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サステナビリティ新時代 - 伊藤園 · 2011.1 共有価値の創造の考え方が示され、こ れをビジネスチャンス面とリスク回避 面の両面での活用が必要ですが、当社

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  • サステナビリティ新時代-SDGsに対応する伊藤園のCSR-

    Sustainability Reportサステナビリティレポート 特集編

    トップメッセージ 1 持続可能な開発目標(SDGs)対応でCSRの深化 1 社会課題に応える伊藤園 3

    [特集] 1 持続可能なコミュニティ ―本業を活かした地方・日本創生― 5    2 次世代のためのレガシー創出 ―世界が身近に、ゴールデン・スポーツイヤーズを超えて― 7持続可能な生産と消費 9 持続可能なビジネスモデル -茶畑から茶殻まで- 11経営理念/伊藤園グループのCSR体系 13 第三者意見 14 主なCSR目標(KPI) 裏表紙

    CONTENTS[目次]

  • 持続可能な開発目標(SDGs)対応でCSRの深化

    CSR/CSV経営へのSDGsの組み込み世界の共通言語を活用 伊藤園グループは、2011年度にいち早く国際規格であるISO26000※1を活用して、法令順守やコーポレート・ガバナンスを基本にしつつ、7つの中核主題※2で課題と活動の整理を行うCSR体系を整えてきました。 これに加え、環境、消費者、コミュニティ課題などの経営上の重点課題(マテリアリティ)については、当社の強みを活かし社会課題解決との同時実現を目指す共有価値の創造(CSV※3)を実践し、これらをあわせて、CSR/CSV経営として推進してきました。 このような中で、「持続可能な開発目標(SDGs)」(17の目標と169のターゲット)が昨年国連で採択され、「世界のティーカンパニー」を目指すうえで、これは持続可能性(サステナビリティ)の共通言語になり得るものとして認識します。当社グループに関係する「持続可能な消費と生産」「持続可能な農業」「持続可能なまちづくり」「環境課題」「健康」「教育」などの目標を十分に読みこなしていきます。 今後はISO26000によるCSRとCSVの併用の体系に、SDGsを参照していきます。SDGsは、2030年という目標年次で目標などを示したものです。このためCSR/ CSVの社会課題の整理にはSDGsも参照し、当社グループに関連する社会課題の理解をさらに深めていきます。 例えば、茶産地育成事業では、地域の雇用を生み出し活性化につながり、地域の生産者の経営が安定する一方で、当社も高品質な茶葉を安定的に調達できます。この活動はISO26000でいうコミュニティ課題における当社の代表的なCSV活動です。SDGsとの関連では「持続可能な消費と生産」「持続可能な農業」や「持続可能な地域づくり」の目標にも寄与するものと理解しています。 これらの活動では、社員も皆様とともに持続可能性について学ぶ工夫を加え、人材育成にも力を入れています(ESD※4: SDGsでも「教育」の目標に位置付けられました)。 また、国内では現下の重要な社会課題である地方創生や国際的スポーツイヤーズにおけるレガシー創出での文化プログラムの推進などで本業を通じて貢献してまいります。 関係者の皆様とのパートナーシップから生まれた活動が、社外からの評価につながることは当社の励みとなります。例えば競争戦略面でご評価いただいた2013年の「ポーター賞」※5受賞のほか、2015年度には、茶産地育成事業については「食品産業優良企業等表彰 農林水産大臣賞」、リサイクルができるアルミ箔を使用しない、常温流通可能な新・環境配慮型紙パック飲料容器については「地球環境大賞 環境大臣賞」、「お茶で日本を美しく。」などのCSR活動については、「日本水大賞 経済産業大臣賞」などの受賞につながり、当社の持続可能な社会づくりに対する貢献への評価が高まっています。 今後とも、関係者間のパートナーシップ(SDGsの目標の一つ)を基本として、CSR/CSV経営により共有価値の創造を図ってまいります。

    サステナビリティの共通言語 2015年は、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択された歴史的に重要な年となりました。併せて気候変動に関するパリ協定も合意され、国内ではコーポレートガバナンス・コードへの対応が始まるなどの要因も加わり、企業のサステナビリティを考える上でE・S・G(E:Environment/環境、S:Social/社会、G:Governance/ガバナンス)のすべての面で重要なエレメントがそろった年といえます。 特に「持続可能な開発目標(SDGs)」は、国連で関係国が3年がかりでマルチステークホルダープロセスで現下の世界課題を洗い出し2030年の目標を定めたものです。その特色は、先進国・途上国を問わず普遍的に適用され(ユニバーサリティ)、政府はもちろん、企業の役割も期待されます。今後のサステナビリティを考えるうえでの世界の共通言語として位置付けられるものといわれています。

    世界のティーカンパニーへ 当社としても、世界のティーカンパニーを目指すうえで、この世界共通言語のSDGsも十分に念頭に置いた活動を展開してまいります。当社は、これまで企業の社会対応力向上、共有価値創造に向けて、国際標準であるISO26000をガイドラインとしたCSR体系を導入済みです。  加えて、SDGsの企業への導入では

    ※1 ISO26000:2010年11月に国際標準化機構(ISO:InternationalOrganizationforStandardization)によって発行された「社会的責任の手引」

    ※2 7つの中核主題:組織統治、人権、労働慣行、環境、公正な事業慣行、消費者課題、コミュニティへの参画及びコミュニティの発展の7つ

    ※3 CSV(CreatingSharedValue):共有価値の創造※4 ESD(EducationforSustainableDevelopment):持続可能な開発のための教育※5 ポーター賞:一橋大学大学院国際企業戦略研究科による表彰

    2015年9月に「国連持続可能な開発サミット」 の成果文書として、「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました。アジェンダは、人間、地球および繁栄のため の行動計画として、宣言および目標を掲げました。この目標が、17の目標と169のターゲットからなる「持続可能な開発目標(SDGs)」です。

    代表取締役社長

    トップメッセージ

    持続可能な開発目標(SDGs) とは

    代表取締役社長

    1

  • 2015

    20302030

    2019~21

    E S G

    途上国を含むすべての国が参加する

    2020年以降の新たな温暖化対策「パリ協定」

    「コーポレートガバナンス・コード」

    ゴールデン・スポーツイヤーズ

    社会的責任の手引「ISO26000」

     国際標準 2010.11

    伊藤園CSR体系の深化「ISO26000」 + CSV + SDGs

    2016環境・社会・ガバナンス重視の

    動きへの対応 価値創造とストーリー

    ポーター教授の共有価値の創造CSV

    2011.1

    共有価値の創造の考え方が示され、これをビジネスチャンス面とリスク回避面の両面での活用が必要ですが、当社はマイケル・ポーター教授らの提唱するCSVを組み合わせてCSR/CSV経営を実践してきました。 こうした経緯から当社はこれまでのCSR/CSV体系に、SDGsを2030年までの長期的視野での社会課題を組み込んだ形として、この体系のさらなる深化を図ることができました。

