9
海外インターンシップ報告書 獨協大学 国際教養学部 言語文化学科 3年 有川 夢乃 平 成 27 年 8 月 17 日 ~ 平 成 27 年 9 月 5 日 ハワイプリンスホテル I. インターンシップの目的・動機 私がこのインターンシップに参加しようと思った動機はこの埼玉県海外イ ンターンシップの募集ポスターを見たとき、世界的に有名な観光地ハワイでイ ンターンシップができるとはなんて魅力的なプログラムなのだろうと思った ことがきっかけだ。もともとホテル業に興味があり、ハワイのホテルで研修で きると想像しただけでわくわくした。また、春学期にハワイ文化の授業をとっ ていたこともあり、ハワイについても関心があったため機会があればいつか行 ってみたいと思っていたので、このインターンシップは私にとって魅力のつま った内容だった。 このインターンシップでの私の最大の目的は、多くの日本人が訪れるハワイ という土地での「おもてなし」とはどのようなものなのかをみてくるというこ とだった。ハワイはあらゆる人種の人々が訪れる観光地であり、特に日本人は 非常に多く、どのようにして彼らのニーズに応えているのかを知りたいと思っ た。 II. 実習内容と各部署で気づいたこと、感想 14日間の勤務日の中でほとんどの部署をまわることができた。 第一週目 会社概要と社員ハンドブックを見てハワイプリンスホテルが目指すホテル 像や会社のルールなどを学んだ。ライバルホテル6か所(シェラトン、ロイヤ ルハワイアン、ハイアット、パシフィックビーチホテル、マリオット、モアナ サーフライダー)をまわった。それぞれ違った売りや特色があり非常に興味深 かった。 エンジニア、理事、IT、予約係、会計ではそれぞれに部署のマネージャーに 仕事内容を説明していただいた。どの部署の方々もプロフェッショナルであり、 困難な内容でも円滑に対応している姿がみられた。 理事部の秘書の方にお客様のアンケートを読ませていただいたとき、自分が

