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クリティカルシンキングの活用による数理科目の学修力向上効果の分析 A n a l y s i s o f t h e I m p r o v e m e n t E f f e c t o f L e a r n i n g A b i l i t y b y U t i l i z a t i o n o f C r i t i c a l T h i n k i n g i n M a t h a n d S c i e n c e S u b j e c t s 西 S h i n - i c h i T A N I G U C H I , M a k o t o N I S H , H i d e t a k a Y A M A O K A T s u t o m u N A K A , K o j i T A K A 1 年生のクラスにおける微積分の授業において,Critical Thinking 活用度活性化の ために,授業における CT のインフュージョン,レポート課題,試験問題に CT 発揮を 促す問題の挿入などを実践した。この効果を,ルーブリックを用いて授業開始時と終 了時に調査したところ,終了時においては, CT 活用度が活性化していることが確かめ られた。この結果の学修力向上度に対する影響を調査するため,小テスト2の得点と 期末試験の得点を規格化し,“期末試験得点-小テスト2得点”を算出して,調査対象 者を向上群,非向上群に分類した。そして,これをもとに多重ロジスティック回帰分 析を行った。その結果,ルーブリックの“要素 3,公式の有用度の認識に関する CT 活用”と“要素 4,数学の学習法に関する CT の活用”が学修力の向上に有意に大きな 影響を与えており, CT 活用度活性化の実践は学修力の向上に有効であることが確かめ られた。 キーワード:クリティカルシンキング,学修力向上効果,ロジスティック回帰分析 The thing on which an infusion of CT, a report problem is imposed and the insertion of the problem of suggesting a CT utilization to the part of the examination question were practiced for CT utilization activation in a session of the differential calculus and integration in the class of the frosh in a semester in the second half of 2014. This effect was investigated at the time of the class starting and an end using a rubric. Activation of the CT utilization was confirmed at the time of a class end. To investigate the influence to the degree of the learning ability improvement of this result, the score of the final exam and the score of small test 2 a learning area overlaps were normalized. "final exam scoring scores of small test 2" was calculated and an investigation object person was classified into an improvement group and non- improvement group. And a multiple logistic regression analysis was performed based on this result. As a result, " the element 3 of rubric : utilization of CT about the recognition for usefulness of formula " and " 11 クリティカルシンキングの活用による数理科目の学修力向上効果の分析 KIT Progress 24

クリティカルシンキングの活用による数理科目の 学修力向上効果 … · クリティカルシンキングの活用による数理科目の学修力向上効果の分析

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論文 KIT Progress №24

クリティカルシンキングの活用による数理科目の学修力向上効果の分析

クリティカルシンキングの活用による数理科目の 学修力向上効果の分析

Analysis of the Improvement Effect of Learning Ability by Utilization of Critical Thinking in Math and Science Subjects

谷口進一・西 誠・山岡英孝・中 勉・高 香滋 Shin-ichi TANIGUCHI, Makoto NISH, Hidetaka YAMAOKA

Tsutomu NAKA, Koji TAKA

1年生のクラスにおける微積分の授業において,Critical Thinking 活用度活性化の

ために,授業における CTのインフュージョン,レポート課題,試験問題に CT発揮を

促す問題の挿入などを実践した。この効果を,ルーブリックを用いて授業開始時と終

了時に調査したところ,終了時においては,CT活用度が活性化していることが確かめ

られた。この結果の学修力向上度に対する影響を調査するため,小テスト2の得点と

期末試験の得点を規格化し,“期末試験得点-小テスト2得点”を算出して,調査対象

者を向上群,非向上群に分類した。そして,これをもとに多重ロジスティック回帰分

析を行った。その結果,ルーブリックの“要素 3,公式の有用度の認識に関する CT の

活用”と“要素 4,数学の学習法に関する CT の活用”が学修力の向上に有意に大きな

影響を与えており,CT活用度活性化の実践は学修力の向上に有効であることが確かめ

られた。

キーワード:クリティカルシンキング,学修力向上効果,ロジスティック回帰分析

The thing on which an infusion of CT, a report problem is imposed and the insertion of the problem of suggesting a CT utilization to the part of the examination question were practiced for CT utilization activation in a session of the differential calculus and integration in the class of the frosh in a semester in the second half of 2014. This effect was investigated at the time of the class starting and an end using a rubric. Activation of the CT utilization was confirmed at the time of a class end. To investigate the influence to the degree of the learning ability improvement of this result, the score of the final exam and the score of small test 2 a learning area overlaps were normalized. "final exam scoring -scores of small test 2" was calculated and an investigation object person was classified into an improvement group and non-improvement group. And a multiple logistic regression analysis was performed based on this result. As a result, " the element 3 of rubric : utilization of CT about the recognition for usefulness of formula " and "

