14
イヌ実験的インプラント周囲炎における種々の除染処置の インプラント周囲組織に対する効果 三上晃一郎 1§ 丈一朗 1 成田 宗隆 1 海尚 2 鋼兵 2 寺西麻里奈 2 谷田部一大 1 難波 智美 1 辰巳 順一 1 基喆 1 1 明海大学歯学部口腔生物再生医工学講座歯周病学分野 2 明海大学大学院歯学研究科歯学専攻 要旨本研究の目的は,イヌ実験的インプラント周囲炎に対する種々の除染処置の有効性を組織学的に比較検討するこ とである.インプラント周囲炎は,インプラントを埋入後,インプラント周囲に絹糸を結紮して惹起させた.下顎の片側 はフラップ手術を併用しない群(NST),反対側はフラップ手術を併用する群(ST)とし,プラスチックスケーラー,超 音波スケーラー,または erbium-doped : yttrium aluminum garnet レーザーにより除染処置を行った.除染後 4 週および 12 週において組織形態計測を行った.また,カルセインとテトラサイクリンによる二重標識を行い骨動態についても評価し た.組織形態計測の結果から,NST と比較し,ST は新生骨の形成が多い傾向を示した.さらに,各種除染方法の中で は,超音波スケーラーによる除染が新生骨の形成において,もっとも有効である傾向を示した.また,二重標識による評 価から,除染後 12 週よりも,4 週の方が新生骨の形成が促進する傾向が示された. 索引用語骨接合型インプラント,インプラント周囲炎,除染処置,組織形態計測 The Effect of Various Decontamination Methods on Peri-implant Tissue of Experimental Peri-implantitis in Dogs Koichiro MIKAMI , Joichiro HAYASHI 1 , Munetaka NARITA 1 , Haesang KWON 2 , Kohei HAYASHI 2 , Marina TERANISHI 2 , Kazuhiro YATABE 1 , Satomi NAMBA 1 , Junichi TATSUMI 1 , and Kitetsu SHIN 1 1 Division of Periodontology, Department of Oral Biology & Tissue Engineering, Meikai University School of Dentistry 2 Meikai University Graduate School of Dentistry Abstract : The aim of the present study was to evaluate histologically the effect of various decontamination methods for peri- implantitis in dogs. Peri-implantitis was induced by placement of silk ligatures around installed implants. One side of the mandible was subjected to decontamination by non-surgical treatmentNST, while the other side received surgical treatmentSTwith a flap operation ; each decontamination was performed with a plastic scaler, an ultrasonic scaler, or erbium-doped : yttrium alumi- num garnet laser. Histomorphometric analysis was performed 4 weeks and 12 weeks after decontamination. Bone dynamics were also evaluated by double labeling with tetracycline and calcein. The histomorphometric analysis showed that new bone formation tended to be greater with ST than with NST. Furthermore, decontamination with the ultrasonic scaler tended to be the most effec- tive method for new bone formation. Evaluation by double labeling showed that new bone formation was more likely to be accel- erated at 4 weeks than at 12 weeks after decontamination. Key words : osseointegrated implant, peri-implantitis, decontamination, histomorphometric analysis 明海歯学(J Meikai Dent Med 41 2, 105-118, 2012 105

イヌ実験的インプラント周囲炎における種々の除染処置の ......2 .イヌ実験的インプラント周囲炎モデルの作製 1 )実験に使用した骨接合型インプラント

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Page 1: イヌ実験的インプラント周囲炎における種々の除染処置の ......2 .イヌ実験的インプラント周囲炎モデルの作製 1 )実験に使用した骨接合型インプラント

イヌ実験的インプラント周囲炎における種々の除染処置のインプラント周囲組織に対する効果

三上晃一郎1§ 林 丈一朗1 成田 宗隆1 権 海尚2

林 鋼兵2 寺西麻里奈2 谷田部一大1 難波 智美1

辰巳 順一1 申 基喆1

1明海大学歯学部口腔生物再生医工学講座歯周病学分野2明海大学大学院歯学研究科歯学専攻

要旨:本研究の目的は,イヌ実験的インプラント周囲炎に対する種々の除染処置の有効性を組織学的に比較検討することである.インプラント周囲炎は,インプラントを埋入後,インプラント周囲に絹糸を結紮して惹起させた.下顎の片側はフラップ手術を併用しない群(NST),反対側はフラップ手術を併用する群(ST)とし,プラスチックスケーラー,超音波スケーラー,または erbium-doped : yttrium aluminum garnet レーザーにより除染処置を行った.除染後 4週および 12

週において組織形態計測を行った.また,カルセインとテトラサイクリンによる二重標識を行い骨動態についても評価した.組織形態計測の結果から,NST と比較し,ST は新生骨の形成が多い傾向を示した.さらに,各種除染方法の中では,超音波スケーラーによる除染が新生骨の形成において,もっとも有効である傾向を示した.また,二重標識による評価から,除染後 12週よりも,4週の方が新生骨の形成が促進する傾向が示された.

索引用語:骨接合型インプラント,インプラント周囲炎,除染処置,組織形態計測

The Effect of Various Decontamination Methods onPeri-implant Tissue of Experimental Peri-implantitis in Dogs

Koichiro MIKAMI1§, Joichiro HAYASHI1, Munetaka NARITA1,Haesang KWON2, Kohei HAYASHI2, Marina TERANISHI2,Kazuhiro YATABE1, Satomi NAMBA1, Junichi TATSUMI1,

and Kitetsu SHIN1

1Division of Periodontology, Department of Oral Biology & Tissue Engineering, Meikai University School of Dentistry2Meikai University Graduate School of Dentistry

Abstract : The aim of the present study was to evaluate histologically the effect of various decontamination methods for peri-

implantitis in dogs. Peri-implantitis was induced by placement of silk ligatures around installed implants. One side of the mandible

was subjected to decontamination by non-surgical treatment(NST), while the other side received surgical treatment(ST)with a

flap operation ; each decontamination was performed with a plastic scaler, an ultrasonic scaler, or erbium-doped : yttrium alumi-

num garnet laser. Histomorphometric analysis was performed 4 weeks and 12 weeks after decontamination. Bone dynamics were

also evaluated by double labeling with tetracycline and calcein. The histomorphometric analysis showed that new bone formation

tended to be greater with ST than with NST. Furthermore, decontamination with the ultrasonic scaler tended to be the most effec-

tive method for new bone formation. Evaluation by double labeling showed that new bone formation was more likely to be accel-

erated at 4 weeks than at 12 weeks after decontamination.

