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システム及びソフトウェア製品の品質要求 及び評価(SQuaRE) -システム及びソフト ウェア製品品質の測定量 JIS X 25023 2017 ISO/IEC 25023 2016 日本工業標準調査会 審議 (日本規格協会 発行)

システム及びソフトウェア製品の品質要求 及び評 …tsnaka/lecture/ese/JIS X25023.pdfシステム及びソフトウェア製品の品質要求 及び評価( SQuaRE)

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システム及びソフトウェア製品の品質要求

及び評価(SQuaRE) -システム及びソフト

ウェア製品品質の測定量

JIS X 25023:2017 (ISO/IEC 25023:2016)

日本工業標準調査会 審議

(日本規格協会 発行)

X 25023:2017 (ISO/IEC 25023:2016)

____________________________________________________ 主 務 大 臣:経済産業大臣 制定:平成 00.00.00 改正:平成 00.00.00 官 報 公 示:平成 00.00.00 原 案 作 成 者:一般財団法人 日本規格協会

(〒107-8440 東京都港区赤坂 4 丁目 1-24 TEL 03-5770-1573) 審 議 部 会:日本工業標準調査会 標準部会(部会長 ) 審議専門委員会:生産オートメーション技術専門委員会(委員会長 ) この規格についての意見又は質問は,上記原案作成者又は経済産業省産業技術環境局 標準課情報電気標準化推進室

[〒100-8901 東京都千代田区霞が関 1 丁目 3-1 TEL 03-3501-1511(代表)]にご連絡ください。 なお,日本工業規格は,工業標準化法第 15 条の規定によって,少なくとも 5 年を経過する日までに日本工業標準調

査会の審議に付され,速やかに,確認,改正又は廃止されます。

★内容についてのお問合せは,標準部標準課[TEL(03)5770-1571 FAX(03)3405-5541]にご連絡くだ

さい。 ★JIS 規格票の正誤票を発行した場合は,次の要領でご案内いたします。 (1)当協会発行の月刊誌“標準化ジャーナル”に,正・誤の内容を掲載いたします。 (2)当協会ホームページ(http://www.jsa.or.jp)に,月ごとの正誤票を掲載いたします。

なお,当協会の JIS 予約者の方には,予約されている部門で正誤票が発行された場合,自動的

にお送りいたします。 ★JIS 規格票のご注文は,当協会ホームページ(http://www.jsa.or.jp)で承っております。

なお,普及事業部カスタマーサービス課[TEL(03)3583-8002 FAX(03)3583-0462]又は下記の当

協会各支部におきましてもご注文を承っておりますので,お申込みください。

JIS X 25023(ISO/IEC 25023) システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価(SQuaRE) -シス

テム及びソフトウェア製品品質の測定量

平成 年 月 日 第 1 刷発行

編集兼 坂 倉 省 吾

発行人

発 行 所

財団法人 日 本 規 格 協 会

札 幌 支 部 EA 〒060-0003 札幌市中央区北 3 条西 3 丁目 1 札幌大同生命ビル内 TEL (011)261-0045 FAX (011)221-4020 振替:02760-7-4351

A東 北 支 部 EA 〒980-0014 仙台市青葉区本町 3 丁目 5-22 宮城県管工事会館内 TEL (022)227-8336(代表) FAX (022)266-0905 振替:02200-4-8166

A名古屋支部 EA 〒460-0008 名古屋市中区栄 2 丁目 6-1 白川ビル別館内 TEL (052)221-8316(代表) FAX (052)203-4806 振替:00800-2-23283

A関 西 支 部 EA 〒541-0053 大阪市中央区本町 3 丁目 4-10 本町野村ビル内 TEL (06)6261-8086(代表) FAX (06)6261-9114 振替:00910-2-2636

A広 島 支 部 EA 〒730-0011 広島市中区基町 5-44 広島商工会議所ビル内 TEL (082)221-7023,7035,7036 FAX (082)223-7568 振替:01340-9-9479

A四 国 支 部 EA 〒760-0023 高松市寿町 2 丁目 2-10 住友生命高松寿町ビル内 TEL (087)821-7851 FAX (087)821-3261 振替:01680-2-3359

A福 岡 支 部 EA 〒812-0025 福岡市博多区店屋町 1-31 東京生命福岡ビル内 TEL (092)282-9080 FAX (092)282-9118 振替:01790-5-21632

Printed in Japan

〒107-8440 東京都港区赤坂 4 丁目 1-24

JAPANESE INDUSTRIAL STANDARD

Systems and software engineering — Systems and software Quality Requirements and Evaluation

(SQuaRE) — Measurement of system and software product quality

JIS X 25023:2017 (ISO/IEC 25023:2016)

Investigated by

Japanese Industrial Standards Committee

Published by

Japanese Standards Association 定価 0,000 円(本体 0,000 円)

ICS Reference number:JIS X 25023:2017(J)

X 25023:2017(ISO/IEC 25023:2016)

目 次

ページ

序文 ··································································································································· 1

1 適用範囲 ························································································································ 3

2 適合性 ··························································································································· 4

3 引用規格 ························································································································ 4

4 用語及び定義 ·················································································································· 4

5 略語 ······························································································································ 6

6 製品の品質測定量の利用性································································································· 6

6.1 製品の品質測定の概念 ···································································································· 6

6.2 品質測定の進め方 ·········································································································· 7

7 品質測定量を記述するために使用される形式 ········································································· 9

8 システム及びソフトウェア製品の品質測定量 ········································································· 9

8.1 一般 ···························································································································· 9

8.2 機能適合性の測定量 ······································································································ 10

8.3 性能効率性の測定量 ······································································································ 12

8.4 互換性の測定量 ············································································································ 16

8.5 使用性の測定量 ············································································································ 17

8.6 信頼性の測定量 ············································································································ 23

8.7 セキュリティの測定量 ··································································································· 26

8.8 保守性の測定量 ············································································································ 29

8.9 移植性の測定量 ············································································································ 32

附属書 A(参考)品質測定量利用のための考慮事項 ··································································· 35

附属書 B(参考)製品の品質測定量の定義に用いる QME ···························································· 39

附属書 C(参考)測定の型の詳細説明 ····················································································· 42

参考文献 ···························································································································· 48

X 25023:2017(ISO/IEC 25023:2016)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,一般社団法人情報処理学会(IPSJ)及び一般財

団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本

工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意を

喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実用新

案権に関わる確認について,責任はもたない。

X 25023:2017(ISO/IEC 25023:2016)

Systems and software engineering — Systems and software Quality Requirements and Evaluation (SQuaRE) — Measurement of system and

software product quality

システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価(SQuaRE)

-システム及びソフトウェア製品品質の測定量

序文

この規格は,2016 年に第 1 版として発行された ISO/IEC 25023 を基に,技術的内容を変更することなく

作成した日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。

この規格は SQuaRE シリーズ規格の一部である。この規格は,他の SQuaRE シリーズ,特に JIS X 25010,

JIS X 25030,JIS X 25040 及び JIS X 25041 とともに,要求事項の仕様化,システム及びソフトウェア製品(以

下,“製品”と呼ぶ。)品質の測定及び評価に用いることができる製品の品質特性のための品質測定量の一

式を提供する。

この規格の品質測定量の一式は,その実際的な価値に基づいて選択され,二つの信頼性のレベルに分類

されている。それらは網羅的であることを意図していない。この規格の利用者には,必要に応じてそれら

を定義することを推奨する。

品質測定部門

この規格は,次の規格から成る ISO/IEC 2502n 部門の一つである。

- ISO/IEC 25020 -測定量の参照モデル及び手引:ISO/IEC2501n 品質モデル部門で定義した品質特性

を測定するための参照モデル及びガイドを規定している。

- JIS X 25021 -品質測定要素:品質測定要素及びソフトウェアの品質測定を構築するために使用でき

る品質測定要素の幾つかの例を規定している。

- JIS X 25022 -利用時の品質測定量:利用時の品質モデルにおける品質特性に対する関連した測定量

機能を含む測定を規定している(2018 年 JIS 化予定)。

- JIS X 25023 -製品品質の測定量:製品品質モデルにおける品質特性に対する関連した測定量機能を

含む測定を規定している。

- JIS X 25024 -データ品質測定量:データ品質モデルにおける品質特性に対する関連した測定両機能

を含む測定を規定している。

図 1 では,この規格とそれ以外の ISO/IEC2502n部門の規格と間の関係を表している。製品の開発者,

評価者,品質管理者,取得者,供給者,保守者及び利用者は,興味のある品質特性を測定量に対する測定

を,これらの規格から選択することができる。これは,要求事項の定義,製品の評価,品質管理活動又は

その他の目的のために行うことができる。

X 25023:2017(ISO/IEC 25023:2016)

図 1-品質測定部門の構造

SQuaRE シリーズの概要及び組織

SQuaRE シリーズの各部門には,次のものがある。

- ISO/IEC 2500n 品質管理部門 この部門の規格は,SQuaRE シリーズの,他の全ての規格から参照され

る共通モデル,用語及び定義を規定する。規格を特定の応用事例に適用する場合の参照経路(SQuaRE シ

リーズ全体の手引)及び高水準の実際的な提案は,全ての種別の利用者への手助けを提供する。この部門

は,製品の品質要求事項の仕様化及び評価の管理に責任のある支援機能のための要求事項及び手引も提

供する。

- ISO/IEC 2501n 品質モデル部門 この部門の規格は,製品品質,利用時の品質,及びデータ品質のため

の詳細な品質モデルを提供する。サービス品質モデルは,開発中である。また,品質モデルの実際的な利

用のための手引も提供する。

- ISO/IEC 2502n 品質測定部門 この部門の規格は,製品の品質測定の参照モデル,品質測定量の数学的

な定義,及びそれらの適用のための実際的な手引を含む。この規格は,ソフトウェア品質の内部測定量,

ソフトウェア品質の外部測定量及び利用時の品質測定量を提供する。この部門は,後に続く品質測定量の

ための基礎となる品質測定量の要素を定義し提供する。

- ISO/IEC 2503n 品質要求部門 この部門の規格は,品質要求事項の仕様化に役立つ。これらの品質要求

JIS X 25021: 品質測定量要素-

ISO/IEC TR の改正

JIS X 25022: 利用時の品質測定量

-TR X 0129-4 の改正

JIS X 25023: システム及びソフトウェアの

品質測定量 -TR X 0129-2 及び -3 の改正

JIS X 25024: データ品質測定量

ISO/IEC 25020: 測定量の参照

モデル及び手引

ISO/IEC25020 は,品質測定量を開発し定義するため

の手引を提供する。

JIS X 25021 は,品質測定量要素を開発し定義する

ために使用される。

X 25023:2017(ISO/IEC 25023:2016)

事項は,開発する製品の品質要求事項の導出プロセス又は評価プロセスの入力として利用することがで

きる。要求定義プロセスは,JIS X 0160 及び JIS X 0170 に定義されたテクニカルプロセスの利害関係者

要求事項定義プロセスに対応付けられる。

- ISO/IEC 2504n 品質評価部門 この部門の規格は製品評価のための要求事項,推奨事項及び手引を提供

し,独立した評価者,取得者又は開発者のいずれかによって実施される。評価モジュールとして測定量の

文書化のための支援も提供する。

ISO/IEC 25050~25099 は,SQuaRE 拡張部門のために予約されており,現在のところ,JIS X 25051 及び

ISO/IEC 25060~25069 を含んでいる。

1 適用範囲

この規格は,JIS X 25010:2012 で規定された品質特性及び品質副特性に関してシステム及びソフトウェア

製品(以下,“製品”と呼ぶ。)の定量的な評価のための品質測定量を規定しており,JIS X 25010:2012 と

ともに利用されることを意図している。この規格は,JIS X 2503n 及び JIS X 2504n と共に利用され,又は製

品品質に関してはより一般的にユーザーニーズを満たすために利用される。

この規格は,次を含む。

- 製品の品質測定量の適用の仕方の説明

- 各品質特性及び品質副特性の品質測定量の基本的な一式

参考の附属書として,品質測定量の利用のための考慮事項(附属書 A), 製品の品質測定量の定義に利用

する QME(附属書 B),及び測定の型の詳細な例(附属書 C)を含む。

この規格は,評定水準又は標準適合性の等級に測定量の範囲を割り当てるものではない。というのは,

これらの値は,システム,製品又は製品の一部の性質に基づいて定義されており,ソフトウェアの種類,

インテグリティレベル及びユーザーニーズのような要因に依存するからである。幾つかの属性は,望まし

い範囲の値をもつことができ,その範囲の値は,例えば人間がもつ認識能力の要因のような,特定のユー

ザーニーズに依存しないが,一般的な要因に依存している。

提案する品質測定量は,開発ライフサイクルプロセスの実施中又は実施後に,製品の品質保証及び改善の

ために利用されることを主として意図している。

この規格の主な利用者は,次のような活動の一部として,品質要求事項の仕様化活動及び評価活動を行う

人々である。

- 開発 ライフサイクルプロセスにおける,要求事項分析,仕様設計,コーディング及び受入れテストを含

む。

- 品質管理 例えば,品質保証,品質制御及び品質認証の一部として製品品質を評価するときに行う,ソフ

トウェア製品又はコンピュータシステムの系統的なテスト。

- 供給 契約条件下での,例えば,認証テストにおける品質の妥当性確認を行うときのような,契約条件下

でシステム,ソフトウェア製品又はソフトウェアサービス供給のための取得者との契約。

- 取得 供給者からのシステム,ソフトウェア製品又はソフトウェアサービスの取得又は調達するとき,

製品選定及び受け入れテストを含む。

- 保守 品質測定に基づいた製品の改善。

注記 この規格の対応国際規格及び対応の程度を表す記号を,次に示す。

ISO/IEC 25023:2016,Systems and software engineering-Systems and software Quality Requirements

and Evaluation(SQuaRE)-Measurement of system and software product quality(IDT)

X 25023:2017(ISO/IEC 25023:2016)

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide21-1 に基づき,“一致”していること

を示す。

2 適合性

この規格に適合する品質要求事項の仕様化又は品質評価は,次のことを行わなければならない:

a) JIS X 25010:2012 に規定されたように,明示又は評価される品質特性及び/又は品質副特性を選定す

る。

b) 選定した品質特性又は品質副特性ごとに,箇条 8 に規定している一般的な(G)品質測定量の全てを

利用することが望ましい。いずれかの品質測定量を除外する場合,その論理的根拠を示す。

c) 箇条 8 で関係のある特定の(S)品質測定量を任意に選定する。

d) 品質測定量を修正する場合,変更に対する論理的根拠を提供する。

e) この規格に含まれていない,付加的な品質測定量及び QME を JIS X 25021:2013 のように規定する。

3 引用規格

次に揚げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の定義の一部を構成する。これらの引

用規格は,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む)は適用しない。

JIS X 25000:2016 システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価(SQuaRE)-SQuaRE の指針

注記 対応国際規格:ISO/IEC 25000:2014 Systems and software engineering-Systems and software product

Quality Requirements and Evaluation(SQuaRE)-Guide to SquaRE(IDT) JIS X 25010:2012 ソフトウェア製品の品質要求及び評価(SQuaRE)-システム及びソフトウェア品質モデ

