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一 橋論叢 第六 十 二 巻 第五 号 ( 2 4 )
『
マ
クベ
ス』
の
テ
ーマ
と
言葉
本稿に
お
い
て、
私は
『
マ
ク
ベ
ス』
の
テ
ー
マ
と
言
葉と
の
関連に
つ
い
て
若干の
考察を
試み
た
い
と
思
う。
、
ツ
ェ
イ
ク
ス
ビ
ア
の
戯曲に
お
い
て
は、
テ
ー
マ
と
言葉と
は
別
個に
存在し
て
い
る
も
の
で
は
ない
。
テ
ー
マ
が
言葉を
生
み、
言葉が
テ
ー
マ
を
荷なっ
て
い
る。
こ
の
こ
と
は、
文
学作品
一
般に
つ
い
て
言い
うる
こ
とに
は
ちが
い
ない
が、
シ
ェ
イ
ク
ス
ピ
ア
の
場合
に
は、
と
くに
そ
の
相
互
関係が
濃密で
あ
る。
シ
ェ
イ
ク
ス
ピ
ア
の
戯曲は
、
席巧に
図
柄を
織り
出し
た
絨鍛の
よ
うに
、
言
葉が
複雅な
綾を
な
して
一
編の
芸術品と
し
て
完成
して
い
る。
富
原
芳
彰
本稿は
、
と
くに
『
マ
クベ
ス』
に
つ
い
て、
そ
れ
を
織り
な
す
言語の
綾模様を
記述す
る
こ
と
をめ
ざし
て
い
る。
こ
の
仕事
ほ
ほ
と
ん
ど
際限な
く
糖蜜に
し
て
行くこ
と
が
で
き
る。
本稿
は
まだ
粗雑な
略図で
し
か
ない
。
私は
、
『
マ
ク
ベ
ス』
に
お
ける
テ
ー
マ
と
言
葉と
の
関
連とい
う本
題に
は
い
る
前に
、
『
ハ
ム
レ
ッ
ト』
の
冒頭の
部
分
を
同
じ
関心に
よっ
て
取り
上
げ、
そ
れ
に
対
する
私の
考察を
記
す
こ
とに
よ
っ
て、
本稿に
お
け
る
私の
関心
の
あ
り
方を
例示
し
て
お
くこ
とが
便利で
あ
る
と
考え
る。
『
ハ
ム
レ
ッ
ト』
の
冒
頭の
部分
ほ
ど、
少い
分
量の
中に
私が
問題と
する
点
を
集
約
的に
含ん
で
い
る
箇所は
他に
ない
か
ら・で
あ
る。
そ
れ
を
もっ
β.2 之
( 2 5 ) 『マ ク ベ ス 』 の テ ー マ と言葉
て、
私ほ
本
論へ
の
緒言に
か
え
た
い
と
思
うの
で
あ
る。
〓
『
ハ
ム
レ
ッ
ト』
と
い
う
劇は
、
:
wFO
、
仏
t
Feり
e
て
とい
う
ヽ
ヽ
ヽ
疑問文で
ほ
じ
まっ
て
い
る。
城の
どこ
か
高い
とこ
ろで
、
一
人の
兵士フ
ラ
ン
シ
ス
コ
ー
が
見張り
を
し
て
い
る。
真冬の
し
か
も
真夜中で
、
寒気は
凛
列で
あ
る。
フ
ラ
ン
シ
ス
コ
ー
と
見張りの
役を
交代する
た
め
に、
バ
ー
ナ
ー
ド
ー
が
やっ
て
く
る。
彼は
見張りの
易所へ
近
づ
い
て
行
く
途
中で
、
突然
、
は
た
と
足を
と
め、
矛を
構え
、
閻の
中へ
む
かっ
て
叫ぶ
ー:
w
ど、
払
t
F2
記
て
誰何は
、
普通
、
怪しい
人
影を
み
と
め
た
歩哨が
する
こ
と
で
あ
る。
こ
こ
で
は、
誰何すべ
き
歩哨が
誰何さ
れ
た
の
で
あ
っ
て、
そ
れ
だ
けで
も
事態は
すで
に
異常で
あ
る。
誰何さ
れ
た
歩哨の
フ
ラ
ン
シ
ス
コ
ー
ほ、
ま
ず、
こ
の
転倒
さ
れ
た
順序を
正
す
ー。
宅P
¥
賀仏
名d→
2e
㌧
∴。
ロe
。
に
強
勢が
あ
る。
)
そ
して
、
改め
て
償の
方か
ら、
声の
し
た
方へ
む
かっ
て
誰何
する
1:
st
p
ロト
p
ロト
仁n{
○-
一
号宅邑
巾
㌧-
。
亡
已○-
P
笥弓S
e-
什
。
とい
う
言葉は
、
「
隠蔽物
を
取り
去
っ
て
な
ん
じ
自身の
正
体
を
あ
ら
わせ+
■と
い
う字義を
撃っ
て
い
る。
『
ハ
ム
レ
フ
ト』
と
い
う
劇が
、
そ
の
冒
頭に
お
い
て、
。
w
ぎすt
Fe
岩
て
ー。
pn
訂-
打
づロ
弓邑{
。
と
い
う
言
葉を
び
び
か
せ
る
とい
うこ
と
は、
こ
の
劇全
体との
関係に
お
い
て、
き
わ
め
て
重
要な
意味を
持っ
て
い
る。
なぜ
な
らば
、
そ
れ
ら
の
言葉は
、
い
わ
ば、
ハ
ム
レ
ッ
ト
が
彼の
周
囲の
すべ
て
の
人
人に
対
して
、
究極的に
は
「
人
間+
そ
の
もの
に
対
して
、
た
え
ず発しっ
づ
け
る
言
葉で
あっ
た
か
らで
あ
る。
言い
か
え
れ
ば、
シ
ェ
イ
ク
ス
ピ
ア
は
こ
の
劇の
冒頭の
二
行に
お
い
て、
こ
の
戯曲の
テ
ー
マ
と
な
る
フ
レ
ー
ズ
を
明
際に
打ち
出し
た
と
言
うこ
と
が
で
き
る。
フ
ラ
ン
シ
ス
コ
ー
か
ら
誰
何
を
受け
た
バ
ー
ナ
ー
ド
ー
は、
。
どロg
-
才e
t
Fe
En的
て、
と
答え
て、
自分
が
こ
の
王
国の
臣
民で
あ
り、
怪し
い
着で
ない
こ
と
を
示
す。
バ
ー
ナ
ー
ド
ー
は、
た
だ
そ
れ
だ
けの
つ
も
り
で
こ
聖ゴ
ロ
菓を
発し
た
に
ちが
い
ない
。
し
か
し、
こ
の
言葉も
、
こ
の
あ
と
に
展開す
る
こ
の
劇の
全
体
と
の
関連に
お
い
て
受け
取
られ
る
と
き、
そ
れ
は
皮肉な
意味
を
帯び
る
も
の
と
な
る。
国
王ほ
謀殺さ
れ
て
い
ま
は
亡
く、
国
王
を
謀殺し
た
犯
人が
王
位を
簑
奪して
「
国王+
と
なっ
て
い
3
る。
バ
ー
ナー
ド
ー
ほ
∵ビO
ng
-
才e
旨e
村
どg
て、
と
叫ぶ
こ
彪
ト
一 橋論叢 第六 十 二 巻 第五 号 ( 2 6 )
と
に
よっ
て、
偽王タ
ロ
ー
ディ
ア
ス
の
万
歳を
叫ん
だ
か、
あ
る
い
は、
亡
き
国王が
幽
霊と
なっ
て
ふ
た
た
び
こ
の
国に
戻っ
て
くる
こ
と
と
妙に
符合する
よ
うなこ
と
を
言っ
たこ
とに
な
る。
そ
も
そ
も、
事件の
核心
が
国王
斌穀とい
うこ
とに
ある
場合
、
。
ど点
-
i
諾t
ど吋
訂的
∵、
と
い
う
言葉そ
の
も
の
が、
も
ほ
や
単純な
意味を
もっ
て
ひ
び
く
わ
けに
は
い
か
ない
の
で
あ
る。
もと
よ
り、
バ
ー
ナ
ー
ド
ー
は、
自分が
味方の
着で
あ
る
こ
と
をフ
ラ
ン
シ
ス
コ
一
に
伝え
る
た
めに
の
み
こ
の
言葉を
発した
の
で
あっ
て、
そ
の
言葉に
と
も
な
う皮肉な
意味な
ど
は
彼の
関知し
ない
とこ
ろで
ある
。
また
、
わ
れ
わ
れ
がバ
ー
ナ
ー
ド
ー
の
こ
の
言
葉に
皮肉な
意味を
感ずる
の
は、
『
ハ
ム
レ
ッ
ト』
とい
う
戯曲の
全
体
をも
う一
度最初か
ら
見なお
し
た
と
き
の
こ
と
で
あ
る。
しか
し、
作者の
シ
ェ
イ
ク
ス
ビ
ア
は、
バ
ー
ナ
ー
ド
一
に
こ
こ
で
:
H
b】
品
ぎ1
e
臣0
打-
ロ的
て、
と
い
う
言葉を
言わ
せ
た
と
き、
そ
の
言葉が
帯び
る
で
あ
ろ
う
すべ
て
の
意味を
知っ
て
い
た
は
ずで
あ
る。
バ
ー
ナ
ー
ド
ー
と
見張り
を
交代
し
た
フ
ラ
ン
シ
ス
コ
ー
は、
任務を
終えて
寝床へ
帰っ
て
行く
が、
(
そ
し
て
彼は
二
度と
こ
の
劇の
中に
戻っ
て
こ
ない
が、
)
彼は
そ
こ
を
去る
前に
、
寒さ
と
胸の
むか
つ
きを
訴え
る
-:、
ゴ切
♂芹t
e
→
邑早
A
邑
H
PH
ロ
∽i
O
村
Pt
Fe
p
ユ.
