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- 1 - (長期優良住宅対応) メンテナンスガイドライン 2013年10月1日 初版発行 2014年10月 1 日 第二版発行 一般社団法人 プレハブ建築協会 住宅部会 CS品質委員会/技術分科会

メンテナンスガイドライン...- 3 - 1.ガイドラインの目的 このガイドラインは、一般社団法人プレハブ建築協会住宅部会会員会社(以下、会員会社という)が

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(長期優良住宅対応)

メンテナンスガイドライン

2013年10月1日 初版発行

2014年10月 1 日 第二版発行

一般社団法人 プレハブ建築協会

住宅部会

CS品質委員会/技術分科会

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目次

1. ガイドラインの目的

2. 用語の定義

3. メンテナンスの必要性

4. 関連諸基準との関連

5. 維持保全の支援

(1) 維持保全業務

(2) 維持保全計画の所有者への説明

(3) 維持保全計画書

(4) メンテナンススケジュール

(5) 災害時の臨時点検

(6) 定期点検、臨時点検記録シート

6. 維持保全計画書・メンテナンススケジュールの作成要領

(1) 維持保全計画書、メンテナンススケジュールの期間

(2) 点検の目安

(3) 調査の目安

(4) 修繕の目安

(5) 住宅の維持保全の概念

(6) 長期優良住宅と会員会社の住宅の維持保全計画

7. メンテナンス基準

(1) 点検の際の重点ポイント

(2) 点検に必要な工具

(3) 点検時に注意する事項

(4) 点検結果の記録

(5) 修繕工事の重点ポイント

(6) 修繕に必要な工具

(7) 修繕時に注意する事項

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1.ガイドラインの目的

このガイドラインは、一般社団法人プレハブ建築協会住宅部会会員会社(以下、会員会社という)が

建築する長期優良住宅に関し、その維持保全計画の作成及び当該計画に基づく維持保全の実施に参

考となる具体例を示すことにより、会員会社の顧客である当該住宅の所有者が当該住宅の維持保全

を適切に行なえるよう支援することを目的とする。

2. 用語の定義

このガイドラインで使用する用語の定義は次の通りとする。

1) 法律

長期優良住宅の普及の促進に関する法律(平成20年12月5日法律第87号)をいう。

2) 施行令

長期優良住宅の普及の促進に関する法律施行令(平成21年2月16日政令第24号)をいう。

3) 施行規則

長期優良住宅の普及の促進に関する法律施行規則(平成21年2月24日国土交通省令第3

号)をいう。

4) 告示

長期使用構造等とするための措置及び維持保全の方法の基準(国土交通省告示第209号)を

いう。

5) 長期優良住宅

法律第6条第1項に基づき、構造及び設備が長期使用構造等であるものとして、所管行政庁の

認定を受けた住宅をいう。

6) 維持保全

住宅の構造耐力上主要な部分、雨水の浸入を防止する部分、又は住宅の給水又は排水の設

備について、点検又は調査を行い、及び必要に応じ修繕又は改良を行うことをいう。(法律第2

条第3項参照)

7) 構造耐力上主要な部分

住宅の基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材(筋かい、方づえ、火打材その他これらに

類するものをいう。)、床版、屋根版又は横架材(はり、けたその他これらに類するものをいう。)

で、当該住宅の自重若しくは積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧若しくは水圧又は地震その他の

震動若しくは衝撃を支えるものをいう。(法律第2条第3項第一号、及び施行令第1条参照)

8) 雨水浸入防止部分

住宅の屋根若しくは外壁又はこれらの開口部に設ける戸、枠その他の建具をいう。(法律第2

条第3項第二号、及び施行令第2条参照)

9) 給排水設備

住宅に設ける給水又は排水のための配管設備をいう。(法律第2条第3項第三号、及び施行令

第3条参照)

