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アベノミクス第 2 幕 ―真価が問われる 1 年に January 2015

プレゼンテーション 世界の中の日本 アベノミクス第2幕―真 …本資料は野村證券の著作物です。 巻末に記載されている野村證券からのお知らせをお読み下さい。

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アベノミクス第 2 幕 ―真価が問われる 1 年に

January 2015

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本資料は野村證券の著作物です。

巻末に記載されている野村證券からのお知らせをお読み下さい。

2015年は世界経済の緩やかな回復を見込む 1

原油価格下落による恩恵が多くの国々に及ぶ 2

世界におけるマネーの拡大は続く 3

米国家計のバランスシートは拡大を持続 4

デフレの足音が近づくユーロ圏経済 5

中国ではシャドウバンキングが縮小しはじめた 6

インドに加え、ASEAN諸国でも景気が改善に向かう見込み 7

アベノミクスは第2幕へ ―政策効果が継続するなかで成長戦略が鍵に 8

2015年度は実質賃金の増加が日本の消費を強力にサポート 9

日本の輸出は緩やかな増加基調に 10

企業収益のいっそうの改善が視野に入ってきた 11

景気の堅調や政治の安定が成長戦略に推進力をもたらそう 12

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2013~15年における主要国の実質GDP成長率見通し(%)

注:1. EEMEA: 欧州新興国・中東・アフリカ。ASEAN5:インドネシア、タイ、マレーシア、フィリピン、シ

ンガポール。2. 世界のGDP(購買力平価ベース)に占める各国の割合に基づいて加重平均した。

3. 2015年1月5日現在。

出所:野村グループ

2015年は世界経済の緩やかな回復を見込む

世界経済の成長率は2014年の3.2%から2015年には3.4%に

上昇する見通しである。米国では民間消費に加えて、設備投資

や輸出も好調が見込まれ、2015年の実質GDP成長率は3%を

超えると予想する。欧州経済はなおプラス成長を維持すると見

込むが、デフレ入りの瀬戸際にあることから力強さは望めず、

下振れリスクを意識する必要がある。

日本経済は消費増税後のマイナス成長の影響を払拭し、2015

年暦年ベースでは1.5%の成長率を達成すると見込む。年度

ベースの成長率は、2014年度の-0.5%から2015年度には

2.2%に上昇すると予想する。

中国や産油国以外の新興国も概ね順調な回復軌道を辿る見

通しである。米国経済回復の恩恵が及びやすいほか、原油輸

入国は原油価格の低下も景気にプラスに作用しよう。一方、中

国は緩やかな景気の減速を続ける見通しである。

1

地 域 2013年 2014年 2015年

世界全体 3.0 3.2 3.4

先進国 1.3 1.6 2.1

新興国 4.7 4.5 4.5

米国 2.2 2.3 3.1

ユーロ圏 -0.4 0.8 0.9

日本 1.6 0.2 1.5

英国 1.7 3.0 2.6

豪州 2.0 2.7 2.1

中国 7.7 7.4 6.8

インド 4.7 5.2 6.4

大韓民国 3.0 3.4 3.5

ASEAN5 5.1 4.3 4.7

ラテンアメリカ 2.3 0.6 1.8

EEMEA 1.9 1.3 -0.2

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注:北海ブレント原油価格が2014年における1バレルあたり100ドルから、2015年には62ドルに下落

