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Hitotsubashi University Repository
Title アントン・メンガー
Author(s) 喜多, 了祐
Citation 一橋論叢, 51(4): 420-436
Issue Date 1964-04-01
Type Departmental Bulletin Paper
Text Version publisher
URL http://doi.org/10.15057/3123
Right
一 橋 論叢 第五 十一 巻 第 四 号 ( 5 0 )
ア
ン
ト
ン
・
メ
ン
ガ
ー
4 β0
序
-そ
の
ひ
と
と
な
りに
つ
い
て
ア
ン
ト
ン
・
メ
ン
ガ
ー
は一
八
四一
年ガ
リ
シ
ア
の
マ
ニ
オ
ウ
に
生ま
れ、
タ
ラ
カ
ウ
お
よ
び
ウ
ィ
ー
ン
大
学に
学び
、
同大
学
で一
八
七
二
年民
事訴
訟法の
私
講師
、
一
八七
五
年に
は
員外
教授と
な
り、
一
八
七
七
年か
ら一
八
九
九
年ま
で
正
教授の
職
に
あっ
た。
そ
の
間、
法学
部長・
総長を
勤め
、
ま
た
宮
中
顧
問官に
も
任ぜ
ら
れ
た。
没年は
一
九
〇六
年で
あ
る。
周
知の
と
お
り、
経済学の
箇域で
「
限
界効用
説+
を
もっ
て
名
高い
ォ
ー
ス
ト
リ
ー
学
派を
創設し
た
カ
ー
ル
・
メ
ン
ガ
ー
は
彼の
実
兄で
ある
が、
彼自
身も
ま
た
法
律
学
の
領
域で
「
法律社
会
学+
を
もっ
て
知
ら
れ
る
オ
ー
ス
ト
リ
ー
学派の
始祖
と
い
わ
れ
る
(
孫
田
秀
春・
‖
本
国
家
科
学大
系七
巻
法
律
学
目四
〇一
頁)
。
彼の
最
も
信憑
性あ
る
評
伝と
し
て
は、
ア
ン
ト
ン
・
メ
ン
ガ
喜
多
了
祐
-
文
庫の
管理
者で
あっ
た
ウ
ィ
ー
ン
大
学
教
授カ
ー
ル
・
グ
リユ
ン
ベ
ル
ヒ
に
よ
る
メ
ン
ガ
ー
二
回
忌記
念
論文が
あ
り、
そ
の
要
旨は
わ
が
国で
も
森戸
辰
男
氏に
よ
り
「
国
民
経
済、
社
会
政
策お
よ
び
行政
凝
議+
(
Ne
旨。
ビ
ュf
t
f
賢
く○-
打
芸1
ぎ邑}
p
岸
∽。N
巨ち
ーi
t
-
打
巨良
くe
ヨ賢巨叫)
一
八
巻の
なか
か
ら
すで
に
訳
出さ
れ
て
い
る
(
森
戸
訳・
全
労
働収益
権史
論、
付
録二
二
五
頁
以
下)
。
し
か
し、
メ
ン
ガ
ー
の
「
人と
学
説+
を
最も
批判的に
取
扱っ
た
も
の
と
し
て
は、
一
九
〇
六
年の
.「
両独
月
刊+
(
∽
已de
旨。
訂
冒邑∽
邑t
e
)
九
月
号に
寄稿さ
れ
た
門
弟オ
ィ
ゲ
ン
・
エ
ー
ア
リ
ヒ
の
追悼
文が
あ
り、
ア
)
れ
は一
般に
引
用
さ
れ
て
い
ない
模様なの
で、
「
社
会汝学派+
草分
けの
時代に
お
ける
メ
ン
ガ
ー
とエ
ー
ア
リ
ヒ
と
の
思
想
的
対
立
を
知る
上
で
興味あ
る一
文とい
うべ
き
で
あ
る
(
本
学
カ
ー
ル
・
メ
ン
ガ
ー
文
庫所
蕨)
。
以
下の
叙述も
、
そ
れ
に
負う
とこ
ろ
が
大で
あ
る。
稚
省
_l
tt
l
計
わ
( 51 ) ア ン ト ニノ ・ メ ン ガ ー
や
や
挿話め
くが
、
晩年の
メ
ン
ガ
ー
はロ
ー
マ
に
暮ら
して
い
た。
生
来胸が
弱くて
、
貧血
症の
病身で
あっ
た
上
に、
本
を
読
み
すぎて
、
早
くか
ら
視力を
損ね
て
い
た
彼は
、
も
う日
中の
明る
さ
で
すら
活字が
見え
ない
ほ
ど
盲目に
近か
っ
た。
南国の
敢烈な
光を
好ん
だ
の
ほ、
そ
の
た
めで
あ
ろ
うが
、
「
理
想
を
高く
追い
求め
る
者は
、
妻子の
重
荷に
煩わ
さ
れ
て
は
な
ら
ない+
と口
癖の
よ
うに
語っ
て、
生
涯家庭を
築くこ
と
を
断念し
た
せ
い
もあっ
て
か、
こ
の
よ
るべ
ない
老
人の
苦行
者
に
も
似た
心
境に
は、
暖さ
を
求め
る一
決の
落莫感が
あっ
た
の
か
も
し
れ
ない
。
しか
し、
彼の
身辺の
世
話に
青春を
捧げ
て
い
た
近
親の
一
女
性が
そ
う
した
異境の
佗び
住まい
に
僻
易
して
、
言葉を
忘
れ
て
し
まい
そ
うだ
と
こ
ぼ
し
た
と
き、
彼は
激日
印
して
、
こ
う
言っ
た。
「
一
体、
お
前は
何の
た
め
に
人
と
つ
き
合い
を
せ
ね
ばな
らん
の
か。
そ
こ
に
本
箱を
もっ
て
い
る
じゃ
ない
か。
一
寸手
を
伸ば
し
さ
え
すれ
ば、
お
前は
あら
ゆ
る
時代の
偉大
な
人々
と
交わ
る
こ
と
に
な
る
の
だ+
と。
こ
の
場面を
目
撃し
たエ
ー
ア
㌢
と
は、
メ
ン
ガ
ー
の
徹底し
た
禁欲
主義を
慨嘆して
、
「
交
際が
書庫の
代
用に
た
らな
い
の
と
同
じ
く、
書物は
生
き
た
人と
の
交
わ
り
に
代わ
る
値打ち
が
ない
とい
ぅ
真理
を、
彼は
つ
い
に
知ら
なか
っ
た+
と
書い
て
い
る
へ
S一
等f
一
)
。
とこ
ろで
、
エ
ー
ア
リ
ヒ
風に
い
え
ば、
書物
をと
お
し
て
し
か
知り
え
なか
っ
た
学者の
評伝を
試み
る
こ
と
は、
わ
た
くし
なら
ずと
も
難しい
で
あ
ろ
う。
そ
の
学説を
基づ
ける
そ
の
人
と
なり
は、
時代と
生
国を
異に
する
者に
は
な
お
さ
ら
知る
よ
し
も
ない
。
前お
き
が
長く
な
る
が、
い
ま
少し
くエ
ー
ア
リヒ
に
語らせ
よ
う。
メ
ン
ガ
ー
の
禁欲
主
義が
他
人に
対
して
も
厳
しい
もの
で
あっ
た
こ
と
は、
エ
ー
ア
リ
ヒ
が
煙草を
喫み
始め
た
と
言っ
た
と
き、
メ
ン
ガ
ー
が
い
と
も
真
面
目
な
顔つ
き
で
「
君が
ま
だ
知ら
ない
悪癖は
ど
れ
か
ね、
教
えて
くれ
給え+
と
反問し
た
とい
う
逸
話に
も、
窺い
知ら
れ
る。
エ
ー
ア
リ
ヒ
に
よ
れ
ば、
慰安と
享楽
を
拒否し
て、
実利と
孤
高に
終
始し
た
メ
ン
ガ
ー
の
生
活
態度
は、
そ
の
学問
的業績に
プ
ラ
ス
と
な
っ
た
反
面、
マ
・イ
ナ
ス
に
も
なっ
た
とさ
れ
る。
わ
き
目
もふ
ら
ない
意志の
強固さ
と
純粋さ
は
前者の
側面で
あ
る
が、
人
間
の
弱さ
と
空
し
さ
に
対
する
理
解の
欠如
は
後者の
側面だ
とい
うの
で
あ
る。
と
くに
、
婦人
問
題に
関
する
メ
ン
ガ
ー
の
社
会
政
策的
議論は
熱心で
良
心
的で
あっ
た
が、
生
き
た
人
間に
は
当て
は
まら
ない
し+
い
う
欠点が
あ
っ
て、
い
わ
ば
学問
上の
目
一
⊥
的の
た
め
に
調
製さ
れ
た
標本の
研
究で
あっ
た、
とエ
ー
ア
リ
戯
lr
一 橋論叢 第五 十一 巻 第四 号 ( 5 2 )
ヒ
は
酷評し
て
い
る(
宅e
仁0
∽
句
岩
岳已e
訂口
如くH
Ii
.
四P
邑Zり
.
N】
S・
-.