、
、
き
び
しい
寒さ
の
中に
立
ちつ
づ
け
て
い
た
た
めに
体が
冷え
、
そ
の
た
めに
気分が
わ
る
く
なっ
た
とい
うこ
と
も
あ
ろ
う。
あ
る
い
は、
彼の
胸に
むか
つ
き
を
お
ぼ
え
さ
せ
た
もの
は、
単な
る
寒気で
は
な
く、
や
が
て
そこ
に
幽霊が
あ
らわ
れ
る
は
ずの
、
あ
た
りの
異様な
雰囲気で
あっ
た
か
も
知れ
ない
。
し
か
し、
わ
れ
わ
れ
に
とっ
て、
フ
ラ
ン
シ
ス
コ
ー
の
。
H
p
日
巴○
村
Pt
Fe
罵什
㌧、
とい
う言葉は
、
何よ
り
も
ま
ず、
ハ
ム
レ
ッ
ト
の
心
情を
先
廻っ
て
提示
し
て
い
る
言葉と
な
る
が
ゆ
えに
、
と
くに
耳
菜を
打つ
言葉と
し
て
聞える
の
で
あ
る。
『
ハ
ム
レ
フ
ト』
を
ほ
じめ
て
観る
人、
あ
る
い
ほ
そ
れ
を
は
じ
めて
読む
人に
は、
そ
の
よ
うなこ
と
は
わか
ら
ない
は
ずで
は
ない
か
とい
う
反
論が
あ
る
か
も
知れ
ない
。
そ
の
反論に
対
し
て
は、
私も
、
そ
の
と
お
り
で
あ
る
と
答え
な
けれ
ば
な
ら
な
い。
しか
し、
私が
い
ま
問題と
して
い
る
の
ほ、
観客あ
る
い
ほ
読者で
ほ
な
くて
、
作者で
あ
る。
シ
ェ
イ
ク
ス
ピ
ア
が
『
ハ
ム
レ
ッ
ト』
と
い
う
劇をい
か
に
始
動さ
せ
て
い
る
か
を
も
う一
度見て
い
た
だ
き
た
い。
如空
・
さ串ヽ
丸Q
WFO
〉
仏
t
Fe→
e
~
β2 ≠
( 2 7 ) 『マ ク ベ ス 』 の テー
マ と言葉
勺
言莞計芸
2P
y-
呂∽
弓el
日2・
警
告み
p
已・声nf
O-
d
づロ
串1
等-
f・
加
筆
どロ的
-
才e
t
Fe
村
ど的
叩
b〕-
白
芦
官→
ロP→
PO
~
也聖
・
.
HH
¢.
勺
⊇芦
吋○
仁
0
0
日e
日○払
什
○
寛e
】
ピーー
叫
声廿○
ロ
u
さ
弓
オ○
≠→.
也空ノ
}
→訂
ロ0
弓
∽
t
コー
0
村
t
弓e-
d
d.
Get
t
訂e
t
O
訂き
句→
p
ロ○
訂
8一
字P
芦
句○り
t
E研
→e-
岩.
f
H
ロ仁O
Ft
Fp
n打払.
J+
訂▲
Et
t
e→
0
0-
早
Aロト
H
p叫
P
巴○
村
pt
FeP
→
「
加
筆
Hp
諾u
石臼
ビ
邑血
石訂t
哩卜
寛P~
学令
声
け勺
Ot
P
-
ロ○
β望U
∽t-
→・
→-
ロ
申
出3ノ
≦1
e--
-
g00
み
2 .
g
空汀
・
I
f
苫日
計
2
邑H01
邑○
呂-
呂
罵
邑-
卓
→Fe
コ・
く
巴∽
★
Of
2叫
弓
巴
旨、
E-
t
Fe
日
mP
材e
Fp
浄e・
(
★
=
勺P
ユロe
→の)
以
上
は、
『
ハ
ム
レ
ァ
ト』
の
冒頭の
十
三
行で
あ
る。
こ
こ
で
行な
わ
れ
て
い
る
こ
と
は、
た
し
か
に、
歩哨の
交代と
い
うこ
と
で
あ
る。
し
か
し、
こ
の
歩哨の
交代に
は、
通
常の
そ
れ
に
は
見られ
ない
よ
う
な、
異常な
緊張感が
あ
る。
歩哨の
交代
に
来たバ
ー
ナ
ー
ド
ー
が、
闇の
中に
聞え
た
フ
ラ
ン
シ
ス
コ
ー
の
足音に
はっ
と
し
て
足を
と
め、
。
弓FO
オ
t
Fe→e
~
。
と
叫ぷ
、
そ
の
第
二戸に
よっ
て
すで
に
そ
の
緊張
感は
作り
出さ
れ
る。
フ
ラ
ン
シ
ス
コ
ー
はバ
ー
ナ
ー
ド
ー
が
時間ど
お
りに
交代に
来一
て
くれ
た
こ
と
を
と
くに
彼に
感謝して
い
る。
交代し
たバ
ー
ナ
ー
ド
ー
は、
び
と
り
で
い
る
こ
と
を
恐
れ
て、
彼と
い
っ
しょ
に
見張りに
立つ
こ
と
に
なっ
て
い
る
二
人に
急い
で
来る
よ
う
に
言っ
て
くれ
とフ
ラ
ン
シ
ス
コ
一
に
頼む
。
歩崎を
交代する
二
人の
人
物の
間の
、
文字に
す
れ
ば
十三
行の
や
り
と
り
で、
シ
ェ
イ
ク
ス
ピ
ア
は、
不
安と
恐
怖の
た
だよ
う緊張感を
、
極
寒の
真夜中と
と
もに
、
こ
の
劇の
冒頭に
作り
出し
た。
そ
れ
は、
直接的に
は、
幽霊出現へ
の
伏線を
敷き
、
そ
れ
に
ふ
さ
わ
しい
場面を
準備し
て
い
る
もの
で
あ
る
と
言え
る
で
あ
ろ
う。
し
か
し、
シ
ェ
イ
ク
ス
ビ
ア
が
そ
こ
で
用い
た
言
葉そ
の
もの
が、
こ
の
冒頭の
十三
行に
お
け
る
彼の
意
図が
単に
局
所に
限
定さ
ーh
U
れて
い
た
も
の
で
なか
っ
た
こ
と
を、
お
の
ずか
らに
し
て
あ
ら
朗
一 橋論叢 第六 十 二 巻 第五 号 ( 28 )
ゎ
して
い
る。
彼は
、
こ
の
劇の
冒頭で
、
こ
の
劇全体の
基音
を
奏で
る
こ
と
を
も
ま
た
意図し
た
と、
わ
れ
わ
れ
は
考え
ざる
を
得ない
。
彼が
そ
こ
で
用い
た
い
くつ
か
の
言葉(
むし
ろ、
用い
る
こ
と
を
選
ん
だ
い
くつ
か
の
言葉)
に
よ
っ
て、
わ
れ
わ
れ
は
そ
う
考え
ざる
を
得ない
。
シ
ェ
イ
ク
ス
ピ
ア
は
『
ハ
ム
レ
ッ
ト』
の
冒頭に
お
い
て
そ
の
劇全
体の
基音を
奏で
る
こ
と
をも
意図し
、
そ
の
た
めに
い
く
っ
か
の
言葉を
選ん
で
用い
た
と
言
うの
は、
しか
し、
十
分に
正
しい
言い
方で
は
ない
よ
うに
思わ
れ
る。
シ
ェ
イ
ク
ス
ピ
ア
は、
こ
の
戯曲の
第一
行目か
ら
『
ハ
ム
レ
ァ
ト』
を
書い
て
い
た
の
で
あ
る。
い
わ
ば、
去ハ
ム
レ
ッ
ト』
とい
う
劇が
シ
ェ
イ
ク
ス
ビ
ア
の
頭脳の
中で
醸酵して
い
た。
彼は
脳中で
醸酵し
て
い
た
そ
の
劇を
、
城壁の
上の
見
張りの
交代とい
うア
ク
シ
ョ
ン
に
よっ
て
始動さ
せ
よ
う
と
し
た。
そ
し
て、
彼が
原稿用
紙
に
べ
ン
を
お
ろ
し
た
と
き、
。
wFO
、
仏
t
官記
て
1㌔n
訂-
d
yO
弓邑什
、
、
-こ
どロg
-
i
く2
t
訂打i
ロ
g
てー
ーこ
I
P
2
巴○
村
已
訂
邑、
-
な
どの
言
葉が
、
い
わ
ば
自然に
、
彼の
脳
中か
ら
彼
の
ペ
ン
先へ
流れ
出た
一
三苧フ
方が
い
っ
そ
う
真実に
近い
こ
と
に
な
る
の
で
は
ない
か。
ホ
レ
イ
シ
オ
が
幽
霊に
むかっ
て
呼
び
か
け
る
最
初の
言葉
、
:
弓
旨邑旨○
ロ
什
訂-
.宏
弓p
ぎt
E∽
t
訂e
.。巾
2 .
