を除く)
化学療法剤(不明28例を除く)
ステロイド製剤(不明38例を除く)
血管新生阻害剤*1(不明42例を除く)
チロシンキナーゼ阻害剤*2(不明61例を除く)
0% 20% 40% 60% 80% 100%
いずれか有84例(87.5%)
いずれも無12例(12.5%)
有68例(73.9%)
無24例(26.1%)
有41例(50.0%)
無41例(50.0%)
有28例(35.9%)
無50例(64.1%)
有15例(25.4%)
無44例(74.6%)
*1 血管新生阻害剤:アキシチニブ、エベロリムス、スニチニブ、ソラフェニブ、テムシロリムス、ベバシズマブ、レナリドミド等*2 チロシンキナーゼ阻害剤:アキシチニブ、エルロチニブ、スニチニブ、ゲフィチニブ、パゾパニブ等
歯科治療及び口腔内状況ランマーク投与後にONJを発現した120例における、抜歯歴、口腔内衛生状況の不良、歯周疾患の合併及びこれら3項目のいずれかの有無は以下のとおりでした。
●歯科治療及び口腔内状況
下記のリスク因子のいずれかの有無(不明34例を除く)
ONJ発現前の発現部位付近の最近の抜歯歴
(不明49例を除く)
口腔内衛生状況*3(不明59例を除く)
歯周疾患(歯周病、歯肉出血等)の合併
(不明62例を除く)0% 20% 40% 60% 80% 100%
いずれか有79例(91.9%)
いずれも無7例(8.1%)
有40例(56.3%)
無31例(43.7%)
不良28例(45.9%)
良好33例(54.1%)
有37例(63.8%)
無21例(36.2%)
*3 口腔内衛生状況「良好」の目安:歯磨きの実施状況が良好、強い口臭がない、歯磨き不履行による歯の変色がない等
国内販売開始後における顎骨壊死の発現状況ランマークの国内販売開始後(2012年4月17日〜2015年7月31日)に報告された副作用のうち、ONJと判定された事象*1は120例でした。*1 ONJの可能性が考えられる事象については、外部の独立判定委員会が標準的な基準に基づいて評価した
患者背景ランマーク投与後にONJを発現した120例の主な患者背景は以下のとおりでした。
●患者背景
ONJ発現症例(N=120)
n (%)*2
性別男 61(50.8%)
女 59(49.2%)
年齢
65歳未満 39(32.5%)
65歳以上 81(67.5%)
平均±SD 68.1±10.09
中央値(Q1, Q3)
69.5(61.8, 74.0)
癌種
乳癌 45(37.5%)
前立腺癌 32(26.7%)
多発性骨髄腫 8( 6.7%)
肺癌 14(11.7%)
その他*3 21(17.5%)
糖尿病の合併
有 22(25.6%)
無 64(74.4%)
不明 34(−)
喫煙歴
有 33(41.3%)
無 47(58.8%)
不明 40(−)
ビスホスホネート製剤(BP製剤)の投与歴
有 60(56.1%)
無 47(43.9%)
不明 13(−)
*2 割合の分母は不明の症例を除いた症例数とする。*3 その他の癌種:腎癌13例、大腸癌6例、甲状腺癌1例、原発不明癌1例
ランマーク投与に際しての注意顎骨壊死
28 29
ONJ発現までのランマーク投与期間ランマーク投与後にONJを発現した120例のうち、発現までのランマーク投与期間が不明の3例を除く117例における、ONJ発現までのランマーク投与期間(ビスホスホネート製剤(BP製剤)投与歴別)は以下のとおりでした。
●ONJ発現までのランマーク投与期間
0
5
10
15
20
25
30
0~3ヵ月 3~6ヵ月 6~9ヵ月 9ヵ月~1年
ランマーク投与期間
症例数
□ BP製剤投与歴不明
■ BP製剤投与歴有
■ BP製剤投与歴無
1~1.5年 1.5~2年 2~3年
3 4
1
1
3
5
10
4
10
8
12
9
8
13
13
7
4
11