)
。
エ
ー
ア
リ
ヒ
の
メ
ン
ガ
ー
批判を
紹介する
こ
と
は
本稿の
主
目
的で
は
ない
が、
か
つ
て
はメ
ン
ガ
ー
の
熱狂的な
弟子で
あ
っ
たエ
ー
ア
リ
ヒ
が、
表面
上メ
ン
ガ
ー
との
親交を
続け
なが
ら
も、
晩年の
メ
ン
ガ
ー
と
は
内面
的に
決別
して
い
た
と
い
う
とこ
ろ
に(
S・
-
e、
社
会法
学派の
始祖と
して
の
メ
ン
ガ
ー
の
位置づ
けが
再評価さ
れ
そ
うに
思
わ
れ
る
の
で
あ
る。
久
しい
以
前、
わ
た
くし
は
孫田
秀春博士か
ら
メ
ン
ガ
ー
法
学の
問題性に
つ
い
て
教示さ
れ
たこ
と
を
想
起する。
そ
の
こ
ろ、
エ
ー
ア
リ
ヒ
の
法社
会
学に
取り
組ん
で
卒業論文
を
まと
めつ
つ
あっ
た
わ
た
く
しに
とっ
て、
自分の
さ
さ
や
か
な
仕事
が
学
徒出陣の
た
めに
中
断さ
れ
ざ
る
を
え
なか
っ
た
の
は
何よ
り■も
心
残
りで
あっ
た。
復員直
後の
昭
和二
一
年に
書い
た
「
ア
ン
ト
ン
・
メ
ン
ガ
ー
の
永
逝四
十
年+
と
題する
小
論(
小
樽経
済
専
門
学校編
・
社会
経
済
研
究
四
号)
は
そ
の
よ
う
な
問題意
識の
継続で
あっ
た
が、
本
稿は
そ
れ
を
攻
撃補完しょ
うと
す
る
も
の
で
あ
る。
-
社
会的立
法
政
策単に
つ
い
て
ェ
ー
ア
リ
ヒ
が
メ
ン
ガ
ー
の
門下に
入っ
た
お
も
な
動機は
、
㍊′
.
〃
▲
ド
イ
ツ
民
法典第
二早
案に
対
する
メ
ン
ガ
ー
の
有名
な
批判に
刺激さ
れ
た
こ
とに
あ
る
とい
う(
∽
+上
。
こ
の
草
案に
対
し
て
は、
メ
ン
ガ
ー
と
双
璧を
な
すオ
γ
ト
ー
・
ギ
ー
ル
ケ
の
批
判
(
Ue
→
E
已名
実f
①-
ロe
払
.
g蒜e
ユど
訂ロ
Ge
旨t
旨宍F∽
仁
ロ
d
臣P
∽
(
官t
邑e
河e
。
貫-
∞
∞
β
も
ま
た
有名で
ある
が、
才気に
満ち
た
痛烈な
論法の
点で
、
メ
ン
ガ
ー
の
批
判は
格別で
あっ
た。
両
者と
旦早
実の
非社
会的で
あ
る
こ
と
を
指摘する
とこ
ろ
に
共
通
点
を
もつ
が、
ギ
ー
ル
ケ
はロ
ー
マ
法に
対
する
ゲ
ル
マ
ン
法の
見
地
か
ら(
平
野義太
郎・
民
法に
於
ける
ロ
ー
マ
思
想
と
ゲル
マ
ン
思
想)
、
メ
ン
ガ
ー
は
有産階叔に
対
する
無産階
級の
立
場
か
ら、
草案の
内
容を
攻
撃し
た
の
で
あ
る。
メ
ン
ガ
ー
の
批判
が
「
民
法と
無産
階
級+
(
ゥP∽
出
賢g2
ユど
ど
河e
O
Ft
戸ロ
d
d
岩・
訂∽i
t
已○
琵ロ
ゴU-
打∽
E監給n
、
-
∞
∞
ア・
-
∞
苫い
N・
A
邑・
)
-
∞
苫
こ.
A宇戸
+苫ご
P
A
畠・】
-
苫∞
こ・
A巨P
)
-
諾ド
井上
萱、
邦
訳)
と
題さ
れ
て
い
る
の
は、
そ
の
趣旨で
あ
る。
勢力
関係が
明
ら
か
に一
般民
衆の
有利に
変動し
て
き
た
今
日
で
は、
将来に
向
っ
て
恒久
的な
法典の
な
か
に
そ
の
利益が
尊重さ
れ
ね
ば
な
ら
ない
の
は
当
然で
あ
る
が、
サ
ビ
ニ
ー
以
来永ら
く
歴史法
派の
影
響下に
あっ
た
ド
イ
ツ
法お
よ
び
ド
イ
ツ
法学に
対
して
、
こ
q
ポ
押
さ
ア ン ト ン ・ メ ン ガ ー
)▲て〕5(
の
よ
うに
一
【
雪間
い
観点か
ら、
草案を
もっ
ぱ
ら
有産者の
た
めの
法で
あ
る
と
き
め
つ
け、
当
時
すで
に
立
法化
さ
れ
る
べ
き
は
ずの
要求を
無
産者の
名に
お
い
て
公
式化し
た
こ
と
は、
ま
こ
と
に
画
期的で
あっ
た。
メ
ン
ガ
ー
の
著作上の
名
声は
寸鉄人
を
刺
す
明
快な
文
体に
よ
る
と
も
い
わ
れ
る
が
(
巴e
旨
旨
d
票
こ
竪r
t
。
吉日
∞・
N・
-
薫)、
同
書か
ら
若干の
例を
示
そ
う。
草案が
誘惑さ
れ
た
娘
に
誘惑し
た
男へ
の
賠
償請
求
権を
「
彼女
は
同
意し
た
の
だ
か
ら+
とい
う
理
由で
拒否し
た
と
き、
メ
ン
ガ
ー
はこ
う
言っ
た
(
S.
漫。
理
由書は
、
そ
れ
が
大
抵は
行
為能
力を
制限
さ
れ
た
未成
年の
娘の
問題で
あ
る
こ
と
を
忘れ
て
い
る。
皮肉なこ
と
に、
婦人の
肉体
的
魅力は
そ
の
行
為能力と
反
比
例する
か
ら
だ、
と
(
∽.
冒)。
と
くに
、
損害賠
償責任は
「
通
常の
家父+
の
注意を
怠っ
た
者に
の
み
存する
と
い
う
草案の
原則に
対し
て
は、
メ
ン
ガ
ー
は
集中砲
火
を
浴び
せ
る
(
∽・
N
O
=・
)
。
通
常
の
家父
は
自分の
誘惑し
た
女
性か
ら
損害賠
償を
請求さ
れ
れ
ば、
彼女が
意思の
自由を
奪わ
れ
て
い
なか
っ
た
こ
と
を
もっ
て
抗弁する
だ
け
で
ない
。
通
常の
家
父は
他人
を
容易に
救助
で
き
る
の
に
危険
急
迫に
陥
れ
る
と、
自分は
自分の
身内
と
自
分の
財産だ
け
を
誠実に
監
視すれ
ば
よ
い
上弁明
する
。
労働
者が
雇
用
関係に
お
い
て、
また
賃借人が
不
健康な
借家
住
ま
い
に
お
い
て、
労働力や
健康を
損ね
る
と、
通
常の
家父
は
雇
主ま
た
は
賃貸人と
し
て
契約上の
債務
を
完全に
履行し
た
の
だ
と
い
っ
て、
彼ら
を
慰める
。
さ
ら
に、
通
常の
家父は
白分
の
用
途の
た
め
で
な
く、
た
ん
に
憎し
み
の
た
めに
隣人の
窓を
障壁で
邪
魔立て
し
て
も、
所
有権の
濫用に
無
責任で
あ
る
と
主
張する
、
と。
メ
ン
ガ
ー
は
そ
の
よ
うな
鋭い
批判に
も
とづ
い
て、
被圧
迫
者の
た
め
の
改
良案を
提言し
た
の
で
あ
る。
そ
れ
は
社
会主義
的と
い
うよ
りも
社
会政
策的
な
提言で
あっ
て、
現
行ド
イ
ツ
民
法
典の
社
会
政
策的な
規定は
大
部分メ
ン
ガ
ー
の
貢献に
よ
る
と
い
わ
れ
る。
エ
ー
ア
リ
ヒ
に
ょ
れ
ば、
社
会主
義の
点で
は
ギ
ー
ル
ケ
の
方
に
そ
の
傾向
性が
強かっ
た
の
で
あ
り、
彼が
国
家・
地
方
団
体・
労働者集団を
で
きる
だ
け
共同
経済的に
組織
化
し、
財貨生
産の
担い
手
た
ら
し
めよ
うと
する
団
体
法の
立
場に
あっ
た
の
に
対し
て、
メ
ン
ガ
ー
は
国家の
た
め
に
行
政
や
課税に
よ
る
所有
権の
骨
抜き
が
漸進すべ
きこ
と(
∽
+N
∞
芦)
、
無主
物や
相続人
な
き
相
続
財産が
労働者の
た
めに
社
会
保
障
施設に
帰属すべ
きこ
と(
S
+蓋f
・
)
を
提唱する
程度で
、
共
リ
J
同経済的
組織化へ
の
志向
に
お
い
て
は
むし
ろ
消極的で
あっ
舶
一 橋 論 叢 第五 十一 巻 第 四 号 ( 5 4 )
た
(
穿ユ
i
阜叩
ミメ
ン
ガ
ー
が
家族
法の
強
化を
熱望し
、
離
婚原
因の
過
大な
拡
張に
反
対
して
、
. 「
よ
り
高度の
生
活
圏
で
あ
る
労
働者集
団・
地
方
団
体・
国
家が
社
会的に
組織化さ
れ、
そ
の
よ
い
働きに
よ
り
あ
る
程度まで
家
族の
代わ
り
と
な
る
と
きに
は
じ
めて
、
社
会を
害する
こ
と
なし
に
夫
婦の
絆を
緩め
うる
か
ど
うか
が
考量さ
れ
る
べ
き
だ+
(
官訂口
的①
H-
押
合)
と
説い
た
の
は、
右の
態度の
現わ
れ
で
あ
る。
彼の
損害
賠
償
責任
論に
い
たっ
て
は、
社
会主
義の
原理に
か
えっ
て
矛
盾す
る
と
こ
ろ
すらあ
る。
な
ぜ
な
ら、
個人の
態
度か
ら
生
ずる
損
害を
、
そ
の
大
抵は
偶然の
範囲に
お
い
て、
もっ
ぱ
ら
加
害者
に
負担さ
せ、
彼を
恐
ら
く
は
自
力の
及
ば
ない
とこ
ろ
まで
引
き
よ
せ
る
こ
とに
な
る
か
らで
あ
る。
そ
れ
よ
り
は、
偶然の
損
害の
た
めに
生
ずる
は
ずの
有産
者負担金を
お
も
な
肘淑と
し
て
共
同
経済的
施設を
つ
く
り
出す方が
透か
に
社
会主
義的で
ある
、
とエ
ー
ア
リ
ヒ
はい
うの
で
あ
る
(
S.