Key words : osseointegrated implant, peri-implantitis, decontamination, histomorphometric analysis

明海歯学(J Meikai Dent Med)41(2), 105−118, 2012 105

Page 2: イヌ実験的インプラント周囲炎における種々の除染処置の ......2 .イヌ実験的インプラント周囲炎モデルの作製 1 )実験に使用した骨接合型インプラント

緒 言

チタン製の骨接合型インプラントは,1960年代から無歯顎患者に対する機能回復に応用され始め,現在では部分欠損や単独歯欠損にも適応されるようになってきている1−3).また,インプラント治療後の累積 5 年生存率は 90~99%と報告されており4−7),インプラントを用いた口腔機能回復は予知性の高い治療手段として確立されている.その一方で,上部構造の破損,知覚障害,歯肉退縮など様々な併発症が報告されており,中でももっとも頻度が高いとされているのがインプラント周囲炎である8).インプラント周囲炎は,インプラント周囲組織における支持骨の喪失を伴う炎症性反応と定義されている9).インプラント周囲組織のコラーゲン線維の走行10)や上皮による封鎖性11, 12)は,天然歯周囲組織と異なることが組織学的に明らかにされており,インプラントでは天然歯と比較して,炎症の進行が速いとされている.インプラント周囲炎の発症率は 28~56%13)と報告されており,インプラント治療の普及に伴い,今後さらに増加すると予想される14).インプラント周囲炎の治療法については,Mombelli

ら15)が累積的防御療法という診断と治療に関する指針を提唱している.この指針では,インプラント周囲炎の進行程度に応じて,インプラント表面の機械的清掃,殺菌剤による化学的洗浄,全身的もしくは局所的な抗菌薬の投与,再生もしくは切除的外科療法を組み合わせて治療を行い,インプラントに動揺が生じている場合には撤去することを推奨している.本指針によれば,インプラント撤去以外の全ての治療段階で,インプラント表面の機械的清掃が必要となる.インプラント表面の機械的清掃法としては,これまでに,歯ブラシ,ラバーカップ,エアーアブレーション,超音波スケーラー,キュレット型スケーラー,あるいはレーザー等を使用した除染方法の有効性が検討されている16−20).In vitro における研究では,Speelman ら21)は,金属スケーラー,プラスチックスケーラー,エアーパウダー,ラバーカップ,および歯ブラシを比較し,プラスチックスケーラーがもっとも有効である可能性を示唆している.また,谷田部ら22)は,チタンプレートに歯周病原細菌を付着させ,様々な除染方法を行い評価したところ,パウダーフローによる機械的除染の後に,クロルヘ

キシジンによる化学的除染を行うのが効果的であったと報告している.しかし,パウダーフローについてはインプラント表面の性状を変化させる可能性があることや23),気腫などの合併症を引き起こす可能性があること24)などを考慮しなければならない.また,クロルヘキシジンは,国内では使用濃度や口腔粘膜への使用に制限があるため,インプラント周囲組織に応用するのは難しい状況である.

In vivo における研究では,Schwarz ら18)は,イヌにおける実験的インプラント周囲炎に対して,メトロニダゾールジェルを併用したプラスチックスケーラー,超音波スケーラー,および erbium-doped : yttrium aluminum gar-

net(Er : YAG)レーザーによる除染の有効性を臨床的および組織学的に検討した結果,Er : YAG レーザーが最も効果的であったと報告している.しかし,成田ら25)

は,イヌにおける実験的インプラント周囲炎に対して,同じくプラスチックスケーラー,超音波スケーラー,および Er : YAG レーザーを用いた除染方法を臨床的に評価した結果,除染方法間に有意差は認められなかったと報告している.この 2つの in vivo の研究において,結果が異なった要因のひとつとしては,Schwarz らの実験プロトコールでは,除染後の再感染を防ぐ為に除染後にインプラントを粘膜で被覆したのに対して,成田らの実験プロトコールでは,除染後もヒーリングアバットメントを口腔内に露出させた状態で評価を行ったことが関与していると考えられる.除染方法を評価するにあたっては,成田らの実験プロトコールの方がより臨床に近い環境を再現していると考えられるが,成田らの報告では臨床的な評価は行っているが,組織学的な評価は行われていない.そこで,本研究では,成田らの方法に準じてイヌにおける実験的インプラント周囲炎に対して種々の除染処置を行い,その有効性を組織学的に比較検討することとした.

材料と方法

1.実験に使用した動物12か月齢の雄雑種成犬[HBD(Mongrel)]6 頭(体

重 19.3±1.5 kg,オリエンタル酵母工業,東京)を本研究に用いた.また,本研究は,明海大学歯学部動物実験倫理委員会の承認のもとで行なった(承認番号;A

0704).

