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キャピラリー ワイヤーボンディングの流れ 1. ボンディングは、キャピラリーに ワイヤーを通して始まります。 2. 放電(EFO) によりイニシャルボー ルが作られます。(またはフリーエアー ボールとも呼ぶ) 3. キャピラリーのチャンファー (CD) 内に、イニシャルボールを抱え て、キャピラリーが降下します。 4. 荷重、超音波の振動が一定時間加 えられ、ボールボンドが作られます。 5. キャピラリーが移動し、ルー プが作られます。 6. 荷重、超音波の振動が一定時 間加えられ、セカンドボンドが作 られます。 7. クランプが開いたまま、一定の 高さまでキャピラリーが上昇します。 8. クランプを閉め、ワイヤーをクレセン ト(三日月)の部分で一定の長さのテール と呼ばれる部分を残して引きちぎり、セカ ンドボンド(ステッチボンド)が作られます。 9. ワイヤーが出ている部分が テールの長さになります。 10. 放電(EFO)により、ふたたび イニシャルボールが作成されます。 プルテストで望ましい破断モード ・中央部での破断 ・ボールネック部での破断 (加熱により金粒度の大きい部分) ・セカンドボンドネック部での破断 望ましくない破断モード ・ステッチ剥がれ ・ボール剥がれ 4

キャピラリー...先端仕上げ 図8 ポリッシュ仕上げ “P” ポリッシュ仕上げの主な特徴 1.マット仕上げに比べ、汚れが付きにくいため

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Page 1: キャピラリー...先端仕上げ 図8 ポリッシュ仕上げ “P” ポリッシュ仕上げの主な特徴 1.マット仕上げに比べ、汚れが付きにくいため

キャピラリーワイヤーボンディングの流れ

1. ボンディングは、キャピラリーにワイヤーを通して始まります。

2. 放電(EFO) によりイニシャルボールが作られます。(またはフリーエアーボールとも呼ぶ)

3. キャピラリーのチャンファー(CD) 内に、イニシャルボールを抱えて、キャピラリーが降下します。

4. 荷重、超音波の振動が一定時間加

えられ、ボールボンドが作られます。5. キャピラリーが移動し、ループが作られます。

6. 荷重、超音波の振動が一定時間加えられ、セカンドボンドが作られます。

7. クランプが開いたまま、一定の高さまでキャピラリーが上昇します。

8. クランプを閉め、ワイヤーをクレセント(三日月)の部分で一定の長さのテールと呼ばれる部分を残して引きちぎり、セカンドボンド(ステッチボンド)が作られます。

9. ワイヤーが出ている部分がテールの長さになります。

10. 放電(EFO)により、ふたたび

イニシャルボールが作成されます。

プルテストで望ましい破断モード・中央部での破断・ボールネック部での破断(加熱により金粒度の大きい部分)

・セカンドボンドネック部での破断

望ましくない破断モード・ステッチ剥がれ・ボール剥がれ

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先端径 “T”値

キャピラリーの先端径“T”値は、一般的には可能な限り大きく取ります。大きな“T”値によりセカンドボンド(2nd) が大きくなり、接合面積を大きく確保出来ます。

もっとも一般的なキャピラリーで、金線径を 25 μ m から33 μ m を使用する場合、“T”値は、140 μ m から 229 μ mです。

金線径 20 μ m 以下で狭ピッチ対応では、“T”値は、100μ m 以下となります。ファインピッチ対応では、“T”値は、76 μ m 以下が要求されます。(ファインピッチボンディングの項をご参照ください。)多様なパッドピッチ、パッケージ形状等の要求に対して、クアーズテック/ガイザーでは、幅広く多くの“T”値のキャピラリーを取りそろえています。

図 3“T”値

“T”の主な役割1. セカンドボンドの長さを決める。2. ホール径、チャンファー径(CD)、フェースアングル、

アウトサイドラディアス(OR) 等先端形状の仕様を含む。3. ファインピッチやパッケージ形状により小さな“T”値

が要求される。

一本のキャピラリーは、管理される2つの仕様値があります。一つは、大きな数値で管理される外観の仕様で、シャンク、後部ホール、コーンで、他の一つは、微細な数値で管理されるキャピラリー先端の仕様です。現状では、キャピラリーの直径が 1/16 インチ (1.58mm)で,長さが0.437インチ(11.1mm) と0.375インチ(9.52mm)が主に使用されます。一部のボンダーでは、0.625 インチや(15.88mm),0.750インチ(19.05mm)も使用されています。

図1 外観の仕様は、大きな数値で管理されます。

1. シャンク径(SD)2. ツールの長さ (L)3. コーン角4. 後部ホール

通常、コーン角30°と20°が主に使用されますが、パッドの間隔(ピッチ)が狭くなると、コーン角20°が多く使用される傾向にあります。 更にパッドピッチが狭くなれば、コーン角15°も使用されますが、15°コーンは、超音波伝達(損失)の問題が発生します。更に狭ピッチのボンディングには、ボトルネック形状のキャピラリーが使用されます。現在使用されているボトルネックのキャピラリーの多くは、ボトルネック部の角度が10°又は5°で、ボトルネックの高さが、0.006 インチ (150 μ m)から、0.015(380 μ m)の アングルボトルネックです。アングルボトルネックのボトル部の高さと角度は、要求されるパッドピッチとループの高さで決定されます。(詳細は、ファインピッチの項をご参照ください。)

図2 先端の仕様は、微細な数値で管理されます。

1. 先端寸法(T)2. ホール径(H)3. チャンファー径(CDまたは、B)4. インサイドチャンファー(IC)5. チャンファー角(IC角)6. フェイス角(平坦 0°も含む )7. アウトサイドラディアス(OR)

キャピラリーワイヤーボンディング

キャピラリーの基本設計 (寸法について)

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Page 3: キャピラリー...先端仕上げ 図8 ポリッシュ仕上げ “P” ポリッシュ仕上げの主な特徴 1.マット仕上げに比べ、汚れが付きにくいため

先端仕上げ

図8 ポリッシュ仕上げ “P”

ポリッシュ仕上げの主な特徴

1.マット仕上げに比べ、汚れが付きにくいためキャピラリーの寿命が長くなります。

2.キャピラリーとワイヤー間の機械的なカップリングは、マット仕上げより弱い。

良好な金属面で、接合性の良いボンディング条件では、ポリッシュ仕上げを推奨します。ポリッシュ仕上げは、マット仕上げよりも汚れの付着が少なくなり、ツールの寿命が長くなります。

キャピラリーワイヤーボンディング

“T”値の選定が、セカンドボンドの大きさを決めるもっ

とも大きな要因です。“T”値が大きくなるほどセカンドボンドは大きくなり、接合面積が増え、概ね接合強度が増えます。“T”値が小さくなるほど、セカンドボンドが小さくなり、接合面積が小さくなりますが、小さなパッドや狭ピッチの制約により、“T”値を小さくする必要があります。

図5. 左のセカンドボンドは、T=229 μでボンディングされたもので、右のセカンドボンドは、T=150 μでボンディングされたものです。大きな“T”値のキャピラリーでは、長いセカンドボンドとなり、このため大面積で良好な金属間接合が得られます。

図6 同一のキャピラリーでも超音波の振動の方向によってセカンドボンドの幅と長さが違う場合があります。この傾向は、多くのワイヤーボンダーや超音波トランスデューサに共通して起こりますが、両方向とも十分なボンディング強度が得られれば問題はありません。

図 4 標準キャピラリーの“T”値

図7 ガイザーマット仕上げ “GM”

マット仕上げの主な特徴

1.マット仕上げは、キャピラリーとワイヤー間の機械的なカップリングが良く接合強度が上がるため、セカンドボンディングでツールからワイヤーに超音波のエネルギーを最大の効率で伝達したい場合に選ばれます。2.欠点としては、ポリッシュ(研磨)仕上げに比べ汚れが付きやすい。