u)
。
け
れ
ど
も、
メ
ン
ガ
ー
白身の
言い
分で
は、
本
書は
わ
ざ
と
社
会主
義的
理
想の
立
場を
は
じ
めか
ら
避けて
、
草案に
採用
さ
れ
た
私
法の
基礎的原
則
を
与
え
られ
た
事実と
し
て
受け
取
り、
そ
の
範何
で
無
産階
級の
利益の
た
め
に
実
際的
効果の
あ
る
こ
と
を
企図
し
た
の
で
あ
る(
岩e
n粥e
J
∽
・レ
㌔
彼と
して
は、
た
ん
に
人
間の
社
会意
識の
や
や
高い
段
階
を
志
向
し
た
だ
け
朋一
41
で、
「
通
常の
家
父+
に
代え
て
「
勇気
あ
る
人々
+
を
注
意義
務の
棟準と
せ
よ
とい
う提唱(
S
・N
O
h)
は、
そ
の
表現
と
理
解
さ
れ
る。
こ
れ
は
平均人
を
見棄て
て
理
想論に
走る
暴挙で
あ
るし+
し
て
人々
か
ら
嘲笑さ
れ
た
けれ
ど
も、
エ
ー
ア
リヒ
で
す
らそ
の
基
準を
暖衣
飽食の
民で
あ
る
普通法上の
「
善良の
家
父+
よ
り
も
道徳的に
幾分
高い
立
場に
あ
る
平均
人で
あ
る
と
み
て、
賛意を
惜し
まない
(
肖F
ユどF
、
S.
u
)
。
恐
ら
く、
本書で
メ
ン
ガ
ー
の
思
想を
最
且桶
的に
あ
らわ
す
の
は、
「
不
平
等なもの
を
平等に
取
扱
うこ
と
ほ
ど、
大
な
る
不
平
等は
ない+
(
芳nge
り、
∽・
い
e
とい
う
言
葉で
あろ
う。
そ
れ
は
社
会的立
法政
策の
眼目
を
数える
言葉で
あっ
て、
エ
ー
ァ
リ
ヒ
に
よ
れ
ば、
民
事法
学の
なか
に
こ
の
立
場を
導入
し
た
の
は
メ
ン
ガ
ー
を
もっ
て
最初と
する
の
で
あ
る
(
拘F
ユー
O
F-
S.
宅
そ
の
思
想
的
刻印はド
イ
ツ
民
放典に
の
み
な
ら
ず、
ス
イ
ス
民
法
草案
、
こ
とに
フ
ーバ
ー
の
手に
なる
そ
の
第一
草案
、
ま
た
メ
ン
ガ
ー
の
直
弟子
ク
ラ
イ
ン
の
起草し
た
オ
ー
ス
ト
リ
ー
民
事訴
訟
法に
も、
顕著に
看
取さ
れ
る
の
で
あ
り(
呂e
日
管り
〉
ぎヨde
N
喜い
・
A
邑品e
)、
こ
れ
ほ
ど
広範囲に
わ
た
る
深
刻
な
影響を
与
え
た
法律書は
偽に
稀で
あ
る。
同
書に
お
け
る
提
叫
ア ン ト ン ・ メ ン ガ ー
)5 5(
言で
、
民
法典上に
採用さ
れ
なか
っ
た
もの
で
も、
今日
なお
価値
を
失
わ
ない
卓見が
少な
く
ない
の
で
あっ
て、
最近の
西
ド
イ
ツ
で
動
産の
善意取
得制度を
め
ぐっ
て
起こ
っ
た
新し
い
論争も
、
けっ
きょ
く
は
制度の
「
没
収的
効果+
(
芳ロge
J
抑
-
N
昌.
)
を
再反省する
も
の
で
あ
る
点で
、
半世
紀以
上
旦別
の
メ
ン
ガ
ー
学説の
蒸し
返し
と
み
れ
ない
こ
と
もな
い
(
拙
稿「
動
産
善
意取
得の
民
放
的
構
成と
商
法
的
構成+
、
私
法二
四
号一
二
二
頁
以
下)
。
一
八
九五
年、
メ
ン
ガ
ー
はウ
ィ
ー
ン
大学
総長就任の
演説
で
「
法学の
社会的
使命+
(
亡be
乙-
e
岩
臣-
。
。
A
鼻P
訂。
旨り
河e
O
巳署
1
-
梁
器n
汚
訂ぎN
.
A
邑.、
-
富山
.
上
田
挽、
邦訳)
と
題し
て、
「
法学が
そ
の
使命を
今っ
す
る
に
は、
現在
・
過
去お
よ
び
将来に
わ
た
る
三
重の
目
標を
追
求し
な
け
れ
ば
な
ら
ない+
と
し
(
S.
三.
)、
第一
の
使
命は
解
釈
法学
、
第二
の
使命は
歴
史法
学、
そ
して
琴二
の
使命は
立
法政策学を
成
就する
こ
と
に
あ
る
が、
従
来の
ヨ
一
口
γ
パ
法
学は
第三
の
使命に
欠け
る
とこ
ろ
が
あっ
た
の
で、
新時代の
法学者に
はこ
の
欠陥を
充
実すべ
き
任
務が
あ
る
と
論じ
、
そ
の
最重
要部分を
「
社
会的
法学+
と
名づ
けた(
S
+
還)
。
こ
れ
は
国民
社会の
内部に
お
ける
各
階級の
変化
した
勢力
関係に
て
ら
して
汝の
改
造を
考
計
▲町
察する
学問で
あっ
て、
そ
の
構想の
一
部は
すで
に一
八
八
六
年に
出た
彼の
「
全
労働収益
権
史論+
(
冒∽
声。
。
E
邑計n
く○
ご
昌
A→
訂-
←∽
e
ユ
岩粥
-
日
管払
O
EO
E-
EJ
2
1
ロ賢覧わー
ー{-
β
g】
N・
A
邑.
、
-
00
¢
ごい
.
A
邑一
こ苫ごム
∴
A
邑・
こ淫〇・
森戸
、
邦訳)
に
明
ら
か
に
さ
れ
て
い
る。
〓
経済的基本権理
論に
つ
い
て
メ
ン
ガ
ー
を
世
界的に
有名に
し
た
業績は
、
彼が
社
会的
法
学と
称
する
も
の
の
主
内
容を
経
済的
基
本権の
理
論に
み
い
だ
し
た
こ
とで
あ
る。
「
全
労働収益
権史論+
は
そ
の
克
明
な
学
説史的
研
究で
あ
り、
彼の
い
わ
ゆ
る
「
社会的+
な
法思想の
発展をフ
ラ
ン
ス
革命以
来の
尾大な
社
会主
義文
献の
なか
に
探求し
た
も
の
で
ある
。
一
般に
メ
ン
ガ
ー
法学は
観念的社会
主義と
評さ
れ
る
が
(
峯
村
光郎
・
近
代
法息
加
雷二
〇
九
頁以
下)
、
こ
れ
は
本
書に
対
する
エ
ン
ゲル
ス
の
駁
論「
法
曹
派
社
会
主
義+
(
l
邑st
ぎ訂
誌○
性
巨}
賀長
-
∞
∞
ソ
大
形、
邦訳)
に
多か
れ
少なか
れ
追従
する
見方で
あ
っ
て、
そ
こ
に
は
前世
紀末菓の
資本
主
義高度化と
そ
れ
に
対
応する
理
想
主
義
復活の
思
想
史
的転向
とが
背景と
さ
れ
て
い
る
(
森
戸「
ア
ン
ト
ン
・
メ
ン
ガ
ア
∂
の
学
的
貢献+
、
誰誌
我
等六
巷五
号三
五
頁)
。
しか
し、
思想
史的
舶
一 橋論 叢 第 五 十一 巻 第 四 号 ( 5 6 )
に
み
れ
ば、
∵九
世
紀が
一
つ
の
統合
体
を
なし
て
い
ない
とい
ぅこ
と
は、
た
ん
に
そ
の
間思
想
的
隆
香の
甚だ
し
き
を
み
る
瓜
に
あ
る
の
み
な
ら
ず、
さ
ら
に
個々
の
思
想が
そ
の
担い
手
個人
と
の
関
係に
お
い
て
も
無差
別
な一
体で
は
ない
こ
とに
あ
る
だ
ろ
う。
むし
ろ、
現
実
主
義と
観念主
義、
経験主
義と
理
想
主
義との
二
大
潮流が
一
人の
思
想
家に
相
合
して
激騰する
とこ
ろ
に
こ
そ、
一
九
世
紀法
思想の
二
律背反が
理
解で
き
そ
うに
思
わ
れ
る
の
で、
そ
の
よ
う
な
角度か
らメ
ン
ガ
ー
の
経済
的
基
本
権
論を
眺め
て
み
る
こ
と
と
する
。
メ
ン
ガ
ー
が
経
済的
基本
権と
名づ
け
た
もの
は、
フ
ラ
ン
ス
革命の
目
標で
あっ
た
政
治
的基
本
権に
対
する
社
会主
義の
終
局
目
的を
さ
す。
そ
の
第一
に、
社
会の
各
員は
自分の
労
働の
全
収
益が
自
分に
帰属すべ
きこ
と
を
要求
する
権利を
も
つ
こ
と
が
挙
げ
られ
る
の
で
あっ
て、
彼は
こ
れ
を
全
労働収益
権
と
痴する
(
誉n
慧1
〉
ロ
戸
P
d・
く
・A・
)
叩
宅
そ
して
、
そ
の
想汝は
イ
ギ
リ
ス
の
反
資本
主
義運
動に
み
い
だ
さ
れ
る
とい
う
の
で
あ
る
が、
彼が
こ
の
思
想の
最も
科学
的な
完成者と
み
た
タ
ム
ス
ン
こ
そ
はベ
ン
サ
ム
の
徒で
ある
こ
と
を
思え
ば、
そ
の
学説史的
研
究の
狙い
は
社
会主
義思
想の
汝流が
経験主
義固
有の
領域に
あ
る
こ
と
を
明
らか
に
する
に
あっ
たとい
っ
て
も
過
言で
は
ない
(
句○
当2
=、
旨きd礼
邑Q
言き毒
1
ご訂
登訂
ガノ
隼
阜
芸
二言Q
訂
守邑
喜阜
卜
乳Q
弓
二2
邑2
監b
叫
→
呂ロe
J
-
富も勺
・
宍く
一
朗
㌍-
阜じ
彼はこ
の
観点
か
らマ
ル
ク
ス
を
タ
ム
ス
ン
の
劉
窃
者と
して
非難し
た
の
で
あ
る
が
(
曽訂n
慧J
P
P
〇・-
∽・
当)、
エ
ー
ア
リ
ヒ
に
よ
れ
ば、
こ
の
宿望
行
為が
社
会
主
義着た
ちの
反
感を
買っ
た
の
で
あっ
て、
厳密に
学
問的た
るべ
き
論争に
お
い
て
純
粋に
個人
的な
問題が
役割を
演ずる
顕者な一
例と
さ
れ
る
(
肖F
ユどF
-
S.