(例)
●ONJ発現までのランマーク投与期間(日)BP製剤投与歴 投与期間(日)
無(N=47)
平均±SD 353.91±197.19中央値(Q1, Q3) 316(215, 495.5)
有(N=58)
平均±SD 274.59±180.82中央値(Q1, Q3) 248(153, 384.25)
不明(N=12)
平均±SD 205.17±144.73中央値(Q1, Q3) 158(103, 295)
ONJ発現状況ランマーク投与後にONJを発現した120例における、ONJの発現部位及びステージは以下のとおりでした。
●ONJ発現状況
0% 20% 40% 60% 80% 100%
発現部位
■ 上顎 ■ 下顎 ■ 上下顎
0% 20% 40% 60% 80% 100%
ステージ*(不明の65例を除く)
■ ステージ0 ■ ステージ1 ■ ステージ2 ■ ステージ3
30例(25.0%) 78例(65.0%) 12例(10.0%)
8例(14.5%)
1例(1.8%)
35例(63.6%) 11例(20.0%)
* ONJのステージ及びステージの判定時期は報告医判断に基づく。ステージ判定には以下の基準を参照した。ステージ0:骨露出/骨壊死は認めない、ステージ1:骨露出/骨壊死を認めるが無症状、ステージ2:感染症状を伴う骨露出/骨壊死を認める、ステージ3:ステージ2に加えて、皮膚瘻孔や遊離腐骨を認める
(ビスフォスフォネート関連顎骨壊死に対するポジションペーパー(改訂追補2012年版))
ランマーク投与に際しての注意顎骨壊死 顎骨壊死
顎骨壊死への対策
ランマーク投与前及び投与中は、以下を参考に、適切な処置を行ってください。
顎骨壊死に対する投与前、投与中の注意点
・口腔内の管理状態を確認してください。・歯科検査を受けるよう指導してください。
・報告されている症例の多くが抜歯等の顎骨に対する侵襲的な歯科処置や局所感染に関連して発現しています。
・以下の顎骨壊死のリスク因子を有する患者では、特に注意してください。
ランマーク投与を検討する場合
●悪性腫瘍 ●化学療法 ●コルチコステロイド治療●放射線療法 ●口腔の不衛生 ●歯科処置の既往 等
・観察を十分に行ってください。・患者に以下のことを十分説明してください。
ランマーク投与中
●口腔内を清潔に保つこと ●定期的な歯科検査を受けること●歯科受診時には、本剤の使用を歯科医師に告知すること●抜歯等の侵襲的な歯科治療はできる限り避けること
ランマーク投与前に抜歯等の侵襲的な治療を済ませておくよう患者に指導してください。
侵襲的な歯科治療が必要な場合
侵襲的歯科治療が避けられない場合には、ランマークは休薬せずに歯科治療を進めることを原則とし注)、腫瘍専門医と歯科医・口腔外科医が治療継続のリスクとベネフィットを考慮し判断してください。
歯科治療が必要になった場合
異常が認められた場合・直ちに歯科・口腔外科を受診するよう患者に指導してください。・腫瘍専門医が歯科医・口腔外科医及び患者と相談し、ランマーク治療継続のリスクとベネフィットを考慮し、ランマーク治療の継続・中止を判断してください。
顎骨壊死に対する投与前、投与中の注意点
・口腔内の管理状態を確認してください。・歯科検査を受けるよう指導してください。
・報告されている症例の多くが抜歯等の顎骨に対する侵襲的な歯科処置や局所感染に関連して発現しています。・以下の顎骨壊死のリスク因子を有する患者では、特に注意してください。
ランマーク投与を検討する場合
●悪性腫瘍 ●化学療法 ●血管新生阻害剤治療●コルチコステロイド治療 ●放射線療法 ●口腔の不衛生●歯科処置の既往 等
・観察を十分に行ってください。・患者に以下のことを十分説明してください。
ランマーク投与中
●口腔内を清潔に保つこと ●定期的な歯科検査を受けること●歯科受診時には、本剤の使用を歯科医師に告知すること●抜歯等の侵襲的な歯科治療はできる限り避けること