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Page 4: キャピラリー...先端仕上げ 図8 ポリッシュ仕上げ “P” ポリッシュ仕上げの主な特徴 1.マット仕上げに比べ、汚れが付きにくいため

マニュアルボンダーや半自動のボンダーが使用されるハイブリッド部品やディスクリート部品では、ワイヤー径に対して大きめのホール径が選定されます。例えば、ボンディングスピード、ボンディング精度、作業者の習熟度、ループの長さ、ループの形状、ボールのサイズ、パッドのサイズ、パッドの形状、ワイヤーの堅さ、ワイヤーの引張特性を考慮してホール径を選定します。次の表は、一般的なワイヤー径に対するホール径への目安です。

図 10 後部からのライトでホールを観察

ホール径

図 11 ホール径(H)

キャピラリーのホール径は、使用されるワイヤー径とボンディング装置の種類とボンディングの目的により決定されます。例えば、マニュアルボンダーと全自動ボンダー、ハイブリッドのボンディング、バンプボンディング等、全て異なる比率のワイヤー径対ホール径が選定されます。通常 25μ m か 33 μ mのワイヤーには、13 μ m から 20 μ m大きめのホール径を選定します。この組み合わせのホール径から形成されるボールサイズ、ループ形状、ワイヤーの通りが良好なボンディングとして一般的に採用されています。

図 9 標準的なキャピラリーのホール径(H)

H

不適当なホールサイズにより発生する問題1. ワイヤーの引っ掛かり、ワイヤーの傷2. ループ形状不良3. ボールサイズ、ボール形状が不安定4. ワイヤーの詰まり5. ボールがチャンファー内に飲み込まれる

マニュアルボンダー、半自動ボンダーキャピラリーホール径 推奨ガイド

ワイヤー径in./ μ m

ホール径in/ μ m

0.0008/20 0.0012/30 から .00015/38

0.0009/23 0.0013/33 から 0.0017/43

0.0010/25 0.0014/36 から 0.0018/46

0.0012/30 0.0016/41 から 0.0020/51

0.00125/32 0.0016/41 から 0.0020/51

0.0013/33 0.0017/43 から 0.0021/53

全自動ボンダでは、一般的にワイヤー径に対して小さめのホール径を選定します。

全自動ボンダー、高速ボンダーキャピラリーホール径 推奨ガイド

ワイヤー径in./ μ m

ホール径in/ μ m

0.0008/20 0.0012/30 から 0.0014/36

0.0009/23 0.0013/33 から 0.0015/38

0.0010/25 0.0014/36 から 0.0016/41

0.0012/30 0.0015/38 から 0.0017/43

0.00125/32 0.0015/38 から 0.0018/46

0.0013/33 0.0017/43 から 0.0020/51

マニュアルボンダーや半自動ボンダーでも、ファインピッチボンディングやバンプボンディングでは、ワイヤー径に対して小さめのホール径を選定します。

半自動ボンダー ファインピッチキャピラリーホール径 推奨ガイド

ワイヤー径in./ μ m

ホール径in/ μ m

0.0008/20 0.0010/25 から 0.0013/33

0.0009/23 0.0011/28 から 0.0014/36

0.0010/25 0.0013/33 から 0.0016/41

0.0011/28 0.0014/36 から 0.0016/41

0.0012/30 0.0015/38 から 0.0017/43

0.00125/32 0.0015/38 から 0.0018/46

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キャピラリーワイヤーボンディング

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図 9 標準的なキャピラリーのチャンファー径(CD/B)

図 10 チャンファー径(CD/B)

“CD”(B)寸法の主な働き

1.イニシャルボールをつかむための容積2.ボンディング中に、ボールに下方向と横方向に

機械的な力を与える3.ボールの大きさと形状を決める4.ルーピングでのワイヤーの通りをスムーズにする

図 11 IC角が90度の場合、ボールに加える下方向の力F1と横方向の力 F2 が同じになります。

キャピラリーワイヤーボンディング

全自動でハイスピードファインピッチボンダーでは、全く新しい基準でホール径を選定します。例えば、極端な狭ピッチ、細線ワイヤーの使用、小さなパッドサイズ、小さなボール径を考慮に入れてホール径が選定されますので、下記表のようにワイヤー径とホール径の比率が非常に小さくなります。

全自動ボンダー、高速ボンダーファインピッチキャピラリーホール径 推奨ガイド

ワイヤー径in./ μ m

ホール径in/ μ m

0.0006/15 0.00075/19 から 0.0009/23

0.0007/18 0.00085/22 から 0.0010/25

0.0008/20 0.00095/24 から 0.0011/28

0.0009/23 0.00105/27 から 0.0012/30

0.0010/25 0.00125/32 から 0.0014/36

0.0011/28 0.0013/33 から 0.0015/38

0.0012/30 0.0014/36 から 0.0016/41

0.00125/32 0.0015/38 から 0.0017/43

0.0013/33 0.0017/43 から 0.0021/53

インサイドチャンファーの設計

“IC”と“CD”(又はB)

インサイドチャンファーの仕様は、次の三つのパラメーターで決定されます。

1.ボールを作るチャンファー径(CD又は、B)2.インサイドチャンファー角(ICアングル)

・シングルIC・ダブルIC・ブレンドIC(BLIC)或いはインサイドラディアス(IR)

3.インサイドチャンファーの大きさ(IC)

上記三つのパラメーターがそのキャピラリーの持つボールボンディング(1stボンド)の特性を決定しますが、又、2ndボンドにも影響します。チャンファー径(CD)は、ホール部を面取りした外径で、イニシャルボールを抱え込み、ボールボンド(1st)を形成します。“CD”寸法を決める要因としましては、ホール径とワイヤー径、イニシャルボールの大きさ、パッドサイズ、ボールのつぶれ幅等が考えられます。 ボールのつぶれ幅は、“CD”寸法の1.2倍程度を目安にします。イニシャルボールの大きさとICの角度もボールのつぶれ幅に影響を与えます。

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図 14 標準的なキャピラリーのIC値

図 12 IC角が120度の場合、90度のIC 角よりも下方向に加わる力 F1が強くなります。この強くかかる力はボールボンドとセカンドボンドのテールボンドの両方に作用します。

IC角の違いによるボンディングへの影響

1. 120度の場合ボールを下に強く押しつぶす力が一番強い。また、セカンドボンド時のワイヤー切れが減少します。ピッチ間隔が広い製品や接合性が悪い製品に推奨。

2. 100度の場合フリーエアーボール抱え込み容積を最大にすることが出来ます。そしてボールのつぶれ径が安定します。小さなチャンファー角よりセカンドボンドでのワイヤー切れが少なくなり、下方向への力が強くなるためボールボンドの合金化を促進します。

3. 90度の場合面取りが深いため、120度のIC角よりも高さがあり、小さいボールを作る。ファインピッチボンディングや高周波ボンディングに推奨。

4. 70度の場合もっとも小さいボールが作れます。ただし、セカンドボンドでワイヤー切れが起きやすい。また、下方向にかかる力が弱いためボールのシェア強度が弱くなります。ボールのシェア強度を上げるためには十分な超音波エネルギーが必要です。

以上は、チャンファー径(CD或いはB)の基本的な機能について説明しましたが、次にインサイドチャンファーの IC角及び、ICの寸法について説明します。

IC値は、チャンファー径(CD値)からホール径(H値)を引いた値の1/2で、その寸法の角度を持った面取り(チャンファー)がホールの周りを囲んでいます。IC値とチャンファー径の関係は、次の図のような数式で表すことが出来ます。

図 13 インサイドチャンファー 寸法

32 μ m の大きなワイヤーを使用するハイブリットやディスクリート部品へのボンディングでは、一般的にはIC値25 μ m までの大きなICを持つキャピラリーが使用されます。一般的な 25 μ m ワイヤーを使用したボンディングや小さなボールを狙ったボンディングでは、IC値は、15 μ mから 8 μ m が使用されます。ファインピッチボンディングでは、10 μ m から 4 μ m が使用されますが、最近では、極ファインピッチ用として IC 値 2.5 μ m も要求されるようになりました。