各t
て
(
--
会)
に
お
け
る
㌔岩
旦∽
t
。
も、
こ
勝一
h
J
の
劇の
中心
的テ
ー
マ
と
の
関
連を
無視で
き
な
い
も
の
で
あっ
て、
そ
の
意味で
、
私が
す
で
に
問題と
し
て
拾い
上
げ
た
い
く
っ
か
の
言
葉と
同じ
性質を
帯び
て
い
る。
三
『
マ
ク
ベ
ス』
の
冒
頭の
場面で
、
三
人の
魔女た
ちが
全
員
で
唱え
る
句
巴→
-
払
訂已
-
p
ロか
ど已
-
∽
f
巴→.
とい
う
言
葉は
、
こ
の
劇の
基
本
的テ
ー
マ
の一
つ
を
提示
す
る
もの
で
ある
。
そ
れ
は
反
転し
た
価値と
い
うテ
ー
マ
で
あ
り、
右の
言
葉は
、
確立
し
た
価値の
世界に
対
立
す
る
反
転
し
た
価
値の
世
界の
存在を
表
明し
て
い
る。
そ
し
て、
マ
ク
ベ
ス
が
錦
旗をか
か
げて
国王
の
敵を
討伐す
る
㌔旨くe
琵琶
訂t
Fこ
か
ら、
国
王
を
殺し
て
王
位を
奪う
。t
邑t
O→。
に
反転する
直前
の
彼の
言葉(
彼が
こ
の
劇で
発す
る
第一
声)
、
哲
訂已
昌一
f
巴り
p
d
P
叫
H
F
笥e
nOt
の
ee
n.
(
H.
芦山
豊
は、
当
然、
最初に
引い
た
魔女の
言
葉と
ひ
び
き
合うもの
で
あ
り、
そ
の
こ
とに
よっ
て、
こ
の
劇の
中に
対
立
的に
存在す
る
二
つ
の
世
界、
:]
富→
、
、
の
世
界と
:
訂
已。
の
世
界の
境界に
く2 9 ) 『マ ク ベ ス 』 の テー
マ と言葉
マ
ク
ベ
ス
が
立つ
とい
う、
彼の
危機的立
場が
一
気に
設定
さ
れ
る
点
を
見逃すこ
と
は
で
き
ない
。
マ
クベ
ス
が
逆賊マ
タ
ド
ン
ワ
ル
ド
を
計っ
た
有様は
、
鮮血
を
し
た
た
らせ
なが
ら
戦場か
ら
も
どっ
て
来た
使者に
よ
っ
て、
ダン
カ
ン
王の
前に
つ
ぎの
よ
うに
叙述さ
れ
る。
一「
所
詮、
敵
は
弱体で
し
た。
+
句○→
官P
く0
民P
8e
t
F
(
弓e-
-
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→
諾∽
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ロP
日e
)、
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句○
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ー
弓i
t
F
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巴
臣左
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-
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F
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日○
打
占
弓i
t
F
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e
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○
已-
○
ロー
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く
巴○
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日どー
O
n、
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0
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-
→-
--
Fe
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Fe
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、
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村
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日
計、
日○→
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血
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t
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→---
Fe
日日∽
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F、
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(
-
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訂占
E仏
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中
日や○
ロ
○
喜+
訂t
t-
e
日e
nt
∽.
(
H
Jr
-
か
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い
)
こ
の
叙述は
、
反
逆者と
なっ
たの
ちの
マ
クベ
ス
自身の
阿修
羅の
ご
と
き
狂暴さ
と、
そ
の
悲惨な
末路と
を
考え
合わせ
る
と
き、
皮肉な
意味を
帯び
て
く
る。
彼の
首も
ま
た
獄門に
さ
らさ
れ
る
運
命に
あっ
た。
マ
ク
ド
ン
ワ
ル
ド
の
反
乱が
平定さ
れ
る
か
さ
れ
ない
う
ちに
、
コ
ー
ダ
ー
の
領主が
国王に
反
旗を
び
る
が
え
し、
こ
れ
と
内
報
しっ
つ、
ノ
ル
ウェ
ー
王
が
彼の
大軍をひ
き
い
て
ス
コ
ッ
ト
ラ
ン
ド
に
侵入
する
。
こ
れ
を
迎え
撃っ
たマ
ク
ベ
ス
に
つ
い
て、
ロ
ス
は
つ
ぎの
よ
うに
叙述し
て
い
る。
宅○り
弓p
呵
E2等
】
f-
W芹F
t
e
コ・
-
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e
β仁
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記-
A川
監賢2
干す叫
t
ビpt
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賢
巴巴○
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-
t
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-
→Fe
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○巾
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ロ
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日巴
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空○
ご
→
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F
邑
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○
日P
-
仏
官Ee
的
30
日-
-
P
pp
占-
ロ
勺
3
阜
(
計
量-
Q
邑乱
g3
宅幹計
詮爪
†Q
O
ヨ山
呂3 .
旨
己-
勺○
訂叶
遼乳
己外
電ぎ叶
-
言ひ
申
記
計
已
弓∋
、
笥訂乳
弓∋、
(
3
C
弓宮口g
E∽
-
p
5 .
仏
打
払
甘】
き.
(
H.
芦
山
-
-豊
右の
文
中、
私が
斜体に
し
た
部分は
、
や
が
て
マ
ク
ベ
ス
も、
い
ま
彼が
こ
こ
で
戦っ
た
相
手と
まっ
た
く
同様に
、
ダン
カ
ン
王に
坂く
者に
な
る
とい
うこ
と
との
関連に
お
い
て、
や
は
り
皮肉な
意味を
帯び
て
くる
。
マ
クベ
ス
が
ノ
ル
ウェ
ー
王
と
切
っ
先
を
交え
た
刃
は、
まっ
た
く
同種同
類の
反
逆の
凶
刃で
あ
っ
た
とい
うふ
うに
読み
うる
可能性を
、
斜
線の
部分は
私め
て
い
る
か
らで
あ
る。
β2 7
卜
一 橋論叢 第六 十 二 巻 第五 号 ( 3 0 )
ノ
ル
ウェ
ー
軍を
撃破し
て
ノ
ル
ウェ
ー
王
に
和を
請わ
し
め
る
結果を
得た
の
ち、
ダン
カ
ン
は
た
だ
ちに
コ
ー
ダ
ー
の
領主
の
死刑
を
宣
告し
、
つ
づ
け
て
つ
ぎの
よ
うに
言う
、
AnP
w芹F
E払
f
O→
me→
ti
t-
e
粥【
e
et
呂
g訂t
F
(
H.
