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仙台市ボックスカルバート長寿命化修繕計画
(平成29年度~平成33年度)
平成29年7月
仙 台 市
目 次
1. 背景と目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p. 1
2. 計画期間・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p. 1
3. 対象施設の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p. 2
4. 対象施設の点検結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p. 5
5. 長寿命化に向けた基本方針・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p. 6
(1) 予防保全型維持管理への転換・・・・・・・・・・・・・・・・・p. 6
(2) 健全度の把握・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p. 7
(3) 予防保全による修繕時期の考え方・・・・・・・・・・・・・・・・p. 9
(4) 優先順位の考え方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.11
(5) 主な補修工法・対策工法の例・・・・・・・・・・・・・・・・p12
(6) 日常管理・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.13
(7) 災害時の対応・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.13
6. 長寿命化修繕計画による効果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.14
【巻末資料】・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.16
巻末資料1:ボックスカルバートカルテ・・・・・・・・・・・・・・・・・・p.17
1.背景と目的
平成24年12月に発生した中央自動車道笹子トンネルの天井板落下事故は,道路施設
の老朽化時代の到来を告げる大きな出来事であった。高度経済成長期に一斉に建設された
道路施設の老朽化対策は全国的な課題となっており,その取組の強化が求められている。
本市においても,道路施設全般について老朽化が進行しており,このうち,ボックスカ
ルバートについては,建設後既に80年を経過している施設もあり,戦略的な維持管理が喫
緊の課題となっている。
道路の維持管理については,これまで,損傷等を確認してから修繕する対症療法的な対
応にとどまっていたが,トンネル等の大型構造物について損傷が進行してから修繕する場
合,工事規模の拡大やそれに伴う通行止めの発生など,市民生活や経済活動に大きな影響
を及ぼすこととなる。
そのため,これまでの「対症療法型維持管理」から,損傷が大きくなる前に修繕を行う
「予防保全型維持管理」に転換し,事故の未然防止やコスト縮減,予算の平準化に取り組
むこととし,今般,施設の点検結果を踏まえ,『ボックスカルバート長寿命化修繕計画』
を策定したものである。
今後,施設の点検を定期的に行いながら,計画に基づき着実に対策を進めることで,安
全・安心な道路通行を確保するものである。
※ボックスカルバート:道路や鉄道の下を横断する道路や水路等の空間を得るための
構造物
ボックスカルバートの種類
2.計画期間
本計画の計画期間は,平成29年度から平成33年度の5ヵ年とする。
- 1 -
3.対象施設の概要
計画策定の対象施設は,仙台市が管理するボックスカルバート(41施設)である。
【対象とするボックスカルバートの区分】
a.外寸2m以上かつ土被り1m以上の矩形カルバート
b.外寸2m以上の門型カルバートおよびアーチカルバート
