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バイオリン初心者演奏の学習意欲と楽しみを向上させる 簡易演奏装置における運弓フィードバックの提案 湊 広輝 *1 Hiroki Minato *1 Abstract 本研究では,バイオリン初心者の学習意欲想起を目的として,運弓動作を検出するデバイ スを用いた演奏音生成システムを提案する.弓の毛にかかる圧力,弓の速度,弓の傾きを測定することで得 られる数値から演奏音を生成し,また正しく演奏していない際に失敗音としてそのフィードバックを得るこ とによってバイオリン演奏の楽しみを持たせることで,興味と練習モチベーションにどのように影響するか を検証する. Keywords : 運弓動作,楽しみ,モチベーション,圧力センサ,失敗音 1. はじめに 1. 1 研究背景 バイオリンは,16 世紀後半からから 18 世紀前半に, 北イタリアの小都市クレモナで誕生した [1] .楽器の サイズは,全長 59cm でボディ部が約 35cm,ネック約 24cm で,馬の尾毛を束ねて作られた弓で演奏する [2]このようなバイオリンという楽器は,多くの人に上 品さやかっこよさがあるというイメージを持たれてい る.しかし,バイオリンの演奏者人口は日本でも 10 万人ほどで,興味があったとしても始めてみようとす る人は少ない.それは,バイオリンという楽器に触れ る機会がなかったためと思われる.一方,同じく知名 度の高いピアノという楽器は義務教育の現場などにあ り触れる機会が多く,趣味としてピアノを興じる人は 多い [3]小山 [4] は,学校教育現場で弦楽器があまり使われ ない理由として,以下の点を挙げた. 楽器奏法,指導法の具体的なイメージが湧かない. 弦楽器を専門とする指導者の絶対数が少ない. 楽器が高額だと思われて設置されない. また,バイオリン奏者が少ない原因を調査するため, 情報学部の生徒 23 名を対象にアンケートを行った.結 果を図 1 に表す.この結果より,バイオリン奏者が少 ない理由は,価格や難易度が原因であると考えられる. バイオリンの価格は供給量増加によって安価になると かんがえられるため,本研究ではバイオリン学習の難 しさに着目した.バイオリンが難しいと感じられる原 因は,鳴らしたい音程で一音を鳴らすことや均一の音 量で音を鳴らす,という他の楽器では簡単にできるこ *1 :関西大学 総合情報学部 米澤研究室 *1 Yonezawa laboratoryFaculty of InformaticsKansai University 1 バイオリンを始めない理由 とが困難であることが挙げられる.ピアノであれば鍵 盤を押すことで安定した音を発生させることができ, バイオリンと同じ弦楽器であるギターであってもネッ クに刻まれたフレットを押さえ,弦を弾くだけで安定 した音を鳴らすことができる. 一方,バイオリンの演奏方法 [5] は,左手でバイオ リン本体のネックにある弦を押さえて音高を調整し, また右手で弓を持ち独立して運弓し,弦を擦ることに よって発音する.この時重要となるのは,「弓を弦に押 さえる力(圧力)」,「弓を擦る速さ(速度)」,「弓の傾 きなどのバランス」である [6, 7].正確に安定した音 を発音することは難しく,弓は発音タイミングの制御 や音量,つまり演奏そのものを表現する [8].しかし, 弓を正しく扱うことは左手で弦を押さえる動作以上に 難しく,その操作には長い練習と慣れが必要である. そのため初心者には自由な演奏や,演奏者のイメージ する表現豊かな演奏を実現することは難しい. そこで本研究では,演奏表現として重要な弓に注目 し,初心者でも簡単に楽しく使えるようなバイオリン 弓デバイスを提案する.これは,弓デバイスのみでバ イオリン演奏を行うことが可能で,デバイスに取り付

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バイオリン初心者演奏の学習意欲と楽しみを向上させる簡易演奏装置における運弓フィードバックの提案

湊 広輝 ∗1  

Hiroki Minato∗1 

Abstract – 本研究では,バイオリン初心者の学習意欲想起を目的として,運弓動作を検出するデバイスを用いた演奏音生成システムを提案する.弓の毛にかかる圧力,弓の速度,弓の傾きを測定することで得られる数値から演奏音を生成し,また正しく演奏していない際に失敗音としてそのフィードバックを得ることによってバイオリン演奏の楽しみを持たせることで,興味と練習モチベーションにどのように影響するかを検証する.

Keywords : 運弓動作,楽しみ,モチベーション,圧力センサ,失敗音

1. はじめに

1. 1 研究背景

バイオリンは,16世紀後半からから 18世紀前半に,

北イタリアの小都市クレモナで誕生した [1] .楽器の

サイズは,全長 59cmでボディ部が約 35cm,ネック約

24cmで,馬の尾毛を束ねて作られた弓で演奏する [2].

このようなバイオリンという楽器は,多くの人に上

品さやかっこよさがあるというイメージを持たれてい

る.しかし,バイオリンの演奏者人口は日本でも 10

万人ほどで,興味があったとしても始めてみようとす

る人は少ない.それは,バイオリンという楽器に触れ

る機会がなかったためと思われる.一方,同じく知名

度の高いピアノという楽器は義務教育の現場などにあ

り触れる機会が多く,趣味としてピアノを興じる人は

多い [3].

小山 [4]は,学校教育現場で弦楽器があまり使われ

ない理由として,以下の点を挙げた.

• 楽器奏法,指導法の具体的なイメージが湧かない.

• 弦楽器を専門とする指導者の絶対数が少ない.

• 楽器が高額だと思われて設置されない.

また,バイオリン奏者が少ない原因を調査するため,

情報学部の生徒 23名を対象にアンケートを行った.結

果を図 1に表す.この結果より,バイオリン奏者が少

ない理由は,価格や難易度が原因であると考えられる.

バイオリンの価格は供給量増加によって安価になると

かんがえられるため,本研究ではバイオリン学習の難

しさに着目した.バイオリンが難しいと感じられる原

因は,鳴らしたい音程で一音を鳴らすことや均一の音

量で音を鳴らす,という他の楽器では簡単にできるこ

*1:関西大学 総合情報学部 米澤研究室*1:Yonezawa laboratory,Faculty of Informatics,KansaiUniversity

図 1 バイオリンを始めない理由

とが困難であることが挙げられる.ピアノであれば鍵

盤を押すことで安定した音を発生させることができ,

バイオリンと同じ弦楽器であるギターであってもネッ

クに刻まれたフレットを押さえ,弦を弾くだけで安定

した音を鳴らすことができる.