    「世界が東京に来る」 折しも、2020年東京五輪・パラリンピックを中心としたゴールデン・スポーツイヤーズを迎える中で、「世界が東京に来る」という意識を持つ必要があると考えます。日本は、世界標準でのイベントの準備、調達、実施、文化プログラムなども含めたレガシー創出に備える必要があります。 その羅針盤ともなり得るものがSDGsと理解しています。当社グループでは、具体的には、①CSR憲章・CSR推進基本方針の内容への反映、②経営上の重要事項(マテリアリティ)への反映、③バリューチェーンでの課題抽出の補強などを通じてSDGsを順次経営に組み込んでまいります。 以上により、世界のティーカンパニーに向けての課題であるクールジャパンの発信、インバウンドを含めた対応、レガシーの創出という三要素の現下の課題にも対処してまいります。

    (注)E:Environment/環境 S:Social/社会 G:Governance/ガバナンス

    2015年9月に「国連持続可能な開発サミット」 の成果文書として、「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました。アジェンダは、人間、地球および繁栄のため の行動計画として、宣言および目標を掲げました。この目標が、17の目標と169のターゲットからなる「持続可能な開発目標(SDGs)」です。

    伊藤園の主なCSR/CSV活動とSDGs

    伊藤園CSRへのSDGs導入の考え方

    持続可能な開発目標(SDGs) とは

    茶産地育成事業

    茶殻リサイクル

    環境配慮営業車

    お茶のいれ方セミナー

    お~いお茶新俳句大賞

    「お茶で日本を美しく。」

    伊藤園は、事業を通じた社会課題の解決が評価され、ビジネス誌『フォーチュン』(2016年9月号)での「世界を変える(ChangetheWorld)」50企業リストという特集で、18位に選ばれました(日本企業では最高位)。伊藤園は「日本の混迷する農業に新たな成長の機会を」という内容で、茶産地育成事業での耕作放棄地の活用や茶殻リサイクルによる段ボールの利用などが評価されました※。 18位

    世界を変える50企業リスト

    トピックス ビジネス誌 『フォーチュン』(2016年9月発行) 「世界を変える50社」に選出

    ※SDGsは主として関係あるものを掲示

    ※ロゴは国際連合広報センターによる。

    ※詳しくはビジネス誌『フォーチュン』のサイトを参照▶http://beta.fortune.com/change-the-world/

    2

  • 相互不可分性と全体的アプ

    ロー

    SDGsの2030 年の目標

    伊藤園の 重点テーマ

    組織 統治

    共有価値の 創造(CSV)

    ●消費者

    ●コミュニティ

    ●環境

    コミュニティへの参画・発展

    人権

    環境公正な事業慣行

    消費者課題 労働慣行

    ISO26000の 中核主題

    0

    CSR推進伊藤園グループでは、ISO26000の原則や中核主題に基づき目標を設定し、CSRを推進しています。● ISO26000の7つの原則説明責任・透明性・倫理的な行動・ステークホルダーの利害の尊重・法の支配の尊重・国際行動規範の尊重・人権の尊重

    SDGs対応伊藤園グループでは、SDGsを2030年という目標年次に向けて、これまでのISO26000などの枠組みを補強するものととらえています。

    社会課題

    日本の課題

    高い高齢化率 40%日本は世界でも高齢化率が高く、2060年には、約40%が65歳以上になるといわれています。日本が抱える大きな課題として、伊藤園は健康を重点の一つとして商品開発など取り組みを進めています。

    出典:内閣府「平成28年版高齢社会白書」

    低い食料自給率 39%日本の食料自給率は約39%と非常に低くなっています。伊藤園は、茶産地育成事業などを通じ、国内の持続可能な農業に貢献しています。

    出典:農林水産省「平成27年度食料需給表」

    求められるCO2削減 -26%温室効果ガスを2030年度までに2013年度比26%減らすという日本のパリ協定での約束に貢献するため、伊藤園では、CO2排出量の削減に努めています。

    出典:環境省「日本の約束草案」

    世界の課題

    2050年に予想される気温上昇 2℃世界の気候変動問題が差し迫る中、伊藤園は事業活動全体を通じて、環境負荷が少なく、エネルギー使用量の少ない事業を実施するとともに、環境保全活動にも貢献しています。

    出典:気候変動に関する政府間パネル(IPCC)「第5次評価報告書」

    相対的な貧困・格差是正 11%先進国であるOECDの国でも平均して約11%の人々は相対的に貧困といわれています。伊藤園は、公正な事業慣行・労働慣行を通じて、貧困・格差の是正に努めています。

    出典:経済協力開発機構(OECD)「OECD Income Distribution Database」

    過体重・肥満の人口 19億人以上現在、世界では19億人以上が過体重か肥満といわれています。伊藤園は、体脂肪が気になる方向けの特定保健用食品等の開発など、人々への健康価値を提供しています。

    出典:世界保健機関(WHO)「Obesity and overweight, Fact sheet」

    毎年捨てられる食料 13億トン世界では約8億人が必要な栄養を取れていない一方、毎年約13億トンもの食品廃棄物が捨てられています。伊藤園は茶殻リサイクルを進めるほか、食品リサイクル率90%以上を毎年目標にし、食品廃棄物を削減しています。

    出典:国際連合食糧農業機関(FAO)「Global food losses and food waste」

    社会課題に応える伊藤園伊藤園グループでは、国際規格ISO26000を活用して、7つの原則と7つの中核主題(以下、中核主題)に即して、事業におけるリスクと機会を洗い出しCSRを体系化してきました。また、中核主題のうち、環境、消費者課題、コミュニティへの参画及びコミュニティの発展の3分野を重点テーマとして、社会価値と事業価値の同時実現を目指す共有価値の創造(CSV)を実践しています。

    伊藤園グループのCSR/CSVとSDGs

    先進国・発展途上国共通の2030年への目標:持続可能な開発目標(SDGs)

    ▪1貧困の撲滅▪2飢餓撲滅、食料安全保障・持続可能な農業▪3健康・福祉▪4質の高い教育▪5ジェンダー平等

    ▪6水・衛生の持続可能な管理▪7持続可能なエネルギーへのアクセス▪8包摂的で持続可能な経済成長、雇用▪9強靭なインフラ、産業化・イノベーション▪⓾国内と国家間の不平等の是正

    ▪⓫持続可能なまちづくり▪⓬持続可能な消費と生産▪⓭気候変動への対処▪⓮海洋と海洋資源の保全・持続可能な利用▪⓯陸域生態系、森林管理、砂漠化への対処、生物多様性

    3

  • 相互不可分性と全体的アプ

    ロー

    SDGsの2030 年の目標

    と全

    伊藤園の 重点テーマ

    組織 統治

    共有価値の 創造(CSV)