なお,矩形カルバートのうち,外寸2m以上かつ土被り1m未満の施設は橋梁とし
て管理している。
龍沢ボックス 泉ヶ丘横断道(車道)
太田ボックス 芋生沢3号ボックス
- 2 -
仙台市が管理するボックスカルバート(41施設)
延長(m)
内空幅(m)
内空高(m)
門数
1宮城学院女子大前歩行者横断道
青葉区青葉区桜ヶ丘8丁目
H2(1990)
73.80 4.50 2.50 1 矩形場所打ち
2 仙山線北山横断道 青葉区青葉区荒巻神明町
H20(2008)
9.30 10.60 4.80 1 門型場所打ち
3旭ヶ丘歩行者横断道
青葉区青葉区旭ヶ丘1丁目
H12(2000)
36.00 3.00 2.50 1 矩形プレキャスト
4 名掛丁地下歩道 青葉区青葉区中央1丁目
S3(1928)
40.00 2.70 2.30 1 矩形場所打ち
5 龍沢ボックス青葉区宮城総合支所
青葉区郷六字龍沢
H18(2006)
7.80 5.00 3.40 1 門型場所打ち
6中原浄水場前ボックス
青葉区宮城総合支所
青葉区芋沢中原
S57(1982)
42.30 2.50 2.50 1 矩形プレキャスト
7福室歩行者横断道
宮城野区宮城野区福室4丁目
H16(2004)
16.00 4.00 2.50 1 矩形場所打ち
8二本木1号線1号ボックス
宮城野区宮城野区蒲生字二本木
S53(1978)
8.55 2.00 2.00 1 矩形場所打ち
9国道4号バイパス歩行者横断道(下り線)
宮城野区宮城野区燕沢東2丁目
H4(1992)
37.70 3.00 2.45 1 矩形プレキャスト
10国道4号バイパス歩行者横断道(上り線)
宮城野区宮城野区燕沢東1丁目
H4(1992)
37.90 3.00 2.45 1 矩形プレキャスト
11若林区役所前歩行者横断道
若林区若林区一本杉町
H21(2009)
16.20 3.30 2.60 1 門型場所打ち
7.50 3.60 2
12.40 4.70 2
13二木荒井線3号ボックス
若林区若林区荒井字宅地
H4(1992)
400.00 2.00 1.20 1 矩形プレキャスト
14大年寺歩行者横断道
太白区太白区門前町
S50(1975)
33.60 2.50 2.40 1 矩形場所打ち
15 馬尾坂ボックス 太白区太白区茂庭字馬尾坂北
H7(1995)
22.00 2.20 4.00 1 矩形場所打ち
16 峰山横断道 太白区太白区茂庭字峰山
S52(1977)
8.50 6.00 4.70 1 矩形場所打ち
17人来田西人来田東線ボックス
太白区太白区茂庭字人来田中
S46(1971)
15.00 3.00 2.00 1 矩形プレキャスト
18赤石樽道線一号ボックス
太白区太白区坪沼字上前
S61(1986)
11.00 2.50 2.00 1 矩形プレキャスト
19太白小学校前歩行者横断道
太白区太白区太白1丁目
S50(1975)
6.70 9.00 4.90 1 矩形場所打ち
20JR東北本線歩行者横断道
太白区太白区長町1丁目
H17(2005)
30.00 7.00 2.80 1 門型場所打ち
21 馬引沢ボックス 太白区太白区茂庭舟木南
S42(1967)
18.50 3.80 3.80 1矩形+アーチ
場所打ち
番号 施設名称 管理 設置場所設置年度
規格又は設置内容設置方式
構造形式
12 貨物線南小泉横断道 若林区若林区南小泉
H14(2002)
12.50場所打ち
門型
- 3 -
延長(m)
内空幅(m)
内空高(m)
門数
22 寺山ボックス太白区秋保総合支所
太白区秋保町湯元字白木澤
S60(1985)
19.60 3.00 2.00 1 矩形プレキャスト
23 太田ボックス太白区秋保総合支所
太白区秋保町境野字上戸
S50(1975)
24.00 4.50 4.50 1矩形+アーチ
場所打ち
24野中白沢線1号ボックス
太白区秋保総合支所
太白区秋保町長袋字野中
S58(1983)
10.50 1.70 1.50 1 矩形プレキャスト
25 泉口ボックス太白区秋保総合支所
太白区秋保町長袋字泉口
S58(1983)
14.50 2.70 1.50 1 矩形プレキャスト