最も基本的なICは、シングルICですが、ここではワイヤーの通りを良くし、ルーピング性を良くし、高速ボンダーに適した、90度角と120度角で、それぞれ内部に50度と80度の2重の角度を持ったダブルICについて次の図で説明します。クアーズテック/ガイザーでは、特に指示のない場合は、ダブルICが標準です。最近のファインピッチ用キャピラリーでは、小ボール化のため、又は、制作上の制限のためシングルチャンファーが要求されることもあります。更に、低ループ、高ループ、長ループのためにはダブルICを丸めたラディアスIC(IR)が使用されます。

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キャピラリーワイヤーボンディング

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図 15 90゜ダブルチャンファーは、上図に示すように、90゜と50゜の2つの角度を持っています。内側の50゜の角度で、ホールへの接続がスムーズになり、ルーピングが改善されます。90゜の角度では、背の高い、コンパクトなボールボンドが形成でき、良好なテーリングが得られます。

クアーズテック/ガイザーの標準品は、すべてダブルチャンファーになっています。

図 16 120゜ダブルチャンファーのキャピラリーは、上図に示すように、120゜と80゜の2つの角度を持っています。内側の80゜の角度によって、ホールへの接続がスムーズになりルーピングが改善されます。120゜の角度によって、強いテールボンドとシェア強度の強いボールの形成が可能になります。

クアーズテック/ガイザーの標準品は、すべてダブルチャンファーになっています。

図 17 ラディアスIC(IR)は、ワイヤーの引っ掛かりを防ぎます。特に120゜ラディアスICは、ルーピング特性とワイヤーのコントロール性が格段に向上します。ラディアスタイプは、高速、低ループ、長ループ、スパイダーレッグ(クモの足状)などのボンディングに適しています。

IC 角度とボンダビリティーの関係

IC角はボールボンドの形状や安定性に影響を与えます。90°と120°のIC角度の違いは、形成されるボールの大きさと形状からも識別することが出来ます。90°のチャンファー(IC)は、120°の IC に比べて、ボールの潰れが小さくなります。ボールサイズ(大きさ)のコントロールに関する要求とファインピッチボンディングの増加により、90°やより小さいIC角の使用が多くなってきました。IC(チャンファー角)が小さい場合の欠点としては、シェア強度が弱くなり、ボールの合金化の比率が低くなる傾向があることです。また、ボンドパッドのダメージの発生の可能性も高くなります。チャンファー角(IC角)が小さい方がボールの潰れを小さくできる理由はチャンファー面に対して垂直方向の力 (Fy) が小さくなるからです。

Fy の力が小さくなれば、金ボールがICから外に押し出される量が少なくなり、IC内部に押し上げられる量が多くなります。Fy の力が減少すると同時にチャンファー角とフェイス角の接点に向かう力 Fx が増加します。この Fx は、ボンディングパッドの内部にダメージを与える恐れがあります。

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キャピラリーワイヤーボンディング

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SA = IC の表面積F = 加重 (gr)P = IC 表面に加わる力(μ㎡当たり)

m = IC2+h2

h = Tan θ x [(D-d)/2]θ = ICA/2D = B(又は、CD径)d = ホール径(H)IC = (D-d)/2

従って SA = ( π /2) x m x ( D+d )P = F/SA

IC 角90°(θ = 90° /2 ), D = 35.56µm ,d = 22.86µmの場合SA = 291.996µm2

となり、加重 F = 25 grams,IC の表面積 SA = 291.996µm2

の場合P = 0.0086 gm/µm2

となります。IC 表面に加わる力の配分は下記の数式で求めることが出来ます。

90度IC 100度IC 110度IC

同じ計算式でIC角度120度の場合、Fx が減少し、Fyが増加します。インサイドチャンファー120度の場合、Fy= 21.65gFx= 12.49g となります。

インサイドチャンファー角が70度の場合、

Fy= 14.35gFx= 20.48g となります。

IC角70度の説明からも解るように、IC角が小さくなると Fx は最初に与えられた F の力に近づき、ボールに加わる Fy は、極端に小さくなります。従って、ボールの合金化の度合いは小さくなります。

図 19 ボール形状の均一性の比較

図 20 ボールの合金化の度合いの比較

キャピラリーワイヤーボンディング

図 18 90度のチャンファー表面に加わる力

Px = P x Cos θ と Py = P x Sin θ

例えば P = 0.086 gm/µm2 、θ = 90° /2とした場合、Px = 0.00608 gm/µm2

Py = 0.00608 gm/µm2

となり

次の式によりP = F/SAFx = Px x SAFy = Py x SA従ってFx = 17.75 gramsFy = 17.75 grams となります。

この計算が示すように、90度のチャンファーが使用される場合の力の配分は均等になります。この均等な力の配分により、小ボールを安定して作製する要求と接合面積を増やす要求の両方に対応することが出来ます。しかし、この二つの要求に同時に対応することはできません。IC角を僅かに大きくすることにより、ボールの形状を

大幅に変えずに合金化を強めることができます。そのような改良の一例として、ファインピッチボンディング等には、IC角100度をお勧めします。IC角100度は、接合面積を増やし、ボール形状のばらつきを小さくして、安定したボールを作製することが出来ます。

下のグラフは、90度、100度、110度のチャンファー(IC)角でのボール形状の均一性を比較したものです。写真はそれぞれのボールの合金化の度合いを調べたものです。

90°のインサイドチャンファーに加わる力の配分は下記の数式で求めることが出来ます。

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現在フェース角は、0゜、4゜、8゜、11゜が多く

使用されています。一般的にはフェース角は使用されるパッケージの種類により選択されます。

Fy が小さい場合、ボールの中心部の合金化率が低くなります。下記の写真は、ボールの中心部に合金層がありません。この場合、インサイドチャンファーの角度を大きくすることが有効です。

図 21 ボール中心部の合金層の形成度の確認

キャピラリーワイヤーボンディング

0度のフェース角は、セカンド (2nd) ボンドで下方向に最大の力を加えることが出来ます。この角度は、リードフレームの材質や平坦度に問題のあるセカンド (2nd)ボンドを改善します。また欠点としては、セカンド (2nd)ボンドのヒール部が薄くなるため、ヒールクラックが生じやすくなります。このヒールクラックの問題は、0度のフェース角に対して大きなORを付けることにより解決することが出来ます。 一般的には、OR値は、使用されるワイヤー径と同じにします。

図 24 4゜フェイスアングル

図 25 8゜フェイスアングル

4度のフェース角は、0度のフェース角でのヒールクラックを防ぐために選択されますが、十分なプル強度(引張試験値)を得るためには、セカンド (2nd) ボンドでの更なる加重(圧)が必要です。

8度のフェース角は、セカンド (2nd) ボンドで最も安定した下方向の力を加えることが出来て、良好なプル強度(引張試験値)を得ることが出来ます。また、ヒール部においても十分な厚みを取ることが出来るため、ヒールクラックを防ぐことが出来ます。現在使用されているキャピラリーの多くが8度のフェース角です。

フェースアングル

図 23 0゜フェイスアングル 図 26 11゜フェイスアングル

11度のフェース角は、新しく開発されたソフトな表面を持ったパッケージへのセカンド (2nd) ボンドに対して有効です。11度のフェース角がヒール部に十分な厚みを与え、ヒールクラックを起こすことなく深くボンドすることが出来ます。11度のフェース角は、BGA パッケージでも使用されます。

