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インドネシア ジネス 醍 ジャカルタの高級ショッピングモール。 世界中の有名ブランドショップも多数そろっている 年々活況を呈するジャカルタモーターショー自動車、オートバイの世界有数の大市場としてますます注目されている ジャカルタの交通渋滞とバス専用レーン。電車や地下鉄が未整備の ジャカルタでは、バスが唯一の近距離公共輸送手段になっている 2014年 平成26年 1月15日 水曜日 )  【全面広告】

インドネシアビジネスの醍醐味 どインドネシアが急浮上してきた …€¦ · しかも数十万人、いや100万人に人口は、華僑に絞っても軽くわれるジャカルタ圏での商圏である。2400万人とも言をターゲットにしているからのたった4%にすぎない華僑

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インドネシアビジネスの醍醐味 インドネシアは有望投資先として注目が集まっており、世界各国からの

投資額も近年急速に増加している。これに伴い首都ジャカルタ近郊の工業

団地も急ピッチで開発が進んでいるものの、日系企業の集中する日系工業

団地では、既に満員状態となっている。新たに進出する企業は、工業団地

の土地の確保すらままならないほどのブームになっている。なぜ、これほ

どインドネシアが急浮上してきたのか。その魅力とは何なのか。

スラマット社長茂木 正朗

ジャカルタの高級ショッピングモール。世界中の有名ブランドショップも多数そろっている

BOP市場が有望

年々活況を呈するジャカルタモーターショー( 年9月)。自動車、オートバイの世界有数の大市場としてますます注目されている

ビジネスのヒント

ジャカルタの交通渋滞とバス専用レーン。電車や地下鉄が未整備のジャカルタでは、バスが唯一の近距離公共輸送手段になっている

シェア伸ばす韓国

世界有数の親日国家だからといって甘えは禁物

ジャカルタで建築ラッシュの高級高層マンション。

このようなマンションに住む富裕層が急増している

 インドネシアは世界有数の

親日国家であることが最近広

く知られるようになった。ま

たメードインジャパン、日本

人というだけでブランドにな

るとも言われている。では、

なぜインドネシア人は親日的

なのか。昔から広く知られて

いるのは、第二次世界大戦終

了後、当時インドネシアを支

配していたオランダ軍に対

し、残留日本兵がインドネシ

ア独立のためにインドネシア

人と一緒に戦い、インドネシ

ア独立に貢献したという歴史

的事実がある。

 しかし今の若い世代は、こ

の歴史の認識よりも、もっと

身近に日本を感じている。そ

して日本に信頼と親しみを持

ってくれている。それは前述

のように、多くの日本企業が

成功したことに表れている。

またインテリ層の間では次の

ような事実もよく知られてい

る。

 ◎日本がインドネシアに政

府開発援助

ODA

先とし

て最大の金額を毎年継続して

いること

 ◎インドネシアにとって日

本が最大の輸出国。すなわち

最大の外貨獲得先であること

 ◎インドネシアへの直接投

資累積金額は諸外国の中で日