26馬場新川線1号ボックス
太白区秋保総合支所
太白区秋保町馬場
H15(2003)
16.00 10.00 5.00 1 矩形場所打ち
27馬場新川線2号ボックス
太白区秋保総合支所
太白区秋保町馬場
H15(2003)
16.60 10.00 5.00 1 矩形場所打ち
28芋生沢1号ボックス
太白区秋保総合支所
太白区秋保町馬場
H8(1996)
14.10 5.00 3.00 1 矩形場所打ち
29芋生沢2号ボックス
太白区秋保総合支所
太白区秋保町馬場
H10(1998)
72.00 3.00 2.50 2 矩形場所打ち
30芋生沢3号ボックス
太白区秋保総合支所
太白区秋保町馬場
H11(1999)
46.00 3.00 2.50 2 矩形場所打ち
31馬場新川線跨道ボックス
太白区秋保総合支所
太白区秋保町馬場
H13(2001)
28.50 4.50 4.00 1 矩形場所打ち
32南光台1号横断道
泉区泉区南光台5丁目
H13(2001)
28.00 7.65 4.60 1 矩形場所打ち
33鶴ケ丘歩行者横断道
泉区泉区鶴が丘4丁目
S50(1975)
14.80 3.00 2.60 1 矩形場所打ち
34泉ケ丘横断道(車道)
泉区泉区泉ケ丘1丁目
S50(1975)
38.50 6.50 4.70 1 矩形場所打ち
35泉ケ丘横断道(歩道)
泉区泉区泉ケ丘1丁目
S50(1975)
46.65 3.00 2.50 1 矩形現場打ち
36 大森ボックス 泉区泉区福岡字松葉
H13(2001)
11.50 4.00 3.00 1 矩形場所打ち
37青木平1号ボックス
泉区泉区福岡字藤沢新官林
H14(2002)
12.50 3.00 4.00 1 矩形場所打ち
38 立田ボックス 泉区泉区実沢字立田
S55(1980)
6.00 2.00 1.50 1 矩形プレキャスト
39荒巻大和町線横断道
泉区泉区七北田
H19(2007)
42.00 11.50 7.50 1 アーチプレキャスト
40青木平2号ボックス
泉区泉区福岡字藤沢新官林
H15(2003)
10.90 4.00 3.00 1 矩形場所打ち
41泉高校前歩行者横断道
泉区泉区将監10丁目
S60(1985)
23.00 3.00 2.50 1 矩形場所打ち
番号 施設名称 管理 設置場所設置年度
規格又は設置内容設置方式
構造形式
- 4 -
4.対象施設の点検結果
対象施設の健全度を把握するため,全41施設の定期点検を実施した。
点検の結果,33の施設でコンクリートのひびわれや剥離・鉄筋の露出,目地部からの漏
水・滞水など,施設の劣化が発見されたが,ボックスカルバートは構造が単純であり,車
両の荷重を受けにくい構造物であることから,おおむね良好な状態であることを確認した。
【ボックスカルバートの劣化状況】
コンクリートのひびわれ コンクリートの剥離・鉄筋露出 漏水・滞水(目地部)
コンクリートのうき 遊離石灰 構造変化部の損傷
【ボックスカルバートの点検結果】
健全度Ⅰ(健全) 8基
Ⅱ(予防保全段階) 32基
Ⅲ(早期措置段階) 1基
Ⅳ(緊急措置段階) 0基
(健全度の判定区分は,7~8ページ参照)
- 5 -
5.長寿命化に向けた基本方針
(1)予防保全型維持管理への転換
施設の損傷が進行した場合,大規模な修繕が必要になるほか,更に修繕ができない状
態にまで進行した場合には撤去・新設が必要となる。これらの対応には多くの事業費が
必要になるとともに,長期間の通行止めを要するなど,市民生活や経済活動への影響が
懸念される。
そのため,損傷が深刻化してから修繕を行う『対症療法型維持管理』から,定期的に
点検を実施し,損傷が深刻化する前に修繕を行う『予防保全型維持管理』へ転換し,施
設の長寿命化とライフサイクルコストの縮減,維持管理費用の平準化を図る。
対症療法的な修繕と予防保全的な修繕のイメージ
- 6 -
(2)健全度の把握
道路通行の安全性については,日常の道路パトロールや地震等の災害発生時には緊急
点検を実施のうえ状況を確認している。これらの取組みにおいては,施設細部の状況把
握には限界があり,そのため修繕についても大きな損傷等を確認してから実施する,い