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10) 点検

維持保全の内、住宅の状態を確認する行為であって、維持保全計画に基づき定期的に、又は

地震時及び台風時に臨時に行う、目視、触診、問診又は簡易な測定器具による測定等を主体

としたものをいう。

11) 調査

維持保全の内、住宅の状態を確認する行為であって、点検結果に基づき、必要に応じて行うも

のをいう。

12) 修繕

維持保全の内、住宅又はその部位の初期の性能および機能を維持するために行う行為をい

う。

13) メンテナンス

維持保全の内、点検、調査及び修繕をいう。

14) 改良

維持保全の内、住宅又はその部位の初期の性能および機能を向上するために行う行為をい

う。

15) 維持保全計画書

長期優良住宅建築等計画の内、建築後の住宅の維持保全の方法について記載した書類をい

う。

16) メンテナンススケジュール

住宅のメンテナンスについて、当該住宅の仕様に応じてあらかじめその内容及び実施時期の

目安を明示したものをいう。

17) 部位

住宅内で部材が設置されている場所、又は設備等空間をいう。

例:壁、床、天井、階段、台所、浴室等

18) 部材

仕様書等で規定される、部位を構成する単位をいう。

例:システムキッチン、システムバス、サッシ、玄関ドアセット、内部建具セット等

19) 部品

部材を構成する単位をいう。例:水栓、戸車、ドアノブ等

20) 小部品

部品を構成する最小単位をいう。例:パッキン、ネジ、ビス等

21) 点検シート

名称・形式の如何を問わず、点検項目を明示し点検結果を記録する帳票をいう。

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3.メンテナンスの必要性

住まいを長く快適に住み続けるためには、住まい手自身による「日頃のお手入れ・点検・簡単な補

修」と住宅会社等の専門業者による「適切な時期に適切なメンテナンス」を行うことが必要である。

告示第4条では、規則第5条に規定する認定対象建築物の維持保全の方法の基準として、以下の

条件を満たす点検の時期及び内容を長期優良住宅建築等計画に定める事が求められている。

① 法第2条第3項に掲げる住宅の部分について、点検の対象となる部分の仕様に応じた点検の

項目及び時期が定められたものであること。

② ①の点検の時期が、それぞれ認定対象建築物の建築の完了又は直近の点検、修繕若しくは

改良から10年を超えないものであること。

③ 点検の結果を踏まえ、必要に応じて、調査、修繕又は改良を行うこととされていること。

④ 地震時及び台風時に臨時点検を実施することとされていること。

⑤ 住宅の劣化状況に応じて、維持保全の方法について見直しを行うこととされていること。

⑥ 長期優良住宅建築等計画の変更があった場合に、必要に応じて維持保全の方法を変更するこ

ととされていること。

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4.関連諸基準との関連

関連諸基準との関連を、以下に示す。

5.維持保全の支援

(1) 維持保全業務

法律における長期優良住宅の維持保全の主体者は当該住宅の所有者であり、会員会社は以下の

いずれかに基づき、維持保全業務を行う。

1) 長期優良住宅の所有者と当該住宅の維持保全について業務委託契約を締結し、当該契約に従

って維持保全業務を行う。

2) 長期優良住宅の所有者と建築請負契約を締結し、当該契約に基づくアフターサービスの一環と

して維持保全業務を行う。

3) 請負契約に基づくアフターサービス範囲外となる臨時に行う点検について、都度、所有者と合意

のもとで点検・維持保全業務を行う。

2)、3)の場合、会員会社が行う定期・臨時点検の事前案内時に、長期優良住宅の維持保全計画に

基づく法令上必要な点検であることを告知する。

(2)維持保全計画の所有者への説明

会員会社は、下記の項目について所有者へ説明を行う。

説明の時期は、維持保全業務委託契約時、又は建築請負契約時が望ましいが、やむを得ない場合

には、当該住宅を引き渡すまでの適切な時期に説明してもよい。

1) 維持保全の主体について以下の内容を説明する。

プレハブ建築協会

