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資料4-1 栃木県茂木町 バイオマスタウン紹介

栃木県茂木町 バイオマスタウン紹介 - maff.go.jpどうするか。③処理料をもらうのか購入するのか。④保管場所はあるのか。⑤原料の前処理

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資料4-1

栃木県茂木町

バイオマスタウン紹介

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生ごみ、家畜糞尿、もみがら、森林資源などあらゆる

地域資源を堆肥化して循環型社会を構築

茂木町農林課土づくり推進室 室長 矢野健司

1.はじめに

21世紀は環境の世紀といわれているように、環境問題に対する関心が高まっている中、

環境と調和した人と自然にやさしい暮らし方が求められている。

茂木町では、家庭などからの生ごみ、牛糞、落葉、おがこ、もみがらの5種類の地域資源

を「茂木町有機物リサイクルセンター美土里館」において混ぜ合わせ、良質な堆肥を製造して

いる。良質な堆肥は、野菜が良くできると口コミでひろがり製造が間に合わないほどである。

そして、単なる堆肥工場に終わらず、「環境保全型農業の推進」「ごみのリサイクルの推進」

「森林保全の推進」「農産物の地産地消体制の確立」の目的を総括的に推進している。

資源循環は、原料収集、製造、堆肥の販売、堆肥の利用に分かれており、この総合的な循

環を作り上げることが重要である。特に生ごみや牛糞を廃棄物ととらえ処理優先に考えると、

良質な堆肥はできあがらない。堆肥づくりは物づくり。生ごみも牛糞も貴重な資源で、微生

物の働きやすい環境を整えてやることによって上手に発酵させることができる。良質な堆肥

は黒く、無臭でサラサラした農家が使いやすい堆肥であり、すばらしい循環ができるのであ

る。

地域資源循環システム

動 物 植 物

生ごみ 牛糞 落ち葉 もみがら 間伐材

人 間

野菜 堆肥

土壌

2.地域資源を堆肥に

① 原料と良質な堆肥生産 良質な堆肥生産のためには、原料が安定的に入らなければならない。それはすなわち製品

の安定につながり、農家は堆肥の分析値を信用して作付けができる。何を原料として使うか、

混ぜる量によって堆肥の成分が変り、いかにバランスの良い堆肥ができるかが後の利用に大

きくかかわってくる。また、プラント運営効率の向上や労働配分をするうえでも重要である。 原料については、次のことが問題になってくる。①原料を何にするか。②収集運搬方法は

有機物リサイクルセンター

(堆肥センター)微生物

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どうするか。③処理料をもらうのか購入するのか。④保管場所はあるのか。⑤原料の前処理

が必要なのか。これらのことをしっかり考えないと堆肥化プラントの設計もできないし、製

品の安定化にもつながらない。 1.堆肥の原料 ①牛糞②生ごみ③落ち葉④おがこ⑤もみがら 原料名 収集運搬 処理料び購入料 保管庫 前処理 特性 牛糞

3,228t/年

スラリー バキュム車 バンクリ コンテナ車 固形糞 堆肥車 工場が収集運搬する

処理料 スラリー 1t 1,000円

バンクリ 1t 800円

スラリーは

液肥化槽 スラリー

は固液分

離し尿は

液肥化

水分 90% CN比 15.8

生ごみ 500t/年

生ごみ専用袋で出す (生分解性プラスチック)