11クリティカルシンキングの活用による数理科目の学修力向上効果の分析

KIT Progress №24

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クリティカルシンキングの活用による数理科目の学修力向上効果の分析

the element 4 of rubric : utilization of CT about learning methods of mathematics" to be having a big influence on improvement of the learning ability significantly. And it was confirmed that practice of CT utilization activation in a lesson is effective in improvement of the learning ability. Keywords: Critical Thinking, Improvement Effect of Learning Ability,

Logistic Regression Analysis 1.はじめに

現代の学生における基礎学力の多様化が指摘されて久しいが,その一方で,学習特性にある種の画一

性が認められることも確かである。それは,学習方略としてヒューリスティックが多用されている点で

ある。ヒューリスティックとは「一定の手順に従って正解を得る」いわゆるアルゴリズムの一種に対し

て使用される用語である。迅速・簡単で,ある程度問題解決に役立つ学習方略ではあるが,常に正解に

到達するとは限らない 1)。ヒューリスティックそのものは,熟慮的思考と併用し,柔軟に使用すれば,

それ自体,有効な学習方略であるが,これに過度に依存し,熟慮的思考の併用を怠るようになれば,学

習内容は表面的理解にとどまり,学修力向上の妨げとなる。また,ヒューリスティックはその思考形態

の性格上,判断に歪みを生じ,認知バイアスを生じさせることがある 2)。このような,学生のヒューリ

スティックの多用に対して,これにとどまらず,論理的・熟慮的思考を促進し,認知バイアスなどの思

考上の障害を回避するためにはクリティカルシンキング(批判的思考:以下 CTと略称する)の活用が有

効であると考えられる。

我々は,先行研究 3~5)をもとに,数理の CTにおける定義を作成した。これは,先行論文 6)でも述べた

が,本研究の核となるものであるので,ここに再掲する。

① CTは既存概念を踏まえたうえで、それに必ずしも拘泥 せずに行われる論理的・合理的思考である。

② CTは自分の推論プロセスを包括的かつ俯瞰的に意識して分析する内省的・熟慮的思考である。

③ CTはより良い思考を行うために、問題解決の方法に対応して実行される目的志向的思考である。

(下線部は,数理の学修への活用を踏まえて,著者らが先行研究 3~5)にあげられている CTの定義に加筆・

変更を加えた部分である。)

このような CTの特性は,問題に対して俯瞰的見識で臨み,自分自身でその内容を咀嚼し,深く考えて

解答に到達する応用力につながる学修力を向上させるために極めて効果的な役割を果たす要素であると

考えられる 7)。このため,我々は,平成 25 年度から CT活用による数理科目の学修力向上効果の研究を

行っている 6~13)。CT態度尺度の構成による CT発揮の構造的特性や,個人の能力面からの CT発揮に関す

る研究は,米国を中心に,日本でも多くの先行研究例(例えば,参考文献 14~17))があるが,これを学修

力の向上に結び付け,しかも数理科目の分野での効果を検証した研究例はほとんど見受けられない。本

論文は,実際に数理科目の授業において,CTをインフュージョンや課題・試験問題(一部に挿入)をと

おして,学生への活用を促し,CT活用度がどう活性化し,これが学修力の向上にどのような影響を与え

たかについて分析した結果を述べるものである。

2.授業における実践と調査内容

2.1 授業における実践と調査の対象

CT 活用の活性化とそれによる学修力向上効果の調査対象は,2014 年度・後学期 1 年生のクラス X に

おける微分・積分の授業の受講者 54名、(男性 36名,女性 18名),平均年齢 19.4歳であった。調査結

12 クリティカルシンキングの活用による数理科目の学修力向上効果の分析

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クリティカルシンキングの活用による数理科目の学修力向上効果の分析