─────────────────────────────§別刷請求先:三上晃一郎,〒350-0283埼玉県坂戸市けやき台 1-1明海大学歯学部口腔生物再生医工学講座歯周病学分野

106 三上晃一郎・林 丈一朗・成田宗隆ほか 明海歯学 41, 2012

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2.イヌ実験的インプラント周囲炎モデルの作製1)実験に使用した骨接合型インプラント骨接合型インプラントは,直径 3.7 mm,長径 10.0 mm

で,インプラントの表面を microtextured(MTX)処理された完全埋入型 2回法 Tapered Screw-VentⓇインプラント(TSVB 10, Zimmer Dental, Carlsbad, CA, USA)を用いた.2)インプラント埋入手術および 2次手術インプラント埋入部位作製から各観察期間終了までの流れを Fig 1に示す.抜歯部位は,下顎両側第一から第四前臼歯とし,抜歯後 12週で骨接合型インプラントを被験部位に片側 3本(両側 6本)埋入した.まず被験部位に歯槽頂切開を行い,粘膜骨膜弁の剥離の後,滅菌生理食塩水注水下でインプラント埋入窩形成用ドリルを用い,埋入窩を形成した.その後,インプラントプラットフォームと歯槽骨頂部が一致するまでインプラントを埋入した.埋入後は,カバースクリューを装着し,滅菌生理食塩水による術野の洗浄を行い,粘膜骨膜弁を縫合(CV-6ゴアテックスⓇスーチャー,W. L. GORE & ASSO-

CIATES, Flagstaff, AZ, USA)した.インプラント埋入後 8週経過時点で 2次手術を行なった.まず,歯槽頂切開の後に,粘膜骨膜弁を剥離し,インプラント体を露出させ,カバースクリューを除去した.滅菌生理食塩水による術野の洗浄を行い,直径 5.0

mm,長径 5.0 mm のヒーリングアバットメント(THC

5/5, Zimmer Dental)を装着後,粘膜骨膜弁を縫合閉鎖した.抜歯,インプラント埋入,2次手術,および除染後の

感染予防として,250 mg のアジスロマイシン(ジスロ

マックⓇ,ファイザー,東京)を 1日 1回,3日間投与した.術後 1週で縫合糸を除去し,食餌は,実験期間を通し軟食を与え,水は自由摂取とした.また口腔清掃は,絹糸結紮時から口腔清掃再開時までを除いた期間で,1週間に 2回軟毛ブラシを用いて行った.3)イヌ実験的インプラント周囲炎の惹起ヒーリングアバットメント装着 8週後,Lindhe らの

方法11)に準じ,ヒーリングアバットメント周囲に絹糸(3-0,ベアーメディック,久慈,茨城)を結紮し,口腔清掃を中断することでプラークを堆積させ,イヌ実験的インプラント周囲炎を惹起させた.絹糸の除去は,デンタルエックス線写真検査においてインプラント長径比40%の骨吸収を確認した時点で行なった.なお,エックス線写真検査は,被験部位の隣接歯に適合するシリコンコアをシリコンパテ(ジーシーエクザファインⓇ,ジーシー,東京)で作製し,このコアにインプラント長軸とフィルム(セア歯科用一般フィルム,グローバルビジョン,東京)が平行になるようにフィルムホルダー(撮影用インジケーター CIⅢセット,阪神技術研究所,西宮,兵庫)を固定し,規格撮影を行った.

3.除染処置の実施絹糸除去後,自然治癒が起こらないことを確認するために 4週間の観察期間を設けた後に口腔清掃を再開した.口腔清掃は 2週間実施し,その後除染を行なった.除染処置はそれまで装着していたヒーリングアバットメントを除去した状態で行い,除染後はインプラント周囲組織に与える影響を均一にするため,滅菌済みヒーリングアバットメントを新たに装着した.実験群の設定は,イヌ下顎における片側を,除染を行わないコントロール群(contol ; Cont)およびフラップ手術を併用しないで非外科的に除染処置を行った群(non-surgical treatment ; NST)に割り当て,反対側をフラップ手術を併用し外科的に除染処置を行った群(surgi-

cal treatment ; ST)に割り当てた.NST の中に,超音波スケーラーによりスケーリングを行った群(NST-

ultrasonic scaler ; NST-US)および Er : YAG レーザーにより照射を行った群(NST-Er : YAG laser ; NST-EL)を設定した.ST の中には,プラスチックスケーラーによりスケーリングを行った群(ST-plastic scaler ; ST-PS),超音波スケーラーによりスケーリングを行った群(ST-

US),および Er : YAG レーザーにより照射を行った群(ST-EL)を設定した.除染部位は Cont および各除染群が均等となるように割り当てた.Fig 1 Time course of the experiment.

インプラント周囲炎に対する除染処置の効果 107

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ST におけるフラップ手術は,まずインプラント周囲ポケット内および歯槽頂に切開を加え,粘膜骨膜弁を剥離翻転後,インプラント周囲肉芽組織の除去を行い,露出したインプラント体の除染処置を行った後,粘膜骨膜弁を縫合閉鎖した.なお,フラップ手術およびインプラント体表面の除染は,同一術者が行った.除染後 6頭の実験動物は,無作為に 3頭に分け,4週(4 W)および12週(12 W)後の組織学的評価に供した.

4.除染機器と除染方法1)超音波スケーラー超音波スケーラーによる除染は,ハンドピースに poly-

etheretherketone(PEEK)fiber でコーティングされたチップ(ピエゾンチップ PI,松風,京都)を装着した超音波スケーラー(グランドピエゾ,ヨシダ,東京)を用いた.スケーリング条件は,注水(滅菌生理食塩水)下にて,パネル値 3で,1分間インプラント表面にチップが接触した状態で行った.2)Er : YAG レーザー

Er : YAG レーザーによる除染は,ハンドピースに C

600 F(直径 600 μm)のチップを装着した Er : YAG レーザー(Erwin AdvErL,モリタ製作所,京都)を用いた.照射条件は,毎分 7 ml の注水(滅菌注水用水)下にてパネル値 80 mJ/pulse, 10 Hz の条件で 1分間,インプラント表面とチップを 1 mm 離した非接触状態で行った.3)プラスチックスケーラープラスチックスケーラーによる除染は,プラスチックスケーラー(IMPLACARETM,ヒューフレディ・ジャパン,東京)を用いた.スケーリング条件は,垂直と斜め方向の操作(プルストローク)により,1分間スケーリングを行った.