収集運搬は委託 事業系生ごみは持ち込み

袋購入代金が処理

料(20リッタ) 一枚 15円 事業系生ごみ 1キロ 10円

家庭で水

きり分別

をしっか

り行う。 ごみの篩

後処理。

水分 90% CN比 24.9

落ち葉 250t/年

農家から購入し、工場が収

集運搬する。 12月から4月まで。 50ヘクタールの山林 が必要できれいになる。

1袋15キロで 400円で購入 1袋の大きさ 0.25㎥

菌体が豊富 細菌 放線菌 糸条菌 CN比 30~50

購入する場合 森林組合が搬入

購入料 1トン 5,000円

おがこ 間伐材から製

造している。 200t/年

処分する場合 利用者が搬入

処分料 木くず 1トン 20000円 剪定枝 1トン 10,000円

製造にあわ

せて注文。保

管は野積。 1㎥あたり 200Kg

おがこ 製造機に

て粉砕。

水分調整に使

用している。脱

臭効果有り。た

だし分解が遅

い。 CN比 636

もみがら 250t/年

ライスセンターから搬入 農家から搬入 もみがら専用収集車

無料 1㎥当たり 150Kg

分解に必要な

空気の保管機

能。分解が遅

い。 CN比 74.3

原料①牛糞

酪農家からすれば糞尿の処理料金は安くしてほしいし、堆肥センターの管理運営からすれ

ば、採算ベースでいただきたい。しかし、処理料金を高くするとできるだけ酪農家は、自己

処理しようとして原料として入ってこなくなり、堆肥センターとして運営できなくなる。処

理料金は管理運営に大きく影響する。 酪農家からの糞尿収集する方法は①自己搬入②堆肥セ

ンターで収集する。の2種類の方法がある。毎日一定量の

原料確保からすれば、収集計画表を作成し糞尿の物質性に

あわせたい肥センターが収集するのが良いと思われる。こ

のことにより、酪農家は糞尿処理にかかる労働時間が軽減

され、飼育頭数も増やすことができる。堆肥センターは人

件費と運搬費用がかかる。これらのことを考慮して処理料金を設定しなければならない。

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原料②生ごみ

生ごみは、堆肥の原料としてすぐれている。しかし、 生ごみ回収セット

処理方法としては、まだまだ焼却が主流で灰の最終処分

まで考えると処分経費は膨大である。堆肥にした場合、

堆肥は有価物として扱われ、農地が最終処分場である。

そして、それが安全でおいしい農作物につながっていく。

また、これらの農作物が学校給食や一般家庭で消費され、

生ごみは食品残渣として堆肥センターに運ばれる。生ご

みを焼却しないで済むのであれば、CO2 やダイオキシ

ン削減につながる。生ごみの堆肥化はこれから私たちが

推し進めなければならないことである。ただし、生ごみは製品の安定化からすれば問題も多

い。一般家庭から集める場合は、住民の生ごみの分別と水きりを徹底してもらわなければな

らない。茂木町では、生ごみを生分解性プラスチックで回収し袋ごと堆肥にしている。

原料③落ち葉 落葉がぎっしり入った袋

落ち葉は昔から生ごみや家畜糞と混ぜて堆肥にし

ていた。しかし、化学肥料の普及とともに落ち葉堆肥

を作る農家は減少してきた。その結果ナラ、クヌギ林

を掃除する目的もなくなり荒廃してきている。茂木町

では、雑木林の保全と良質な堆肥づくりの原料として

落ち葉を利用している。落ち葉は年間250トン使用

し、80ヘクタールの山林がきれいになる。 約15

Kgの袋詰めを400円で購入している。しかも、1

2月から4月まで山で100人が落ち葉収集で働き、雇用対策と健康増進になっている。

また、落ち葉には発酵に必要な細菌、放線菌、糸状菌がたくさん付着しており、副資材の

中でも優等生である。また、特殊な菌を使うのではなく地域に住み着いていた土着菌を使う

ので、その菌が堆肥の中で生き続け地域のほ場に帰っていったとき活躍すると思われる。落

ち葉は、副資材というよりも発酵促進剤的な働きが強い。

原料④おがこ

おがこはたい肥の副資材として一般的に使われている。

しかし、おがこが入っている堆肥は農家からすれば使いづ

らいと評判は良くない。今まで未熟堆肥を使って失敗して

いるからである。木質系のセルロースやリグニンを分解す

るには時間がかかる。発酵期間を長くし、このことを解決

してやれば自然のミネラルが豊富で良質な堆肥ができ上

がる。また、水分調整剤としてはもってこいの材料であり

脱臭効果もある。生ごみや牛糞の投入量が多くなり臭気が

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強くなれば、おがこの投入量をおおくすることによって臭気物体をおがこで包み込むのであ

る程度抑えられる。そして、早期に発酵に移行することである。

原料⑤もみがら

もみがらは分解が非常に悪い。だから暗渠排水など

に利用されている。生のままほ場にまくと排水はよく

なるが、窒素をすってしまい作物は良く育たない。堆

肥として窒素と混ぜ合わせ腐熟させてから使用するの

が良い。もみがらを水分調節材として使用する場合は

粉砕しなければならない。その場合粉砕プラント、電

気量、人件費、粉塵対策等よけいな経費がかかる。む

しろもみがらの壊れにくく半球状の特性を生かし発酵に必要な酸素の保管庫として使うのが

良い。また、出来上がりの堆肥の中でもある程度形状が残っていたのが土壌中の酸素の確保

や微生物の住処にもなる。

3.良質な堆肥製造プラント

良質な堆肥作りは、有機物の分解に必要な条件を整えて

やることである。その分解条件は、有機物、水分、酸素、

温度、発酵菌である。これらの分解条件は、常に変化して

いるため、ある程度一定に保たなければなりません。もし、

どれかひとつでも欠ければ分解が止まってしまう。つまり

たい肥製造プラントは分解条件を一定に保つための道具

であって、分解の主役はあくまでも発酵菌である。発酵菌

が活性化しているかは、発酵温度を監視することである。

堆肥プラントを選ぶ場合の基本的な考え①発酵期間が

十分なプラントか!②プラントはできるだけシンプルに!

③自然エネルギーを最大限利用して!④廃棄物や公害を出さない!⑤ランニングコストを安

く!⑥メンテナンスがしやすい!