一方,バイオリンの演奏方法 [5]は,左手でバイオ

リン本体のネックにある弦を押さえて音高を調整し,

また右手で弓を持ち独立して運弓し,弦を擦ることに

よって発音する.この時重要となるのは,「弓を弦に押

さえる力(圧力)」,「弓を擦る速さ(速度)」,「弓の傾

きなどのバランス」である [6, 7].正確に安定した音

を発音することは難しく,弓は発音タイミングの制御

や音量,つまり演奏そのものを表現する [8].しかし,

弓を正しく扱うことは左手で弦を押さえる動作以上に

難しく,その操作には長い練習と慣れが必要である.

そのため初心者には自由な演奏や,演奏者のイメージ

する表現豊かな演奏を実現することは難しい.

そこで本研究では,演奏表現として重要な弓に注目

し,初心者でも簡単に楽しく使えるようなバイオリン

弓デバイスを提案する.これは,弓デバイスのみでバ

イオリン演奏を行うことが可能で,デバイスに取り付

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けた各センサで演奏者の運弓動作の動きを数値化し,

演奏音として反映する.バイオリン演奏には様々な楽

しみが存在する.例えば,「正確な音程で演奏ができ

る」,「豊かな演奏表現をする」,「人とのセッションを

上手にこなす」,「響きある美しい音色で演奏ができる」

などが考えられる.本システムではこの楽しみの中で

も「正確な音程で演奏ができる」,「豊かな演奏表現を

する」という楽しみを体験できるシステムである.疑

似体験を行うことで興味を持つことができる [9]ので,

楽しく簡単なバイオリン弓演奏体験を通して,バイオ

リンへの興味や練習意欲を向上させることができると

考えた.

1. 2 研究目標

本研究では,バイオリン演奏の表現を担うバイオリ

ン弓に注目した上で,バイオリンを知っているが演奏

練習を始めるモチベーションが起こらないという人に,

バイオリン演奏の楽しみを知ってもらい,バイオリン

への興味を持たせることでバイオリン演奏の練習をし

ようとする動機付けが目標である.演奏に用いる弓デ

バイスは,弓を押さえる圧力である弓圧,弓を動かす

速度である弓速,弓のバランスである弓の傾きを検知

し,その値を掛けあわせることによって演奏者表現に

よっての失敗音の発生,音量表現を行っている.失敗

音を鳴らさないように演奏を続けることで,伴奏が追

加され演奏者は演奏する楽しみ [10]や興味を増加させ

ることができる.運弓によってのみ演奏することで,

演奏者は音階のポジションを押さえる難しさを回避し,

また運弓動作独特な音量の繊細な表現を体験すること

ができる.バイオリンの楽しみの一部である「正確な

音程で演奏ができる」,「豊かな演奏表現をする」を与

えることができる弓デバイスを提案する.

2. バイオリンの仕組み

2. 1 バイオリン本体と弓の構造

図 2に本研究で対象としているバイオリンの全体図

を示す.バイオリンには 4本の弦があり,ボディ部に

あるテールピースからネックの先にあるペグまで強い

張力で張っている [5].バイオリンは顎当ての部分を

顎と肩で挟んで支える [8].

バイオリン弓の各部の名称の一部として図 3に示す.

木製またはカーボン製の棹と,馬の尾の毛またはくじ

らのひげで出来た弓毛からなり,演奏時には弓の下部

にあるネジを回すことで弓毛を張る必要がある.また

弓毛に松脂を刷り込むことで運弓時に弦との摩擦力を

あげる.

2. 2 バイオリンの発音方法

バイオリンは,弦だけでは発音しない.弓毛でボディ

に張った弦を摩擦することで,弦の振動がブリッジ,

図 2 バイオリン

表板,魂柱,裏板と伝わりボディ全体を震わせること

で音を発音する [11].

2. 3 バイオリンの演奏方法

バイオリンの発音機構として,図 2の矢印の方向に

バイオリン弓(図 3)を擦ることによってバイオリン

の弦が振動し発音される.

演奏者はバイオリンを肩と顎で支え,左手でバイオ

リンのネックを持ち指板上の弦を押さえて音高を調整

する.右手で弓を持ち,バイオリンの指板からブリッ

ジまでの間で弦を擦る.音高を調整する際は,各音階

のポジションを押さえる.ポジションは演奏者が感覚

的に覚える必要がある.そのため初心者では指板に目

印となるシールなど印を付ける事がある.

弓の操作では,棹のサムグリップ周辺を持ち,弓毛

の先弓から元弓まで弦に擦り付ける.速く弾いたり,

強く弾いた際に弓の張力によって弓が跳ねる場合や弱

く弾いた際には発音しないなど起こる.迫力のある

演奏や繊細な演奏と言われるものは全て,弓の操作に

よって表現される.また,運弓の種類は約 8000種類

に及んでいる [12].

よって左手のポジションを覚えることよりも右手の

運弓のほうが上達が難しいと言われている.

本研究ではバイオリン演奏の表現をバイオリン弓に

実際に掛かる物理パラメータとして「圧力」,「速度」,

「傾き」を用いてバイオリン音の生成を行うシステム

の提案する.

3. 関連研究

3. 1 運弓動作の研究

バイオリンの運弓動作の研究はいくつか行われてお

り [13, 14],ロボットに綺麗な演奏音でバイオリンを

弾かせるといった技術なども存在する [15].また,バ

イオリン指導を行うための運弓動作研究も行われてい

る [16].

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図 3 バイオリン弓

また,運弓動作の疑似体験ができる,赤澤らのアル

コやピチカートによる楽曲演奏が可能な弦型電子楽器

cymisの開発を挙げる [17].このシステムの開発コン

セプトに,以下の点を挙げている.

• 難しい楽曲でも簡単に演奏することができる

• 演奏を楽しむことができる

• 上達することができる

以上の3点である.このシステムは弓の代わりとし

てマウスに圧力センサを取り付けたものを使用してい

る.ディスプレイに表示される音符に対してマウスを

左右に動かすことをボーイング (運弓)とし,貼り付

けた圧力センサを握る強さで音量としている.

本システムでも簡単に演奏できることを目標として

いる.また,演奏を楽しむことも考慮に入れている.

しかし本研究では,バイオリンを弾いている感覚を起

こすために,弓表現をマウスで行うのではなく,実際

の演奏表現により近い実際の弓を使用する.またその

際には各種センサを用い,実際の動きを数値として取

得することでより細かな演奏表現を再現することがで

きる.

3. 2 楽器演奏の学習支援システム

近年,様々な楽器演奏初心者に対する学習支援シス

テムについての研究が多く行われており [19],evio [20]

のようなおもちゃで手軽に練習できる商品も発売され

ている.石原らは,二胡演奏初心者の,弦を押さえる

圧力や弓を持つ圧力を測定し,分析を行った [21].こ

れらの分析は,二胡のスキルの学習支援環境を構築す

るために役立てるものとなった.本研究でも,弦を抑

える圧力を用いて初心者の演奏支援を行う.しかし,

圧力だけでは本物のバイオリンは演奏できないため,

弓の速度と傾きの要素を追加し,より本物らしいバイ

オリンで演奏支援を行う.