    ●消費者

    ●コミュニティ

    ●環境

    コミュニティへの参画・発展

    人権

    環境公正な事業慣行

    消費者課題 労働慣行

    ISO26000の 中核主題

    CSR推進伊藤園グループでは、ISO26000の原則や中核主題に基づき目標を設定し、CSRを推進しています。● ISO26000の7つの原則説明責任・透明性・倫理的な行動・ステークホルダーの利害の尊重・法の支配の尊重・国際行動規範の尊重・人権の尊重

    SDGs対応伊藤園グループでは、SDGsを2030年という目標年次に向けて、これまでのISO26000などの枠組みを補強するものととらえています。

    社会課題

    日本の課題

    高い高齢化率 40%日本は世界でも高齢化率が高く、2060年には、約40%が65歳以上になるといわれています。日本が抱える大きな課題として、伊藤園は健康を重点の一つとして商品開発など取り組みを進めています。

    出典:内閣府「平成28年版高齢社会白書」

    低い食料自給率 39%日本の食料自給率は約39%と非常に低くなっています。伊藤園は、茶産地育成事業などを通じ、国内の持続可能な農業に貢献しています。

    出典:農林水産省「平成27年度食料需給表」

    求められるCO2削減 -26%温室効果ガスを2030年度までに2013年度比26%減らすという日本のパリ協定での約束に貢献するため、伊藤園では、CO2排出量の削減に努めています。

    出典:環境省「日本の約束草案」

    世界の課題

    2050年に予想される気温上昇 2℃世界の気候変動問題が差し迫る中、伊藤園は事業活動全体を通じて、環境負荷が少なく、エネルギー使用量の少ない事業を実施するとともに、環境保全活動にも貢献しています。

    出典:気候変動に関する政府間パネル(IPCC)「第5次評価報告書」

    相対的な貧困・格差是正 11%先進国であるOECDの国でも平均して約11%の人々は相対的に貧困といわれています。伊藤園は、公正な事業慣行・労働慣行を通じて、貧困・格差の是正に努めています。

    出典:経済協力開発機構(OECD)「OECD Income Distribution Database」

    過体重・肥満の人口 19億人以上現在、世界では19億人以上が過体重か肥満といわれています。伊藤園は、体脂肪が気になる方向けの特定保健用食品等の開発など、人々への健康価値を提供しています。

    出典:世界保健機関(WHO)「Obesity and overweight, Fact sheet」

    毎年捨てられる食料 13億トン世界では約8億人が必要な栄養を取れていない一方、毎年約13億トンもの食品廃棄物が捨てられています。伊藤園は茶殻リサイクルを進めるほか、食品リサイクル率90%以上を毎年目標にし、食品廃棄物を削減しています。

    出典:国際連合食糧農業機関(FAO)「Global food losses and food waste」

    外部からの評価

    持続可能な開発目標(SDGs)の採択を受け、これを中核主題を補強する年限が設定された社会課題として理解しています。両者の相互関係性を考慮し、これまでのCSR /CSV体系をSDGsにより補強していきます。

    ISO26000の中核主題もSDGsの17の目標も、各主題や目標は相互に関連しており分けて考えることのできない性質のも

    のといわれています(相互不可分性と全体的アプローチ)。そうした性質を理解したうえで、SDGsの目標を理解しやすくするため、本来はそれぞれが一対一で対応するものではありませんが、特に関係が強い中核主題に関連付けて試行的に整理を行いました(下図)。

    ▪⓰平和で包摂的な社会の促進▪⓱実施手段の強化と持続可能な開発のためのグローバル・パートナーシップの活性化

    ※17の目標の内容要約の表現は、関係機関の和訳を参考に当社にて整理したもの「持続可能な開発目標とガバナンスに関する総合的研究(環境省環境研究総合推進費戦略研究プロジェクトS-11)」でプロジェクトリーダーとして「SDGs達成に向けた日本への処方箋」をまとめた、SDGsの専門家。

    蟹江 憲史氏慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 教授

    伊藤園がいち早く7つの中核主題に即してSDGsをとらえて対応していることは、非常に先駆的であり、今後さらに伊藤園の取り組みに期待します。

    4

  • 特集 1

    持続可能なコミュニティ─ 本業を活かした地方・日本創生 ─

    加速する少子高齢化や東京圏への人口集中により、地方の人口減少は大きな社会課題となっています。政府が力を注ぐ地方創生に対して、当社は「伊藤園まち・ひと・しごと創生推進基本方針」を策定し、

    本業を活かした「まち・ひと・しごと創生」のすべての面で取り組んでいます。(同方針はこちらhttp://www.itoen.co.jp/csr/csrpolicy/#houshin2015)

    「お茶で日本を美しく。」

    ひとづくり

    事業面での価値創造と社会面での価値創造をつなげる代表的活動が、「お茶で日本を美しく。」 ※プロジェクトです。2015年度は34都道府県で実施。2015年11月1日~ 12月31日の「お~いお茶」全飲料製品売上の一部を各地の世界遺産や環境の保全活動に寄付し、社員が活動に参加しました。本活動は第17回 日本水大賞 経済産業大臣賞を受賞しました。また、2015年に開催された淡路市主催「具-1グランプリ おむすびコンテスト」 ※に協賛し、伊藤園賞を表彰しました。これを契機に、東京ミッドタウン・デザインハブ第56回企画展「地域×デザイン―まちを編みなおす20のプロジェクト―」で、淡路市・門康彦市長と自治体と企業の「協創力」をテーマに、ご当地キャラの活用などの協働のプラットフォームづくりに

    鯖江市の市民参加による行政促進に当社は協力しています。2015年9月「市長をやりませんか? 第8回鯖江市地域活性化プランコンテスト」では、当社は鯖江市牧野市長、鯖江商工会議所野村会頭や、福井信用金庫蓑輪会長、地元企業の株式会社jig.jp 福野社長とともに、審査員として参画しました※。「第一回創

    き生きまちおこしサミット」(地方創生市町村長協議会主催、千葉県いすみ市で開催)では、当社は基調講演とシンポジウムのコーディネーターとして参加しました※。パネラーには岩手県軽米町山本町長、新潟県弥彦村小林村長、長野県根羽村大久保村長、岐阜県白川村成原村長、千葉県いすみ市太田市長、内閣府創生本部事務局新井次長、中央蚕糸協会田中会長が参加しました。

    ついて意見交換し発信しました※。笠間市では、笠間焼協同組合主催の陶器の祭典である笠間

    の陶炎祭に、当社は2008年から8年にわたって協力して大茶会を開催し、祭りを通じた地域の活性化に貢献しています。笠間市は東日本大震災の被災地でもあり、当社の災害自動販売

    「地方創生とCSR」については、日本経営倫理学会第24回研究発表大会(2016年6月18日 東北大学経済学部)で基調講演を実施。統一論題「地方創生と経営倫理」の中で地方創生とCSR/CSVについて、企業と関係者との「協創」による価値創造の考えを発表しました※。また、文部科学省の進める体験活動推進プロジェクトとし