堆肥センターのしくみ

牛糞 脱臭棟

生ごみ

落ち葉 →計量→原料投入棟 →一次発酵棟 →二次発酵棟 →乾燥棟 →製品棟

おがこ 牛糞 25 日 65日 15 日

もみ殻 液肥化装置棟

4.堆肥を利用しやすくするために

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美土里たい肥の成分

①定期的な成分検査

堆肥は混ぜ合わせる原料や発酵期間により特

徴がある。肥料の成分検査や発芽試験を定期的に

実施して製品を一定に保つことが大切である。そ

して、作物ごとの施肥基準をつくり堆肥の特長を

最大限活かせるような栽培指導ができるように

したいものである。また、土壌分析により施肥設

計することも大切である。

②堆肥散布

堆肥の散布を大量に行う場合人力で行うとかな

りの重労働になる。農家はたい肥散布まで委託したいと思うが散布量の加減など意外と難し

い。できれば機械をリースし農家が自分で散布するのが良い。ただし、散布機の運搬や堆肥

の運搬はたい肥センターで行わなければならない。茂木町の場合は、ユニック車で散布機を

ほ場に運搬し、その後500kg詰めフレコンをユニック車で運び散布機に載せる方法であ

る。散布料金 1 トン当たり 1,000円。

5.地産地消

地域で出来た堆肥をその土地の農産物栽培に使い、そ

して地域で生産された農産物はできるだけ地域で消費

する。いわゆる「地産地消」を確立することが大切であ

る。「美土里たい肥」は、1tで4,000円(ばら)、

10kgの袋詰めで500円で販売している。堆肥は黒

く無臭でサラサラしていて、扱いやすいと好評である。

また、ハクサイ、ダイコン、ネギなどに使った農家は今

までになく良くできて、虫がつかないと喜ばれている。

現在、茂木町の60%の農家が「美土里たい肥」を使用しており、できた農産物は学校給

食に食材として提供している。また、お米は「美土里たい肥」を使うことを条件に契約栽培

されている。学校給食から出た生ごみは、もちろん美土里館に運ばれ堆肥にしている。

6.美土里たい肥栽培農産物認定事業

茂木町では、安全でおいしい農産物の生産と美土里た

い肥の利用促進を図るため、美土里たい肥を使用した農

産物を「美土里たい肥栽培農産物」として茂木町が認定

し、その農産物に「美土里シール」を貼って有利販売して

いる。生産者は品目ごとに堆肥の施肥基準を守り、減農

薬、減化学肥料栽培に心がけている。

窒素全量(%)

リン(mg/kg)

カリウム(%)

カルシウム(mg/kg)

鉄(mg/kg)

マンガン(mg/kg)

亜鉛(mg/kg)

ホウ素(mg/kg)

銅(mg/kg)

塩素(%)

pH

1. 3

0. 91

0. 97

24000

2600

280

130

34

25

0.94

8.4

現物当り

乾物当り

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区 分 基準量

水 稲 500kg以上/10a

葉根菜類・果菜類・果樹類 1000kg以上/10a

美土里たい肥

栽培農産物

認定基準

その他 作物に応じた施肥量

区 分 目標量

土壌消毒剤除草剤 慣行使用量の50%以下

化学肥料 3要素施用成分総量の50%以下

減農薬

減化学肥料

栽培目標量

合成化学農薬 慣行防除の50%以下

生産者は、圃場の位置と美土里たい肥の領収書を添えて町へ申請すると生産登録者として

認定される。生産登録者の役割は、(1)生産圃場の状況及び栽培履歴を記載し常備すること。

(2)生産、出荷、販売及び美土里シールの使用状況について記載を行うことである。町は

申請どおりに栽培されているか現地調査を行う。なお、美土里シールは1枚1円で生産者が

購入する。

現在、道の駅の直売所で販売されている農産物の60%は美土里たい肥で栽培されており

野菜が甘く、新鮮でおいしいと好評である。これからは、美土里たい肥の特長を生かし、消

費者のニーズに応えられるような安全でおいしい農作物の栽培法を確立することである。

7.土づくりによる元気な里づくり

美土里館から車で5分のところにそばの里がある。以前は雑草で荒廃していた台地が一面

真っ白なそば畑に変身したのである。オーナー制度もあり播種から収穫、そしてそば打ちま

で体験できる。毎年美土里たい肥を10aあたり1t使用してそばを栽培している。美土里

たい肥使用のそばは生長が良く収穫量も多い。地域住民が出資して農村レストラン「そばの

里まぎの」を経営。こだわりの手打ちそばと旬の素材を活かした心のこもった料理が食べら

れるとあって店内は地元住民だけでなく遠方からの客でにぎわっている。もちろん生ごみは

美土里館に出し、できた堆肥でおいしいおそばを栽培する。ここでも美土里館を中心に「食

と農」が循環している。

8.今後の課題と展望

生ごみ分別し、リサイクルするという住民意識はまだ薄く、焼却ごみといっしょに処分し

て方もいる。さらに、分別を徹底し、生ごみの回収率を高めるとともに堆肥化を推進してい

かなければならない。 原料収集、堆肥の製造、農作物の生産、消費と地域資源の循環システムが構築しつつある。

これからはいかに持続させるかである。そのためには、堆肥センターとしての収益を上げ、

美土里館が自立できる管理運営をめざさなければならない。 里山がきれいになり、農地が甦り、おいしい野菜ができ、さらにこの野菜を食べた人たちが

元気になるという地域ぐるみの資源循環をさらに広めたいと考えている。

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1

ミドリ効果発揮!! 5,000万円分貢献しています

費用対効果と環境貢献

美土里たい肥販売

美土里たい肥の売上800万円袋詰商品1万袋販売/受益者延べ2,000戸(受益面積10ha)バラ商品1,000トン販売/受益者延べ500戸(受益面積100ha)

焼却費用削減

生ごみ焼却費用の削減1,500万円処理料年間300トン×負担単価5万円=1,500万円の町費負担削減

環境保全

畜産経営による環境汚染防止農地80haの環境汚染防止酪農家13戸の600頭の家畜糞尿処理

環境保全

80haの森林整備による事業費削減2,620万円仮に森林組合に委託し森林整備を実施した場合 1ha41万円×80ha=3,280万円 農家実施の場合なら660万円でできるその差額