また,榊原らは,スマートフォンでバイオリンの練

習ができるシステムを提案した [22].このシステムは,

スマートフォンの画面上に描かれたバイオリンの弦を

抑えることで,簡単に運指の練習ができる.このシス

テムでは音は鳴らないため,ユーザは練習に没頭する

ことができる.このように,榊原らは運指の練習シス

テムを作り簡単にバイオリンを弾けるようになる事を

狙っている.しかし,無音で練習することにより,時

間が経過するにつれて飽きが生じてくると考えるため,

本研究では初心者に演奏音と失敗音の音を聞きながら

練習できるシステムを提案する.

一方で,視覚フィードバックによって指導を行う研

究も多々行われている [23].宮里らは,バイオリンの

演奏音の関係を調査し [25],指導・学習のモデルを想

定した [24].このモデルによって初心者に指導を行っ

たところ,スキルの習熟が見られた.この結果より,

本研究でもバイオリンの指導を行うために,視覚的

フィードバックを行うことにする.

3. 3 バイオリン音生成システム

松村らの弓圧および運弓制御機能を持つバイオリン

音生成システムの試作を挙げる [6].これは,バイオ

リン音生成時の運動パラメータと生成音の音響的性質

の関係性を調べ,機械が弓を使ってバイオリン演奏を

可能にするために制御されたシステムである.実際の

バイオリンと弓を用い,機械制御のみで,美しいバイ

オリン音を出せるような運弓や弓圧を表現することを

可能にした.本システムでは,弓の毛に加わる圧力を

測定し,そこから音量やバイオリン音を生成するとい

うものになっている.また,本研究では初心者が簡単

にバイオリンを演奏できることを目的としている.そ

のため,機械が演奏するのではなく,実際に弓を用い

て演奏し,自分が美しい音を奏でているように感じる

ことができる.

3. 4 伴奏セッションによる効果

酒井の幼児の歌におけるピアノ伴奏法についてを挙

げる [10].ここでは伴奏による歌の歌いやすさや曲全

体のイメージの違い,幼児への感性の付与などが起こ

ると述べられている.本研究では運弓演奏で失敗音を

鳴らさずに演奏を続けることによって,旋律に伴奏が

付与されることで,演奏者の演奏にさらに楽しみを付

与する事ができると考えた.

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図 4 システムのフロー図

4. 提案する弓デバイスシステム

4. 1 システム概要

本研究では,バイオリン弓の演奏表現を簡単に楽し

く行うことで,弓演奏への興味や練習をしようとする

動機付けが目標であるため,以下のシステム構成とし

た.システムのフローを図 4に示す.

(1) 運弓動作による入力部

(2) 各センサの数値による音合成

(3) フィードバックのための出力部

(1)では,ユーザが弓デバイスを用いて運弓動作

を行い,演奏表現を行うための数値をセンサによって

取得する.

(2)では,センサの数値から演奏表現を生成するた

めに,音量,失敗音の有無,1ストロークの認識,楽

譜の進行を決定する.

(3)では,生成された演奏表現から音声の出力を

行い,またディスプレイには運弓状態の確認のため,

現在の弓の圧力や速度,傾きを視覚的にフィードバッ

クを行う.

必要とされるデバイスは弓デバイス,ディスプレイ,

スピーカまたはヘッドフォンで,音はスピーカまたは

ヘッドフォン,弓の状態はディスプレイから出力され

る.ユーザは弓デバイスを持ち,身の回りの硬いもの

に弓毛を擦ることでバイオリン音を発生させる事がで

きる.その際に発生させられる音声は MIDI(Musi-

cal Instrument Digital Interface)によって制御され,

Microsoft GSによって出力される.また,本システム

はバイオリン弓型デバイスだけで構成されており,音

階の調整は自動に行われる.

図 5 弓デバイス

表 1 弓の速度,弓の圧力による音量

速度 圧力 音量

速い 強い とても大きい

速い 普通 大きい

速い 弱い 大きい

普通 強い 大きい

普通 普通 普通

普通 弱い 小さい

遅い 強い 普通

遅い 普通 小さい

遅い 弱い 小さい

4. 2 弓操作による演奏表現

弓操作には「圧力」,「速度」,「傾き」が重要である.

本研究では弓デバイス(図 5)に圧力センサ,加速度

センサ,角速度センサを取り付け各値を取得し,演奏

表現を生成している.

4.2.1  「圧力」,「速度」による演奏表現

本研究では,「圧力」と「速度」によって演奏表現で

ある音量,また演奏音,失敗音の選択調整をしている.

その対応を表 1に示す.

弓の速度には「速い」,「普通」,「遅い」のパターン

を想定し,弓の圧力には「強い」,「普通」,「弱い」の

パターンを想定した.速度が速く,圧力が強い時は,

演奏音はとても大きい音が発音される.そして,速度

が遅く,圧力が弱い時は,演奏音は小さい音が発音さ

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図 6 弓 1ストロークの判断

れる.

また,「圧力」と「速度」によって弓デバイスが 1ス

トローク動いたことを認識し,1ストロークの動きに

よって1音発音される.その流れを図 6に示す.まず,

圧力の値が閾値以上取得された上で速度の値が得られ

ることで発音される.この際,どちらか一方でも数値

が得られない場合は発音はされない.発音された時,

次に圧力の数値が得られなくなるまで発音が続けられ

る.圧力の数値が得られなくなると,発音は止まり,

1ストロークが終了したと判断される.

さらに,演奏時に特定の条件(図 7)でバイオリン

特有の「かすれ音」や「ギギギ音」が発音される.かす

れ音とはバイオリン演奏時に弓毛にかかる圧力が低い

ことや,弓毛が弦にしっかりあたっていない時に運弓

することで発生する不快な高音である.ギギギ音とは,

バイオリン演奏時に圧力が強く,速度が遅い時に弓毛

が弦に引っかかりすぎて発生する不快な鈍い音である.

本研究ではそれらの音を失敗音と定義する.本システ

ムでは,実際にかすれ音とギギギ音を録音したものを

使用し,かすれ音は速度が速く圧力が弱い時に発音し,

ギギギ音は速度が遅く圧力が高い時に発音する.

これらの失敗音は実際のバイオリンにおいて発音さ

れる条件と合わせるように設定しており,本システム

において失敗音が発音されるときは演奏が正常にでき

ていないときであると言える.失敗音を鳴らさずに正

常に演奏できている圧力,速度,傾きの例を図 7の丸

で囲んだ範囲に示す.