本がトップであること

 ◎同じアジアの島国であり

ながら国内総生産

GDP

世界第3位の経済大国として

尊敬している

 ◎高い技術力でインドネシ

アの工業製品を牽引している

 以上がインドネシア人の親

日的な理由ではないかと思

う。

 インドネシアは人口2億4

000万人のうち、実際に日

本人と接したことのあるイン

ドネシア人は、1割にも満た

ないだろう。しかしインドネ

シアの暮らしの中に日本製

品、日本文化に触れる機会が

前述のように数多くある。こ

の中で日本に対する信頼、好

感が自然に芽生えてきたので

はないだろうか。

 しかしインドネシア人が親

日だということに胡座をかい

あぐら

てはいけない。インドネシア

人は、はっきりとノーと言わ

ないほか、相手に合わせるの

が上手である。我々がインド

ネシアにいても日本人に対す

る悪口は聞こえてこない。事

実、日本製品や日本のアニ

メ、オタク文化はインドネシ

アで広く受け入れられてい

る。

 一方、韓国製の大型液晶テ

レビ、冷蔵庫などの韓国勢力

が急速にシェアを伸ばしてい

ることや、安いからという理

由で中国製品を購入する層も

まだまだ多数を占めている。

さらにインドネシアのテレ

ビ、映画では日本のドラマ、

映画より圧倒的に韓国の映画

やドラマが放映、上映されて

いる。音楽もJポップ

日本

のポップス音楽

よりもKポ

ップ

韓国のポップス

が全

盛となっている。インドネシ

ア人が親日なのは間違いのな

い事実であるが、無条件に

「日本製品は受け入れてもら

える」「日本人ならこれくら

い大目に見てくれるはずだ」

などの甘えは禁物である。く

れぐれもこれを肝に銘じ、謙

虚に振る舞うことが求められ

る。

 インドネシアについて一般

的に述べられていることは、

豊富な天然資源森林資源、

鉱物資源、水産資源、全ての分

野で豊富な資源を保有

界第4位、2億4000万人

の豊富な人口

安定した政治、

経済、治安

豊かな国内消費

経済とその購買力を背景とし

た魅力的なインドネシア市場

世界有数の親日国家かつ資

本主義国家で中国、ベトナム、

ミャンマーとは一線を画して

いる―などが挙げられる。

 日本企業のインドネシア進

出は、外国投資法が施行され

た1967年以降に始まり、

年代は日本企業の第1次進

出ブームとなった。この時は

自動車、オートバイ、繊維、

家電、化学、金属、銀行、商

社など業界の主要大手企業は

ほとんど進出を果たした。現

在もインドネシアに進出する

企業は、これらに関連する企

業が大多数を占めている。し

かし製造業以外のサービス産

業の進出も2011年あたり

から目立ち始めている。

 インドネシアは、まだまだ

成功の可能性を秘めた国であ

る。インドネシアといえば2

億4000万人という大きな

人口からBOP

Botto

m of Pyramid

ビジネスが有望ととらえられ

ている。事実、多くの日系企

業がBOP市場で成功を納め

ている。次に思いつくままに

BOPビジネスの成功事例を

述べる。

◎日本車のシェアは

◎オートバイに至っては

 