すると仮定した場合の変化幅。

出所:野村グループ

原油価格下落による恩恵が多くの国々に及ぶ

2015年の世界経済を支える役割を果たすと期待されているの

が原油価格の下落である。原油・天然ガスの輸入依存度の高

い国々には恩恵がもたらされる。特に大きな恩恵が及ぶのは、

タイ、インドであるが、1バレルあたりの北海ブレント原油価格が

2014年の年平均100ドルから2015年に62ドルまで低下すると

すれば、日本、米国、欧州など先進国にもGDP比でみて0.6~

1.0%程度の貿易収支改善効果が見込める。

一方、原油・天然ガスの純輸出国には原油安によるマイナスの

影響が避けられない。特にロシア経済に及ぶ悪影響は大きい。

原油の純輸入国である日本には原油安の恩恵が大きい。ただ

し、前年同期比ベースでみた日本のコア消費者物価上昇率は

15年4-6月期には0.1%に低下する見通しであることから、イン

フレ期待が一時的に低下してしまう可能性がある。

2

原油価格下落が貿易収支に与える影響(2015年、対GDP比)

-4.0

-1.1

-0.4

-0.1

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0.1

0.2

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0.8

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2.8

3.7

-5 -3 -1 1 3

ロシア

メキシコ

マレーシア

インドネシア

トルコ

ブラジル

英国

豪州

米国

中国

EU

日本

インド

タイ

(GDP比、%)

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日米ユーロ圏の中央銀行の資産総額の推移

注:四半期ベースの期末データ。2014年末以降は野村による推計・予測。

出所:FRBおよび野村グループ

世界におけるマネーの拡大は続く

米国では、米国連邦準備理事会(FRB)が2014年10月にQE3

(量的緩和政策)による資産購入をストップした。2015年7-9月

期には利上げを開始すると予想する。FRBは2016年からは保

有資産を減少させる政策に転じる見通しである。

これに対して、欧州中央銀行(ECB)は、これまでの金融緩和

の効果がインフレ率の引き上げには十分ではないという判断に

立ち、本年3月までには広範囲に国債等の資産を購入する量

的緩和(QE)政策を導入すると見込む。月間の資産購入額は

現行の150億ユーロから、6月までには400~500億ユーロに膨

らむと予想している。また、日本銀行も、現行の量的質的緩和

政策を継続すると見込まれる。2%のインフレを2015年度中に

達成することは困難とみられることから、2015年度中に再度の

緩和が実施される可能性が高い。

こうした展開を前提にすると、世界の主要3中央銀行の総資産

は、2015~2016年についても過去数年間と同様のペースで拡

大を続ける見通しである。

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(推)

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(予)

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(予)

(兆ドル)

FRB

日本銀行

ECB

(年)

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家計の資産残高

(兆ドル)

米国:家計の資産・負債残高の推移

出所:FRBおよび野村グループ

米国家計のバランスシートは拡大を持続

3次にわたる量的緩和(QE)政策は、米国の株価や不動産価

格を押し上げるのに重要な役割を果たし、米国家計の資産残

高は100兆ドルにあと一歩の水準まで迫ってきた。

その一方で、家計の債務残高はグローバル金融危機以来の低

下トレンドに終止符を打ち、このところより明確な増加トレンドを

辿っている。金融機関の与信基準が緩和されていることもあ

り、住宅ローンや自動車ローンなどの借入れが増加してきた。

家計のバランスシート拡大は、資産効果などを通じて民間消費

を支えよう。家計の貯蓄率は約5%となお高い水準にあるもの

の、労働市場のタイト化に伴う賃金上昇や原油価格の下落が

みられることもあり、2015年は民間消費の伸びが3%近くにま

で上昇すると予想する。

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04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14

家計の負債残高

(年)

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ユーロ圏諸国・英国の消費者物価上昇率・失業率

(2014年10月)

