20
ネットワークの基礎 131 学校で使うネットワーク 校内 LAN においてファイル(データ)や教材を共有したり,プリンタや周辺機器 を共有して利用することにより,教職員が校務を効率的に行えるようになります。 さらに,IT教育センターネットワーク(教育用イントラネット)へ接続すること で,ネットワークに接続した教室のコンピュータよりインターネットの情報を収集し たり,学校間で TV 会議やメールを用いて児童生徒が交流学習をすること可能になり ます。 ネットワーク基礎 インターネット 校内 LAN A学校 ・データ ・教材 ・周辺機器等の共有 インターネットで 情報収集 教育用イントラネット利用して安全学習環境提供 ネットワーク基礎 IT教育センター

ネットワーク の基礎 ネットワーク の 基礎it.open.ed.jp/text/09.pdf · 2007-06-03 · ネットワークの基礎 131 1学校で使うネットワーク 校内 lan

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ネットワークの基礎

131

1 学校で使うネットワーク

校内 LAN においてファイル(データ)や教材を共有したり,プリンタや周辺機器

を共有して利用することにより,教職員が校務を効率的に行えるようになります。

さらに,IT教育センターネットワーク(教育用イントラネット)へ接続すること

で,ネットワークに接続した教室のコンピュータよりインターネットの情報を収集し

たり,学校間で TV 会議やメールを用いて児童生徒が交流学習をすること可能になり

ます。

ネットワークの基礎

インターネット

校内 LAN

A学校

・データ

・教材

・周辺機器等の共有

インターネットで

情報収集

教育用イントラネットを利用して安全な学習環境の提供

ネットワークの基礎

IT 教育センター

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IT 教育研修テキスト

132

1.1 校内 LAN を利用して

児童生徒や教職員が校内のどこからでもインターネットに接続でき,情報が収集できる

環境を構築することで,情報化社会を担う児童生徒の情報活用能力を育成し,教師の「魅

力ある授業」や「わかる授業」を展開するための有効な教材や情報収集の場として,ネッ

トワークを活用することができます。

また,児童生徒の日々の学習活動の記録や成績,指導記録等を職員で共有するシステム

(進路相談支援システム)やグループウェアで活用することにより校務処理の効率化が図

れます。

1.2 校内 LAN を構築する場合に,特に配慮することとして

インターネットや教材の共有サーバは児童生徒も教師も利用できるようにしながら,児

童生徒側のコンピュータから教師用のコンピュータや校務処理のサーバへの接続が出来な

いようにする設定にしておくことが必要です。

サーバー

ルータ

プリンタ

サーバー

プリンタ

教師側 生徒側

×

共通領域

資料 教材

成績 個人

データ

etc.

etc.

校務分掌

成績資料

スケジュール

校務処理の効率化インターネットで情報収集 学習環境の拡大

メール

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ネットワークの基礎

133

2 LAN を構築するには

2.1 コンピュータを接続するための機器

【 LAN アダプタ 】

コンピュータを LAN に接続するために必要な機器で,コンピュータに標準で装備さ

れています。

デスクトップ内蔵型 PCカード型 ノートコンピュータ内蔵型

【 ハブ(HUB) 】

ネットワークケーブルを集約し接続する機器で,接続するパソコンが増えた場合や,

離れた場所を接続したい場合はハブを複数使って簡単に LAN を拡張することができま

す。

ハブ(10/100M)

【 LAN ケーブル 】

現在多く使われているのはツイストペアケーブルで,ハブに接続できるようにモジュ

ラージャック(RJ-45)が両端についており簡単に抜き差しができるようになって

います。最大長は100mで,それよりも長くなる場合はハブを間に入れて延長するこ

とができます。

UTP ケーブル RJ-45

ハブ(HUB)

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IT 教育研修テキスト

134

2.2 ネットワークの接続方法

ネットワークの構成としてインターネットへ接続することを想定して基本的な接続方法

を見てみることにしましょう。

◇ コンピュータをつなぐ(複数台)