果の内,欠損値などの不備のない有効回答者数は 49 名であり,分析にはこのデータを用いた。 2.2 授業における CT活用の活性化のための実践方法

調査対象者に対して,CT活用の活性化を図るため,「1, 問題解法の選択に関する CTの活用,2,教科

書の解説の内容理解に関する CTの活用,3,公式の有用度の認識に関する CTの活用,4,数学の学習法に

関する CTの活用,5,数学の学習内容の応用に関する CTの活用」を意識して,インフュージョン,レポ

ート課題を課すこと,試験問題の一部に CT 発揮を促すような思考力を要する問題を挿入することを行

った。

特に数学においては,他の理系科目に比べ,学部レベルでは既に完全に完成された内容を教授するた

め,その内容は厳密かつ堅牢であり,定義や定理の内容に初年次学部学生が疑義や今後の変遷を予期す

るような考察を加える余地はほとんどない。このため,CT発揮は,もっぱら,様々な問題解法や公式の

種類における優劣,一般性,汎用性や学習項目の理解に対する包括性などに対して向けられることにな

り,授業における実践もこれを促進する内容が主となった。

2.3 CT活用度の調査方法

初回授業において,CTとはどのようなものであるか,また,CT活用度を活性化することの必要性など

を説明したのち,ルーブリックを用いて授業開始時における CT活用度を調査した。また,授業期間にお

ける CT 活用活性化の方略の結果,CT 活用度がどのように変化したかを調べるため,最終回の授業にお

いて,授業開始時と同一のルーブリックを用いて CT活用度を調査した。なお,授業期間中もインフュー

ジョンの際には何度も CT の定義を分かりやすく説明し,CT の発揮を促すレポート課題の中にも,注意

事項として CTとはどのようなものであるか記載し,CTの内容と活用の必要性を周知した。

ルーブリックは先行論文 6)で用いたものと同一のものを用い,項目名のみを「化学」から「数学」へ

と変更した。ルーブリックは,要素 1~要素 5からなり,各要素は、授業での CT活用度の活性化のため

に授業において実践した内容と同様の「要素 1, 問題解法の選択に関する CT の活用,要素 2,教科書の

解説の内容理解に関する CT の活用,要素 3,公式の有用度の認識に関する CT の活用,要素 4,数学の学

習法に関する CTの活用,要素 5,数学の学習内容の応用に関する CTの活用」である。スケールは活用度

の高い方から 4 点~1 点とした。

3.分析内容と考察

3.1 ルーブリックによる CT活用度の変化の分析

ルーブリックを用いた調査によれば,授業開始時に比べ,授業終了時においては,すべての要素にお

いて,スケール1点「CTをほとんど活用していない」に該当する者の人数は減少していた。授業開始時

と最終回の授業でのルーブリックによる CT 活用度自己評定の結果をヒストグラムにしたものを図 1 に

示す。ヒストグラムでは,授業開始時と授業終了時における自己評定の動態をつかむことはできるが,

各要素における全体としての自己評定の変化を確認しづらい。そこで,概略の目安として,授業開始時

と最終回の授業でのルーブリック自己評定得点の平均をグラフ化して比較したものを図 2に示す。概略

で瞥見すると,自己評定の平均はいずれの要素においても,最終回の授業において高くなっている。し

かしながら,ルーブリックは点数化してあるが,CT活用度にたいする内容が文章で規定されているため

順序尺度である。従って,点数の平均値はあくまで概略の目安であり,授業開始時と終了時における自

己評定の正確な比較はノンパラメトリック検定 18)によらなければならない。Wilcoxon の符号付順序検

定による授業開始時と授業終了時における自己評定の比較結果を表 1に示す。

この種のアンケート調査はノイズが多いこと,またサンプル数を考慮して有意水準は .10とした。

「要素 2,教科書の解説の内容理解に関する CTの活用」,「要素 4,数学の学習法に関する CTの活用」に

おいて自己評定が有意に上段に移動していることが認められる。以上を総括すると,全体的にみて,授

クリティカルシンキングの活用による数理科目の学修力向上効果の分析

the element 4 of rubric : utilization of CT about learning methods of mathematics" to be having a big influence on improvement of the learning ability significantly. And it was confirmed that practice of CT utilization activation in a lesson is effective in improvement of the learning ability. Keywords: Critical Thinking, Improvement Effect of Learning Ability,

Logistic Regression Analysis 1.はじめに

現代の学生における基礎学力の多様化が指摘されて久しいが,その一方で,学習特性にある種の画一

性が認められることも確かである。それは,学習方略としてヒューリスティックが多用されている点で

ある。ヒューリスティックとは「一定の手順に従って正解を得る」いわゆるアルゴリズムの一種に対し

て使用される用語である。迅速・簡単で,ある程度問題解決に役立つ学習方略ではあるが,常に正解に

到達するとは限らない 1)。ヒューリスティックそのものは,熟慮的思考と併用し,柔軟に使用すれば,

それ自体,有効な学習方略であるが,これに過度に依存し,熟慮的思考の併用を怠るようになれば,学

習内容は表面的理解にとどまり,学修力向上の妨げとなる。また,ヒューリスティックはその思考形態

の性格上,判断に歪みを生じ,認知バイアスを生じさせることがある 2)。このような,学生のヒューリ

スティックの多用に対して,これにとどまらず,論理的・熟慮的思考を促進し,認知バイアスなどの思

考上の障害を回避するためにはクリティカルシンキング(批判的思考:以下 CTと略称する)の活用が有

効であると考えられる。

我々は,先行研究 3~5)をもとに,数理の CTにおける定義を作成した。これは,先行論文 6)でも述べた

が,本研究の核となるものであるので,ここに再掲する。

① CTは既存概念を踏まえたうえで、それに必ずしも拘泥 せずに行われる論理的・合理的思考である。

② CTは自分の推論プロセスを包括的かつ俯瞰的に意識して分析する内省的・熟慮的思考である。

③ CTはより良い思考を行うために、問題解決の方法に対応して実行される目的志向的思考である。

(下線部は,数理の学修への活用を踏まえて,著者らが先行研究 3~5)にあげられている CTの定義に加筆・

変更を加えた部分である。)

