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今年の 4 月 14 日 ( 火 ) ~ 19 日 ( 日 ) に開催された「ミラノサローネ(国際家具見本市)」に行ってきました!
■Milano Salone 2015
■ Trend color
ミラノサローネ 2015/ Milano salone
カラートレンド調査 #004COLORTREND
〇色の傾向
今年は久々にホワイトとブラックが多く出現し、イタリアらしいモダンな雰囲気が出てきていました。カラー
トレンドをさかのぼると 2007 年はホワイト&ブラックのハイコントラストなモダンテイストでした。2008 年に
はベージュをベースカラーとしたナチュラルへ変換期を迎えます。以降、ライトグレーをベースカラーとしたシッ
クへ、緩やかに変化が続きました。今年のようにホワイトとブラックの登場によるモダンテイストは8年ぶりです。
ベースカラーはベージュより明るい生成り、アクセントカラーにオーカーやレンガ色、ワイン色と彩度が上がっ
ており、全体的にはメリハリが見られるようになりました。これらの色の登場には 5 月から開催されるミラノ万
博のテーマ「エネルギーと食」が関係するようです。お米や香辛料と合わせたディスプレイも見られました。
ミラノサローネとは、イタリアのミラノで毎年開催される国際的な家具見本市のことで、メゾンエオブジェ、
ケルン国際家具見本市とあわせて世界 3 大家具見本市と呼ばれています。今年も世界中から約 31 万人が訪れま
した。近年では新しいデザインやカラートレンドの発信地として、インテリア業界はもちろん、様々な業界に大
きな影響を与えています。同じ展示を見ていても業界によって視点が異なりますし、私たちは毎年【色】【コーディ
ネート】【素材感】に着目して見ています。では、今年のトレンドをダイジェストでご紹介します!
○コーディネートの傾向
COLORTREND
■ Coordinate
Dovetail 78 Sociable 96
Hong Kong Mist 64 Slow Stopper 102 Dovetail 78
今年のコーディネートはソファやベッドなど、広い面積に生成りやグレージュが、クッションやテーブルには
ホワイト・ブラック・オーカー・レンガ色などがアクセントとして使われていました。ソファやクッション、
テーブルの色みが似ていたり、ニュートラル系でまとまったコーディネートなどが多く、壁面にアクセントカ
ラーを塗装し、家具を引き立たせているコーディネートが多数見られました。買い替えが難しい大型家具はベー
シックな色を選びがちであるため、このコーディネートは参考になりますね。日本の住宅では塗る面積や照明の
色を考慮し、もう少し明度を上げた色でも合うと思います。ミラノサローネで見られた壁面と近似の色をPXI会
員専用のエッセンシャルカラーから選び、ご参考までに写真の下に載せています。
水回りなど小面積でもアクセントカラーが効いていますね。まずはこういった場所から壁面塗装を試してみては
いかがでしょうか?
COLORTREND
〇素材の傾向
○CMF
■ Material
■ CMF
■写真①椅子の全体 ■椅子の背板[積層のアップ] ■積層の仕組み
トレンドカラーと合わせて毎年変化が見られる木目の今年の傾向は、ホワイトアッシュとブラックが多く見ら
れました。ブラックは照明の効果で木目がきれいに見えました。
レザーは、本来の色や質感を生かすようなツヤが出てきました。皮そのものの色がアクセントカラーにもなっ
ていますね。今年、特に多く出展されていたと感じる素材がガラスでした。ガラスの特性である透明や半透明の
透けをうまく使い、影や色のかさねを利用し、美しく魅せる姿が印象的でした。
最近、CMFという言葉をよく耳にしませんか?
CMFはカラーマテリアルフィニッシュと呼ばれ、すべてのモノの表面のことを言います。ミラノサローネで
はおもしろいCMFも多数見られました。例えば、写真①の椅子は何の素材でできているかわかりますか? こ
の波打つ模様は紙を重ねた積層によってできています。紙ですがこれだけ重ねているため、しっかりとした強度
もありそうです。思わず表面を叩いて確かめましたが、コンコンと硬い音がし、コーティングされているのもわ
かりました。
COLORTREND
今回のダイジェストはいかがでしたか? 関西ペイントCD研究所ではこうした調査結果をもとに、カラートレ
ンドの経年変化やインテリア空間におけるカラーコーディネート提案、ミラノサローネのちょっとした裏話など、
内容盛りだくさんのセミナーを今年も開催いたします。セミナー日程はPXIサイトのインフォメーションに掲
載しますので、ぜひチェックしてみてください!
○世界に認められる nendo
ミラノのマルペンサ空港を降りると玄関の正面に nendo(佐藤オオキさん)のパネルがお出迎えしてくれまし
た。イタリアの顔 !? でしょうか? 今年も見本市会場では数多くのブランドとコラボした nendo デザインを見る
ことができました。それだけではなく、市内でも「nendo works2014 ~ 2015」と題し、2 フロアにわたってずら
りと並ぶたくさんの作品を展示していました。日本のデザイナーが単独でこんなに大きな展示を行っていること
は珍しく、勢いを感じました。同じ日本人としてうれしいですね。
そして和を感じるデザインや漢字を見つけるとほっこりした気分になりました。
○最後に・・・
いよいよミラノ万博が今年の 5 月から開催されてい
ます。テーマは「エネルギーと食」。万博にあわせてミ
ラノの街並みも変化していました。ミラノ中央駅の近
くには写真のような近代的な高層ビルができていまし
た。これがミラノで一番高いビルになるそうです。来
年はまた違った街並みが見られることでしょう。
■nendo 展示会場の様子 ■組子を使った扉 ■ガラスの重ねによる色の深み
を利用したシェルフ「Deepsea」
関西ペイント㈱ 色彩研究員/カラーコーディネーター 桂川 有加