複数台コンピュータを接続するためには,

集線装置(ハブ)が必要です。ケーブルを

つなぐ口のことをポートと呼びます。5本

のケーブルをつなぐことのできるハブは,

5つポートを持っていることになります。

コンピュータとハブを接続する UTP ケー

ブルは,ストレートケーブルを使います。

ハブのポートが足りなくなったらハブに別

のハブをつないでポートを増やすことがで

きます。ハブ同士の接続の場合には接続す

るポートの位置や切り替えスィッチが準備

されているハブがあるので,ハブの取扱い

説明書を参照してください。

◇ IP アドレスをつける

ネットワークに接続されたコンピュー

タが増えるとデータのやりとりをする場

合,どこからきてどこに送りたいデータ

なのかわからなくなります。そこでネッ

トワークに接続するコンピュータに住所

(IP アドレス)をつけます。また,同時

にいくつものデータがネットワーク上を

行き交うためにはいくつかの仕組みやル

ールが必要です。ネットワークを通して

コンピュータ同士が情報をやりとりする

手順をネットワークプロトコルと呼び,

インターネットで標準として用いられて

いるネットワークプロトコルをまとめて

TCP/IP と呼んでいる。ネットワークの

接続では,ケーブルやハブでコンピュー

タをつなぎ,TCP/IP の設定を行わなけ

ればならない。

ハブ

別のハブへ

ハブ

A さんから

C さんへの

データA さん

B さん

C さん

D さん

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ネットワークの基礎

135

◇インターネットにつなぐ

異なるネットワークをつなぐときにルータを用います。ルータは LAN 同士や LAN とイ

ンターネットといった異なるネットワークを相互接続します。流れる情報の宛先(IP アド

レス)を判断して LAN 側に情報を取り込んだり WAN 側(インターネット)に転送した

りします。

2.3 ネットワークの設定(XPの場合)

ネットワークが利用できるようにするためには,Windows のネットワーク設定を行う必

要があります。Windows2000 以降はプロトコル(通信の方式)に TCP/IP が標準となって

おり,LAN からインターネットの接続が,そのまま利用できるようになります。

スタートから「コントロールパネル」を選んで

クリックします。

インターネット

ルータ

ハブ

ハブ ハブ

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IT教育研修テキスト

136

コントロールパネルから「ネット

ワークとインターネット接続」をク

リックします。

「ホームネットワークまたは小規

模オフィスのネットワークをセット

アップまたは変更する」をクリック

します。

「ネットワークセットアップウィ

ザードの開始」というウインドウが

開いたら「次へ」をクリックします。

「接続する前に」と表示されるの

で内容を確認して「次へ」をクリッ

クします。

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ネットワークの基礎

137

「接続方法を選択してください」

という表示になったら「その他」を

選択して「次へ」をクリックします。

「ほかのインターネット接続の方

法」が表示されたら「インターネッ

トに接続していないネットワークに

属している」を選んで「次へ」をク

リックします。

「このコンピュータの説明と名前

を入力してください」と表示された

ら,重ならないようにコンピュータ

名を入れていきます。

(例 NTR116)

「ネットワークの名前を付けてく

ださい」と表示されたら「ワークグ

ループ名」のところにグループ名(例

NTR)を入れて「次へ」をクリック

します。

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IT教育研修テキスト

138

「ネットワークに接続する準備

ができました」と表示されたら「次

へ」をクリックします。

「しばらくおまちください」と

いう画面がでます。

「もう少しで完了です」と表示

されたら,「ほかのコンピュータで

ウィザードを実行する必要はない

(ウィザード終了)」を選択して

「次へ」をクリックします。

「完了」をクリックします。

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ネットワークの基礎

139

2.4 IPアドレスの設定(XPの場合)

スタートから「コントロールパネル」を

選びます。ウインドウが開いたら「ネット

ワーク・インターネット接続」を選びます。

「ネットワークの接続」をクリックします。

ローカルエリア接続のアイコンを右クリ

ックしプロバティを開きます。

ローカルエリア接続のプロパティから,

「インターネットプロトコル(TCP/IP)」を選びプロバティをクリックします。

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IT 教育研修テキスト

140

インターネットプロトコル(TCP/IP)の

設定例(1) 家庭用のダイアルアップルータなどを

使っている場合には IP アドレスを自動

的に割り振る(DHCP)機能が標準にな

っている場合がほとんどです。この場合

には,①IPアドレスを自動的に取得する。

②DNS サーバのアドレスを自動的に取

得する。という設定ですぐに使えるよう

になります。

インターネットプロトコル(TCP/IP)の

設定例(2) 学校などで LAN を利用する場合には,

不正利用の防止などのためにも IP アド

レスの管理も必要となってきます。

(設定例)