00)
。
し
か
し、
メ
ン
ガ
ー
の
全
労働収
益
権論は
彼自
身の
告白し
て
い
る
よ
うに
、
タ
ム
ス
ン
に
お
け
る
と
同
じ
く
実際的効果の
きわ
め
て
弱い
もの
で
あ
り、
むし
ろ
た
ん
に
不
労所得お
よ
び
私
有財産が
不
法で
あ
る
こ
との
み
を
証
明
すべ
き
法理
論と
し
て
意義を
もつ
の
で
あ
る
(
冒口
笥1
盲P
〇・
)
叩
冶)
。
彼は
そ
れ
を
「
だ
か
らこ
そ、
か
えっ
て
政
治
運
動、
社
会運動の
標語と
し
て
科
学の
領域で
は
無用で
ない+
とい
うの
で
あ
る
(
、
g+
∽・
ミニ
の
言葉をエ
ン
ゲ
ル
ス
は
「
か
く
して
すで
に
標語と
い
う
点の
み
を
問題と
する
ほ
ど
まで
に
身を
落と
して
き
た+
と
抑輸し
た
け
れ
ど
も、
メ
ン
ガ
ー
の
い
わ
ゆ
る
標語
と
は
ま
さ
に
タ
ム
ス
ン
の
批判
原理
と
同じ
く、
経
験的に
与
えら
れ
た
法
理
論上
の
基
本
概念と
い
う
ほ
どの
意味で
は
なかっ
た
か。
彼
哨
ア ン ト ン・ メ ン ガ ー
が
歴史法派の
民
族
精神
説お
よ
び
自然
法派の
社会
契約説を
とも
に
現
実的
裏づ
けの
な
い
!彼の
言葉に
よ
れ
ば、
「
生
き
た
事実+
を
無
視する
ー無理
な
仮定で
あ
る
と
して
排
撃
し
た
の
も、
そ
の
意味に
お
い
て
で
あ
り
(
旨チ
∽
・
ミ
要す
る
に
法
律秩
序と
は一
国
内に
お
い
て
継続的に
認
め
られ
た
勢
力
関
係の
総
称で
あっ
て、
そ
の
成
立
過
程は
けっ
き
ょ
く
強者
の
利益
が
闘
争に
ょ
り
既
得の
権
利に
変化
する
とい
ぅ
歴史的
事実に
あ
る
と
み
る
の
で
あ
る
(
芳ロg2
J
ロ
甲
声
2d
・
F
く・
】
S.
か)
。
した
がっ
て、
全
労
働収
益
権と
い
うの
は、
第一
義的に
は
既
得の
不
労所
得棒に
対
する
理
論的
否定の
武
器と
理
解さ
れ
る
ぺ
き
もの
で
あ
る
(
冒
当き竜
・
阜
呈。
い
か
に
も、
メ
ン
ガ
ー
は
そ
れ
の
理
論的
基
礎づ
けの
み
に
止
まっ
た
の
で
は
な
い。
し
か
し、
彼が
そ
こ
に
求め
た
も
の
は
ま
ずもっ
て
現
存法
律状
態に
対
す
る
鋭利な
批判原理
な
の
で
あっ
て、
そ
れ
の
積
極的
組
織的
方
面へ
の
展開
、
すな
わ
ち
改
良
原理
と
して
の
実
践的
帰結は
、
後年の
著書「
新国
家論+
(
岩戸e
欝P
邑①
冒e
〉
-
害こ
.
A
邑・こ
まこ
・
A
邑・こ宍示
こ・
とト
ヂー
宍岩・
河
村又
り
介、
邦
訳)
に
多く
を
倹た
ね
ば
な
ら
な
かっ
た。
そ
の
た
め
に
い
本書は
元
来三
巻本の
予
定で
あっ
た
の
だ
が、
彼の
没
年に
出
事
、
浄
た
決定
版で
は
二
六三
頁の
圧
巻に
収め■られ
た。
彼が
自著の
圧
縮簡略化
に
最大の
価
値を
認め
た
の
は、
読書の
た
め
に
僅
か
な
時間し
か
残し
て
い
ない
労働者に
実
際読ま
せ
た
い
と
念
願し
た
か
らで
、
エ
ー
ア
リ
ヒ
に
よ
れ
ば、
そ
の
論述は
一
見単
純の
よ
うに
思
わ
れ
る
が、
読者は
そ
こ
に
彼の
「
き
わ
め
て
科
学的で
全
く
冷静な+
社
会改
造の
具
体
案を
知る
こ
と
が
で
き
よ
う、
と
さ
れ
る
(
E
官-
訂F
S
・訊
こ。
メ
ン
ガ
ー
は
全
労働収
益
権に
二
つ
の
実
践的
機能を
分
ける
(
冒n
笥〉
ロ
戸
2
Pノ1
・
A・
}
∽
+
運。
ま
ず、
不
労所
得の
理
論的
香淀
を
直ちに
実
践
化
する
と
い
う
消
極的
機能に
革命思
想の
根本を
み
い
だ
し、
そ
れ
は
政
治
的
基本
権の
思
想
と
同
じ
く、
経
済
的
秩序の
改
造に
対
す
る
何らの
積極的
原理
も
含ん
で
い
ない
と
する
。
「
労働大
衆が
屋
根
裏に
追い
込
ま
れ
て
い
る+
現
行
私
法
秩
序は
、
彼に
とっ
て
は
直ちに
撤収さ
れ
るぺ
く
余り
に
宏
壮
複娃な
建物で
あっ
た(
冒完
-
音声∽
・
〉
∽
・N
∞
)
。
だ
か
ら、
彼が
暴力革
命を
排
斥し
た
第一
の
理
由は
「
不正
と
い
うこ
と
で
は
な
くし
て、
そ
れ
が
目
的に
適し
ない
か
ら、
ま
さ
に
不
可
能だ
か
ら+
と
い
う
に
あ
る
(
買チ
∽・
N
い
実
彼が
全
労働収益
権の
積極的
内
容を
実現
する
方
面へ
赴
い
た
の
7
は、
そ
の
た
めで
あ
る。
し
か
し、
個別
使用を
伴う私
有
財産
舶
一 橋論叢 第五 十一 巻 第四 号 ( 5 8 )
の
支配下で
は、
財産所有者の
法的
勢力地
位の
た
め、
各人
が
自分の
生
産物価値の
全
部を
受ける
と
い
う分
配正
義は
と
ぅて
い
実現で
き
ない
。
個別
使用を
伴う
共
有財産の
制度下
で
は、
こ
れ
が
幾分か
は
実現さ
れ
よ
うが
、
そ
の
よ
うなこ
と
は
可分
物で
ある
土地
の
使用
、
し
た
がっ
て
農業労働に
の
み
直
接応用で
きる
だ
けで
あ
り、
不
可分
的
集合物で
あ
る
近
代
的経営体の
使用
、
し
た
がっ
て
エ
業労
働に
は
適
用
で
き
な
い。
そ
こ
で、
メ
ン
ガ
ー
は
共同
便用を
伴う共
有財産の
形
態
で
こ
の
難点
を
克服し
よ
うと
する
(
De
諾e-
ざロ
戸
P
P
く.
A・
、
S・
-
給‥ご
。
「
新国
家
論+
で
は、
こ
の
よ
うに一
切
の
生
産
手
段
を
共
有・
共
同
使用と
する
社会主
義を
、
そ
の
実
別の
稲川に
応じ
て、
世
界
社
会主
義・
国
家社
会
※
為お
よ
び
地
方
別
体
的
社
会
主
義の
三
つ
に
区
別
し、
さ
し
当た
り
第三
の
も
の
を
最も
実
際
的だ
と
して
い
る。
こ
れ
は
個人の
労働収
益の
数量的
確認
が
技術
的に
き
わ
めて
困
難で
あ
る
か
らで
、
そ
の
意昧で
は
人
口
平
均二
、
0
0
0
人
ぐらい
の
地
方
団
体
を
所
有権お
よ
び
窺
済
の
担い
手
と
する
の
が
適度で
あ
ろ
うが
(
宮芸
じ
冒e
}
字∽
二
∽.