    て開催されたシンポジウムでは基調講演を行い、パネルディスカッションに参加しました※。

    地方創生では活動の発信による水平展開も重要です。当社もさまざまな発信活動に参加しています。

    写真(神奈川県への寄付金贈呈):左から、(株)伊藤園神奈川東地区営業部長西本賀則、(株)伊藤園代表取締役副社長本庄周介、神奈川県知事黒岩祐治様、(株)伊藤園執行役員南関東地域営業本部長吉野勝訓

    ※これらの活動の詳細は以下のホームページをご参照ください。 伊藤園「伊藤園まち・ひと・しごと創生に関する取り組み」 http://www.itoen.co.jp/csr/community/effort/伊藤園「お茶で日本を美しく。」 http://www.itoen.co.jp/kirei/「具-1グランプリ おむすびコンテスト」への協賛 http://www.itoen.co.jp/csr/community/effort/stakeholder_awaji/

    文部科学省講堂にて実施された基調講演の様子

    5

  • 地域協定締結で継続的参画

    地域とのコラボ商品

    100%北海道産素材(とうもろこし、玄米、黒豆、小豆、水)を使用した「北海道とうきび茶」は2015年度フード・アクション・ニッポン アワードを受賞しました。地域の原料を使用した地域産品商品にも力をいれ、地域産業の創出や6次産業化という地方創生に寄与しています。また、「健康ミネラルむぎ茶」は、“暑さ対策飲料”としての製品特長や取り組みが、「クールシェアくまがや実行委員会」にご理解をいただき“クールシェアくまがや認定サポート飲料”になりました。

    機の実演を行い、防災面でも笠間市の地域課題解決に貢献しています(本件は当社の社内表彰制度CSR大賞の2015年度受賞案件です)。

    (※以下の活動での当社からの登壇者は、常務執行役員笹谷秀光)「第8回鯖江市地域活性化プランコンテスト」 http://www.itoen.co.jp/csr/outside/#plancontest地方創生市町村長協議会「第一回創

    き生きまちおこしサミット」 http://kakouken.net/custom.html日本経営倫理学会「第24回研究発表大会」 http://www.jabes1993.org/archive/taikai_program_2016.pdf文部科学省「平成27年度体験活動推進プロジェクト企業CSRシンポジウム〜企業の社会貢献を通じた青少年の体験活動の推進〜」 http://www.unei-jimukyoku.jp/csr

    伊藤園は、地球温暖化対策の最新の知恵を、みんなで楽しくシェアして低炭素社会をつくるという「FuntoShare」および「COOLCHOICE」に賛同しております。

    淡路市マスコットキャラクター承認番号:淡路市承認 第160007号Ⓒ淡路市

    伊勢かぶせ茶三重県産のかぶせ茶を100%使用東海地域(三重県、愛知県、岐阜県)限定狭山茶埼玉県内で生産された狭山茶を100%使用地域限定(埼玉県)で販売北海道とうきび茶北海道産素材(とうもろこし、玄米、黒豆、小豆、水)100%使用北海道限定販売2015年度フード・アクション・ニッポンアワード受賞香ばしい直火焙煎 棒ほうじ茶北陸3県で発売冷梅「南高梅(なんこうばい)」の梅果汁を使用キリッと瀬戸内レモン瀬戸内の国産レモン(広島・愛媛県産、ストレート果汁100%)を使用

    渋谷区と当社はシブヤ・ソーシャル・アクション・パートナー協定を締結しました。渋谷区の地域課題解決のため、幅広い分野で協働していきます。

    横浜市の市民サービス向上と地域活性化を目的とした包括連携協定、岸和田市との「人と自然の共生」「自然と調和した食文化の発展」に関する活動を行う「フクロウ協定」や、各地域での災害協定などの締結を通じて、コミュニティ課題に対応しています。

    地方創生まちづくりフォーラム「まちてん」への参加(第2回2016年12月9日、10日、第3回2017年12月8日、9日(予定))。まちづくりにとって重要な主体である自治体、企業、大学、ソーシャルビジネス、メディア、NPOなどのオープンイノベーションによって、地方創生の実現を目指す企画です。詳細はこちらURL:http://machiten.com/

    6

  • 2020年東京五輪・パラリンピックをはじめとした世界的スポーツイヤーズは、日本にとって世界が身近に来る経験となります。五輪憲章で示されている、文化も含めた後世へのレガシー(遺産)の創出が重要です。サステナブルな社会づくりのため、伊藤園は本業を活かし、CSR活動にレガシーという考え方を取り入れていきます。

    特集 2

    次世代のためのレガシー創出─ 世界が身近に、ゴールデン・スポーツイヤーズを超えて ─

    7

  • スポーツ・文化とサステナビリティ

    五輪レガシーの創出への参画

    スポーツが社会の進歩に果たす役割は、「持続可能な開発のための2030アジェンダ 宣言」でもSDGsの達成に向けた潜在的能力を秘めた重要かつ強力な手段として期待されています。また、スポーツイベントやホストタウンは交流人口を増やします。スポーツが根付けば、産

    業や雇用が創出されます。伊藤園も世界のティーカンパニーとして、お茶という「クールジャパン」を「インバウンド」

    にも訴求して、「レガシー」として地域に定着させていきます。お茶のある生活文化とお茶の製造技術を世界に発信します。

    文部科学省によると、レガシーを「次の世代への贈り物」と表現して、五輪・パラリンピックレガシー創出を目指します。課題解決先進国日本として、日本が誇る強みや深みを2020年の「締め切り」効果を利用して世界にアピールするチャンスとしています。次の世代へのレガシーとして受け継がれるよう、さまざまな個人や組織の連携を通じた取り組みが期待されます。当社としても、スポーツ・文化面の強みを活かして参画していきます。スポーツ政策の専門家である間野義之氏は「2019年のラグビーワールドカップを皮切りに、

    2021年までのゴールデン・スポーツイヤーズにおいては、さまざまなレガシー創出が求められる。レガシー創出を地方創生と絡めて、文化プログラムを応援していくことが企業の重要な役割である」と当社で開催したステークホルダーダイアログの中で提言しています。メディアの視点から小島正美氏は、「茶産地育成事業、お茶セミナー、新俳句大賞など、全て日本文化に直結する取り組みとなっている。レガシー創出に向けて本業を活かしながら茶文化も広める絶好のチャンスになるのではないか。消費者に認知度の高い活動に焦点を絞って発信していくべき」と述べています。