注記 対応国際規格:ISO/IEC 25010:2011 Systems and software engineering — Systems and

software Quality Requirements and Evaluation (SQuaRE) — System and software quality models(IDT)

JIS X 25021:2013 システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価(SQuaRE)- 品質測定量要素

注記 対応国際規格:ISO/IEC 25021:2012 Systems and software engineering — Systems and

software Quality Requirements and Evaluation (SQuaRE) — Quality measure elements(IDT)

4 用語及び定義

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS X 25000:2017 及び JIS X 25010:2012 によるほか,次による。

注記 SQuaRE シリーズ及び他の ISO 規格の重要な定義をここで再定義する。

4.1

システム又はソフトウェア品質の外部測定量(external measure of system or software quality)

明示された条件下で使用されるソフトウェアを含むシステムに対して,明示的ニーズ及び暗黙のニーズを

満たすために,製品がどのくらい動作できるかを示す度合いの測定量(JIS X 25000:2016 の 4.11 の定義を変更

している。)。

注記 1 テスト及び運用操作中に製品を実行することによって,振る舞いの属性を検証及び/又は妥当

性確認を行うことができる。

例 テスト時に検出されたテストケース数に対する故障密度は,コンピュータシステムの信頼性に関係

X 25023:2017(ISO/IEC 25023:2016)

する外部測定量である。テストは全ての障害を発見できるわけではないので,二つの測定量は,必

ずしも同じではない。障害は,異なる環境においては,明らかに異なる故障を引き起こす可能性が

ある。

4.2

ソフトウェア品質の内部測定量(internal measure of software quality)

明示された条件下で使用されるソフトウェア製品に対して,ソフトウェア製品の静的属性の集まりが明示

的ニーズ及び暗黙のニーズを満たす度合いの測定量(JIS X 25000:2016 の 4.16 の定義を変更している。)。

注記 1 静的な属性は,ソフトウェアアーキテクチャ,構造及びその構成部品に関係する属性を含む。

注記 2 静的な属性は,レビュー,検査,シミュレーション及び/又は自動化ツールによって検証する

ことができる。

例 コード行数,複雑さの測定量及びウォークスルーで発見した(現状で見つけられた)障害の数

は,ソフトウェア製品そのものに作り込まれた全てのソフトウェア品質の内部測定量である。

4.3

ジョブ(job)

コンピュータによって成し遂げられる,利用者が定義した仕事の単位(ISO/IEC/IEEE 24765:2010 の

3.1542 の定義を変更している。)。

4.4

測定量(measure)

測定の結果として値が割り当てられる変数(JIS X 0141:2009 の 2.15 の定義を変更している。)。

注記 1 “測定量”という用語は,基本測定量,導出測定量及び指標をまとめて参照するために使う。

注記 2 この規格では,”測定量”という用語が品質特性又は品質副特性によって限定されて使用さ

れるときは常に, 4.8 で定義された品質測定量を参照する。

4.5

測定(measurement)

測定量の値を決定するという目的をもった操作の集合(JIS X 0141:2009 の 2.17 の定義を変更してい

る。)。

注記 1 測定は,ソースプログラムの言語(例えば,ADA,C,COBOL など)の定性的分類を割り

当てることを含むことができる。

4.6

測定の関数(measurement function)

複数の品質測定量要素(QME)を結合するために実行するアルゴリズム又は計算(JIS X 25021:2014 の 4.7

の定義を変更している。)。

4.7

定量化のための特徴(property to quantify)

品質測定量要素(QME)に関連付けられ,かつ,測定方法によって定量化できる対象実体の特徴(JIS X

25021:2014 の 4.11 の定義を変更している。)。

注記 1 対象実体の例には,ソフトウェア作成物がある。

4.8

品質測定量(quality measure)

品質測定量要素(QME)の複数の値の測定関数として定義された導出測定量(JIS X 25021:2014 の

X 25023:2017(ISO/IEC 25023:2016)

4.13)。

4.9

品質測定量要素[quality measure element (QME)]

定量化のための測定対象の特徴及びその特徴を定量化する測定方法であって,数学的関数による任意の変

換を含む場合のある測定量(JIS X 25021 の 4.14)。

4.10

品質モデル(quality model)

品質要求事項の仕様化及び品質評価に対する枠組みを提供する,品質特性の定義された集合及び品質特性

間の関係の集合(JIS X 25000:2016 の 4.27)。

4.11

(製品の)品質特性[quality characteristic (of software product or system) ]

製品の品質に影響を及ぼす品質属性の分類(JIS X 25000:2016 の 4.34 の定義を変更している。)。

4.12 タスク(task),作業(task)

与えられた目標を達成するために必要となる一そろいの活動又は一連の活動(JIS Z 8521:1999 の 3.9 の定

義を変更している。)。

注記 1 これらの活動には身体的なものも認知的なものもある

注記 2 役割及び責務は,目標及びタスク(作業)を決めることができる。

注記 3 この規格での用語“task”は,1)“コンピュータが行う処理”を意味する場合には“タスク”,2)

“人間が行う活動の集合”を意味する場合には“作業”,と区別している。

5 略語

この規格では,次の略語を使用する。

QME(quality measure element):品質測定量要素

6 製品の品質測定量の利用

6.1 製品の品質測定の概念

製品の品質は,様々な利害関係者の明示的ニーズ及び暗黙のニーズをどのくらい満たしているか,それによ

ってどのくらい価値を提供しているかの度合いである。SQuaRE シリーズ規格の中では,製品品質を品質特性

に分類し,幾つかの場合では更に品質副特性に細分化される品質モデルを用いて,これらの明示的ニーズ及び

暗黙のニーズを表す。製品の品質に関連した測定可能な特徴を,定量化のための特徴と呼び,品質測定量に関

連付けることができる。これらの特徴を測定方法を適用して測定する。測定方法は,明示された尺度に照らし

て属性を定量化するために使用する,操作の論理的な順序である。測定方法を適用した結果を QME と呼ぶ。

品質特性及び品質副特性は,測定の関数を適用することで定量化できる。測定の関数は,QME を結合する

ために使用するアルゴリズムである。測定の関数を適用した結果を品質測定量と呼ぶ。このようにして,品質

測定量とは品質特性及び品質副特性を定量化することである。品質特性又は品質副特性の測定のために複数

の品質測定量を使用することができる(図 2 参照)。

X 25023:2017(ISO/IEC 25023:2016)

注記 システム,ソフトウェア製品,データ,又は利用者が対象実体となることができる(JIS X

25010:2013 の図 5 参照。)。

図 2-品質モデル,品質測定量,品質測定要素,定量化のための特徴,対象実体の関係

6.2 品質測定の進め方

品質に対するユーザーニーズは,特定の利用状況におけるシステムの利用時の品質の要求事項を含む。

これらの識別されたニーズは,ソフトウェア製品の品質特性及び品質副特性を用いて品質の外部及び内部

測定量を特定するときに考慮することができる。

ソフトウェア製品の品質は,内部の特徴(典型的なものとしては,中間製品の静的な測定量)を測定するこ

とによって,(典型的なものとしては,実行時のコードの振る舞いを測定することによる)外部の特徴を測定

することによって,又は(製品を実際に又は模擬的に使用したときに)利用時の品質の特徴を測定することに

よって評価できる。適切なソフトウェアの内部特徴は,要求される外部的な振る舞い(外部属性)を達成する

ために前もって必要とされ,適切な外部の振る舞いは,利用時の品質特性を達成するために前もって必要と

される(図 3 参照)。

JIS X 25010 システム及びソフトウェ

ア品質モデル JIS X 25012

データ品質モデル

品質特性

品質副特性

品質測定量

測定の関数

JIS X 25022,25023,25024

品質測定量要素(QME)

定量化のための特徴

対象実体

構成される

構成される

定義される

構成される

生成する

測定される

含む

JIS X 25021

測定される

測定法方法

X 25023:2017(ISO/IEC 25023:2016)

図 3-品質測定量の各種別間の関係

内部測定量は, (提案依頼書,要求事項定義書,設計仕様書又はソースコードのような)開発段階で未だ

実行できない製品に適用できる。これらは,レビュー,検査,シミュレーション及び/又は自動化されたツ

ールを用いて検証できるものである。内部測定量は,利用者に中間成果物の品質を測定する能力を提供し,

かつ,それによって最終製品の品質を予測できる能力を提供する。これによって利用者は品質の問題を識別

し,開発ライフサイクル中で,できるだけ早期に是正措置を開始することができる。例えば,複雑さの測定

量及びウォークスルーで発見した障害の数,障害の重大性及び故障頻度は,製品そのものに作り込まれたソ

フトウェア品質の内部測定量である。

外部測定量は,それが一部であるシステムの振る舞いを測定することによって,製品の品質を測定するた

めに使用される。外部測定量は,ライフサイクルプロセスのテスト段階及び幾つかの運用操作段階でだけ使

用することができる。製品のテスト及び/又は運用操作を意図したシステム環境において,製品を実行する

とき,測定を実施する。例えば,テスト中に発見された故障数は,そのコンピュータシステム内に存在する

障害数に関連するソフトウェア品質の外部測定量である。

可能であれば,外部測定量の値を予測するために使用することができるように,対象となる外部測定量と

強く関連する内部測定量を使用することを推奨する。

この規格は,JIS X 25010:2012 の品質モデルとともに使用されるシステム及びソフトウェア品質測定量(外

部及び内部測定量)の推奨する一式を規定する。この規格の利用者は,定義された品質測定量を修正するこ

と,及びこの規格で識別又は定義されていない品質測定量を定義して使用することができる。

注記 1 例えば,安全性又はセキュリティのような,品質特性の特定の測定は,IEC 65 及び ISO/IEC

JTC 1/SC 27で規定された国際規格の中に見つけることができる。

この規格で識別されていない,新しい品質測定量又は修正した品質測定量を使用する場合,JIS X

25010:2012 品質モデル又は使用されているその他の代替の品質モデルにどのように測定量が関連している

かを,利用者は明示することが望ましい。

ほとんどの品質測定量は,結果の値が 0.0~1.0 の間で正規化される測定関数を使用する。1.0 に近いほどよ

い。これに反する場合,箇条 8 の表で注記を記載する。

品質測定量によっては,要求事項の一部として確立する必要がある目標値と比較した結果を生成する測

定量もある。

注記 2 品質測定によっては,要求事項仕様書,設計仕様書又は利用者用文書に明示された目標値に対

プロセス

品質 内部特徴

プロセス ソフトウェア製品 ソフトウェア製品の効果

影響する

影響する 影響する

依存する 依存する 依存する

プロセス測定量 内部測定量

外部測定量

外部特徴 利用時の

品質

利用状況

利用時の品質測定量

X 25023:2017(ISO/IEC 25023:2016)

して正規化されるものがある。製品のアーキテクチャ,設計,実装,アセンブル,運用操作手

続,ユーザーインタフェース又は性能を改善するために,開発者又は保守者は,そのような目

標値をしきい値として決定し,要求することができる。また取得者及び供給者は,品質要求事

項を明示するため,又は取得のための適合性を調査するために,合意された要求事項の一つと

して目標値を明示することができる。要求事項仕様書は,通常,開発中に変更及び改訂され,

要求事項仕様書に基づく品質測定量に影響を及ぼす。開発の初期に,利害関係者又はシステム

要求事項から導出される明示的ニーズ及び暗黙のニーズの両方を完全に明示することが非常

に難しいので,明示されるべき要求事項の一部が欠落若しくは矛盾するかもしれないし,又は

目標値の一部が不十分で変更する必要があるかもしれない。このことから,品質測定量の利用

者に期待されることは,開発及び/又は評価期間中に,要求事項仕様書の発展及び改訂を考慮

すること,及び品質測定量測定を一度だけ適用するのではなく反復して適用することである。

注記 3 (平均応答時間のような)幾つかの品質測定量は,単独で解釈することが難しい。理解及

び解釈が容易になるように,次の方法で品質測定量を適用することができる。

a) 適合性 特定のビジネス又は使用上の要求事項と測定量とを比較する(例えば,最大許容応答時間は

0.5 秒。)。

b) ベンチマーク 測定量を,同じ目的で使用される同一の又は類似の製品若しくはシステムに対するベ

ンチマークと比較する(例えば,新システムの平均応答時間は旧システムの平均応答時間未満である。)。

c) 時系列 ある期間にわたって傾向を比較する(例えば,一日の中での平均応答時間がどのように変化す

るか。)。

7 品質測定量を記述するために使用される形式

次の情報を箇条 8 の表中の各品質測定量に付与している。

a)ID 品質測定量の識別コード 各 ID は,次の三つの部分から構成される。

- 品質特性を大文字,品質副特性を一文字の大文字及びそれに続く小文字で表現する,省略したアルフ

ァベットコード[例えば,“PTb”は“Performance efficiency(性能効率性)”の“Time behavior(時

間効率性)”の測定量を示す。]

- 品質副特性の中で順番につけられた通し番号

- G(一般的な)又は S(特定の)は,品質測定量の適用可能な範囲を示す分類を表す。ここで,一般

的な測定量は 適切な時にはいつでも使用することができ,特定の測定量は特別な状況に関係する

ときに使用することができる。

b)名称 品質測定量の名称

c)説明 品質測定量によって提供される情報

d)測定関数 QME が品質測定量を生成するためにどのように構成されるかを表す数式

注記 品質測定量の測定関数の理解及び適用の助けになるように,品質測定量を構成するために高

い頻度で使用する,有用な QME を附属書 B に簡潔に明示する。

8 システム及びソフトウェア製品の品質測定量

8.1 一般

ここでは,JIS X 25010 に記述された順で品質特性及び品質副特性ごとに品質測定量を一覧にしている。

内部測定量又は外部測定量として使用されるかどうかによって,品質特性及び評価の評定水準に従って選

X 25023:2017(ISO/IEC 25023:2016)

択されることができる,異なる評価技術によって品質測定量を使用できる。その結果,箇条 8 で列挙されて

いる幾つかの品質測定量は,設計仕様書の静的なレビュー,又は実行可能な製品の動的分析のような,評価

の異なる段階で使用することができる。

適用できてもよい品質測定量は,ここで列挙したものに限定されない。特定の国際規格又はガイドラインから

特定の測定量又は測定を参照することを推奨する。例えば,機能規模測定は,JIS X 0135 シリーズに規定されて

おり,精密な時間効率性の測定の例は,JIS X 0136 から参照できる。

注記 1 品質測定量のこの一覧は最終的なものではなく,この規格の将来版で改正される可能性があ

る。この規格の読者によるフィードバックの提供が望まれる。

注記 2 この箇条において,その他の点で言及しない限り,測定量という用語は品質測定量を意味する。

例えば,“機能適合性の測定量”は,“機能適合性の品質測定量”を意味する。

8.2 機能適合性の測定量

機能適合性の測定量は,“明示された状況下で使用するとき,明示的ニーズ及び暗黙のニーズを満足させ

る機能を,製品又はシステムが提供する度合い”を総合評価するために使用される。

注記 1 機能適合性は,明示的ニーズ及び暗黙のニーズを満たすかどうかに関わる。

注記 2 ここで言及される機能は,JIS X 0135 シリーズにおいて利用者機能要求事項の中で定義される要素プ

ロセスになり得る。

注記 3 個々の機能項目の数の比率を計算するだけでは,不足している機能性を量的に指し示さないよ

うなときには,機能規模のような,より正確さを増すように,結果に重み付けをする方法を用

いた別のQMEを使って,測定量を定義することができる。

8.2.1 機能完全性の測定量

機能完全性の測定量は,“機能の集合が明示された作業及び利用者の目的の全てを網羅する度合い”を総

合評価するために使用される。

表 1-機能完全性の測定量

ID 名称 説明 測定関数

FCp-1-G 機能網羅性

明示された機能のうちどのくらいの

比率で実装されているか。

X = 1 – A/B

A=実装されていない機能の数

B =明示された機能の数

注記 1 機能は,要求事項仕様書,設計仕様書,ユーザーマニュアル又はこれら全てで明示する

ことができる。

注記 2 実装されていない機能は,製品が明示された機能を実行する能力がないときに検知される。

8.2.2 機能正確性の測定量

機能正確性の測定量は,“正確さの必要な程度での正しい結果を,製品又はシステムが提供する度合

い”を総合評価するために使用される。

X 25023:2017(ISO/IEC 25023:2016)