海外インターンシップ報告書 獨協大学 国際教養学部 言語文化学科 · 2019-02-22 · 海外インターンシップ報告書 獨協大学 国際教養学部

  • Upload
    others

  • View
    7

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

海外インターンシップ報告書

獨協大学 国際教養学部 言語文化学科

3 年 有川 夢乃

平成 27 年 8 月 17 日~平成 27 年 9 月 5 日

ハワイプリンスホテル

I. インターンシップの目的・動機

私がこのインターンシップに参加しようと思った動機はこの埼玉県海外イ

ンターンシップの募集ポスターを見たとき、世界的に有名な観光地ハワイでイ

ンターンシップができるとはなんて魅力的なプログラムなのだろうと思った

ことがきっかけだ。もともとホテル業に興味があり、ハワイのホテルで研修で

きると想像しただけでわくわくした。また、春学期にハワイ文化の授業をとっ

ていたこともあり、ハワイについても関心があったため機会があればいつか行

ってみたいと思っていたので、このインターンシップは私にとって魅力のつま

った内容だった。

このインターンシップでの私の最大の目的は、多くの日本人が訪れるハワイ

という土地での「おもてなし」とはどのようなものなのかをみてくるというこ

とだった。ハワイはあらゆる人種の人々が訪れる観光地であり、特に日本人は

非常に多く、どのようにして彼らのニーズに応えているのかを知りたいと思っ

た。

II. 実習内容と各部署で気づいたこと、感想

14 日間の勤務日の中でほとんどの部署をまわることができた。

第一週目

会社概要と社員ハンドブックを見てハワイプリンスホテルが目指すホテル

像や会社のルールなどを学んだ。ライバルホテル 6 か所(シェラトン、ロイヤ

ルハワイアン、ハイアット、パシフィックビーチホテル、マリオット、モアナ

サーフライダー)をまわった。それぞれ違った売りや特色があり非常に興味深

かった。

エンジニア、理事、IT、予約係、会計ではそれぞれに部署のマネージャーに

仕事内容を説明していただいた。どの部署の方々もプロフェッショナルであり、

困難な内容でも円滑に対応している姿がみられた。

理事部の秘書の方にお客様のアンケートを読ませていただいたとき、自分が

想像していた以上に日本人は厳しい目を持っていることに気が付いた。特に日

本のプリンスホテル系列というだけで期待をして泊まりに来ているように感

じた。

フロントとベルでは実際に同行しどのような仕事をしているのか間近で見

せていただいた。フロントには本当に様々なお客様が様々な要望で訪れ、その

要求にフロントスタッフが手際よく対応していた。フロントにいたのはたった

2、 3 時間だったがただ立っているだけというのがあんなにも疲れるとは思っ

てもいなかった。

ハウスキーピングでは大まかな説明の後、掃除が終わった部屋を回りチェッ

クする係の方と部屋を回った。その方も日本人のお客様はとても厳しいので入

念にチェックをすると言っていた。

その後洗濯係に行き少しお手伝いをした。一緒に働いたフィリピン人女性は

アイロンの機械の仕事だけを 15 年間も続けていると言っていた。暑い中文句

も言わずニコニコと仕事をしている姿をみてこの人たちがいてくれているか

らこのホテルが成り立っているのだと改めて感じた。

第一週目最終日はウェディングパーティの仕事に同行。ホテルで行われるパ

ーティや交流会のイベントはアルバイトが多く、本職は警察や教師、学生だと

いう方たちがいた。イベントでは式場内のスタッフだけではなく、エンジニア、

フロント、ベルなどとのコミュニケーションがとても大切だと言っていた。

ロイヤルハワイアンホテル。古いホテルではあるが、歴史のある上品な造りの

ホテルだった。

シェラトンホテルが目玉としているプール。まるで海に入っているように思わ

せる造りとなっており、飲み物を飲みながらプールに入ることができる。プー

ルサイドにはバーやレストランもあり、プリンスホテルとは違い大変賑わって

いた。

左 :パーティ会場。初めて見るアメリカの結婚式はとても興味深かった。

右 :パーティに使うナプキンをたたむお手伝い。パーティが落ち着き手が空い

た時間は皆で大量のナプキンをたたむのだそう。

第二週目

第二週目は早朝のハウスキーピングで始まった。一人のメイドさんに付き仕

事をお手伝い。掃除やベッドメイキングをやらせていただいた。このホテルは

1 つのベッドにつき 4 枚のシーツを使用しているため剥ぐだけでもひと苦労だ

った。チェックアウトされた部屋は継続で使われる部屋よりも更にきれいにす

るのでかかる時間が全然違う。

ラウンジではラウンジに来られるお客様の対応をした。ラウンジ利用のお客

様対応だけではなく、コンシェルジュとして様々な手配のお手伝いもしている。

よいお客様もいれば対応に満足していないお客様も大勢いて必ずしも感謝さ

れるわけではなく、むしろ謝るほうが多い仕事だと思った。解決策への「答え」

がないため日々試行錯誤しているという。

営業部では日本とハワイの交流イベントのお手伝い。日本人のお客様と直接

関わる機会があったが、どれだけ日本人が厳しい目を持っているか痛感した。

キッチンではサンドウィッチ作りやフルーツを切るなど簡単な仕事をお手

伝い。午前はこのホテルで 25 年働いているという 72 才の方についた。このホ

テルのスタッフは彼女のように長年プリンスにいるという方が多く、それだけ

この職場が働きやすいのだということがわかった。

ハウスキーピングもキッチンもフィリピン人が多く裏ではフィリピン語が

飛び交いわきあいあいと仕事をしていた。

第二週目最終日はプリンスホテルから車で約 40 分のゴルフ場に行った。そ

の日はアマチュアの大会があるということで 100 台以上のカートを並べるた

めに運転させていただいた。計 27 ホールあるという広大なゴルフ場は丁寧に

手入れされていた。

自分たちでベッドメイキングしたベッド。一人でやるにはかなりハードな作業

だ。

ベイカリーでお菓子作り。楽しくて夢中で作った。

営業部。毎回違う団体と要望に応えるのは簡単なことではないと実感した。

ゴルフ場。芝生が青々としていてカートの運転がとても気持ち良かった。

第三週目

朝食ビュッフェ、カフェ、プールサイド、ルームサービスと飲食系をまわっ

た。カフェでは実際にコーヒーを作らせていただいた。ホテルにあるカフェに

も関わらずかなりの種類のコーヒーやスムージーがあり、どれも本格的な味だ

った。プールサイドもお酒の種類が充実していた。