-
汁
か
○
こ
の
言
葉の
正
面の
意味は
、
言
うまで
も
な
く、
マ
ク
ベ
ス
を
前任
者に
か
え
てコ
ー
ダ
ー
の
領主に
する
と
い
うこ
とで
あ
る。
しか
し、
前の
コ
ー
ダ
ー
の
領主が
最後に
帯び
た
「
称号+
は、
.
ドF
pt
日。
賢
d小
巴O
y
巴
首巴t
Oり
、
∴前引の
ロ
ス
の
せ
り
ふ
参
照)
で
あ
っ
たこ
と
も
ま
た
思い
出さ
れ
な
けれ
ば
な
ら
ない
。
同
様に
し
て、
コ
ー
ダ
ー
の
領主が
失なっ
た
も
の
をマ
ク
ベ
ス
が
得た
とい
うダン
カ
ン
の
言葉
、
WF
巴
FO
Fpt
F
-
○
阜
ロO
Ee
買pO
すO
t
せ
FPt
F
弓O
n.
も、
表面上の
意味の
真に
皮肉な
意味を
か
く
して
い
る。
ヒ
ー
ス
の
境野で
マ
ク
ベ
ス
を
待ち
構え
て
い
る
魔女た
ちは
、
マ
クベ
ス
が
姿を
見せ
る
まで
の
間、
彼女
た
ちの
一
人に
栗を
わ
け
て
く
れ
なか
っ
た
船長の
妻へ
の
意趣返
しに
、
海上に
出
て
い
る
彼女の
夫を
苦し
め
る
相
談を
して
い
る。
彼女の
夫の
船が
どこ
の
港に
も
着け
な
い
よ
うに
して
、
い
つ
まで
も
海上
に
漂わせ
、
嵐で
揉み
、
彼女の
夫
を
く
た
くた
に
さ
せ
て
や
ろ
ぅ
とい
うの
で
あ
る。
船長の
妻に
直接恨み
を
い
だ
く
第一
の
淵
魔女ほ
言
う、
望e
①
p
払
F
巴-
ロe-
t
Fe
→
2 .
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ロ○→
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2 .
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2 .
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(
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-
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ト
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-
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打-
p
ロト
甘ロe.
(H
.
i
i
i
+¢
1N
レ
)
マ
クベ
ス
も
ダ
ン
カ
ン
王
を
親殺し
た
直後か
ら、
永遠に
眠り
を
失なっ
た
人
間に
な
る。
呂et
首題どー
H
Fe
荒み
P
く○
訂e
O→
¥
:
望諾p
ロ○
日○
蒜叫
胃
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袋
2
2・
t
F2
り
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宕
邑
巴e
e
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S-
e
e
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打
2 .
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-、
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巴e
P
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○
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-
→F①
血
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O巾
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-
p
ケ○
弓、
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どr
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F-
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巴
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F
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t
日-
ロー∽
、
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宅
邑牢
記、
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払
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0
日ト
8
弓等-
C
Ee巾
ロ○
ロ
ユ∽
Fe→
-
ロ
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-
代
①
オ
訂也
玩t
‥
---
( 3 1 ) 『マ ク ベ ス』 の テ ー マ と 言葉
St
≡叶
t
c
ユe
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セ
ロO
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ご○
巴
ごどFO
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-
巴e
¢
p
ロ○
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2-
呂
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F
臣巴-
巴e
e
勺
nO
(
土
日0
3一
こ
(H
H.
-
r
聖T
-今N
)
さ
らに
、
マ
クベ
ス
も
また
、
そ
の
末路
に
お
い
て、
彼の
姿を
小さ
く
する
。
臼0
弓
PO
巾S
Fe
訂e-
E払
江仁e
H㌍ロ
的
-
00
笥
p一
さ
ま
F叶
2}
】
芹e
P
g-
p
邑、
の
3訂
(
ひ
)
P
胃ロ
P
P
弓
罵
監F
t
Ee巾
.
(
くー
i
i
N
O
-NN
)
第一
の
魔女が
上
引の
彼女の
せ
り
ふ
の
す
ぐ
あ
と
で
言う
、
He
詔H
Fp
くO
P
甘-
Ot
、
の
t
F仁
目す
(
e
弓り
PO
好
古出
玩
FO出P
e
弓p→
打
Fe
巴P
8-
日e.
も、
そ
の
二
行目に
お
い
て、
マ
クベ
ス
に
む
適用で
きる
言
葉
に
なっ
て
い
る。
事実
、
マ
ク
ベ
ス
は、
こ
の
魔女の
言葉を
彼
を
待つ
運
命の
不
吉な
予
言の
よ
うに
し
て、
彼の
姿を
あ
ら
わ
すの
で
あ
る。
そ
し
て、
。
訂-
㌔
の
世界と
。
旨
已、
、
の
世
界と
の
境界領域に
は
い
っ
て
き
た
マ
クベ
ス
は、
すで
に
記し
た
と
お
り、
∽
O
f
O
已
p
nP
訂i
→
p
みp
叫
l
Fp
弓0
日Ot
芳O
P
と
い
う一
行を
発す
る
の
で
ある
。
マ
クベ
ス
が
魔女
た
ちの
示
唆の
言葉を
きい
た
直後
、
ロ
ス
とア
ン
ガ
ス
が
そ
の
場に
到着して
、
マ
ク
ベ
ス
がコ
ー
ダー
の
領主に
封ぜ
られ
た
こ
と
を
彼に
伝える
が、
ダン
カ
ン
王
がマ
クベ
ス
の
戦功を
い
か
に
称え
て
い
る
か
を
伝える
ロ
ス
の
言
葉
の
中の
つ
ぎの
箇所も
、
マ
ク
ベ
ス
の
武勇を
た
た
える
既出の
い
くつ
か
の
言葉と
同様
、
皮肉な
意味を
底流と
し
て
持っ
て
い
る。H
ロ
まe
弓
どg
O-
寛-
Fe
諾仏
什
○
㌔F
、
∽
e-
訂P
2¢
几
F叫、
He
[
訂.
ロ戸口O
p
ロ]
P日
計t
Fee
訂t
Fe
堺
t
O
已
宅○→
弓e
y・
p
ロ
→
p
n村∽
〉
ZO-
E口内
巳2
罵み
○巾
弓Fpt
t
F
讃e-
巾
巴dの什
2P
村e
、
(
→)
St
岩戸ge
i
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品謡
○巾
計pt
F
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●
-
i
-・
窒1コ
ダ
ン
カ
ン
が
マ
ク
ベ
ス
を
「
ノ
ル
ウェ
ー
兵の
間に
い
る
の
を
見
る+
とい
う
言
葉は
、
マ
クベ
ス
を
反逆者の
群の
中に
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の一
員と
し
て
見る
こ
と
の
暗示を
含むこ
と
が
で
き、
マ
ク
ベ
ス
が
そ
こ
で
行な
う冷
酷な
穀裁は
、
反逆者と
なっ
た
マ
ク
ベ
ス
が
行な
う冷
酷な
穀教の
暗示
を
含むこ
が
で
き
る
の
で
あ
る。
コ
ー
ダ
ー
の
領主に
封ぜ
られ
た
こ
と
をロ
ス
か
ら
知らさ
れ
た
マ
ク
ベ
ス
は、
は
じ
め
その
こ
と
を
疑う
。
∂29
+
一 橋論 叢 第 六 十 二 巻 ▲、
第五 号 ( 3 2 )
→
訂→FP
ロe
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CP
弓
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‥
弓F叫
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3日
告e∽∽
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(
H.
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志-ヱ
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着+
を
着た
マ
ク
ベ
ス
とい
うの
は、
こ
の
劇の
テ
ー
マ
の一
つ
で
あ
る。
彼が
着た
最大の
借り
着は
「
王
位+
と
い
う
そ
れ
で
あっ
た。
さ
きほ
ど
引い
た
nO
弓
払O
e∽
Fe
訂e-
F訂
t
芹-
e
Hp
ロ
g
-
0
0
琵
p
ぎま
E日、
-
i
打e
p
巴P
ロt
、
払
3
訂
PpO
ロ
P
d
弓pr
持仏
F
t
E監.
は、
当
然、
こ
の
テ
ー
マ
に
も
関係を
持っ
て
い
る。
マ
クベ
ス
の
疑問に
答え
た
ア
ン
ガ
ス
の
言
葉の
最初の
一
行、
WFO
弓
監t
Fe
→
訂ロe
こ才e
払
yet
.