表 2-機能正確性の測定量

ID 名称 説明 測定関数

FCr-1-G 機能正確性 正しい結果を提供する機能

はどのくらいの比率か。

X = 1 – A/B A = 正しい結果が得られない機能の数

B = 考慮された機能の数

注記 1 正しい結果が得られない機能とは,特定の意図した目的を達成するための,妥当で受容可能な成果

物を提供しない機能のことである。

注記 2 評価のために考慮された機能を,製品の全ての機能としてもよく,また特別な用途に要求される

特定の一式の機能としてもよい。

注記 3 開発者又は保守者は,たぶん次のことを行う。

- レビュー又はテストすることによって個々の機能を検査する。

- 要求事項仕様書に定義されているように,特定の目的に適合した成果物を機能がうまく提

供しているかどうかを決定する。このような場合,個々の機能ごとに正確性の度合いを決

定する。

8.2.3 機能適切性の測定量

機能適切性の測定量は,“明示された作業及び目的の達成を,機能が促進する度合い”を総合評価する

ために使用される。

表 3-機能適切性の測定量

ID 名称 説明 測定関数

FAp-1-G 使用目的に関する機能

適切性

利用者が要求する機能のうち,特

定の使用目的を達成するために適

切な成果物を提供する機能は,ど

のくらいの比率か。

X = 1 – A/B

A= 特定の使用目的を達成するため

に要求される機能の中で,実装され

ていない機能又は正しい結果が得ら

れない機能の数

B= 特定の使用目的を達成するため

に要求される機能の数

注記 1 典型的には最も重要な又は最も頻繁に識別される使用目的のために,この機能を考慮する。このよ

うに,この品質測定量は,システムで達成することができる,定義された使用目的それぞれに対し

最初に計算される。次に,システムとしての測定量を提供するために,次項の品質測定量,すなわ

ち,FAp-2-G “システムの機能適合性”を全ての使用目的にわたって纏めて計算できる。

注記 2 この規格の利用者は,利用者の意図する使用において,実際の影響をよりよく理解するために,達成

可能な利用者の目的の比率を測定することも考慮することができる。

FAp-2-G システムの機能適切性

利用者がその目的を達成するため

に要求される機能のうち,適切な

成果物を提供する機能は,どのく

らいの比率か。

X = ∑ Ai / n

i=1 ~ n Ai = i 番目の使用目的に対する適切性

の得点, すなわち, i 番目の特定の使

用目的のために測定された, FAp-1-

G の値

X 25023:2017(ISO/IEC 25023:2016)

n = 使用目的の数

8.3 性能効率性の測定量

性能効率性の測定量は,“明記された状態(条件)で使用する資源の量に関係する性能の度合い”を総合

評価するために使用される。資源は,他のソフトウェア製品,システムのソフトウェア及びハードウェア構

成,並びに材料(例えば,印刷用紙,保管媒体)を含むことができる。

注記 1 性能効率性の測定量は,データ処理の負荷,使用頻度,接続する拠点の数などの使用条件に

よって強く影響を受け,変動する。したがって,性能効率性の測定量は,仕様で要求された,

誤差の変動の許容範囲をもつ設計値に対する,誤差の変動をもつ見積値又は測定値の比率を

含んでもよい。他のソフトウェア,ネットワークのトラフィック及び計画済みのバックグラ

ウンドで実行される処理プロセスで使用される”CPU” 及びメモリといった要因によってな

される役割を列挙し,精査することを推奨する。見積値又は測定値に対する発生する可能性

のある変動及び妥当な範囲を設定し,要求仕様事項と比較することができる。

注記 2 測定対象のタスクが,性能効率性又は容量の測定量の目的に合っているかを識別し,定義する

ことも推奨する。例えば,ビジネスアプリケーション向けのタスクとしてのトランザクション

処理,通信アプリケーション向けのタスクとして送られるスイッチングパケット及びデータ

パケット,制御アプリケーション向けのタスクとしてのイベント制御,及び一般利用者用アプ

リケーション向けのタスクとしての利用者が呼び出して使用できる機能によって生成される

データの出力。

8.3.1 時間効率性の測定量

時間効率性の測定量は,“製品又はシステムの機能を実行するとき,製品又はシステムの応答時間及び処

理時間,並びにスループット速度が要求事項を満足する度合い”を総合評価するために使用される。

表 4ー時間効率性の測定量

ID 名称 説明 測定関数

PTb-1-G 平均応答時間 システムが利用者の作業又はシス

テムのタスクへの応答を返すまで

にどのくらいの平均時間を要する

か。

X = ∑ (Ai )/ n

i=1 ~n

Ai = i 番目の測定時において,シス

テムが特定の利用者の作業又はシス

テムのタスクに応答を返すのに要す

る時間

n = 測定された応答の回数

PTb-2-G 応答時間適切性

システムの応答時間は,明示され

た目標をどれくらい適切に満たす

か。

X = A/B

A = PTb-1-G で測定される平均応答

時間

B =明示された目標応答時間

注記 1 測定結果の値は,PTb-1-G では小さい方がよく, PTb-2-G では 1 以下がよい。

注記 2 応答時間は要求が提出されてから最初の応答が生成されるまでの時間である。すなわち,応答の開始ま

での時間で,応答の出力までの時間ではない。

注記 3 この測定量の代わりのものは,想定される負荷状態のもとで, n 番目の百分位の応答時間である。

X 25023:2017(ISO/IEC 25023:2016)

個々の機能又は機能の種類にこの測定量を適用することにも役立つ。

PTb-3-G 平均ターンアラウン

ド時間

ジョブ又は非同期プロセスを完

了するまでにどのくらいの平均

時間を要するか。

X = ∑(Bi - Ai )/ n

i=1 ~ n

Ai = ジョブ i を開始する時刻

Bi = ジョブ i を完了する時刻 n =

測定回数

PTb-4-G ターンアラウンドタイ

ム適切性

ターンアラウンドタイムが明示

した目標をどれくらい満たして

いるか。

X = A/B

A = PTb-3-G で測定された平均ター

ンアラウンド時間

B =明示された目標のターンアラウ

ンド時間

注記 1 測定結果の値はより小さい方がよく, 1 以下がよい。

注記 2 パイプライン処理の場合 (例えば,複数のシステムが連鎖する場合),パイプラインのそれぞれの段階

での経過時間は考慮される必要があり,一つの段階にボトルネックがあれば,全体のターンアラウン

ド時間に影響する。

注記 3 明示した処理のデータ量及び/又は負荷量を連動させて,この測定量を用いることを推奨する。

PTb-5-G 平均スループット 単位時間内に,処理を完了したジ

ョブ数の平均値はどのくらいか。

X = ∑ (Ai / Bi )/ n

i=1~ n

Ai = i 番目の観測時間中に完了し

たジョブ数

Bi = i 番目の観測時間の期間

n = 観測回数

注記 1 ジョブは,マイクロプロセッサ操作のような粒度の小さな操作,若しくはトランザクショ

ン処理性能評議会(Transaction Processing Performance Council,TPC)で定義されるような粒度の

大きいトランザクション処理,又は機能のような高次元で抽象化された概念になることが

できる。したがって,異なった状況で使用される場合,この測定量の結果は,適切に解釈

されることが望ましい。

注記 2 平均スループットは,スループットの適切さを計算するために,スループットの目標しき

い値と比較することができる。特定の条件下における,このような目標しきい値が,要求

事項の一つとして明示された場合,測定結果の値は 1 より大きいことが要求される。

8.3.2 資源効率性の測定量

資源効率性の測定量は,“製品又はシステムの機能を実行するとき,製品又はシステムで使用される資源

の量及び種類が要求事項を満足する度合い”を総合評価するために使用される。

X 25023:2017(ISO/IEC 25023:2016)

表 5—資源効率性の測定量

ID 名称 説明 測定関数

PRu-1-G 平均プロセッサ使用効率

運用操作時間に比較して,指

定された一連のタスクの実行

に使用されるプロセッサ時間

はどのくらいか。

X = ∑ (Ai / Bi )/ n

i=1~ n

Ai = i 番目の観測中に,指定された一

連のタスクの実行に実際に使用された

プロセッサ時間

Bi =i 番目の観測中に,タスクを実行

するために要する運用操作時間

n=観測回数

注記 測定結果の値は,0 より大きい値から 1 の間になる。通常,小さい方がよい。

PRu-2-G 平均メモリ使用効率性

利用可能なメモリ量に比較し

て,指定された一連のタスク

の実行に使用されるメモリ量

は,どのくらいか。

X = ∑ (Ai / Bi )/ n

i=1~ n

A= i 番目の観測時の対象とした処理

のために,指定された一連のタスク

の実行に実際に使用されたメモリ量

B= i 番目の観測時の対象とした処理

の期間中に,タスクを実行するため

に利用可能なメモリ量

n= 観測時の対象とした処理の数

注記 測定結果の値は,0 より大きい値から 1 の間になる。通常,小さい方がよい。

PRu-3-G 平均 I/O デバイス使用効

率性

I/O 操作時間に比較して,指定

された一連のタスクの実行に

使用される I/O デバイスの占有

処理中となる時間は,どれく

らいか。

X = ∑ (Ai / Bi )/ n

i=1~ n

Ai=i 番目の観測時に指定された一連

のタスクの実行のために I/O デバイス

が占有処理中になる期間

Bi = i 番目の観測時のタスクを実行す

るための I/O 操作期間

n = 観測回数

注記 1 測定結果の値は 0 より大きい値から 1 の間になる。通常,小さい方がよい。

注記 2 占有処理中時間とは,システム又はデバイスが実際に作動している時間帯である。

PRu-4-S 帯域使用効率性

利用可能な帯域のうち,指定

された一連のタスクの実行の

ためにどのくらいの比率で使

用できるか。

X = A/B

A =指定された一連のタスクを実行す

る期間中継続して測定された,実際

の伝送の帯域

B =指定された一連のタスクを実行す

るために利用可能な帯域容量

注記 1 関係する資源の種類が特定の期間中に効率よく用いられているか否かという懸案事項がある場合,

例えば,処理の中断を避けることによって,資源を再断言に利用して明示されたタスクを完了する

ためには,測定結果の値が最適値に近い方がよい。この場合,最適値は環境に依存する。

X 25023:2017(ISO/IEC 25023:2016)

注記 2 測定者は,平均値を含めた測定結果の統計値に影響を及ぼすことができる,起こり得る通信トラフィッ

ク制限(例えば,通信滞留時に通信データを廃棄するドロッピング又は帯域を制限するスロットリン

グ)を考慮しなければならない。

8.3.3 容量満足性の測定量

容量満足性の測定量は,“製品又はシステムのパラメータの最大限度が要求事項を満足させる度合い”を

総合評価するために使用される。

注記 1 容量満足性の測定量は,システムの大容量テストのような動的分析をとおして測定されること

が期待されるか,又はシステムの統合テスト若しくはシミュレーションによる測定が可能であ

る。静的分析,動的テスト又は運用操作の多くの場合について,持続時間の最大値及び分布を

調べることができる。

注記 2 最大値は,理論的に,起こり得る実際的な値を超えることができる目標値として明示される

ことが期待される。

表 6-容量満足性の測定量

ID 名称 説明 測定関数

PCa-1-G トランザクション処理

容量満足性

単位時間当たりに,処理でき

るトランザクション数はどれ

くらいか。

X = A/B

A = 観測時間中に完了したトランザク

ション数

B = 観測時間

注記 1 測定結果の値は,0 から最大限界値までになる。通常,大きい方がよい。

注記 2 テストに十分な作業負荷量がかけられた場合にだけ,この測定量は有効である。

注記 3 トランザクションと同様に,タスクを代わりに使用することができる。

PCa-2-G ユーザーアクセス

容量満足性

ある時間にどれくらい多くの

利用者がシステムに同時にア

クセスできるか。

X = ∑ Ai / n

i=1~ n

Ai = i 番目の観測時点でシステムに同

時にアクセスできる利用者数の最大

値。

n = 観測回数

注記 測定結果の値は,0 から最大限界値までになる。通常,大きい方がよい。

PCa-3-S ユーザーアクセス増加

適切性

単位時間内に追加に成功した

利用者はどのくらいか。

X = A/B

A =観測時間中に追加に成功した利用

者数

B = 観測時間

注記 1 測定結果の値は,0 から最大限界値までになる。通常,大きい方がよい。

注記 2 この測定量は,与えられた瞬間に利用者が急増する間でも,ソフトウェア又はシステムの容

量満足性が,多くの利用者からのアクセスを受け入れるために十分な容量満足性がある度合

いを指し示す。例えば,一例として,極めて多くの利用者がインターネットを介して実際の

システム又はソフトウェアに同時にアクセスできることである。

X 25023:2017(ISO/IEC 25023:2016)

8.4 互換性の測定量

互換性の測定量は,“同じハードウェア環境又はソフトウェア環境を共有する間,製品,システム又は構

成要素が他の製品,システム又は構成要素の情報を交換することができる度合い,及び/又はその要求され

た機能を実行することができる度合い”を総合評価するために使用される。

8.4.1 共存性の測定量

共存性の測定量は,“その他の製品に有害な影響を与えずに,他の製品と共通の環境及び資源を共有する

間,製品が要求された機能を効率的に実行することができる度合い”を総合評価するために使用される。

表 7-共存性の測定量

ID 名称 説明 測定関数

CCo­1­G 他製品との共存

明示されたソフトウェア製品が

品質特性又は機能に不利な影響

なく,このソフトウェア製品と

環境を共有できる比率はどのく

らいか。

X = A/B

A=この製品が共存できる,他の明示された

ソフトウェア製品の数

B=運用環境においてこの製品と共存すると明

示された他のソフトウェア製品の数

8.4.2 相互運用性の測定量

相互運用性の測定量は,“二つ以上のシステム,製品又は構成要素が情報を交換し,既に交換された情報

を使用することができる度合い”を総合評価するために使用される。

表 8-相互運用性の測定量

ID 名称 説明 測定関数

CIn­1­G データ様式交換

明示されたデータ様式は,他の

ソフトウェア又はシステムとど

のくらいの比率で交換できる

か。

X = A/B A=他のソフトウェア又はシステムと交換で

きるデータ様式の数

B=交換できると明示されたデータ様式の数

Cln­2­G データ交換プロ

トコル充足性

明示されたデータ交換プロトコ

ルは,どのくらいの比率で支援

されているか。

X = A/B A=支援されたデータ交換プロトコルの数

B=支援されると明示されたデータ交換プロ

トコルの数

注記 データ品質の詳細は,JIS X 25024 の Con­I­1 を参照。

CIn­3­S 外部インタフェ

ース適切性

明示された外部インタフェース

(他のソフトウェア及びシステ

ムとのインタフェース)がどの

くらいの比率で機能するか。

X = A/B A=機能する外部インタフェースの数

B=明示された外部インタフェースの数

8.5 使用性の測定量

使用性の測定量は,“明示された利用状況において,有効性,効率性及び満足性をもって明示された目標

を達成するために,明示された利用者が製品又はシステムを利用することができる度合い”を総合評価する

ために使用される。

X 25023:2017(ISO/IEC 25023:2016)