わゆる対症療法的な対応に止まってきた。
施設は建設後から徐々に劣化が進行しているとの認識のもと,今後は,予防保全的な
対応として,日常の道路パトロールに加え,5年に1度,近接目視による点検を実施し,
施設の変状等を把握のうえ,損傷が大きくなる前に修繕を実施する。
点検については,「シェッド,大型カルバート等 定期点検要領(平成26年6月 国土
交通省道路局)」に基づき実施し,施設の健全度を把握する。
施設の健全度については,点検結果を踏まえ,以下のⅠ~Ⅳに区分する。
健 全度の判定区分
判定区分 状態 定義/対策区分
Ⅰ 健全 構造物の機能に支障が生じ
ていない状態
利用者に対して影響が及ぶ可能性が
ないため,措置を必要としない状態
Ⅱ 予防保全段階 構造物の機能に支障が生じ
ていないが,予防保全の観
点から措置を講ずることが
望ましい状態
将来的に利用者に対して影響が及ぶ
可能性があるため,監視を必要とする
状態,あるいは,予防保全の観点から
計画的な対策を必要とする状態
Ⅲ 早期措置段階 構造物の機能に支障が生じ
る可能性があり,早期に措
置を講ずべき状態
利用者に対して影響が及ぶ可能性が
高いため,早期に対策を講じる必要が
ある状態
Ⅳ 緊急措置段階 構造物の機能に支障が生じ
ている,又は生じる可能性
が著しく高く,緊急に措置
を講ずべき状態
利用者に対して影響が及ぶ可能性が
高いため,緊急に対策を講じる必要が
ある状態
【5年に一度の近接目視による定期点検】
ボックスカルバート点検状況
- 7 -
健全度区分別の損傷例
判定 区分
コンクリート部材の変状 ひびわれ 鋼部材の変状 腐食
Ⅰ ひびわれが生じていない,または生じて
いても軽微で,措置を必要としない状態
錆や欠損が生じていない,または生じて
いても軽微で,措置を必要としない状態
Ⅱ
すぐにコンクリートの剥離や落下に至る
危険性は低いものの,目視でも確認可能
なひびわれやコンクリートの剥離がみら
れる状態
局所的に,鉄筋の腐食による錆汁が流れ
た跡がみられる。内部の鉄筋の腐食を進
行させないよう,経過観察を要する状態
Ⅲ
幅の広いひびわれとそれに沿って,石灰
の遊離した跡がみられる状態。ここから
空気や水分の回り込みが進み,部材とし
ての強度を低下させるおそれがある状態
剥離したコンクリートの隙間から鉄筋が
露出しており,外気や水分に曝されて腐
食が進行しつつある状態
Ⅳ
コンクリートからの漏水や石灰の遊離が
見られ,コンクリートの内部まで水が回
り込んでいて,コンクリートや鉄筋の機
能を喪失させている可能性がある状態
コンクリートの広範囲な剥離,鉄筋の腐
食が表面から深い位置にもみられる。ま
た,うきや剥離により骨材の流出が進行
し,残存した骨材の接合状態も悪化して
いるため強度低下が懸念される状態
※判定区分の損傷状況写真は,シェッド,大型カルバート等定期点検要領(国交省道路局)より
- 8 -
(3)予防保全による修繕時期の考え方
『予防保全型維持管理』では,道路通行の安全確保およびコスト縮減を図るため,損
傷が深刻化する前の健全度評価“Ⅱ”となった時点で修繕を実施する。
これまでの『対症療法型維持管理』:判定区分Ⅲとなった時点で修繕
今後の『予防保全型維持管理』:判定区分Ⅱとなった時点で修繕
Ⅰ 健 全
Ⅱ 予防保全段階
Ⅲ 早期措置段階
Ⅳ 緊急措置段階
< 健 全 度>
修
繕
費
の
総
額
劣化曲線
修 繕
修 繕 費
修 繕
経過時間 建設時点
< 健 全 度>
Ⅰ 健 全
Ⅱ 予防保全段階
Ⅲ 早期措置段階
Ⅳ 緊急措置段階
劣化曲線
修
繕
費
の
総
額
修繕 修 繕
修 繕 費
経過時間 建設時点
修繕
- 9 -
施設の初回点検の結果,予防保全段階である損傷(健全度Ⅱ)のほか,早期に措置を
講ずべき損傷(健全度Ⅲ)が確認された。
健全度Ⅲの損傷を放置した場合,道路利用者の安全・安心な通行への影響が懸念され
ることから,早急な対策(変状対策)を行う必要がある。
そのため,予防保全対策に加えて変状対策が必要となる平成29年度から平成33年度
の5年間で健全度ⅢおよびⅡの施設について対策を実施し,施設の機能回復を目指す。