5.二重標識骨の動態を観察する為に,安楽死 10日前にカルセイ

ン(calcein, 20 mg/kg body weight,和光純薬工業,大阪)および安楽死 3日前にテトラサイクリン(tetracycline

hydrochloride, 25 mg/kg body weight,和光純薬工業)を筋肉内注射し,二重標識を行った.

6.非脱灰切片標本の作製観察期間終了後,ペントバルビタール(ネンブター

ルⓇ,大日本製薬,大阪)を静脈内に過量投与し,安楽死させた.その後,実験部位を含む下顎骨を周囲軟組織

と共に切断し,試料を採取した.試料は,ホルマリンで固定し,エタノールによる脱脂・脱水後,トルイジンブルー染色を行った.その後,通法に従い非脱灰にてメチルメタクリレート樹脂包埋を行い,包埋後は,インプラント長軸と平行に,頬舌方向にてマイクロカッティングマシーン(BS-300 CL, EXAKT Advanced Technologies,

Norderstedt, Germany)により切断し,マイクログラインディングマシーン(MG-400 CS, EXAKT Advanced Tech-

nologies)で最終的に 80~100 μm 厚の非脱灰切片標本を作製した.

7.組織学的観察蛍光顕微鏡(IX 70, OLYMPUS,東京)により,明視野および蛍光フィルター下で標本を観察した.蛍光顕微鏡に取り付けた顕微鏡用デジタルカメラ(DP 72, OLYM-

PUS)を使用して得られた観察像をディジタル画像としてコンピュータに取り込んだ.明視野で得られた画像は,画像処理ソフト(DP2-BSW, OLYMPUS)を用い,Fig

2に示す a~e のポイントを画面上で設置し,二点間の距離を測定した.軟組織の項目として 1)上皮の高さ:インプラント周囲粘膜辺縁から上皮最根尖側までの垂直的高さ.2)結合組織の高さ:上皮最根尖側から新生骨─

Fig 2 Schmatic configuration of the landmarks used for the his-tometric measurements.

a : platform. b : the marginal portion of the peri-implant mu-cosa. c : the apical extension of the junctional epithelium. d :the most coronal level of newly formed bone in contact with theimplant. e : the most coronal level of original bone in contactwith the implant. NB : newly formed bone. OB : original bone.

108 三上晃一郎・林 丈一朗・成田宗隆ほか 明海歯学 41, 2012

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インプラント接合最歯冠側までの垂直的高さ.また,硬組織の項目として 3)新生骨形成高さ:新生骨─インプラント接合最歯冠側から既存骨─インプラント接合最歯冠側までの垂直的高さ.4)新生骨形成率:新生骨形成高さを骨欠損高さ(プラットフォームから既存骨─インプラント接合最歯冠側)までの垂直的高さで割った割合と設定した.インプラント界面における二重標識の観察には,共焦点レーザー顕微鏡(LSM5, Carl Zeiss, Jena, Germany)を使用した.観察条件として,励起波長をブルーダイオードレーザー 405 nm およびヘリウムネオンレーザー 488

nm とし,LP 505 nm のフィルター下で行った.共焦点レーザー顕微鏡を使用して,得られた画像を,画像処理ソフト(ZEN 2007, Carl Zeiss)を用い評価した.項目として二重標識期間中の新生骨形成幅は,インプラント界面における,カルセイン標識とテトラサイクリン標識間の距離と設定した(Fig 3).

8.統計学的分析Cont と各除染群間による比較,外科処置の有無によ

る比較,4 W と 12 W の比較には Mann-Whiteny U-test

を用いた.外科処置の有無による比較では,NST 群には NST-US および NST-EL の 4 W および 12 W を,ST

群には ST-US および ST-EL の 4 W および 12 W のデータを割り当てた.4 W と 12 W の比較では,同一の除染方法間の比較を行った.統計ソフトには SPSSⓇstatistics

17.0(エス・ピー・エス・エス社,東京)を使用し,有意水準を 0.05とした.

結 果

1.トルイジンブルー染色の観察1)組織学的所見(Figs 4, 5)除染後に形成された新生骨はトルイジンブルーによって濃染されており,除染前から残存していた既存骨と視覚的に区別することが可能となった.既存骨の形態から骨欠損形態はインプラントを中心とした皿状を呈するものが多く認められた.また,Cont および各除染群において,骨内欠損部に新生骨の形成が認められ,その量は骨頂部と比較し,インプラント界面では少ない傾向が認められた.2)組織形態計測(1)上皮の高さ(Table 1)

4 W において,全ての除染群の平均(1.3±0.2 mm)は非除染群(Cont ; 1.5±0.1 mm)より低値を示した.さらに Cont と各除染群間における比較でも,全ての除染群は Cont より低値を示し,ST-PS(1.2±0.2 mm)においては有意差が認められた(p<0.05).12 W においては,全ての除染群の平均(1.3±0.1 mm)は非除染群(1.3±0.1 mm)と近似した値を示した.さらに Cont と各除染群間における比較でも,いずれの除染群間において Cont と比較し,有意差は認められなかった.外科処置の有無による比較では,NST 群(1.3±0.2

mm)と ST 群(1.3±0.2 mm)は近似した値を示した.4 W と 12 W の比較では,Cont において 4 W(1.5±

0.1 mm)と比較し,12 W(1.3±0.1 mm)は低値を示したが有意差は認められなかった.全ての除染群の平均では 4 W(1.3±0.2 mm)と比較し,12 W(1.3±0.1 mm)は近似した値を示し,各除染群間の比較においても有意差は認められなかった.(2)結合組織の高さ(Table 2)

4 W において,全ての除染群の平均(2.2±0.3 mm)は非除染群(2.2±0.1 mm)と近似した値を示した.さ

Fig 3 Detection of fluorescent labels around the implant surface.Newly formed bone width between double labels(A)was de-

fined as distance between tetracycline fluorescent labeled(a)andcalcein fluorescent labeled(b)positions close to implant surface.