注記 1 使用性の内部測定量は,問題となっているソフトウェアが,理解され,習得され,及び操作さ

れる度合い,並びに利用者に喜び及び満足を与える相互作用を可能にする度合いの予測に使

用される。

注記 2 使用性の外部測定量の多くは,利用者が機能の使用を試みることによってテストされる。結

果は,利用者の能力及びホストシステム品質特性から影響を受ける。これは,測定を無効に

することにはならない。なぜならば,評価されるソフトウェアが,明白に明示された条件下

で,識別された利用者のグループを代表者である標本として選ばれた利用者によって実行

されるからである。(一般の利用者向けの汎用目的の製品に対しては,利用者のグループの

範囲を決めて代表者を標本として選ぶことはできる。)。有益な情報は規模の小さな利用者

のグループから得られるが,信頼できる結果を得るためには,熱心な利用者の大きなグルー

プからの標本が必要である。利用者は,いかなる暗示又は外部支援もなく,テストを実行す

る。

注記 3 使用性の内部測定量及び外部測定量は,公式の設計集会,使用性に対する特定のガイドライン

又は仕様書と,実際に作成され文書化された設計,プロトタイプ又は実行可能なシステム及び

/又はソフトウェアとを比較する。したがって,利用者中心設計概念及び人間工学的視点と同

様に,利用時の品質の特性及び測定量を考慮することによって,使用性に対するエンドユーザ

ーの要求事項を引き出し,使用性についての特定の仕様書をうまく作成することが非常に重要

である。例えば,使用性の特定のガイドライン,テンプレート又はチェックリストでは,どの

ような種類のメッセージもエンドユーザーが容易に理解できるように,詳細に説明する必要が

ある。

注記 4 この規格では,使用性測定量の対象実体は,幾つかの製品に限定される。明示された利用時の

状況における有効性,効率性及び満足性に関係する使用性測定量は,ISO/IEC 25022 に見つけ

ることができる。

注記 5 使用性の測定量は,必然的に幾分かの主観的な結果を生み出すであろう。比尺度を用いて測定

することが難しい場合,状況に応じて,代案として,順序尺度を使用することができる。例え

ば,1.0 はとてもよい,0.8 はよい,0.6 は平均的,0.4 はやや悪い,0.2 は悪いことを表す。

8.5.1 適切度認識性の測定量

利用者は意図された使用に適合する製品を選択できなければならない。適切度認識性の測定量は,“製品

又はシステムがユーザーニーズに適切であるかどうかを利用者が認識できる度合い”を総合評価するため

に使用される。

注記 適切度認識性の測定量は,新しい利用者が次のことを理解できるかどうかを総合評価するために

使用できる。

- 製品は利用者の目的に適合しているかどうか。:

- 特別の作業を行うために,どのように使用できるか。

表 9-適切度認識性の測定量

ID 名称 説明 測定関数

UAp­1­G 記述完全性 製品説明書又は利用者用文書で記

述されている使用シナリオはどの

くらいの比率か。

X = A/B A =製品説明書又は利用者用文書に記述さ

れている使用シナリオの数

X 25023:2017(ISO/IEC 25023:2016)

B =製品の使用シナリオの数

UAp­2­S 実演機能網羅率 利用者が適切度を認識できるよう

に,作業が実演機能の特徴をもつ

のはどのくらいの比率か。

X = A/B A =実演機能の特徴をもつ作業の数

B =実演機能の特徴から恩恵を受ける作業

の数

UAp­3­S ウェブサイトの

目的説明率 ウェブサイトで,そのウェブサイ

トの目的を説明しているランディ

ングページは,一般にどのくらい

の比率か。

X = A/B A =ウェブサイトの目的を説明しているラ

ンディングページの数

B =ウェブサイトのランディングページの

注記 ランディングページとは,“利用者が最初に閲覧するページ”のことである。

8.5.2 習得性の測定量

習得性の測定量は,“明示された利用状況において,有効性,効率性,リスク回避性及び満足性をもって

製品又はシステムを使用するために明示された利用者が,明示された学習目標を達成するように製品又はシ

ステムを利用できる度合い”を総合評価するために使用される。

表 10-習得性の測定量

ID 名称 説明 測定関数

ULe-1-G ユーザーガイ

ダンス完全性

利用者用文書及び/又はヘルプフ

ァシリティにおいて,利用者が機

能を適用できるようにするため

に,十分詳細に説明されている機

能はどのくらいの比率か。

X = A/B

A = 利用者文書及び/又はヘルプファシリテ

ィにおいて要求どおりに記述されている機

能の数

B =文書化が必須な実装機能の数

注記 1 習得性は適切度認識性と強く関連しており,適切度認識性の測定はソフトウェアの習得性の可能性

の指標になり得る。

注記 2 ヘルプファシリティは,例えば,オンラインヘルプ,運用操作ガイドビデオ,運用操作指示システ

ムなどを含む。

注記 3 より洗練された測定量が,人間工学又は利用者体験の観点がうまく適用されるときに形成できる可

能性がある。例えば,システムの概念モデルの利用者心理モデルへの対応付けが調和している度合

である。

ULe-2-S

入力欄のデフォ

ルト

デフォルト値をもつことができ

る入力欄のうち,デフォルト値

が自動的に入力される入力欄は

どのくらいの比率か。

X = A/B

A =運用操作中に,デフォルト値が自動的に

入力された入力欄の数

B = デフォルト値を設定可能な入力欄

注記 入力欄のデフォルト値は,製品を包括的に素早く操作運用方法を初心者が学習する助けにな

る。

ULe-3-S

エラーメッセー

ジ理解性

エラーが発生した理由,及びど

のように解決するかを記述して

X = A/B

A=発生理由を記述し,可能な場合解決方法

X 25023:2017(ISO/IEC 25023:2016)

いるエラーメッセージはどのく

らいの比率か。

を示唆しているエラーメッセージの数

B=実装されているエラーメッセージの数

ULe-4-S

自己説明提示

ユーザーイン

タフェース

事前の学習若しくは教育訓練,

又は外部補助の検索がなくと

も,初見の利用者が通常の作業

を完了できるようにするよう

な,利用者に提示された情報要

素及びステップはどのくらいの

比率か。

X = A/B

A=利用者が理解できる方法で提示された情

報要素及びステップの数

B=初見の利用者が通常の作業を完了できる

ようにするために必要な情報要素及びステッ

プの数

注記 この測定量は,公共のシステム又はウェブサイトに特に関連する。

8.5.3 運用操作性の測定量

運用操作性の測定量は,“製品又はシステムが,それらを運用操作しやすく,制御をしやすくする属性を

もっている度合い”を総合評価するために使用される。

注記 1 運用操作性の測定量は,運用操作者若しくはエンドユーザーの代表者によって,運用操作テ

ストを通して測定されることが期待され,また要求事項,設計仕様書又はユーザーマニュア

ルのレビューのような静的分析を通して測定されることができる。

注記 2 運用操作性の品質に関する内部測定量又は外部測定量を,利用者がソフトウェアを運用操作し,制御

できるかどうかを総合評価するために使用する。運用操作性の測定量は, 次に示す JIS Z 8520 の対

話の原則によって分類できる。

- タスクへのソフトウェアの適合性

- ソフトウェアの自己記述性

- ソフトウェアの制御可能性

- 利用者の期待をもつソフトウェアの適合性

- ソフトウェアのエラー許容性

- 個別化に対するソフトウェアの適合性

表 11- 運用操作性の測定量

ID 名称 説明 測定関数

UOp-1-G 操作一貫性 がその作業内及び類似した作業の

全域の両方で一貫している振る舞

い及び外観を,対話型操作作業は

どのくらいの比率でもっている

か。

X = A/B

A= 一貫性なく実行された特定の対話型作

業の数

B= 一貫性が必要な特定の対話型作業の数

UOp-2-G メッセージ明

確性

システムからのメッセージは,ど

のくらいの比率で利用者に正しい

成果物又は指示を伝達できるか。

X = A/B

A= 利用者に正しい成果物又は指示を伝達

するメッセージの数

B= 実装されたメッセージの数

注記 利用者を助け,可能なときはエラーの解決方法を説明する,利用可能な情報を全て提供するメッセー

X 25023:2017(ISO/IEC 25023:2016)

ジ。

UOp-3-S 機能カスタマ

イズ可能性

利用者の利便性に合わせて,利用

者がカスタマイズできる機能及び

運用操作の手続はどのくらいの比

率か。

X = A/B

A =利用者の利便性に合わせて,カスタマイ

ズできる機能及び運用操作の手続の数

B =利用者がカスタマイズから利益を得るこ

とができる機能及び運用操作の手続の数

UOp-4-S

ユーザーイン

タフェースカ

スタマイズ可

能性

ユーザーインタフェースの要素の

見た目をカスタマイズできるもの

はどのくらいの比率か。

X = A/B

A =カスタマイズできるユーザーインタフェ

ース要素

B =利用者がカスタマイズから利益を得るこ

とができるユーザーインタフェース要素

UOp-5-S 監視能力 運用操作中に,状態を監視できる

機能記述はどのくらいの比率か。

X = A/B

A =状態の監視能力を言明している機能

の数

B =状態の監視能力から利益を得ることがで

きる機能の数

注記 1 幾つかの機能の運用操作状態の監視及び管理は,例えば,分散システム,組込みシステムなどを扱

う場合に,非常に重要である。

注記 2 よりよい測定のためには,利用者による運用操作シナリオのレビュー又は運用操作テスト中に,使

用性の観点から,どの機能が監視能力から利益を得るかを見つけるための助けになる。そのよう

な機能は,要求事項として明示することもできる。

UOp-6-S

操作実行取

消し能力

重大な結果に至る作業のうち,再

確認の選択肢又は操作実行取消し

能力を提供するのはどのくらいの

比率か。

X = A/B

A =操作実行取消し能力又は再確認のための

プロンプト提供する作業の数

B =利用者が再確認又は実行取消し能力をも

つことから利益を得ることができる作業の数

注記 プロンプトとは,コンピュータが利用者に対して入力を促す記号のことをいう。

UOp-7-S 情報の理解

可能な分類

ソフトウェアが,意図した利用者

に馴染みがあり利用者の作業に便

利な分類における情報をどのくら

いの程度で体系化しているか。

X = A/B

A =意図した利用者に馴染みがあり便利な情

報構造の数

B =使用される情報構造の数

例 百貨店のオンライン店舗が,実店舗で商品を物理的に陳列するのと同じ方法で商品を編成する。

UOp-8-S 外観の一貫性 類似した項目をもつユーザーイン

タフェースのうち,類似した外観

をどのくらいの比率でもつか。

X = 1-A/B

A= 類似した項目をもつが,異なる外観を

もつユーザーインタフェースの数

B= 類似した項目をもつユーザーインタフ

ェースの数

注記 例えば,画面情報の“OK”及び“Cancel”は,常に同じ位置に表示されている。

X 25023:2017(ISO/IEC 25023:2016)

UOp-9-S 入力デバイス

支援

全ての適切な入力方式(キーボー

ド,マウス,声など)によって開

始できる作業はどのくらいの比率

か。

X = A/B

A =全ての適切な入力方式によって開始でき

る作業の数

B =システムによって支援される作業の

例 検索フォームの中では,検索ボタンは,マウスの使用又はキーボードの“ENTER”キーの押下によって

活性化される。

8.5.4 ユーザーエラー防止性の測定量

ユーザーエラー防止性の測定量は,“利用者が間違いを起こすことをシステムが防止する度合い”を総合

評価するために使用される。

注記 ユーザーエラー防止性の測定量は,運用操作者若しくはエンドユーザーの代表者によって行わ

れる運用操作テストによる測定,又は要求事項,設計仕様書若しくはユーザーマニュアルのレ

ビューのような静的な分析による測定が期待される。

Table 12 — User error protection measures

表 12-ユーザーエラー防止性の測定量

ID 名称 説明 測定関数

UEp-1-G 利用者操作エ

ラー回避性

システムの機能不全を引き

起さないように防護されて

いる利用者の動作及び入力

はどのくらいの比率か。

X = A/B

A = いかなるシステム機能不全をも引き起こさ

ないように防護されている利用者の動作及び入

力の数

B = いかなるシステム機能不全をも引き起こさ

ないような防護が可能な利用者の動作及び入力

の数

注記 1 これには,やり直しができない動作,重大な結果に至る動作を実行する前に,システムが確認を要求

することを含む。

例 アプリケーション内でファイルを消去するとき,利用者は,削除するごとに削除してよいかの確認をする

ことを要求される。

注記 2 よりよい測定のためには,運用操作テスト中に利用者が頻繁にエラーを起こす利用者の動作及び入

力を見つけることが有効である。そのようなエラーを起こしやすい利用者の動作及び入力の防止も

要求事項として仕様に明示することもできる。

UEp-2-S 利用者入力エラー

の収集

システムが,検出された利

用者の入力エラーに対する

推奨された正しい値を,識

別可能な原因をとともにど

の程度提供するか

X = A/B

A = システムが推奨修正値を提供する入力エラ

ーの数

B = 検出された入力エラーの数

注記 関係するデータ品質の詳細は JISX25024 の Cre-I-1 を参照。

UEp-3-S ユーザーエラー システムによって修正又 X = A/B

X 25023:2017(ISO/IEC 25023:2016)