ランマーク投与前に抜歯等の侵襲的な治療を済ませておくよう患者に指導してください。
侵襲的な歯科治療が必要な場合
侵襲的歯科治療が避けられない場合には、ランマークは休薬せずに歯科治療を進めることを原則とし注)、腫瘍専門医と歯科医・口腔外科医が治療継続のリスクとベネフィットを考慮し判断してください。
歯科治療が必要になった場合
異常が認められた場合・直ちに歯科・口腔外科を受診するよう患者に指導してください。・腫瘍専門医が歯科医・口腔外科医及び患者と相談し、ランマーク治療継続のリスクとベネフィットを考慮し、ランマーク治療の継続・中止を判断してください。
顎骨壊死に対する投与前、投与中の注意点
基本的にもっとも大切なことは、主治医と歯科医師との緊密な連携です。ランマーク投与を開始する前に、主治医は主疾患の症状、治療方針、予後の見込み、ならびに顎骨壊死が発症した場合の対応について歯科医師と十分に協議、検討してください。
* 徹底した感染予防処置:患者への日常の口腔清掃の重要性の教育、毎食後の口腔清掃と抗菌性洗口剤による含嗽の徹底。歯科医師による徹底した口腔管理による、歯垢、歯石、う蝕歯、残根、歯周病、根尖病巣、不適合な義歯、クラウン、ならびにインレーなどの感染原因の可及的除去。⦆
●患者の口腔内の管理状態を確認してください。●歯科検査を受け、口腔内衛生状態を改善するよう、患者に指導してください。
侵襲的な歯科治療が必要な場合
●観察を十分に行ってください。・問診などにより患者の口腔内の状態に留意してください。・口腔内診査の結果を歯科医師より入手してください。
●患者に以下のことを十分説明してください。・口腔内を清潔に保つこと ・定期的な口腔内診査を受けること・歯科受診時には、本剤の使用を歯科医師に告知すること・抜歯等の侵襲的な歯科治療はできる限り避けること
●報告されている症例の多くが抜歯等の顎骨に対する侵襲的な歯科処置や局所感染に関連して発現しています。
●以下の顎骨壊死のリスク因子を有する患者では、特に注意してください。・悪性腫瘍 ・化学療法 ・血管新生阻害薬 ・コルチコステロイド治療・放射線療法 ・口腔の不衛生 ・歯科処置の既往 等
ランマーク投与前に抜歯等の侵襲的な治療を済ませておくよう患者に指導してください(ランマーク投与開始の2週間前までに終えておくことが望ましい)。
●治療前の徹底した感染予防処置*を行ったうえで休薬は行わずに、できるだけ保存的に、やむを得ない場合は侵襲的歯科治療を進めてください。
●侵襲的歯科治療後は、術創が治癒するまでの間は、主治医と歯科医師がランマーク治療継続のリスクとベネフィットを考慮し、治療の継続・休薬を判断してください。
●休薬した場合のランマークの再開時期は、基本的には治療部位の十分な骨性治癒が見られる2ヵ月前後が望ましいとされていますが、投与再開を早める必要がある場合は、術創部の上皮化がほぼ終了する2週間を待ち、術部に感染がないことを確認した上で投与を再開してください。
ランマーク投与を検討する場合
ランマーク投与中
歯科治療が必要になった場合
異常が認められた場合
●直ちに歯科・口腔外科を受診するよう患者に指導してください。●主治医は、歯科医師及び患者と相談し、ランマーク治療継続のリスクとベネフィットを考慮し、ランマーク治療の継続・中止を判断してください。
30 31
顎骨壊死について
ここでは骨吸収抑制薬関連顎骨壊死(Anti-resorptive agents-Related Osteonecrosis of the Jaw:ARONJ)を記載しています。
診断基準以下の3項目の診断基準を満たした場合に、ARONJと診断します。