インプラント周囲炎に対する除染処置の効果 109

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Fig 4 Light microscopic photographs of control and various decontamination methods at 4 weeks postoperatively.Toluidine blue staining(original magnification : ×1). Arrow heads indicate the borderline between the original bone and the newly

formed bone.

Fig 5 Light microscopic photographs of control and various decontamination methods at 12 weeks postoperatively.Toluidine blue staining(original magnification : ×1). Arrow heads indicate the borderline between the original bone and the newly

formed bone.

Table 1 Epithelium height.

Cont NST-US NST-EL ST-PS ST-US ST-EL

4 W12 W

1.5±0.11.3±0.1

1.3±0.21.4±0.2

1.3±0.21.2±0.1

1.2±0.2*1.2±0.1

1.3±0.41.4±0.0

1.3±0.31.2±0.1

* ; ST-PS was significantly lower compared to Cont at 4 W(Mann-Whiteny U -test, p<0.05).

Table 2 Connective tissue height.

Cont NST-US NST-EL ST-PS ST-US ST-EL

4 W12 W

2.2±0.11.6±0.4

1.9±0.21.6±0.4

2.3±0.51.8±0.3

2.2±0.11.6±0.4†

2.1±0.31.5±0.5

2.5±0.21.5±0.2†

† ; 12 W was significantly lower compared to 4 W at ST-PS andST-EL(Mann-Whiteny U -test, p<0.05).

110 三上晃一郎・林 丈一朗・成田宗隆ほか 明海歯学 41, 2012

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らに Cont と各除染群間における比較でも,いずれの除染群間において Cont と比較し,有意差は認められなかった.12 W においても,全ての除染群の平均(1.6±0.3 mm)は非除染群(1.6±0.4 mm)と近似した値を示した.さらに Cont と各除染群間による比較でも,いずれの除染群間において Cont と比較し,有意差は認められなかった.外科処置の有無による比較では,NST 群(1.9±0.4

mm)と ST 群(1.9±0.5 mm)は近似した値を示した.4 W と 12 W の比較では,Cont において 4 W(2.2±

0.1 mm)と比較し,12 W(1.6±0.4 mm)は低値を示したが有意差は認められなかった.全ての除染群の平均においても,4 W(2.2±0.3 mm)と比較し,12 W(1.6±0.3 mm)は低値を示し,ST-PS(4 W ; 2.2±0.1 mm, 12

W ; 1.6±0.4 mm)および ST-EL(4 W ; 2.5±0.2 mm, 12

W ; 1.5±0.2 mm)においては有意差が認められた(p

<0.05).(3)新生骨形成高さ(Table 3)

4 W において,全ての除染群の平均(0.4±0.3 mm)は非除染群(0.1±0.1 mm)より高値を示した.さらにCont と各除染群間における比較でも,いずれの除染群間において Cont よりも高値を示し,ST-US(0.6±0.2

mm)においては有意差が認められた(p<0.05).12 W

においても,全ての除染群の平均(0.5±0.2 mm)は非除染群(0.3±0.1 mm)より高値を示した.さらに Cont

と各除染群間による比較でも,いずれの除染群間において Cont より高値を示し,ST-US(0.9±0.3 mm)においては有意差が認められた(p<0.05).外科処置の有無による比較では,NST 群(0.3±0.3

mm)と比較し,ST 群(0.6±0.3 mm)は有意に高値を示した(p<0.05).

4 W と 12 W の比較では,Cont において 4 W(0.1±0.1 mm)と比較し,12 W(0.3±0.1 mm)は高値を示したが有意差は認められなかった.全ての除染群の平均でも 4 W(0.4±0.3 mm)と比較し,12 W(0.5±0.2 mm)は高値を示したが,各除染群間の比較において有意差は認められなかった.(4)新生骨形成率(Table 4)

4 W において,全ての除染群の平均(10.7±7.4%)は非除染群(4.2±3.7%)より高値を示した.さらに Cont

と各除染群間における比較でも,いずれの除染群において Cont より高値を示し,ST-US(18.6±5.0%)においては有意差が認められた(p<0.05).12 W においても,全ての除染群の平均(13.4±7.9%)は非除染群(8.2±4.9%)より高値を示した.しかし,Cont と各除染群間における比較では,いずれの除染群において Cont より高値を示したが,有意差は認められなかった.外科処置の有無による比較では,NST 群(9.0±7.6

%)と比較し,ST 群(15.7±7.3%)は有意に高値を示した(p<0.05).

4 W と 12 W の比較では,Cont において 4 W(4.2±3.7%)と比較し,12 W(8.2±4.9%)は高値を示したが有意差は認められなかった.全ての除染群の平均でも 4

W(10.7±7.4%)と比較し,12 W(18.6±5.0%)は高値を示したが,各除染群間の比較において有意差は認められなかった.

2.二重標識の観察1)組織学的所見蛍光フィルター下での蛍光顕微鏡による観察では,カルセインとテトラサイクリンはそれぞれ緑色と黄色に発色していたが,それぞれを識別することは困難であった.骨頂部の発色領域は,4 W では,Cont と比較し,NST-US, ST-US が大きく認められた(Fig 6).しかし,12

W では Cont と比較し,各除染群は発色領域に大きな差を示さず,4 W と比較し発色領域が小さかった(Fig

7).一方で,共焦点レーザー顕微鏡による観察では,カルセインとテトラサイクリンをそれぞれ識別することが出来,インプラント界面におけるカルセインおよびテトラサイクリンの幅を測定することが可能となった(Figs

8, 9).2)二重標識期間中の新生骨形成幅(Table 5)

4 W において,全ての除染群の平均(24.7±23.2 μm)

Table 3 Newly formed bone height.

Cont NST-US NST-EL ST-PS ST-US ST-EL

4 W12 W

0.1±0.10.3±0.1

0.2±0.10.5±0.5

0.3±0.10.3±0.4

0.4±0.40.4±0.1

0.6±0.2*0.9±0.3*

0.4±0.30.4±0.1

* ; ST-US was significantly higher compared to Cont at 4 W and12 W(Mann-Whiteny U -test, p<0.05).