このような CTの特性は,問題に対して俯瞰的見識で臨み,自分自身でその内容を咀嚼し,深く考えて

解答に到達する応用力につながる学修力を向上させるために極めて効果的な役割を果たす要素であると

考えられる 7)。このため,我々は,平成 25 年度から CT活用による数理科目の学修力向上効果の研究を

行っている 6~13)。CT態度尺度の構成による CT発揮の構造的特性や,個人の能力面からの CT発揮に関す

る研究は,米国を中心に,日本でも多くの先行研究例(例えば,参考文献 14~17))があるが,これを学修

力の向上に結び付け,しかも数理科目の分野での効果を検証した研究例はほとんど見受けられない。本

論文は,実際に数理科目の授業において,CTをインフュージョンや課題・試験問題(一部に挿入)をと

おして,学生への活用を促し,CT活用度がどう活性化し,これが学修力の向上にどのような影響を与え

たかについて分析した結果を述べるものである。

2.授業における実践と調査内容

2.1 授業における実践と調査の対象

CT 活用の活性化とそれによる学修力向上効果の調査対象は,2014 年度・後学期 1 年生のクラス X に

おける微分・積分の授業の受講者 54名、(男性 36名,女性 18名),平均年齢 19.4歳であった。調査結

13クリティカルシンキングの活用による数理科目の学修力向上効果の分析

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クリティカルシンキングの活用による数理科目の学修力向上効果の分析

業開始時に比べ授業終了時においては CT活用度が活性化していると考えられる。

要素 1 要素 2 要素 3 要素 4 要素 5

図 1 授業開始時と最終回におけるルーブリックによる自己評定のヒストグラム

図 2 授業開始時と最終回におけるルーブリックによる自己評定得点の平均値の比較 7)

表 1 ルーブリックによる授業開始時と終了時における自己評定の比較の検定結果

要素 1 要素 2 要素 3 要素 4 要素 5

結果 A B* A B** A

A:授業開始時と終了時を比較して,群の自己評定の中心は移動しなかった(有意水準 0.1)

B:授業開始時と終了時を比較して,群の自己評定の中心は上段に移動した

Wilcoxonの符号付順序検定による *p < .10,**p < .05,

14 クリティカルシンキングの活用による数理科目の学修力向上効果の分析

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クリティカルシンキングの活用による数理科目の学修力向上効果の分析