国土交通省

住宅産業協議会

メンテナンスガイドライン

住生活向上推進プラン

工業化住宅供給業務管理規準

優良ストック住宅推進協議会

スムストック査定基準住まいと設備のメンテナンススケジュールガイド

長期優良住宅認定基準

維持保全計画

メンテナンス時期、概算費用等 「メンテナンス」に関する査定条件

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i) 維持保全の主体者は所有者であること。

ii) 前項に記述する会員会社の位置づけについても説明することが望ましい。

2) 所有者に行っていただくことについて以下の内容を説明する。

i) 認定を受けた維持保全計画に基づく定期的な点検、災害時の臨時点検を実施すること。

ii) 点検結果に基づく必要な修繕を実施すること。

iii) 点検(定期・臨時共)結果の記録(点検シート)、及び修繕の実施記録を保管すること。

iv) 以下に該当する場合、必要な手続きを行うこと。

・認定を受けた計画を変更しようとする場合

・長期優良住宅を相続や売買する場合

v) 修繕資金計画に基づく資金を準備すること。

vi) 法律第12条に基づき、所管行政庁から維持保全状況の報告を求められた場合には、必要な

報告を行わなければならないこと。

3) 会員会社が行うことについて以下の内容を説明する。

i) (1) 1)~3)に規定する維持保全業務の一環として定期点検、災害時の臨時点検を実施するこ

と、並びにその時期、及び概要。

ii) 所有者からの依頼により、必要な修繕を実施すること。

iii) 点検(定期・臨時共)結果の記録(点検シート)、及び修繕の実施記録を保管すること。

iv) 2) ⅵ)に該当する場合、所有者からの依頼により会員会社が保管する情報及び記録等を提

供すること。

4) 会員会社は、長期優良住宅建築計画の変更の必要性を把握した場合は、所有者に報告すると

共に、当該計画を変更する場合は、所管行政庁への報告が必要である旨を告知することが望ま

しい。

【長期優良住宅所有者に対し状況報告依頼があった場合の報告フロー】

長期優良住宅所有者所管行政庁 会員会社

状況報告依頼

状況報告受託

状況報告書

会員会社が保管する記録を

利用する場合

メンテナンス履歴照合

履歴の記録状況報告書状況報告書提供提出

提出

依頼

依頼

所有者が保管する記録

を利用する場合

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(3)維持保全計画書

維持保全計画書は、以下の基準を満たすこと。

1) 点検部位として、「構造耐力上主要な部分」「雨水の浸入を防止する部分」「給水設備・排水設備」

を含むこと。

2) 点検時期は、対象建築物の完成又は直近の点検、修繕もしくは改良から10年をこえないもので

あること。

3) 点検期間は、対象建築物の完成から30年以上であること。

4) その他、告示に準拠すること。

(4)メンテナンススケジュール

メンテナンススケジュールは、以下の基準を満たすこと。

1) (3)に規定する維持保全計画書の内容を満たすものであること。

2) 1)の他、このガイドラインに規定する条件を満たすものであること。

3) 会員各社は、自社のメンテナンススケジュールに、1)及び 2)の範囲を超えて任意の内容を追加す

ることができる。

(5)災害時の臨時点検

下記に該当する場合、会員各社は被害状況の情報を収集し、所有者の要望に応じて臨時点検を

実施する。

1) 震度6弱以上の地震が観測された場合

2) 台風による瓦飛散、床下浸水以上が確認された場合

3) その他、甚大な被害が確認された場合

(6)定期点検、臨時点検シート

長期優良住宅に対して会員会社が行う定期点検又は臨時点検の点検シートは下記の内容を盛り込

む。

1) 維持保全計画書に基づく点検であることの明示

2) メンテナンススケジュールに基づく点検シートと兼用する場合は、どの項目が長期優良住宅維持

保全計画書に基づく項目かを識別できる表示

3) 維持保全(点検・修繕)を行ったこと

4) 維持保全(点検・修繕)を行った年月日

5) 維持保全(点検・修繕)の内容

6) 維持保全を行った会社名(委託契約の場合は委託先)