夜の部では夜のルームサービス、ディナーの予約係とホールを見学、お手伝

い。予約係は一人でブッフェに来られたお客様の案内と電話応対をしていた。

2 台の電話を同時に片耳ずつでとっている姿には驚愕した。

日本食ビュッフェではこのインターンシップで一番働いたと言っても過言

ではないくらいお手伝いさせていただいた。日本人のお客様にチップのことを

聞かれたときにうまく答えることができなかった。チップの習慣がない日本人

にとっては理解しづらい文化なのだと思った。仕事終わりにブッフェの食事を

いただくことができた。 20 数年変わらず同じ料理長が守ってきた味は、日本

人にとっても他の国の方にとっても大満足の味だった。

最終日はコンシェルジュの仕事を見学させていただいた。お客様の旅のお手

伝いの他に、ホテルを予約した方からの問い合わせメールやお帰りのお客様の

ネットチェックインなど仕事内容が本当に幅広かった。

ルームサービス。飲み物も食べ物もすべてカバーするというのがルームサービ

スの鉄則。

カフェにて自分で作ったモカ。他にもスムージーやスパム巻を試食させてもら

ったがどれもおいしかった。

日本食レストラン「箱根」。料理長がその場で握ってくれるお寿司は絶品。他

にもしゃぶしゃぶやお刺身など本格的な日本食が並んでいた。

III. 実習の成果

前にも述べたが、このホテルの従業員の多くは長年同じ職場に勤めていると

いう。創業した日からいるという人も各部署で何名もいた。どれだけこの職場

が働きやすいのか明確である。それぞれがプロフェッショナルな仕事をして自

分自身の職に誇りを持っていた。長年働く人が多くいれば安心してその職場を

任せることができ、彼らの長年の経験があればホテルがよりよくなるために

色々な意見を聞くことができる。

このホテルに 20 日間研修をして一番印象に残ったのは、従業員が皆家族の

ように仲が良いことだ。自身の部署内はもちろん、他の部署同士でも仲が良く、

従業員同士ホテル内ですれ違う時は誰にでも「 Aloha」とあいさつをしていた。

私たちのことも、自分たちの仕事が忙しいのにも関わらず温かく迎え入れてく

れた。どの職場も和気あいあいとした雰囲気で、長く働いている方が多いのも

これが一つの理由なのではないかと思った。研修中も何名かの方が今の職場に

満足していて、ここで働けることが幸せだと言っていた。部署同士隔てなく仲

が良いとコミュニケーションを取りやすくなり、より円滑な仕事をできるよう

になると思う。

ハウスキーピングのマネージャーは「私たち(ハウスキーピングの従業員)

は助けを要請されれば何でもやります。たとえそれがフロントの仕事であって

も。なぜなら他の部署に助けを求めるということはそれだけ大変な状況だとい

うことだからです。」とおっしゃっていた。彼らはお互いに助け合い協力して

このホテルを守っていた。この和気あいあいとした雰囲気はお客様にも少なか

らず伝わっているのではないだろうか。良いホテルの条件は、良い人間関係な

のだとこの研修を通して知ることができた。

IV. 感想

この研修を通してホテルはもちろん「会社」というのは本当に多くの人々に

よって支えられているのだなと思った。どの部署もなくてはならない存在で、

本当に様々な方向からホテルを支えていた。従業員だけではなく、もちろんお

客様もホテルを支えている一員だ。金銭面だけではなく、お客様の声はよりよ

いホテルにするひとつのツールである。お褒めのお言葉も厳しいご意見もホテ

ルが成長していくためになくてはならないのだ。ホテルがどのように成り立っ

ているのかひとつひとつの部署を回ってみないと気付かないようなことだっ

たのかもしれない。

また、私はどの企業に就職したとしてもハワイプリンスホテルの従業員の

方々のように自分の仕事に誇りを持って、笑顔を忘れないでいれるような職場

に就きたいと強く思うようになった。ハワイのように肩の力を抜いて楽しく仕

事をするという風潮と違い、きっちりとしたルールのもと規則正しい仕事を求

められる日本の職場ではそれは難しいのかもしれないが、私が周りを巻き込ん

で和気あいあいと働けるような環境を作る勢いで仕事をしたいと思った。

インターンシップでの目的のひとつに、ハワイでの「おもてなし」とはどの

ようなものなのかを知るという目標があった。ハワイプリンスホテルは

「 Lokomaika’i」というハワイの言葉でおもてなしという意味であるこの言葉

を大切にしていた。お客様に快適な旅をしていただけるようなホテルであり、

さらに従業員にとっても安心して働けるような会社であるということを目標

としていた。お客様ひとりひとりに「 Aloha」と声をかけホテルに歓迎する姿

勢はどの部署の方も同じであった。先にも述べたように従業員にとっても居心

地の良いホテルだということもまた「 Lokomaika’ i」の言葉を常に心にとめて

いるからなのだろう。また、もうひとつの目的であったどのように日本人のお

客様のニーズに応えているのかということについて述べたいと思う。ハワイプ

リンスホテルにはアメリカのホテルでは珍しいお風呂があった。日本人にとっ

てホテルではシャワーとお風呂が分かれているのは当たり前だがアメリカの

ホテルではユニットバスほとんどである。ハワイプリンスホテルではお風呂に

浸かってお客様に旅の疲れをとっていただけるようにしているのだといって

いた。また、今は機械が壊れていて一部のお客様にしか渡せていないが、日本

人のパイロットとキャビンアテンダントにはフロントでおしぼりを渡してい

た。日本人はこのような小さな気遣いに満足し安心するのだと思った。

私が今後努力が必要だと思ったことは、誇りが持てるような仕事をすること。

今はアルバイトの身だが、バイトリーダーも任され他のスタッフのお手本にな

るような仕事を求められている。しかし私はどの業務も浅い知識と経験しかな

いので、誇りを持てるような仕事をまだできていないのだ。毎回毎回違った要

望に手際よく応えるプリンスホテルの従業員たちをみて彼らのような誇りを

持てるようなプロフェッショナルな仕事をしたいと思った。

会社への感謝の気持ち

今回の研修はごくわずかな限られた人しか経験できないようなことをたく

さん経験させていただきました。ここには書ききれないほど多くのことを学び、

自分自身大きく成長させていただきました。皆様に温かく迎え入れフレンドリ

ーに接していただき、毎日本当に楽しかったです。この貴重な体験を無駄にせ

ず、この経験をもとに更なる成長につなげていきたいと思います。このような

機会を与えていただき、誠にありがとうございます。今後ともよろしくお願い

いたします。