3.2 CT活用度の学修力向上効果に関するロジスティック回帰分析

今回,CT 活用度の活性化を図る対象とした微分・積分の授業は,その授業構成が前半は微分の内容,

後半は積分と微分方程式の内容となっており,それぞれに,小テスト1と中間試験,小テスト2と期末

試験が課されている。期末試験実施までに CT 活用度の活性化を実践してきた効果がどのように学修力

の向上に影響しているかを調べるため,学習範囲が重複している小テスト2の得点と期末試験の得点を

比較した。小テスト2と期末試験の素点を 100点に換算し,両方の平均点を比較したところ,小テスト

2の平均は 50.6(SD =22.3),期末試験の平均は 60.4(SD =25.7)であり,平均点は期末試験の方が有意に

高かった(p <0.001)。

しかしながら,試験の素点には問題の難易度が反映されているため,これによって,単純に学修力の

向上度を比較することはできない。問題の難易度の差の影響をできるかぎり排除するために,各自の得

点を平均点で割り,規格化を行ったデータを構成した(規格化としては,各自の得点から平均値を引き,

標準偏差で割り,いわゆる z変数に変換する手法がよく用いられるが,これは試験の得点分布が正規分

布に近くなければ,良い結果が得られない。小テスト2,及び期末試験の得点分布における尖度,歪度

を考慮して,今回は平均点で割る規格化を行った)。この規格化されたデータをもとに各学生の小テスト

2と期末試験の得点の差(期末試験得点-小テスト2得点)をとり,正の値になった場合を 1,0以下の

値になった場合を 0とコード化し,全学生の内,1の値をとった学生群を向上群,0の値をとった学生群

を非向上群と分類した。向上群と非向上群の人数に有意な差は認められず,規格化により得点分布に極

端な偏りは残存せず,向上群と非向上群は,ほぼ対称に分類されたことが確認された。

この2群のコードを目的変数,ルーブリックの各要素のスケール得点,中間までの基礎学力の目安と

して小テスト1の規格化得点,中間試験の規格化得点,レポートの得点,さらに,期末試験に含まれる

CT活用を促す思考力を要する問題の得点(全体の20%)を説明変数として多重ロジスティック回帰分析19

~21)を行った。

多重ロジスティック回帰分析においては,投入した説明変数が全て採択されるわけではなく,計算過

程において有意確率が基準値を上回るものは排除される。その上で残った説明変数にさらに厳しい有意

水準をあてはめ,これを満たす変数をもとに目的変数への影響度を調べる。通常の重回帰分析とは異な

り,目的変数は今回のような名義尺度をコード化したものでもよく,説明変数にはルーブリックのスケ

ール得点のような順序尺度が混じっていてもよい。

説明変数の選択にあたっては,「変数増加法:尤度比」を用い,回帰モデル作成後に,形成したモデ

ルが不安定なものでないことを確認するため,もう一度,「変数減少法:尤度比」を用いて同一の結果

が得られることを確かめた。変数選択の基準は,多重ロジスティック回帰分析において標準的な値であ

る有意確率0.2を用いた20)。変数選択の過程において,ルーブリックの要素1,2,5 の得点と小テスト1

の正規化得点は除外され,説明変数としては,ルーブリックの要素3,4 の得点,中間試験正規化得点,

レポート得点,期末試験に含まれる思考力を要する問題の得点が有意な説明変数として残った(全ての

説明変数の有意確率は.05を下回っていた)。今回の多重ロジスティック回帰分析における説明変数の回

帰係数とオッズ比を表2に示す(なお,定数項は目的変数への影響の大小に関係がないため省略した)。

ここで,回帰係数Bとは,対応する説明変数の目的変数への影響の大きさを表わす。また,オッズ比とは

対応する説明変数が1変化すると,その説明変数が正の回帰係数を持つ場合,コード1の向上群になるオ

ッズが何倍になるかを表わし,この倍率が1より大きいとコード1の向上群になる確率は大きくなる。

説明変数が負の回帰係数を持つ場合は,コード0の非向上群に対して上記と同様のことが言える。

クリティカルシンキングの活用による数理科目の学修力向上効果の分析

業開始時に比べ授業終了時においては CT活用度が活性化していると考えられる。

要素 1 要素 2 要素 3 要素 4 要素 5

図 1 授業開始時と最終回におけるルーブリックによる自己評定のヒストグラム

図 2 授業開始時と最終回におけるルーブリックによる自己評定得点の平均値の比較 7)

表 1 ルーブリックによる授業開始時と終了時における自己評定の比較の検定結果

要素 1 要素 2 要素 3 要素 4 要素 5

結果 A B* A B** A

A:授業開始時と終了時を比較して,群の自己評定の中心は移動しなかった(有意水準 0.1)

B:授業開始時と終了時を比較して,群の自己評定の中心は上段に移動した

Wilcoxonの符号付順序検定による *p < .10,**p < .05,

15クリティカルシンキングの活用による数理科目の学修力向上効果の分析

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クリティカルシンキングの活用による数理科目の学修力向上効果の分析

表 2 ロジスティック回帰分析における説明変数の回帰係数とオッズ比

説明変数 ルーブリック

要素 3の得点

ルーブリック

要素 4の得点

中間試験

規格化得点 レポート得点

期末試験の思

考力を要する

問題の得点

回帰係数 B 1.55* 2.21* -8.76** -0.472* 0.370**

オッズ比

Exp(B) 4.73 9.08 0.00 0.62 1.45

*p < .05,**p < .01,(回帰係数に Bまたはβという記号を用いるのは回帰分析の慣習である)