正しい演奏時の演奏音を鳴らしている数値の演奏写

真とグラフを図 8,失敗音 (ギギギ音)を鳴らしている

数値の演奏写真とグラフを図 9に示す.ギギギ音の発

図 7 音の変化を示したマトリクス

図 8 演奏時の数値:演奏音

音する条件は,圧力が強く 60以上でなおかつ速度が

遅く 20以下の時である.矢印で示したところでは圧

力が 60を超えており,なおかつ速度も 20より小さい

数値を得ている.また,上部演奏写真に示した棹と弓

毛の間隔が狭く,演奏音を鳴らしている写真の棹と弓

毛の間隔と比較しても弓毛に強い力がかかっているこ

とがわかる.

4.2.2  「傾き」による演奏表現

本研究では,弓の平行に対する「傾き」によって音

量の減少,または演奏表現である失敗音の有無を調整

している.

運弓動作中に弓の傾き(図 10)が発生することで,

音量を減少させる.

また,傾きが発生することで,失敗音が発音される

圧力と速度の値の範囲が広がり,失敗音を発音しやす

くなる.

実際のバイオリンにおいて弓を傾けることは,力が

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図 9 演奏時の数値:失敗音

入りすぎて音が潰れないようにする際に用いられる技

術の一つ [26]だが,傾けすぎることに弓毛が弦にしっ

かり当たらずに不快な音を鳴らしてしまうことがある.

そのため基本としては弓は傾けずに運弓することが望

ましいとされている.本システムにおいても,弓を傾

けることで失敗音が発音される確率が上がるので,弓

が傾いて運弓される演奏は正常にできていない状態で

ある.

4. 3 楽譜による音階の自動進行

本システムでは,音高を演奏者が任意に調整する機

能はない.弓デバイスに予め楽譜データを入力してお

き,1ストロークを検出しストロークに従って楽譜を

1音ずつ進めることで楽曲の演奏ができる.

楽器演奏において,演奏者の音高をの調整は演奏楽

しみを大幅に向上させるとともに,難易度も大きく上

げてしまう.本研究は初心者にバイオリン演奏に興味

を持たせることが目標のため,難易度を下げる工夫と

して,演奏者による音高調整は出来ないようにした.

4. 4 上達のための運弓支援

本研究では,運弓動作のどのような要素が重要であ

るかユーザに理解させるために,運弓時の弓の「圧力」,

「速度」,「傾き」がディスプレイに表示される(図 11).

弓の速度が速い場合は速さの右の「速」の白丸が赤に

点灯し,正常範囲内にある場合は中央の「good」の白

丸が緑に点灯する.

失敗音によって演奏の間違いを伝え,ディスプレイ

図 10 傾きの方向

表示によって訂正する指標を示す.

4. 5 伴奏表現

本研究では,バイオリン演奏の楽しみを向上させる

ために,伴奏機能を実装した.弓演奏時に「失敗音」

を発音せずに演奏を続けることによって,楽曲の伴奏

がフェードインする.

伴奏が付与されることで,演奏者の達成感と他者と

のセッションをしているという楽しみが感じられるこ

とを期待している.

5. 弓の傾き矯正に関する実験

5. 1 実験の目的

弓デバイスを傾けると鳴る失敗音を聞いて間違いで

あると気付くことができるかを検証する.

5. 2 実験の設定

仮説:失敗音が鳴った時に弓の傾きが失敗であると気

付き,傾きがない状態に修正する.

被験者:被験者は 19歳から 22歳のバイオリン未経験

者の 21人.

条件:「音フィードバック」の 1要因,「失敗音がある」

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図 11 視覚フィードバック

「失敗音がない」の 2水準,2条件で行った.

手順:本実験では弓デバイスに加え,バイオリンの全

長のサイズにあわせて作製した木製の模擬バイオリン

を用いた.

実験の手順は以下の 4段階に分けて行った.

1. 被験者に基本的なバイオリンの構え方と弓の持ち

方を動画で説明し,バイオリンや弓の持ち方を練

習させた.

2. 間違った構え方をしている場合は口頭で指示を

行った.なお,傾けることが間違いで,失敗音が

鳴るという要素の説明は行わず,正しい演奏方法

だけを示した.

3. 2分間のシステムを使った練習を行い,練習後に

課題曲として「きらきら星」の演奏を行った.

4. 演奏が終わった際にMOS 法による 5 段階の主観

評価アンケートを行った.

評価項目:被験者には演奏後,5段階 (1:あてはまら

ない 2:まああてはまらない 3:どちらでもない 4:ま

ああてはまる 5:あてはまる) による主観評価を行っ

た.主観評価項目は以下の 10項目である.

1. このデバイス体験に満足感を得た

2. バイオリン弓の扱いが早く上達すると思った

3. 他の人にも勧めたいと思った 

4. また使ってみたいと思った 

5. 運弓動作で間違いをした 

6. 自分で間違いを修正出来た 

7. 演奏が楽しいと思った 

8. 簡単に演奏出来た 

9. 本物のバイオリンも弾いてみたいと思う 

10. 本物のバイオリンを演奏していると感じた

5. 3 主観評価による実験結果

すべての質問項目について 5段階で評価させた後,

分散分析を行った.分散分析は有意水準を p=.05 と

し,失敗音がある,失敗音がないの 2 水準に関して

行った.10個の質問項目についての平均と標準偏差を

図 12,分散分析を行った結果を表 2に示す.

質問 1はこのデバイス体験に満足感を得たかを問う

ものである.分散分析の結果,有意差は得られなかっ

た.得られなかった理由として,演奏音も失敗音もと

もに完成度が低く,聴いた時に不快に思わせることが

あったためだと考えられる.

質問 2はバイオリン弓の扱いが早く上達すると思っ

たかを問うものである.分散分析の結果,有意差は得

られなかった.得られなかった理由として,被験者が

演奏音と失敗音の違いを認識しにくかったことが考え

られる.

質問 3は他の人にも勧めたいと思ったかを問うもの

である.分散分析の結果,有意差は得られなかった.

得られなかった理由として,演奏音も失敗音もともに

完成度が低く,聴いた時に不快に思わせることがあっ

たためだと考えられる.

質問 4はまた使ってみたいと思ったかを問うもので

ある.分散分析の結果,有意差は得られなかった.得

られなかった理由として,演奏音も失敗音もともに完

成度が低く,聴いた時に不快に思わせることがあった

ためだと考えられる.

質問 5は運弓動作で間違いをしたかを問うものであ

る.分散分析の結果,有意傾向が得られた.失敗音が

ある場合に平均値が高かった.得られた理由として,

演奏音のみで構成されるシステムに対し,自分の演奏

に対し失敗音という反応を返すシステムのほうが間

違っているという認識を与えやすかったためと考えら

れる.