(1)ビスホスホネート(BP)又はデノスマブによる治療歴がある。(2)顎骨への放射線照射歴がない。また骨病変が顎骨へのがん転移ではないことが確認できる。(3)医療従事者が指摘してから8週間以上持続して、口腔・顎・顔面領域に骨露出を認める、又は口腔内、あるいは
口腔外の瘻孔から触知できる骨を8週間以上認める。ただしステージ0に対してはこの基準は適用されない。
Yoneda T. et al.: J Bone Miner Metab. 35(1), 6-19, 2017 一部改変. 日本骨代謝学会より許諾を得て掲載
臨床症状とステージングARONJの臨床症状とステージングについて表1に、肉眼写真及びパノラマ画像を図1に示します。
表1 ARONJの臨床症状とステージング
ステージ 臨床症状 画像所見
ステージ0*
骨露出/骨壊死なし、深い歯周ポケット、歯牙動揺、口腔粘膜潰瘍、腫脹、 膿瘍形成、開口障害、下唇の感覚鈍麻又は麻痺(Vincent症状)、歯原性では説明できない痛み。
歯槽骨硬化、歯槽硬線の肥厚と硬化、抜歯窩の残存
ステージ1無症状で感染を伴わない骨露出や骨壊死又はプローブで骨を蝕知できる瘻孔を認める。
歯槽骨硬化、歯槽硬線の肥厚と硬化、抜歯窩の残存
ステージ2感染を伴う骨露出、骨壊死やプローブで骨を蝕知できる瘻孔を認める。 骨露出部に疼痛、発赤を伴い、排膿がある場合と、ない場合とがある。
歯槽骨から顎骨に及ぶびまん性骨硬化/ 骨溶解の混合像、下顎管の肥厚、骨膜反応、上顎洞炎、腐骨形成
ステージ3
疼痛、感染又は1つ以上の下記の症状を伴う骨露出、骨壊死、又はプローブで蝕知できる瘻孔。歯槽骨を超えた骨露出、骨壊死(例えば、下顎では下顎下縁や下顎枝にいたる。上顎では上顎洞、頬骨にいたる)。その結果、病的骨折や口腔外瘻孔、鼻・上顎洞口腔瘻孔形成や下顎下縁や上顎洞までの進展性骨溶解。
周囲骨(頬骨、口蓋骨)への骨硬化/ 骨溶解進展、下顎骨の病的骨折、上顎洞底への骨溶解進展
* ステージ0のうち半分はONJに進展しないとの報告があり、過剰診断とならないよう留意する。
Yoneda T. et al.: J Bone Miner Metab. 35(1), 6-19, 2017 一部改変. 日本骨代謝学会より許諾を得て掲載
図1 ARONJの肉眼写真及びパノラマ画像A
C
B D
C
A:ステージ0 62歳、女性。骨粗鬆症のためアレンドロネート投与。抜歯なし、右側オトガイ部の知覚麻痺。口腔内骨露出なし、排膿 なし、疼痛なし。
B:ステージ1 73歳、女性。乳がんのためデノスマブ投与。休薬せず抜歯、右側下顎小臼歯の抜歯後治癒不全。抜歯窩骨露出あり (矢印)、排膿なし、疼痛なし。
C:ステージ2 78歳、男性。骨粗鬆症のためイバンドロネート投与。抜歯なし、右側上顎臼歯部の疼痛。頬側歯槽骨露出(矢印、ミラー使用)、右側上顎洞炎併発(星印)。
D:ステージ3 68歳、女性。乳がん骨転移のためゾレドロン酸、デノスマブ投与。抜歯なし、上顎及び下顎臼歯部頬側歯槽骨露出 (矢印)、顎下部皮膚に瘻孔形成、パノラマ画像で左側下顎臼歯部に骨硬化と骨溶解の混合像(星印)、左側上顎洞炎併発 (矢頭)。
D
Yoneda T. et al.: J Bone Miner Metab. 35(1), 6-19, 2017 一部改変. 日本骨代謝学会より許諾を得て掲載
治療と管理ARONJの治療は基本的に以下の3項目に集約されます。
(1)骨壊死領域の進展を抑える。(2)疼痛、排膿、知覚異常などの症状の緩和と感染制御により患者のQOLを維持する。(3)歯科医療従事者による患者教育及び経過観察を定期的に行い、口腔管理を徹底する。
ARONJの治療法はステージにより異なります(表2)。しかし、いずれのステージにおいても歯/歯周疾患の積極的治療と抗菌性洗口剤使用による口腔衛生状態の改善、そして全身的抗菌薬投与による治療は共通して重要です。またステージに関わらず分離した腐骨は除去し、軟組織の治癒を促進させ、かつONJの進展を防がなければなりません。
