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2019年8月24日
住田 孝之
第6回 宗像国際環境100人会議
第三分科会 Society5.0、新しい未来社会資料
新しい時代をどう生きる?~SDGsを意識した経営のデザイン~
21世紀 = D(需要)<S(供給)の時代
20世紀 = D(需要)>S(供給) の時代
プロパテント戦略技術 ➡ 特許 ➡ 新製品 ➡ 市場に普及 ➡ 利益
イノベーションの実現
➡ 市場の獲得 維持➡ 利益➡技術に再投資S リードのリニアモデル= 核となる IPを押さえて
モノ、供給サイド、技術、パイプライン中心
D (需要)リードの市場 =新技術・新製品でも選ばれないと売れない+複雑系
デザイン思考&プロイノベーション戦略
・ D (需要)を理解したビジネスのデザイン・ 必要な資産の選択組合せ
がイノベーションの鍵
イノベーション
利益
行動等のデータ
デザイン思考
新サービス新商品新ビジネスモデル
Suppliers
技術
人材
知財
ノウハウ
信頼
組織力
Demandウォンツ
嗜好マイブーム ニーズ
選択熱中トレンド
データ
サービス、需要サイド、デザイン、プラットフォーム中心
OpenInnovation
場
変化の本質(概括図)
1
DemocraticInnovation
2
〇ここ20~30年で起きた経済・社会の大きな変化は、1)冷戦構造の崩壊を契機として、2)世界中の国が資本主義の担い手となり、3)軍事的競争なしに、経済的競争に世界の資源が向けられ、その結果、4)供給能力が需要能力を大幅に上回る状況が生じた
ことにある。
〇そうした状況下では、1)供給サイドが主導権を握ることができず、2)需要サイドに共感されて選ばれないと、新しくても売れない。したがって、価値創造もできず、イノベーションも起こせない。
〇言い換えれば、需要者、生活者側の多様なニーズやウォンツが経済もイノベーションもリードする時代となっている。
需要を供給が上回る需要優位の時代
•AI・デジタルの進展→「リアル」の価値向上
•生き方・働き方の多様性・選択肢の拡大
•会社など組織への所属の柔軟化
•幸せの多様化、新しい価値感(シェア、貢献)
4.日本の特徴
・バランス感覚(例:三方よし)・先端技術の社会受容・新たなものを受け入れての編集能力
・均質性(抜本的な見直しが必要)…など
2025 2030現在
1.将来につながる現在の環境変化や兆候 2.予測される将来の社会像
3.将来における「価値」とそれを生む「仕組み」
5.将来の「仕組み」に向けた検討課題
・供給サイド経済から需要サイド経済へ
・技術進展(IoT、ビッグデータ、人工知能など)
・情報発信やモノ・コンテンツづくりの主体の広がり
・シェアリングエコノミー、「コト消費」や「共感」(いいね!)
・少子高齢化、人生100年時代
ターゲット未来
個の多様性
リアル
イノベーション
社会の多様性「価値」
○多様な個性を生みだす仕組み○多様な個人が活躍する環境整備○知識のプラットフォーム化○多様な価値を内包する社会システム
「仕組み」
…など
どんな社会にしたいのか(「知的財産戦略ビジョン」)
目指すべき社会の姿
=「価値デザイン社会」
…など
出典;知的財産戦略ビジョンP2図1を一部修正
3
(好きなところを見つけて伸ばす)
価値
融合
(実現)
5
1
324
脱平均
アイデア共感
(異才を認めて伸ばす) デザイン(構想)
価値デザイン社会のイメージ
4
5
・需要者の求めるものは、個別的であり、複雑でもある。
・それらの根源にある一定の共通的なウォンツに応える、すなわち一定程度の共感を得ることが、価値を生み、イノベーションをもたらす。(例えば「暮らし」視点を取り入れたGAFA)
・事業者や個人にとっては、新しいアイディアを次々と構想(デザイン)して、それに一定程度の共感を得ることが不可欠。
・その際、需要者の中には、短期的な満足だけでなく、持続性、社会性を重視する者が特に近年増加してきている点も注目すべき変化。→特にSDGsを重視する世界の流れ
・供給者主導で、短期の利益を追い求めた金融資本主義の前提は、大きく変化。持続性のある活動や投資をしないと需要者から敬遠され、短期的な利益にも影響が及ぶ状況が出現。→資本主義自体もポスト金融資本主義へ
価値デザインとSDGsとポスト金融資本主義
○もともと日本企業は、短期の拝金主義より継続、和。
・「社是」や「社訓」を大事にして、長い間ビジネスを継続する。
・社会、相手も考える「三方よし」+自然との共生+和の精神
○何故それが可能なのか、可能だったのか?