回復性

は回復ができる,利用者

のエラーはどのくらいの

比率か。

A = システムによって回復できるように設計さ

れ,テストされた利用者のエラーの数

B = 運用操作中に発生する可能性のある利用

者エラーの数

8.5.5 ユーザーインタフェース快美性の測定量

ユーザーインタフェース快美性の測定量は,“ユーザーインタフェースが,利用者にとって楽しく満足の

いく対話を可能にする度合い”を総合評価するために使用される。

表 13-ユーザーインタフェース快美性の測定量

ID 名称 説明 測定関数

UIn-1-S ユーザーインタ

フェースの外観

の快美性

ユーザーインタフェース及

び全体の設計が外観につい

てどれくらい美的に快いか

X = A/B

A = 外観が利用者にとって美的に快い表示イ

ンタフェースの数

B = 表示インタフェースの数

注記 1 ユーザーインタフェース快美性品質の内部又は外部測定量は,ユーザーインタフェースの外観を

総合評価するために使用され,画面設計及び色のような要因に影響される。このことは消費者向

け製品にとって特に重要である。

注記 2 良い配色は,利用者が素早く文字を読み取ったり,又は画像を見てすぐに識別するのを助けること

ができる。その結果,例えば,灰色の背景に水色,オレンジ色の背景に赤色,青色の背景に緑色な

どのような,悪い配色に対処するため,より良い快美性の測定が役立つことができる。

注記 3 この品質測定量は,個々の利用者に依存することが多い。その結果,専門知識をもつ使用性の設計

者若しくは利用者の代わりとなるテスト者のいずれか,又は対象となる利用者グループの代表者

は,これの測定に関わることが期待される。

8.5.6 アクセシビリティの測定量

アクセシビリティの測定量は,“製品又はシステムが,明示された利用状況において,明示された目標を達

成するために,幅広い範囲の心身特性及び能力の人々によって使用できる度合い”を総合評価するために使

用される。

注記 アクセシビリティについて追加できる基準については,JIS X 8341-6:2013 を参照。

表 14-アクセシビリティの測定量

ID 名称 説明 測定関数

UAc-1-G 障害のある利用

者に対するアク

セシビリティ

特定の障害のある潜在的な

利用者が(適切な場合,支

援技術を用いて)どれくら

いうまくシステムを使用で

きるか。

X = A/B

A =特定の障害のある利用者がうまく使用でき

る機能の数

B =実装されている機能の数

注記 1 特定の障害には,認知障害,身体的障害,聴覚障害又は音声障害,及び視覚障害を含む。

注記 2 能力の幅には,年齢に関連した障害を含む。

X 25023:2017(ISO/IEC 25023:2016)

注記 3 特定の状況又は環境においては,人は誰もが,認知能力,身体能力,聴覚能力又は視覚能力が制限

された利用者になる可能性がある。特定の状況又は環境には,例えば,暗闇の中,気圧が低くなる

高地,水中などがある。

UAc-2-S 利用が支援され

る言語の適切性

利用に必要な言語のうち,

利用できるよう支援されて

いる言語はどのくらいの比

率か。

X = A/B

A =実際に利用できるよう支援されている言語

の数

B =利用できるように支援することが必要と

される言語の数

注記 利用者がシステム又はソフトウェアを母国語と異なる言語で使用しようとするとき,利用者は,運用

操作エラーに頻繁に苦しんでおり(経験しており),ときには意図した目標の達成をあきらめる。

このようなケースは,アクセシビリティの低下の一つであり,記述及びメッセージの誤解によっ

て,引き起こされている。その結果,利用者の多様性に対応するためにどの言語が支援されるかを考

慮し,明示し,実装しなければならない。

8.6 信頼性の測定量

信頼性の測定量は,“明示された時間帯で,明示された条件下に,システム,製品又は構成要素が明示さ

れた機能を実行する度合い”を総合評価するために使用される。

問題となっている製品が完成品となったときに,規定の信頼性ニーズを満たすかどうかを,開発中部予測

するため信頼性の内部測定量が使用される。

信頼性の外部測定量は,システム内のソフトウェアの運用操作中における信頼性の度合いを示すためにテ

ストを実行する間,そのソフトウェアが一部となっているシステムの振る舞いに関係する属性を総合評価す

るために使用される。システムとソフトウェアとは,ほとんどの場合,互いに区別できない。

8.6.1 成熟性の測定量

成熟性の測定量は,“通常の運用操作の下で,システム,製品又は構成要素が信頼性に対するニーズに合

致している度合い”を総合評価するために使用される。

注記 成熟性の概念は,通常の運用操作のもとで要求されたニーズに成熟性以外の品質特性が合致して

いる度合いを示すために成熟性以外の品質特性に適用することもできる(JIS X 25010 参照。)。

表 15—成熟性の測定量

ID 名称 説明 測定関数

RMa-1-G 障害修正性

検出された信頼性に関係のある

障害のうち,修正された障害は

どのくらいの比率か。

X = A/B

A= 設計,コーディング又はテスト段

階で修正された信頼性に関係のある障

害の数

B= 設計,コーディング又はテスト段

階で検出された信頼性に関係のある障害

の数

注記 例えば,不十分なエラー処理は,信頼性に関係のある障害の一種である。

RMa-2-G 平均故障間隔時間

(MTBF)

システム又はソフトウェアを運

用操作している間の平均故障間

X = A/B

A= 運用操作時間

X 25023:2017(ISO/IEC 25023:2016)

隔時間はどのくらいか。

B= システム又はソフトウェアで実際

に発生した故障

注記 1 測定結果の値は 0 から無限大まで変化する。通常大きい方がよい。

注記 2 平均故障間隔時間は,異なるシステム又はソフトウェア製品の信頼性を比較するために使用できる。

RMa-3-G 故障率

定義された期間中の故障数の

平均はどのくらいか。

X = A/B

A= 観測時間中に検出された故障の数

B= 観測期間

注記 1 この測定量で使用される観測期間は,実際の使用時間又はテスト時間を参照して,テスト及び運用

操作の目的によって異なることができる。

注記 2 信頼性見積もりモデルは,この測定量を入力として使用できる。

注記 3 この品質測定量の有用さは,例えば,正常,例外及び異常ケースなどのテストケースの適切性,又は

テスト期間中のシステム使用範囲に依存する。

RMa-4-S テスト網羅性

関連する一組の試験に含まれ

る,システム若しくはソフトウ

ェアの能力,運用操作シナリオ

又は機能のうち,実際に何パー

セントが実行されたか。

X = A/B

A= 実際に実行されたシステム若しく

はソフトウェアの能力,運用操作シナリ

オ又は機能の数

B= 関連する一組の試験に含まれる,

システム若しくはソフトウェアの能力,

運用操作シナリオ又は機能の数

8.6.2 可用性の測定量

可用性の測定量は,“使用することを要求されたとき,システム,製品又は構成要素が運用操作可能及び

アクセス可能な度合い”を総合評価するために使用される。

表 16-可用性の測定量

ID 名称 説明 測定関数

RAv-1-G システム可用性

計画されたシステム運用操作時間

のうち,実際にシステムの運用操

作が可能である時間はどのくらい

の比率か。

X = A/B

A= 実際に提供されたシステム運用

操作時間

B= 運用操作計画で明示されたシス

テム運用操作時間

注記 この測定量は,通常の運用操作日に加え,休日及び週末のような特別な日に拡張することができる。

RAv-2-G 平均ダウン時間

故障が発生した場合,システム

はどのくらい長い間利用できな

いか。

X = A/B

A= 総ダウン時間

B= 観測された機能停止回数

注記 1 測定結果の値は,0 から無限大まで変化する。通常,小さい方がよい。

注記 2 可用性は,システム,製品又は構成要素が運用操作に供された状態である期間中の全時間に対する比率

によって,外部的に総合評価することができる。したがって,可用性は,(故障の頻度を抑制する)成

熟性,(それぞれの故障発生後に続くダウン時間の長さを抑制する)障害許容性及び回復性の組合せで

ある。

X 25023:2017(ISO/IEC 25023:2016)

8.6.3 障害許容性(耐故障性)の測定量

障害許容性(耐故障性)の測定量は,“ハードウェア又はソフトウェア障害にもかかわらず,システム,製

品又は構成要素が意図したように運用操作できる度合い”を総合評価するために使用される。

注記 障害許容性測定量に関する内部測定量又は外部測定量は,運用操作障害又は明示されたインタ

フェース違反が発生した場合に,明示された性能水準を維持する製品の能力と関係付けること

ができる。

表 17ー障害許容性の測定量

ID 名称 説明 測定関数

RFt-1-G 故障回避性

危機的で重大な故障を避け

るために,制御されている

障害のパターンはどのくら

いの比率か。

X = A/B

A= 回避された危機的で重大な故障の発生数

(テストケース数の単位で算出した数)

B= テスト中に実行された(ほぼ故障の原因

となる)障害のパターンのテストケースの数

RFt-2-S 構成要素の冗長性 システム故障を回避するた

めに,冗長化されて設置さ

れた構成要素はどのくらい

の比率か。

X = A/B

A= 冗長化されて設置された構成要素の数 B= システム構成要素の数

注記 例えば,多くの安全性が重大なシステムでは,システムの信頼性を向上させる意図で,制御システムの

幾つかの部分を多重化することができる。

RFt-3-S 平均障害通知時間 システムは,どれくらい早く

障害の発生を報告するか。

X = ∑ (Ai - Bi)/ n

i=1 ~ n

Ai= システムが i 番目の障害を報告した時刻

Bi= システムが i番目の障害を検出した時刻

N= 検出された障害数

注記 測定結果の値は,0 から無限大まで変化する。通常 0 に近い方がよい。

8.6.4 回復性の測定量

回復性の測定量は,“中断時又は故障時に,製品又はシステムが直接的に影響を受けたデータを回復し,

システムを希望する状態に復元することができる度合い”を総合評価するために使用される。

表 18— 回復性の測定量

ID 名称 説明 測定関数

RRe-1-G 平均回復時間

ソフトウェア又はシステムが

故障から回復するまでに要す

る時間長さはどれくらいか。

X = ∑ Ai / n

i=1 to n

Ai= i 番目の故障でダウンしたソフトウェ

ア又はシステムを回復し運用操作が再開す

るまでに要する総時間

n= 故障数

X 25023:2017(ISO/IEC 25023:2016)

注記 1 測定結果の値は,0 から無限大まで変化する。通常小さい方がよい。

注記 2 この品質測定量を,取得者及び供給者が合意した要求事項の中で明示された,平均回復時間の目標と

なるしきい値と比較する場合,測定量を適合性の検査に使用することができる。

RRe-2-S データバックア

ップ完全性

定期的にバックアップされる

データ項目はどのくらいの比

率か。

X = A/B

A= 実際に定期的にバックアップされるデ

ータ項目数

B= エラーからの回復のためにバックアッ

プを必要とするデータ項目数

8.7 セキュリティの測定量

セキュリティの測定量は,“人間又は他の製品若しくはシステムが,認められた権限の種類及び水準に応じ

たデータアクセスの度合いをもてるように,製品又はシステムが情報及びデータを保護する度合い”を総合

評価するために使用される。

注記 1 セキュリティ攻撃は通常のテストでは発生しないため,攻撃を模擬するために侵入テストを実

行することができる。

注記 2 セキュリティ保護要求事項は,スタンドアロンシステムの場合から,インターネットに接続さ

れたシステムの場合まで,大幅に変化する。要求されたセキュリティ機能の決定及びそれらの

有効性の保証については,関連する国際規格の中でより詳しく取り上げられている。この規格

の利用者は,リスクの水準に従って,それぞれの場合で使用される必要があるセキュリティ機

能の種類を決定する必要がある。

8.7.1 機密性の測定量

機密性の測定量は,“製品又はシステムが,アクセスすることを認められたデータだけにアクセスすること

ができることを確実にする度合い”を総合評価するために使用される。

表 19—機密性の測定量

ID 名称 説明 測定関数

SCo-1-G

アクセス制御性 認可されていないアクセスを防

止している機密データ項目はど

のくらいの比率か。

X=1-A/B

A = 認可なしにアクセスできる機密データ

項目の数

B = アクセス制御が要求される機密データ

項目の数

SCo-2-G データ暗号化正

確性

データ項目の暗号化又は復号化

は要求事項仕様書に記述された

ようにどれくらい正確に実装さ

れているか。

X = A/B

A= 正確に暗号化又は復号化されたデータ

項目数

B=暗号化又は復号化が必要なデータ項目数

注記 関係するデータ品質の詳細については,JISX25024 の Cnf-I-1 を参照。

SCo-3-S 暗号化アルゴリズ

ムの強度

十分に強度が調査された暗号化

アルゴリズムはどのくらいの比

率か。

X = 1 − A/B

A= 使用時に既に破られているか,又は使

用時に許容できない危険性がある暗号化ア

ルゴリズム数

X 25023:2017(ISO/IEC 25023:2016)

B= 使用されている暗号化アルゴリズム数

注記 1 その分野の専門家が現在のところ強度が高いと考えている,入念に調査されたアルゴリズムを選ぶこ

と,及び十分にテストされた実装を選ぶことが重要である。幾つかの暗号化のメカニズムと同様に,分

析のためにソースコードが利用できなければならない。例えば,米国政府のシステムは FIPS 140-2 認証

が必要である。

注記 2 暗号化アルゴリズムの強度を測定するための他の方法がある。例えば,倫理的ハッキングの使用がある。

注記 3 倫理的ハッキングとは,システムのセキュリティを試験するために,システムの供給者などとの間の事前

の合意に基づいてシステム破りなどのハッキング行為を試みることをいう。

8.7.2 インテグリティの測定量

インテグリティの測定量は,“コンピュータプログラム又はデータに権限をもたないでアクセスすること

又は修正することを,システム,製品又は構成要素が防止する度合い”を総合評価するために使用される。

表 20—インテグリティの測定量

ID 名称 説明 測定関数

SIn-1-G データインテグリテ

認可されていないアクセスに

よるデータの損傷又は修正を

どれくらい防止できるか。

X = 1 − A/B

A=認可されていないアクセスによって実

際に損傷されたデータ項目数

B= データ損傷又は修正を避ける必要のあ

るデータ項目数

SIn-2-G 内部データ損傷

防止性

利用可能なデータ損傷の防止

手法がどれくらい実装されて

いるか。

X = A/B

A= 実際に実装されたデータ損傷防止

手法数

B=利用可能で,かつ推奨されるデー

タ損傷防止手法数

注記 データ損傷の防止のための内部で行う手法の例には,頻繁なデータバックアップ,参照元のデータ

との定期的な比較,多重化したミラーサイトへのデータ保存がある。

SIn-3-S バッファオーバー

フロー防止性

ソフトウェアモジュール内

で,利用者による入力がある

メモリアクセスのうち,バッ

ファオーバーフロー防止のた

めに境界値チェックされてい

るメモリアクセスはどのくら

いの比率か。

X = A/B

A= 境界値チェックされる,利用者による

入力があるメモリアクセス数

B= ソフトウェアモジュール内の利用者に

よる入力があるメモリアクセス数

注記 バッファオーバーフローは,境界値チェックが不十分なため,バッファに書き込まれたデータが書込み

先のバッファに近接したメモリアドレスのデータの値を損傷する場合に発生する。書き込み先のバッフ

ァ内にデータが収まることを最初にチェックせずに,バッファから他のバッファへデータをコピーすると

き,これ(バッファオーバーフロー)は発生する可能性がある。

X 25023:2017(ISO/IEC 25023:2016)