%が日本製 

◎インスタントラーメン

日清食品

◎健康飲料と言えば

 「ヤクルト」

◎「ポカリスエット」は

  国民的飲料

◎「味の素」が大好き。

  食卓には欠かせない

◎ハップ剤と言えば

 「サロンパス」

◎蚊取り線香と言えば

「ベープ」

フマキラー

◎男性化粧品と言えば

 「マンダム」

◎ヤマハ音楽教室、

 公文式塾は大人気

◎紙おむつ、生理用品

ユニチャーム

◎シャンプー、リンス

花王

 もう一つ強調しておきたい

点は、インドネシアのマーケ

ットの多様性である。確かに

今までは食料、飲料、基礎薬

品、洗剤、紙おむつ、生理用

品、蚊取り線香などのBOP

市場を狙ったビジネスが主流

を占めており、インドネシア

で大成功を納めた日系企業も

多数ある。しかし今や中間層

の拡大だけでなく、超富裕層

の存在も大きく取り上げられ

るようになった。米国の雑誌

「フォーブス」が発表したイ

ンドネシアの富豪ランキング

によると、個人あるいは一族

約1000億円

の資産を持つ同国の超富裕層

人に達した。人数では日

本を超え、総人口に占める比

率では発展が著しい中国、イ

ンドを超えた。これからはイ

ンドネシアを従来のようにB

OP市場として捉えるのでは

なく、逆にTOP

Top 

of Pyramid

ビジ

ネスの可能性も模索されては

いかがだろうか。例えば高級

車を代表するフェラーリと、

オートバイを代表するハーレ

ーダビッドソンが世界で最も

売れている国はインドネシア

である。

 クラパガディンという日本

人があまり住んでいないジャ

カルタ北部の地域では、日本

のラーメン進出ブームに沸い

ている。それも豚骨ラーメン

が大人気だそうだ。日本人が

ほとんど住んでいないこの地

区で、なぜ日本のラーメンな

のだろうか。豚が禁忌とされ

るイスラム教が8割以上占め

るこの国でなぜ豚骨ラーメン

なのだろうか。

 それはインドネシア総人口

のたった4%にすぎない華僑

をターゲットにしているから

である。2400万人とも言

われるジャカルタ圏での商圏

人口は、華僑に絞っても軽く

数十万人、いや100万人に

達するのではないか。しかも

全員が富裕層に属しているた

め、客単価も日本並みに設定

できる。このような例からも

わかるように、インドネシア

は今後TOP市場としても大

きな可能性を秘めていると思

う。

 物販だけではなく目に見え

ない商品、すなわちIT関連

ビジネスも急速に広がってい

る。インドネシア人は富裕

層、貧困層を問わず大のおし

ゃべり好き、人が買っている

物を買う、流行に乗りやすい

傾向がある。この国でSNS

ソーシャル・ネットワーク

・サービス

が爆発的に普及

したのも、この国民性が大き

く関係していると言ってもよ

いだろう。フランスの調査会

社、セミオキャストの調査結

果によると、ツイート

つぶ

やき

数の世界1位はジャカ

ルタ、2位が東京、3位がロ

ンドンだった。フェイスブッ

クの利用人口も米国、インド

に次いで世界3位である。イ

ンドネシアのパソコン普及率

は約7%だが、携帯電話の普

及率は

%を超えている。イ

ンドネシアは、まさに携帯天

国である。フェイスブックや

ウェブサイトには携帯電話で

アクセスしていることがわか

る。すなわち携帯のスマート

フォン化も急速に進んでい

る。そうすると携帯アプリビ

ジネスも狙い目、ネット通販

も有望と短絡的に考えてしま

いそうだ。事実、国内外の多

くの企業がこの分野に参入し

てきた。しかしインドネシア

では知的財産権の認識が浅

く、まだまだコピー天国の一

面もある。日本で最初の特許

法が制定されたのは1871

年。インドネシアでは198

1年に初めて制定された。携

帯アプリ開発は有望な市場で

あるが、インドネシアと日本

ではソフト面の法整備におい

ても110年もの差があるこ

とも知っておきたい。

 ではeコマースと呼ばれる

通販ビジネスはどうだろう

か。カード決済が普及したイ

ンドネシアでは、支払い決済

についてクリアできつつあ

る。だが、インドネシア国内

では日本の宅配便のような完

璧な配送システムが整備され

ておらず、まだまだ物流面の

課題が残されている。むしろ

DHLやフェデックスなどの

国際宅配便の方が、はるかに

進んだ配送網を構築している

のが現状である。日系企業も

既に何社かeコマース分野に

進出しているが、都心部限定

のため、自社で配送ネットワ

ークを構築しているところも

ある。

 このようにインドネシアで

はまだまだ解きほぐすべき問

題も山積している。このた

め、それらを一つひとつクリ

アしながらビジネスを進めて

いく醍醐味がある。また世界

有数の高い親日性と日本人と

の相性の良さは心強い味方に

なってくれるはずである。

 最後にインドネシアがイス

ラム国家であることに抵抗を

感じる方も多いかと思う。だ

が、それは心配には及ばな

い。仏教、カトリック、ヒン

ズーなどの多宗教が混在する

温和な民族国家だからだ。こ

の国で圧倒的多数を占めるイ

スラム教徒の従業員について

は、イスラム正月

レバラ

前の1カ月間は断食期間

ラマダン

で生産性が落ち

込むこと、勤務時間中のお祈

りは業務命令より優先するこ

と、この2点を知っていれば

大丈夫である。

2014年 平成26年 1月15日 水曜日       ( )  【全面広告】