注:英国の消費者物価上昇率は2014年10月時点。

出所:欧州委員会より野村グループ作成

デフレの足音が近づくユーロ圏経済

ユーロ圏における消費者物価上昇率は、2013年の1.4%から

2014年には0.5%に低下した。直近月(2014年11月)において

は、ギリシア、スペインにおいて前年同月比ベースでのインフレ

率がマイナス圏内となった。イタリアなど数ヵ国でもデフレは間

近に迫っている。2015年には、原油安の影響もあり、ユーロ圏

全体の消費者物価上昇率が-0.1%へと低下する見通しであ

る。一方、多くの国では失業率が高止まりしており、2015年に

おけるユーロ圏の失業率は11.3%となる見込みである。デフレ

の足音が近づく中でも積極的財政政策が採用される見込みは

薄いことから、1月または3月のECB理事会で量的緩和政策が

発表されると予想している。

欧州の多くの国では実質GDP成長率が2014年からプラスに転

換した。しかし、2015年は、財政面からの景気サポートの欠如

に加え、構造改革の遅れやロシアとの経済関係悪化などによ

る悪影響が見込まれることから、実質経済成長率が0.9%とい

う比較的低い水準にとどまる見込みである。

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25

30

-1.5 -1.0 -0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0

失業率(2014年

10月)

HICP(消費者物価)上昇率(2014年11月)

ギリシア

(%)

(前年同期比、%)

スペイン

イタリア

ドイツ

フランス

英国 オランダ

ユーロ圏(18ヶ国) キプロス

オーストリア

フィンランド

ラトビア

ルクセンブルク

ベルギー

エストニア マルタ

ポルトガル

スロバキア

デフレの国々

デフレ間近の国々

アイルランド

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中国:社会融資総量

(各種の金融商品を通じた資金供給額:ネットベース)

注:2014年は1~11月の計数を年率換算した。

出所:CEICデータベースおよび野村グループ

中国ではシャドウバンキングが縮小しはじめた

中国では、2014年後半よりシャドウバンキングを通じた資金供

給が急激に細ってきた。これは金融セクターの健全化に向けた

動きととらえることができようが、その一方で、景気に対する短

期的な悪影響が懸念される状況となってきた。

こうした状況に対応して、中国人民銀行は、特定の商業銀行に

対する流動性供給や、消費者が2件目の住宅を購入する際の

規制の緩和、預貸金金利の引き下げなどの緩和策を次々と実

行してきた。当局によるこうした対応は、輸出の堅調と合わせて

中国の景気を支える役割を果たそう。

もっとも、労働市場のタイト化などにより中国経済の潜在成長

率は従来よりも低下してきている。中長期での経済安定を模索

する習近平政権もいたずらに高い成長率を追い求めず、「新常

態(ニューノーマル)」という基本観の下で政策運営を行うとみら

れることから、2015年の実質GDP成長率は6.8%に低下すると

予想する。

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02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14

(兆人民元)

(年)

銀行借入れを 通じた調達額

シャドウバンキング を通じた調達額

資本市場等を通じた調達額

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インド・ASEAN5ヵ国における年間固定資本投資増加額

(出所)CEICデータ、野村

インドに加え、ASEAN諸国でも景気が改善に向かう見込み

15年は、既に成長率が回復し始めたインドに加え、ASEAN諸

国でも、米景気の改善や原油価格の下落などの要因から実質

成長率が高まると予想する。特に、固定資産投資は2014年か

ら大きく回復するとみている。

インドでは、新政権による改革やインフレ率の低下が大幅な内

需拡大をもたらすことで、実質経済成長率は2014年の5.2%か

ら2015年に6.4%に加速すると見込む。

もっとも、インドネシアやタイでは、2015年の経済成長率はそれ

ぞれ5.2%、3.3%と、実力以下にとどまる見通しである。インド

ネシアでは、ジョコ・ウィド政権が議会で多数派を確保していな

いことで、思うように経済改革が進まない可能性が高い。タイで

は政治的混乱によって低成長を余儀なくされた2014年よりも成

長率が上向くと見られるが、公共投資の遅れが景気にマイナス

に作用すると予想する。

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(推)

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(予)

(10億ドル、12年価格)

シンガポール+

マレーシア

フィリピン

タイ

インドネシア

インド

(年)