①次の IP アドレスを使う IP アドレス 10.1.10.119サブネットマスク 255.255.255. 0デフォルトゲートウェイ 10.1.10.1 ②次の DNS を使う 優先 DNS サーバ 10.1.3.114 代替 DNS サーバ 10.1.3.115

IP アドレスは,コンピュータごとに違う番号を入力してください。同じ番号があると通

信ができなくなることがあります。

サブネットマスクは,どれだけの台数を一つのネットワークで管理するかを決めるもので

す。LAN の場合には通常 253 台まで一つのネットワークで利用できる 255.255.255.0 という

のがよく使われています。

デフォルトゲートウェイは,LAN から次のネットワークへ接続するときの出入り口とな

ります。通常は LAN 内に1カ所だけ指定されます。1番または,254 番を使うことが多い

です。

DNS サーバは,IP アドレスを直接使うのではなくて,覚えやすいようにドメインネーム

を使えるようにするしくみです。名前解決をするためのデータを持っているサーバに問い合

わせることでLANだけでなくインターネットの特定のサーバまで指定して通信を行うこと

ができるようになります。優先 DNS サーバには校内の DNS サーバのアドレスを設定し,

代替 DNS サーバにはセンターの DNS サーバ(10.1.3.114 と 10.1.3.115)を設定します。

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ネットワークの基礎

141

2.5 プロキシの設定(Internet Explorer 場合)

校内 LAN では,プロキシサーバが起動しています。インターネット接続を行うためには,ブラウ

ザにてプロキシの設定を行ってください。

インターネットエク

スプローラを起動し,

「ツール」をクリック

する。

※プロキシの設定が行

われていないコンピュ

ータの場合には,Webページに接続されない

メッセージがでる。

「ツール」の「インタ

ーネットオプション」

-「接続」とクリック

していく。

「LAN の設定」をクリ

ックし,次の画面を表

示する。

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IT教育研修テキスト

142

「LAN にプロキシサーバ

を使用する」にチェック

をつけ,「アドレス」に

proxy.noc.open.ed.jp,

「ポート」に 8080 を入力

する。

詳細設定をクリックし,

HTTP のアドレス,プロ

キシポート番号を確認し

てください。

「OK」ボタンを押して完

了。

§プロキシサーバとは

プロキシ(代理)という言葉が示す通り,インターネット上の目的のコンテンツ(ファイルや Web ペ

ージ等)をユーザーのコンピュータの代わりに取って来てくれる機能を提供するサーバです。内部

から外部へのアクセスを集中して管理できファイアウォールを合わせて利用することでセキュリティ

を高めることができます。また,代行して取得したデータをキャッシュして利用することでネットワー

クトラフィックの軽減を図ることができます。

プロキシサーバの主な働き

キャッシング ・・・ コンテンツ取得の高速化,サーバ負荷の軽減,トラフィックの軽減

フィルタリング ・・・ コンテンツへのアクセス制限

通信経路変更 ・・・ 通信の高速化

匿名性確保 ・・・ プライバシーの保護,セキュリティの強化,アクセス制限の回避

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ネットワークの基礎

143

3 ファイル(フォルダ)の共有

ネットワークでファイルの共有を行

うことで他のコンピュータに保存され

ているファイルを自分のコンピュータ

に保存されているように扱うことが出

来ます。

Windows を使う場合には,フォルダ

ごとやドライブ(ハードディスクや

CD-ROM 等)ごとに共有の設定を行う

ことができます。学校内でデータを共

有したい場合には,サーバマシンを準

備しなくても1台のコンピュータのフ

ォルダを共有化することで実現できま

す。

◇共有フォルダの設定(XPの場合)