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6.維持保全計画書、メンテナンススケジュールの作成要領

(1) 維持保全計画書、メンテナンススケジュールの期間

1)長期優良住宅で必要な「維持保全計画書」は、30年以上とする。

2)会員会社で作成する「メンテナンススケジュール」の期間は、原則60年とする。

3)「メンテナンススケジュール」は、長期優良住宅の「維持保全計画書」を包含する。

(2) 点検の目安

1)メンテナンススケジュールには、住宅全体及び部位、部材、部品、機器ごとに、点検の目安となる

時期及び項目を記載する。

2)メンテナンススケジュールに基づく点検の時期は、建築物の完成又は直近の点検、修繕若しくは

改良から10 年を超えないものとする。

3)メンテナンススケジュールに基づく点検は、点検シートに基づいて客観的かつ正確に実施し、そ

の結果は速やかに所有者に報告するものとする。

4)地震、台風等の災害発生時には、長期優良住宅の所有者との契約に基づき、又は会員会社の

判断に基づき臨時点検を実施する。

5)会員会社の判断に基づいて臨時点検を実施する際には、点検前に当該点検が長期優良住宅の

維持保全に係る臨時点検である旨を長期優良住宅の所有者に告知するものとする。

(3) 調査の目安

1)点検の結果、調査が必要な場合には、速やかに所有者に報告するものとする。

(4) 修繕の目安

1)維持保全計画書、メンテンススケジュールには、住宅全体及び部位、部材、部品、機器ごとに、

修繕の目安となる時期と修繕方法を記載する。

2)修繕の目安となる時期及び修繕方法は、耐久性その他の条件を考慮して定める。

3)設備機器等の修繕の目安となる時期は、機能不全の前となるよう考慮する。

4)足場の設置を必要とする修繕については、出来るだけまとめて実施するよう考慮するものとす

る。

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(5) 住宅の維持保全の概念

住宅の維持保全の概念図を以下に示す。

維持保全

メンテナンス 改良

点検 調査 修繕

・住宅の性能・機能を維持する

・住宅の性能・機能を向上する・定期または臨時に実施・目視、触診、問診、簡易測定主体

・点検結果に基づき必要に応じて実施

・点検、調査結果に基づき実施・住宅の性能・機能を維持する

住宅の状態を調べる

維持保全

メンテナンス 改良

点検 調査 修繕

・住宅の性能・機能を維持する

・住宅の性能・機能を向上する・定期または臨時に実施・目視、触診、問診、簡易測定主体

・点検結果に基づき必要に応じて実施

・点検、調査結果に基づき実施・住宅の性能・機能を維持する

住宅の状態を調べる

(6)長期優良住宅の維持保全計画と会員会社のメンテナンススケジュール

長期優良住宅の維持保全計画と会員会社のメンテナンススケジュールの概念図を、以下に示す。

契約/入居時

資料(設計図書、仕様書、取説 等)

60年メンテナンス

スケジュール

関連ツール

契約/入居時

資料(設計図書、仕様書、取説 等)

60年メンテナンス

スケジュール

関連ツール

契約~着工~引渡し(0年) 15年 30年 45年 60年

5年 10年 15年

● ● ●20年 25年 30年

● ● ●35年 40年 45年

● ● ●50年 55年 60年

● ● ●

定期点検・メンテナンススケジュール

臨時点検・補修(認定基準)(災害発生時)

点 検 記 録

維持管理記録(実施日、メンテナンス内容)

点検・メンテナンス実施基準(マニュアル,要領書)

(臨 時 点 検 記 録)

維持保全計画(認定基準)(定期的な点検・補修)

長期優良住宅

会員会社の住宅

臨時点検・補修(任意)(災害発生時)

維持保全計画(任意)(定期的な点検・補修)