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政策分野

第1の矢

<これまでの成果>日銀の量的・質的金融緩和で大幅な円安が進展するとともに長期金利が低下し、輸出企業の収益改善や株高につながった

<今後の見通し>日銀による金融緩和継続により円安が継続し、輸出企業にはさらにプラス効果。将来的には出口戦略が課題に

第2の矢

<これまでの成果>2013~2014年度は大型補正予算等による景気対策が景気浮揚効果をもたらした

<今後の見通し>予定通りの消費増税実施(17年4月)や社会保障費の削減などを通じた財政再建が課題に

第3の矢

<これまでの成果>法人税減税や外国人訪日客の受け入れ、インフラ輸出の拡大、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の改革などが実施された

<今後の見通し>TPPや労働市場改革、国家戦略特区推進、コーポレート・ガバナンス改革などの着実な実行と改革の深化が課題

アベノミクス「3本の矢」についての現状と見通し

出所:野村グループ

アベノミクスは第2幕へ ―政策効果が継続するなかで成長戦略が鍵に

過去2年間の日本経済はアベノミクスの実行による恩恵を享受

してきた。2015年もその構図には大きな変化はなく、第1の矢

(大胆な金融緩和)による円安のプラス効果や第2の矢(柔軟な

財政政策)による景気浮揚効果が引き続き期待できる。第3の

矢(成長戦略)についても、外国人訪日客の受け入れ推進によ

る経済効果が期待できるほか、インフラ輸出の拡大や国家戦

略特区でのプロジェクトの推進、電力自由化などによる景気へ

のプラス効果が見込まれる。法人税制の面でも、2014年度に

続いて2015年度以降も法人税率が引き下げられることが決

まった。

こうしたなかで、今後の課題もはっきりしてきた。最も重要なの

は、第3の矢であり、成長戦略によって日本経済の成長力を需

要、供給の両面で強化していくことが、今後の安定的な発展の

鍵となる。TPPの合意締結や、労働市場改革、コーポレート・ガ

バナンス改革などの着実な実行を期待したい。

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(予)

物価要因 雇用者数

特別給与 所定外給与

所定内給与 実質マクロ賃金

(前年比、%)

日本:実質マクロ賃金伸び率の要因分解

注:2014~2016年度以降の計数は野村による予測。

出所:厚生労働省および野村グループ

2015年度は実質賃金の増加が日本の消費を強力にサポート

短期的には、多くのサポート材料が日本の成長に寄与すると考

えている。まず、消費増税の延期によって2015年度から実質

賃金が増加すると見込まれる点を挙げることができる。労働市

場ではタイト化の動きが続いている。直近では、失業率は3%

台半ばまで低下するとともに、新規求人倍率は1.7倍近くにまで

上昇した。2014年度には全国で3割強の企業がベースアップを

実施した模様だが、人手不足感が強まるなかで、2015年度に

は過半数の企業がベースアップを実施し、名目賃金の上昇に

つながるとみている。

2014年度は、消費増税の実施や円安、需要サイドからのイン

フレ圧力の高まりもあって消費者物価上昇率が3%を超え、こ

のため、総賃金の伸びは実質では1.5%減少する見込みであ

る。しかし、消費増税が延期されたことで、2015年度の実質総

賃金はプラスの伸びに転じるとみている。実質ベースでの所得

が着実に伸びることで民間消費は堅調に増加していくと予想す

る。

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実質賃金の伸びがプラスに

(年度)

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日本:5大輸出産業における今後の拡大分野・縮小分野

(今後2~3年の方向性を基に3分野に区分)