Table 4 Newly formed bone rate

Cont NST-US NST-EL ST-PS ST-US ST-EL

4 W12 W

4.2±3.78.2±4.9

6.5±4.712.3±12.6

7.9±4.79.3±9.1

10.4±9.911.3±1.2

18.6±5.0*20.5±7.6

10.1±9.013.5±5.0

* ; ST-US was significantly higher compared to Cont at 4 W(Mann-Whiteny U -test, p<0.05).

インプラント周囲炎に対する除染処置の効果 111

Page 8: イヌ実験的インプラント周囲炎における種々の除染処置の ......2 .イヌ実験的インプラント周囲炎モデルの作製 1 )実験に使用した骨接合型インプラント

Fig 6 Fluorescence microscopic photographs of control and various decontamination methods at 4 weeks postoperatively under a fluo-rescence microscope.

Calsein and tetracycline labeling lines were presented in green and yellow, but which were difficult to distinguish.

Fig 7 Fluorescence microscopic photographs of control and various decontamination methods at 12 weeks postoperatively under afluorescence microscope.

Calsein and tetracycline labeling lines were presented in green and yellow, but which were difficult to distinguish.

Table 5 Newly formed bone width between double labels.

Cont NST-US NST-EL ST-PS ST-US ST-EL

4 W12 W

6.7±6.97.9±7.6

37.3±14.1*15.0±25.9

4.8±5.213.5±8.4

10.0±17.313.2±12.5

48.7±30.6*10.6±10.3

23.0±17.37.5±6.9

* ; NST-US and ST-US was significantly higher compared to Cont at 4 W(Mann-Whiteny U -test, p<0.05).

112 三上晃一郎・林 丈一朗・成田宗隆ほか 明海歯学 41, 2012

Page 9: イヌ実験的インプラント周囲炎における種々の除染処置の ......2 .イヌ実験的インプラント周囲炎モデルの作製 1 )実験に使用した骨接合型インプラント

は非除染群(6.7±6.9 μm)より高値を示した.さらにCont と各除染群間における比較では,NST-US(37.3±14.1 μm)および ST-US(48.7±30.6 μm)において,Cont

と比較し有意差が認められた(p<0.05).12 W においても,全ての除染群の平均(12.0±12.5 μm)は非除染群(7.9±7.6 μm)より高値を示した.しかし,Cont と各除染群間における比較では,いずれの除染群間においても Cont と比較し,有意差は認められなかった.外科処置の有無による比較では,NST 群(17.6±18.2

μm)と比較し,ST 群(22.4±23.2 μm)は高値となる傾向を示したが,有意差は認められなかった.

4 W と 12 W の比較では,Cont において 4 W(6.7±6.9 μm)と比較し,12 W(7.9±7.6 μm)は高値を示したが有意差は認められなかった.全ての除染群の平均では 4 W(24.7±23.2 μm)と比較し,12 W(12.0±12.5

μm)は低値を示したが,各除染群間の比較において有意差は認められなかった.

考 察

インプラント周囲炎の治療に必要不可欠とされるインプラント表面の機械的除染に関しては,過去にさまざまな報告が存在する.本研究ではプラスチックスケーラ

Fig 8 Fluorescence microscopic photographs of control and various decontamination methods at 4 weeks postoperatively under a con-focal laser scanning microscope.

Calsein and tetracycline labeling lines were digitally colored in green and yellow.

Fig 9 Fluorescence microscopic photographs of Control and various decontamination methods at 12 weeks postoperatively under aconfocal laser scanning microscope.

Calsein and tetracycline labeling lines were digitally colored in green and yellow.

インプラント周囲炎に対する除染処置の効果 113

Page 10: イヌ実験的インプラント周囲炎における種々の除染処置の ......2 .イヌ実験的インプラント周囲炎モデルの作製 1 )実験に使用した骨接合型インプラント

ー,超音波スケーラー,および Er : YAG レーザーを用いた処置について比較検討を行った.プラスチックスケーラーは,インプラント表面に傷害を与えず26−28),臨床成績においても,除染後の効果が超音波スケーラーと同等であったと報告されている29).しかし,プラスチックスケーラーではその形状からインプラントスレッド間の除染は困難であると指摘されている30).超音波スケーラーによる除染処置に関しては,金属製,カーボン製,およびプラスチック製のチップによる除染処置を比較した報告がある.それによると各種チップは,プラークおよび歯石の除去率に有意差を示さなかったが,インプラント表面粗さに及ぼす影響はカーボン製およびプラスチック製と比較し,金属製は有意に高い値を示した31).また,耐熱性や耐摩耗性に優れたプラスチックであるPEEK 製とカーボン製のチップを比較した研究では,カーボン製はインプラント表面の磨耗や炭素成分の沈着が起こり,骨芽細胞の付着を阻害したとされている32).歯の表面に機械的損傷が生じると,その部位が細菌の初期付着の足場となり,プラークの増殖,発育に影響を及ぼす因子になることが報告されている33).インプラント表面でも同様のことが予想されることから,本研究ではインプラント表面に損傷を与えにくいと思われる PEEK

製のチップを使用した.骨伝導能に有利とされる粗造なインプラント表面構造も,一度汚染されるとその除染は難しいとされ26, 34),Renvert ら35)は従来の方法ではバイオフィルムや不良肉芽などの付着構造物の完全な除去は不可能であると述べている.そこで,注目されたのがNd : YAG, CO2 : YAG,および Er : YAG といったレーザー機器である.中でも Er : YAG レーザーは,他のレーザーと比較し,水への吸収特性が強く,組織深到達は 1