-
浩巾
・
)
、
今
日
の
大
都市の
場合に
は
経済生
活の
秩序づ
け
は
甚だ
広範複鹿な
任
務で
あ
る
か
ら、
個人
と
地
方
団
体
との
問
に
行
政
制度とし
て
必
ず労
働者集団が
介在し
な
け
れ
ば
な
ら
朋Jサ
ない
(
畠
畢S
+
軍叩
・
)
。
こ
の
団員は
個別
的な
全労
働収益
権
を
有し
ない
が、
そ
の
代わ
りに
労働者集団
が
獲得し
た
全
体
.
の
労
働収益
をい
わば
担保と
し
て、
地
方
団体に
対
し
住民
権
と
し
て
の
生
存権
、
すなわ
ち
「
各人
は
自分の
生
存に
必
要な
物財お
よ
び
労務が
他人
の
緊要
度少
ない
欲
望の
充
足に
供さ
れ
る
に
先
立
ち、
現
存資料に
応じて
自分に
分
与さ
れ
る
こ
と
を
要求する
権利+
を
認め
ら
れ
る
な
ら
ば
(
Ue
詔のー
be
-
D一
戸
P
d・
戸
A・
-
∽・
∞
f・
)
、
実
際上
全
労働収
益
権と
ほ
ぼ
同
じ
趣旨
が
達成
で
き
る、
とメ
ン
ガ
ー
は
考え
る
の
で
ある
。
こ
の
こ
と
は
全
労働収
益
権の
実
践面に
お
ける
破
綻を
物語
る
もの
で
あっ
て、
そ
の
か
ぎ
り
で
メ
ン
ガ
ー
の
経
済的
基
本
権
諭を
観念論と
評
する
の
は
正
当で
あ
ろ
う。
しか
し、
そ
の
評
言が
エ
ン
ゲル
ス
の
「
こ
の
論文で
は
第
二号
の
全労働収
益
権
だ
けを
論ずる+
とい
う
態度に
追従し
て
の
批判で
ある
な
ら
ば、
そ
れ
が
ど
れ
ほ
ど
まで
メ
ン
ガ
ー
法
学の
核心
を
衝い
た
言
葉で
あ
る
か
を
疑わ
ざ
る
をえ
ない
。
な
ぜ
な
ら、
経済的基本
権の
第二
号
とし
て
生
存権が
挙げ
られ
る
とこ
ろ
に、
メ
ン
ガ
ー
法
学の
重
点が
あ
る
と
思
うか
らで
あ
る
(
勺。
望1
e--
-
卓
邑.
、
0
5 .
-
)
。
哨
一
俄
ア ン ト ン・ メ ン ガ
ー
)∩フ5(
三
民
衆的
労働国
家
論に
つ
い
て
批判原
理と
し
て
の
全
労働収
益
権
と
異な
り、
生
存権で
は
ま
ず改
良
原
理
と
し
て
の
実
践的
基礎づ
け
が
問題とさ
れ
る。
「
批判は
易く
、
改
良は
難し+
とい
う
「
新国
家論+
冒
頭の
一
句が
示
すと
お
り、
メ
ン
ガ
ー
はこ
の
仕事を
そ
れ
ほ
ど
楽
観
し
ない
の
で
ある
が、
社
会
主
義的分
配制度の
基礎に
生
存権
を
置くこ
と
を
蹄躇し
ない
。
こ
の
場合
、
彼は
近
代
獲得社
会
の
経
済的
相
互
連帯性を
念
頭に
浮べ
て
い
た
よ
うで
あ
る(
冒丁
宴1
きQ
や
空
耳
も
壬。
すなわ
ち、
生
存権は
こ
の
社
会的
連帯
債務に
付
従し
て
国民
所得を
担保と
する
とこ
ろの
抵当
権に
擬せ
ら
れ
る
べ
き
もの
で、
そ
の
権利者で
ある
民
衆は不
労所
得が
特恵的
地
位に
あ
る
個人に
与え
られ
る
の
に
先
立
ち、
国
民
所得か
ら
優先
弁
済を
受ける
権利を
有
す
る
と
み
ら
れ
る
(
芳n
ge
→
も.
声
P
P
ヂ
A・
)
S
JO)
。
し
た
がっ
て、
こ
の
権
利は
現
代の
私
法
秩序と
並
存で
き
る
と
い
う
意味で
、
全
労働
収益
権と
は
異な
り
優れ
て
現
実的
な
政
策目
標と
い
うこ
と
が
で
き
る。
し
か
し、
メ
ン
ガ
ー
はこ
の
権利が
直接か
つ
無
造
作に
国家
ま
た
は地
方
団
体に
対
して
行
使で
きる
と
考え
る
ほ
どに
非現
計
実
的で
は
ない
。
そ
の
た
め.
の
準
備工
作とし
て
は
国
権に
よ
る
大
財産の
償却
が
必
要か
つ
適切
だ
とい
うの
で
あ
る(
P
冒。ge
H〉
芦
ヂ∽.
N
£f
.
)
。
すな
わ
ち、
大財産家
は
他
人
に
よっ
て
そ
の
権利を
行
使せ
ね
ば
な
ら
ず、
小
財産
家
と
異な
り、
権利と
実勢力
と
は
甚だ
し
く
分
離する
か
ら、
立
法は
そ
の
権利を
簡
単に
彼ら
か
ら
没
収で
き
る
(
Ue
語-
訂てロ・
戸
P
P
く・
A・
ふ・
-
N
∞)
。
い
わ
ん
や
没収で
な
く、
た
ん
に
生
存権
を
侵さ
な
い
限
度の
償却に
すぎ
な
けれ
ば、
な
お
さ
ら
可
能で
あ
る。
そ
こ
で、
さ
し
当た
り
は
権力
的方
式で
償却し
た
大
財産を
地
方
団
体に
移属さ
せ
る
こ
と
か
ら
始め
、
そ
して
漸次
中小
財産の
社
会化へ
と
進む
な
ら
ば、
そ
れ
に
つ
れ
て
他
方
団
体に
対
する
生
存権は
い
よ
い
よ
実現
さ
れ、
伯
方
現
存私
法
秩序は
ま
すま
す
後退
する
、
とメ
ン
ガ
ー
は
考え
る
の
で
あ
る。
メ
ン
ガ
ー
はこ
の
過
渡的
形態に
お
け
る
生
存権の
一
種に
第
三
号の
経
済的
基本
権と
して
労働権を
挙
げる
。
こ
れ
は、
労
働能力
者が
私
企
業者の
下
で
労働を
み
い
だ
せ
ない
こ
と
が
確
か
め
ら
れ
て
後、
は
じ
め
て
国家ま
た
は
地
方
団
体に
対し
て
普
通の
日
傭賃労働を
与
え
る
こ
と
を
要
事し
、
も
し
そ
れ
も
不
可
能な
と
きに
は、
通
常の
生
活
費を
要求で
き
る
権
利で
あ
る
9
(
買チ
∽
+串
じ
近
代の
立
法は
すで
に
未成
年者の
義務
教
育
舶
一 橋 論叢 第 五 十一巻 第 四 号 ( 6 0 )
制・
育児
院・
孤
児院に
お
い
て、
また
労
働能力者の
失
業・
疾
病・
災害
・
老
年・
廃
兵
保
険に
お
い
て、
不
充
分
な
が
ら
生
存権実現の
端緒を
示し
て
い
る(
買早
∽
+窒
ご。
こ
の
よ
う
に
し
て
生
存権
を
完全に
実
行す
れ
ば、
今
日
土
地お
よ
び
資本
の
所有者が
獲得して
い
る
不
労所
得は
大
部分
償却さ
れ、
私
有財産は
そ
の
経
済的
効用
を
甚
だ
し
く
奪わ
れ
る
か
ら、
や
が
て
共
有財
産に
変
化
する
だ
ろ
う。
そ
し
て、
生
存
権は
現
行の
財産権に
とっ
て
代
わ
る
だ
ろ
う、
とメ
ン
ガ
ー
は
説くの
で
あ
る。
一
応
安
定
状
態に
入っ
た
新社
会秩序
-そ
れ
を
メ
ン
ガ
ー
は
「
民
衆
的
労働国
家+
と
呼ぶ・
-の
重
点は
財産
法、
と
く
に
物
権法に
あ
る。
な
ぜ
な
ら、
社
会主
義法体
系の
中
心
は
メ
ン
ガ
ー
に
よ
れ
ば
分
配
問
題だ
か
ら
で
あ
る(
ロe
→
邑音声∽
J
∽.