    ■ゴールデン・スポーツイヤーズ(2019-2021)とは

    伊藤園では、2020年に向けて文化プログラム力を磨いて、日本文化の発信を行っていきます。「ティーテイスター制度」の有資格者が講師として、お茶の歴史、健康性の知識や、お茶のおいしいいれ方を説明・実演します。これらの活動は、お茶のある豊かな食生活を伝える食育活動であり文化活動です。地域密着型で、観光地や学校、公民館、福祉施設など、さまざまな会場でセミナーを実施しています。「お〜いお茶新俳句大賞」は1989年の「お〜いお茶」発売以来毎年実施しています。累計応募数約2,987万句になる日本一の俳句コンテストです。季語や五・七・五の定型などにこだわらず、自由な感性を楽しむというコンセプトと、入賞作品を「お〜いお茶」シリーズのパッケージに掲載することが特色です。また学校教育でも幅広く取り入れられています。英語俳句の部も第2回から創設され、第27回は17,825句の応募がありました。 第27回英語俳句の部大賞

    2019年 〈ラグビーワールドカップ〉ラグビーワールドカップは、夏季オリンピック・FIFAサッカーワールドカップに次ぐ、世界3大スポーツ祭典と呼ばれており、世界で延べ40億人が視聴する大会。

    2020年 〈東京五輪・パラリンピック〉東京五輪・パラリンピックでは200カ国近くの国と地域が参加し、世界中の視聴者が観戦する一大イベント。

    2021年 〈ワールドマスターズゲーム〉30歳以上なら誰でも参加できる生涯スポーツの祭典。2021年に関西で開催、アジア初の開催となり、世界中から50,000人近くのアスリートが参加予定。

    間野 義之氏東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会参与、早稲田大学スポーツ科学学術院教授、レガシー共創協議会会長

    毎日新聞社生活報道部編集委員

    小島 正美氏

    伊藤園は、女子ゴルフトーナメントを開催、2015年で第31回となりました。「伊藤園グリーンクラブ」というボランティア団体とともに運営するのが特色です。入場料収入等は全額、開催地域の社会福祉事業等に寄付しています。

    社員による抹茶の展示説明。左:CSR推進部小川愛実、中央:量販店営業三部担当課長山中三智子 8

  • 東洋製罐株式会社と開発したNSシステムは、容器の殺菌に薬剤を使用せず、温水で洗浄する常温充填方式です。これにより安全・安心、水使用量の削減、使用エネルギー削減などお客様の要望や環境配慮につながるさまざまな価値を生んでいます。また、製造工程で年間約49,000トン発生する茶殻を有効活

    用するために、多くは農家への堆肥・飼料として利用されます

    ※2015年 食品産業優良企業等表彰 農林水産大臣賞受賞

    (食品産業部門【農商工連携推進タイプ】)「食品産業優良企業等表彰」は、地域の農水産物の生産者との連携による原料調達、雇用促進などの面で地域発展に功績のあった者を表彰するもので、茶産地育成事業が受賞。

    ’11 ’12 ’13 ’14 ’15

    (ha)(t) 生産量(t)新産地面積(ha)契約栽培面積(ha)

    0

    200

    400

    600

    800

    1,000

    1,200

    0

    1,000

    2,000

    3,000

    4,000

    5,000

    366

    2,593 2,691 2,813 3,285

    845 863 883957

    549 542 542 600

    296 321 341 357

    3,630

    1,034

    668

    持続可能な生産と消費

    ・新産地の形成・安定した原料調達

    茶産地育成事業新産地事業大分県宇佐地区

    茶産地育成事業による茶園面積 および生産量の推移

    新産地事業展開地区

    伊藤園では、①産業集積の形成、②バリューチェーンの見直し、③製品・サービスの改善という、共有価値の創造(CSV)における3つのアプローチのすべての面で、社会的価値と経済的価値の同時実現を目指す戦略的な取り組みを行っています。この各アプローチによりSDGsの目標にも寄与していきます。また、各活動は関係者との協働により達成した成果として、社外からの評価にもつながっています。

    長崎県西海地区

    大分県臼杵地区杵築地区宇佐地区

    鹿児島県曽於地区

    宮崎県都城地区

    茶産地育成事業─課題解決に挑戦する農業モデル─

    協働によるバリューチェーンの革新

    伊藤園は、地域行政・組合・生産者の方々と協力し、耕作放棄地などを活用した茶産地を育成し、機械化やIT化を含めた栽培技術・ノウハウの提供、収穫茶葉の全量買い取りを行い、茶葉の品質向上、コスト削減を図っています。茶農家の方々にとっては、伊藤園との契約取引により、安定的な農業経営、肥料・農薬の適正な使用など環境保全型農業の推進につながっています。

    新産地事業では、荒茶製造工場が設立された地域もあり、6次産業化につながっています。県の茶業研究機関や普及機関との連携強化に加え、肥料など農業資材関連企業、大学や農協

    組織との連携強化も図られつつあり、茶産地において産業集積(産業クラスター)化も進んでいます。

    以上のような協働により、伊藤園にとっては、高品質で安定的な原料調達という価値が生まれています。また、農家・地域にとっては後継者育成や新規就農者の確保、農業従事者の若返りなど好循環につながり、耕作放棄地の解消や雇用創出など地方経済への好影響という価値も生まれています。

    伊藤園にとっての価値

    農業経営基盤の安定

    社会にとっての価値

    地域雇用・経済活性化

    耕作放棄地の活用

    9

  • が、これに加えてパートナー企業と紙、ボードなどの日用品に茶殻を活用する「茶殻リサイクルシステム」を構築しています。

    消費者の健康志向の高まりを受け、伊藤園では、緑茶の健康性に関する研究を進め、健康カテキン2倍「お~いお茶 濃い茶」をはじめとして、体脂肪やコレステロールが気になる方をターゲットとした特定保健用食品「カテキン緑茶シリーズ」を販売するなど、お客様へ健康価値を提供しています。また、新たに制度化された機能性表示食品についても研究・開発を進め、お客様への新たな価値創出に努めています。

    容器面においても伊藤園は、環境面での共有価値創造により、緑茶飲料におけるPETボトルの軽量化などを実現しています。主力製品である「お~いお茶」などで、一部の製品を除き、全国において環境配慮型PETボトルを採用しています。また、野菜飲料では日本製紙株式会社、凸版印刷株式会社

    と協働で、アルミ箔の代わりに環境配慮型フィルムを採用した「レンガ型アルミレス紙パック飲料容器(通称:ECO容器)」を開発しました。

    伊藤園のビジネスモデルについて、田中宏司氏は、「伊藤園はCSR/CSV経営により本業を活かしながら自社の課題を解決するという体系を使うことで、地域の課題解決にもつながっている。伊藤園はこの段階まで到達しているため、競争戦略面でポーター賞を受賞し、それを契機にCSVも加速させている。伊藤園はこれまでのISO26000によるCSR体系が構築できているので、その基盤を保ちつつ新しいSDGsも踏まえて体系を強化していくことができる」と評価しています。また、地域への貢献面では影山摩子弥氏から、「地域でのさ

    まざまな協働事業の中で、自社の課題解決とともに社会課題の解決にも取り組んでいることが素晴らしい。継続的にコメントさせていただいているCSR大賞の事例も年々進化している。社員教育なども含めた継続性や社会的意義も踏まえ、SDGsによるKPIを作成していくと、さらに経営的意義が出るのではないか」とのご評価をいただいています。

