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ネパール・レル村現地調査レポート 筆者:WaterAid Nepal/アビームコンサルティング ⾦金金井 あや
はじめに
「レル村総合⽔水・衛⽣生プロジェクト」は、レル村開発委員会の普及アプローチ及び 2011 年年
施⾏行行のネパール衛⽣生マスタープラン(National Sanitation & Hygiene Master Plan-‐‑‒2011)を
取り⼊入れることにより、レル村に安全な⽔水・衛⽣生を届けるプロジェクトです。
2014 年年度度に実施する⽔水・衛⽣生プロジェクトとアドボカシーにより、レル村全体で野外排泄ゼ
ロを宣⾔言することを⽬目指しています。
本プロジェクトでは、マスタープランで想定された、⽔水・衛⽣生ガバナンスや対象地域の優先
度度を改善するため、地⽅方⾃自治体との調整や村落落⽔水・衛⽣生調整委員会(V-‐‑‒WASH-‐‑‒CC)の能⼒力力強化
に取り組みます。
プロジェクト予算
2013 年年度度 (530 万ルピー)
2014 年年度度 (850 万ルピー)
2015 年年度度 (880 万ルピー)
プロジェクト実施地区 第 1 地区、 第 6 地区、 第 7 地区、 第 8 地区
プロジェクト実施校
サラスワティ中学校
サラスワティ⾼高校
アマルカンチ中学校
ジャヤルクマリ⼩小学校
パルヴァチ⼩小学校
デュラリ⼩小学校
現地調査の⽬目的
本現地調査の⽬目的は、WaterAid ネパール(以下 WAN)が実施する⽔水・衛⽣生プロジェクトを
詳細に視察することでした。この⽬目標の達成に向け、下記の下位⽬目標を設定しました。
• WANの現地パートナー団体である UEMS(Urban Environment Management
Society: 都市環境マネジメントソサエティ)のプロジェクト実施地域において、プロジ
ェクト開始前と開始後の⽔水・衛⽣生状況の変化について理理解を深めること
2
• ⽔水利利⽤用者委員会や地元住⺠民と交流流し、⽔水・衛⽣生に関する⼈人々の経験について理理解を深め
ること
現地調査報告
2014 年年 12 ⽉月 1 ⽇日の現地訪問に先⽴立立ち、WAN のサルバギャ・シュレスタ⽒氏より、レル村総
合⽔水・衛⽣生プロジェクトの全体内容の説明と、訪問予定のカリター地区及びラップス地区の説
明を受けました。
カリター地区
カリター地区を訪れると、コミュニティの⽅方々が
花とティカで温かく迎え⼊入れてくれました。地区を
代表して、⽔水・衛⽣生利利⽤用者委員会の書記を務めるバ
ルクリシュナ・カダカ⽒氏より、コミュニティの⽔水・
衛⽣生の概況について説明を受けました。
カダカ⽒氏によると、プロジェクト実施前と⽐比べ、
⽔水・衛⽣生状況は少しずつ変化しているとのこと。研
修やキャンペーン、関⼼心喚起プログラムは、コミュ
ニティの⼈人々の⽔水・衛⽣生への意識識を⾼高める効果的な
⼿手法であると話していました。また、カダカ⽒氏は、今回の調査で訪問
する建設中の給⽔水プロジェクトや、プロジェクト実施に際して直⾯面し
た困難について説明してくれました。例例えば、熟練した労働者や砂な
どの建築資材は⼿手に⼊入りにくく、⼈人的資源不不⾜足などが⼤大きな障害にな
っているとのことでした。
最後にカダカ⽒氏は、このコミュニティを⽀支援し、⽔水・衛⽣生の改善に
取り組む UEMS とWaterAid に対して感謝の意を表明しました。
カリター地区の⽔水利利⽤用者委員会の⼀一員であるサビトリ・カダカ⽒氏は、多くの⼥女女性たちが、よ
り良良い暮らしのためにいかに安全な⽔水・衛⽣生が重要かに気づき、研修や関⼼心喚起プログラム、
地区の中で⾏行行われたグループディスカッションに参加するようになったと話していました。⼥女女
性たちは⽣生理理⽤用ナプキンを安価な材料料でつくる研修を受け、⽉月経衛⽣生についても意識識を⾼高めた
そうです。また、⼦子供クラブの積極的な参加も、本プロジェクト推進に⾮非常に役⽴立立っていると
のことでした。
現在建設中の給水設備
カリター地区の住民との記念写真
3
ラップス地区の住民との記念写真
ラップス地区
カリター地区を後にし、ラップス地区を訪問しまし
た。そこでは、⽔水利利⽤用者委員会のメンバーより、プロ
ジェクト実施前のトイレ普及率率率が 40%だったのに対
し、現在はほぼすべての家庭で適切切なトイレが建設さ
れたとの報告を受けました。
プロジェクトを始めたころは、トイレ建設について
住⺠民の理理解を得ることがとても難しかったそうですが、
UEMS による定期的な働きかけと関⼼心喚起活動により、
⼈人々は安全なトイレの重要性を理理解し、トイレの建設
を始めたとのことでした。この第 8 地区では、近いう
ちに野外排泄ゼロと宣⾔言されるそうです。
カリター地区及びラップス地区の訪問では、コミュ
ニティの⽔水・衛⽣生情報が⽰示されたソーシャルマップに
ついて学びました。ソーシャルマップには、「改良良済み
トイレがある家庭」「未改良良トイレがある家庭」「トイレがない家庭」「セメント製貯⽔水槽が