諾)
。
彼は
物の
経
済的
性
質を
考
慮し
て、
こ
れ
を
三
群に
分
け、
そ
の
所
有お
よ
び
使用の
法形式を
次よ
の
うに
構成
する
(
旨㌣
∽
・筈
こ。
ま
ず、
民
法上の
既成
概
念で
あ
る
消
費物は
排他
的
支
配を
前提する
の
で、
従
来どお
り
私
有私
用と
する
が、
そ
の
取
引
形
式で
あ
る
債権関
係は
国
家と
国民
個人
と
の
間に
の
み
生
ずる
か
ら、
そ
の
処分
権は
根
本
的
制
限
を
受
け
る。
次に
、
本
来の
用
法に
従っ
て
使用し
て
も
実
体の
減却ま
た
は
減損を
伴わ
ない
物を
利用
物と
名づ
け、
公
有共
用と
す
灘一
-づ
る。
そ
の
う
ち、
道路
・
公
園・
港の
よ
うに
同
時的共
同
使用
の
可
能な
物の
使用
は
取
締ま
る
だ
け
で
よ
い
が、
住
宅・
苦
節・
懐中
時計の
よ
うに
排他
的
順次
使用を
必
要と
する
物の
利用権は
、
所有主
体で
あ
る
地
方
団体
か
ら
特
別に
個人に
与
ぇ
ら
れ
る。
最
後に
、
物本
来の
使命が
人
為を
加
え
た
り
加え
ずに
新し
い
物を生
産し
、
ま
た
は
物の
適当
な
分
配
作用を
す
る
に
あ
る
と
き
は、
そ
の
物を
生
産手
段と
み
て、
不
労所得の
禍根を
断っ
た
め
に、
公
有共
用
と
する
が、
そ
の
利用
権も
決
し
て
個人
に
は
与
え
られ
ない
。
純粋な
事
実
関
係は
別
と
し
て、
そ
れ
は
個人の
取
引
圏
外に
あ
る。
以
上の
法形
式の
下で
は、
個人
は一
方で
一
定
時間の
労働
義務
を
負担
する
と
と
も
に、
他
方で
一
定
分
量の
欲望
充足手
段を
与え
られ
る。
前者に
つ
い
て
は
生
産手
段の
利用
が
事実
関
係と
し
て
個人の
労働に
依存せ
ね
ば
な
ら
ぬ
か
ら
で
あ
り、
後者に
つ
い
て
は
消費物お
よ
び
利用
物の
利用権は
当
然
個人
に
割当て
ら
れ
ね
ば
なら
ぬ
か
ら
で
あ
る。
しか
し、
労働義務
の
時間
と
享楽
手
段の
分
量を
と
も
に一
定
と
する
に
は、
技術
上
き
わ
めて
一
般的な
標
準を
眼
中に
置か
ざ
る
を
え
ない
。
メ
ン
ガ
ー
が
「
通
常の
勤勉と
通
常の
素質を
もっ
た
労働者が
要
一
噸
瑞
ア ン ト ン・ メ ン ガ ー
)l′
hU(
する
は
ずの
平
均労働時間+
(
諌早S
+。
い
)
と
い
い、
ま
た
「
人
た
る
に
伍する
生
存欲
望+
(
旨チ
S
J0
0
)
と
い
うの
が、
そ
れ
で
あ
る。
とい
っ
て、
無差別
な
画一
化
はか
えっ
て
各人
の
経
済的地
位向
上の
可
能
性を
失わ
せ、
大
部分の
民
衆を
し
て
全
くの
無
為主
義に
陥らせ
る
だ
ろ
う。
こ
の
危険を
最も
有
効に
防ぐの
は、
社
会的地
位に
応じ
た
享楽
手
段の
不
平等と
職業労働に
応じ
た
義務労働時間の
融通
性と
を
是認
する
職
階的
組織で
あっ
て、
こ
れ
をメ
ン
ガ
ー
は
主
観的
分配
制度
と
称する
(
トぐ
己こ
S
・況
こ。
し
か
し、
ど
ん
な
時代で
も
すべ
て
の
民
衆が
例外
な
く
労働
能力
者と
し
て
働き
、
ま
た
生
存欲
望
以上
の
高級な
欲
望の
充
足を
求め
ない
で
い
る
と
する
の
は、
現
実
を
無
視し
た
無理
な
仮定で
あ
ろ
う。
労働無能力
者や
未成
年者の
生
存権
確
保の
た
めに
は、
労働能力
者の
義務
労働時間を
そ
れ
だ
け
増さ
ね
ば
な
ら
ぬ
し、
また
労働能
力者
自
身も
義務
労働時間以
上
に
長く
働い
て
収
益
を
得る七
とは
あ
る
程度
まで
許さ
れ
ね
ばな
ら
ない
。
前者の
点で
は
個
人の
なし
た
労働の
時
間に
よ
っ
て
そ
の
受け
るぺ
き
享楽
手
段の
分量が
影響を
蒙らない
の
で、
全労働収益
権の
趣旨■は
全
く
拒否さ
れ
る
が、
後者の
点で
は
そ
れ
が
か
えっ
て
容認さ
れ
る。
た
だ
し、
あ
ま
り
に
ぜ
い
た
く
事
朴
な
消費は
今日
の
資本
蓄
積と
同
じく
非民
主
的で
あ
る
か
ら、
時間外
労働に
よ
る
全
労働収
益
は一
定の
制限つ
き
で
許さ
れ
るぺ
き
で
ある
(
Uの
詔e-
be
も・
戸
2
P
く・
A・
-
抑-
○
)
。
い
い
か
え
れ
ば、
主
観的
分
配制度を
原則と
し
な
が
ら、
すべ
て
の
人
の
生
存権が
完全に
実現さ
れ
た
後は
、
あ
る
程度
-すな
わ
ち、
落伍者の
憎悪を
挑発する
こ
と
な
く、
たん
に
国民
の
競
争心
を
激励する
程度
1に
お
い
て
客
観的
分
配
制度も
例外
と
して
行
なわ
れ
て
よ
い。
メ
ン
ガ
ー
は
そ
れ
を
「
利己
心
と
公
共心
、
自由と
強制を
調
和
する
も
の+
とし
て、
過
渡的な
安
定
状
態に
お
け
る
地
方
団
体
的
社
会
主
義の
国
家に
と
くに
推奨
して
い
る
(
叫
g・
)
S
+-)
。
と
こ
ろが
、
こ
の
よ
うな
状態も
メ
ン
ガ
ー
に
よ
れ
ば
「
人
類
社
会意識の
や
や
高い
段階+
と
み
ら
れ
る■に
すぎ
ない
。
と
す
れ
ば、
将来国
家
社会
主
義・
世
界社
会主
義へ
と
進む
に
つ
れ
て、
個々
人の
欲
望が
非常に
平準
化
して
、
生
存権と
こ
れ
に
相
当
する
労働義務と
の
限
界を
越え
て
は、
利己
心は
自発的
に
慎ま
れ
る
よ
うな
状態が
、
民
衆的
労働国家の
彼岸に
想
像
さ
れ
る。
しか
し、
そ
の
よ
うな
状態
は
友
愛
と
献身
と
の
教
育を
幾百
年問民
衆に
施すこ
と
を
前
提と
する
の
で
あっ
て
一.
⊥
(
Oe
→
邑耳
芦S.
〉
∽・
N
■○、
い
わ
ば
「
遠い
将来の
雲霧の
なか
4 3
一 橋論叢 第五 十一 巻 第四 号 ( 6 2 )
に
あ
る+
とさ
れ
る
(
、
畢S
・
-
遷じ
そ
こ
に、
メ
ン
ガ
ー
法
学の
核心
を
な
す生
存権の
理
念が
政
治と
道徳との
課題と
し
て
登
場する
。
晩年の
メ
ン
ガ
ー
に
は、
「
民
衆
政
策+
(
く○-
打
甲
旦-
t
声-
宍声
藤
本
直、
邦
訳)
お
よ
び
「
新道
徳
学+
(
欝喜
∽
琵
邑2
首-
買藤本
直、
邦訳)
とい
う二
つ
の
小
著が
あ
る。
い
ずれ
も
勢力
関
係の
見地か
ら
右の
課題に
迫っ
た
もの
で
あ
る
が、
メ
ン
ガ
ー
の
業
績中で
は
最も
貧弱で
あ
る、
とエ
ー
ア
リ
ヒ
はい
う(
EF
ユi
c
g
∽.
N
山
)。
一
九
世
紀法思
想の
総決算で
あ
る
法実
革王
義が
も
た
ら
し
た
方
法論的
無為(
He
。
打
㌔・
ふe
邑Ne
撃-
巴e
g
ロビ
g
亡
已Ⅰ
ロ
訂?
e
罵
言
音邑
e
n
ニ芸
、
∽・
い
)
に
対し
て
は、
こ
れ
を
法
律価
倍の
探求か
ら
哲学
的に
克服し
ょ
うと
する
方
向
と
法の
社
会
性の
探求か
ら
社
会学
的に
迂回
し
よ
う
と
する
方
向との
大
略
二
つ
の
試み
が
現わ
れ
た
が、
メ
ン
ガ
ー
は
後者の
方
向
を
歩ん
で、
法を
あ
くま
で
経
験的事実と
し
て
捉え
よ
う
と
する
。
し
か
し、
彼の
生
存権概
念が
民
衆
的労働国
家の
画
像の
な
か
に
漸次
薄れ
て
行き
なが
ら
も、
法律価値に
まで
高ま
ろ
う
と
す
る
苦
脳をみ
るし+
き、
そ
れ
が】
九
世
紀的二
律背反か
らの
脱
却を
、
「
科
学の
領域で
基
礎+
づ
けよ
うと
する
メ
ン
ガ
ー
の
姿で
あ
る
こ
と
を
知る
の
で
ある
。
結
-エ
ー
ア
リ
ヒ
の
批評に
よ
せ
て
メ
ン
ガ
ー.