質問 6は自分で間違いを修正出来たかを問うもので

ある.分散分析の結果,有意差は得られなかった.得

られなかった理由として,間違いを認識できても何を

間違っているかわからないため,修正の仕方がわから

なかったためだと考えられる.

質問 7は演奏が楽しいと思ったかを問うものである.

分散分析の結果,有意傾向が得られた.失敗音がない

場合に平均値が高かった.得られた理由として,失敗

音がないシステムは演奏を邪魔する失敗音が鳴らない

ので自由に演奏でき,楽しみを感じることができたた

めだと考えられる.

質問 8は簡単に演奏出来たかを問うものである.分

散分析の結果,有意差は得られなかった.得られなかっ

た理由として,演奏音も失敗音もともに完成度が低く,

常に失敗している印象を与えていた可能性がある.そ

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図 12 弓の傾き矯正の検証の主観評価項目の分散分析平均と標準偏差

表 2 弓の傾き矯正の検証の分散分析

質問項目  F(20) p

満足感 1.000 0.329

早く上達する 1.506 0.234

勧めたい 0.000 1.000

また使いたい 0.323 0.576

間違いの気付き 3.941 0.0610+

間違いの修正 0.000 1.000

演奏の楽しさ 3.182 0.0896+

演奏の容易さ 2.500 0.130

実物への興味 4.098 0.0565+

実物らしさ 1.649 0.214

+ p<.10

のため,演奏ができているという認識を与えなかった

と考えれれる.

質問 9は本物のバイオリンも弾いてみたいかと思う

を問うものである.分散分析の結果,有意傾向が得ら

れた.失敗音がない場合に平均値が高かった.得られ

た理由として,失敗音が鳴らないことで被験者が自分

でもバイオリンができるのではないかと感じることが

できたのではないかと考える.

質問 10は本物のバイオリンを演奏していると感じ

たかを問うものである.分散分析の結果,有意差は得

られなかった.得られなかった理由として,演奏音も

失敗音もともに完成度が低く,バイオリンの音声と感

じさせなかったことや,模擬バイオリンがバイオリン

らしくなさすぎたことが原因と考えられる.

6. 演奏音と失敗音による好奇心とモチベーションの想起に関する実験

6. 1 実験の目的

弓デバイスの演奏音と失敗音がバイオリン練習に対

する好奇心やモチベーションへ影響するかを検証する.

6. 2 実験の設定

仮説:演奏音と失敗音があることで練習への好奇心や

モチベーションがあがる.

被験者:被験者は 19歳から 24歳のバイオリン未経験

者の 19人.

条件:「音フィードバック」の 1要因,「全て失敗音」,

「多くの失敗音」,「半分の失敗音」,「少ない失敗音」,

「失敗音無し」5水準,5条件で行った.

手順:本実験では弓デバイスに加え,バイオリンのサ

イズにあわせて作製した木製の模擬バイオリンを用

いた.

実験の手順は以下の 6段階に分けて行った.

1. 被験者に本物のバイオリンを見せ,実験者が簡単

な演奏をし,バイオリンの音を聴かせた.

2. 被験者に基本的なバイオリンの構え方と弓の持ち

方を動画で説明し,バイオリンや弓の持ち方を練

習させた.

3. 間違った構え方をしている場合は口頭で指示を

行った.

4. 動画で正しい演奏方法とともに,弓を強くまたは

弱く押さえる,弓を速くまたは遅く動かす,弓を

傾けてまたは傾けないように動かすように指示を

した.

5. 1分間のシステムを使った練習を行い,練習後に

課題曲として「きらきら星」の 1フレーズの演奏

を行った.

6. 演奏が終わった際に SD 法による評価アンケート

を行った.

評価項目:被験者には印象評価を行わせた.22項目の

形容詞対を用いて,SD法により評価させた.形容詞

対の選択には,音楽印象や芸術への印象を調査した研

究などを参考にした [27–30].項目は表 3左側に示す.

6. 3 印象評価による実験結果

印象評価によって得られた結果を因子分析した.因

子 2までを分析することとし,固有値を表 3に,使用

した形容詞対と回転後の因子負荷量を表 4に示す.数

値は小数第 4位以下を切り捨てとする.0.6以上また

は-0.6以下の数値を持つ形容詞対に着目するために,

表内に下線を引き示す.

因子 1については,「快な―不快な」,「さわやかな―

うっとうしい」,「優しい―厳しい」などで負荷量が高

かった.このことから,因子 1はバイオリン練習に対

する好感度を表すものであると解釈し「好意性」因子

と名付けた.

因子 2 については「魅力的な―魅力のない」,「意

欲的な―無気力な」,「充実した―空虚な」などで負荷

因子量が高かった.このことから,因子 2は失敗音の

発音により,自ら失敗を修正する意思があると解釈し

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図 13 被験者が受けた印象の主観評価項目の分散分析平均と標準偏差

表 4 被験者が受けた印象についての分散分析

失敗音の割合

F(18) p 多重比較

好意性 10.085 < 0.01* 1-5, 1-3, 2-5, 1-4, 1-2

自発性 2.502 0.0497* ―

p<.05

「自発性」因子と名付けた.

次に,検証結果を参考に名づけた因子における実験

条件の印象の変化を比較する.条件は,本実験で使わ

れた条件と同じものとした.検証結果により現れた 2

つの因子を元に,次の 2つの仮設を設定した.

1. 失敗音の割合が少なければ少ないほど好意性の印

象を与える.

2. 失敗音と演奏音が同じ割合であるほど自発性の印

象を与える.

6.3.2 実験条件における印象の比較

実験条件間での印象比較を行うため,標準因子得点

を求めた.標準因子得点を表 3に示す.分散分析は有

意水準を p=.05とし,失敗音の割合の 1要因に関して

行った.

因子得点は,標準得点係数を用いて行った.標準得

点係数とは回転の因子の得点を求めるための係数で,

分析が 1になるように標準化されたものを指す.

このように,2因子の因子得点を「好意性得点」,「自

発性得点」とし,実験条件における印象の比較対象と

して利用する.図 13に 8つの実験条件ごとに被験者

が受けた印象についての因子得点の平均値と標準偏差

を示す.また,標準得点を 1要因 5条件の分散分析の

結果を表 4に示す.

まず 1つ目の仮説を検証した.分散分析の結果,失

敗音の割合に有意差を得た.特に「全て失敗音」と「失

敗音無し」に有意差が得られた.次に,2つ目の仮説

を検証した.分散分析の結果,失敗音の割合に有意差

を得た.

7. バイオリン演奏時の各要素への気付に関する実験

7. 1 実験の目的

初心者が弓デバイスの失敗音により実際の運弓動作

に重要な圧力・速度・傾きの要素に気付くことができ

るかを検証する.