生成した多重ロジスティック回帰モデルによる正分類率(モデルによる目的変数の予測的中率)は

85.7%であり十分良好な値であった。また,モデル係数の検定における有意確率は p < 0.001であり,得

られた回帰式は有意であることが示された.さらに,Hosmer と Lemeshow のモデル適合度検定によれば

有意確率 p = 0.696(この検定は帰無仮説の採択がモデル適合を表わす)となりモデルの適合度が高い

ことが認められた。Hosmer と Lemeshow のモデル適合度検定は帰無仮説の採択がモデルの適合度を表わ

しており特殊な手法である。この種の手法は,サンプル数に敏感で,サンプルがたくさん集まるほど棄

却される確率が高まる。今回の調査対象のサンプル数は 49であり少ないので,Hosmerと Lemeshowのモ

デル適合度検定のみでは信頼性が十分であるとは言えない。そこでモデル係数の検定結果と併せて,モ

デルの適合度を判断した。なお,多重ロジスティック回帰モデルにおける説明変数中に高い相関を持つ

ものが含まれていると,「少数のデータを追加または削除しただけで回帰式が大きく変化する」,「異なる

データに適用すると回帰式が大きく異なったものになる」といった不可解な現象が発生する 20)。このよ

うな状態を,「多重共線性」があるという。今回のモデルにおける各説明変数間の相関係数は全て 0.5以

下であり,また,多重共線性のチェックに有効な VIF(Variance Inflation Factor)は,多重共線性発生

の目安である 10 という値をいずれも大きく下回っていたことから,多重共線性の問題は発生していな

いと確認された。

生成したロジスティック回帰モデルでは,回帰係数の値から,ルーブリックの要素 3,4 の得点,期

末試験に含まれる思考力を要する問題の得点が有意に正の影響を与えており,特に要素 3,4 の得点に

おいては,回帰係数も大きな値を示しており,オッズ比も高い。これにより CTの活用が学修力の向上に

大きな影響を与えていることが分かる。特にルーブリックの要素 4は,調査により,授業での実践によ

って CT活用度が有意に活性化したことが確認された要素である。このことにより授業での CT活用度活

性化の実践は学修力の向上に有効であることが判明した。

なお,中間試験規格化得点,レポート得点が有意に負の影響を与えているが,この原因として,中間

試験では,小テスト2,期末試験と分野が重複していなかったこと,また,ほとんどが定型的な問題で

あり,思考力を要する問題の挿入が少なかったこと,さらに,中間試験で高得点をとるとやや油断が生

じ,期末試験における集中度や準備に影響することが考えられる。実際,中間試験規格化得点と期末試

験における向上度(期末試験規格化得点-小テスト2規格化得点)の間には弱いが負の相関(-0.13)が

みられた。また,レポート得点においては,課題中に CT活性化問題が挿入されていたものの,レポート

としての難易度のバランスを図るため,難易度の高い CT活性化問題3割,定型的問題7割という構成で

あったため,弱いが,負の影響を与えることになったと考えられる。

4.まとめ

2014 年度・後学期 1 年生のクラスにおける微分・積分の授業において,CT 活用度活性化のために,

16 クリティカルシンキングの活用による数理科目の学修力向上効果の分析

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クリティカルシンキングの活用による数理科目の学修力向上効果の分析

「要素 1, 問題解法の選択に関する CTの活用,要素 2,教科書の解説の内容理解に関する CTの活用,要

素 3,公式の有用度の認識に関する CT の活用,要素 4,数学の学習法に関する CT の活用,要素 5,数学の

学習内容の応用に関する CTの活用」の5つの要素を意識して授業における CTのインフュージョン,レ

ポート課題を課すこと,試験問題の一部に CT 発揮を促すような思考力を要する問題の挿入などを実践

した。この効果を,ルーブリックを用いて5つの要素に関し,授業開始時と終了時に調査したところ,

授業終了時においては,CT活用度が活性化していることが確かめられた。

この結果が,学修力向上に効果を与えているかどうかを調査するため,学習範囲が重複している小テ

スト2の得点と期末試験の得点を規格化し,そのデータをもとに期末試験と小テスト2の差(期末試験

規格化得点-小テスト2規格化得点)を算出して,調査対象者を向上群,非向上群に分類した。そして,

2群のコード化を行い,これを目的変数として,多重ロジスティック回帰分析を行ったところ,ルーブ

リックの「要素 3,公式の有用度の認識に関する CT の活用」と「要素 4,数学の学習法に関する CT の活

用」が学修力の向上に大きな影響を与えていることが確かめられた。また,ルーブリックの調査により,

授業での実践によって CT 活用度が有意に活性化したことが確認された要素 4 が学修力向上に大きな影

響を与えていることから,授業での CT 活用度活性化の実践は学修力の向上に有効であることが確かめ

られた。

今回の分析では,期末試験と小テスト2の規格化得点を用いて学修力の向上度を調査したが,この中

には類型的な問題も含まれている.CT活性化による深い学修力の向上度を調べるためには,思考力を有

する問題の向上度に特定した分析など,さらに詳細な分析が必要であると考えている。

また,これまで,授業における CT活用度活性化の実践を行い,データを蓄積している数学,物理,化

学における他科目においても,同様の分析を行い,数理科目全体における CT活用による学修力向上効果

の研究を纏めていきたいと考えている。

謝辞

この研究の経費は,平成26年度科学研究費助成事業(JPSP科研費 基盤研究C:課題番号25350301

「クリティカルシンキングの活用による数理の学修力向上効果の研究」)によるものであり,ここに

謝意を表します。

参考文献

1)市川伸一「確率判断」:市川伸一編「思考(認知心理学4)」pp.61-79, 東京大学出版会, 1996

2)林創「ヒューリスティックとバイアス-迅速な意思決定に生じるゆがみ」:楠見孝・道田泰司編

「批判的思考 21世紀を生きぬくリテラシーの基盤」pp.52-55, 新曜社, 2015

3)Halpern D.F. Teaching critical thinking for transfer across domains

American Psychologist, 53, pp.449-455, 1998

4)道田泰司「批判的思考概念の多様性と根底イメージ」心理学概論, 46, 617-639, 2003

5)楠見孝、子安増生、道田泰司 編「批判的思考を育む」pp.2-3, 有斐閣, 2011

6)谷口進一・西 誠・山岡英孝・中 勉・高 香滋「数理科目におけるクリティカルシンキングの活用

-基礎化学における活用とその分析-」KIT Progress 22, pp.137-148, 2015

7)谷口進一,西誠,山岡英孝,中勉,高香滋「数理のクリティカルシンキング活用による学修力の 分析」平成 27年度 工学・工業教育研究講演会講演論文集, pp.386-387, 2015 8)谷口進一,西誠,山岡英孝「数理系科目におけるクリティカルシンキングの活用と評価」京都大学