維持保全計画

点検・メンテナンススケジュール

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<維持保全計画書の例>

 長期優良住宅認定 維持保全計画書

点検項目 仕様・部位 主な点検項目 点検の時期定期的な手入れ等

更新・取替の時期、内容

基礎基礎外廻り仕上げ面の状態(亀裂、欠損、不同沈下、蟻道) 10年、20年、30年 建替え時期に更新

軸組・土台床版・屋根版

柱脚・土台・耐力脚部床版/屋根版

錆、傷、剥れ水溜り・たわみ 10年、20年、30年 建替え時期に更新

小屋組 小屋裏・柱頭部(柱~梁接合部、小屋組)

錆、傷、剥れ 10年、20年、30年 建替え時期に更新

瓦葺き(一般セメント瓦) 瓦の割れ・ズレ・反り 15年を目安に 30年を目安に

(彩色瓦・厚物瓦) 瓦の塗装、板金の退色・錆 洗浄・再塗装を検討 葺き替えを検討

瓦葺き(高耐候セメント瓦/陶器瓦)

漆喰、土の割れ・剥がれ小屋組腐食雨漏等の跡 10年、20年、30年

30年を目安に葺き替えを検討

屋根 シート防水シートの傷・亀裂ディスクの浮き 10年、20年、30年

30年を目安に防水シート重貼りを検討

15年を目安に洗浄・再塗装を検討

(太陽光発電下地の場合は必要都度)

磁器タイル ひび、欠け、浮き、剥がれ 10年、20年、30年必要都度

洗浄・部分修復建替え時期に更新

外壁ボード系(塗装仕様)

塗装:著しい汚れ、白華、錆面材:割れ、欠け、反り

10年、15年、20年、30年

15年を目安に洗浄・再塗装を検討

30年目の状況に応じて処置(メンテナンス・更新)を検討

目地(シーリング材)

切れ、剥がれ、破断、膨れ10年、15年、20年、30年

15年を目安にシーリング打ち替えを検討

水切り(外壁・屋根)

水切シーリング

水切本体の変形切れ、剥がれ、破断、膨れ

10年、15年、20年、30年

15年を目安にシーリング打替水切本体の取替えを検討

開口部 サッシ・ドア・ガラリ・天窓建具周囲の隙間、開閉不良タイト材・ビードの変形・切れ 10年、20年、30年

必要都度タイト材・ビードの交換

30年目の状況に応じて処置(メンテナンス・更新)を検討

バルコニー等 シート防水シートの傷・亀裂ディスクの浮き 10年、20年、30年

30年を目安に防水シート重貼りを検討

給排水設備

給水・給湯排水管

ヘッダー管・パイプ 漏れ、シミ、割れ、傷 10年、20年、30年 水漏れは直ちに補修30年目の状況に応じて部品交換・修復を検討

その他

金属葺き(太陽光発電下地)

葺き材の退色・白華・錆

構造躯体

雨水浸入防止

(

屋根・外壁・開口部等

)

地震や台風などの大きな自然災害が発生した場合に、必要に応じて臨時点検を実施するものとします

10年、15年、20年、30年

10年、15年、20年、30年

30年を目安に葺き替えを検討

点検項目は、構造体、雨水浸入防止

部位、給排水設備とする。

点検項目、点検時期を

表示する。

点検項目/点検方法は、

別紙 1 で解説する。

更新・取替えの時期を

表示する。

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<メンテナンススケジュールの例>

部位/部材・仕様を表示する。

点検ポイントを明示する。

点検項目/点検方法は、別紙 1 で解説する。

点検時期の表示

部分補修/交換時期を明示する。

★ ★ ★

★は長期優良住宅用「維持保全計画

書」で必要な部位

(対象:構造耐力上主要な部分、雨水

浸入防止部分、給排水設備)