農家支援

美土里シール認定事業220万円美土里たい肥シール添付商品として農産物1点当り10円の付加価値を付けて販売した場合の増量見込み

農家の経営改善

酪農家の糞尿処理経費や労力の軽減。農家の減農薬、減化学肥料による、経費の削減、農薬散布等の労力の削減。

焼却費用削減

選定枝堆肥化による焼却費用削減300万円処理料60トン×負担単価5万円=300万円の町費負担金削減

環境保全

もみ殻焼却中止による環境保全水田180ha分水稲農家50戸の水田から出るもみ殻の処理

農家支援

学校給食への地場食材供給100万円年間約15品目の農産物を学校給食食材へ供給

環境負荷の軽減

生ごみ等を焼却しないことによる、CO2やダイオキシンの排出量削減、地球温暖化防止。

健康促進

美土里たい肥栽培野菜やお米の学校給食への提供や、直売所等での販売により、地域住民への健康の促進につながる。

美土里館は地域資源をリサイクルしながら、環境負荷の軽減や人の健康増進に貢献しています。

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1

(構想書)

茂木町バイオマスタウン構想

1.提出日

平成18年 8月28日

2.提出者

茂木町農林課土づくり推進室

担当者名: 矢野健司 三村和弘

〒321-3542

栃木県芳賀郡茂木町大字九石 641 番地 1

電話: 0285-63-5622

FAX : 0285-63-5622

メールアドレス: [email protected]

3.対象地域

茂木町

4.構想の実施主体

茂木町

5.地域の現状

経済的特色

農業については、かつての葉たばこに替わり、しいたけやこんにゃくが主要な産物になってい

たが、最近では園芸作物として、いちご、なす、しゅんぎくが多く栽培されるようになり、直売

所では中山間地域の特性を生かした少量多品目の野菜が‘新鮮でおいしい’を目玉に販売額を伸

ばしている。また、本格稼動を始めた「有機物リサイクルセンター美土里館」を核とした環境保

全型農業の推進を図っている。

さらに、市街地西部に位置する道の駅「もてぎプラザ」を活用し、農業と観光業の連携に重点

を置いた町の情報発信基地づくりを進めている。

社会的特色

町の北部をアユ釣りの名所である日本でも有数な清流・那珂川が山肌をえぐるように蛇行して

流れ、またとちぎの景勝百選に選ばれた鎌倉山山頂からのダイナミックな眺望や、全国の棚田百

選に選ばれた「石畑の棚田」をはじめとした農村風景が来町する人々の心をなごませている。ま

た市街地はかつての城下町としての面影を残し、歴史を伝えつつ特有の文化をつくり上げてき

た。

平成8年に県内第1号の道の駅に指定された道の駅もてぎ内にある「もてぎプラザ」は、観

光案内や特産品のPRなど、町の情報発信基地として多くの方に利用され連日にぎわっている。

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地理的特色

茂木町は栃木県の南東部に位置し、県境を走る八溝山系にある。東南部は茨城県笠間市、桜

川市、城里町、常陸大宮市に、北部は那須烏山市に、西部は益子町、市貝町に隣接している。

東西12km、南北27km、総面積172.71K㎡の細長い町で標高150~200mの

山が総面積の2/3を占める山間地帯である。

茂木町の位置図

行政上の地域指定

・農業振興地域

・過疎地域

・振興山村地域

6.バイオマスタウン形成上の基本的な構想

(1)地域のバイオマス利活用方法

1)廃棄物系バイオマスのリサイクルを核とした地域資源の利活用推進

茂木町ではこれまで不用なものとして扱われてきた、廃棄物や地域の未利用資源のリサイクル

を進め、自然の持つ循環システムとの共生をめざしている。平成13~14年度資源リサイクル

畜産環境整備事業により家畜排せつ物処理施設を整備した「有機物リサイクルセンター美土里

館」において地域資源である5種類(牛ふん、生ごみ、落ち葉、もみがら、おがこ)のバイオマ

スの利活用により良質なたい肥を製造し町内の農地へ還元して、その生産物の地産地消体制の確

立に取り組んでいる。

今後は、家畜排せつ物のメタン発酵によるバイオガスの利用や、間伐材、剪定枝の活用による

バイオエタノールの生産・利用についても検討を進め、美土里館によるたい肥の製造流通に加え

新たなバイオマスの利活用を推進し、地域の特色を活かした循環型社会の構築を目指していく。

①原料

●家畜ふん尿

茂木町の酪農家全体で約600頭の乳牛が飼育されており、そのうち約200頭分のふん尿

を収集して、たい肥の原料にしている。収集方法は毎週の収集計画を作成し、美土里館の職員

が収集する。処理料金はトンあたり、800円~1,000円。いままで圃場に過剰に投入し

たり、野積みなどにより地下水への窒素汚染や悪臭などによる環境汚染が懸念されていたが、

美土里館へ搬入することで良質なたい肥へと生まれ変わり、飼料畑約80haへ還元できるこ

とになる。たい肥の適正施用により、農地での窒素過剰の防止が図られる。

●生ごみ

茂木町の世帯数は約5,000戸であり、その中の1,800世帯の生ごみを美土里館に回

収している。収集方法は各地区ごとに週2回の収集で、生ごみだけを分別してもらい、とうも

ろこしが主原料になっている生分解性の収集用袋を使用する。専用袋は20リットルが1枚1

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5円、10リットルの袋が1枚10円で購入してもらう。分別については町民の方の協力もあ