高等教育研究開発推進センター刊 第 20回大学教育研究フォーラム発表論文集 pp.88-89, 2014

9)山岡英孝,谷口進一,西誠「クリティカルシンキングを加味した課題作成に関する報告」

日本教育工学会刊 日本教育工学会研究報告集 JEST14-1, pp.311-314, 2014

クリティカルシンキングの活用による数理科目の学修力向上効果の分析

表 2 ロジスティック回帰分析における説明変数の回帰係数とオッズ比

説明変数 ルーブリック

要素 3の得点

ルーブリック

要素 4の得点

中間試験

規格化得点 レポート得点

期末試験の思

考力を要する

問題の得点

回帰係数 B 1.55* 2.21* -8.76** -0.472* 0.370**

オッズ比

Exp(B) 4.73 9.08 0.00 0.62 1.45

*p < .05,**p < .01,(回帰係数に Bまたはβという記号を用いるのは回帰分析の慣習である)

生成した多重ロジスティック回帰モデルによる正分類率(モデルによる目的変数の予測的中率)は

85.7%であり十分良好な値であった。また,モデル係数の検定における有意確率は p < 0.001であり,得

られた回帰式は有意であることが示された.さらに,Hosmer と Lemeshow のモデル適合度検定によれば

有意確率 p = 0.696(この検定は帰無仮説の採択がモデル適合を表わす)となりモデルの適合度が高い

ことが認められた。Hosmer と Lemeshow のモデル適合度検定は帰無仮説の採択がモデルの適合度を表わ

しており特殊な手法である。この種の手法は,サンプル数に敏感で,サンプルがたくさん集まるほど棄

却される確率が高まる。今回の調査対象のサンプル数は 49であり少ないので,Hosmerと Lemeshowのモ

デル適合度検定のみでは信頼性が十分であるとは言えない。そこでモデル係数の検定結果と併せて,モ

デルの適合度を判断した。なお,多重ロジスティック回帰モデルにおける説明変数中に高い相関を持つ

ものが含まれていると,「少数のデータを追加または削除しただけで回帰式が大きく変化する」,「異なる

データに適用すると回帰式が大きく異なったものになる」といった不可解な現象が発生する 20)。このよ

うな状態を,「多重共線性」があるという。今回のモデルにおける各説明変数間の相関係数は全て 0.5以

下であり,また,多重共線性のチェックに有効な VIF(Variance Inflation Factor)は,多重共線性発生

の目安である 10 という値をいずれも大きく下回っていたことから,多重共線性の問題は発生していな

いと確認された。

生成したロジスティック回帰モデルでは,回帰係数の値から,ルーブリックの要素 3,4 の得点,期

末試験に含まれる思考力を要する問題の得点が有意に正の影響を与えており,特に要素 3,4 の得点に

おいては,回帰係数も大きな値を示しており,オッズ比も高い。これにより CTの活用が学修力の向上に

大きな影響を与えていることが分かる。特にルーブリックの要素 4は,調査により,授業での実践によ

って CT活用度が有意に活性化したことが確認された要素である。このことにより授業での CT活用度活

性化の実践は学修力の向上に有効であることが判明した。

なお,中間試験規格化得点,レポート得点が有意に負の影響を与えているが,この原因として,中間

試験では,小テスト2,期末試験と分野が重複していなかったこと,また,ほとんどが定型的な問題で

あり,思考力を要する問題の挿入が少なかったこと,さらに,中間試験で高得点をとるとやや油断が生

じ,期末試験における集中度や準備に影響することが考えられる。実際,中間試験規格化得点と期末試

験における向上度(期末試験規格化得点-小テスト2規格化得点)の間には弱いが負の相関(-0.13)が

みられた。また,レポート得点においては,課題中に CT活性化問題が挿入されていたものの,レポート

としての難易度のバランスを図るため,難易度の高い CT活性化問題3割,定型的問題7割という構成で

あったため,弱いが,負の影響を与えることになったと考えられる。

4.まとめ

2014 年度・後学期 1 年生のクラスにおける微分・積分の授業において,CT 活用度活性化のために,

17クリティカルシンキングの活用による数理科目の学修力向上効果の分析

Page 8: クリティカルシンキングの活用による数理科目の 学修力向上効果 … · クリティカルシンキングの活用による数理科目の学修力向上効果の分析

クリティカルシンキングの活用による数理科目の学修力向上効果の分析

10)西誠,谷口進一,山岡英孝「クリティカルシンキングを活用したアクティブラーニング型授業の

実践」日本教育工学会刊 日本教育工学会研究報告集 JEST14-1, pp.315-319,2014

11)谷口進一,西誠,山岡英孝,中勉,高香滋「数理のクリティカルシンキングに対する意識の分析」 日本工学教育協会刊 平成26年度 工学・工業教育研究講演会講演論文集,pp.90-91, 2014

12)山岡英孝,谷口進一,西誠「クリティカルシンキングを活用させる授業運営-学生に批判的思考

を印象付ける問題例の紹介-」日本工学教育協会刊 平成 26年度 工学・工業教育研究講演会講

演論文集,pp.322-323, 2014

13)高香滋,中勉,中江友久,谷口進一「課外学習支援へのクリティカルシンキング的実践」

日本工学教育協会刊 平成 26年度 工学・工業教育研究講演会講演論文集,pp.340-341, 2014

14)Sá,W.C., West,R.F., & Stanovich,K.E. “The domain specificity and generality of belief

bias :Searching for a generalizable critical thinking skill.” Journal of Educational Psychology, 91, pp.497-510, 1999