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7.メンテナンス基準

メンテナンスは、「構造耐力上主要な部分」「雨水浸入防止部分」「給排水設備」について、以下のポイン

トで整備する。

(1)点検の際の重点ポイント(点検項目と点検基準の内容は別紙 1 参照)

・基礎

基礎表面の不良(ひび割れ、劣化状況)が無いかを確認する。

ひび割れはクラックスケールを用いて幅を測定し位置を記録する。

鉄筋の露出や骨材の露出が有った場合は、その場所を記録する。

・外壁

外壁面全体の表面の不良(ひび割れ、反り)を確認する。

吹付け材の剥がれ、膨れ、変色等の異常が無いかを確認する。

シーリングの切れ、痩せ等の異常が無いかを確認する。

・土台等

床下から土台の異常(腐食、シロアリ被害等)が無いかを確認する。

土台と基礎との隙間やズレが無いかを確認する。

・屋根(バルコニー含む)

仕上げ材の異常(割れ、欠け、変色、切れ)が無いかを確認する。

・小屋組

小屋裏を確認し、雨漏りや腐食が無いかを確認する。

構造部材の接合部に不具合が無いかを確認する。

・開口部

サッシフレーム(アルミ形材等)の嵌合部に異常(切れ、痩せ)が無いかを確認する。

・給排水設備

給水管の異常(錆、水漏れ)が無いかを確認する。

排水経路に異常(枡の破損、傾き)が無いかを確認する。

(2)点検に必要な工具

ハシゴ、脚立、ヘルメット、スケール、懐中電灯、手袋、鏡、クラックスケール、ヘラ、

マイナスドライバー、等

(3)点検時に注意する事項

建物の金物部材は劣化の恐れや傷等の可能性があるので、ハシゴや足場を固定しない。

脚立やハシゴは平らな場所に設置し、開き止め、スタビライザー等の転倒防止措置を行う。

高所での点検時には必ずヘルメットを着用する。

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<別紙 1> 点検項目と点検基準 維持保全計画/各社の点検スキーム調査まとめ <点検項目についての考え方>  会員会社にて現在実施している点検項目を全て表記しました。  実際の点検に際しては、各会員会社の工法にあった点検項目を採用します。 <点検方法の原則的な考え方>  目視: 直接部位や部品を確認したり、内部の構成がわかる場合、仕上げ材等の外観から内部の状態を推測します。  問診: お客様の気になる点を確認します。指摘事項は入念に点検し不具合の見落としを防ぎます。  目視以外の点検: 目視を主体にした点検で異常を認めた場合は、別途詳細に調査を行い、補修や交換の要否を判断します。

点検項目 点検方法

ひび割れ・欠損 目視(クラックスケール)、打音確認

表面不良(雨垂れ、錆、木のアク等、蟻道、剥れ・浮き、色むら、塗り斑)

目視、打音確認(テストハンマー)

換気口網ずれ、ふさがり 目視

土台 土台 錆、腐朽、蟻害(蟻土・蟻道・羽蟻) 目視

防蟻シート損傷(剥がれ、破れ) 目視(床下から)

給排水管防蟻テープ損傷(剥がれ、破れ) 目視(床下から)

床下防湿シート損傷、捲れ 目視(床下から)

床仕上げ面の異常(結露、亀裂)、 目視、触診(仕上げ材の上から)

錆、腐朽、蟻害(蟻土・蟻道・羽蟻) 目視、触診(床下から)

たわみ、床鳴り 仕上面のレベル測定(水平ゲージ)

不同沈下 レベル測定(水平ゲージ) *問診、建具開閉確認等にて異常を認めた場合

傾斜・たわみ 下げ振りによる建ち測定

仕上げ材の亀裂等 目視(仕上げ材の上から)*直接目視できないため外観から異常を確認

目視、触診(仕上面表面)

目視、触診(天井点検口)

外壁 PC板 仕上げ材の剥れ・浮き・ひび割れ等 目視(仕上げ材の上から)