デスクトップの共有したいフォルダを選択

するか,新規にフォルダを作成してください。

フォルダを右クリックし「共有とセキュリテ

ィ」をクリックします。

共有フォルダのプロパティが開いたら,「ネ

ットワーク上での共有とセキュリティ」から,

「ネットワーク上でこのフォルダを共有する」

にチェックを入れて「OK」します。

※WindowsXP では簡易設定が標準(デフォル

ト)となっています。この場合は共有フォルダ

をだれでもアクセスできるようになっています

ので注意してください。

共有したいフォルダに手

のマークが追加されると

共有開始です。

資料A

資料A

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IT 教育研修テキスト

144

4 セキュリティ対策

4.1 セキュリティ対策の必要性

校内 LAN をインターネットに接続することにより,大量な情報を簡単に手に入れるこ

とができるようになりました。しかし,同時に情報化社会の影の部分も身近に迫ることと

なり,ネットワークを活用するに当たり必要な情報セキュリティの対策を立てなければな

りません。

校内で発生する可能性のあるトラブルと主なセキュリティ対策

トラブル 対策

ウィルス感染 ・ウィルス対策ソフトの導入

・OS のアップデート

・Web ブラウザのセキュリティ設定

・メーラーのセキュリティ設定

機器障害 ・バックアップ(データ,機器)

・無停電電源装置の設置

不正侵入 ・パスワード管理

・ファイアウォールの導入

・OS,ソフトウェアのアップデート(セキュリティホー

ルをなくす)

情報漏洩 ・ユーザー権限やパスワードの管理

・ファイアウォールの導入

・無線 LAN のセキュリティ設定

・情報管理規則の徹底(保管,廃棄,コピー等)