μm 程度に留まる為,組織への熱傷害が少ないと言われている.また,注水下での照射条件ではインプラント表面の発熱が抑制され,チップ先端における出力(先端出力)が 50 mJ/pulse 以下ではインプラント表面に熱変性が生じないことが報告されている36).歯周病原性細菌への殺菌効果は,プラークを想定した直径 0.8 mm の Por-

phyromonas gingivalis のコロニーに対してエネルギー密度 7.1 J/cm2以上の照射で,有意に細菌数の減少を認めている37).本研究ではこれらの点を考慮し,パネル値 80

mJ/pulse(先端出力約 50 mJ/pulse,エネルギー密度 7.1 J/

cm2),10 Hz の照射条件にて実験を行なった.本研究における軟組織の組織形態計測は,上皮の高さは 4 W において Cont の 1.5±0.1 mm に対して ST-PS

では 1.2±0.2 mm であり有意な差が認められた.しか

し,4 W の各除染群の平均は 1.3±0.2 mm であり,いずれの除染群も近似した値を示した.12 W においてはCont と各除染群に有意差はなく,各除染群の平均は 1.3

±0.1 mm と 4 W の各除染群の平均と近似した値を示した.一方,結合組織の高さでは,4 W の各除染群の平均 2.2±0.3 mm と比較し,12 W の各除染群の平均 1.6±0.3 mm は低値を示した.過去にイヌを用いて上皮の高さを計測した研究では,Berglundh ら38)は 3週間プラークコントロールを行わなかった結果 2.3 mm, Ericsson

ら39)は 3か月間プラークコントロールを行わなかった結果 1.9 mm であったと報告している.また,Lindhe ら11)

は絹糸を結紮し,6週間プラークを堆積させた結果 1.4

mm であったと報告している.表面構造もしくは術式が異なる 3種類のインプラントを比較した研究では 1.5~2.5 mm40),さらに,2次手術時にインプラント周囲粘膜の高さを約 2.0 mm と 4.0 mm に切除し,6 か月後の変化を観察した研究では,両群とも上皮の高さは約 2.0 mm

となり,結合組織の高さに差を認めている41).結合組織の高さにおいては,ブラッシングにより炎症がコントロールされた場合では,約 1.0~1.5 mm の範囲であることが報告されているが40, 42),炎症時では 2.5~4.0 mm となり11, 43),非炎症時と比較し高くなる傾向にある.これらのことから,上皮の高さは炎症や術式による影響は少なく,約 1.5~2.5 mm の高さを保っているものと考えられた.また,結合組織の高さにおいて 4 W と比較し 12 W

で低値を示したのは,除染処置の方法に関わらず炎症が消退した結果を反映しているものと考えられた.硬組織の評価に,インプラント周囲炎除染後の新生骨形成高さをインプラント表面の性状別に比較した報告44)

では,キュレットおよびクロルヘキシジンによる除染後の新生骨形成高さは,titanium plasma sprayed では 0.3

mm, sand blasted large-grit acid-etched(SLA)では 0.3

mm,機械研磨では 0.2 mm であったとしている.また,Persson ら45)は,CO2レーザーまたは生理食塩水が浸み込んだ綿球にて除染処置を行ったところ,新生骨形成高さは,SLA ではそれぞれ 1.1 mm および 1.2 mm,機械研磨ではそれぞれ 0.5 mm および 0.4 mm であったと報告している.さらに,Sennerby ら46)も,生理食塩水を浸み込ませた綿球にて除染処置を行った結果,SLA で 1.2

mm,機械研磨で 0.4 mm であったと報告している.これらのことから表面性状が粗いものと機械研磨面を比較すると,機械研磨面の方が,再接合しにくい傾向が示されている.本研究で使用したインプラントの表面性状は粗く,新生骨形成高さは 0.2~0.9 mm であり,過去に報

114 三上晃一郎・林 丈一朗・成田宗隆ほか 明海歯学 41, 2012

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告された結果の範囲内の値が多かった.次に外科処置の併用の有無を比較した研究として,

Schwarz ら18)によると,メトロニダゾールジェルを併用したプラスチックスケーラー,超音波スケーラー,および Er : YAG レーザーによる非外科的処置では 0.2~0.4

mm に対し,外科的処置では 0.5~1.3 mm と外科処置を併用することによって有意に新生骨形成高さが増加したと報告している.本研究においても外科処置を併用することによって新生骨形成高さが高くなる傾向が示され,Schwarz らの報告と一致した結果が得られた.一方で,Hayek ら47)は,外科的処置と非外科的処置で除染効果に有意な差を認めなかったと報告している.しかしながら,彼らの実験では,外科的処置には金属製のハンドスケーラーおよびクロルヘキシジンによる洗浄,非外科的処置には金属製のハンドスケーラーおよび photody-

namic therapy による除染が行われており,同一条件下で比較した研究ではなかった.外科的処置と非外科的処置をスプリットマウスデザインにより比較した報告は現時点では少なく,今後もさらに研究が必要である.除染機器を比較した研究として,Karring ら48)はヒト

におけるインプラント周囲炎に対し,非外科的にカーボンファイバーキュレットとカーボンチップを装着した超音波スケーラーを用いた除染後に臨床パラメータを比較したところ,キュレットよりも,超音波スケーラーの方がプロービング時の出血の改善率が高かったと報告している.一方,Schwarz ら18)は外科処置を併用し,メトロニダゾールジェルを用いてプラスチックスケーラー,超音波スケーラー,および Er : YAG レーザーにより除染を行った結果,プラスチックスケーラーや超音波スケーラーと比較し,Er : YAG レーザーの方が効果が高かったと報告している.また,Takasaki ら49)も除染後の新生骨形成率が,プラスチックスケーラーでは 35.1%であったのに対し,Er : YAG レーザーでは 61.8%と高い値を認め,Schwarz らと同様に Er : YAG レーザーの有効性を示した.本研究では新生骨形成高さおよび新生骨形成率において US の値が高く,さらに,蛍光フィルター下での蛍光顕微鏡による観察でも 4 W における US の発色領域が大きい傾向が見られたことから US の有効性を示した.本研究では Schwarz や Takasaki らと異なる結果が得られたが,これらの研究の相違点として,除染時間が挙げられる.Takasaki らはプラスチックスケーラーによる除染に 215秒,Er : YAG レーザーによる除染に 101秒費やしており,Schwarz らは除染時間を設定しておらず,術者の主観で除染処置を終了している.