7. 2 実験の設定

仮説:圧力・速度・傾きすべての要素に気付くことが

でき,間違いを修正しながら演奏する事ができる.

被験者:被験者は 19歳から 24歳のバイオリン未経験

者の 19人.

条件:「弓の圧力の検出」,「弓の速度の検出」,「弓の

傾きの検出」の 3要因,「失敗音がある」「失敗音がな

い」の 2水準,8条件で行った.条件の詳細は次の通

りである.

1.  圧力あり,速度あり,傾きあり

2.  圧力あり,速度あり,傾きなし

3.  圧力あり,速度なし,傾きあり

4.  圧力あり,速度なし,傾きなし

5.  圧力なし,速度あり,傾きあり

6.  圧力なし,速度あり,傾きなし

7.  圧力なし,速度なし,傾きあり

8.  圧力なし,速度なし,傾きなし

手順:本実験では弓デバイスに加え,バイオリンのサ

イズにあわせて作製した木製の模擬バイオリンを用

いた.

実験の手順は以下の 6段階に分けて行った.

1. 被験者に本物のバイオリンを見せ,実験者が簡単

な演奏をし,バイオリンの音を聴かせた.

2. 被験者に基本的なバイオリンの構え方と弓の持ち

方を動画で説明し,バイオリンや弓の持ち方を練

習させた.

3. 間違った構え方をしている場合は口頭で指示を

行った.

4. 動画で正しい演奏方法とともに,弓を強くまたは

弱く押さえる,弓を速くまたは遅く動かす,弓を

傾けてまたは傾けないように動かすように指示を

した.

5. 1分間のシステムを使った練習を行い,練習後に

課題曲として「きらきら星」の 1フレーズの演奏

を行った.

6. 演奏が終わった際にMOS法による 5段階の主観

評価アンケートを行った.

評価項目:被験者には,5 段階 (1:あてはまらない 2:

まああてはまらない 3:どちらでもない 4:まああて

はまる 5:あてはまる) による主観評価を行った.主

観評価項目は以下の 8項目である.

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表 3 バリマックス回転後因子負荷量と得点係数

  標準得 標準得

  形容詞対 (得点:1-5) 因子 1 因子 2 点係数 点係数

   (因子 1) (因子 2)

おもしろい―つまらない 0.486 0.580 0.044 0.128

親しみやすい―親しみにくい 0.759 0.302 0.114 0.029

快な―不快な 0.830 0.215 0.134 -0.001

ワクワクする―退屈する 0.388 0.685 0.019 0.165

魅力的な―魅力的でない 0.377 0.744 0.013 0.183

明るい―暗い 0.749 0.348 0.109 0.043

さわやかな―うっとうしい 0.805 0.154 0.134 -0.016

安定した―不安定な 0.690 -0.210 0.140 -0.111

美しい―醜い 0.766 -0.026 0.140 -0.064

刺激的な―刺激的でない -0.011 0.654 -0.051 0.186

積極的な―消極的な -0.090 0.653 -0.065 0.192

真面目な―不真面目な -0.062 0.165 -0.023 0.051

素直な―強情な 0.710 -0.139 0.138 -0.092

元気な―疲れた 0.719 0.244 0.112 0.016

意欲的な―無気力な -0.056 0.736 -0.065 0.213

優しい―厳しい 0.791 -0.172 0.155 -0.107

充実した―空虚な 0.304 0.733 0.000 0.185

親切な―不親切な 0.417 0.249 0.057 0.039

陽気な―陰気な 0.474 0.019 0.084 -0.030

勤勉な―ルーズな 0.045 0.377 -0.020 0.103

1. きれいな音を出すには,弓の押さえる力が必要だ

と思った

2. きれいな音を出すには,弓の速度が重要だと思った

3. きれいな音を出すには,弓の傾きが重要だと思った

4. きれいな音を出すには,バイオリンの構え方が重

要だと思った

5. きれいな音を出すには,弓の握り方が重要だと

思った

6. きれいな音を出すには,脇のしまり具合が重要だ

と思った

7. 本物のような音だった

8. 本物のような弾き応えだった

7. 3 主観評価による実験結果

すべての質問項目について 5段階で評価させた後,

分散分析を行った.分散分析は有意水準を p=.05 と

し,「弓の圧力の検出」,「弓の速度の検出」,「弓の傾き

の検出」の 3要因に関して行った.8つの質問項目に

ついての平均と標準偏差を図 14,分散分析を行った結

果を表 5に示す.

本実験では質問 1~3が本システムのバイオリン演

奏において重要な要素であり,質問 4~8は本システ

ムでは重要でない,または想定していない質問内容で

ある.本研究ではこれらの質問をダミー質問と呼ぶ.

被験者に質問 1~3だけを回答させると,実験中その

要素だけに注目してしまう可能性があったため,これ

らのダミー質問を交えた.

質問 1は圧力の重要性に関するものである.分散分

析の結果,圧力の有無に有意差を得た.圧力の有無が

一番わかりやすかったためだと言える.単純主効果の

結果,圧力において速度が無い場合に有意差を得た.

圧力がある場合に平均値が高く,速度がないことでよ

り圧力の有無がわかりやすく感じた.また,速度にお

いて圧力が無い場合に有意差を得た.演奏時に発音す

るために圧力と速度が必要なことから,圧力がない場

合に速度の有無を圧力の有無と間違っていると考えら

れる.

質問 2は速度の重要性に関するものである.分散分

析の結果,圧力と速度の有無に有意差を得た.速度の

有無を圧力の有無と間違っていると考えられる.速度

の有無が一番わかりやすかったためだと言える.単純

主効果の結果,圧力において速度がある場合に有意差

を得た.圧力がない場合に平均値が高く,速度の有無

がわかりやすく感じた.また,圧力において速度が無

い場合に有意差を得た.圧力がある場合に平均値が高

く,演奏時に発音するために圧力と速度が必要なこと

から,圧力がある場合に速度の有無を圧力の有無と間

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図 14 各要素への気付の検証の主観評価項目の分散分析平均と標準偏差

表 5 各要素への気付の検証の分散分析結果

圧力 (A) 速度 (B) 傾き (C)

F(18) p F(18) p F(18) p 単純主効果

圧力の重要性 17.497 0.0006* 3.248 0.0883+ 0.264 0.6137 A( b2 ), B( a2,c1 )

速度の重要性 7.392 0.0141* 15.63 0.0009* 0.615 0.443 A( b1,b2 ), B( a2 )

傾きの重要性 5.138 0.036* 1.413 0.25 1.209 0.2859 A( b2 ), B( a2 )

構え方の重要性 0.891 0.3577 3.17 0.0919+ 0.183 0.6737 A( b2 ), B( a2 )

握り方の重要性 4.778 0.0423* 4.415 0.05* 0.481 0.4966 A(b2,c1)

脇の締め具合の重要性 0.949 0.3429 0.736 0.4023 0.000 1.000 ―

本物のような音 9.254 0.007* 0.759 0.395 0.368 0.5515 ―

本物のような弾き応え 6.153 0.0232* 2.52 0.1298 0.000 1.000 ―

 * p<.05

違っていると考えられる.