フェイス角

ボンディング強度

ボンディングパラメータ

平坦度に対する影響

推奨メッキ状態 推奨メッキ

0° 最強 最強 最大粗い、厚い、薄い、きれいなメッキ

金メッキ

4° 高 高 やや低い薄い、厚い、

きれいなメッキ金、銅、

パラジューム

8° 良 平均 低い柔らかい、粗い、薄い、厚い、硬い

銀、金、銅、パラジューム

11° 良 低 最小 柔らかい、厚い 銀、金

図 22 フェース角とボンダビリティ(ボンディング特性)

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フェースアングルとセカンドボンドに加わるストレス

セカンドボンドを形成する時にワイヤーに加わるストレスの掛かり方や分布を理解することで正確で強いセカンドボンドを作ることが出来ます。

下記の図は、セカンドボンド形成時のストレスの分布を説明したものです。

下記の図は、フェースアングル(FA) 11度でICアングル60度のキャピラリーと、フェースアングル11度でICアングル120度のFAがICの接点に加わる力を比較したものです。FA11度で、IC60度のキャピラリーが、ICーFAの接点に加わる力が大きくなります。

図 27 ストレスの分布図

図 28 IC角60度のストレスの掛かり方

図 29 IC角120度のストレスの掛かり方

キャピラリーワイヤーボンディング

CDR2B形状

CDR2B形状は、インサイドチャンファー(IC)とフェースアングル(FA)の境界をラディアス(曲面)にしたものです。通常CDR(チャンファーラディアス)と呼ばれますが、CDR2Bは、CDRの曲面の精度を上げて、ワイヤー切れ(テール切れ)を防ぐとともに低ループでもワイヤーの引っ掛かりを少なくしてワイヤーのすべりを滑らかにしたものです。

図 30 標準キャピラリーとCDR2B形状

次の図は、通常の固定したフェースアングルのキャピラリーでのセカンドボンドと、フェースアングルとICの接点にラディアス(曲面)を付けたCDR2Bタイプでのセカンドボンドのストレスの加わり方を比較したものです。通常の固定したフェースアングルでは垂直方向の力は、フェースアングルとICの接点に集中します。従ってもしこの力が強すぎると、ワイヤー切れを生じて次のボールボンディングでミスボールの原因になります。

図 31 通常の固定したフェースアングルのキャピラリー

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アウトサイドラディアス(“OR”)

アウトサイドラディアス ( OR ) は、フェース部とコーン部をつなぐなだらかな曲線で、“OR”値は、この2点から等距離で結ばれた点を中心とする半径を表します。ステッチボンドからワイヤーへつながる領域は、一般にヒールと呼ばれており、その部分を形成するのが“OR”の機能です。

ORによってワイヤーのヒールクラックを防ぎ、ステッチボンドの強度を確保します。

一般的には大きなORは、フェイス角0度の場合使われ

ます。また、T値が大きい場合やワイヤー径が大きい場合にも使われます。大きなORは、平坦度が悪い製品へのボンディングに対して有効です。また、小さなORは、フェース角を持ったキャピラリーに採用されます。それは、フェース角がステッチボンドになだらかな傾斜を持った厚みを与えるためです。一般的にはフェース角が大きくなるほどOR値は小さく設定されます。

図 28 0゜フェイス角と大きな“OR”

図 27 標準的なキャピラリーのOR

図 29 フェース角とOR

OR

下記のグラフは、標準品とCDR2Bのセカンドボンド時の基板へのストレスのかかり方を数値化したものです。緑の線が標準品のストレスの掛かり方を示しています。フェース角11度のキャピラリーで、左端がフェースの先端部ですが、ストレスが強く掛かっています。それに対して、青の線がCDR2Bでは、ストレスがほとんど掛かっていません。

セカンドボンディングの際に、パワー、荷重等の条件を上げてワイヤー切れが起こる場合、このオプションをご検討ください。条件を上げてもワイヤーが切れにくくなり、接合強度が上がります。

図 32 CDR2Bの荷重の掛かり方

CDR2Bの形状では、垂直方向の力が大きな曲面で分散され、ボンディングパラメーターを上げてもセカンドボンドでのワイヤー切れを防ぎ、セカンドボンドの接合強度を上げることが可能になります。

キャピラリーワイヤーボンディング

14

ストレスの分布

11°フェースアングル

CDR2B

CDR2B とスタンダード IC

Page 12: キャピラリー...先端仕上げ 図8 ポリッシュ仕上げ “P” ポリッシュ仕上げの主な特徴 1.マット仕上げに比べ、汚れが付きにくいため

特に粗い表面や平坦度の悪い面へのセカンドボンドでは、1570タイプで極端に大きなORをお勧めします。ORは、フェースアングルと同じようになだらかな厚みを持ったセカンドボンドを形成しますが、ボンド面に傾斜があってもOR面は表面と平行になることはありません。

ファインピッチボンディングでは、非常に小さなセカンドボンドのため、フラットフェースに大きなORを付けたキャピラリーと大きなフェースアングルに小さなORを付けたキャピラリーの両方が使用されます。詳しくは、ファインピッチの頁をご参照ください。

図 30 1570 タイプ先端図

図 31 クレタリング (パッド面の陥没)

クレタリングの原因として次のことが考えられます。

1.ボンドヘッドがパッド面へ降りる速度が速すぎる2.超音波出力の設定が大きすぎる3.ボンディング中ワークピースが動く4.パッド上の金属化が不十分5.ボンド時間が長すぎる6.ボンディングステージの温度が高すぎる7.ボンディングパッド面の金属化が堅すぎるか、

または薄すぎる

図 32 ボール剥がれ

パッドへのボールの不着の原因として次のことが考えられます。

1.CD(B)寸法に対し、イニシャルボールが極端に大きい、または、小さすぎる

2.荷重、出力、温度、または時間の設定が不十分3. ボンディングパッド上にシリコン酸化膜が残留している、

または、汚れている4.IC角が小さすぎる5.イニシャルボールが小さすぎる6.検査プローブによる表面の損傷

図 33 ボールボンド上部のネック切れ

ボールボンド上部のネック切れの原因として次のことが考えられます。

1.ツールへの荷重が不十分で、超音波でスクラブ中にボールがぐらつく

2.インサイドチャンファーの大きさに対してイニシャルボールが小さすぎる

3.ワイヤーの伸長率が適切でなく、ボール上部のワイヤーを硬化してしまう

4.リバースを強くかける低ループボンディングではボールボンド上部にストレスが掛かりすぎる

5.ボールボンドがセカンドボンドより高い位置にあるボンディング

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ボールボンドに関するトラブル

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15

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ルーピングに関するトラブル

キャピラリーワイヤーボンディング

図 35 ボールパッド開口部からのはみ出し

ボールボンドのサイズが期待値よりも大きくなる場合の原因としては次のことが考えられます。

1.IC角が大きすぎる2.イニシャルボールが大きすぎる3.ワイヤーの径が大きすぎる4.荷重のかけすぎ、あるいは超音波出力の設定値が

大きすぎる5.CD(B)寸法が大きすぎる

図 36 B(CD)値が大きいキャピラリーでボンディングした例

イニシャルボールに対して、B(CD)値が大きすぎる場合、チャンファー内にイニシャルボールが飲み込まれてしまい、ボールはボンディングパッドに十分接触できず、弱いボールボンドが形成されたり、ボール剥がれが起きたりします。また、キャピラリー先端がパッドに接触することもあります。パッドに接触すると、デバイスを破損します。

図 34 消耗したキャピラリーでボンディングされたボールボンドの例

キャピラリーの摩耗は、スパークによるダメージや、多使用による物理的な摩耗、または、チャンファー内への金属の汚れの付着などによります。

図 37 ワイヤーの曲がり ,または , 垂れ下がり

ワイヤーの曲がり、または、垂れ下がりの原因として次のことが考えられます。

1.ホール径が小さいために、ワイヤーが引っ掛かってしまう

2.インサイドチャンファーが小さすぎる、または汚れが付着している

3.非常に伸びやすいワイヤーを使用している4.要求されるループ長に対して径の細いワイヤーを

使用している

図 38 ワイヤーのひっかき傷

ワイヤーにスクラッチ(ひっかき傷)が発生する原因として次のことが考えられます。

1.インサイドチャンファーが損傷している2.ワイヤーに傷が付いている3.ワイヤークランプの表面に傷が付いている4.ワイヤークランプが十分に開いていない5.ワイヤーの引っ張りが強すぎる6.チャンファー部に汚れが付着している7.ループが低すぎて、キャピラリーの先端に