15)Toplak,M.E., & Stanovich,K.E. “The domain specificity and generality of disjunctive

reasoning : Searching for a generalizable critical thinking skill.” Journal of

Educational Psychology, 94, pp.197-209, 2002

16)平山るみ,楠見孝「批判的思考態度が結論導出プロセスに及ぼす影響 -証拠評価と結論生成課題

を用いての検討-」教育心理学研究 第 52 号 pp.186-198, 2004

17)田中優子,楠見孝「批判的思考の使用判断に及ぼす目標と文脈の効果」教育心理学研究 第 55 号

pp.514-525, 2007

18)内田治「SPSSによるノンパラメトリック検定」オーム社 2014

19)内田治「SPSSによる回帰分析」オーム社 2013

20)内田治「SPSSによるロジスティック回帰分析」オーム社 2011

21)三輪哲・林雄亮編「SPSSによる応用多変量解析」オーム社 2014

[受理 平成 27 年 8 月 19 日]

谷口進一 教授・博士(学術) 基礎教育部 数理基礎教育課程 数理工教育研究センター 工学基礎教育,光物性物理学

山岡英孝 講師・博士(情報学) 基礎教育部 数理基礎教育課程 数理工教育研究センター 幾何学的力学系理論

西 誠 教授・博士(工学) 基礎教育部 数理基礎教育課程 数理基礎教育課程主任 数理工教育研究センター 工学教育,機械加工 中 勉 准教授 基礎教育部 数理基礎教育課程 数理工教育研究センター 電気物性,電気材料

18 クリティカルシンキングの活用による数理科目の学修力向上効果の分析

Page 9: クリティカルシンキングの活用による数理科目の 学修力向上効果 … · クリティカルシンキングの活用による数理科目の学修力向上効果の分析

タイトル

高 香滋 准教授 基礎教育部 数理基礎教育課程 数理工教育研究センター 音声工学,自己組織化

クリティカルシンキングの活用による数理科目の学修力向上効果の分析

10)西誠,谷口進一,山岡英孝「クリティカルシンキングを活用したアクティブラーニング型授業の

実践」日本教育工学会刊 日本教育工学会研究報告集 JEST14-1, pp.315-319,2014

11)谷口進一,西誠,山岡英孝,中勉,高香滋「数理のクリティカルシンキングに対する意識の分析」 日本工学教育協会刊 平成26年度 工学・工業教育研究講演会講演論文集,pp.90-91, 2014

12)山岡英孝,谷口進一,西誠「クリティカルシンキングを活用させる授業運営-学生に批判的思考

を印象付ける問題例の紹介-」日本工学教育協会刊 平成 26年度 工学・工業教育研究講演会講

演論文集,pp.322-323, 2014

13)高香滋,中勉,中江友久,谷口進一「課外学習支援へのクリティカルシンキング的実践」

日本工学教育協会刊 平成 26年度 工学・工業教育研究講演会講演論文集,pp.340-341, 2014

14)Sá,W.C., West,R.F., & Stanovich,K.E. “The domain specificity and generality of belief

bias :Searching for a generalizable critical thinking skill.” Journal of Educational Psychology, 91, pp.497-510, 1999

15)Toplak,M.E., & Stanovich,K.E. “The domain specificity and generality of disjunctive

reasoning : Searching for a generalizable critical thinking skill.” Journal of

Educational Psychology, 94, pp.197-209, 2002

16)平山るみ,楠見孝「批判的思考態度が結論導出プロセスに及ぼす影響 -証拠評価と結論生成課題

を用いての検討-」教育心理学研究 第 52 号 pp.186-198, 2004

17)田中優子,楠見孝「批判的思考の使用判断に及ぼす目標と文脈の効果」教育心理学研究 第 55 号

pp.514-525, 2007

18)内田治「SPSSによるノンパラメトリック検定」オーム社 2014

19)内田治「SPSSによる回帰分析」オーム社 2013

20)内田治「SPSSによるロジスティック回帰分析」オーム社 2011

21)三輪哲・林雄亮編「SPSSによる応用多変量解析」オーム社 2014

[受理 平成 27 年 8 月 19 日]

谷口進一 教授・博士(学術) 基礎教育部 数理基礎教育課程 数理工教育研究センター 工学基礎教育,光物性物理学

山岡英孝 講師・博士(情報学) 基礎教育部 数理基礎教育課程 数理工教育研究センター 幾何学的力学系理論

西 誠 教授・博士(工学) 基礎教育部 数理基礎教育課程 数理基礎教育課程主任 数理工教育研究センター 工学教育,機械加工 中 勉 准教授 基礎教育部 数理基礎教育課程 数理工教育研究センター 電気物性,電気材料

19クリティカルシンキングの活用による数理科目の学修力向上効果の分析