り、異物混入は少ない。またスーパーやレストランなどの事業所の生ごみも1キロ当たり7円

で処理している。今まで生ごみについては焼却処理していたが、二酸化炭素による地球温暖化

などの問題を考えると、ごみを燃やさないで活かすという観点は、有効な環境保全になってい

くと思われる。

●枯葉

たい肥に使用する枯葉は年間250tになる。枯葉にはたい肥の発酵に必要な細菌が豊富に

含まれており、非常に優秀な原材料である。この枯葉は茂木町内の約80haの山林から収集

している。この作業は50戸の農家、約100人が12月から4月まで行っている。美土里館

で枯葉収集袋を貸し出し、1袋400円で購入している。山に入って作業することにより、農

家の健康増進にもつながる。また枯葉を集める為に下刈りを行うことで、今まで手入れされず

荒れていた山が美しい山に生まれ変わり、里山の保全に一役かっている。

●おがこ

おがこは間伐材や剪定枝を粉砕して美土里館で製造している。間伐材を山に切り倒したまま

の状態で放置しては、腐食するには十数年もかかり森林状態にも良くない。また家庭の庭木か

らでる剪定枝は焼却されていた。これからは、環境にやさしい処理をしていかなければならな

いため、おがこにしてたい肥の原料としている。

●もみがら

もみがらは専用のもみがら収集車(10立方入る吸引装置つき運搬車)で収集している。最近

ではもみがらの処理に困っている農家が多くなっている。そこで美土里館では町内の180ha

の水田から出るもみがらを無料で収集し、たい肥の副資材として活用している。現在60戸ほど

の農家から回収しているが、未回収の農家もあり、今後、回収率をあげ、もみがらの有効活用を

図っていく。

②製造工程

●計量

計量は施設に搬入される原料及び副資材そして製品の量を種類ごとに管理するもので、収集

運搬車の車両込みの重量を計量できるものでなければならない。日計、月計、年計を基に原料、

製品たい肥の管理をしなければならず重要である。

●原料投入棟

固液分離装置、原料及び副資材投入ホッパーから構成されている。原料(生ごみや畜ふん尿)

は原料投入ホッパーに、副資材(落ち葉、おがこ、もみがら)は副資材投入ホッパーにそれぞれ

投入され、混合機によって混合される。スラリー状の畜ふん尿は、固液分離装置で固形物が取

り除かれ液肥化装置に搬送されて液肥にされる。 取り除かれた固形物は、原料と一緒に処理

される。好気性の良好な発酵を実現するためには、原料の水分調整が最も重要である。

●一次発酵棟(円形発酵棟 25 日)

混合機からコンベアによって自動搬送された原料は、この槽内に堆積し、槽の中心を軸にし

て往復旋回するスクリューによって攪拌され、発酵する。一次発酵処理された原料は、槽の中

央地下部に設置されたコンベアによって二次発酵槽に搬送される。また、槽の底には発酵を促

進させるためのエアレーション装置が埋設されている。この装置は、本体プラントの最も重要

な発酵の中枢を担うものである。発酵の要素は温度、空気、水分、栄養源、微生物といったも

のが必要であるが、スクリューによる攪拌とエアレーションにより好気状態が保たれ、良好な

発酵が促進される。また、臭気は天井から効率よく捕集され脱臭装置へ送られる。

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●二次発酵棟(直線型発酵棟 65 日)

円形発酵棟からコンベアによって自動搬送された一次発酵済み原料はこの槽内に堆積され、

槽内を縦横移動するスクリューによって攪拌される。この装置で 65 日攪拌することにより、分

解・発酵が更に進み、作物への生育障害がない良質で安全なたい肥を得ることができる。

●乾燥棟(乾燥攪拌機 15 日)

二次発酵槽から搬送されたたい肥をロータリー式の乾燥機によって自然乾燥する。この乾燥

機によって水分率が十分低下した良質のたい肥ができる。また、乾燥は太陽エネルギーと乾燥

機の切返でおこなわれ、省エネが図られている。

●製品棟(自動袋詰装置)