も、
皮肉な
意
味を
帯び
う
る。
「
コ
ー
ダー
の
領
主+
を
「
反
逆者+
と
同
義の
もの
と
解釈すれ
ば、
反
逆者は
まだ
死ん
で
い
ない
の
で
あ
る。
こ
の
劇で
マ
クベ
ス
の
前に
コ
ー
ダ
ー
の
領
主
だっ
た
人に
ほ
個人の
名が
与
え
ら
れ
て
い
な
い
こ
と
に
注
意
すべ
きで
あ
る。
そ
の
た
め
に、
「
コ
ー
ダ
ー
の
領
主+
と
い
う
言葉が
反
逆者を
あ
らわ
す一
敗的名辞に
容易に
転換さ
れ
う
る
こ
とに
な
り、
こ
の
称
号が
マ
ク
ベ
ス
に
結び
つ
け
ら
れ
る
た
び
ご
と
に、
大き
な
皮肉が
生
ずる
こ
とに
な
る。
ダン
カ
ン
は、
マ
クベ
ス
の
戦功に
酬い
て
も
う一
つ
の
栄
誉
を
彼に
与
え
る
た
めに
、
マ
ク
ベ
ス
の
居城を
訪問する
こ
と
を
劫-
へじ
申し
出る
。
そ
の
とき
、
→
訂
諸賢i
功
-
p
ぎ弓、
弓EO
F
i
仏
星t
ロm
左
訂1
3戸
H
ゴ
訂
日
思e-
:Fe
F
賀正口内e
♪
P
ロd
日P
打e
j
O
息已
→Fe
Fe
罵i
ロ叫
○巾
2呵
弓-
f
2
J
ユー
F
苫弓b
匂
胃O
gFい
(
00
)
SO
、
F亡
mEy
t
p
村e
m叫
-
e
p
く〇.
(
H一
声
主-ユ
と
答え
たマ
クベ
ス
に
ダ
ン
カ
ン
が
応じ
た
言
葉、
:
呂叫
弓
写
t
首CP
弓
計ュ
、
、
に
は、
ダン
カ
ン
は
関
知し
ない
き
わ
め
て
痛
烈な
皮肉が
秘め
られ
て
い
る。
マ
クベ
ス
は
すで
に■この
と
き
ダ
ン
カ
ン
王の
殺害を
意図し
て
お
り、
魔女の
予
言を
彼の
妻
に
伝え
て
い
た。
マ
ク
ベ
ス
の
「
行幸の
知らせ
を
伝え
て
妻の
耳
を
よ
ろこ
ば
せ
た
い+
とい
う
言葉も
、
マ
ク
ベ
ス
夫人
が
そ
の
知らせ
を
い
か
な
る
理
由で
よ
ろこ
ぶ
か
を
考え
る
と、
こ
こ
に
は
も
う
明
白な
皮肉が
あ
る。
そ
れ
よ
り
前、
マ
クベ
ス
が
ダ
ン
カ
ン
の
前へ
帰っ
て
くる
と
こ
ろに
も、
大き
な
皮肉が
生
じて
い
る。
ダン
カ
ン
は
前の
コ
ー
ダ
ー
の
領主
が
すで
に
処刑さ
れ
たこ
と
を
聞
き、
つ
ぎの
よ
うな
感
慨を
述べ
る
(
H
∴く.
〓
1-
古。
+
ウ
Fe→e
、
払
nO
p
ユ
→O
P
nd
t
Fe
出P-
ロ
モロ
00
n
賢→
ロOti
O
ロ
ー
ロ
t
Fe
f
pO
e‥
( 33 ) 『マ ク ベ ス 』 の テ ー マ と言葉
He
弓p∽
p
叩e
邑-
e
日p
日
O
n
弓
ど日H
♂
已-
t
(
¢
)
Aロ
P
げ払
○-
仁t
e
t
り
仁∽t
---
ダ
ン
カ
ン
が
そ
う言っ
て
い
る
そ
の
と
こ
ろヘ
マ
クベ
ス
が
姿を
あ
らわ
し、
ダン
カ
ン
は一
旦
言葉を
切っ
た
あ
と、
、
ゴ
弓○
?
t
Ee∽t
8亡
玩-
n一
こ
と
呼び
か
けて
、
中断さ
れ
た
行を
完
成
す
る。
ダ
ン
カ
ン
が
前の
コ
ー
ダ
ー
の
領主に
関し
て
述べ
た
言
葉
は、
や
が
て
そ
の
ま
ま
彼の
:
弓○→t
Ee払t
00
宏F
、
、
(
マ
ク
ベ
ス)
に
通用で
き
る
も
の
に
な
る
の
で
ある
。
ダ
ン
カ
ン
殺害の
決意を
固めた
マ
ク
ベ
ス
の
言葉
、
哲p
諾、
E倉じ
叫○
戸→
守e仏
一
Fet
nOt
-
-
g
ぎ払
e
e
m叫
Eg軒
p
ロー
dee
勺
血
b乳→e払い
→Fe
e叫
d
弓
F村
邑t
Fe
Fp
n
合
づ印
t
-
et
t
Fpt
訂、
(
-
○)
WEq
F
t
Fe
e
叫
d
訂寛払
、
弓Fe
n
叶
t
訂
中○
ロe
-
t
O
払
ee.
(
H.
才.
旨
-訟)
と、
マ
クベ
ス
の
手紙を
読ん
で
同
じ
決意を
固めた
マ
クベ
ス
夫
人の
言葉
、
CO
日e
-
t
EO
紆
2i
呪Ft
-
Aロみ
唱P-
-
t
Fee
どt
Fe
P亡ロne∽
t
仏
日○
打e
O巾
He-
--
→Fpt
日y
吋ee
日
付
2 .
訂払
e
2
日Ot
t
F2
弓○
戸口む
芹
日p
村e
仏-
宅○→
Hのp
づe
ロ
勺e
e
吋
t
F
3日gFt
Fe
三甲口
付et
O
ごFe
P
買付
、
(
E)
→0
0→
当
:
HO-
d}
FO-
d
て、
(
Ⅰ.
く.
旨-笠)
と
の
共
鳴は
、
むろ
ん、
夫
婦の
心の
共
鳴で
あ
る
が、
そ
の
暗
黒の
夜は
、
パ
ン
ク
ォ
ー
の→Fe
諾打
F仁m
♂P
日
管y
ど
Fe
P
くe
ロい
(
-
柑
)
→Fe
冒
0
甲ロ
d-
e払
罵e
巴-
○
ま.
(
H
I.
-.
中
-u
)
に
よっ
て、
マ
ク
ベ
ス
夫
妻の
犯
行の
た
めに
現
実に
用
意さ
れ
る
もの
と
な
る。
夫の
帰り
を
迎えたマ
クベ
ス
夫
人は
、
マ
ク
ベ
ス
に
→Fy
-
e
荘e→
F
慧1
e
t
昌n払
廿○
ユe
中
臣e
訂u
さロP
→
E∽
小
鴨
ロ○叫
p
邑
勺H
e
琶邑-
P
ロか
H
訂e-
ロO
W
(
-
∽
)
→F①
f
ま声r
e
どt
Fe
打算甲ロt
.
(
Ⅰ.
く.
設-豊
と
言っ
て
い
る。
マ
ク
ベ
ス
も、
魔女の
言葉を
聞い
た
直後
、
一
時茫
然と
し
て
現
在を
失
ない
、
勺り
e
払
e
ロt
f
e
p
謡
A→e
-
e
払
払
t
FP
臼
FO
胃詳-
e
-
mP
的-
已ロg∽.
呂叫t
FO
亡的
E-
宅FO
旨
2
已・
t
Fe→
叱
dt
i
払
♂
已f
2ロt
pSt
ど
阜
S
FP
吋e
の
∽
0
日呵
巴日g
-
e
仏t
pt
e
O他
日P
ロ、
→F
邑f
声n口
t-
○
ロ
i
∽
四
日Ot
Fe
㌧d
ト
ロ
仏
巨1
日-
琵、
(
-
e
Aβト
βOt
Eロg
-
∽、
♂
き
弓F
邑
訂
ロOt
.