・蓄積された強み(非財務中心)、経営者の大局観、Discipline
・企業のそうした活動を評価し、受け容れ、共存する社会の存在
○20世紀末以降、それが負け始め、評価されなかった理由は?
認識できていない。→気づきが必要→知的資産経営
発信する方法がない。→世界的枠組みが必要→統合報告
受け手も(欧米流に)流されている。→投資家も教育を
〇SDGsを重視したポスト金融資本主義は大チャンス
SDGsは、「三方よし」、和の精神、自然との共生そのもの
リスク対応ではなく、社是や社訓から素直にビジネスを構想(デザイン)し、発信し、共感を得て、価値に
新しい未来社会における日本のAdvantage
6
「経営デザインシート」で価値をデザイン
自社や事業の(A) 存在意義を意識し、(B) 「これまで」を把握し、(C) 長期的な視点で「これから」の
在りたい姿を構想する。(D) それに向けた戦略を策定する。ためのツール。
価値創造メカニズム
企業理念/
事業コンセプト
これまでの
(B)
(A)
ここが重要!
価値創造メカニズム
これからの
(C)
これまでからこれか
らへの移行戦略(D)
経営デザインシート
7
2018年5月、知的財産戦略本部 検証・評価・企画委員会 知財のビジネス価値評価検討タスクフォース報告書https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/kensho_hyoka_kikaku/torimatome/houkokusho.pdf 参照
SDGsと密接に
関係
将来構想のキャッチフレーズ
20××年に向けていまからどうするか
資源 ビジネスモデル群
提供価値 資源 ビジネスモデル群
提供価値
これまでどうだった?
20××年にはこうしたい!
外部環境課題
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経営デザインシートの簡易版
経営デザインシートの詳細情報
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/keiei_design/index.html
● 首相官邸HPトップ > 会議等一覧 > 知的財産戦略本部 > 経営をデザインする
― 経営をデザインする ―
「経営デザインシート」について
• 経営デザインシートの様式• 作成テキスト【入門編】https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/keiei_design/designsheet_text_01.pdf
【応用編】https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/keiei_design/designsheet_text_02.pdf
• 経営デザインシートの活用例
下記のウェブサイトへ
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経営デザインシートが活用される場面
企業B
企業A
企業支援者 金融機関
投資家
後継者社長
社員
社内の意識合わせ
作成・対話
事業承継
作成支援
経営支援融資
対話IR・投資レポート
作成支援対話
対話
オープン・イノベーション
経営助言
※大学・地方自治体でも作成可能
将 来 構 想
作成支援
対話
取 締 役 会
作成・対話
実質的な戦略議論
作成・対話
入社希望者(新卒・転職)
相互の理解促進
対話
対話・連携
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https://a.msip.securewg.jp/docview/viewer/docN57FF611DDF9879d794fafe9a13b247441e46b85a80f65dc109613a65d9a4f5407349189ca112
アナリストアナリストレポートでも活用事例あり
ガバナンスの実質化
➢ 第一期 知的資産を軸にした日本モデルの作成と発信(2004~06)
➢ 第二期 グローバル組織の立上げ(2007~09)
「知的資産経営報告→統合報告→経営デザインシート」の流れ
ー2005年知的資産経営報告のガイドラインを経済産業省が公表
ー国内大企業、中小企業での報告の作成を慫慂
ーOECDにおいて、知的資産経営の概念の発信
「知的資産と価値創造のプロジェクト」(2004~2008年)
→中小企業では一定程度広がるが、大企業は、世界での開示の枠組みになっていない
として消極的
ーOECDでの共鳴者などとともに、日米欧の機関によるグローバルな組織として、
WICI(世界知的資本/資産イニシアティブ)を発足(2007年)
ー経済産業省のガイドラインをベースにWICIのbusiness reporting frameworkを作成
(2008年)
→国際的な共同組織ならではの難しさから、路線対立があり、米国のメンバーの一部が離反(2009年)
→そのグループが英国での新たな動きに知的資産経営報告の思想をインプット
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但陽信用金庫(兵庫)
【取り組み】・企業向け知的資産経営啓発セミナーの実施・事業価値を高める経営レポートの作成支援・知的資産経営報告書の作成支援・知的資産経営報告書作成企業による発表会