8.7.3 否認防止性の測定量

否認防止性の測定量は,“事象又は行為が後になって否認されることがないように,行為又は事象が引き

起こされたことを証明することができる度合い”を総合評価するために使用される。

表 21-否認防止性の測定量

ID 名称 説明 測定関数

SNo-1-G デジタル署名使用率

否認防止が要求される事象のうち,

デジタル署名を使用して否認防止の

ための処理をしている事象はどのく

らいの比率か。

X = A/B

A= デジタル署名を使用して否認防

止を保証する事象の数

B= デジタル署名を使用して否認防

止が要求される事象数

注記 証明書及びセキュリティのアルゴリズムも否認防止性を高めるのに役立つ。

8.7.4 責任追跡性の測定量

責任追跡性の測定量は,“実体の行為がその実体に一意的に追跡可能である度合い”を総合評価するため

に使用される。

表 22-責任追跡性の測定量

ID 名称 説明 測定関数

SAc-1-G 利用者の監査証跡完全

システム又はデータへの利

用者のアクセスに関して,

監査証跡が,どれくらい完

全に行われているか。

X = A/B

A= 全てのログ中に記録されたアクセス数

B= 実際にテストされた,システム又はデ

ータへのアクセス数

SAc-2-S システムログ保持性

要求された保持期間に対し

て,安定した記憶装置にシ

ステムログを保管する期間

はどのくらいの比率か。

X = A/B

A= 安定した記憶装置にシステムログを実

際に保管する期間。

B= 安定した記憶装置にシステムログを保

管することに対する明示された期間

注記 1 安定した記憶装置とは,所与の幾つかの書き込み操作に対してアトミック性を保証し,かつ,ソフ

トウェアがハードウェア故障及び電源故障に対して安定していると書かれていることを許すコンピ

ューターデータ保管技術の分類である。ほとんどの場合,安定した記憶装置の機能性は RAID 技術

によって分離されたディスク上でデータをミラーリングすることによって達成できる。

注記 2 測定結果の値は,0 から無限大まで変化する。通常 1 より大きい方がよい。

注記 3 アトミック性とは,一連の処理が不可分の一体として成功・失敗のいずれかになり,かつ,処理途

中の状態に他からアクセスできないことをいう。

8.7.5 真正性の測定量

真正性の測定量は,“ある主体又は資源の同一性が主張したとおりであることを証明できる度合い”を総

合評価するために使用される。

X 25023:2017(ISO/IEC 25023:2016)

表 23-真正性の測定量

ID 名称 説明 測定関数

SAu-1-G 真正性認証メカニズム

十分性

システムが主体の同一性をど

れくらいよく証明して真正性

を認識できるか。

X = A/B

A= 提供された真正性認証メカニズム数

(例えば,利用者 ID 若しくはパスワー

ド,又は IC カード)

B=明示された真正性認証メカニズム数

注記 セキュリティに関連するものは,真正性認証モデルの強度及び多数の水準で多数の要因の真正性認証及

び脅威検出ができる能力である。提供されたプロトコルの真正性の因子数及び真正性の程度も,真正性

の測定量として使用することができる。

SAu­2­S 真正性認証規則の整合

要求された真正性を証明する

認証規則のうち,設定されて

いる規則はどのくらいの比率

か。

X = A/B

A= 実装された真正性規則数

B=明示された真正性規則数

8.8 保守性の測定量

保守性の測定量は,“意図した保守者によって,製品又はシステムが修正することができる有効性及び効

率性の度合い”を総合評価するために使用される。

8.8.1 モジュール性の測定量

モジュール性の測定量は,“一つの構成要素に対する変更が他の構成要素に与える影響を最小になるよう

に,システム又はコンピュータプログラムが別々の構成要素から構成されている度合い”を総合評価するた

めに使用される。

表 24-モジュール性の測定量

ID 名称 説明 計測機能

MMo-1-G 構成要素結

合度

構成要素の独立性はどれくらい強

いか,かつ,システム又はコンピ

ュータプログラム中の他の構成要

素への変更による影響がない構成

要素は,どれくらい多いか。

X = A/B

A= 他の構成要素への影響がないよう実装さ

れた構成要素の数

B= 独立していることが要求されている,明

示された構成要素の数

注記 他の構成要素の変更の影響の度合いは最小限かどうかを判定するためには,このようなしきい値が

役立つ。例えば,他の構成要素の変更によって引き起こされる構成要素の変更の頻度,又は構成要

素が直接アクセスする,外部から共有しているデータベースの数について,しきい値を設ける。

MMo-2-S サイクロマテ

ィック複雑度

の適切性

サイクロマティック複雑度を

受容できるソフトウェアモジ

ュールは,どれくらい多いか

X = 1– A/B

A =明示されたしきい値を超えるサイクロ

マティック複雑度の点数があるソフトウェ

アモジュール数

B = 実装されたソフトウェアモジュール数

注記 各モジュールに対し,サイクロマティック複雑度の値が受容できるかどうかを判定するために,こ

のようなしきい値が使用される。しきい値は,各プロジェクト又は組織で定義され,かつ,プログ

X 25023:2017(ISO/IEC 25023:2016)

ラミング言語,モジュール種別又は機能種別に対して,たぶん異なった値となる。

8.8.2 再利用性の測定量

再利用性の測定量は,“一つ以上のシステムに,又は他の資産作りに,資産を使用することができる度合

い”を総合評価するために使用される。

表 25-再利用性の測定量

ID 名称 説明 測定機能

MRe-1-G 資産の再利用性 再利用できるシステム内の資産の

量は,どれくらい多いか

X = A/B

A= 再利用可能となるように設計され,実装さ

れた資産数

B= システム内の資産数

注記 この測定量では,要求事項文書,ソースコードモジュール,テストモジュール,特定のハードウェアな

どのような作業成果物を資産とすることができるかもしれない。

MRe­2­S コーディング規約

遵守性

要求されたコーディング規約を遵

守しているモジュールは,どれく

らい多いか

X = A/B A= 特定のシステムのためのコーディング規

約を遵守しているソフトウェアモジュール数

B= 実装されたソフトウェアモジュール数

注記 1 特定のシステムのためのコーディング規約は,例えば,モジュール性,追跡可能性及び簡潔性に寄与

する規約を含めてもよい。

注記 2 この品質測定量は,解析性のような,異なる品質特性及び品質副特性にも適用できる。

8.8.3 解析性の測定量

解析性の測定量は,“製品若しくはシステムの一つ以上の部分への意図した変更が製品若しくはシステム

に与える影響を総合評価すること,欠陥若しくは故障の原因を診断すること,又は修正しなければならない

部分を識別することが可能であることについての有効性及び効率性の度合い”を総合評価のために使用され

る。

表 26-解析性の測定量

ID 名称 説明 測定機能

MAn­1­G システムログ完全性

システムの運用操作を追跡でき

るようにするために,運用操作

をシステムが記録できるログは

どれくらい多いか。

X=A/B A= システム内で実際に記録されたログ

B= 運用操作中に監査証跡が要求される

ログ数

MAn­2­S 診断機能有効性

原因分析の要求事項を満たす診

断機能はどのくらいの比率か。 X = A/B A= 原因分析に役立つ診断機能数

B= 実装された診断機能数

MAn­3­S 診断機能十分性 要求された診断機能が実装され X = A/B

X 25023:2017(ISO/IEC 25023:2016)

ている比率はどのくらいか A= 実装された診断機能

B= 要求された診断機能数

注記 解析性の測定量は,保守者若しくは利用者の労力,又は欠陥若しくは故障原因を突き止めようと試

みるとき又は修正が必要な箇所の識別に使用される資源のような属性を総合評価するために使用さ

れる。

8.8.4 修正性の測定量

修正性の測定量は,“欠陥の取込みも既存の製品品質の低下もなく,有効的に,かつ,効率的に製品又は

システムを修正することができる度合い”を総合評価するために使用される。

注記 修正性の測定量は,明示された修正を実行しようとするときに,保守者,利用者又はソフトウェ

アを含むシステムの振る舞いを測定することによって,保守者又は利用者の労力のような属性を

総合評価するために使用される。

表 27-修正性の測定量

ID 名称 説明 測定機能

MMd-1-G 修正効率性

予期した修正時間と比較し

て,どれくらい効率的に修

正されるか。

X =∑(Ai / Bi)/ n

i=1 ~n Ai = 特定の種別の修正 i を実行するために

要した総仕事時間

Bi = 特定の種別の修正 i を実行するために

要すると予期した時間

n = 測定された修正数

注記 1 測定結果 X が 1 より大きい場合は非効率な修正を表し,1 より小さい場合は非常に効率的な修正を

表す。

注記 2 特定の種別の修正を実行するために予期した時間は,履歴データ又は産業分野での平均に基づいて

求めることができる。

MMd-2-G

修正正確性

正確に実装されている,修正

はどのくらいの比率か。

X = 1 – (A/B)

A= 実装後に定められた期間中に,インシデント

又は故障を引き起こす修正の数

B= 実装された修正の数

MMd-3-S

修正可能性

明示された期間内に,要求さ

れた修正がどれくらい実施で

きるか。

X = A/B

A=明示された期間内に実際に修正された項目数

B=明示された期間内に修正することが要求され

る項目数

8.8.5 試験性の測定量

テスト性の測定量は,“システム,製品又は構成要素について試験基準を確立することができ,その基準

が満たされているかどうかを決定するために試験を実行することができる有効性及び効率性の度合い”を総

合評価するために使用される。

X 25023:2017(ISO/IEC 25023:2016)

注記 1 テスト性の内部測定量は,製品の中に存在する設計及び実装された自律的テスト支援機能

の総量を予測するための一連の属性を示す。

注記 2 テスト性の外部測定量は,修正された又は修正されていないソフトウェアをテストしようとす

るときに,保守者,利用者又はソフトウェアを含むシステムの振る舞いを測定することによっ

て,保守者又は利用者の労力のような属性を総合評価するために使用する。

表 28-テスト性の測定量

ID 名称 説明 計測機能

MTe-1-G テスト機能完

全性

テスト機能及びテストファシ

リティがどれくらい完全に実

装されているか。

X = A/B

A=明示されたとおりに実装されたテスト機能の数

B= 要求されたテスト機能の数

MTe-2-S 自律的テスト

ソフトウェアテストがどれく

らい独立して実施できるか。

X = A/B

A= 他のシステムに依存したテストの中で,スタブによって

模疑実行が可能なテストの数

B= 他のシステムに依存したテストの数

注記 スタブは,他モジュールを呼び出しているか又は他が依存しているモジュールの開発又はテストに使用され

る,中身の処理がない骨格だけが実装されたソフトウェアモジュール又は特定の目的で実装されたソフト

ウェモジュールである。

MTe-3-S テスト再開

始性

保守後にテストを再度開始

する箇所から運用テストの

実行がどれくらい容易か。

X = A/B

A= 保守者が,少しずつ確認するために希望した箇所で

テスト運転実行を一時停止及び再開できるケース数

B= 一時停止が可能なテスト運転実行のケース数

8.9 移植性の測定量

移植性の測定量は,“一つのハードウェア,ソフトウェア又は他の運用環境若しくは利用環境から

その他の環境に,システム,製品又は構成要素を移すことができる有効性及び効率性の度合い”を

総合評価するために使用される。 8.9.1 適応性の測定量

適応性の測定量は,“異なる又は進化していくハードウェア,ソフトウェア又は他の運用環境若しくは利

用環境に,製品又はシステムが適応できる有効性及び効率性の度合い”を総合評価するために使用される。

表 29-適応性の測定量

ID 名称 説明 計測機能

PAd-1-G ハードウェア

環境適応性

ソフトウェア又はシステム

は,異なるハードウェア環

境に適応できる能力が十分

にあるか。

X = 1 – A/B

A= テスト中,完了しなかった機能数,又は要求

事項を十分に満たさない結果数

B= 異なるハードウェア環境でテストさ

れた機能数

PAd-2-G システムソフト

ウェア環境適応

ソフトウェア又はシステム

は,異なるシステムソフト

X = 1 – A/B

A= テスト中,完了しなかった機能数,又は要

X 25023:2017(ISO/IEC 25023:2016)

ウェア環境に適応できる能

力が十分にあるか。

求事項を十分に満たさない結果数

B= 異なるシステムソフトウェア環境で

テストされた機能数

注記 1 特定の適応ニーズのためにあらかじめソフトウェアによって提供されている適応手続以外に,

適応手続を利用者が適応する必要があるとき,適応のために必要とする利用者の労力は,測定

される必要がある。

注記 2 システムソフトウェアは,オペレーティングシステム,ミドルウェア,データベース管理システ

ム,コンパイラ,ネットワーク管理システムなどを含む。

PAd-3-S 運用環境適応

ソフトウェア又はシステム

は,異なる運用環境に適応で

きる能力が十分にあるか。

X = 1 – A/B

A= 利用者環境での運用テスト中,完了しなか

った機能数,又は要求事項を十分に満たさない結

果数

B= 異なる運用環境でテストされた機能数

8.9.2 設置性の測定量

設置性の測定量は,“明示された環境において,製品又はシステムをうまく設置及び/又は削除できる有

効性及び効率性の度合い”を総合評価するために使用される。

表 30-設置性の測定量

ID 名称 説明 計測機能

PIn-1-G 設置時間効率性 実際の設置時間が期待した設

置時間と比較してどれくらい

効率的か。

X =∑(Ai / Bi )/ n

i=1~ n

Ai= i 番目の設置に要した総作業時間

Bi = i 番目の設置に要すると期待された時間

n= 測定された設置回数

注記 1 測定結果の値 X が 1 より大きい場合は非効率的な設置を表し,1 より小さい場合はとても効率的な設

置を表す。

注記 2 設置するための期待される設置時間は,履歴データ又は産業分野での平均値に基づくことができる。

PIn-2-G 設置容易性 利用者又は保守者が利便のた

めに設置手続をカスタマイズ

することができるか。

X = A/B

A= 利用者が設置手続をカスタマイズするのに成

功するケース数

B= 利用者が自分の利便のために設置手続をカス

タマイズしようと試みたケース数

注記 このような設置手続の変更は,利用者による設置のカスタマイズとして認識される。

8.9.3 置換性の測定量

置換性の測定量は,“同じ環境において,製品が同じ目的の別の明示された製品と置き換えることができ

る度合い”を総合評価するために使用される。

X 25023:2017(ISO/IEC 25023:2016)

表 31-置換性の測定量

ID 名称 説明 計測機能

PRe-1-G 使用法の類似性

置き換えられた製品の利用者機能

のうち,追加の学習又は代替策を

用いることなく実行できる機能は

どのくらいの比率か。

X = A/B

A= 追加の学習又は代替策を用いることなく

実行できる利用者機能数

B= 置き換えられたソフトウェア製品に存在

していた利用者機能数

注記 利用者機能とは,ユーザーインタフェースも含め,意図した作業を実行するために利用者が呼び出

して使用できる機能である。

PRe-2-S 製品品質等価性 今回の製品で以前のソフトウェア

製品から置き換えた後,満足され

ている品質測定量はどのくらいの

比率か。

X = A/B

A= 新しい製品が置き換えられた製品と同等以

上の品質測定量数

B= 関連する置き換えられたソフトウェア製品

の品質測定量数

注記 置換性に関連した,非常に重要な製品品質には,相互運用性,セキュリティ及び性能効率性がある。

PRe-3-S 機能包含性 以前のソフトウェア製品から置

き換えた後も,以前のソフトウ

ェア製品と同様の機能を容易に

使用できるか

X = A/B

A= 以前と同様の結果を生成する機能の数

B= 置き換えたソフトウェア製品で使う必要があ

る機能の数

PRe-4-S データ再使用性

及びインポート

能力

今回の製品で以前のソフトウェ

ア製品から置き換えた後,以前

と同じデータが使用できるか

X = A/B

A= 以前と同様に継続して使用できるデータの数

B= 置き換えたソフトウェア製品で,継続し

て使用するデータ数

X 25023:2017(ISO/IEC 25023:2016)

附属書 A

(参考)