(
Ⅰ.
i
-
r
-
山
N
-
全N
)
β3ユ
「
一 橋論叢 第 六 十 二 巻 第五 号 ( 3 4 )
と
言っ
た。
マ
ク
ベ
ス
もマ
クベ
ス
夫
人
も、
前途に
虚像を
与
え
ら
れ、
そ
の
虚像を
追い
か
け
た
の
で
あ
る。
虚像は
元
来実
体の
ない
もの
で
あ
る
か
ら、
か
れ
らが
そ
れ
を
掴ん
だ
と
思っ
た
と
きに
も、
掌中に
は
何も
な
かっ
た
の
で
ある
。
し
か
し、
か
れ
らは
、
足許を
忘れ
て
そ
の
虚像を
追い
か
けて
行く
う
ち
に、
大き
な
崖か
ら
転落し
、
も
ほ
や
引き
返すこ
と
の
で
き
な
い、
荒涼た
る
地
獄の
原に
来て
し
まっ
て
い
た。
マ
クベ
ス
も
マ
ク
ベ
ス
夫人
も、
と
もに
、
未来の
虚像に
欺か
れ
た
人
間で
あ
る。
か
れ
ら
が
追い
求めた
虚像は
、
や
が
て
か
れ
らの
目か
らも
消え
る。
王
位に
つ
い
た
あ
と
の
マ
クベ
ス
が
洩ら
す、
(
-
一ご
→○
訂t
F
宏
訂
ロOt
E日
野
♂
已
t
O
be
切
p
訂-
y
t
F声∽.
(
I
H
I一
-.
ミ)
は、
彼が
追い
か
けて
来た
もの
が
実際に
は
「
虚無の
も
の+
(
㌔Ot
Eロg
。
)
で
あっ
た
こ
と
に
彼が
気付
き
は
じ
め
る
お
そ
ろ
しい
瞬間で
あ
り、
こ
の
劇の
転
回
点
を
な
すも
の
で
あ
る。
マ
ク
ベ
ス
に、
そ
し
て
マ
クベ
ス
を
介し
て
マ
クベ
ス
夫人に
、
未来の
虚像を
与
え
た
魔女
た
ち
は、
「
大
地の
泡の
ご
と
き
も
の
で
あ
り、
実体を
具えて
い
る
と
見え
た
も
の
は、
吐
く
息の
よ
うに
風の
中へ
消え
失せ
た。
+
由
§胃Q
→
どe
罵t
F
Fpt
F一
岩すb-
e払
、
監t
Fe
弓P
訂→
FP払
、
Anむ
t
訂払
e
弓e
O叫
t
FeH
2
-WE-
訂1
宅e
-
訂叫
づp
ロ訂F
、
d
~
昏Q
訂叶
計
Ⅰ
ロt
O
t
Fe
巴
二
P
ロト
弓ビ
邑
琵e
日占
0
0
丁
づ○→
巴-
賞e-
t
e
d
監
訂e
邑F
i
まO
t
訂J
已n
P
(
Ⅰ.
琵.
3-∞
N
)
魔女た
ち
に
よっ
て
マ
ク
ベ
ス
夫
妻に
与
え
ら
れ
た
虚像が
か
れ
ら
の
眼
前か
ら
消えて
行く
有様は
、
魔女
た
ち
白身の
こ
の
消
え
方の
中に
すで
に
暗示さ
れ
て
い
る。
マ
ク
ベ
ス
の
居城を
訪れ
た
ダ
ン
カ
ン
は、
そ
の
城門を
くぐ
る
前に
、
バ
ン
ク
ォ
ー
とつ
ぎの
会話を
交わ
す。
bg
莞申
さ
→
E∽
8芝-
2
FPt
F
P
旦e
監P
ま
琵P什
こFe
巴→
ヨ日♂-
y
平ロ
d
∽
弓ee
こ叫
蒜
宇目
巨e
日
計-
訂e-
f
Pnt
0
0
弓ge
ロt-
e
霜口
琵切.
地中ヾ
ぶまQ
→
E仏
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賢
○巾
竺-
日日eり
ー
→Fe
t
e
日
旦?
訂仁ロt-】
長一日
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-
n
be∽
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七せ
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〉
出叫
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-
○
くe
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ロ→
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邑t
Fe
Fe
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ロ、
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-
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-
叫
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8-
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○巾
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的e
、
b
まt
E払
b-
a
∂ご招
( 35 ) 『マ ク ベ ス 』 の テー
マ と 言葉
臼pt
F
ロp
むO
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日
計邑be
早
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ロd
廿
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P
n什
○
諒・
恥-
e‖
要1
訂→e
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日○
賢
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邑〉
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ア
哲印
ヨ1
占
(
-
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→Fe
巴→
-
∽
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i
O
邑e.
(
H.
ま.
-
--
○)
マ
ク
ベ
ス
の
居城の
外
面が
漂わせ
て
い
る
こ
の
爽快さ
は、
そ
の
内側で
ダ
ン
カ
ン
を
待っ
て
い
る
暗黒と
の
対比
尼
お
い
て、
大き
な
皮肉を生
み
出して
い
る
もの
で
あ
る。
マ
ク
ベ
ス
夫
人は
、
夫の
帰り
を
迎え
たと
き、
深刻な
顔つ
き
を
して
い
る
夫に
諭し
て
言っ
た。
→○
訂g
已】
e
t
Fe
ti
日e
-
P0
0
材
】
-
村e
t
Fe
ti
日eい
訂琶
弓e-
0
0
日e
ド
ロ
勺○
仁→
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d-
吋○
弓F
巴乙
-
づロ
喜・
t
O
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-
00
吋
-
i
村e
t
F〉
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日日○
岳nt
β○
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(
-
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皇
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已
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わ
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.
(
Ⅰ.
く.
かN
-山
)
ダ
ン
カ
ン
を
城に
迎え
、
計画を
実行すべ
きと
き
が
迫っ
た
と
き、
マ
ク
ベ
ス
の
決意は
ゆ
らい
だ。
マ
ク
ベ
ス
夫
人ほ
そ
うい
う夫
を
叱
りか
つ
励ま
し
た。
夫人の
叱
咤で
マ
ク
ベ
ス
の
決意
は
ふ
た
た
び
固め
られ
、
マ
ク
ベ
ス
は
彼の
妻か
ら
与え
られ
た
忠告を
い
ま
や
彼み
ずか
らの
言
葉と
して
言う
。
A弓P
叫〉
巴-
払
日00
粁
t
訂t一
日e
メ
ェt
F
㌻首e
賢
卦○
毛‥
句巴望W
f
PO
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Fe
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5 .
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ダン
カ
ン
を
迎え
た
と
きの
マ
ク
ベ
ス
の
居城が
その
外
側に
漂
わ
せ
た
爽快な
君国
気は
、
そ
の
城の
主人
夫
妻が
ダン
カ
ン
に
示し
た
。
訂-
→e
賢
s
FO
弓。
と
まっ
た
く
平
行す
る
もの
で
あっ
た。
ダ
ン
カ
ン
を
殺害し
た
直後
、
ダ
ン
カ
ン
の
鮮血に
ま
み
れ
た
自分の
両
手を
見て
、
WFPt
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訂
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Fe
諾~
Hp
ごFe
呵
旦⊆り
打
○
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弓-
--
巴-
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、
払
○
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ロ
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ビ
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ロ
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〉
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E四
日叫
FP
nみ
wご】
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Fe→
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ロ亡-
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仁山-
ロ○
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払
eP∽
-
ロOp
→
ロP
包-
ロe
.
(
-
¢)
民p
粁
どg
t
Fe
g
蒜e
n
O
ロe
岩戸
(
HH
.
i
-一
誌
-悪)
とい
う感慨を
吐
露し
たマ
ク
ベ
ス
に
対
し
て、
A-
-
tt-
e
弓邑e→
已e
p
謡
声¢
Of
t
E∽
血
be
P
(
HH
.