ボックスカルバートの対策期間(予防保全移行期間)
5 年 間 :平成29年度 (2017年度) ~平成33年度(2021年度)
修繕の進め方(予防保全移行期間と予防保全期間のイメージ)
修繕費
H34 (2022)
H35 (2023)
H36 (2024)
H37 (2025)
H38 (2026) 年度
予防保全移行期間 予防保全期間
H29 (2017)
H30 (2018)
H31 (2019)
H32 (2020)
H33 (2021)
Ⅲ
Ⅲ Ⅱ Ⅱ Ⅱ
Ⅱ Ⅱ Ⅱ Ⅱ Ⅱ
- 10 -
(4)優先順位の考え方
対策の優先順位は,点検結果に基づく“施設の健全度”のほか,“部材の重要度”や
“施設の重要度”を総合的に判断して決定する。
【 部材の重要度 】
主な損傷が発生している部材の重要度から評価する。
重要度:本体 > 目地 > ウイング(※) > その他(舗装・排水施設等)
【 施設の重要度 】
交差施設,路線の重要度(緊急輸送道路指定の有無,第三者被害の有無),代替路
線の有無,施設の規模,適用基準などから評価する。
対 策 優 先 順 位 の 評 価 フ ロ ー
健全度の判定
経過観察(補修対象外)
緊急対応(優先度評価対象外)
対策優先順位の評価
◆健全度
◆ 部材の重要度施設の重要度 ①交差施設
②路線の重要度緊急輸送道路第三者被害の有無
③代替路線の有無④施設の規模⑤適用基準
判定ランクⅠ 判定ランクⅣ
判定ランクⅡ 判定ランクⅢ
予防保全対策(優先度評価の実施)
(※)ウイング ボックスカルバートの小口部 において,土被り部や周辺の 土砂を抑えるために設けられ た擁壁構造の部材 (左写真の赤着色部)
- 11 -
(5)主な補修工法・対策工法の例
予防保全的な対策として,ひび割れ注入や表面処理を行い,ひび割れからのコンクリ
ート劣化の進行を抑制する。
以下に橋梁の場合における対策例を示す。
施工前 施工後
シート貼付による表面保護
ひび割れ注入による補修 モルタルによる欠損部補修
- 12 -
(6)日常管理
ボックスカルバートを良好な状態に保つため,日常管理において通常点検・維持修繕
を実施する。
① 通常点検(日常パトロールおよび継続監視)
過年度の点検で健全度判定Ⅱ~Ⅲの変状が確認された施設については,修繕開始時
まで日常の道路パトロールにより重点的に劣化の進行状況を確認する。
また,照明及び非常用設備などの付属物についても,作動状況を確認し,誤作動な
どの抑制に努める。
② 施設の長寿命化に向けた維持修繕の実施
施設の長寿命化にあたっては,日常管理の取組みが重要であることから,パトロー
ルにより把握した状況等を踏まえ適切に対応する。
【主な取組み】
・定期的な排水施設の清掃
・小規模な断面欠損や付属物の変形・欠損の修繕
(7)災害時の対応
地震等の災害が発生した場合には,緊急点検を実施し,施設の安全性や機能性を確認
する。
損傷が深刻な場合については,通行規制を行い,その情報を発信しながら,早期の復
旧・機能回復に努める。
- 13 -
6.長寿命化修繕計画による効果
長寿命化修繕計画に基づく修繕を実施する事で,以下の効果が期待できる。
①健全度の向上
定期的な点検を実施し,現状を把握しながら適切な修繕工事を計画的に実施すること
で,施設の安全性が確保され,道路ネットワークの信頼性が確保できる。
②予算の平準化
修繕に係わる費用を予測して,予算平準化を図った修繕計画を策定することで,計画
的な修繕が可能となる。
③コストの縮減
対症療法(撤去・新設)から予防保全へ転換することで,効果的な維持管理が実現さ
れ,30年間で維持管理コストが約 19億円から約 6億円へと,約 13 億円のコスト縮
減(縮減率68%)が図られる。
約 19億円
約13億円の縮減
(縮減率約
68%)
約6億円
- 14 -
本計画の策定にあたり意見聴取した学識経験者
国立大学法人東北大学大学院工学研究科
インフラマネジメント研究センター センター長 久田 真 教授
- 15 -
【巻末資料】
- 16 -
巻末資料:ボックスカルバートカルテ
○対象ボックスカルバート一覧表
:道路法等の改正により点検が義務付けられた施設