質問 3は傾きの重要性に関するものである.分散分

析の結果,圧力の有無に有意差を得た.圧力の有無が

わかりやすく,傾きの有無を圧力の有無と間違ってい

ると考えられる.単純主効果の結果,圧力において速

度が無い場合に有意差を得た.圧力がある場合に平均

値が高く,速度がないことでより圧力の有無がわかり

やすく,傾きの有無を圧力の有無と間違っていると考

えられる.また,速度において圧力が無い場合に有意

差を得た.速度がある場合に平均値が高く,圧力がな

い場合に速度の有無を傾きの有無と間違っていると考

えられる.

質問 4はバイオリン構え方の重要性に関するダミー

質問である.分散分析の結果,速度の有無に有意傾向

を得た.速く弾いたり,遅く弾いたりする際に構え方

に変化が起こりやすいために有意傾向が得られたと考

える.単純主効果の結果,圧力において速度が無い場

合に有意差を得た.圧力がある場合に平均値が高く,

速度がないことでより圧力の有無がわかりやすく,バ

イオリンの構え方と間違っていると考えられる.また,

速度において圧力が無い場合に有意差を得た.速度が

ある場合に平均値が高く,圧力がないことでより速度

の有無がわかりやすく,バイオリンの構え方と間違っ

ていると考えられる.

質問 5 は弓の握り方の重要性に関するダミー質問

である.分散分析の結果,圧力と速度の有無に有意差

あった.強く弾いたり弱く弾いたり,速く弾いたり遅

く弾いたりする際に初心者では弓を強く握りこんだり

弱く握ることで調整しやすいために有意差が得られた

と考える.単純主効果の結果,圧力において速度が無

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く傾きがある場合に有意差を得た.圧力がある場合に

平均値が高く,速度がないことでより圧力の有無がわ

かりやすく,また傾きの有無によって握りこみに影響

があったため重要だと思わせたと考えられる.

質問 6は脇の締め具合の重要性に関するダミー質問

である.分散分析の結果,有意差は得られなかった.

質問 7は本物の音のようだったに関するダミー質問

である.分散分析の結果,圧力に有意差が得られた.

圧力の要素がわかりやすく,演奏を操作しやすいため

に本物のような音だと思わせたと考えられる.

質問 8 は本物の弾き応えのようだったに関するダ

ミー質問である.分散分析の結果,圧力に有意差が得

られた.圧力の要素がわかりやすく,演奏を操作しや

すいために本物の弾き応えのようだと思わせたと考え

られる.

8. 考察

8. 1 弓の傾き矯正に関する実験の考察

弓の傾き矯正に関する実験の結果より,間違いへの

気づき,演奏の楽しさ,実物への興味に関する質問以

外には有意差を得ることができなかった.

その理由として,被験者に対する説明が少なかった

ためであると考えられる.実験を始める前に,失敗音

の定義や失敗に至る動作の説明を行えば,有意差を得

ることができたと考えられる.また,被験者が失敗音

を「失敗音」として捉えていなかった可能性がある.

今回の実験では,サイン波を合成して作り出したノコ

ギリ波を使用した.バイオリンの波形もノコギリ波で

ある為,類似した音として捉えることができると考え

た.しかし,自由記述では「雑音のような音で不快だっ

た」「自分が何を演奏しているかわからなかった」と

いう意見があった.つまり,音がバイオリンらしくな

いため,ほとんどの質問に対して有意差を得られるこ

とができなかったと考える.

一方で間違いに関する質問で優位傾向が得られた.

この結果より失敗音と演奏音の 2種類を用意すること

で失敗に気付かせることができる可能性があるという

ことがわかった.従って,もう少しわかりやすい失敗

音と演奏音を用意することで,さらに良い結果を得る

ことができると考えられる.また,音だけでなく,失

敗の定義などを事前に伝えておくことで,よりよい結

果が得られる可能性がある.

また,演奏の楽しみや実物への興味に対しても優位

傾向が得られた.システムがない条件の評価が高いこ

とより,綺麗な音を演奏することができれば,このシ

ステムに対しての興味や本物への興味がわく可能性が

あるということがわかった.従って,音の質を上げる

ことにより,バイオリンへの興味や楽しみを想起させ

ることができると考える.

8. 2 演奏音と失敗音による好奇心とモチベーショ

ンの想起に関する実験の考察

バイオリンの演奏音と失敗音による好奇心とモチ

ベーションの想起に関する実験の印象評価から,失敗

音がない状態が,ユーザに「好意性」の印象を与える

と考えられる.また,失敗音と演奏音が半分の割合で

ある時,ユーザに「自発性」の印象として与えること

もわかった.

好意性因子において因子負荷量が高かった形容詞対

の中には「快な―不快な」,「さわやかな―うっとうし

い」,「優しい―厳しい」といった,システムに対する

好意を示す質問項目が存在したほかに,「明るい―暗

い」,「美しい―醜い」,「元気な―疲れた」などのバイ

オリン音への評価と考えられる質問項目や「親しみや

すい―親しみにくい」,「安定した―不安定な」,「素直

な―強情な」などの演奏に対する評価を示す質問項目

も多く存在した.このことから,好意性に関する印象

は,音や演奏に対する評価が良いときに与えられる印

象であると考えることができる.

一方で,自発性因子は,「意欲的な―無気力な」,「積

極的な―消極的な」といった演奏の失敗を修正する意

思を示す質問項目の因子負荷量が高かった.また,「ワ

クワクする―退屈な」,「刺激的な―刺激的でない」,

「充実した―空虚な」,「魅力的な―魅力のない」とい

うバイオリン演奏に対する満足感を示す質問項目も存

在した.このことから,自発性に関する印象は,失敗

を修正するとともに,修正によって綺麗に演奏できる

満足感を与えられる印象であると考えられる.

また,自由記述として,「失敗音がうっとうしい,し

かし練習には必要である」などが得られた.これは楽

しむためには失敗音が無いことを望む一方で,練習す

るためには仕方なく必要であることを示しており,印

象評価の結果とも合致する意見であると言える.