F
訣)
と
言っ
た
の
は
マ
クベ
ス
夫
人で
あっ
.た
。
し
か
し、
か
れ
らが
犯し
た
罪は
、
マ
クベ
ス
夫
人に
とっ
て
も、
「
ちょ
っ
と
の
水
5 3 3
一 橋論叢 第六十 二 巻 第五 号 ( 3 6 )
で
き
れ
い
に
洗い
流せ
る+
よ
うな
もの
で
は
なか
っ
た。
そ
の
こ
と
ほ、
や
が
七
夢遊病者と
なっ
。
て.深夜の
城中を
さ
まよ
い
歩く
彼女自
身に
よっ
て
証
明さ
れ
る
こ
とに
な
る。
そ
の
と
き、
彼女に
とっ
て、
彼女の
手に
し
み
つ
い
た
血の
痕と
臭い
とは
、
ど
ん
な
に
拭っ
て
も
消
える
こ
と
が
な
く、
た
と
えア
ラビ
ア
中
の
香料を
もっ
て
して
も、
彼女の
小
さ
な
手は
ふ
た
た
び
か
ぐ
わ
し
くは
な
ら
ない
もの
で
あっ
た。
城の
外に
は
か
ぐ
わ
しい
そ
よ
風が
さ
わ
や
か
に
吹き
渡っ
て
い
た
が、
城の
中は
暗黒の
焦熱地
獄で
あっ
た。
マ
クベ
ス
夫
妻に
よ
る
凶
行の
行な
われ
た
翌
朝、
何も
知ら
ずに
、
マ
タ
ダ
フ
とレ
ノ
ッ
ク
ス
が
ダ
ン
カ
ン
を
迎えに
来る
。
か
れ
らが
城の
南門の
屏を
叩く
音で
目
を
覚まさ
れ
た
門番は
、
昨夜の
酔び
の
まだ
残る
ね
ぼ
け
頭で
、
自分を
地
獄の
門
番で
あ
る
か
の
ご
と
くに
錯覚する
が、
彼が
そ
の
よ
うな
錯覚を
す
る
こ
と
自体
が
こ
の
戯曲の
テ
ー
マ
に
関連し
て
い
る
こ
と
は
言う
まで
もな
い。
門番は
、
自分が
地
獄の
門番に
なっ
た
か
の
ご
と
くに
感
ずる
錯覚の
中で
、
三
人の
男を
地
獄に
迎え
入
れ
た
よ
う
な
気
に
なる
。
そ
の
うちの
一
人
は、
飢饉を
あ
て
こ
ん
で
小
麦を
貯
えて
い
た
が、
豊作の
予
想で
小
麦の
値が
下
が
り、
失
望
し
て
首を
吊っ
て
死ん
だ
農夫で
あ
り、
も
う一
人は
、
常に
曖昧
な
言
辞
を
弄して
い
た
が、
信仰に
関し
て
は
そ
れ
が
通
用し
な
3 4-
へじ
く
なっ
て
死
刑に
なっ
た
男(
翳詣詣糾那紬
㌶一
)
、
三
番目
は、
太い
ズ
ボ
ン
が
流行し
て
い
る
間は
顧客か
ら
生
地
の
一
部
を
盗
み
取
る
こ
とに
成功し
て
い
た
が、
流行が
変わっ
て
ズ
ボ
ン
が
細く
なっ
た
と
き
に
そ
れ
を
やっ
て
つ
い
に
罪が
発覚し
た
イ
ギ
リ
ス
の
仕立
屋で
あ
る。
門番の
錯
覚の
中に
あ
らわ
れ
る
こ
れ
ら三
人は
、
い
ずれ
も、
最後に
やっ
た一
つ
の
こ
と
で
噂を
越えて
し
まっ
た
人
間た
ち
で
あ
り、
そ
の
こ
と
に
お
い
て
マ
ク
ベ
ス
と
共
通
する
もの
が
あ
る。
こ
の
門番の
言
葉の
中に
㌔eト
才00
邑6
.
n。
とい
うこ
と
が
繰返し
出て
くる
こ
と
ほ、
こ
の
戯曲の
テ
ー
マ
と
の
関係に
お
い
て
重
要で
ある
。
へ
宙空←
才00
Pt-
O
P。
と
い
うの
は、
読ん
で
字の
とお
り、
二
つ
(
以上)
の
こ
と
を一
つ
の
言葉で
言うこ
と
で
あ
り、
そ
れ
は、
当然
、
言
葉の
多義性を
利用し
て
他
人
を
欺く
詭計と
な
り
うる
。
王
冠を
戴き
なが
ら不
安と
恐
怖に
さ
い
な
ま
れ
る
マ
クベ
ス
が、
み
ずか
ら
求め
て
魔女た
ち
を
訪
い、
そ
こ
で
与
え
ら
れ
た
二
つ
の
保
証
。
ヨ○
臼¢
○他
wO
日p
ロ
b
O→
n
∽
F
巴-
FPH
日
呂P口
♂e
t
Fこ
と
こ
呂PO
Je
已F
仏
F
巳-
ne
くe
→
くp
ロβ
已∽
F
占
すe
、
Gロti
-
の
諸賢
望→ロ
P
日
弓00
払
t
O
EgF
D串ロS-
喜一
ロ①
E-
-
∽
F
巴-
8日e
一
品巴nst
E
声ぺ
と
ほ、
い
ず
( 3 7 ) 『マ ク ベ ス 』 の テー
マ と言葉
れ
も∴
g已
召
邑-
0
日ー
、
で
あっ
た?
マ
ク
ベ
ス
は
魔女た
ち
に
ょっ
て
与
え
られ
た
未来の
虚像を
追い
か
け、
噂を
越え
て
暴
走した
。
そ
し
て
彼が
そ
の
暴
走に
気づ
い
て
不
安と
恐
怖に
と
ら
え
ら
れ
た■と
き、
魔女た
ち
は
彼に
㌔q
せ。
邑ぎ。
。
を
与
え
て
さ
らに
彼を
愚
弄し
っ
つ、
彼を
最後の
破
滅へ
向っ
て
追
い
立て
た
の
で
あ
る。
ダ
ン
カ
ン
の
殺害が
発見さ
れ、
人々
が
驚きさ
わ
ぐ
中で
マ
ク
ベ
ス
が
言っ
た
言
葉、
HP
d
H
♂
ま▲
巳e
み
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声→
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巾○→
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一
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く
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中【
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宏e
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日e
こ叩
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E∽
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P
nt
)
→Fe
→e
〉
仏
日Ot
En粥
冷ユ○
宏-
日
日○
ユ巴i
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♂
まt
O
甘‥
諾ロ○
弓ロ
ー
P
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蒜宕
こs
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e
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P…
→Fe
宅
訂e
O他
-
i
f
e
i
班
巴リ
P
弓ロ
ー
p
ゴー
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Fe
日e→e
-
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(
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H
∽
-
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E∽
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已t
t
O
官やg
Of
.
(
Ⅰ
I
J声
望-丑
は、
こ
の
場で
真実の
言葉と
して
受け
取
られ
る
こ
と
を
意図
して
述べ
ら
れ
た
彼の
虚言で
あ
る
が、
しか
し、
こ
の
戯曲全
体
が
語っ
て
い
る
と
こ
ろに
照し
て
み
れ
ば、
マ
ク
ベ
ス
は
こ
の
言
葉に
よっ
て、
彼が
そ
の
こ
と
に
気づ
か
なか
っ
た
が
ゆえ
に
重
大
な
過
ち
を
犯
すこ
と
に
なっ
た一
つ
の
真実を
述べ
て
い
る
こ
と
に
な
り、
そ
の
機能は
き
わ
め
て
劇的で
あ
り、
か
つ
複凍
で
あ
る。
〔
註〕
本
稿で
扱っ
た
問題の
性