その他

※トラブルではないが

セキュリティ対策とし

て必要な事項

・セキュリティ対策についての校内研修や授業

・不適切コンテンツのフィルタリング

4.2 ウィルス対策

インターネットや,LAN 等を使う場合まず,

最初に注意しなければならないのが,コン

ピュータウィルスです。これは,ユーザー

の知らないうちにパソコンに侵入し,大切

なデータを破壊し,他のパソコンへ感染し

さらに増殖していくことがあります。

USB メモリや CD-R などからも感染しま

すのでネットワークに接続していないから

と言って安心はできません。ウィルス対策

を怠ると,重要なデータが消失し,コンピ

ュータシステムを復旧するのに多大な時間

を要するなどの被害を受けます。

コンピュータ

電子メール

USB メモリ CD-R等

コンピュータコンピュータコンピュータ

ネットワーク

ウイルスの侵入

ウイルス対策ソフト

Webページの閲覧

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ネットワークの基礎

145

(1) ウィルスの感染経路

① 電子メール

電子メールに添付されてくるファイルやHTMLメールを開くだけでも感染します。

② ダウンロードしたファイル

フリーソフトなどインターネット上に公開されているものの中にウィルスに感染し

ているものがあります。また,自動的にファイルをダウンロードさせるようになって

いる Web ページがあるなど悪意で感染させようとするところもあります。

③ USB メモリなど

他のコンピュータへファイルを移動する際に利用する媒体に感染したプログラムや

ファイルがあると次々に感染していくことになります。エクセルやワードなどのファ

イルに感染するマクロウィルスなどもあります。

ウィルスに感染すると「パソコンのシステムが破壊され起動しなくなる」,「ウィル

スに感染したメールを自動的に送信する」,「コンピュータ内にあるデータを添付して

送る」ということもあり情報が漏れる可能性があります。

(2) ウィルス対策ソフト

ウィルスからパソコンを守るためにはウィルス対策ソフトを導入しなければなりません。

市販の代表的なソフトとしては,Norton AntiVirus(株式会社シマンテック)やウイルス

バスター(トレンドマイクロ株式会社)などがあります。

パソコン起動時に自動的にウィルス対策ソフトが起動するようになっており,メールや

フロッピーディスクなど外部から入ってくるウィルスを即座に確認できるようになってい

ます。

また,新種のコンピュータウィルスに対応するために,「ウィルス定義ファイル」の更新

を行い常に最新の状態にしておく必要があります。市販のウィルス対策ソフトではインタ

ーネットに接続できる環境があれば自動的に更新することもできます。

4.3 不正アクセス対策

不正アクセスとは,侵入者が企業や団体,教育機関,個人などのシステムに何の権限も

なく不正に利用したり,運用を妨害したり,破壊したりすることです。

実際行われているのが,①他人のID,パスワードを利用して「なりすまし」てシステ

ムに侵入する。②セキュリティのあまいサーバなどを踏み台にして犯人がわからないよう

にして攻撃をかける。③We

bページなどの情報を改ざん。

さらに,④サービス停止(D

os攻撃)など特定の対象を

狙った攻撃も行われています。

これらは,個人のコンピュ

ータでもインターネットに接

続していれば,知らないうち

に被害を受け,さらに加害者

となってしまうことがありま

すので十分注意が必要です。

コンピュータ

ID、パスワードの不正使用

ネットワー クからの侵入

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IT 教育研修テキスト

146

4.4 個人のセキュリティ対策

(1) ユーザー認証

利用したいシステムにあらかじめ登録されているユーザーIDとパスワードを使うこと

が多く用いられています。インターネットへ接続する場合や,メール,Webページのデ

ータを転送する場合などにも使われています。

(2) パスワードの決め方

メールなどのパスワードは管理者から与えられた初期値のパスワードを自分で変更して

他人にわからないようにしてください。

パスワードをつけるときには,名前,生年月日,電話番号など本人の個人情報などから

簡単に類推できるものや辞書などに載っている単語は使わないようにしてください。

(3) パスワードの管理

・他人に入力してもらうことや,パスワードの入力を見られないようにする。

・パソコンの近くにメモしておいたり,他人に見られそうな場所には書かない。

・パスワードを他人に教えない。

・定期的にパスワードを変更する。

などの注意が必要です。

5 TCP/IP の基礎知識

現在のネットワークでは TCP/IP というプロトコルが広く使われており,Internet は

TCP/IP により実現されている巨大なネットワークであるといえます。また,現在では

Windows の標準プロトコルも TCP/IP となっています。

【 IP 】

IPは Internet Protocol という名前が示すように,多数のネットワークに接続された個々

のコンピュータの間でデータをやり取りするためのプロトコルです。

IP アドレスという情報を使って,個々のコンピュータやコンピュータが接続されている

ネットワークを識別することができます。

IP アドレスで識別されるノード間で,データを収めたパケット(IP データグラム)を

やり取りすることができます。このとき,送受信するノードが別のネットワークに接続さ

れていれば,ネットワークを相互に接続するルータという機器が適切に中継を行うことに

なります。

【 IP アドレス 】

現在広く使われているのは IP バージョン4(IPv4)という 32 ビットのアドレスで約43

億個の識別ができるようになっています。この32ビットを8ビットずつ区切って10進

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ネットワークの基礎

147

数になおしていくと 192.168.0.1 というような表記のしかたができるようになります。

【 サブネットマスク(ネットマスク) 】

各ノード(コンピュータなど)が接続されている個々のネットワーク(LAN セグメント)

を識別する情報と,そのネットワーク上のホストを識別する情報があります。32 ビットの

アドレスを,ビット単位で2つに分類し,一方をネットワークを表すアドレス,残りがホ

ストを表すアドレスと定めています。サブネットマスクは,上位から数えて何ビットまで

をネットワーク部とするかを定めています。下の図では,ネットワーク部(上位24ビッ

ト)とホスト部(下位8ビット)に分けられています。255.255.255.0 は /24 と表記する

ことができますので,IPアドレスとネットマスクをまとめて表記すると

192.168.0.1/24 と表記することができます。

ネットワークアドレス

上の例からネットマスクが 24 ビットの場合は 192.168.0.0 というアドレスが,ネッ

トワーク部として 192.168.0 を持つネットワーク全体を参照するものとなります。

ブロードキャストアドレス

ホスト部の全ビットが1になっているアドレスは,そのネットワーク内のブロードキャ

ストに使われます。この宛先を指定した場合は特定のノードに送られるのではなく,その

ネットワークに接続されているすべてのノードが宛先となり,ネットワークに接続されて

いるノードを確認することができるようになります。図の例からすると 192.168.0.255 が

ブロードキャストアドレスとなります。

IPアドレス割り振り例

IPアドレスには,ネットワークアドレス(ネットワーク内の最初のアドレス)と,ブ

ロードキャストアドレス(ネットワーク内の最後のアドレス)のようにユーザーが利用で

きないアドレスや,他のネットワークとの接続に使うゲートウェイ用にも特定のアドレス

を割り振っておく必要があります。以下のようにユーザーが自由に使えるIPアドレスの

数は253個となります。

IPアドレス 用途

0 ネットワークアドレス

1 ゲートウェイ(デフォルトゲートウェイ)