    ※2014年度 資源循環技術・システム表彰など 4つの賞を受賞

    新・充填方式NSシステムが持続可能な消費を実現している点などが評価され、4つの賞を受賞(いずれも東洋製罐株式会社と共同受賞)。

    ・循環型社会面:資源循環技術・システム表彰(経済産業省産業技術環境局長賞)(2014年)

    ・持続可能な消費面:食品産業もったいない大賞(農林水産省食料産業局長賞)(2015年)

    ・環境技術面:環境賞(優秀賞)(2015年)・持続可能な消費面:リデュース・リユース・リサイクル推進功労者等表彰(推進協議会会長賞)(2015年)

    ※レンガ型アルミレス紙パック飲料容器は、 幅広い側面で評価

    (日本製紙株式会社、凸版印刷株式会社と共同受賞、☆は凸版印刷株式会社との共同受賞)。

    ・持続可能な消費面:リデュース・リユース・リサイクル推進功労者等表彰(農林水産大臣賞)(2014年)

    ・ライフスタイル面:日本パッケージングコンテスト(飲料包装部門賞)(2014年)

    ・ユニバーサルデザイン面:IAUDアウォード(入賞)(2014年)・環境製品開発面:エコプロダクツ大賞(エコプロダクツ大賞推進協議会会長賞(優秀賞))(2014年)

    ・循環型社会面:ジャパンパッケージングコンペティション(経済産業省製造産業局長賞)(2015年)

    ・グリーン調達面:グリーン購入大賞(審査員奨励賞)(2015年)・環境全般:地球環境大賞(環境大臣賞)(2016年)(☆)

    ・省資源・省エネルギーによるコスト削減

    環境配慮型PETボトル

    ボトル従来比約30%軽量化500mlPETボトル(換算)重量:19g

    キャップ従来比約13%軽量化重量:2.6g

    ラベル従来比約40 〜 50%薄膜化厚さ:20マイクロメートル

    健康や持続可能な消費外部からの評価

    伊藤園にとっての価値

    ・ブランドの確立・トータルマーケティングによる売上・シェア拡大、製品差別化

    伊藤園にとっての価値

    省資源・省エネルギー製品の普及

    健康を意識した製品の享受社会にとっての

    価値

    社会にとっての価値

    環境によい製品の購入

    持続可能な消費生活

    田中 宏司氏東京交通短期大学名誉教授、一般社団法人経営倫理実践研究センター理事・首席研究員。専門は、企業倫理、CSR。

    横浜市立大学国際総合科学部教授、横浜市立大学CSRセンターLLPセンター長。専門は、コミュニティCSR。

    影山 摩子弥氏

    本ページおよび本冊子でふれる受賞についての詳細はこちら URL ▶ http://www.itoen.co.jp/csr/

    10

  • 調達

    高い原料調達力○高品質で安定した、規模優位性のある原料調達力●国産原料の消費拡大と緑茶市場の活性化

    茶産地育成事業  ○茶葉の品質向上・原料の安定調達○コスト削減○ IT活用による摘採時期の最適化●食料自給率向上、耕作放棄地対策●地域活性化・環境保全型農業の推進

    ファブレス方式○設備投資のコスト削減、需要に即した生産調整●パッカー:受注による安定的な経営

    NSシステム○高品質による製品差別化、コスト削減

    ●省資源・省エネルギー製品の普及

    茶殻リサイクルシステム ○省資源・リサイクルによるコスト削減●環境配慮、新たな生活様式への発展環境にやさしい製品の提供

    品質管理体制○ブランド価値向上●消費者の安全・安心

    生産物流ブロック体制○物流費の削減、迅速な製品供給●環境配慮、在庫・物流管理の分散化(災害対策)

    持続可能なビジネスモデル─ 茶畑から茶殻まで ─

    製造・物流

    伊藤園は、「茶畑から茶殻まで」の独自の一貫体制により、高品質な製品をお客様にお届けできるよう努めています。調達、製造・物流、商品企画・開発、営業・販売までの一連の流れとそれを支える基盤(バリューチェーン)の全体を通じて、関係者との連携により新たな価値を生み出しています。伊藤園の価値(下図の○印)のみならず、同時に、社会の価値(下図の●印)を生み出しSDGsの課題にも対応していくことができます。これが伊藤園の特長であり強みの源泉です。これらの項目は、関係者の意見を聞いて定めたマテリアリティ

    (重点事項)です。ここでは、緑茶を中心としたバリューチェーンについて紹介します。

    調達段階では高い原料調達力とこれを補強する茶産地育成事業により、安定的かつ高品質な原料調達を確保しています。併せて持続可能な農業や持続可能な生産と消費、地域社会の形成というSDGsの目標にも寄与しています。

    製造・物流段階ではファブレス(工場を持たない生産)方式やNSシステム、茶殻リサイクルシステム、品質管理体制、生

    ●○:伊藤園の価値 ●:社会の価値

    ※SDGsの図示は主に関連する項目を示したものです。

    バリューチェーンを通じた持続可能な生産と消費

    バリューチェーンを支える基盤 ▶製品の安全性確保 ▶働きやすい職場づくりと 人材育成(ディーセントワークとジェンダー平等) ▶人権の尊重・コンプライアンス ▶ビジネスモデルと一体化 した財務マネジメント

    バリューチェーンを通じて生み出す価値

    11

  • 商品企画・開発 営業・販売

    商品開発力○高付加価値製品による製品差別化●幅広いお客様への健康価値の提供

    幅広い製品ラインアップ○飲料市場の拡大、大手流通との商談や消費者ニーズへの柔軟な対応

    ●多様なニーズに応じた飲料の提供

    特許戦略・商標戦略○他社との製品差別化、ブランド力の向上、競争力の確保

    ●模倣品対策への貢献

    ルートセールス ○新規顧客の獲得・既存顧客の強化見込み客管理と顧客満足度の向上

    ● 地域密着型営業による全国津々浦々への商品供給

    小売店○新規顧客の獲得・既存顧客の強化見込み客管理と顧客満足度の向上

    ●お茶文化と伝統の保護継承

    ティーテイスター制度○緑茶市場の活性化、お茶の専門集団による営業・販売力の強化●日本の伝統・お茶文化の普及継承

    お~いお茶新俳句大賞○付加価値による売上・シェア拡大●日本の伝統文化の振興、学校教育への貢献

    「お茶で日本を美しく。」○付加価値による売上・シェア拡大●環境にやさしい生活の促進、環境保全活動の促進

    産物流体制などを通じて、さまざまな環境配慮、特にCO2の削減に努めています。これにより、当社としてはコスト削減に寄与する一方、SDGsで示された、エネルギー、水、生物多様性保全などにつながります。

    商品企画・開発段階では、高い商品開発力を通じ、当社の強みであるカテキンなど健康性の研究を進めつつ、機能性食品の開発につなげています。これは健康というSDGs目標につながるものとなっています。