この装置は投入ホッパー部、トロンメル部、輸送部で構成される。たい肥はトロンメルの網

目で粗大物が取り除かれ、良質なたい肥のみが計量部に輸送され、袋詰めされて完成する。

●液肥化装置棟

この装置は固液分離装置のベルトスクリーンによって固形物が取り除かれたスラリー状の畜

ふん尿を、液肥化するものである。上述の畜ふん尿は曝気槽で 180 日間曝気され、液肥化され

る。この液肥は主に畜産農家のほ場に還元される。

●脱臭棟

この施設は円形発酵装置によって発生した臭気を脱臭するものである。円形発酵装置は、この

脱臭処理に最も適した構造であり、周囲のカーテンで外気と遮断し、臭気は天井からブロアによ

ってバークとおがたい肥を堆積した脱臭槽に導かれ、吸着及び微生物脱臭される。

③地産地消体制の確立

現在、茂木町の60%の農家が「美土里たい肥」を使用しており、できた農産物は学校給食

に食材として提供している。また、お米は「美土里たい肥」を使うことを条件に契約栽培され

ている。学校給食から出た生ごみは、美土里館でたい肥化され循環利用されている。

また、「美土里たい肥」を使った農産物を「美土里たい肥農産物」として町が認定し、その農

産物に「美土里シール」を貼って、有利販売されている。生産者は美土里たい肥を使い減農薬、

減化学肥料栽培に積極的に取り組んでいる。現在、道の駅の直売所や町内のショッピングセンタ

ーでは「美土里たい肥栽培農産物コーナー」を設置し販売しているが、野菜が甘く、新鮮でおい

しいと好評である。これからは、さらに美土里たい肥の特長を生かし、消費者のニーズに応えら

れるような安全でおいしい農作物の栽培法を確立することである。

④バイオガスプラント

バイオガスの利用方法としては燃焼熱で暖房や湯沸し、またメタンガスを燃料に発電するこ

とも可能であり、化石燃料の削減が図られる。

現在、美土里館では、町内13戸の酪農家で発生するふん尿の約1/3を処理・利活用して

いるが、残りの2/3については、各酪農家が自己処理して、たい肥や液肥として活用してい

る。

今後、酪農家が自己処理しているふん尿の一部を原料として利活用するバイオガス施設の設

置について検討を進める。

メタン発酵施設では、集まった牛ふん尿を密閉層に投入し、3~4ヶ月かけて発酵させ、そ

の過程で生産されるバイオガスをエネルギーとして再利用し、発酵残さである消化液は液肥と

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して活用する。

メタン発酵は、有機廃棄物を分解処理するとともに、発生するバイオガスをエネルギーとし

て利用できるので資源循環、環境保護に期待できる。

⑤エタノール精製

美土里館へ間伐材は約300t、剪定枝は60t年間を通して搬入される。現在美土里館では

おがこに加工してたい肥の副資材として利用しているが、段階的なバイオマスの利用として、バ

イオエタノールの精製が考えられる。

エタノールをガソリンに添加した分だけ二酸化炭素の発生抑制につながる。今後バイオエタノ

ールの利活用についての検討を進めていく。

2) 森林バイオマスの利活用の推進

茂木町は全面積の約7割が山林であり、ここから発生する森林資源のうち、年間500t程度

が椎茸原木として利用されている。

また、年間500トン程度発生すると考えられる間伐材は、その一部を美土里館で堆肥化原料

として利用しているが、未利用なものも多い。これらについては、今後、公共施設や一般家庭へ

の薪ストーブの導入を推進し、その燃料としての利活用を推進していく。

更に、地域の森林資源の有効活用を図るため、公共施設の建築材として地元材の活用を推進す

る。

①一般家庭向けの薪ストーブの導入推進

茂木町では風呂、ストーブといったものへの薪の利用が昔からあり、薪ストーブなどのバイオ

マス熱利用機器の導入を推進していく。ただし既存の建物に新しく導入することは難しいので新

築時に導入しやすい形態にすることが必要である。導入の際に導入経費の補助を実施していく。

また原料の薪が入手しやすい状況になくてはならない。間伐材や公共事業の発生材、しいたけの

原木廃材や切り出され使用されなかった木材等を薪として利用できる幹や枝を分別し、一般家庭

向けに供給する。利用できないものは、美土里館でたい肥の副資材としておがこに加工し、段階

的な利活用を図る。

②公共施設への薪ストーブ導入推進

薪ストーブの普及という観点から人が多く集まる公共施設へ導入し町民に広報することは必

要である。役場、体育館、公民館、道の駅などの施設へ薪ストーブを導入する。

③公共施設への地元材利用

地元材を使用した公民館、学校などの公共施設並びに役場等の建設を進める。木材利用の優

先順位としてはまず、建築材に使用することが第一であるが、その中で発生する木屑などは美

土里館でおがこにしてたい肥化する。また、薪ストーブの燃料にも使用でき、無駄のない資源

利用が可能である。

