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JST新技術説明会 2008.7.18 1 分布型圧力計測による 自動車用ハンドル生体センサシステム 研究基盤センター/生産システム工学系 助教 今村 孝

分布型圧力計測による 自動車用ハンドル生体センサシステム · – 運転中の会話,作業行動(ハンドル・アクセル操作),車外環境映像

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分布型圧力計測による自動車用ハンドル生体センサシステム

研究基盤センター/生産システム工学系

助教 今村 孝

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新技術の概要

握り方の個性||

固体識別の可能性ドライバ状態の推定

握る=接触||

自然で,接触型の生理情報収集が可能

・発汗 ・心拍

・血圧 ・脈拍

・体温

・握り位置/手の配置

・握力

状況の必然性(ハンドルを握って運転する)による,侵襲・拘束感の緩和と計測安定性の向上

自動車運転時のハンドル把持行動(圧力・位置)を自然な状態で計測する技術

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想定される用途

• 本技術により,生体・生理情報計測の精度・確度の向上が期待できる.

• 対象とする生体・生理情報として,「眠気」,「疲労」,「集中」に関する情報を得ることで,運転中の不安全要素の予兆検出実現が

期待できる.

• 手,指先の動きや把持力に着目することで,新たな運転操作インタフェースの実現も期待できる.

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想定される業界

• 想定されるユーザー

自動車用ステアリングホイール製造メーカー

自動車用電装部品メーカー

• 想定される市場規模

自動車用EPS:約1800億円(世界市場,2004)出所:富士キメラ総研

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研究背景

内閣府 交通安全白書, http://www8.cao.go.jp/koutu/taisaku/index-t.html

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Number of cases

Number of Serious Injury

Number of Death

交通事故死亡者数は近年減少傾向

交通事故件数は依然として高い数値を推移

交通事故・死亡者統計

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研究背景

G-Bookヘルプネット

• 自動車事故の原因別分類– 約60%:認知ミス

– 約25%:判断ミス

– 約15%:操作ミスなど

• 現状の自動車側の安全対策 トヨタの事例

事故発生事故発生 時系列事故前 事故直前 事故直後 事故後

「走る」「曲がる」「とまる」を確実に実現

アクティブセーフティ

衝突検知ブレーキ・シートベルト

プリクラッシュセーフティ

衝撃吸収構造エアバックシステム

パッシブセーフティ アフターケア

どのようにして認知ミス・判断ミスを起こす状況・状態を判断するのか?

計測手法と解析手法による総合的な問題解決

• 予防安全対策– ドライバの状態を計測し,安定した

運転状況(心理・肉体的)へと促す

•交通事故原因の上位安全不確認,わき見,動静不注視,漫然運転,運転操作ミス,過労,速度超過

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従来技術とその問題点

• 運転行動記録 名古屋大学,産総研ほか

– 運転中の会話,作業行動(ハンドル・アクセル操作),車外環境映像

• 画像による居眠り検出 豊橋技術科学大学,名城大学,豊田中研,三菱電機ほか

– 近赤外線カメラによる顔・目画像の解析

– 視線行動と走行環境との照合による注視行動評価

– わき見検知と居眠り警告システム

• 装着器具による居眠り検出– 眼電図,胸部インピーダンス測定法

– ナップアラーム

環境変化にロバストではない

装着していなければ役に立たない

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新技術の内容

• 提案手法の流れ–– ドライビングシミュレータを用いた基礎実験ドライビングシミュレータを用いた基礎実験

被験者実験による,把持行動の記録

-把持行動の解析把持行動の解析

運転行動区間による分類

画像解析・アンケート統計処理

-センサ配置の決定センサ配置の決定

-センサ情報の収集センサ情報の収集

-圧力分布解析圧力分布解析

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新技術の内容

• ドライビングシミュレータを用いた基礎実験– 三菱プレシジョン製 DS-6000

• 第二種自動車運転免許保有者を対象とした適性検査用プログラム

• 「急な飛び出し」などの事故誘発要因は無し

– 対象被験者

• 男女11名(男性4,女性7)