内部耐力壁 PC板 仕上げ材の剥れ・浮き・ひび割れ等 目視(仕上げ材の上から)

屋根 PC板 仕上げ材の剥れ・浮き・ひび割れ等 目視(仕上げ材の上から)

割れ、欠け、反り、浮き、チョーキング、藻、退色 目視、触診(屋外から)

石・タイル仕上の剥がれ 触診(パルハンマー)

目地 (乾式):浮き、はがれ、(湿式):隙、ひび割れ 目視、触診(屋外から)

PC板の仕上材(吹付塗装など) 剥れ・浮き・ひび割れ等 目視、触診(屋外から)

雨樋 破損、変形、漏水、変色、はずれ、詰まり 目視(高所カメラ、双眼鏡)

排水管カバーの抜け、緩み 目視、触診(屋外から)

支持金物等の固定ビスの緩みなど 目視、触診(屋外から)

軒裏 軒裏天井 傷、欠け、割れ、垂れ、雨漏れ跡、汚れ、浮き、退色 目視、触診(屋外から)

シーリングの隙間、しわ等 目視、触診(屋外から)

建具、シャッター、ドアクローザー、戸車、クレセントの作動不良

問診、作動確認

付属品の錆、チョーキング、反り、変色、剥離 目視、触診(屋外から)

屋根ふき材(窯業系) 割れ、ずれ、欠け、浮き、変退色 目視(高所カメラ、双眼鏡)

屋根ふき材(金属) 錆、傷、ずれ、捲れ、チョーキング 目視(高所カメラ、双眼鏡)

板金・役物(雪止、水切など) シーリング部亀裂、めくれ、ズレ、浮き 目視(高所カメラ、双眼鏡)

しわ、傷、浮き、切れ 目視(高所カメラ、双眼鏡)

ドレインの清掃状況 目視(高所カメラ、双眼鏡)

PC板の仕上材(塗膜防水など) 剥れ・浮き・ひび割れ等 目視(高所カメラ、双眼鏡)

漏水、赤水 問診、目視(天井、壁仕上げ面の漏水跡)水栓の作動状態、給水流量不足等 触診、メーター確認

詰まり、漏れ、滞留、臭い 問診、目視確認、

排水枡の汚れや詰まり 目視(排水桝を開けて)