の
業績中
で
最も
注
目
すべ
き
も
の
が
「
新
国
家
論+
で
あ
る
こ
と
は、
エ
ー
ア
リ
ヒ
も
認
め
て
い
る
(
穿
きF
∽・
葛
岡書は
「
世
界史の
実際に
こ
れ
まで
よ
く
知ら
れ
た
政
治的
また
社
会的改
革の
手
段の
み
を
推賞する+
(
冒口
筆写
S・
、
ぎ3畳もの
で
ある
か
ら、
プ
ラ
ト
ー
的なユ
ー
ト
ピ
ア
の
類書と
み
る
の
は
不
当で
あ
る
と
い
う
の
で
あ
る
(
E
Eき
S・
〇。
現
に
二
〇
世
紀の
法律は
メ
ン
ガ
ー
の
い
わ
ゆる
生
存権
と
労働権を
保障する
方
向に
動い
て
き
た
よ
う
で
ある
。
すで
に
ワ
イ
マ
ー
ル
憲法
は
そ
の
第二
編
「
ド
イ
ツ
人の
基本
権お
よ
び
基本
義務+
の
第五
草「
経
済生
前の
秩序+
冒頭の
第
三
一
条第
一
項で
「
経済生
活の
秩序は
、
各人に
人
た
る
に
値
す
る
生
活を
可
能な
ら
し
める
こ
と
を目
的と
する
正
義の
原
則に
適合し
な
け
れ
ば
な
ら
ない
。
各人の
経済上の
自
由は
、
こ
の
限
界内
で
保
障さ
れ
る+
と
彗Eた
。
こ
れ
は
労働法学の
大
家で
あっ
た
ジ
ン
ツハ
イ
マ
ー
の
捷実に
よ
る
もの
だ
とい
わ
れ・
る
が、
そ
の
「
人
た
る
に
催する
生
活+
とい
う
名
文
句は
彼の
以
前に
メ
ン
ガ
ー
が
用い
て
い
る
の
で
あっ
て、
右の
規定
は
生
存権的
な
基
本
権の出
塁一口と
理
解さ
れ
る。
4 3 β
1琳
( 6 3 ) ア ン ト ン ・ メ ン ガ ー
わ
が
憲法もそ
の
第二
五
条に
「
すべ
て
国民
は
健康で
文
化
的
な
最低限
虔の
生
活を
営む
権利を
有する+
こ
と、
ま
た
そ
の
第二
七
条に
「
すべ
て
国
民は
勤労の
権
利を
有
し
義
務を
負
う+
こ
と
を
規定
し、
さ
らに
労働基
準法第
一
条は
「
労働条
件は
、
労働者が
人
た
る
に
値する
生
活を
営む
た
めの
必
要を
充た
すべ
き
もの
で
な
け
れ
ば
な
らな
い+
と
呈
示
し
た。
こ
れ
ら
が
生
存権的な
基本
権の
保障で
あ
る
こ
と
は一
般に
認
め
ら
れ
て
い
る
(
我
妻
栄
「
基
本
的人
権+
、
国
家
学
会
凍
誌
特
輯、
新
憲
法
の
研
究一
。
石
井
照
久・
労働基
本
権)
。
し
か
し、
伝来の
自
由権
的な
基本
権と
の・関連で
、
そ
れ
が
ど
の
よ
うに
理
解さ
れ
る
べ
きか
に
つ
い
て
は、
ワ
イ
マ
ー
ル
憲法の
規定七
た
程度の
文
面
を
すら
欠い
て
い
る
わ
が
憲法の
場合に
は
問題が
あ
る
し、
少
な
く
と
もメ
ン
ガ
ー
の
構想
し
た
国
家像に
比べ
て
無造
作な
生
存権
保
障の
規定で
あ
る
と
い
う印
象を
受ける
。
こ
れ
は
い
う
まで
も
な
く、
メ
ン
ガ
ー
の
「
新国
家諭+
が
社
会主
義的理
想
の
確証を
与え
よ
うと
する
もの
で
ある
か
ら
で、
そ
の
生
存権
の
漁理
も
彼自身の
認めて
い
る
よ
うに
実
兄カ
ー
ル
・
メ
ン
ガ
ー
「
国民
経済学原理+
(
G
2n
計賢N
e
紆
:ざ一
打∽
W芹t
苔
ぎ冨・
-
e
官e
-
-
00
コ)
S・
∞
∽
持)
に
お
け
る
生
存
欲
望
の
論
述に
一
斑
を
負うけ
れ
ど
も
(
呂e
点e
→〕
P
戸
P
P
く・
A・)
∽
・り
トロ
芦
ぎ)
、
わ
思
想
的に
は
そ
れ
と
む
し
ろ
対
照
的で
あ
る。
メ
ン
ガ
ー
が
貴族の
出で
あ
り
な
が
ら、
社
会主
義の
学者と
し
て
進む
決断をし
た
の
は、
一
八
七三
年の
こ
とで
あ
る。
こ
の
年彼は
、
困
窮の
場合に
一
、
二
〇
〇
グ
ル
デン
の
年金を
呉
れ
る
旨を
定
め
た
弁護士
保
険組合に
加入
し
た。
こ
れ
は
将来
の
迫害に
備え
る
た
めで
、
彼の
覚悟の
ほ
ど
が
窺わ
れ
る。
生
涯独
身
を
守っ
た
の
も、
そ
の
た
めで
あ
る
と
さ
え
い
わ
れ
る
(
G
旨口
訂
串
P
P
〇.
)
。
と
に
か
く、
異常な
決意を
もっ
て
社
会主
義法学の
研
究に
従
事し
た
よ
うで
ある
。
しか
し、
彼は
社
会民
主
党貝で
は
なか
っ
た
の
み
な
ら
ず、
同
党か
ら
手び
ど
い
敵対
を
すら
受け
た
の
で
あ
る
(
HF
註阜S
・
00
)
。
「
新国家
論+
に
は、
お
も
に
メ
ン
ガ
ー
と
同
党の
公
式
信条との
対
立が
み
ら
れ
る。
双
方に
とっ
て、
社
会問題は
何よ
りも
ま
ず権力
の
問題で
あっ
た。
国家の
権力手
段を
働く
プロ
レ
タ
リ
ア
ト
ト
の
手中
に
収め
、
彼らの
有利に
な
る
よ
うに
動か
すこ
とが
眼
目で
あっ
た。
し
か
し、
社
会民
主
党の
採用
する
マ
ル
ク
ス
学説に
よ
れ
ば、
こ
の
解決法は
一
定の
生
産様式の
変化
を
前
提要件と
する
。
エ
ー
ア
リ
ヒ
に
よ
れ
ば、
メ
ン
ガ
ー
が
マ
ル
ク
ス
と
異な
る
主
要点
は、
こ
の
唯物史観を
拒香する
とこ
ろ
に
っ
J
あ
る。
な
ぜ
な
ら、
メ
ン
ガ
ー
の
民
衆的
労働国
家は
何らか
の
4 3
一
橋論 叢 第 五 十一 巻 第 四 号 ( 6 4 )
経済現象に
全
く
依
存し
ない
の
で
あっ
て、
い
つ
どこ
で
無産
階殻
が
そ
れ
へ
の
権
力を
獲得し
ょ
う
と
もよ
い
か
らで
あ
告
社
会問題の
解決は
けっ
きょ
く
法
律問題で
あ
り、
社会主
義
法を
もっ
て
すれ
ば、
い
つ
で
も
民
衆的
労働国
家は
実
現
する
とみ
る
か
ら
だ
とい
うの
で
あ
る
(
EF
ユどF
-
∽.
買)
。
ェ
ー
ア
リ
ヒ
の
理
解の
仕方は
や
や
極
端の
よ
うに
思
わ
れ
る。
な
ぜ
な
ら、
メ
ン
ガ
ー
は
こ
うい
うだ
けだ
か
ら
で
あ
る。
「
マ
ル
ク
ス
や
エ
ン
ゲ
ル
ス
と
と
もに
、
法
律秩
序は
た
ん
に
そ
の
時代の
経済的
事情の
法
的上
部構造
、
法
理
的
表現に
すぎ
ない
と
推定
す
る
の
は、
謬見こ
れ
よ
り
甚
だ
し
き
は
な
か
ろ
ぅ。
む
し
ろ
法律の
領域で
は、
第一
に
権
力が
決定を
与え
、
第二
に
は
じ
めて
経
済的需要
が
権力
者た
ちの一
般的承
認を
受ける
か
ぎ
り
で
決定
を
与
え
る
の
で
あ
る+
(
芳n
的e
J
芦
∽.