1 1 0 0 0 0 0 0 1 0 0 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1

1 1 0 0 0 0 0 0 1 0 0 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1

1 9 2 1 6 8 0 1

1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0

2 5 5 2 5 5 2 5 5 0

(0 ~ 2 5 5 )

IPア ド レ ス (3 2 ビ ッ ト )

8 ビ ッ トず つ 区 切 る

1 0 進 数 に す る

サ ブ ネ ッ ト マ ス ク

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IT 教育研修テキスト

148

2~254 ユーザーで利用可能(253個)

255 ブロードキャストアドレス

6 ネットワークのトラブル対応

ネットワークのトラブルには機器の故障やソフトウェアの不具合,ネットワークの設定ミスなどがあ

ります。トラブルの場合にはその原因を特定していくことで早い対応ができるようになります。ネット

ワークの障害としては次のようなものが考えられます。

(1) ハードウェアの異常

ハブやルータなどが故障や停電によるエラーなど。

(2) LAN ケーブルの異常

ケーブルの損傷,ハブなどのポートへの接続不良など。

(3) ネットワークの設定不備

IP アドレス,デフォルトゲートウェイ,DNS サーバなどの設定ミスなど。

(4) アプリケーションの設定不備

電子メールやファイル転送など,特定のサーバを指定したり,ユーザーID,パスワードなどの

入力項目の設定ミスやプロキシーサーバなどの設定ミスや,プログラムのバグなど。

6.1 トラブル解決手順

Windows にもネットワークの状況を確認するためのネットワークコマンドというのが使えるように

なっています。これらのコマンドは,デスクトップから「スタート」→「すべてのプログラム」→「アクセ

サリ」→「コマンドプロンプト」としてウインドウを開くと使えるようになります。

基本的なコマンドとして「ipconfig」,「ping」,「nslookup」の3つを利用します。

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ネットワークの基礎

149

【 ipconfig (コンピュータのネットワーク設定を確認する) 】

コマンドプロンプトの画面が開いたら,ipconfig と入力しエンターキーを押します。下の図

のように「Ip Adress」「Subnet Mask」「Default Gateway」の設定値を確認できます。

これが,LAN の設定にあっているかどうかを確認します。違う場合にはネットワークの設定か

ら行ってください。

例 C:¥>ipconfig

下の図のように IP アドレスが表示されネットワーク内のアドレスになっていることを確認します。

違うアドレスが表示されたりするときにはネットワークの設定を行ってください。

【 ping(ネットワーク接続確認) 】

特定のサーバや機器に対して信号を送って返ってくるかどうかを確認します。これによって,

サーバまでの経路またはサーバの稼働状況を確認することができます。

例 C:¥>ping www.open.ed.jp ※ここは IPアドレスでも可

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IT教育研修テキスト

150

※送ったパケットがロスしないで返ってくることを確認してください。100%ロスするようでしたら

LAN ケーブルや機器の不良がないか確認してください。

ネットワークの確認を行う手順としては,①

LAN 内の通信の確認としてデフォルトゲート

ウェイまで ping を行います。②次に外部のネ

ットワークまで ping を行います。通信ができな

い(Web などが閲覧できない)という場合に,こ

れらを行うことで経路に問題がないか確認で

きます。

ここでは紹介しませんが,「tracert」というコ

マンドを使うと途中の経路も表示できます。

【 nslookup(ドメインネーム情報の確認) 】

インターネットやLANではサーバを特定するときにIPアドレスではなくドメインネームを使います。

これらは,IP アドレスと1対1対応になっており,覚えやすいドメインで通信をおこなえるようになっ

ています。 コンピュータの設定で DNS サーバを正確に指定していなければこの機能は使えま

せん。pingなどのコマンドで物理的なネットワークにトラブルが無いのに Web ページや電子メー

ルが使えないという場合は,DNS サーバの設定を再度確認してください。

例 C:¥>nslookup Default Server: ns.noc.open.ed.jp Adress: 10.1.3.114

>www.yahoo.co.jp ←「>」がでたら www.yahoo.co.jp などを入力する。

Server: ns.open.ed.jp Address: 10.1.3.114

Non-authoritative answer: Name: www.yahoo.co.jp

Address:210.81.150.5, 211.14.15.5

例のように,Name と Address が表示

されれば DNS 情報を利用することが

できています。