    営業・販売においてもルートセールスや販売におけるさまざまな取り組み、特に「お茶で日本を美しく。」、お~いお茶新俳句大賞などを通じて本業の価値とともに環境保全面や文化面にも寄与する活動となっています。

    バリューチェーンを支える基盤的取り組み

    伊藤園のバリューチェーン全体を支える基盤的取り組みとして、製品の安全性確保、人権の尊重・コンプライ

    アンス、働きやすい職場づくりと人材育成などがあります。ここでは、ジェンダー配慮、パートナーシップ、持続可能な生産と消費というSDGs目標に寄与しています。

    バリューチェーンの評価

    こうした取り組みについて、専門家である後藤敏彦氏からは「伊藤園ではこれまでバリューチェーン全体におけるマテリアリティの分析と、各段階での伊藤園・社会それぞれの価値を分析されている。その中にSDGsを組み込まれようとしていることは、社会の変化に対応するとともに、創出される価値を新たに世界的視野で定義していくことにつながっている」と評価いただいております。

    「世界のティーカンパニー」へ

    ▶製品の安全性確保 ▶働きやすい職場づくりと 人材育成(ディーセントワークとジェンダー平等) ▶人権の尊重・コンプライアンス ▶ビジネスモデルと一体化 した財務マネジメント

    特定非営利活動法人サステナビリティ日本フォーラム代表理事

    後藤 敏彦氏

    12

  • すべてのお客様を大切にすることが 経営の基本と考えています。

    伊藤園グループの考える“お客様”とは、「伊藤園グループとかかわりを持つすべての方々」を意味します。つまり、すべてのステークホルダーのことです。法令等を遵守し、“お客様”とともに、財務側面での価値創造のみならず、社会・環境側面での価値創造も目指しています。また、その前提として、地球環境を守り、次世代に継承し、自主的・継続的な環境保全と自然との共生に貢献します。

    世界的視野に立ったCSR体系伊藤園グループは、経営理念 「お客様第一主義」に基づき、ステークホルダーの皆様の信頼を得ることを重視しています。世界の

    持続可能な社会・環境の目標であるSDGs(持続可能な開発目標)の内容も踏まえて、本業を通じた国際規格ISO26000/国内規格JIS Z 26000の7つの原則および7つの中核主題への取り組みを経営に組み込んでいます。

    「世界のティーカンパニー」を目指し、国内および世界で新たな食文化の創造と生活提案を行い、社会の課題解決と伊藤園グループの成長を両立させる「共有価値の創造(CSV)」により、持続可能な社会・環境の実現に貢献します(伊藤園グループCSR憲章より)。 

    1. 伊藤園グループは、経営理念「お客様第一主義」に基づき「チーム伊藤園」で、世界の持続可能な社会・環境の目標であるSDGs(持続可能な開発目標)の内容も踏まえて、持続可能な社会(サステナビリティ)の実現を目指してCSR活動を行う。

    2. 伊藤園グループは、消費者、株主、取引先、仕入先、金融機関、地域社会、社員などの幅広い関係者(ステークホルダー)の期待に応えつつ、事業活動を行う。3. 伊藤園グループは、総合飲料メーカーとしての活動の軸である「ビジネスモデル」「製品開発コンセプト」「グループ力」を活かして本業を通じたCSR活動を強化する。4. 伊藤園グループは、SDGsの目標も踏まえつつ、国際規格ISO26000/国内規格JIS Z 26000を活用してCSR活動を進める。これら規格の7つの中核主題である組織統治、

    人権、労働慣行、環境、公正な事業慣行、消費者課題、コミュニティへの参画及びコミュニティの発展に関する取り組みを行う。その上で、3つの活動の軸を活かして、環境、消費者課題、コミュニティへの参画及びコミュニティの発展を重点テーマとして位置付け、SDGsも踏まえた社会課題の解決による共有価値の創造(CSV)を目指して、積極的な取り組みを行う。

    5. 伊藤園グループは、ESD(持続可能な開発のための教育)の考え方を取り入れ、CSR/CSV活動を実践できる「人づくり」を行う。以上により、競争力を高め、社会に求められる企業として価値を向上させ、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に寄与しつつ、世界のティーカンパニーを目指す。

    伊藤園グループのCSRの姿

    ■ グループ経営理念

    ■ 伊藤園グループのCSR体系

    ■ 伊藤園グループCSR推進基本方針 (制定:2012年4月 改定:2014年2月、2016年8月)

    “お客様第一主義”

    ▼「Sustainability Report 特集編 」(CSR報告書)の位置付けと編集方針本冊子は2016年10月に発行した「Sustainability Report 2016特集編」(CSR報告書2016)を定番化し、再編集したものです。非財務情報に関する「特集」を扱っています。非財務情報の定

    例報告はウェブサイトの報告編にあります。また、伊藤園の活動をご紹介するため定番化されたコミュニケーションブック(お茶にまつわる7つのストーリー)もご参照ください。本報告書(特集編/報告編)の編集にあたり参考としたガイドライン・報告対象組織・報告対象期間等は、以下の通りです。

    【参考ガイドライン】 社会的責任に関する国際規格ISO26000/国内規格JIS Z 26000、GRI「サステナビリティ・レポーティング・ガイドライン第4版」、環境省「環境報告ガイドライン(2012年版)」【 報 告 対 象 組 織 】原則として伊藤園グループを対象としています。伊藤園グループを対象としていない場合は、個々に対象範囲を記載しています。【 報 告 対 象 期 間 】 2015年度(2015年5月1日~ 2016年4月30日)の活動を中心に、一部それ以前からの取り組みや、直近の活動報告も含んでいます。また、ご紹介する関係者の所属・役職名

    は活動当時のものです。【 発 行 年 月 】 2017年5月【 免 責 事 項 】 この報告書には、伊藤園グループの将来についての計画や戦略、業績に関する予想および見通しの記述が含まれています。これらの記述は、当社が現時点で把握可能な情

    報から判断した事項および所信に基づく見込みです。

    ■基本的CSR:ISO26000の7つの中核主題に基づく、経営基盤の強化■共有価値の創造(CSV):社会課題の解決と伊藤園グループの成長の両立 (重点テーマである「環境」「消費者」「コミュニティ」でCSVを目指す)■ESDによる人づくり:チーム伊藤園で実践

    世界のティーカンパニーを目指す

    消費者 コミュニティ重点テーマ 重点テーマ 重点テーマ

    ビジネスモデル地域密着

    ルートセールス川上から川下までの

    供給体制

    グループ力グループ相乗効果

    の発揮

    製品開発コンセプト自然 健康 安全

    おいしい

    総合飲料メーカーとしての活動の軸

    経営理念 「お客様第一主義」 チーム伊藤園で実践

    良いデザイン

    環 境

    共有価値の創造(CSV)