品質測定量利用のための考慮事項

この附属書は,品質測定量の選択及び適用における多くの考慮事項を扱う。箇条 8 に定義された各品質測

定量は,内部特徴(主として中間製品の静的な測定量),外部特徴(主として実行時のコードの振る舞いの

測定による),又はその両方を測定する場合に使用することができる。

注記 1 反復型モデル又は増分型モデルが開発又は保守に適用される場合,内部測定量及び外部測定量

の双方が反復又は増分の各サイクルで使用される。反復的に増加又は改善された,システム及

びソフトウェアの仕様書,方式設計書,詳細設計書,構成要素及びコードは,レビューするこ

とで,内部測定量を用いて測定することができる。他方,反復的に統合されたシステム及びソ

フトウェアは,個々の反復又は増分において,テスト作業を組み立てるためにそれらを実行す

ることで,外部測定量を用いて測定することができる。反復又は増分において,実行可能なテ

ストが非常に頻繁に実行できる場合にはたぶん外部測定量(又は利用時の品質測定量)を内部

測定量より多く採用することができる。その場合,これらの品質測定量を,複数の反復又は増

分をとおして,進化する品質の傾向を監視するために繰り返し使用することができる。例えば,

機能適合性の品質測定量の一つである機能網羅性の測定値は,早期の反復ではたぶん低く,後

期の反復ではより高い所へ増加していくことが期待される。

注記 2 性能効率性の内部測定量は,静的な設計文書又はソースコードに適用可能である。これらの

測定値は,設計されたアルゴリズム,呼出し関数数又は実行可能なステップ数の理論的な計

算量の見積りによって得ることができる。しかしながら,設計段階で実行可能な中間プロト

タイプに対する性能効率性の外部測定量の適用は,内部測定量と外部測定量との間の実際の

差分を理解し,内部測定量の見積りを較正するのに役立つ。

注記 3 使用性の内部測定量は,画面表示の静的なモックアップ,使用性設計の仕様書,一連のメッセ

ージのテキストファイル,ユーザーマニュアル,ユーザーインタフェースに関わるソースコー

ドなどに適用できる。しかしながら,開発段階で実行可能な中間プロトタイプに対する使用性

の外部測定量の適用は,内部測定量と外部測定量との間の実際の差分を理解するのに役立つ。

可能な場合,開発段階で実行可能なプロトタイプへの利用時の品質測定量の適用も非常に役

に立つ。

加えて,品質測定量は,次のような推奨水準によって分類できる。

- HR 適用が強く推奨されるものであり,“常にこの品質測定量を利用する。”ことを意味する。

- R 適用が推奨されるものであり,“適切な場合にはこの品質測定量を利用する。”ことを意味する。

- UD 利用者の裁量で利用されるものであり,測定量の信頼性が未知であるため,“新しい品質測定量を

開発するときにこの測定量を参考として利用する。”ことを意味する。

表 A.1 に,各品質測定量の使用と関係した,こういう種類の考慮事項を示す。

表 A.1-品質測定量の使用に関する要約表

品質特性 品質副特性 ID 品質測定量名 内部・外

部・両方の

区別

推奨水準

X 25023:2017(ISO/IEC 25023:2016)

機能適合性 機能完全性 FCp-1-G 機能網羅性 両方 HR

機能正確性 FCr-1-G 機能正確性 両方 HR

機能適切性 FAp-1-G 使用目的に関する機能適切性 両方 HR

FAp-2-G 機能適切性 両方 HR

性能効率性 時間効率性 PTb-1-G 平均応答時間 両方 HR

PTb-2-G 応答時間適切性 両方 R

PTb-3-G 平均ターンアラウンド時間 両方 R

PTb-4-G ターンアラウンド時間適切性 両方 R

PTb-5-G 平均スループット 両方 R

資源効率性 PRu-1-G 平均プロセッサ使用効率性 外部 HR

PRu-2-G 平均メモリ使用効率性 外部 R

PRu-3-G 平均 I/O 出刃押し使用効率性 外部 R

PRu-4-S 帯域幅使用効率性 外部 UD

容量満足性 PCa-1-G トランザクション処理容量満足性 両方 R

PCa-2-G ユーザーアクセス容量満足性 両方 R

PCa-3-S ユーザーアクセス増加適切性 外部 UD

互換性 共存性 CCo-1-G 他製品との共存性 外部 HR

相互運用性 CIn-1-G データ様式交換性 両方 HR

CIn-2-G データ交換プロトコル充足性 両方 R

CIn-3-S 外部インタフェース適切性 両方 HR

使用性 適切度認識

UAp-1-G 記述完全性 両方 HR

UAp-2-S 実演機能網羅率 両方 UD

UAp-3-S ウェブサイト目的説明率 両方 UD

習得性 ULe-1-G ユーザーガイダンス完全性 両方 HR

ULe-2-S 入力欄のデフォルト 両方 R

ULe-3-S エラーメッセージ理解性 両方 R

ULe-4-S 自己説明提示ユーザーインタフェー

両方 UD

運用操作性 UOp-1-G 操作一貫性 両方 HR

UOp-2-G メッセージ明確性 両方 R

UOp-3-S 機能カスタマイズ可能性 両方 UD

UOp-4-S ユーザーインタフェースカスタマイ

ズ可能性

両方 UD

UOp-5-S 監視能力 両方 UD

UOp-6-S 操作実行取消し能力 両方 R

UOp-7-S 情報の理解可能な分類 両方 R

UOp-8-S 外観の一貫性 両方 UD

UOp-9-S 入力デバイス支援 両方 UD

ユーザーエ UEp-1-G 利用者操作エラー回避性 両方 HR

X 25023:2017(ISO/IEC 25023:2016)

ラー防止性 UEp-2-S 利用者入力エラーの収集 両方 HR

UEp-3-S ユーザーエラー回復性 両方 R

ユーザーイ

ンタフェー

ス快美性

UIn-1-S ユーザーインタフェースの外観の快

美性

両方 UD

アクセシビ

リティ

UAc-1-G 障害のある利用者に対するアクセシ

ビリティ

両方 R

UAc-2-S 利用が支援される言語の適切性 両方 UD

信頼性 成熟性 RMa-1-G 障害修正性 両方 HR

RMa-2-G 平均故障間隔時間 外部 HR

RMa-3-S 故障率 外部 R

RMa-4-S テスト網羅性 外部 R

可用性 RAv-1-G システム可用性 外部 HR

RAv-2-G 平均ダウン時間 外部 R

障害許容性

(耐故障

性)

RFt-1-G 故障回避性 外部 HR

RFt-2-S 構成要素の冗長性 両方 R

RFt-3-S 平均障害通知時間 外部 UD

回復性 RRe-1-G 平均回復時間 外部 HR

RRe-2-S データバックアップ完全性 両方 R

セキュリテ

機密性 SCo-1-G アクセス制御性 両方 HR

SCo-2-G データ暗号化正確性 両方 R

SCo-3-S 暗号化アルゴリズムの強度 両方 UD

インテグリ

ティ

SIn-1-G データインテグリティ 両方 HR

SIn-2-G 内部データ損傷防止性 両方 R

Sin-3-S バッファオーバーフロー防止性 内部 UD

否認防止性 SNo-1-G デジタル署名使用率 両方 R

責任追跡性 SAc-1-G 利用者の監査証跡完全性 両方 HR

SAc-2-S システムログ保持性 両方 R

真正性 SAu-1-G 真正性認証メカニズム十分性 両方 HR

SAu-2-S 真正性認証規則の整合性 両方 R

保守性 モジュール

MMo-1-G 構成要素結合度 両方 R

MMo-2-S サイクロマティック複雑度の適切性 内部 UD

再利用性 MRe-1-G 資産の再利用性 両方 HR

MRe-2-S コーディング規約遵守性 内部 R

解析性 MAn-1-G システムログ完全性 両方 HR

Man-2-S 診断機能有効性 両方 R

MAn-3-S 診断機能十分性 両方 R

修正性 MMd-1-G 修正効率性 両方 HR

MMd-2-G 修正正確性 両方 HR

X 25023:2017(ISO/IEC 25023:2016)

MMd-3-S 修正可能性 両方 UD

テスト性 MTe-1-G テスト機能完全性 両方 R

MTe-2-S 自律的テスト性 両方 UD

MTe-3-S テスト再開性 両方 UD

移植性 適応性 PAd-1-G ハードウェア環境適応性 外部 HR

PAd-2-G システムソフトウェア環境適応性 外部 HR

PAd-3-S 運用環境適応性 外部 UD

設置性 PIn-1-G 設置時間効率性 外部 R

PIn-2-G 設置容易性 外部 R

置換性 PRe-1-G 使用法の類似性 両方 HR

PRe-2-S 製品品質等価性 両方 R

PRe-3-S 機能包含性 外部 R

PRe-4-S データ再使用及びインポート能力 外部 UD

X 25023:2017(ISO/IEC 25023:2016)

附属書 B

(参考)

製品の品質測定量の定義に用いる QME

様々な品質測定量の測定関数に使用されるほとんどの QME は,既に JIS X 25021:2014 の附属書 A に規定さ

れている。必要であれば,JIS X 25021:2014 で提供されている手順及び表形式に従って,新しい QME を適切に

定義又は設計することができる。

次に,様々な品質測定量の測定関数によく利用される一般的な QME を要約する。

注記 QME に関するさらなる情報は,JIS X 25021:2014 の QME の定義を参照。

B.1 機能数

特定の QME の定義で与えられる条件を満たす全ての機能の数。

注記 例えば,要求された機能,実装された機能,テストされた機能,必須の機能,選択的な機能,又

はこれら及びさらにその他の機能の組合せが考えられる。

B.2 故障数

所与の期間に発生し,かつ,特定の QME の定義で与えられる条件も満たす全ての故障の数。

QME の例:予想される故障数,発見された故障数,解決された故障数,与えられた重大性水準の故障数。

B.3 障害数

特定の QME の定義で与えられる条件を満たす,所与のソフトウェア製品構成要素で検出された(又は見

積もられた)ソフトウェア製品障害の数。例えば,所与の種類の障害の数,所与の重大性の障害の数,うま

く訂正された障害の数など。

B.4 製品規模

求められた基準に基づく,ソフトウェア製品構成要素の数。これには,コード行数(LOC),ファンクシ

ョンポイント,モジュール,クラス,又は図若しくはその部品のような視覚的構造体があり得る。

注記 ソフトウェア製品構成要素は,幾つかの付加的な特徴を満足するかどうかだけを数えることがで

きる。例えば,実行可能なコード行数だけ,コメントも含むコード行数,コメント行だけ,宣言

又は型キャスト,角括弧及び丸括弧だけなど。

B.5 期間

特定の QME の定義で規定された,任意のプロセスの開始時間と終了時間との間隔のこと(期間=終了時

間-開始時間)。例えば,次のものがある。

- 実行時間 内部的にコンピュータークロックで内部的に測定された時間。例えば,CPU 時間,入出

力時間など,又は挿入コード若しくはソフトウェアツール(例 一そろいのテスト)をとおして測定さ

れた時間のこと。

- 観察時間 観察者がコンピュータ外の時計を用いて,外部的に測定した時間。例えば,トランザク

ション又は利用者作業を終了するまでの時間。

- 設定時間 プロセス又は観察について固定した時間ではあるが,動作とは独立した測定量として有意

義なもの。例えば,要求された応答時間。

B.6 テストケース数

特定の QME の定義で与えられた条件を満たす異なるテスト入力データ及びシナリオの数。例えば,設

計されたテストケース,要求されたテストケース,実行されたテストケース(成功したケース又は失敗

したケース)など。

X 25023:2017(ISO/IEC 25023:2016)

B.7 再開数

重大な故障の後にシステムが再びコンピュータ処理を開始することを試みた回数を数え,特定の QME の

定義で与えられる条件を満たす。システムの再開と回復とは,区別することができる。

B.8 入出力回数

特定の QME の定義で与えられた条件を満たす入出力イベントの回数。入出力イベントは,観察者に対す

るシステムメッセージとは区別される。

- 観察者とシステムと間の相互作用。例えば,ダイアログなど。

- トランザクション 運用操作を完遂するために細かく分けて実行しなければならない,観察者とシス

テムと間の一連の相互作用。例えば,(オプション付きの)ウィザード。

B.9 タスク(作業)数

タスク(作業)は,与えられた目標を達成するために必要な一式又は一連の活動である。タスク(作業)

数は,特定の QME の定義で与えられる条件を満たす,タスク(作業)の数である。次のものに区別できる。

- 利用者作業 明示された目標に向けて,利用者によって(ソフトウェア製品を用いて)実行される活動

- システムタスク 利用者を支援するためにシステムによって実行される活動

B.10 利用者試行数

特定の QME の定義で与えられた条件を満たすために,同一の運用操作を実行する試行回数。これらの試行

には,次の二つが考えられる。

- 評価:同一入力及び同一シナリオによる反復(例えば,ストレステスト)

- ケース:異なる入力及び/又は異なるシナリオによる反復

B.11 データ項目数

特定の QME の定義で与えられた条件を満たす異なる構造,クラス又は様式数。

B.12 記録数

特定の QME の定義で与えられた条件を満たす同一の構造,クラス又は様式の記録の数。

B.13 要求事項数

特定の QME の定義で与えられた条件を満たす要求事項の条項の数。

注記 要求事項には,例えば,必須の要求事項,選択的な要求事項,妥当性が確認された要求事項,又

はこれら及びさらにその他の要求事項の組合せが考えられる。

B.14 利用者運用操作数

特定の QME の定義で与えられた条件を満たす,利用者によって実行された運用操作の回数。ここで,運

用操作は作業を実行するために必要な一連のステップである。

B.15 システム運用操作数

特定の QME の定義で与えられた条件を満たす,システムによって実行された完全な運用操作の数。

注記 この QME では,個々の運用操作に必要な個別のステップではなく,完全な運用操作の数を数え

る。

B.16 言語数

意図した利用者機能の実行するために使用される,製品がサポートしている異なる言語の数。

B.17 ソフトウェアモジュール数

他の構成要素から独立して動くソフトウェア構成要素の数。概念的には,モジュールは,関与の分離を表

し,構成要素間の論理的な境界を引くことで保守性を改善する。

B.18 インタフェース数

X 25023:2017(ISO/IEC 25023:2016)

コンピュータシステムの二つの分離した構成要素にまたがる共有される境界の数。情報の交換は,ソフトウ

ェア,ハードウェア,周辺機器,人,及びこれらの組合せの間の相互間に存在することができる。

X 25023:2017(ISO/IEC 25023:2016)

附属書 C

(参考)

測定の型の詳細説明

C.1 一般

データの収集,正しい意味の解釈,及び比較のための測定量の正規化,の手順を設計するために,測定量

の利用者は,品質測定量を用いた測定における測定量の型を識別し,考慮することが望ましい。

注記 ほとんどの外部測定量は,テストを実施して測定関数の入力データを収集することができ

る。この附属書の中で説明する測定の型は,テスト設計技法及び ISO/IEC 29119-4 で定義さ

れたテストの型と密接に関係している。品質に関連したテストの型,並びに品質特性及び品

質副特性のテストの型への対応付けは,ISO/IEC 29119-4:2015 の附属書 A に詳細が記述さ

れている。

C.2 規模に関する測定量の型

C.2.1 一般

この型の測定量は,その定義における測定に関する記載に従って,ソフトウェアの特別の規模を表わして

いる。

注記 ソフトウェアは,(いかなる実体も,質量,体積,表面積などの一つ以上の次元で測定できるよ

うに)多様な規模表現が可能である。

他の測定量を規模の測定量によって正規化することで,規模を単位とした比較可能な値を与えることがで

きる。次に記載する規模の測定量は,ソフトウェア品質測定に使用される。

C.2.2 機能規模型

機能規模は,ソフトウェアがもち得る規模の一つの型の例(一つの次元)である。ソフトウェアのいかなる

実体にも,次に例示するような事項に応じた,一つ以上の機能規模がある。

- ソフトウェア規模を測定する目的(それは,測定の対象とするソフトウェアの適用範囲に影響する。)