Schwarz らの研究グループは,in vitro における除染実験を以前に行なっており50),除染にはプラスチックスケーラーで 2.3 分,超音波スケーラーで 2.4 分,およびEr : YAG レーザーで 5.6分必要であったことを報告していることから,in vivo での除染においても,Er : YAG

レーザーは他の処置の 2倍近い時間を費やしている可能性がある.一方,本研究では,PS, US,および EL すべて処置時間は 1分間に統一して比較検討を行った.興味深いことに,Schwarz ら50)は除染処置ごとのバイオフィルム除去率を測定しており,その結果,1分間あたりの除染効率は,プラスチックスケーラーで 16.9%/分,超音波スケーラーで 26.3%/分,および Er : YAG レーザーで 16.8%/分であり,超音波スケーラーがもっとも除染効率が高かったと報告している.この結果は,本研究の新生骨の形成結果を裏付けるものと考えられる.除染処置を比較する際には,各除染処置の処置時間が除染効果に大きく影響を及ぼす可能性があることを考慮すべきである.除染後の新生骨形成過程を比較した研究として,イヌにおけるインプラント周囲炎に対し,エアーパウダー,CO2レーザー,またはエアーパウダーと CO2レーザーの併用による除染後の,新生骨形成過程を除染後 2週,5週,8週,12週の 4 回骨標識して検討した報告がある51).その報告によると,全ての除染方法において,除染後 5−8週に新生骨形成量が最大になったとしている.また,イヌにおいて抜歯即時インプラント埋入後の新生骨形成過程を,埋入後 3日,4週,8週,12週の 4回骨標識して検討した報告では,埋入後 8週に新生骨形成量が最大となることが示されている52).本研究では,二重標識期間中の新生骨形成幅の結果から,新生骨の形成は除染後 4週において活発で,12週では少なくなる傾向が示された.インプラント周囲におけるプローブによる診査は,骨頂付近までプローブの先端が到達する可能性があることを報告しており53).このことはインプラント周囲軟組織の血管の損傷や,結合組織の破壊を起こす可能性が考えられる.これらのことから,除染後少なくとも 4週間は,プロービングなどの新生骨の形成を阻害すると考えられる行為は避け,適切に管理していく必要があると考えられた.最後に,本研究では Cont においてもインプラント界面における新生骨の形成が認められた.本研究ではイヌを対象としたが,これは,ヒトにおける自然発症のインプラント周囲炎による骨欠損形態と,イヌにおける結紮によって惹起させた骨欠損形態が類似しており,イヌを

インプラント周囲炎に対する除染処置の効果 115

Page 12: イヌ実験的インプラント周囲炎における種々の除染処置の ......2 .イヌ実験的インプラント周囲炎モデルの作製 1 )実験に使用した骨接合型インプラント

用いた除染実験の有用性が示されているためである54).しかし,ヒトもしくはイヌにおいて除染前後のプロービングアタッチメントレベルおよびプロービングアタッチメントデプスを計測した 26編の文献を比較したレビュー55)において,ヒトと比較してイヌはどちらの臨床パラメータも改善率が大きいことが示されており,イヌの治癒力はヒトよりも高い可能性が考えられる.一方,Marinello ら43)は絹糸によるインプラント周囲炎惹起後,除染処置を行わず,絹糸除去後 3か月目に観察した 3頭中 1頭は骨吸収が進行し続け,インプラントの脱落を認めた.本研究においては,絹糸除去後に,1週間に 2回のブラッシングおよびヒーリングアバットメントの交換を行っており,このことにより,炎症が消退傾向となりCont においても新生骨が形成された可能性も考えられた.インプラント周囲炎の治療を成功させるためには,プラークで汚染されたインプラント表面に対する除染方法を確立することが急務である.そのためには,既知の除染処置の除染条件の検討や新たな除染方法の開発に関する研究が今後さらに必要であるものと思われる.

結 論

インプラント周囲炎治療におけるインプラント表面の除染方法として,超音波スケーラー,Er : YAG レーザー,およびプラスチックスケーラーを用いた本研究では,以下の結論が得られた.1.本実験条件下では,超音波スケーラーによる除染処置が有効である傾向が示された.

2.フラップ手術を併用し,明視下で除染を行うことにより,除染の効果が高くなる傾向が示された.

3.除染後 4週以降もインプラント周囲組織は治癒過程にあるが,除染後 4週と比較し,除染後 12週では新生骨の形成は少なかった.

稿を終えるにあたり,本研究に御理解,御指導を賜りました本学口腔生物再生医工学講座歯周病学分野申 基喆教授に深甚なる謝意を表します.さらに御指導,御校閲を賜りました形態機能成育学講座解剖学分野天野 修教授,同講座口腔解剖学分野羽毛田慈之教授,機能保存回復学講座歯科補綴学分野藤澤政紀教授に深甚なる謝意を表します.また,本研究の遂行に際し終始御指導,御鞭撻および御校閲を賜った本学歯周病学分野の辰巳順一准教授,林 丈一朗准教授に深謝致します.最後に,御援助頂きました本学歯周病学分野教室の先生方に厚く御礼申し上げます.本研究の一部は平成 20~23年度科学研究費補助金(基

盤研究(C))課題番号 20592435の補助を受け行われた.

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インプラント周囲炎に対する除染処置の効果 117

Page 14: イヌ実験的インプラント周囲炎における種々の除染処置の ......2 .イヌ実験的インプラント周囲炎モデルの作製 1 )実験に使用した骨接合型インプラント

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(受付日:2012年 5月 29日 受理日:2012年 6月 22日)

118 三上晃一郎・林 丈一朗・成田宗隆ほか 明海歯学 41, 2012