引っ掛かっている8.ボールボンドがセカンドボンドより高い

ボンディング

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キャピラリーワイヤーボンディング

セカンドボンドの長さが短く、接着力の弱いセカンドボ

ンドの原因として次のことが考えられます。

1.キャピラリーの“T”値が小さすぎる2.キャピラリーのインサイドチャンファーが摩耗してセカンドボンドが短くなっている3.先端部に汚れが付着したため、十分厚みのある

ボンディングができない

セカンドボンドの剥がれの原因として次のことが考えら

れます。

1.メッキや金属化表面が適正でない2.接合面の汚れ3.リードまたはパッケージがきちんと固定されて

おらず、ボンディング中にリードが動いてしまう4.リード表面とキャピラリーの先端部が平坦に接触

していない5.超音波出力、荷重、時間の設定が適切でない6.“T”値が小さい

図 40 セカンドボンドの剥がれ

図 39 短く弱いセカンドボンド図 41 肉厚の薄いセカンドボンド

肉厚の薄いセカンドボンドの原因として次のことが考え

られます。

1.フェイスアングルが小さすぎる2.デザイン上または摩耗によって、アウトサイド

ラディアス(OR)が小さいかシャープすぎる一般的にORは、ワイヤー径より大きくします

3.超音波の出力または荷重の設定が大きすぎて、キャピラリーがワイヤーに食い込んでいる

4.リードの固定が不十分でキャピラリーがワイヤー上で滑っている

図 42 熱圧着ボンディングでのテール残りの例

テール残りの原因として次のことが考えられます。

1.金属化表面の仕上げ(メッキ状態)が良く、ボンディング性が非常に良い

2.IC角が大きすぎ、テールボンドが強くなる3.IC値が大きすぎるためテールボンドが強すぎる4.ワイヤー伸長率が高すぎる5.ワイヤーが古すぎる

セカンドボンドに関するトラブル

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テール切れが起こり、キャピラリーのデザインの見直しが必要な場合、次の点を考慮に入れてご検討ください。

1.チャンファー角を大きくとる(IC角度90゜の場合、120゜に変更する)

2.IC部寸法を大きくとる(B値を大きくする)3.先端部が食い込み、ワイヤーを切断する場合、

”T”値を大きくする。または、フェイス角を小さくする。

4.ファインピッチボンディングで、デザイン上の制限で上記の対策が取れない場合、チャンファー部の面取り(CDR)お勧めします。

キャピラリーワイヤーボンディング

図 43 イニシャルボールの中心ずれ

図 44 ゴルフクラブボンド

イニシャルボールの中心ずれや、ゴルフクラブボンドの原因として次のことが考えられます。

1.インサイドチャンファーが小さすぎるか、IC角が小さすぎる

2.ニッケルパラジウムメッキなど、リード側の接合性が悪い

3.リード表面の汚れ4.クランプの不良5.ワイヤーが硬すぎる6.ワイヤーのテンション(張り)とゆるみが十分調整

されていない7.設定したテールの長さが長すぎる

テールボンディングに関するトラブル

テールボンディングとは、セカンドボンディング時に

テール部をボンディングすることです。テールボンドが弱すぎる場合、次のようなトラブルが生じることがあります。

1.フレームオフエラー (次のボールができない)2.イニシャルボールの中心ずれ(図 43)3.ゴルフクラブボンド(図 44)

テールボンドが弱すぎると、セカンドボンド後にワイヤーがキャピラリーと同時に上昇し、テールが残らなかったり、テールが曲がったまま上昇し、次のボールが中心ずれを起こしたり、ゴルフクラブ型のボールボンドになったりします。

また、テールボンドが強く付きすぎると、図 42 のようにテール残りやワイヤー切れを起こします。

18

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キャピラリーの材質

現在、銅リードフレーム、パラジュームメッキリードフレーム、有機系基板など、ボンディングの設定条件が難しい製品が増えています。そのため、キャピラリーの選定は、パッドピッチや、パッドサイズ、ステッチの形状などを基にキャピラリーの先端形状を検討するだけでは十分な効果を期待出来ません。それぞれの製品に合ったキャピラリーの材質並びに外観形状を選定する必要があります。キャピラリーの材質の特性は、化学的特性だけを考慮するのではなく、物理的特性や超音波エネルギーの伝達特性も考慮して、選定する必要があります。

クアーズテック/ガイザーでは、標準のアルミナセラミックの他に3種類のジルコニア強化アルミナセラミック、CZ1、CZ8並びに新しく開発されたCZ3を供給しています。それぞれの材質の特性は、下記の通りです。

標準アルミナセラミック

粒子平均 = 1.3 μ m密度 = 3.96g/cm3曲げ強度 = 572MPa超音波伝達効率 = 81.2%ビッカース硬度 = 2144HV色 = 白

CZ1

粒子平均 = 0.5 μ m密度 = 4.29g/cm3曲げ強度 = 1013MPa超音波伝達効率 = 85.2%ビッカース硬度 = 1716HV色 = ピンク

CZ8

粒子平均 = 0.4 μ m密度 = 4.27g/cm3曲げ強度 =10462MPa超音波伝達効率 = 84.4%ビッカース硬度 = 2000HV色 = 白

CZ3

粒子平均 = 0.35 μ m密度 = 4.38g/cm3曲げ強度 = 1120MPa超音波伝達効率 = 88.8%ビッカース硬度 = 2658HV色 = ピンク

CZ3

CZ3

磨耗度比較テスト硬いフレームに、同じ時間・パワー・荷重を加えて摩耗試験をした先端の磨耗度の比較

キャピラリーワイヤーボンディング

新素材 CZ3の特徴

*ロングライフ(長寿命キャピラリー)

CZ1, CZ8よりも硬くなり(ビッカーズ硬度)、粒子が細かくて仕上げがきれいなため、磨耗が少なく、汚れも付きにくい。

CZ1

CZ1

異物付着比較テスト銀パラジウムメッキに、同条件で、同回数ボンディングした後のキャピラリーの先端部の付着の比較

*ドラックフォースの低減

粒子が小さく、内面の処理がきれいなため、ワイヤーの引っ掛かりが軽減される。

*超音波伝達効率のアップおよびインピーダンスの安定

超音波の伝達効率がアップし、インピーダンスのばらつきがすくない。

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最近の半導体では、より小さなパッドと極端に狭いパッド間隔が要求されます。そのため、小ボールで十分なシェアー強度を持ったボールボンドを安定して作る必要があります。通常のIC形状でも小ボール化に対応可能ですが、しばしばシェアー強度不足やボンドに安定性がない(クレタリングやボール剥がれ)等の問題が生じます。そのため、特に小ボール、狭ピッチ対応にクアーズテック/ガイザーが開発したのが、SBICです。SBICとは、インサイド・チャンファー部を特殊形状にしたものです。次の特徴があります。ワイヤーボンディング、バンプボンディングのどちらにも使用可能です。

1.イニシャルボールは大きいまま、小ボールを作製可能。2.小ボールを作製するのに、従来よりワイヤー径の

大きなワイヤーを使用可能。3.ボールシェア強度を高くすることができる。4.ボールの形状のばらつき( X/Y )を抑えることが可能。5.荷重がかかりにくい構造のため、ボールが潰れにくく、