- 使用する特別の機能規模方法(それは,単位及び尺度を変える。)

機能規模測定法(FSM 法)を適用するための考え方及びプロセスの定義は, JIS X 0135-1:2010に規定して

いる。

正規化のために機能規模を使用するためには,同じ機能規模測定法を使用すること,及び比較する異なる

ソフトウェアを同じ目的で測定しており,その結果として比較可能な適用範囲をもつことを確実にする必要

がある。

次に示すものは,機能規模を表すと主張されることが多いが, JIS X 0135-1:2010に適合したFSM法を適用し

て得られる機能規模と同等であることは保証されない。しかしながら,ソフトウェア開発において広く使用されている。

- スプレッドシート枚数

- 画面数

- 処理されたファイル数又はデータセット数

- 利用者要求仕様書に項目別に記載された機能要求事項数

C.2.3 プログラム規模型

ここでは,“プログラミング”という用語は,実行されたとき動作で終了する表現を表し,“言語”と

いう用語は,使用された表現の型を示す。

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C.2.3.1 ソースプログラム規模

プログラミング言語について説明し,コメント行のような非実行文をどのように取り扱うかを提供する

ことが望ましい。次の測定量が一般的に使用される。

コメント以外のソース文(NCCS)は,論理的なソース文をもつ実行文及びデータ宣言文を含む。

注記 1 新規プログラム規模:開発者は,新規に開発したプログラムの規模を,開発及び保守作業の

成果物の規模を表すために使用することができる。

注記 2 変更プログラム規模:開発者は,変更プログラム規模を修正した構成要素を含むソフトウェ

アの規模を表すのに使用することができる。

ソースコードの文の型を,次に示すように,より詳細に区分することが必要かもしれない。

- 文の型

- 論理ソース文(LSS) LSS は,ソフトウェアの命令の数を測定する。文は,行にはかかわりが

なく,見た目で物理的な表記の形式とは独立している。

- 物理ソース文(PSS) PSS は,ソフトウェアのソースコードの行数を測定する。

- 文の属性

- 実行可能文

- データ宣言文

- コンパイラへの指示文

- コメントソース文

- 源泉

- 修正ソース文

- 追加ソース文

- 削除ソース文

- 新規開発ソース文(=追加ソース文+修正ソース文)

- 再利用ソース文(=元のソース文-修正ソース文-削除ソース文)

C.2.3.2 プログラム語数による規模

測定は,ハルステッド(Halstead)の測定量を使用して,次の方式で実行できる。

プログラム語彙 = n1 + n2

観察されたプログラムの長さ = N1 + N2

ここで各変数は,次のとおりとする。

n1 は,演算子の種類の数(すなわち, プログラムソースコード中に,プログラム言語によって用意さ

れ,予約されている演算子の語の種類の数):

n2 は,演算対象の種類の数(すなわち,プログラムソースコード中に,プログラマによって定義され

た演算対象の語の種類の数)

N1 は,演算子の総数(すなわち,プログラムソースコード中に,各種演算子の出現数)

N2 は,演算対象の総数(すなわち,プログラムソースコード中に,各種演算対象の出現数)

C.2.3.3 モジュール数

測定は,プログラムのモジュールのような独立して実行可能なオブジェクトの数を数える。

C.2.4 使用資源測定量型

この型は,評価対象ソフトウェアの運用操作によって使用される資源を識別する。次のような例があ

る。

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a)メモリ量。例えば,ソフトウェア実行の間,一時的又は恒久的に占有するディスク量又はメモリ量。

b)入出力負荷。例えば,通信データのトラフィック量(ネットワーク上のバックアップツールにおいて意

味をもつ。)。

c)CPU 負荷。例えば,命令セットが CPU を占有する秒当たりのパーセント(この測定型は,並列又は並行

システム上で稼働するマルチスレッドソフトウェアにおける,CPU の使用及びプロセス分配の効率を測定

するために意味をもつ。)。

d)ファイル及びデータレコード。例えば,ファイル又はレコードのバイト長。

e)文書。例えば,文書のページ数。

実施した観測の期間及び回数だけでなく,上端値(最大値),最小値及び平均値に注意することが重

要である。

C.2.5 明示された運用操作手順ステップの型

この型は,ヒューマンインターフェース設計仕様書又はユーザーマニュアルに明記された手順の静的な

ステップを識別する。

利用者の操作手順を表現する図表又は文章のような,どのような種類の記述を測定に対して用いたかに

よって,測定値が異なるかもしれない。

C.3 時間に関する測定量の型

C.3.1 一般

時間に関する測定量の型をもつ測定量の利用者は,測定期間,測定したサイト数及び測定に参加してい

た利用者数を記録しておくことが望ましい。

次に例示するように,時間を測定するときの時間の取り方はたくさんある。

a)実時間単位

これは,物理的な時間である。すなわち,秒,分,又は時間である。この単位は通常,実時間ソフト

ウェアのタスク処理時間を記述するために使用される。

b)コンピュータ機器時間単位

これは,コンピュータプロセッサのクロックタイムである。すなわち,CPU 時間の秒,分,又は時間で

ある。

c)公的スケジュール時間単位

これには,就業時間,カレンダーの日,月,又は年を含む。

d)構成要素時間単位

複数サイトが存在するとき,構成要素時間は個々のサイトを識別し,各サイトの個々の時間を積算した

時間とする。この単位は通常,構成要素の信頼性(例えば,構成要素の故障率)の記述に使用される。

e)システム時間単位

複数サイトが存在するとき,システム時間は個々のサイトを識別しないが,全ての稼働サイトを全体と

して一つのシステムとして識別する。この単位は通常,システムの信頼性(例えば,システムの故障率)

の記述に使用される。

C.3.2 システム運用操作時間型

システム運用操作時間型は,ソフトウェアの可用性の測定の基盤を提供する。これは,主に信頼性評価の

ために使用される。ソフトウェアが断続的に運用操作されているか,又は連続的に運用操作されているかを

識別することが望ましい。ソフトウェアが断続的に運用操作されている場合,ソフトウェアが作動している

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期間中に時間が測定されること(これは,明らかに連続的に運用操作されているときにも同じことがいえる。)

を保証することが望まれる。

a) 経過時間

ソフトウェアの使用が一定な場合,例えば,システムで毎週同じ長さで運用操作していること。

b) マシン電源投入時間

実時間とするなら,組込ソフトウェア,又はオペレーティングシステムソフトウェアが稼働していて,

システムが運用可能な状態にあるときの全時間となる。

c) 正規化マシン時間

“マシン電源投入時間”であるが,異なる “電源投入時間”にある複数マシンからデータをためるこ

と。

C.3.3 実行時間型

実行時間型は,明示されたタスクを完了するため,ソフトウェアを実行するために必要な時間である。幾

つかの試行の分布を分析し,平均,分散又は最大値を計算することが望ましい。特定の条件下,特に過負荷

のかかった条件下での実行を分析することが望ましい。実行時間型は,主に効率性の評価で使用される。

C.3.4 利用者時間型

利用者時間型は,個々の利用者が,ソフトウェアを運用操作して作業を完了するのに費やした期間で測

定される。次に幾つかの例を示す。

a) セッション時間

セッションの開始から終了までを測定する。例えば,ホームバンキングシステムの利用者の振る舞い

を捉えることに役立つ。対話型プログラムのセッション時間では,運用操作がないアイドル時間は対

象としない場合,又は使用性の問題を調査するためにアイドル時間を対象とする場合がある。

b) 作業時間

それぞれの試行でソフトウェアを運用操作して作業を完了するために,個々の利用者が費やした時間。

測定の開始時点及び終了時点を明確に定義することが望ましい。

c) 利用者時間

個々の利用者がある時点でソフトウェアを使い始めてからの経過時間(利用者が,概ね,ソフトウェ

アを利用開始から何時間又は何日使用したかを測定する。)。

C.3.5 労力型

労力型は,特定のプロジェクト作業と関連した生産時間である。

a) 個人労力

これは,明示された作業を完了するために働く開発者,保守者又は操作者の個々人が必要とする生産時間

である。人日と表現するためには,1日当たりに一定の生産時間数があることだけを前提とする。

b) 作業労力

作業労力は,プロジェクト要員の全ての各個人の累積値である。要員とは,開発者,保守者,運用

操作者,利用者又は明示された作業を完了するために働く人々を指す。

C.3.6 イベント時間間隔型

この測定量型は,観測期間中の一つのイベントから次のイベントまでの時間間隔である。この測定量の代

わりに,観測期間の頻度を用いることができる。典型的には,継続的に発生する故障の故障間隔の時間を記

述するために使用される。

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C.4 計数測定型

ソフトウェア製品の文書の属性を数える場合,これらは静的計数型となる。イベント又は人の活動を数

える場合,これらは動的計数型となる。

C.4.1 検出障害数型

測定は,レビュー,テスト,修正,運用操作又は保守の間に検出された障害を数える。重大度の水準を,

障害の影響を考慮するために,それらを分類するために使用することができる。

C.4.2 プログラム構造複雑度型

測定は,プログラムの構造的な複雑さを数える。例として,異なるパスの数又はマッケーブ(McCabe)の

サイクロマティック数がある。

C.4.3 検出された一貫性のない型の数の型

この測定量は,調査のために準備される,検出された一貫性のない項目を数える。

a)失敗した適合項目の数

次に例を示す。

- 要求事項仕様書に明示された項目への適合

- 規則,基準又は標準への適合

- プロトコル,データ形式,メディア形式,文字コードへの適合

b)利用者の期待に反した具体的事例数

測定は,項目別の満足又は不満足の一覧の項目を数える。そして,項目には,利用者の合理的な期待と

ソフトウェア製品の性能との間の乖離を記述している。

テスト担当者,顧客,運用操作者又はエンドユーザーが見つけた,回答する質問票を使用する。

次に例を示す。

— 機能は使えるか否か。

— 機能は効果的に運用操作できるか否か。

— 機能は利用者が意図した特定の使用に対して運用操作可能か否か

— 機能は期待されたものか,必要なものか,又は不要なものか。

C.4.4 変更数型

この型は,変更されたことを検知されるソフトウェア構成項目を識別する。例として,ソースコードの

変更行数がある。

C.4.5 検出故障数型

測定は,製品開発,テスト,運用操作,保守の間に,検出された故障の数を数える。故障の影響を考慮す

るために,それらを分類するために重大度の水準を使用することができる。

C.4.6 試行回数型

この測定量は,例えば,レビュー,テスト,保守の間に,欠陥又は障害の修正を試行した回数を数える。

C.4.7 人的操作手順のストロークによる型

この測定量は,利用者が対話的にソフトウェアを運用操作するとき,手順上の動的なステップとしての利

用者の人的な行動のストローク数を数える。この測定量は,使用の労力と同様に人間工学的な使用性を定量

化する。したがって,これは,使用性の測定に使用される。例としては,作業を実行するためのストローク

数,眼球運動数などがある。

注記 ストロークとは,何かを操作した一連の動き(工程)のことを指す。

C.4.8 スコア型

X 25023:2017(ISO/IEC 25023:2016)

この型は,スコア又は算術計算の結果を識別する。スコアは,計数,又はチェックリスト上にチェックさ

れたオン及び/又はオフの重みの計算を含むことができる。例としては,チェックリストのスコア,質問票

のスコア,デルファイ法などがある。

X 25023:2017(ISO/IEC 25023:2016)

参考資料

[1] JIS Z 8521:1999 人間工学 ― 視覚表示装置を用いるオフィス作業―使用性についての手引

注記 対応国際規格:ISO/IEC 9241-11:1998, Ergonomic requirements for office work with

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[2] JIS Z 8520:2008 人間工学 ― 人とシステムとのインタラクション―対話の原則

注記 対応国際規格:ISO/IEC 9241-110, Ergonomics of human-system interaction — Part 110: Dialogue

principles(IDT)

[3] JIS X 8341-6:2013 高齢者・障害者等配慮設計指針 ― 情報通信における機器,ソフトウェア及びサ

ービス―第 6 部:対話ソフトウェア

注記 対応国際規格:ISO/IEC 9241-171, Ergonomics of human-system interaction — Part 171:

Guidance on software accessibility(IDT)

[4] ISO/IEC 14143, Information technology — Software measurement — Functional size measurement

[5] JIS X 0135-1:2010 ソフトウェア測定―機能規模測定 ― 第1部:概念の定義

注記 対応国際規格:ISO/IEC 14143-1, Information technology — Software measurement — Functional

size measurement — Part 1: Definition of concepts(IDT)

[6] JIS X 0136:2001 情報技術-コンピュータ利用ソフトウェアシステムの性能ン測定及び評定

注記 対応国際規格:ISO/IEC 14756, Information technology — Measurement and rating of performance

of computer- based software systems(IDT)

[7] JIS X 0141:2009 システム及びソフトウェア技術 ― 測定プロセス

注記 対応国際規格:ISO/IEC 15939:2007, Systems and software engineering — Measurement process

(IDT)

[8] JIS X 25012:2013 ソフトウェア製品の品質要求及び評価(SQuaRE)― データ品質モデル

注記 対応国際規格:ISO/IEC 25012, Software engineering — Software product Quality Requirements

and Evaluation (SQuaRE) — Data quality model(IDT)

[9] ISO/IEC 25020, Software engineering — Software product Quality Requirements and Evaluation (SQuaRE)

— Measurement reference model and guide

[10] ISO/IEC 25022, Systems and software engineering — Systems and software Quality Requirements and

Evaluation (SQuaRE) — Measurement of quality in use

[11] JIS X 25024:2017 システム及びソフトウェア製品の品質要求及び評価(SQuaRE)― データ品質の測

注記 対応国際規格:ISO/IEC 25024, Systems and software engineering — Systems and software Quality

Requirements and Evaluation (SQuaRE) — Measurement of data quality(IDT)

[12] JIS X 25030:2012 ソフトウェア製品の品質要求及び評価(SQuaRE)― 品質要求事項

注記 対応国際規格:ISO/IEC 25030, Software engineering — Software product Quality Requirements

and Evaluation (SQuaRE) — Quality requirements(IDT)

[13] ISO/IEC/IEEE 15288, Systems and software engineering — System life cycle processes(IDT)

[14] ISO/IEC/IEEE 24765:2010, Systems and software engineering — Vocabulary

[15] ISO/IEC/IEEE 29119-4:2015, Software and systems engineering — Software testing — Part 4:

Test techniques

X 25023:2017(ISO/IEC 25023:2016)

[16] Ministry of Economy, Trade and Industry, Japan (METI). Investigative Report on Measure for

System/Software Product Quality Requirement Definition and Evaluation, 2011,

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[19] OMG. CISQ Specification for Automated Quality Characteristic Measures, CISQ-TR-2012-01, 2012