注:図中の輸出額は2013年の輸出規模を、割合(%)は2013年の5大産業による輸出総額(55.6兆

円)に占めるシェアを表す。5大輸出産業には、輸送機器、エレクトロニクス、金属、化学、一般機械を

含む。

出所:財務省、野村グループ

日本の輸出は緩やかな増加基調に

輸出の増加も、日本経済を短期的にサポートする役割を果た

そう。円安にもかかわらず日本の輸出は実質ベースで停滞を

続けた。輸出数量が伸長しなかったのは、1ドル=80円を超える

円高が進行した2011~2012年に日本の製造企業が海外での

製造拠点拡大を積極化させた面が大きい。

しかし、9月以降、輸出数量は増加傾向に転じた。これは、円安

が進んだことで、海外での製造拠点拡大の動きが一段落してき

たためである。米国など海外における需要拡大が、輸出の増

加につながりやすい環境が生まれつつある。今後についても、

輸送機器、エレクトロニクス、金属、化学、一般機械という、日

本の全輸出の8割を占める5大輸出産業の輸出のうち、41%の

分野で、輸出が緩やかに増加するとみている。

日本の輸出は、2015~2016年にかけては、全体として緩やか

に増加すると予想する。野村では2015年末のドル円レートを1

ドル=125円とみているが、更なる円安は輸出企業の収益押し

上げを通じて景気にプラス効果をもたらすと見込む。

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縮小が見込まれる 分野(8%) =自動車関連(米国向け) 4.6兆円

大きな変動がないと 見込まれる分野(51%)

拡大が見込まれる 分野(41%)

金属加工機械 1.1兆円

自動車(欧州・中東向け) 2.7兆円

自動車(アジア向け) 4.4兆円

高機能化学品 4兆円

電子部品・デバイス 4兆円

プラント関連機器・重電機器 3.7兆円

産業用電子機器

3兆円

金属加工機械 1.1兆円

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(兆円)

(予) (予)

日本:経常利益の推移

(ラッセル野村大型株指数構成銘柄ベース)

注:2014、2015年度の計数は野村による予測。

出所:野村グループ

企業収益のいっそうの改善が視野に入ってきた

企業業績の回復も日本経済の短期的な成長をサポートすると

見込んでいる。景気の回復や円安、原油価格の下落などによ

り、企業業績は今後大幅に改善すると見込まれる。当社アナリ

スト予想によると、ラッセル野村大型株指数(除く金融)構成銘

柄の経常利益増益率は、2014年度の8.9%から、2015年度に

は13.2%に高まり、過去最高益を計上する見通しである。直近

での円安や原油安が今後も定着すれば、企業収益はさらに上

振れる可能性が高い。

業種別にみると、2015年度においては、化学、建設、電機・精

密、鉄鋼・非鉄、商社、小売り、公益の各業種において経常利

益の比較的大幅な増加が見込まれる。

日本企業は今後これまで以上に厳しい人手不足問題に直面す

るとみているが、収益改善の後押しを受け、多くの企業が労働

生産性を向上させるための投資を積極化させる可能性が高

い。生産性上昇に成功すれば、日本経済は、賃金上昇や消費

増加を通じた持続的な好循環を享受できるであろう。

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15年度は13.2%の増益率を見込む

(年度)

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日本:実質GDPの実績と予想

注: 2014年10-12月以降の計数は野村による予測。

出所:CEICデータベースおよび野村グループ

景気の堅調や政治の安定が成長戦略に推進力をもたらそう

以上でふれた様々な要因が日本経済をサポートする結果、日

本経済は好循環に入る見通しである。実質GDP成長率は2014

年度のマイナス0.5%から2015年度には2.2%に上向くと予想

する。日本経済は、消費増税や天候不順の悪影響から、2014

年4-6月期、7-9月期に連続してマイナス成長を記録した。しか

し、今後は民間消費、設備投資、輸出が緩やかに上向く形で、

日本経済は順調な回復軌道を辿ると予想する。最近公表され

た景気対策や法人税の引き下げ措置も景気浮揚効果をもたら

す。景気が堅調に推移すれば、痛みを伴うことの多い成長戦略

の実行には追い風となろう。

一方、昨年12月の衆議院選挙で自民党・公明党の与党が大勝

した後も、安倍首相は「経済に最優先で取り組む」ことを改めて

明確にしている。成長戦略を着実に実行していくことは必ずしも

容易ではないが、衆議院において与党が300議席以上を保持

した点は、成長戦略に推進力をもたらすとみている。こうしたな

かで、成長戦略の担い手である企業にも、新しい機会を積極的

に活用する取り組みを期待したい。

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(兆円、年率、05年価格)