パッド開口部にストレスを与えにくい。6.パッドピーリングの防止に有効。

ダブルチャンファーでボンディングしたボールの接合部のアルミを除去し、合金状態を確認しました。合金層があまり広がっていません。

SBIC形状のキャピラリーは、すべてカスタム対応となります。詳細はお問い合わせください。

SBICでボンディングしたボールの接合部のアルミを除去し、合金状態を確認しました。合金層が広がっており、接合状態が良好です。

通常の IC

SBIC(スモールボール IC)

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スモール・ボールIC(SBIC)

キャピラリーワイヤーボンディング

通常の IC 角90度のダブルチャンファーのキャピラリーと、SBICのキャピラリーで、つぶれ幅55ミクロンのボールをそれぞれ作成しました。イニシャルボールサイズ、ボンディング条件は、それぞれ適正な条件で設定しました。しかし、シェア強度の平均値を取ったところ、SBICのキャピラリーで作成したボールのシェア強度の方が高い結果となりました。

ダブルチャンファーとSBICの比較

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メッキ 基板 スタックドダイ

柔らかい 硬い 柔らかい 硬い 土台が不安定

厚膜金銀

パラジューム銅

金+ニッケル金+ニッケル+銅

有機系パッケージBGA

BTレジンガラエポ

ポリイミドフィルムFBGAMCSPFR-4

紙フェノール紙エポキシ

セラミック42アロイ銅アロイ銅フレーム

CSPMCPSip

フェース角8度

11度4度8度

8度 任意 8度

OR 大大標準

大標準

標準大標準

コーン角15度20度30度

20度30度

30度38度

15度20度30度

38度

IC角60度90度120度

ダブルIC100度120度SBIC

60度90度120度

SBIC

先端仕上げGM

ラフマットGM 任意 任意

材質

標準セラミックCZ1CZ3CZ8

CZ3CZ8

CZ1CZ3CZ8

標準セラミックCZ1CZ3CZ8

CZ3

超音波伝達 最良 良い 悪い 良い 悪い

ボンディング材料別推奨形状

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1513-18-437GM-20D-CZ1

A. & B. シャンク形状とキャピラリーシリーズ :

1800 (18XX): 直径 1/16 inch, 標準アルミナ材又は、ジルコニア強化セラミック , 1800 プロセス

1500 (15XX): 直径 1/16 inch, 標準アルミナ材又は、ジルコニア強化セラミック ,

1200 (12XX): 直径 1/8 inch, 標準アルミナセラミック材のみ1100 (11XX): 直径 1/16 inch, タングステンカーバイド材

C. ホール径 (H):

ワイヤー径により選定-XX = 0.00XX-18 = 0.0018 in./46µm

D. ツール長さ :

-375 = 0.375 in./9.52mm-437 = 0.437 in./11.1mm-470 = 0.470 in./11.94mm-625 = 0.625 in./15.88mm-750 = 0.750 in./19.05mm1200 シリーズは 0.375 in./9.52mm のみ(長さは、パーツ番号には指定しません。)

E. 先端仕上げ :

G. インサイドチャンファー値 ( IC値 ):

X = 0.000X4 = 0.0004 in./10µm

H. フェース角 :

-XD = X°-8D = 8°

I. アウトサイドラディアス ( OR値 ):

-XX = 0.00XX-10 = 0.0010 in./25µm

特注品 パーツ番号例

J. 特別仕様のコーン角 :

-XXD = XX°-20D = 20°特に指定がない限りコーン角は30度

1551-18-437GM-50(4-8D-10)20D-CZ1

A. シャンク形状

B. キャピラリーシリーズ

C. ホール径

D. ツール長さ

E. 先端仕上げ

F. T値

J.特別仕様のコーン角

I. OR値

H. フェイス角

G. IC値

K. 材質

P = ポリッシュ仕上げGM = マット仕上げ

F. T値 (T):

-XX = 0.00XX-50 = 0.0050 in./127µm

標準品 パーツ番号例

A. シャンク形状

B. キャピラリーシリーズ

C. ホール径

D. キャピラリー長さ

J. 特別仕様のコーン角

E.先端仕上げ

K. 材質

K. 材質 :

-CZ1-CZ3-CZ8-WC(タングステン

カーバイド材)

カタログの内容は変更することもあります。

キャピラリーワイヤーボンディング注文方法

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Page 20: キャピラリー...先端仕上げ 図8 ポリッシュ仕上げ “P” ポリッシュ仕上げの主な特徴 1.マット仕上げに比べ、汚れが付きにくいため

コーン角15度は、長さ0.437in以上のキャピラリーに可能です。長さ 0.375in のキャピラリーには、15度ボトルネックをご使用ください。 (22 頁をご参照ください。)

標準仕様以外の長さ、許容公差の小さいものは、別途お見積いたします。標準仕様でない長さの場合は、上部のホール径が変わることがあります。特に指定のない場合、表中の単位はインチ (in) です。

セラミックキャピラリー1/16 inch 径

セラミックキャピラリー1/8 inch 径

タングステンカーバイドキャピラリー

1/16 inch 径

1/8in のキャピラリーは、長さが0.375in のみです。

長さが 0.828in 以上のタングステンカーバイドキャピラリーは、2本の溶接構造となります。

キャピラリーワイヤーボンディングシャンク形状とコーン角

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この図の場合、パーツ番号は、-AB10X12 となります。

キャピラリーの先端形状アングルボトルネックとストレートボトルネック

アングルボトルネックの注文方法ーAB(角度)Xボトルネック部の高さ(H)

例 AB10x1210゜の角度のボトルネックで ,

ボトルネック高さが 0.012in (305 μ)

ストレートボトルネックの注文方法ーSB(先端部の径 D)Xボトルネックの高さ(H)

例 SB9x15直径(D)0.009in/229 μ、

ボトルネックの高さ 0.015in/381 μ

注:ストレートボトルネックの直径は、加工上の制限として T 値 + 0.0010in/ 25 μ 以上必要です。また、強度上の問題で、直径により、ボトルネックの高さが制限されます。下記の表を参照ください。

アングルボトルネックの例

注:アングルボトルネックは、強度上の問題で、T値の大きさにより、ボトルネックの高さが制限されます。下記の表を参照ください。

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Page 22: キャピラリー...先端仕上げ 図8 ポリッシュ仕上げ “P” ポリッシュ仕上げの主な特徴 1.マット仕上げに比べ、汚れが付きにくいため

シングルサイドレリーフの注文方法ーSR (“ W ”) X(サイドレリーフの高さ)注:このレリーフはキャピラリーの(コア内径)までカットされることがあります。

キャピラリーの先端形状サイドレリーフ

ダブルサイドレリーフの注文方法ーDR(“W”)X(サイドレリーフの高さ)注:このレリーフはキャピラリーの(コア内径)までカットされることがあります。

この図のパーツ番号は、-SR10x65 になります。

キャピラリーの強度上の制限のため、W の幅により高さの制限があります。下記の表を参照ください。

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90 ゜インサイドラディアス をご希望の場合は、1523N とご指定ください。

120 ゜インサイドラディアス をご希望の場合は、1523 とご指定ください。

キャピラリー1513,1513N,1523,1523N シリーズ

1513シリーズのIC角を90゜にしたタイプが1513Nシリーズです。90 ゜の IC 角は、ボールをコンパクトにボンディングするため、小ボールを作りたい場合にお選びください。ルーピングの改善のため、インサイドラディアスタイプをご希望の場合、1523,1523N をお選びください。

* ホールサイズが、0.0025 から 0.0049 間での公差は、+.0002/-.0001 になります。0.0049 以上のホール径の公差は、+.0003/-.0002 になります。**B 値の公差は、IC が 0.0005 inch 以下か、T 値が 0.0050 以下の場合、+/- 0.0001 inch /2.5 μ m となります。また、B値が 0.0040 以上の場合、公差は +.0003/-.0002 となります。それ以外の B 値は、+/- 0.0002 inch/ 5 μ m となります。***OR の公差は、ORが 0.003 inch より大きい場合、公差は、OR 値の 10%となります。 ハイスペック品をご要望の場合は特別仕様となります。