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3) 廃食用油などのエネルギー利用の推進

茂木町では、年間23トン程度の廃食用油が発生している。一般家庭からの廃食用油は、燃え

るごみとして焼却処分されており、事業所からの廃食用油は、産業廃棄物処理業者に処理を委託

している。

今後これらの廃食用油について、町内での効率的な回収システムを構築し、バイオディーゼル

燃料への変換利用を目指した取組を推進していく。

①一般家庭系廃食用油の収集

廃食用油についてバイオディーゼル燃料化をするには原料となる廃食用油の収集体制を確立

することが必要である。すでに茂木町では町内市街地約1,800世帯の生ごみを美土里館へた

い肥化するために回収している。ごみステーションへ生ごみと廃食用油を分別して出してもらい

回収することは考えられるが、公民館やスーパー等に廃食用油回収ボックスを設置して回収する

ほうが、効率的である。持ってきた量に応じて、地域の商店街や道の駅で使える地域通貨を発行

し、回収の促進を図る。それを生ごみ回収業者に収集してもらい、BDF 精製施設へ搬入し、精製

して美土里館等で使用する収集車や重機の燃料として使用する。また、役場の公用車にも使用し

町民へのPRを図る。一方、住民説明会等を行い、分別の徹底を図る。

生ごみ ごみステーション 生ごみ

美土里館

生ごみのたい肥化

町内農家

地元農産物生産に活用

廃食用油 廃食用油回収箱 BDF精製施設

廃食用油の BDF 化

野菜・米・果物など

茂木町役場

小学校

中学校

廃食用油

BD F

地産地消

BD F

収集運搬車

たい肥製造

用重機

町公用車

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②事業系廃食用油の収集

町内の事業所から発生する廃食用油の回収は、生ごみと廃食用油を分別し、事業者が BDF 生成

施設へ持ち込むこととし、料金については、事業者にメリットが出るよう、産業廃棄物処理業者

よりも安価に設定し、町内の事業所から発生する生ごみや廃食用油の回収率を向上させ、地域資

源の有効利用を推進する。

③遊休農地の活用

茂木町の遊休農地に菜の花やヒマワリを作付けし、それより油を精製し食用として給食センタ

ーや道の駅、町内の食堂などに使用してもらう。廃食用油は BDF 生成施設へ搬入しバイオディー

ゼル燃料に精製する。

この取組は、バイオマスの有効利用だけではなく、遊休農地の景観改善になり、町を訪れた人

への茂木町の取り組みをPRすることができる。

(2)バイオマスの利活用推進体制

平成13年に農林課土づくり推進室が設置され、美土里館の運営をしている。バイオマスタウ

ン構想の実現に関しては町農林課、保健福祉課、JA、地域住民と協力して進めていく。

生ごみを分別して搬入 美土里館

生ごみのたい肥化

町内農家

地元農産物生産に活用

廃食用油を分別して搬入

BDF精製施設

廃食用油の BDF 化

野菜・米・果物など

茂木町役場

小学校

中学校

BD F

地産地消

BD F

収集運搬車

たい肥製造

用重機

町公用車

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(3)取組工程

16年度 17年度 18年度 19年度 20年度 21年度 22年度

以降

生ごみ

たい肥化 実施

継続

家畜ふん尿

たい肥化 実施

継続

もみがら

たい肥化 実施

継続

枯葉たい肥化 実施

継続

有機物リサイクルセンター美土里館事業 間伐材剪定枝

たい肥化 実施

継続

廃油回収

バイオディーゼル化

導入利用に向け

て検討実施

プラント建設

廃油回収

薪ストーブ導入推進 導入利用に向け

て検討実施

町民への普及

啓発活動

家畜ふん尿、汚泥

バイオガス化

導入利用に向け

て検討実施

町民への普及

啓発活動

バイオエタノール

利用推進

導入利用に向け

て検討実施

町民への普及

啓発活動

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茂木町民

有機物リサイクルセンター美土里館

たい肥化処理施設

エタノール

精製施設

BDF精製

施設

里山

耕種農家

道の駅

薪ストーブ

燃料

剪定枝

間伐材

落ち葉

美土里

たい肥

新鮮野菜

新鮮野菜

畜産農家

家畜ふん尿 もみがら

生ごみ

廃食用油

車両燃料

事業所

車両

燃料

学校

給食野菜

生ごみ

建築

材料

剪定枝

茂木町バイオマス循環システム概要

ナタネ

ヒマワリ

精製油

バイオガス

プラント

家畜ふん尿

バイオガス

エネルギー

液肥

消化液

耕種農家

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7.バイオマスタウン構想の利活用目標及び実施により期待される効果