野村予想

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この資料は、下記の作成日現在におけるマクロ経済全般についての情報提供を唯一の目的としており、有価証券等の勧誘を目的としているものではありません。なお、この資料

に記載されている情報は、当社が信頼できると考える情報源に基づいたものですが、当社が正確かつ完全であることを保証するものではありません。この資料に記載された経済

全般の実績、評価又は将来動向の表示等は、作成日時点におけるものであり、予告なく変わる場合があります。この資料は、提供させていただいたお客様限りでご使用いただき

ますようお願い申し上げます。

この資料には、特定の前提条件の下に特定の手法により導き出されたシミュレーション、試算等が示されている場合があります。これらシミュレーション等の結果は、前提条件が

異なる場合、別の手法による場合等においては、異なる結果になることがあります。また、当該結果は将来の結果を保証するものではありません。

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野村證券株式会社

金融商品取引業者 関東財務局長(金商) 第142号

加入協会/日本証券業協会、一般社団法人 日本投資顧問業協会、一般社団法人 金融先物取引業協会、

一般社団法人 第二種金融商品取引業協会

野村證券からのお知らせ

本資料の作成日:2015年1月5日

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木下 智夫 チーフエコノミスト

Biography NOMURA GLOBAL ECONOMICS

木下智夫は、野村證券のチーフエコノミストとして、東京において、日本経済をはじめとする内外の経済・金融情勢の

調査に携わっています。グローバルな視点から日本経済の分析を強みとしています。特に、15年にわたるアジア経済

調査の経験を生かした、パン・アジア的な視点からの経済分析に力を入れています。アジア現地での調査は、香港で

5年半、シンガポールで5年に達しましたが、その調査範囲は、中国から、インド、香港、韓国、台湾、ASEAN6ヶ国に

および、この過程で培った政策当局者などとの人脈を生かした分析を行っています。 経済予測の精度には定評があ

り、アベノミクスによる日本景気へのプラス効果を早い段階から予想したほか、アジアに駐在の際も、高い精度で中

国経済の予測を行いました。CNBCアジア、ファイナンシャルタイムズ紙その他の欧米メディアや日本経済新聞、NHK

など日本のメディアを通じても積極的に意見を発信しています。

木下智夫は、87年に野村総合研究所に入社して以来、継続的に調査研究活動を行ってきました。90~93年、96~97

年には、野村総合研究所アメリカのワシントン支店において、米国の政治および金融・経済・貿易・財政政策に関する

調査にあたりました。93年からの3年間は同研究所を休職し、米国のノースウェスタン大学経済学部大学院に就学し、

経済学修士号を所得しました。その間の95年には、世界銀行(国際復興開発銀行)のワシントン本部にて、金融セク

ター開発局のコンサルタントとして勤務しました。

97年より東京でアジア経済の調査を開始しました。00年からはアジア経済研究室長として、アジア経済全域を担当し

ました。02年に野村総合研究所シンガポールに異動後、04年には野村證券に転籍し、野村シンガポール(野村證券

の現地子会社)におけるアジア経済調査責任者となりました。05年には野村のアジア担当チーフエコノミストに任命さ

れましたが、07年には野村香港にて中国担当エコノミストを兼ねたアジア担当チーフエコノミストに就任しました。旧

リーマンブラザーズのアジア部門との統合により、09年初めからアジア経済調査デピュティ・ヘッドに就任しましたが、

12年夏より東京において現職に就いています。

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当資料は、2015年1月に実施される野村證券懇談会「世界の中の日本」の参考として作成されたものです。

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アベノミクス第2幕 ―真価が問われる1年に

January 2015