注:タングステンカーバイド材をご希望の場合は、1113 & 1113N になります。

90 ゜ IC をご希望の場合は、1513N タイプとご指定ください。

1513 シリーズは、8゜のフェイス角と、120 ゜の IC 角の組み合わせで構成されています。8 ゜のフェイス角は、厚みのあるセカンドボンドを作るため、ワイヤーのネック切れを防ぎます。ソフトタイプの基板でキャピラリー先端がめり込んでしまう場合に有効です。120 ゜の IC 角は、ボールを強く押しつぶし、セカンドボンドでは、テール切れを防ぎ、ファーストボンドを安定させる働きをします。

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Page 24: キャピラリー...先端仕上げ 図8 ポリッシュ仕上げ “P” ポリッシュ仕上げの主な特徴 1.マット仕上げに比べ、汚れが付きにくいため

キャピラリー1572,1572N,1522,1522N シリーズ

1572 シリーズは、8 ゜のフェイス角と、120 ゜の IC 角の組み合わせで構成されていす。8 ゜のフェイス角は、厚みのあるセカンドボンドを作るため、ワイヤーのネック切れを防ぎます。ソフトタイプの基板でキャピラリー先端がめり込んでしまう場合に有効です。120 ゜の IC 角は、ボールを強く押しつぶし、セカンドボンドでは、テール切れを防ぎ、ファーストボンドを安定させる働きをします。1572 シリーズは、1513 シリーズから派生したシリーズです。各寸法が若干違いますので、用途に応じてお選びください。

注:タングステンカーバイド材をご希望の場合は、1172 & 1172N になります

90 ゜ IC をご希望の場合は、1572N タイプとご指定ください。

120 ゜インサイドラディアス をご希望の場合は、1522 とご指定ください。

90 ゜インサイドラディアス をご希望の場合は、1522N とご指定ください。

1572 シリーズの IC 角を 90 ゜にしたタイプが 1572N シリーズです。90 ゜の IC 角は、ボールをコンパクトにボンディングするため、小ボールを作りたい場合にお選びください。ルーピングの改善のため、インサイドラディアスタイプをご希望の場合、1522,1522N をお選びください。

* ホールサイズが、0.0025 から 0.0049 間での公差は、+.0002/-.0001 になります。0.0049 以上のホール径の公差は、+.0003/-.0002 になります。**B 値の公差は、IC が 0.0005 inch 以下か、T 値が 0.0050 以下の場合、+/- 0.0001 inch /2.5 μ m となります。また、B値が 0.0040 以上の場合、公差は +.0003/-.0002 となります。それ以外の B 値は、+/- 0.0002 inch/ 5 μ m となります。***OR の公差は、ORが 0.003 inch より大きい場合、公差は、OR 値の 10%となります。 ハイスペック品をご要望の場合は特別仕様となります。

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キャピラリー1570,1570N,1521,1521N シリーズ

1570 シリーズは、大きなORと IC 角 90 ゜の組み合わせで構成されています。1570 シリーズのORは、大きなORを“T”値で途中で切ってしまう設計になっており、標準的なORに比べて、なだらかに上がっていく形状になります。この先端形状により、セカンドワイヤーを強くつぶし込むことができます。また、先端部がすべてラディアスになっているため、平坦度が悪い基板にも有効です。90 ゜ のIC角は、ボールをコンパクトにボンディングできますので、小ボールを作るには最適です。

1570 シリーズの IC角を 120゜にしたタイプが1570N シリーズです。120 ゜の IC 角は、ボールを強く押し込み、セカンドボンドのテール切れを防ぎます。ワイヤー切れやゴルフクラブボンドが起こる場合にお選びください。ルーピングの改善のため、インサイドラディアスタイプをご希望の場合、1521,1521N をお選びください。

120 ゜ IC をご希望の場合は、1570N とご指定ください。

注:タングステンカーバイド材をご希望の場合は、1170 & 1170N になります。

90 ゜インサイドラディアス をご希望の場合は、1521 とご指定ください。

120 ゜インサイドラディアス をご希望の場合は、1521N とご指定ください。

* ホールサイズが、0.0025 から 0.0049 間での公差は、+.0002/-.0001 になります。0.0049 以上のホール径の公差は、+.0003/-.0002 になります。**B 値の公差は、IC が 0.0005 inch 以下か、T 値が 0.0050 以下の場合、+/- 0.0001 inch /2.5 μ m となります。また、B値が 0.0040 以上の場合、公差は +.0003/-.0002 となります。それ以外の B 値は、+/- 0.0002 inch/ 5 μ m となります。***OR の公差は、ORが 0.003 inch より大きい場合、公差は、OR 値の 10%となります。 ハイスペック品をご要望の場合は特別仕様となります。

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120 ゜インサイドラディアス をご希望の場合は、1524N とご指定ください。

キャピラリー1574,1574N,1524,1524N シリーズ

注:タングステンカーバイド材をご希望の場合は、1174 & 1174N になります。

1574 シリーズは、小さなフラットフェイス(0゜)部 と 大 き な O R と、IC 角 90 ゜ の 組 み 合 わ せ で 構成 さ れ て い ま す。 フ ラ ッ ト フ ェ イ ス は、 セ カ ン ドワイヤーを強くつぶし込むため、接合性の良い基板に短時間で、安定したボンディングを行うのに適しています。

1574 シリーズの IC角を 120 ゜にしたタイプが 1574N シリーズです。120 ゜の IC 角は、ボールを強く押し込み、セカンドボンドのテール切れを防ぎます。ワイヤー切れやゴルフクラブボンドが起こる場合にお選びください。ルーピングの改善のため、インサイドラディアスタイプをご希望の場合、1524,1524N をお選びください。

120 ゜ IC をご希望の場合は、1574N とご指定ください。

90 ゜インサイドラディアス をご希望の場合は、1524 とご指定ください。

* ホールサイズが、0.0025 から 0.0049 間での公差は、+.0002/-.0001 になります。0.0049 以上のホール径の公差は、+.0003/-.0002 になります。**B 値の公差は、IC が 0.0005 inch 以下か、T 値が 0.0050 以下の場合、+/- 0.0001 inch /2.5 μ m となります。また、B値が 0.0040 以上の場合、公差は +.0003/-.0002 となります。それ以外の B 値は、+/- 0.0002 inch/ 5 μ m となります。***OR の公差は、ORが 0.003 inch より大きい場合、公差は、OR 値の 10%となります。 ハイスペック品をご要望の場合は特別仕様となります。

CoorsTek, Inc.Gaiser Products Group

4544 McGrath StreetVentura, CA 93003

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+1.805.644.5583+1.805.644.2013

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キャピラリー1548,1548N シリーズ

1548 シリーズは、ボンディング性の良い基板に適するように設計されています。通常研磨仕上げが用いられ、良好な金属化表面に対して寿命が長いことを特徴としています。1548 シリーズは、小さなフラットフェイス部と大きなORと、90 ゜のダブルインサイドチャンファーのデザインになっています。接合性を高めたい場合は、マット仕上げ (GM ) をご選択ください。

1548 シリーズの IC 角を 120 ゜にしたタイプが 1548N シリーズです。120 ゜の IC 角は、ボールを強く押し込み、セカンドボンドのテール切れを防ぎます。ワイヤー切れやゴルフクラブボンドが起こる場合に選定してください。

注:タングステンカーバイド材をご希望の場合は、1148 & 1148N になります。

120 ゜ IC をご希望の場合は、1548N とご指定ください。

* ホールサイズが、0.0025 から 0.0049 間での公差は、+.0002/-.0001 になります。0.0049 以上のホール径の公差は、+.0003/-.0002 になります。**B 値の公差は、ICが 0.0005 inch 以下か、T値が 0.0050以下の場合、+/- 0.0001 inch /2.5 μ mとなります。また、B値が 0.0040以上の場合、公差は +.0003/-.0002 となります。それ以外の B 値は、+/- 0.0002 inch/ 5 μ m となります。***OR の公差は、OR が 0.003inch より大きい場合、公差は、OR 値の 10%となります。 ハイスペック品をご要望の場合は特別仕様となります。