(内空幅が2車線程度(概ね6m)以上の道路である施設)
延長(m)
内空幅(m)
内空高(m)
門数
1宮城学院女子大前歩行者横断道
青葉区H2
(1990)73.80 4.50 2.50 1 Ⅱ 要
・側壁のひびわれ・内空舗装のうき・階段部のうき
ひびわれ補修工断面修復工
2 仙山線北山横断道 青葉区H20(2008)
9.30 10.60 4.80 1 Ⅱ 要
・頂版・側壁のひびわれ・ウイングのひびわれ、変形・欠損・内空壁高欄のひびわれ
ひびわれ補修工断面修復工
3旭ヶ丘歩行者横断道
青葉区H12(2000)
36.00 3.00 2.50 1 Ⅱ 要
・頂版・側壁のひびわれ・袖擁壁のひびわれ
ひびわれ補修工断面修復工
4 名掛丁地下歩道 青葉区S3
(1928)40.00 2.70 2.30 1 Ⅱ 要
・側壁のひびわれ・側壁の変形・欠損
ひびわれ補修工断面修復工
5 龍沢ボックス青葉区宮城総合支所
H18(2006)
7.80 5.00 3.40 1 Ⅱ 要
・頂版・側壁のひびわれ・ウイングのひびわれ ひびわれ補修工
6中原浄水場前ボックス
青葉区宮城総合支所
S57(1982)
42.30 2.50 2.50 1 Ⅱ 要
・頂版にひびわれ・側壁に剥離・鉄筋露出
ひびわれ補修工断面修復工
7福室歩行者横断道
宮城野区H16(2004)
16.00 4.00 2.50 1 Ⅱ 要
・頂版・側壁にひびわれ
ひびわれ補修工
8二本木1号線1号ボックス
宮城野区S53(1978)
8.55 2.00 2.00 1 Ⅱ 要
・側壁にひびわれ・ウイングにひびわれ・袖擁壁に剥離・鉄筋露出
ひびわれ補修工断面修復工
9国道4号バイパス歩行者横断道(下り線)
宮城野区H4
(1992)37.70 3.00 2.45 1 Ⅱ 要
・目地部から漏水
目地補修工
10国道4号バイパス歩行者横断道(上り線)
宮城野区H4
(1992)37.90 3.00 2.45 1 Ⅰ 不要
11若林区役所前歩行者横断道
若林区H21(2009)
16.20 3.30 2.60 1 Ⅱ 要
・側壁目地部に変色・劣化
目地補修工
7.50 3.60 2
12.40 4.70 2
13二木荒井線3号ボックス
若林区H4
(1992)400.00 2.00 1.20 1 Ⅱ 要
・頂版・側壁にひびわれ・頂版・側壁に剥離・鉄筋露出・目地部に漏水・遊離石灰
ひびわれ補修工断面修復工目地補修工
14大年寺歩行者横断道
太白区S50(1975)
33.60 2.50 2.40 1 Ⅱ 要
・頂版・側壁にひびわれ・頂版にうき
ひびわれ補修工断面修復工
15 馬尾坂ボックス 太白区H7
(1995)22.00 2.20 4.00 1 Ⅱ 要
・頂版・側壁にひびわれ・地覆・中央分離帯に変形・欠損・袖擁壁目地部に開き
ひびわれ補修工断面修復工目地補修工
16 峰山横断道 太白区S52(1977)
8.50 6.00 4.70 1 Ⅱ 要
・頂版・側壁にひびわれ・頂版・地覆に剥離・鉄筋露出・ウイングにうき
ひびわれ補修工断面修復工
17人来田西人来田東線ボックス
太白区S46(1971)
15.00 3.00 2.00 1 Ⅱ 要
・頂版にひびわれ・側壁目地部に漏水・遊離石灰
ひびわれ補修工目地補修工
18赤石樽道線一号ボックス
太白区S61(1986)
11.00 2.50 2.00 1 Ⅱ 要
・頂版・側壁にひびわれ・頂版に剥離・鉄筋露出・側壁目地部に漏水・遊離石灰
ひびわれ補修工断面修復工目地補修工
19太白小学校前歩行者横断道
太白区S50(1975)
6.70 9.00 4.90 1 Ⅰ 不要
20JR東北本線歩行者横断道
太白区H17(2005)
30.00 7.00 2.80 1 Ⅰ 不要
21 馬引沢ボックス 太白区S42(1967)
18.50 3.80 3.80 1 Ⅱ 要
・頂版・側壁にうき
断面修復工
ひびわれ補修工断面修復工
要・頂版・側壁にひびわれ・ウイングにうきⅡ
H14(2002)
12.5012 貨物線南小泉横断道 若林区
健全度
対策要否
主な変状 措置内容番号 施設名称 管理設置年度
規格又は設置内容
- 17 -
:道路法等の改正により点検が義務付けられた施設