質上
、
本
論中で
は
訳
文
を
使用で
き
ない
が、
参考の
た
めに
、
い
くつ
か
の
引
用文の
大
意をこ
こ
に
記し
て
お
く。
(
1)
「
と
申
し
ま
すの
は、
勇猛果
敢な
(
ま
さ
し
く
勇猛果敢な)
マ
ク
ベ
ス
殿が
、
運
命の
女
神
な
どに
は
目も
く
れ
ず、
血
煙の
立
つ
刃を
ふ
り
ま
わ
し、
八
幡様の
申し
子さ
なが
らに
、
切っ
て
切
ら
て
切
り
進み
、
賊
将の
面
前に
立
ちふ
さ
が
る
と
見る
や、
別
れ
の
挨拶も
あ
ら
ばこ
そ、
や
に
わ
に
相
手の
腹か
らあ
ご
へ
か
け
て
の
逆撫で
切
り、
た
ち
ま
ち
首
を
味方の
胸壁に
さ
ら
した
の
で
あ
り
ま
す+
(
2)
「
ノ
ル
ウ
ェ
ー
王
み
ずか
ら
恐
るぺ
き
大
軍
を
び
き
い
、
あ
の
不
忠
きわ
まる
裏切
者コ
ー
ダー
の
領主の
援助
を
得て
、
凄惨な
戦闘
を
開始い
た
し
まし
た
が、
わ
が
マ
ク
ベ
ス
殿に
はベ
ロ
ー
ナ
〔
ロ
ー
マ
の
戦
争の
女
神〕
の
花婿さ
な
が
ら、
無敵の
鎧に
身を
固
め、
敵の
大
将と
まさ
に
互
角に
相対し
、
刃
向
う
剣と
切っ
先
を
交
えて
丁々
発止
、
つ
い
に
敵の
猛威を
くじ
きま
し
た+
(
3)
「
夜も
昼
も
彼の
まぶ
たに
は一
睡も
宿ら
せ
る
も
の
か。
一
生
呪
わ
れ
て
暮ら
す
男に
して
やる
。
七日
七夜の
九
九
八
十一
倍
を
気息
奄々
、
ど
ん
ど
ん
し
な
びて
、
ち
ぢん
で、
や
せ
細ら
せ
て
や
る+
(
4)
「
どこ
か
で
叫ぶ
芦が
聞え
た
よ
う
な
気が
し
た、
『
も
う眠
り
は
ない
ぞ、
マ
ク
ベ
ス
が
眠
り
を
殺して
し
まっ
た』
と。
あ
の
け
が
れ
の
な
い
眠り
を。
煽らい
の
細糸の
もつ
れ
を
正
して
くれ
る
∂3 ∂
■
Fr
一
橋論叢 第 六 十 二 巷 第 五 号 ( 3 8 )
眠り
、
そ
の
日
そ
初
日
の
生
の
消滅
、
つ
らい
労
働の
あ
との
湯
絡
み、
傷つ
い
た
心
の
医
薬、
自
然
が
供
す
る
第二
の
生
活、
い
の
ち
の
宴の
最大の
栄
養物
。
-『
も
う
眠
り
は
ない
ぞ』
と
叫び
つ
つ
け
る
そ
の
声は
城中に
ひ
び
い
た。
『
グ
ラ
ー
ム
ズ
が
眠
り
を
殺
し
て
し
まっ
た、
だ
か
らコ
ー
ダー
は
も
う眠れ
ない
、
マ
ク
ベ
ス
は
も
う
眠れ
ない
ぞ』
と+
(
5)
「
い
ま
や
彼は
王
とい
う
称
号が
、
まる
で
小人
の
盗
人
が
巨
人の
着
物
を
着た
よ
うに
、
体か
ら
ずり
落ちそ
うに
なっ
て
い
る
の
を
感
じて
い
る+
(
6)
「
こ
れ
をご
ら
ん、
水
先
案内の
親
指だ
よ、
く
に
へ
帰
る
途
中で
難破
した
やつ
の
さ+
(
7)
「
当日
の
そ
の
後の
戦況
をご
ら
ん
に
なっ
た
王
さ
ま
は、
貴
殿が
て
ご
わい
ノ
ル
ウェ
ー
兵の
間
に
立
ち
ま
じ
り、
貴殿
み
ずか
らが
作られ
た
死
屍累々
の
不
気味な
様
相
に
少
し
も
恐
れ
る
気
色
も
なか
っ
た
と
お
知り
に
な
り
ま
し
た+
(
8)
「
お
役に
立
た
ない
で
休んで
い
る
の
はか
えっ
て
苦
痛で
ご
ざ
い
ま
す。
早
速私
み
ずか
らが
先
触れ
役
と
なり
、
陛下の
お
越
し
を
知ら
せ
て
妻の
耳
を
喜ばせ
て
や
りま
しょ
う。
そ
れ
で
は、
こ
れに
て
お
い
と
ま
を+
(
9)
「
顔つ
き
か
ら
人の
心を
知る
すべ
は
ない
。
あの
男
は
私
が
信じて
疑わ
なか
っ
た
男だっ
■た
が+
(
1 0)
「
星よ
、
光を
臆せ
。
こ
の
深い
暗黒の
欲
望を
照
ら
し
て
く
れ
る
な。
眼
は
手の
する
こ
と
を
見る
な。
だが
、
やっ
て
し
まっ
た
とき
隈が
恐れ
て
見よ
う
と
し
ない
こ
と
を、
や
ほ
りや
ら
ね
ほ
な
ら
ぬ+
(
1 1)
「
さ
あ、
暗黒の
夜よ
、
早く
ど
す
黒い
地
獄の
煙
を
ま
とっ
て
お
く
れ。
私の
鋭い
剣に
そ
れ
が
作る
傷口
を
見
せ
ない
よ
うに
、
天が
闇の
と
ば
り
か
ら
腋をの
ぞ
か
せ
て、
『
止
め
よ、
止
め
よ』
と
叫ん
だり
し
ない
よ
うに+
(
1 2)
「
天も
節約し
て
い
る
ら
しい
。
星の
と
も
し
火
も
み
ん
な
消
えて
い
る+
(
1 3)
「
お
手
紙を
読ん
で
か
ら、
私の
心
は、
何も
知ら
ずに
い
る
現
在を
飛び
越え
て
し
まい
、
い
まこ
の
と
き
未来の
中に
い
る
心
地
が
い
た
し
ま
す+
(
1 4)
「
目
前の
恐
怖な
ど
は、
心に
思い
描く
恐怖に
く
らぺ
れ
ば
小
さ
い
もの
だ。
殺人
とい
うこ
と
は
ま
だ
わ
ずか
に
想像の
こ
と
に
す
ぎぬ
の
に、
こ
の
私の
体は
が
た
が
た
と
養え
、
心の
働ら
き
は
鈍っ
て
妄想の
み
踊
り、
現
在に
ない
も
の
し
か
い
ま
は
存
在
し
ない
+
(
1 5)
「
こ
うで
あ
る
こ
と
ほ
何の
価
値も
ない
、
安
ら
か
に
こ
う
で
あ
る
の
で
な
け
れ
ば+
(
16)
「
(
ダン
カ
ン
)
こ
の
城
は
気
持の
よ
い
とこ
ろに
あ
る。
さ
わ
や
か
な
風
が
や
さ
し
く
肌に
当っ
て
快い
。
(
パ
ン
ク
オ
⊥夏訪れ
て
寺院に
多く
見か
け
られ
ま
すあ
の
つ
ば
め
が、
せっ
せ
と
巣を
作っ
て
い
る
の
を
見
ま
して
も、
こ
の
あ
た
り
に
は
天の
息
吹
きが
か
ぐ
わ
し
く
薫っ
て
い
る
こ
と
が
わ
か
り
ま
す。
軒
先、
な
げ
しの
下、
控え
壁、
そ
の
他
都合の
い
い
隅とい
う
隅に
、
こ
の
鳥が
吊
床や
雛の
溜藍
を
か
けて
い
ない
とこ
ろ
は
あ
り
ませ
ん。
こ
の
鳥
β3 β
が
好ん
で
集ま
り、
巣を
作る
とこ
ろ
は、
経験に
よ
り
ま
す
と、
空
気が
す
が
す
が
し
うご
ざ
い
ま
す+
(
1 7)
「
世
間
を
欺く
た
めに
は、
世
間の
人と
同じ
顔を
し
て
い
な
けれ
ばい
け
ま
せ
ん。
限に
も、
手に
も、
舌に
も、
歓
迎の
お
気
持を
あ
ら
わ
し
て。
外
観は
無
心の
花
と
見せ
か
け、
実は
そ
の
か
げに
い
る
蛇に
な
る
の
で
す+
(
1 8)
「
さ
あ、
行こ
う。
顔色を
よ
く
して
世
人
を
欺
く
の
だ。
偽
りの
心の
た
く
ら
み
は
偽り
の
顔で
隠すし
か
ない
+
(
1 9)
「
何とい
う
私の
手
だ。
は、
限の
玉
が
飛
び
出
し
そ
う
だ。
大ネ
プ
チュ
ー
ン
の
大
洋の
水
をつ
く
し
て
も、
私の
手
か
らこ
の
血
を
洗い
去る
こ
と
は
で
き
ま
い。
い
や、
こ
の
私の
手が
、
か
え
っ
て
あの
広
大な
大
海
原を
朱に
染め
、
線の
波
を一
面の
真紅に
変
えて
し
ま
う
だ
ろ
う+
(
2 0)
「
こ
ん
な
事の
起こ
る一
時
間
前に
死
んで
い
た
ら、
幸
福
な
一
生
を
送れ
た
もの
を。
い
まこ
の
と
き
か
ら
後は
、
も
は
や
こ
の
世
に
は
真に
大
事
な
もの
は一
つ
も
な
くなっ
た。
すべ
て
取
る
に
足ら
ぬ
も
の
ば
か
り
だ。
誉れ
も
徳も
死に
絶え
た。
い
の
ちの
酒
は
飲み
干さ
れて
、
こ
の
地
下
倉に
残さ
れ
て
い
る
の
は
た
だ
お
り
か
すば
か
り
だ+
(
一
橋大
学
教
授)
( 3 9 ) 『マ ク ベ ス』 の テー
マ と 言葉
∂3 7
「