表2 ARONJのステージに基づいた治療方針
ステージ0と1 抗菌性洗口剤の使用、瘻孔や歯周ポケットに対する洗浄、局所的抗菌薬の塗布・注入
ステージ2抗菌性洗口剤と抗菌薬の併用、難治例:複数の抗菌薬併用療法、長期抗菌薬療法、連続静注抗菌薬療法、腐骨 除去、壊死骨掻爬、顎骨切除
ステージ3腐骨除去、壊死骨掻爬、感染源となる骨露出/壊死骨内の歯の抜歯、栄養補助剤や点滴による栄養維持、壊死骨が広範囲に及ぶ場合、顎骨の辺縁切除や区域切除
注 病期に関係なく、分離した腐骨片は非病変部の骨を露出させることなく除去する。露出壊死骨内の症状のある歯は、抜歯しても壊死過程が増悪することはないと思われるので抜歯を検討する。
Yoneda T. et al.: J Bone Miner Metab. 35(1), 6-19, 2017 一部改変. 日本骨代謝学会より許諾を得て掲載
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ランマーク投与に際してのチェックポイント(多発性骨髄腫による骨病変及び固形癌骨転移による骨病変)
本剤は、がん治療に十分な知識・経験を持つ医師のもとで使用される薬剤です。本剤の使用が適切と判断される症例についてのみ使用してください。
低カルシウム血症チェック項目 チェック
■投与開始前モニタリング、低カルシウム血症の治療について
投与開始前に血清補正カルシウム値※等の血清電解質濃度を測定・評価する。⇒低カルシウム血症のある患者の場合は、本剤投与開始前に低カルシウム血症を治療する。
□
■低カルシウム血症の発現リスクが高い患者への投与について
低カルシウム血症を起こすおそれのある患者、重度の腎機能障害のある患者の場合は慎重に投与する。 □
■毎日のカルシウム、ビタミンD補充療法について
腎機能が正常な患者の場合血清補正カルシウム値※が高値でない限り、少なくともカルシウムとして500mg及び天然型ビタミンDとして400IUを補充投与する。
□
腎機能障害のある患者の場合腎機能の障害の程度に応じ、活性型ビタミンDを使用するとともに、カルシウムについては投与の必要性を判断し、投与量を適宜調整する。
□
■投与後の留意点
治療開始後数日から低カルシウム血症があらわれることがあるので、頻回に血清補正カルシウム値等の血清電解質濃度を測定・評価する。
□
低カルシウム血症が認められた場合には、カルシウム及びビタミンDの経口投与に加えて*、緊急を要する場合には、カルシウムの点滴投与を併用するなど、適切な処置を速やかに行う。*カルシウムの点滴投与等の処置の際にも、カルシウム及びビタミンDの経口補充を継続してください
□
患者に対し、手足のふるえ・筋肉の脱力感・痙攣・しびれ・不整脈等の症状があらわれた場合には、すぐに連絡するよう指導する。 □
※血清アルブミン値が4.0g/dL未満の場合には、以下の式による補正カルシウム値を用いてください
補正カルシウム値(mg/dL)=血清カルシウム値(mg/dL)+4-血清アルブミン値(g/dL)
顎骨壊死チェック項目 チェック
■口腔内の管理状態について
投与開始前に口腔内の管理状態に問題がないことを確認する。⇒ 口腔内の管理状態に問題がある場合、患者に対し適切な歯科検査を受け、侵襲的な歯科処置をできる限り済ませて
おくよう指導する。□
■投与後の留意点
本剤投与中に歯科処置が必要になった場合には、できる限り非侵襲的な歯科処置を受けるよう指導する。侵襲的な歯科処置が避けられない場合には、本剤は休薬せずに歯科治療を進めることを原則とし、主治医(腫瘍専門医)と歯科医・口腔外科医が治療継続のリスクとベネフィットを考慮し、判断する。
□