(内空幅が2車線程度(概ね6m)以上の道路である施設)
延長(m)
内空幅(m)
内空高(m)
門数
22 寺山ボックス太白区秋保総合支所
S60(1985)
19.60 3.00 2.00 1 Ⅱ 要
・頂版・側壁にひびわれ・側壁に剥離・鉄筋露出・側壁目地部に漏水
ひびわれ補修工断面修復工目地補修工
23 太田ボックス太白区秋保総合支所
S50(1975)
24.00 4.50 4.50 1 Ⅲ 要
・頂版・側壁に変形・欠損・基礎部受台にひびわれ・目地部に漏水
ひびわれ補修工断面修復工目地補修工
24野中白沢線1号ボックス
太白区秋保総合支所
S58(1983)
10.50 1.70 1.50 1 Ⅱ 要
・目地部に漏水・遊離石灰・頂版に剥離・鉄筋露出・目地部にひびわれ
ひびわれ補修工断面修復工目地補修工
25 泉口ボックス太白区秋保総合支所
S58(1983)
14.50 2.70 1.50 1 Ⅱ 要
・側壁にひびわれ・頂版に剥離・鉄筋露出・目地部に漏水・遊離石灰
ひびわれ補修工断面修復工目地補修工
26馬場新川線1号ボックス
太白区秋保総合支所
H15(2003)
16.00 10.00 5.00 1 Ⅰ 不要
27馬場新川線2号ボックス
太白区秋保総合支所
H15(2003)
16.60 10.00 5.00 1 Ⅰ 不要
28芋生沢1号ボックス
太白区秋保総合支所
H8(1996)
14.10 5.00 3.00 1 Ⅱ 要
・頂版・側壁にひびわれ・頂版に剥離・鉄筋露出
ひびわれ補修工断面修復工
29芋生沢2号ボックス
太白区秋保総合支所
H10(1998)
72.00 3.00 2.50 2 Ⅰ 不要
30芋生沢3号ボックス
太白区秋保総合支所
H11(1999)
46.00 3.00 2.50 2 Ⅰ 不要
31馬場新川線跨道ボックス
太白区秋保総合支所
H13(2001)
28.50 4.50 4.00 1 Ⅱ 要
・頂版・側壁にひびわれ
ひびわれ補修工
32南光台1号横断道
泉区H13(2001)
28.00 7.65 4.60 1 Ⅱ 要
・頂版・側壁にひびわれ・側壁にうき・目地部から漏水・遊離石灰
ひびわれ補修工断面修復工目地補修工
33鶴ケ丘歩行者横断道
泉区S50(1975)
14.80 3.00 2.60 1 Ⅱ 要
・頂版・側壁にひびわれ・階段にうき
ひびわれ補修工断面修復工
34泉ケ丘横断道(車道)
泉区S50(1975)
38.50 6.50 4.70 1 Ⅱ 要
・頂版・側壁にひびわれ・頂版に剥離・鉄筋露出・目地部にひらき
ひびわれ補修工断面修復工目地補修工
35泉ケ丘横断道(歩道)
泉区S50(1975)
46.65 3.00 2.50 1 Ⅱ 要
・側壁にひびわれ・側壁に剥離・鉄筋露出・目地部に漏水・遊離石灰
ひびわれ補修工断面修復工目地補修工
36 大森ボックス 泉区H13(2001)
11.50 4.00 3.00 1 Ⅱ 要
・頂版・側壁にひびわれ
ひびわれ補修工
37青木平1号ボックス
泉区H14(2002)
12.50 3.00 4.00 1 Ⅱ 要
・頂版・側壁ににびわれ
ひびわれ補修工
38 立田ボックス 泉区S55(1980)
6.00 2.00 1.50 1 Ⅱ 要
・側壁にひびわれ・目地部に漏水・遊離石灰
ひびわれ補修工目地補修工
39荒巻大和町線横断道
泉区H19(2007)
42.00 11.50 7.50 1 Ⅱ 要
・頂版にひびわれ・頂版に剥離・鉄筋露出・側壁に変形・断面欠損
ひびわれ補修工断面修復工
40青木平2号ボックス
泉区H15(2003)
10.90 4.00 3.00 1 Ⅱ 要
・頂版・側壁にひびわれ・側壁に剥離・鉄筋露出
ひびわれ補修工断面修復工
41泉高校前歩行者横断道
泉区S60(1985)
23.00 3.00 2.50 1 Ⅰ 不要
健全度
対策要否
主な変状 措置内容番号 施設名称 管理設置年度
規格又は設置内容
- 18 -
平成 29 年 7 月
仙台市ボックスカルバート長寿命化修繕計画
編集・発行 仙台市建設局道路部道路保全課
〒980-8671 仙台市青葉区国分町三丁目7番1号
TEL:022-214-8415