尼崎信用金庫(兵庫)
【取り組み】・知的資産経営報告書の作成支援
滋賀県中小企業団体中央会(滋賀)
【取り組み】・企業向け知的資産経営啓発セミナーの実施・事業価値を高める経営レポート作成支援・知的資産経営報告書の作成支援
飯能信用金庫(埼玉)
【取り組み】・企業向け知的資産経営セミナーの実施・事業価値を高める経営レポートの作成支援
水戸信用金庫(茨城)
【取り組み】・知的資産経営報告書の作成支援(中小企業支援ネットワーク事業を活用)
金融機関による支援業務を実施するツールとしての「知的資産経営」活用例。
※西武信用金庫や大阪市信用金庫;ビジネスマッチングのツールとして、顧客企業の非財務情報の組織的把握を実施
※広島銀行;顧客向けコンサル業務として、外部環境を含む非財務情報の把握を実施。※岡山のトマト銀行;知的資産経営報告を融資に活用
呉信用金庫(広島)
【取り組み】・企業向け知的資産経営セミナーの実施・事業価値を高める経営レポートの作成支援
京都府
【取り組み】・「知恵の経営」実践モデル企業認証制度・「知恵の経営」推進融資
にいがた産業創造機構
【取り組み】・企業向け知的資産経営セミナーの実施・事業価値を高める経営レポートの作成支援
【取り組み】・企業向け知的資産経営啓発セミナーの実施・知的資産経営報告書の作成支援・支店長向けセミナーや行員向けセミナーの開催
但馬銀行(兵庫)西兵庫信用金庫(兵庫)
【取り組み】・企業向け知的資産経営啓発セミナーの実施・事業価値を高める経営レポート作成支援・知的資産経営報告書の作成支援
日新信用金庫(兵庫)
【取り組み】・融資商品「Premium」と連携した知的資産経営の支援の実施
地域に広がる知的資産経営支援の輪
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➢ 第三期 欧州を舞台とした国際的枠組み作り(2010-13)
➢ 第四期 日本への統合報告の浸透(2014-17)
➢ 第五期 経営デザインシートを活用した統合報告の実質化へ(2018-)
ー欧州委員会でのESG情報開示のワークショップ(2009~)へのインプット
ー上記WSを通じた欧州主要プレーヤーとの連携
ー英国での動きがIIRC(国際統合報告協議会)として組織化(2010年)
ーIIRCとの密接な連携で知的資産経営の考え方をインプット
→知的資産経営報告と内容的に極めて似たIIRCの統合報告の枠組みが公表
(2013年)
ーWICIシンポジウムの開催へのIIRCの共催(2013年以降)
ーWICIにおいて優秀な統合報告の表彰制度を確立
ー特に知的資本に関するレポーティングのガイドとして、WIRF(WICI
Intangibles Reporting Framework)を作成、公表(2016年)
→2018年は400社程度の企業が統合報告を発出
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統合報告枠組みにおけるビジネスモデルと価値創造の概念図
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– Primary Reportとしての位置づけ
– 当初は大企業と投資家に焦点
– レポートの対象の中心は、 資本、ビジネスモデルと価値創造のやり方
– 財務資本だけでなく、非財務を含む6つの資本(財務資本、製造資本、社会・関係性資本、知的資本、人的資本、自然資本)に着目
– 報告原則は7点=戦略的焦点と未来指向、情報の結合性、ステークホールダとの関係性、重要性、簡潔性、信頼性と完全性、一貫性と比較可能性
– 開示項目は8点=組織概要と外部環境、ガバナンス、リスクと機会、戦略と資源配分、ビジネスモデル、パフォーマンス、将来見通し、報告の準備の基盤
– 必須項目は、上記の報告原則と開示項目に則した基本的な考え方(=知的資産経営報告のあらすじと多くの点で一致)
したがって、企業ごとの個性に応じて異なる重要な内容が示される
– 特定の共通のKPIを開示することを求めず、重要なものは示すとの考え
– 比較可能性を高める観点も含め、ITや技術の活用を慫慂
統合報告の枠組み(2013年)の概要
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・「統合報告」は資本家の目を起点に、より本質に近い無形資本に着目したグローバルな枠組み=SDGsとも親和的
・国内400社超が「統合報告書」を作成。ありがちな課題は、
・大部であり、何が本当に大事なことかわかりにくい (マテリアリティの問題)・要素間、事業間つながり、財務成果と非財務要素のつながりなどがわかりにくい(コネクティビティの問題)
・外部からは、相変わらず全体像がわからないと言われる
(経営デザインシートを活用すると)・全体(も各事業も)1枚に収めるには、本当に大事なことしか書けない・矢印を通じて、重要な要素のつながり、相互関係が明確になる・全体像を示すシートを統合報告書の最初や真ん中に入れれば、全体像、過去、将来が明確になる・実現しようとしている価値が明確になる(えせESGもわかる)
統合報告を実質化する経営デザインシートの活用
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