顎骨壊死が認められた場合には、歯科医・口腔外科医及び患者と相談し、主治医(腫瘍専門医)が治療継続のリスクとベネフィットを考慮し、本剤による治療中止の必要性について判断する。
□
患者に以下について説明・指導すること。 ●口腔内を清潔に保つこと。 ●定期的な歯科検査を受けること。 ● 歯科受診時にランマークの使用を歯科医師に告知して侵襲的な歯科処置はできる限り避けること。 ● あごの痛み・歯のゆるみ・歯ぐきの腫れ等の症状があらわれた場合には、直ちに歯科・口腔外科を受診すること。
□
・本剤治療中止後、多発性椎体骨折があらわれることがあります。・ 一般的に、椎体骨折は骨粗鬆症の合併、骨折(特に椎体骨折)の既往、ステロイド薬
併用の患者でリスクが高く1)、本剤治療中止後の多発性椎体骨折のリスクが高まる可能性があるため、注意深く観察してください。
・ 骨粗鬆症合併患者において、本剤治療を中止する場合には、骨吸収抑制薬等の使用を考慮してください。
1)骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会編、骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版
骨転移のない早期乳癌患者を対象としたプラセボ対照の国際共同第Ⅲ相試験(20060359試験、D-CARE試験)の結果において、治療中止後の多発性椎体骨折がプラセボ群では発現が認められなかった一方、本剤群では10例
(0.5%)に認められました(データ未公表)。
●D-CARE試験で認められた治療中止後の多発性椎体骨折における既往歴、又は併用療法(データ未公表)
デノスマブ群
プラセボ群(N=2,218)
n(%)
治療中止後の多発性椎体骨折
発現例(N=10)
n(%)
全体(N=2,241)
n(%)
骨粗鬆症の合併・既往歴 有a 2(20.0) 91(4.1) 175(7.9)
治療開始前の骨折既往歴 有b 5(50.0) 387(17.3) 402(18.1)
椎体骨折 有c 1(10.0) 24(1.1) 19(0.9)
非椎体骨折 有 5(50.0) 380(17.0) 387(17.4)
無又は不明 5(50.0) 1,854(82.7) 1,816(81.9)
乳癌に対するホルモン治療の併用 有d 7(70.0) 1,587(70.8) 1,588(71.6)
乳癌に対するアロマターゼ阻害薬の併用 有e 7(70.0) 960(42.8) 997(45.0)
N=治験薬を1回以上投与された被験者数a 治験薬最終投与後30日、又は多発性椎体骨折の発現日のいずれか遅い日までに骨粗鬆症、又は骨減少症の診断名を有する被験者数b 治験薬の初回投与前に記録された全ての骨折を含むc 椎体骨折には、頚椎、胸椎、腰椎、仙骨の骨折を含み、椎体骨折・非椎体骨折の両方の既往歴を有する被験者を含むd 無作為化の12週間前、又は最初の再発後に開始したホルモン療法は除外したe アロマターゼ阻害薬には、レトロゾール、アナストロゾール、エキセメスタンを含む 社内資料
これらの投与中止後の多発性椎体骨折は、特に骨折(非椎体又は椎体)の既往歴、又は骨粗鬆症を合併症として有する閉経後の悪性腫瘍患者で認められています。
乳癌骨転移患者を対象としたデノスマブの無作為化実薬対照比較試験(海外第Ⅱ相試験)において、デノスマブ120mg4週に1回投与を6回投与後のデノスマブの血中濃度は投与終了後約32週(投与開始から56週後)でほぼ消失し、デノスマブ血中濃度の低下とともに、骨吸収マーカーのベースラインを超える上昇が認められています。
<参考>Sohn W. et al.: Br J Clin Pharmacol. 78(3), 477-487, 2014
治療中止後の多発性椎体骨折その他
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