(1)利活用目標

①廃棄物系バイオマス99.4%の利活用

茂木町では、年間1,056トンの生ごみが排出されている。このうち、市街地以外から発生

する600トンは、各家庭で個別にたい肥化され、畑などに還元利用されている。

市街地から排出される家庭系、事業系の生ごみ456トンについては、現在56%が「茂木町

有機物リサイクルセンター美土里館」でたい肥化され、町内の農地で利活用されている。今後、

これらの回収・利用率の向上を図り、食品廃棄物全体としての利用率90%を目指す。

家畜ふん尿についても継続してたい肥化を推進し、家畜排泄物の利用目標率については、10

0%を維持していく。

廃食用油の回収について、町内市街地1,800世帯と町内事業所(ホテル、旅飲食店、食品

製造所)より回収を図る。現在利用はされていないが、100%の利活用を目指す。

②未利用バイオマスの65.0%利活用

間伐材及び剪定枝の木質系バイオマス利活用については美土里館でもたい肥の原料として使

用しているが、茂木町の特性上森林系バイオマスは豊富にあるので薪ストーブ、建築材としての

利用拡大を目指し、70%の利活用を目指す。

また、落ち葉については森林保全の面からもたい肥化を推進し、50%の利活用を目指す。

もみがらは回収率を上げ、たい肥化の副資材として100%の利活用を目指す。

茂木町バイオマスタウン構想 利活用目標一覧表

単位: 湿潤量 t/年

炭素換算 ㎏/年

賦存量 利用目標 バイオマス

湿潤量 炭素換算 湿潤量 炭素換算

利用・販売 利活用目標

廃棄物系バイオマス 12,994 763,225 12,888 758,680 99.4%

家畜排せつ物 11,565 690,084 11,565 690,084たい肥化/農地還元

バイオガス化 100%

食品廃棄物(生ごみ) 1,056 45,275 950 40,730 たい肥化/農地還元 90%

廃食用油 23 986 23 986 BDF化 100%

下水道汚泥 350 26,880 350 26,880肥料化/農地還元

スラグ化、バイオガス化 100%

未利用バイオマス 1,466 604,516 986 393,172 65.0%

間伐材 500 220,150 350 154,105たい肥化/農地還元

建築材、燃料化 70%

剪定枝 100 44,030 70 30,821たい肥化/農地還元

バイオエタノール精製 70%

落ち葉 600 264,180 300 132,090 たい肥化/農地還元 50%

もみがら 266 76,156 266 76,156 たい肥化/農地還元 100%

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(2)期待される効果

・今まで焼却処理されていた生ごみ(300トン/年)や廃食用油(23トン/年)をたい肥や

燃料に変換して利活用することで、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出を抑制。また、生ご

みの焼却費用(約15,000千円/年)や軽油燃料使用量の削減。

・間伐材や落ち葉の回収による山林整備や地元材の建築材としての利活用による林業振興の推

進。

・薪ストーブの導入推進による石油燃料使用量の削減と温室効果ガスの排出抑制。

・家畜ふん尿の適正処理による環境保全型農業の推進。

・良質たい肥の生産と利用による地域農業の活性化と地産地消体制の確立。

・地域資源の有効活用による循環型社会の構築。

8.対象地域における関係者を含めたこれまでの検討状況

・美土里館を軸として、バイオマス資源の利活用を図っている。

9.地域のバイオマス賦存量及び現在の利用状況

単位: 湿潤量 t/年

炭素換算 ㎏/年

賦存量 仕向量 バイオマス

湿潤量 炭素換算変換・処理方法

湿潤量 炭素換算 利用・販売 利用率

廃棄物系バイオマス 12,994 763,225 12,800 753,922 98.8%

美土里館でたい肥化 4,140 247,034 農地還元 家畜排せつ物 11,565 690,084

自己圃場還元 7,425 443,050 農地還元 100%

美土里館でたい肥化 256 10,976 農地還元 食品廃棄物 1,056 45,275

自己圃場還元 606 25,982 農地還元 82%

廃食用油 23 986 焼却 23 0 0%

下水道汚泥 350 26,880 肥料化 350 26,880 農地還元 100%

未利用バイオマス 1,466 604,516 840 330,583 54.7%

間伐材 500 220,150 美土里館でたい肥化 300 132,090 農地還元 60%

剪定枝 100 44,030 美土里館でたい肥化 60 26,418 農地還元 60%

落ち葉 600 264,180 美土里館でたい肥化 225 99,068 農地還元 38%

もみがら 266 76,156 美土里館でたい肥化 255 73,007 農地還元 96%

10.地域のこれまでのバイオマス利活用の取組状況

(1)経緯

・平成15年4月に人と自然にやさしい農業の確立を目指し、茂木町有機物リサイクルセンター

美土里館が稼動した。生ごみ、牛ふん尿、落ち葉、もみがら、枯葉を原料として、良質なたい肥

を製造し、町内の農地への還元利用を推進している。

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(2)推進体制

・JA、農家、畜産農家団体、森林組合、町民団体、企業、行政など関係者の役割分担の明確化

や密な連携により、バイオマスタウン構想実現に向け計画的に推進していく。

・家畜排せつ物や森林資源等のバイオマス利活用計画については、美土里館等既存施設の利用計

画との整合性を図るため、県関係各課と協議の上推進していく。

・バイオマスタウン構想実現に向けた技術的な課題や運営管理上解決すべき課題については、県

試験研究機関の研究成果等を参考に、県関係各課の指導、助言を受け推進していく。

(3)関連事業・計画

・茂木町新エネルギービジョン

(4)既存施設

・茂木町有機物リサイクルセンター美土里館

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茂木町バイオマス利活用推進団体名簿

№ 実施区分 所属 氏名

1 家畜排泄物搬入 茂木町酪農組合 山口 文男

2 たい肥利用、もみがら搬入、枯葉搬入 認定農協者連絡協議会 三村 昌

3 枯葉収集 烏生田むらづくり協議会 小森 守

4 家庭系生ごみ分別 茂木町保健環境委員

5 事業系生ごみ搬入 ツインリンクもてぎ

6 事業系生ごみ搬入 ショッピングセンター もぴあ

7 事業系生ごみ搬入 大兼製麺

8 事業系生ごみ搬入 そばの里 まぎの

9 生ごみ収集運搬 安田運送

10 間伐材搬入 芳賀地区森林組合

11 間伐材搬入 小口材木

12 剪定枝搬入 茂木町シルバー人材センター

13 たい肥販売、地産地消推進 道の駅 もてぎプラザ

14 たい肥販売、地産地消推進 JAはが野茂木地区営農センター

15 オブザーバー 栃木県農務部農村振興室 小池 則義

16 オブザーバー 栃木県農務部畜産振興課 本澤 延介

17 茂木町 保健福祉課生活環境係 星 光徳

18 茂木町 農林課長 田村 幸夫

19 茂木町 農林課 土づくり推進室 矢野 健司

20 茂木町 農林課 土づくり推進室 三村 和弘