8. 3 バイオリン演奏時の各要素への気付に関する

実験の考察

バイオリン演奏時に必要な要素への気付きに関する

実験の結果より,圧力が一番気づきやすい要素である

ということが分かった.また,速度の重要性に関して

は,圧力の有無により気付きやすさが変わってくるこ

とが分かった.これは,圧力の表現が分かりやすいこ

とが影響し,速度の表現が分かりづらくなっていると

考える.そして傾きの要素は,圧力と速度に対して分

かりづらいため,傾きの要素が気付きにくくなってい

る事が分かった.そのため,傾きの有無に有意差を得

ることができなかったと考えられる.

構え方や握り方に関するダミー質問に有意差を得た

原因として,それぞれの弾き方が原因であると考える.

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弓を早く動かすことで,構え方が変わる.また,力を

込めて弓を弾くことで,握り方が変化する.これらが

原因となって,ダミー質問に有意差を得たと考えられ

る.一方で,脇の締め具合の重要性に関するダミー質

問には有意差が得られなかった.その原因として,被

験者が,脇を締めても締めなくても演奏に変化がな

かったことに気が付いたからであると考えられる.

本システムと本物のバイオリンが類似しているかに

関する質問は,どちらも圧力に有意差が出た.このよ

うな結果が出た原因として,圧力が一番気づきやすく,

失敗音が鳴っても修正が簡単にできるからであると考

える.すぐに修正できることで,失敗音をあまり聞く

ことなく,綺麗な音を奏で続けることができる.従っ

て,きれいな音が本物のバイオリンのように感じさせ

る要因であると考えられる.

ほとんどの質問に対して圧力の有無に有意差を得ら

れた理由として,弓デバイスの発音条件が影響してい

ると考えられる.デバイスは弓毛が押されて,圧力の

かかった状態で運弓することで発音する.よって,圧

力に注目してしまい,速度や傾きを問う質問でも圧力

が重要であると思わせたと考えられる.

また,自由記述として,「失敗音により間違いがわ

かったが,何を直すべきかわからなかった」,「視覚

的に間違いを教えてほしい」などが得られた.本シス

テムでは本来,失敗音によって間違いを示し,視覚的

に間違いの訂正する指標を示すので,演奏者が求める

フィードバックの方法ができていると言える.さらに,

「バイオリンのイメージができて,入門用に良いと思

う」,「リアル性が高く,バイオリン体験ができた」と

いう意見が得られた.これらは,本システムがバイオ

リン未経験者にバイオリンという楽器への理解や興味,

練習意欲を想起させることができる可能性がある事を

示唆していると考えられる.

8. 4 研究の考察

本研究では,運弓動作における音量表現や失敗音の

発音により,バイオリン演奏への興味や練習意欲想起

を目的として,弓デバイスシステムを提案した.バイ

オリンらしさとして,運弓時の物理的なパラメータで

ある圧力,速度,傾きを用いた.

実験により,圧力と速度の要素が認識されやすく,

傾きの要素は認識されにくかった.また,発音される

音のリアリティが低いと,バイオリンらしいと感じさ

せにくいことがわかった.従って,圧力と速度の要素

を用いて,リアリティの高いバイオリン音声で演奏で

きるようにすることで,よりバイオリンらしさを感じ

させる事ができると考えられる.

また,失敗音による影響として失敗音が無いことで

好意を抱かせることができるが,半分程度失敗音が

あることで練習意欲を想起させることが示唆された.

従って,演奏音に失敗音を少し含めることで,目的で

あるバイオリン演奏への興味や練習意欲想起させるこ

とができると考えられる.

本システムは簡単に楽しい演奏ができることで,興

味を誘うシステム作りを目指したが,実験の被験者の

中には思うように演奏できない被験者がいたり,自由

記述から「難しい」という意見が得られたりした.そ

の理由として,失敗音の定義や動作の説明が欠如して

いたことや,弓の持ちかたの練習時間の短さから運弓

が上手にできなかったこと,使用したセンサが正確に

値をとれていない可能性も考えられる.

今後,実験を行う際は事前にバイオリンの説明や失

敗動作の説明を行い,一定量の持ち方の練習を行わせ

ておく必要がある.システムとしては,確実に値のと

れるセンサに換装するなどデバイス設計を検討し直す

必要があると考えられる.

9. おわりに

本研究では,バイオリン初心者のバイオリン演奏へ

の興味や練習意欲想起を目的として,運弓動作を検出

する弓デバイスシステムを提案した.実際の運弓動作

に重要な圧力・速度・傾きの要素を用いて簡単に楽し

く演奏することで興味の想起を狙い,運弓動作によっ

て操作される音量表現や失敗音が発音されることで練

習意欲が湧くかを検証した.

実験の結果,圧力と速度の要素を用いて,リアリティ

の高いバイオリン音声で演奏できることで,よりバイ

オリンらしさを感じさせる事が示唆された.一方で,

初心者の中にはシステムの使用が難しいとされること

もあった.また,演奏音に失敗音を少し含めることで,

バイオリン演奏への興味や練習意欲想起させることが

できると考えられる.従って,本システムはバイオリ

ン初心者に,より簡単になるよう設定した圧力と速度

の数値を用いて,リアリティの高いバイオリン音声で

少しの失敗音を含めてフィードバックすることで,バ

イオリン演奏への興味や練習意欲想起させることがで

きた.今後は傾きの要素をわかりやすくフィードバッ

クすることや,楽しさと練習を共存させるための難易

度の設定を行われることが求められる.

また,今後は,間違った動作をした際に失敗音だけ

でなく,ディスプレイに表示した訂正の指示の有用性

を試す検証や,長期的に使用した際の学習効果を測る

検証,子供と大人の年齢の違いによって学習効果の違

いの検証などを検討したい.長期使用の検証について

は,一定の期間使用すると一定のレベルまで上達する

という指標を立てることも検討したい.また長期使用

するにおいて,モチベーションが落ちることも予測さ

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れるため,システムの使用に飽きない工夫や,より向

上心を上げるような工夫も必要となる.年齢の違いに

よる学習効果の検証については,システムを子供が使

用した際と,大人が使用した際に起こる学習効果の違

いを検証して,本システムを使う際の対象年齢を調べ

たい.

本稿では,演奏表現として重要な弓に注目してシス

テムを作り,検証を行った.しかし,本来のバイオリ

ンは,弓とバイオリン本体が一体となって一つの楽器

であるため,今後はバイオリン本体のシステムも製作

も検討したい.

参考文献

[1] 大木,イタリアにおけるヴァイオリン産業のブランド戦略 , クレモナのヴァイオリン工房,尚美学園大学芸術情報研究,pp.65-81,2010.

[2] 木下,小幡,バイオリン奏者の身体運動科学 (<小特集>音楽演奏者の動作解析),日本音響学会誌,Vol.67,No.9,pp.409-414,2011.

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