• 各13回の運転試行を実施

– うち2回は別コース,2回は同コースのタイムトライアル)

• 運転中,上部からハンドル把持行動を撮影

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新技術の内容

• 把持行動の解析– 運転コースを4区間および交差点行動に分類

– 各区間における把持行動のうち,

• もっとも把持時間の長い行動

• 右左折時の把持行動

を抽出

住宅地

市街地

第1区間

第2区間

第4区間

第3区間

コースの概要コースの概要

スタート

ゴール

2車線道

1車線道

信号交差点

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JST新技術説明会 2008.7.18 11

新技術の内容

• センサ配置の決定1基本配置(計24点)基本配置(計24点)

0,90,180,270[deg]位置(下記a,b)

赤丸部間の約3等分位置(下記a,b)

ハンドルニュートラル状態の下半円(下記a,c)

1箇所あたりのセンサ配置方向1箇所あたりのセンサ配置方向

(a)ハンドルを上正面から押す力

(b)ハンドルを円中心に向かって押す力

(c)ハンドル円の内周面を円外周に向かって押す力

(a)

(b)

(c)

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新技術の内容

• センサ配置の決定2スポークに対する配置スポークに対する配置

スポーク上での配置 •スポークと円周の接続点付近にセンサを設置

•円上正面(a’)およびスポークの両側(d,e)

•縦方向のスポークの場合は左右両側

•横方向のスポークの場合は上下両側

(a’) (d)

(e)

スポーク上配置と基本配置との重複について

重複対応I. 円上半分との重複は,基本配置を優先

<例>センサ配置(a)と(a’)が近接する場合は(a’)を省略し,(a)を配置する

重複対応II. 円下半分との重複は,スポーク配置を優先

<例>センサ配置(c)がスポークにより設置できない場合,配置(b)に変更する

重複対応III. 円下半分では,スポーク間への配置(c)を優先

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新技術の内容

• 試作ハンドルセンサシステム

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新技術の特徴

• 従来技術の問題点であった,計測装置の人体装着性に対して,触れる(握る)必然性のある箇所のセンサ化触れる(握る)必然性のある箇所のセンサ化により,確度の高い運転者把持行動測定を実現

• 従来センサ配置の,面積拡大による把持確度向上に対して,運転者の把持行動測定・解析にもとづく,把持に対するセンサ配置の適切化を提案

• 本技術の適用によるセンサ配置決定と主要センサの選択的利用によって,測定精度を損なうことなく,他種センサ混在化,および情報収集可能性の向上が期待できる.

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実用化に向けた課題

• 現在,把持行動について把持圧力と位置の測定が可能な試作品を開発済み.生体情報(脈拍や発汗)測定に対するセンサ設置性の検証や位置推定の高速化が未解決である.

• 今後,把持行動と運転者生体情報について実験データを取得し,眠気・疲労・注意力低下の検知への適用検討を行う.

• 実用化に向けて,測定データ処理の高速化,更なる小型化技術の確立が必要.

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企業への期待

• 未解決の生体情報と運転者の状態の相関については,センサ種類を追加することで克服できると考えている.

• また,自動車用ステアリングホイールを開発中の企業,自動車用安全装備分野への展開を

考えている企業には,本技術の導入が有効と思われる.

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本技術に関する知的財産権

• 発明の名称: (特許出願中)

• 出願番号 :

• 出願人 :国立大学法人豊橋技術科学大学

• 発明者 :今村孝,章忠,三宅哲夫

関連特許や技術移転については、とよはしTLOにお問合せくださいPhone: 0532 - 44 - 6975 FAX: 0532 - 44 - 6980Mail: [email protected] 担当: 技術移転アソシエイト 白川正知