ある家庭」「現地で⼊入⼿手できる素材でできた新設トイレがある家庭」「衛⽣生に関する関⼼心喚起
のための壁画やメッセージプレートがある家庭」などと⽰示されていました。
現地調査を終えて
本現地調査では、WaterAid が実施するプロジェクトを視察し、当社の⽀支援がどのような
⼈人々に、どのようなインパクトを与えているのか肌で感じることができました。特に、現地の
住⺠民の 1⼈人から「あなたたちの⽀支援が、私たちの⽣生活にどれだけのインパクトを与えるのか知
ってください」という⾔言葉葉を掛けられたことが⾮非常に印象的でした。
また、WANメンバーと、プロジェクトにより改善できる現地の課題や、当社の⽀支援に対す
る期待について意⾒見見交換を⾏行行えたことも、今後の⽀支援活動につながる貴重な経験になったと感
じています。
私⾃自⾝身がWaterAid の実施するプロジェクトを⽬目の当たりにし、その効果に感銘を受けたよ
うに、当社の社員をはじめ、より多くの⽅方々にWaterAid の取り組みや当社の⽀支援活動の意義
と効果を伝えていく必要性を強く感じました。
ラップス地区に設置された汲み取り式トイレ
4
レル村総合⽔水・衛⽣生プロジェクトによる成果
プロジェクト開始以来、下記の成果を挙げることができました。
• CLTS(コミュニティ主導総合衛⽣生管理理)アプローチにより、第 7地区が、野外排泄ゼ
ロを宣⾔言
• 村落落⽔水・衛⽣生調整委員会より承認された衛⽣生宣⾔言⽂文書を作成し、トイレを建設した家庭
に衛⽣生証明書を発⾏行行
• 第 7地区にあるバスキ及びカファルダンダ/ラミダンダ給⽔水設備を修復復・新設
• 第 7地区のプロジェクト受益者数は、⽔水関連(1,732 ⼈人)、衛⽣生設備関連(886 ⼈人)、衛⽣生
習慣関連(1,880 ⼈人)を記録
• サラスワティ中学校(第 7地区)及びシカーパ⼦子供クラブ(第 7地区)で、バイオサン
ドフィルターを利利⽤用した浄⽔水設備設置とトイレ修復復を実施
• ビニールシート製の溜溜め池を 4つ建設、40 個の灌漑⽤用スプリンクラーを設置
• ⽉月経衛⽣生管理理と正しい⼿手洗いに焦点をあてた衛⽣生に関する関⼼心喚起活動を実施
2014年年度度の主な活動
• ⽔水・衛⽣生に関する研修、⽉月経衛⽣生管理理研修(⽣生理理⽤用ナプキンの作り⽅方)、トイレ建設に
関する事前研修、衛⽣生的な暮らしのための研修(アグロフォレストリー、家庭菜園、⾷食
器乾燥棚、固形廃棄物処理理を含む)の実施
• 環境の⽇日、野外排泄ゼロ、トイレの⽇日、⽉月経衛⽣生管理理、⼿手洗いなど、テーマを決めたキ
ャンペーンの展開
• 街頭演劇、集会、ドキュメンタリー映像の作成、壁画、衛⽣生に関する訪問学習、⽔水・衛
⽣生や村落落⽔水・衛⽣生調整委員会に関するワークショップ 、⽔水質調査の実施
• VDC レベルの関係者と連携したレル村の野外排泄ゼロを⽬目指すアドボカシー及び調整
訪問時に進⾏行行中であった活動
• 第 8地区の 3つのコミュニティ(ジュレンダンダ、カリター 、ラップス)における給
⽔水スキームの完成
• 第 1地区、第 6地区及び第 8地区において野外排泄ゼロに向けた取組み
5
• レル村及び LCDP(グッド・ネイバーズ・ネパール)による継続的な⽀支援を通じ、ほか
の 5地区(第 2地区、第 3地区、第 4地区、第 5地区、第 9地区)における野外排泄
ゼロの実現
• ジャヤルクマリ⼩小学校、パルヴァチ⼩小学校、デュラリ⼩小学校におけるトイレの新設と修
復復
• アマルカンチ中学校におけるバイオサンドフィルターの導⼊入
• 改善された衛⽣生状況に関する定期的なフォローアップ、衛⽣生習慣の改善に関する講習
2014年年 3⽉月末までの年年間計画
• 第 8地区の 3つのコミュニティ(ジュレンダンダ、カリター、ラップス)における給⽔水
スキーム
• 5 つの取⽔水⼝口の建設、9基のセメント製貯⽔水槽の設置、12 の調整/開発委員会の⽴立立ち上
げ、2,552m の⽔水を流流すためのパイプ組織の建設、24 個の点滴灌漑の導⼊入、30 世帯間
接続、5基のバイオサンドフィルターの設置、188 回の⽔水質調査実施、3か所の学校ト
イレの建設、300 世帯のトイレ建設
• 4 ⼈人の管理理者向け研修、全地区向けのウォーターボランティア研修、すべての⽔水の安全
保障計画チーム向けの⽔水の安全保障に関する研修、レル村での野外排泄ゼロ宣⾔言、5つ
のキャンペーン、12 回の安価な⽣生理理⽤用ナプキンづくり研修、12 回の固形廃棄物管理理研
修、288 回のフォーカスグループディスカッション研修、12 回の街頭演劇、すべての
⽔水・衛⽣生利利⽤用者委員会向けオリエンテーション、5回の⽣生計向上研修、⽔水の安全保障計
画チームの相互訪問、衛⽣生に関する相互訪問、村落落⽔水・衛⽣生調整委員会(V-‐‑‒WASH-‐‑‒
CC)の相互訪問
• 2014 年年度度予定受益者数:⽔水関連 (1,629 ⼈人)、衛⽣生設備関連 (314 基の改良良型トイレの建
設による 1,456 ⼈人) 、衛⽣生習慣関連 (1,629 ⼈人)