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キャピラリー1573,1573N シリーズ

1573 シリーズは、130 μピッチ前後の、1513 シリーズでは対応できないパッドピッチへのボンディング用に設計されました。1513 シリーズよりもT値、B値とも小さく設計されています。チャンファー部は、ラディアス仕上げになっており、高速ボンダーに適し、最高のルーピング特性やワイヤーコントロールが得られます。このシリーズは、20゜コーン角を選択することが多いのですが、30゜コーン角または15゜コーン角を選択することもできます。

1573 シリーズの IC を 90 ゜インサイドラディアスにしたタイプが 1573N シリーズです。 ボールをさらにコンパクトにしたい場合にお選びください。

注:タングステンカーバイド材をご希望の場合は、1173 & 1173N になります。

90 ゜のラディアスタイプをご希望の場合は、1573Nとご指定ください。

* ホールサイズが、0.0025 から 0.0049 間での公差は、+.0002/-.0001 になります。0.0049 以上のホール径の公差は、+.0003/-.0002 になります。**B 値の公差は、IC が 0.0005 inch 以下か、T 値が 0.0050 以下の場合、+/- 0.0001 inch /2.5 μ m となります。また、B値が 0.0040 以上の場合、公差は +.0003/-.0002 となります。それ以外の B 値は、+/- 0.0002 inch/ 5 μ m となります。***OR の公差は、ORが 0.003 inch より大きい場合、公差は、OR 値の 10%となります。 ハイスペック品をご要望の場合は特別仕様となります。

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1551-15-437GM-80(4-8D-12)-20D1551-17-437P-60(3x120D-F-20)

1551シリーズは、ダブルICの特注品を作る場合に使用される品番です。すべての寸法を品番の中に明記していただきます。90゜ダブルICが標準になっていますが、他のIC角をご希望の場合は品番にIC角をご指定ください。

120 ゜ダブル IC を指定する場合は品番に、“x120D ”を記入します。他の角度に関しましても同様です。

1551シリーズ

ダブルインサイドチャンファータイプ

1553、1554シリーズ

シングルインサイドチャンファータイプ

1553シリーズは、シングルICの特注品を作る場合に使用される品番です。すべての寸法を品番の中に明記していただきます。90゜シングルICが標準になっていますが、他のIC角をご希望の場合は、1551シリーズと同様に品番にIC角をご指定ください。1553シリーズのチャンファー内のエッジを面取りしたものが、1554シリーズとなります。

1553-13-437GM-50(3-8D-10)-AB10x10

1554-15-437P-60(4x50D-F-3)

1520シリーズ

120゜インサイドラディアスタイプ

1520シリーズは120゜インサイドラディアス(IR)の特注品を作る場合に使用される品番です。120゜IRは、ルーピング性に優れるため、ロングループや低ループのボンディングに有効です。

他の角度でIRを採用される場合は、1551シリーズで、品番の最後に“ ーBLIC”とご指定ください。

1520-18-437GM-60(4-8D-10)-20D1551-15-437GM-80(4-8D-12)-20D-BLIC

パーツ番号の例:

パーツ番号の例:

パーツ番号例:

キャピラリーユーザー仕様による特注品

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シリーズ 90°チャンファー 120°チャンファー 定義

1551ダブルインサイド

チャンファー

90° / 50°標準 120° / 80°その他

1551 シリーズは、90° /50°のダブルチャンファーが標準です。他の角度をご希望の場合ご指定ください。

1551-BLIC

( ブレンドIC)

1551 - BLIC ( ブレンド IC)

90°標準 他の角度は指定

なし1520 を参照

インサイドラディアス(IR)をご要求の場合、-BLIC を品番に追加してください。ただし、120°場合は、1520 に変わります。

1520(120°インサイド

チャンファーのブレンド IC)

なし1551-BLIC を参照

120°インサイドチャンファーのブレンド IC

120°のインサイドラディアス(IR)をご要求の場合、1520 になります。他の角度で、インサイドラディアスをご要求の場合、1551-BLIC をご指定ください。

1553シングルチャンファー

1553 シリーズは、シングルチャンファーで使用されます。ICサイズがダブルICとするには小さすぎる場合にご指定ください。

1554ブレンドエッジ

1554 シリーズは、シングルICのエッジを小さく丸めた形状です。小さいチャンファーで、ルーピングも重視したい場合に、ご指定ください。

キャピラリーユーザー仕様による特注品

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+1.805.644.5583+1.805.644.2013

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ボールバンプ用キャピラリー1732,1733 シリーズ

1732 シリーズ

パーツ番号の例

90゜ダブルインサイドチャンファーによって、コンパクトで、高さのあるバンプボールが作成できます。

1732と1733シリーズは、ボールボンドのみを必要とする場合に使用されるバンプ用の特注キャピラリーです。先端部は、ポリッシュ仕上げで、ボールを安定してボンディングできるようにフラットフェイスになっています。使用されるワイヤー径に応じてホール径を選定し、作成されるバンプの大きさに応じてB値を選定します。T値は、B寸法の1.5倍が標準になります。材質は、セラミックになります。タングステンカーバイド材をご希望の場合は、パーツ番号に“ ーWC”とご指示ください。

1732-18-28-437-Bシリーズ番号ホール径 (-18=0.0018in)B値 (-28=0.0028in)ツール長さ (-437=0.437in)B値のハイスペック仕様 (B ± 0.0001/2.5 μ)

1732-13-19-437-20D-T=40

シリーズ番号ホール径 (-13=0.0013in)B値 (-19=0.0019in)ツール長さ (-437=0.437in)特注のコーン角 (-20D= 20 ゜ )特注のT値 * (-T=40 =0.0040in)

*特注のT値の場合、B寸法の 1.5 倍以上が必要となります。

1733 シリーズ

120゜ダブルインサイドチャンファーによって、幅の広い、高さの低いバンプボールが作成できます。

パーツ番号の例

1733-18-28-437

シリーズ番号ホール径 (-18=0.0018in)B値 (-28=0.0028in)ツール長さ (-437=0.437in)

1733-13-19-437-AB10x12シリーズ番号ホール径 (-13=0.0013in)B値 (-19=0.0019in)ツール長さ (-437=0.437in)特注の先端形状**

**ボトルネックは、24 ページをご参照ください。

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タンピングツール(穴のないキャピラリー)は、下記の用途で使用されます。

1.バンプボールを叩いて、平坦にする。2.ワイヤーボンディングで、粗いボンド面を平坦にしてからセカンドボンドをする。

タンピングされたバンプボール

タンピングツール1152 ,1552 シリーズ

材質 :1552 = アルミナセラミック1152 = タングステンカーバイド-TIC = チタンカーバイド-BKCER = サーメットチップ-DT = 先端部ダイヤモンド注: -DT は、ポリッシュ仕上げはできません。

EDM 仕上げのみになります。

オプション:-20D = 20 ゜コーン角-15D = 15 ゜コーン角

先端仕上げ:P = ポリッシュ仕上げGM = マット仕上げRF = ラフマット仕上げ

長さ:-375 = 0.375 in./9.52mm-437 = 0.437 in./11.1mm-625 = 0.625 in./15.88mm-750 = 0.750 in./19.05mm-1.0 = 1.000 in./25.4mm

パーツ番号例

1552-090040-750P-20D1152-050020-437P-TIC

-TIC, -BKCER, -DT は、1152 タイプになります。

CoorsTek, Inc.Gaiser Products Group

4544 McGrath StreetVentura, CA 93003

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TelFax

+1.805.644.5583+1.805.644.2013

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