、
抑
N
N
O
と。
し
か
し、
メ
ン
ガ
ー
が
続けて
、
「
た
の
むに
足る
軍隊と
善良
な
警察と
を
もっ
て
すれ
ば. 、
経
済的
事情とは
甚
だ
し
く
矛
盾
する
法
律
秩
序を
設定
し、
また
幾世
紀に
も
わ
た
っ
て
維持する
こ
と
が
で
き
る+
(
E
訂
邑p
)
と
述べ
て
い
る
と
こ
ろ
に
は、
た
しか
に
国
家の
権
力
的
作用に
対
す
る
過
大
評
価
が
あ
る
(
EF
ユ
与∽
+ご
。
そ
して
、
こ
の
こ
と
は
そ
れ
の
過
小
評価に
欠
山
を
和する
と
い
わ
れ
る
エ
ー
ア
リ
ヒ
自
身
の
立
場
(
勺1
i
①
d
日
昌n
一品P-
→
訂01
y
こae
d
n
こ芸
、
ワ
一
茂)
と
好
朗Jチ
対
照
を
な
す
とい
えよ
う。
けれ
ども
、
エ
ー
ア
リ
ヒ
を
メ
ン
ガ
ー
か
ら
訣別さ
せ
た
思
想
的原
因は
、
唯物
史観の
是非で
は
ない
。
そ
れ
は
第一
に、
メ
ン
ガ
ー
が
社
会問題を
もっ
ぱら
分配
問題と
し
て
み
た
点に
あ
る。
エ
ー
ア
リヒ
に
よ
れ
ば、
今日
支
配
階
級の
手
中に
ま
す
ま
す
多く
集まっ
て
くる
巨
大な
財産は
彼らに
よっ
て
消費さ
れ
る
よ
り
もむ
し
ろ
資本
化
さ
れ
る
の
で
あっ
て、
そ
の
国民
経
済
的意味で
は
民
衆的
労働国
家も
また
資本
化を
し
な
け
れ
ば
な
ら
ない
。
も
ち
ろ
ん、
奪惨晶に
つ
い
て
は
別
で
あ
る
が、
今日
個人の
ぜ
い
た
くが
どん
なに
過
大に
み
え
よ
う
と
も、
そ
れ
は
国
民
財産の
収益の
僅
少
部分
し
か
なさ
ない
。
だか
ら、
そ
れ
を
排除し
て
も、
個々
の
プロ
レ
タ
リ
ア
ー
ト
の
生
計は
ほ
と
ん
ど
目ぼ
しい
向
上
を
し
ない
だ
ろ
う。
メ
ン
ガ
ー
自
身も
、
民
衆
的
労働国
家に
お
い
て
は
むし
ろ、
労働階級の
最も
積極的
な
分子
で
あ
る
都市
労
働
者の
生
計が
、
「
不
労
所得の
撤廃
に
も
か
か
わ
ら
ず、
全
国
平
均を
と
れ
ば、
恐
ら
く
例外
的に
低下
せ
し
め
られ
ね
ば
なる
まい+
(
冒ロ
g叩
J
牢
乎
S
+苫)
と
恕
像
する
の
で
あ
る。
し
た
が
っ
て、
全
不
労所
得が
撤
廃さ
れ、
あ
らゆ
る
吾
移が
不
可
能に
さ
れ
て
も、
こ
れ
に
よ
り
達成さ
れ
る
ヰ
( 6 5 ) ア ン ト ン ・ メ ン ガ ー
貯蓄
そ
の
もの
は、
メ
ン
ガ
ー
の
み
る
と
こ
ろで
も、
全
労働者
に
今日
よ
り
もよ
い
生
計を
保
障する
に
足
り
ない
、
とエ
ー
ア
リ
ヒ
は
い
うの
で
あ
る
(
EFユー
O
F、
S・
-
N
こ。
エ
ー
ア
リ
ヒ
は
国民
所得の
再
分
配だ
けで
メ
ン
ガ
ー
の
希望
する
成
果が
達成で
き
る
か
ど
うか
に
疑問を
い
だ
い
て
い
た
の
で
あっ
て、
こ
の
疑問に
対し
て
メ
ン
ガ
ー
が
ア
メ
リ
カ
の
共
産
主
義団
体
を
み
よ
と
答え
た
と
き
(
呂e
n
ge
J
P
戸
P
P
く・
A・
〉
S
+笠
ご、
エ
ー
ア
リ
ヒ
は
こ
う考え
た。
民
衆的
労働国
家が
民
衆か
ら
そ
の
よ
うな
宗教
的
熱意の
こ
もっ
た
禁欲の
ス
パ
ル
タ
的
生
活態
度を
強要で
き
る
か
ど
うか
は
と
も
か
く
と
し
て
も、
彼ら
は
土
地
生産物の
きわ
めて
重
要な
剰余を
他の
非共
産主
義的な
経
営体の
生
産物と
交
換し
、
資本主
義的
世
界の
技術的ま
た
経済的な
全
進歩に
間接的な
が
ら
参加す
る
わ
け
で
あ
る、
と。
メ
ン
ガ
ー
はこ
の
異論に
対
し
て
も
は
や
反
駁せ
ず、
「
君
は
年を
と
っ
て、
保守的
に
なっ
た
の
だ+
と
い
う
言
葉で
対
話を
打切
っ
た
とい
う(
EF
ユー
阜S
Je
。
エ
ー
ア
リ
ヒ
に
とっ
て
は、
社
会問題は
何よ
り
も
ま
ず財貨
生
産に
お
ける
技術
的
進歩の
問題と
思わ
れ
た
の
で
あ
る。
し
た
が
っ
て、
一
定の
計画
に
し
た
が
い
秩序づ
けら
れ
る
財
貨生
産が
国民
所得の
よ
り
正
当
な
分
配の
み
な
ら
ず、
全
国民の
需
さ
事
要を
充
分に
まか
な
う
収
益
向上
を
伴うもの
で
あ
る
とい
うマ
ル
ク
シ
ス
ト
の
見解に
、
む
し
ろ
関心
を
び
か
れ
る。
彼は
「
今
日
の
生
産詔
力が
計
画
的に
運
用さ
れ
た
場合に
、
すべ
て
の
人
人の
た
め
に
充分
な
福祉を
達成で
き
る+
こ
と
を
計
数的に
証
明し
た
匿名の
一
書「
将来国
家の一
瞥+
(
E
ど
賢○
打
旨
計n
N
口
付
戸口
許∽St
p
已.
吋コ)
一
戸
村t
-
○
ロ
ビ
n
d
内○
ロ∽
ロゴ-
叶
H
ロ
SO
N
訂】
賢P
甲t
宍Y
ロ
At-
a
n
江qロ
払〉
St
きt
笥き
くe
ユ
品
つO
n
1.
H●
ノ
戸
口岩
.
t
N
ZPC
F
汗
-
∞
諾)
を
引
用し
、
こ
れ
が
カ
ウ
ツ
キ
ー
の
序文を
えて
い
る
点に
、
高い
評価を
与
えて
い
る。
し
か
し、
最後に
や
は
り
そ
の
よ
うな
大が
か
りの
技術的
進歩は
、
今日
の
社
会に
お
い
て
よ
り
も
社
会主
義社
会に
お
い
て一
層早
く
可
能で
あ
る
か
ど
うか
に
は、
疑問が
あ
る
と
し
て
い
る
(
Hビュ叶
阜SS
・
-
㌣・
N
O)
。第二
に、
民
衆的
労
働国家で
は、
すべ
て
を
見渡し
、
すべ
て
を
決め
、
すべ
て
を
命ずる
こ
と
が
で
き
る
超人
的な
機関を
必
要と
する
。
地
方
団
体
的社
会主
義の
場合に
は、
地
方
官庁
が
そ
の
地
位に
就くわ
けだ
が、
こ
の
点に
もエ
ー
ア
リ
ヒ
は
実
効性を
疑う(
ト
訂
チ
S・
N
〓・
)
。
第三
に、
メ
ン
ガ
ー
の
歴史的
感覚は
過
去を
鋭く
見
抜く
限
鏡で
は
あっ
て
も、
将来を
決定
する
道
具で
は
なかっ
た、
とエ
ー
ア
リ
ヒ
は
い
う(
旨チS
・
4 J5
一 橋論叢 第 五 十 一 巻 策 四号 ( 6 6 )
N
上。
要す
る
に、
メ
ン
ガ
ー
が
分
配
問題に
集中する
の
あ
ま
り、
勢力
関係の
変革に
なお
急な
議論を
構え
て
い
るこ
と
を、
エ
ー
ア
リ
ヒ
は
耐えが
た
く
感
じ
た
よ
うで
あ
る。
「
わ
た
く
し
は
自
分の
道徳
、
学問
、
芸術
、
そ
し
て
奪移の
要求に
つ
い
て
も、
民
衆的
労
働国
家の
機関か
ら
監督さ
れ
る
こ
と
を、
で
き
る
だ
け
御免し
て
も
らい
た
い
の
で
あ
る+
(
ト
訂丸
.-
S.
-
い)
とエ
ー
ア
リ
ヒ
は
書い
て
い
る
ほ
ど
で
ある
。
そ
れ
に
もか
か
わ
ら
ず、
「
メ
ン
ガ
ー
が
勢力
関
係の
変革を
力説する
背後に
は、
現
在の
支
配階
級
は
すで
に
無塵者に
対し
若干の
責任が
あ
り、
将来ま
すま
す責任が
ある
だ
ろ
うとい
う彼の
道徳的
確信が
び
そ
ん
で
い
る
の
で
あっ
て、
こ
の
点で
は
彼は
自分が
望ん
だ
か
ど
う
か
を
問わ
ず、
あ
らゆ
る
時代の
民
主
主
義者に
優る
と
も
劣ら
ない
道徳家の
列に
入
る
だ
ろ
う+
(
叫
g・
-
S・
N
〓・
)
とい
うエ
ー
ア
リ
ヒ
の
言葉は
、
メ
ン
ガ
ー
の
「
人と
学説+
を
内
面か
ら
結び
つ
ける
に
相
応しい
言葉で
あ
る
と
思
う。
か
つ
て
福田
徳三
博士は
、
企
業を
起点
と
する
「
生
産的+
な
社会政
策を
唱
導し
て、
カ
ー
ル
・
ツ
ァ
イ
ス
財団に
お
け
る
労働の
あ
り
方を
激
賞し
た
が
(
屑田
・
経
済
学全
集五
下一
四
四
部一
一
号
二
頁
以
下)
、
そ
こ
に
は
博士
自身が
深
く
傾
倒し
て
お
ら
れ
た
メ
ン
ガ
ー
の
生
存権理
論(
前
掲、
二
〇一
四
頁以
下)
を
企
業の
場
に
お
い
て
再
構成
する
とい
う
課
題が
あっ
た
は
ずで
あろ
う。
近
時、
イ
ギ
リ
ス
の
ゴ
イ
ダ
ー
は
ツ
ァ
イ
ス
財団の
企
業体
制を
そ
の
よ
うな
方
向で
再
評価し
、
「
責任
あ
る
会
社+
とい
う構
想を
発表し
た
(
GO〕
古e
→)
3岩
知内
竜3乳巴Q
9ヾ→
ぢ
§苧
-
苫-
.
拙訳
・
第三
の
企
業体
利)
。
限
ら
れ
た
本
稿の
首題か
ら
は
ずれ
る
が、
メ
ン
ガ
ー
学説に
残さ
れ
た
問題を
考え
る
立
場か
ら
は、
付
言
する
に
惜し
ょ
う。
「
新社
会は
ど
うし
て
も
現
代に
接
着
し
な
け
れ
ば
な
らない+
(
2訂
長e
♪
芦S
・
、
∽・
-
遥)
こ
と
を
強
調
した
メ
ン
ガ
ー
が
意外に
も
簡単に
国権に
よ
る
大
財産償却
の
可
能性を
想定
して
、
い
き
な
り地
方
団体
的
社会
主
義の
実
現へ
飛
躍し
た
とこ
ろに
、
今日
の
大企
業とい
う
大
財産の
出
現を
充
分に
み
と
ど
けて
い
な
かっ
■た
彼の
時代
的
な
ずれ
が
感
じ
ら
れ
る
の
で
あ
る。
(
一
橋大学
教
授)
ヰ