設備

配管設備

外壁

サイディング壁・ALC・コンクリート系外壁

付帯品

屋外に面する開口部開口部

屋根・外壁・開口部等

給水管

排水管

雨漏れ・結露の痕跡、腐食、腐朽、変形、錆小屋組

点検部位

構造躯体

基礎 基礎立ち上り

防蟻・防湿処理材床下

大引き、床束、根太床組

屋根

シート防水

雨樋

軸組 柱、間柱、筋かい、胴差

垂木、もや、棟木、小屋づか、鋼製トラス、屋根固定金物

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(4)点検結果の記録

点検結果(メンテナンスの要否等)を記録できる点検シートを整備する

点検シートには、以下の内容を記録する。

1) 点検を実施した日

2) 点検項目、点検の方法及び点検結果

点検シートは、以下の条件を満たすことが望ましい。

1) 長期優良住宅の維持保全計画に基づく点検である旨が明示されていること

2) 長期優良住宅の維持保全計画に基づく点検項目と、その他の点検項目が混在している場合に

は、長期優良住宅の維持保全計画に基づく点検項目が容易に識別できること

調査や修繕が必要な場合は、その部位や修繕方法を明確に記録する。

<点検シートの例>

お客様 印

本日、下記の項目をご確認させて頂きました。ありがとうございます。

1. 基礎 *1 □ 表面の状態 2. 外壁パネル *1 □ 外壁パネルの状態 3. ベランダ *1 □ ドレン部状況 □ ドレン清掃アドバイス 4. 防水シート *1 □ シート表面の状況 5. シーリング *1 □ 貫通部 □ 目地シーリング 6. 外壁塗装 *1 □ 吹付けの状況(塗替え 済み・ 未 ) □ 塗り替え時期( 年頃) 7. 勾配屋根 *1 □ 表面材の状況 8. 軒天 □ ボードの割れ、垂れ 9. 手摺 □ ベランダ □ 階段(固定状況) □ 屋上10. 給排水設備 *1 □ 給排水設備の確認(錆・水漏れ・枡の破損・傾き等) □ 排水管洗浄のアドバイス11. 玄関ドア *1 □ 速度調整 □ 施錠状況 □ ビスの緩み12. 勝手口ドア □ 速度調整 □ 施錠状況 □ ビスの緩み13 サッシ・網戸 *1 □ 戸車、クレセントの作動状況(問診)14. シャッター *1 □ 開閉状況 □ 施錠状況 (問診)□ 構造・防水保証期間終了の説明□ メンテナンスプログラム(給湯器の交換 済み ・ 未 )□ 現住所、電話番号の確認□ 設備機器の使用状況

次回の定期点検は   年点検となります。【長期優良住宅の認定を受けている場合】*1 は、「長期優良住宅促進法」の維持保全計画に基づく点検項目になります。「本確認書」を確実に保存下さい。

� 項    目

完了日

建物外部

建物内部

確認事項

状況・所見・特記事項 手配先 予定日

契約番号 XXXXXXX ご連絡可能時間帯 平日在宅・( )時以降在宅・土日在宅

建設地 NNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNN

引渡日 YYYY/MM/DD 営業担当 NNNNNNNNNN 工事担当 NNNNNNNNNN

二世帯名 NNNNNNNNNN 様 電話番号 XX-XXXX-XXXX

    年   月   日( )

10年点検 確認記録書

代表世帯主名 NNNNNNNNNN 様 電話番号 XX-XXXX-XXXX

点検確認が必要な箇所を記載し、チェック欄を設けて下さい。

点検部位の劣化状況、現象を列挙して下さい。

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(5)修繕工事の重点ポイント

・基礎

基礎のひび割れ補修には、注入工法・シール工法等で接着剤(エポキシ樹脂)を、ひび割れ内部

に充填する。原因が沈下であれば、沈下の修繕が必要である。

・外壁

塗膜がチョーキング現象をおこしている場合は、塗替え工事が必要である。

外壁表面の不具合で、補修が困難な場合は交換をする。

シーリングは剥離、破断、破壊、変形、軟化の状況によって打ち増し又は打ち替えをする。

・土台等

床下にシロアリが発生した場合、駆除を行い被害部位の修繕をしてから防蟻薬液を散布する。

・屋根(バルコニー含む)

粘土瓦、スレート瓦、鋼板、ステンレス、シート防水等によって、各種修繕を実施する。

・小屋組

雨漏り、腐食等があれば修繕を実施する。

構造部材接合部も不具合があれば修繕を実施する。

・開口部

サッシ、ドアの材質によって、各種修繕、部材交換を実施する。

・給排水設備

経年劣化により漏水があれば、部品の交換を実施する。

排水が詰まった場合には高圧洗浄等を実施する。

(6)修繕に必要な工具

各種修繕工具一式。

(7)修繕時に注意する事項

材料、工法によって修繕方法が異なるので、各メーカーの修繕マニュアルに準ずる。

足場の設置を必要とする修繕工事については、出来るだけまとめて実施するよう考慮する。

修繕内容は住宅履歴情報として記録する。

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(長期優良住宅対応)メンテナンスガイドライン

平成25年9月17日 住宅部会 幹事会承認 平成25年10月 初版発行 平成26年9月19日 住宅部会 幹事会承認 平成26年10月 第二版発行 発 行 一般社団法人プレハブ建築協会 住宅部会 作 成 ・CS品質委員会 品質小委員会 CS小委員会 ・技術分科会

〒101-0052 東京都千代田区神田小川町2-3-13

M&Cビル5階 TEL:03-5280-3121