    基本的CSR

    ESDによる人づくり

    組織統治

    SDGs

    人権 労働慣行 公正な事業慣行

    詳細はこちら URL ▶ http://www.itoen.co.jp/csr/13

  • 第三者意見

    持続的に進化する経営モデル

    2013年にポーター賞を受賞されて以来、伊藤園の経営は

    年々さらなる進化を遂げています。ここでは「真・善・美」

    という3つの切り口から評価してみたいと思います。

    「真」の観点においては、昨年制定されたSDGsへの取り

    組みをタイムリーに標榜していることが高く評価されます。

    これによって同社は、世界共通基盤に立ったグローバル企

    業としてさらに進化することが可能になります。

    「善」の観点においては、「まち・ひと・しごと創生」を日

    本各地で展開している点が注目されます。地方創生が国家

    課題とされている中で、本業を主軸にコミュニティづくり

    に尽力する姿は、CSVの先進事例といえるでしょう。

    「美」の観点においては、「明日のレガシー創出」に注力し

    ている点が特筆に値するでしょう。ゴールデン・スポーツイ

    ヤーズという好機をとらえて、お茶に代表される日本文化

    を発信することで、「和み」や「やすらぎ」といった価値観を

    世界に広げていくことができるはずです。

    今回の報告書は、この伊藤園独自の経営モデルをわかり

    やすく伝える工夫が随所にみられます。非財務と財務との

    関連性がさらに明確になっている点も高く評価できます。

    当社のビジネス・モデルについて経営戦略のご専門の切

    り口からご評価をいただき、誠にありがとうございます。

    今回は、昨年国連にて採択されました「持続可能な開発目

    標(SDGs)」を当社の体系に組み込みましたことを、敏感に

    感じ取っていただけたことに深く感謝いたします。

    「世界のティーカンパニーとして、当社が新時代を築いて

    いく」といった意気込みで、さらに深化した体系を構築して

    いきたいと考えております。また、「サステナビリティ新時

    代」という時代を画するような内容で、且つ、読みやすさも

    追求した特集も掲載することで、ステークホルダーとのコ

    ミュニケーションに役立つような内容に仕上がったことを

    お褒めいただき、大変感謝いたします。

    当社が世界のティーカンパニーとして、国内のみならず

    世界の課題解決のために、ご指摘の「ESDの対象を、社員か

    ら顧客、コミュニティ、パートナーなどへと広げていく」こ

    とで、協創したレガシー創出を実現できるよう、取り組みを

    一層加速してまいります。

    世界のレガシーを目指して

    このたび、ビジネス誌『フォーチュン』の「世界を変える

    企業50社(2016年版)」で伊藤園が18位に選ばれました。日

    本企業としては最高ランキングという快挙です。

    世界中で紛争や社会課題が高まる中、「真・善・美」を基

    軸とする伊藤園の経営モデルは世界を正しい方向に導くパ

    ワーを秘めています。「自然、健康、安全、良いデザイン、お

    いしい」という創業以来のコンセプトは、「からだ」に加え

    て「こころ」を対象にすることで、われわれを物心ともに豊

    かな世界へと導いてくれるでしょう。また文化の担い手と

    しての「ヒトの育成」(ESD)の対象を、社員から顧客、コミュ

    ニティ、パートナーなどへと広げていくことで、世界中に共

    感の輪を協創していくことが可能になるはずです。

    「お茶で世界を美しく」を目指して、伊藤園が「世界の

    ティーカンパニー」という未来のレガシーの確立に向けて

    さらに邁進されることを、大いに期待しています。

    一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授 名和 高司氏

    常務執行役員 CSR推進部長CSR推進委員会副委員長環境委員会委員長コンプライアンス委員会オブザーバー

    笹谷 秀光

    第三者意見を受けて

    14

  • 〒151-8550 東京都渋谷区本町3丁目47番10号TEL:03-5371-7213 FAX:03-5371-7196e-mail:csr@itoen.co.jp http://www.itoen.co.jp

    お問い合わせ先

    CSR推進部

    主なCSR目標(KPI)

    株式会社伊藤園の概要 (2016年4月30日現在)

     伊藤園では、SDGsも踏まえつつISO26000に即した中核主題別に目標(KPI)を定め、「計画」「実行」「評価」「改善」のPDCAサイクルで活動進捗を管理し、フォローアップしています。SDGsは複合目標ですので17目標のすべてが伊藤園の事業に何らかの関連がありますが、各項目ごとに主に関連する目標を7つの中核主題に当てはめて整理しています。(以下はその要約です)

    当社の主な項目 主に関連するSDGs 主な活動目標(抜粋)

    組織統治 コーポレート・ガバナンス ⃝内部統制における業務の有効性、効率性向上

    人権 人権の尊重 ⃝人権啓発活動の推進

    労働慣行 働きやすい職場環境づくり多様性の推進⃝障がい者支援体制の強化(2.0%以上は維持)

    環境

    リサイクルの推進 ⃝食品リサイクル率90%以上

    地球温暖化防止 ⃝全社CO2排出量削減

    環境に配慮した製品開発 ⃝茶殻リサイクルビジネス拡大

    省エネルギー推進 ⃝全社の電力使用量削減

    公正な 事業慣行 コンプライアンス

    ⃝ビジネスコンプライアンス検定取得推進

    消費者課題お客様満足 ⃝商品に対する新表示基準への対応

    健康価値 ⃝機能性表示食品のラインアップの充実                 

    コミュニティへの参画及びコミュニティの発展

    教育・文化・世界遺産保全⃝茶文化の啓発活動の強化⃝外部団体との関係強化⃝イベントへの積極参加

    茶産地育成事業 ⃝茶産地育成事業(新産地事業)の拡大

    会社名����������������������������������������������株式会社伊藤園英文社名������������������������������������������ITOEN,LTD.本社�������������������������������������������������東京都渋谷区本町3丁目47番10号設立�������������������������������������������������1966年(昭和41年)8月22日資本金����������������������������������������������19,912,300,000円従業員数������������������������������������������5,340名URL�������������������������������������������������http://www.itoen.co.jp支店、営業所および出張所��������������全国30地区199拠点

    ※主なCSR目標(KPI)の詳細は以下のホームページをご参照ください。 CSR目標(KPI) http://www.itoen.co.jp/files/user/pdf/csr/report/aim_2016.pdf 環境目標    http://www.itoen.co.jp/files/user/pdf/csr/environment/aim_2015.pdf

    工場������������������������������静岡相良工場(静岡県牧之原市女神21)浜岡工場(静岡県御前崎市新野3406-4)福島工場(福島県福島市荒井北1-2-9)沖縄名護工場(沖縄県名護市伊差川112)

    研究所���������������������������中央研究所(静岡県牧之原市女神21)売上高(連結)���������������465,579百万円営業利益(連結)�����������17,243百万円

    (2016(平成28)年4月期実績)

    本冊子は2016年10月に発行した「Susta inab i l i ty Repor t 2016特集編」(CSR報告書2016)を定番化し、再編集したものです。

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