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広島市における在宅医療及び
在宅医療・介護連携の推進方策
概要版
資料 2-2
広島市における在宅医療及び在宅医療・介護連携の推進について
2025年に向けて、地域包括ケアシステムを構築し、市民1人1人が住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるよう、質の高い医療・介護提供体制は必要不可欠。
特に、高齢化の進展と疾病構造の変化により、複数の慢性疾患を抱える患者、そして、介護を受けながら日常生活を営む患者が増える中、「治し、支える医療」、地域完結型の医療の提供体制の構築が必要。
多くの市民が、在宅において介護を受けながら人生の最期を迎えることを望んでいる一方で、必ずしも実現していない実態。広島市では、今後、高齢者人口、特に75歳以上人口が急増し、死亡者数も大幅に増加することから、看取りを含めた在宅医療の充実、在宅医療・介護連携の推進を図っていくことが、極めて重要。
本市として目指すべき在宅医療、在宅医療・介護連携の推進に関する方向性・ビジョンを明確化し、計画的に取組を進めていくため、「第7期広島市高齢者施策推進プラン」の在宅医療・介護に関するアクションプランとして、広島市連合地区地域保健対策協議会において「広島市・在宅医療及び在宅医療・介護連携推進方策」を取りまとめ
本市としては、本方策の下で、
①退院支援から看取りまで、多職種による切れ目のない医療・介護サービスを受けられる仕組みを構築すること
②医療・介護を受ける側である高齢者、提供する側である従事者が、ともに高い満足度・充足感が得られるような仕組みを構築すること
③その結果、高齢者が自分らしい人生をおくることができ、望む場所での療養、看取りが叶うこと
を目指していく。
今年度「在宅医療に関する実態調査」を実施
在宅医療等に関する現状把握及び課題を抽出
(広島市連合地区地域保健対策協議会)
2.広島市・在宅医療及び在宅医療・介護連携推進方策の取りまとめ
1.地域包括ケアシステムの構築に向けて
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(1) 基本的な考え方
在宅医療のニーズの増加に対応する量的な拡充が必要になることに加え、在宅期では、
①退院支援、②日常の療養支援、③急変時の対応、④看取りに関する医療機能の充実
とともに、また、患者の生活の場において、適切に医療・介護の提供が求められることから、
多様な機関・職種の相互連携が重要。
具体的には、以下の4点を取組の柱として、総合的に推進。既存の事業体系において対応
できない項目を中心に、各団体における取組と合わせ、必要に応じて予算化・事業化し、
各関係機関・職種の連携の下で取組を推進。
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「在宅医療及び在宅医療・介護連携の推進方策」の方向性
取組の柱 課題 主な取組の方向性
在宅医療に取り組む機関・人材の確保と育成
•在宅医療ニーズ増に対し、在宅担当医、訪問看護師等の量的不足•在宅医を含めた医療・介護関係者の対応力・スキル
同行研修による人材の育成
在宅医療実施機関の相互連携体制の構築
訪問看護師の確保・育成に向けた支援
摂食・嚥下障害等在宅期の医学管理の更なる質向上
在宅緩和ケア、看取り力の向上
在宅医療を支える病診連携、診診連携、多職種連携、後方支援体制の確保
•退院調整等、在宅移行に当たっての意識の統一と連携体制が不十分•気軽に相談できる専門職が不足•急変時の後方支援体制の確保が不十分
病院、リハビリ職等との連携体制構築 ICT等の活用 在宅移行ツールの策定、地域連携パスの活用 在宅医療・介護連携を中心とした地域包括ケアの
拠点整備の検討
認知症医療・介護連携の強化
•早期診断、早期対応体制が不十分•認知症高齢者への対応、状態に応じた医療・介護の提供が不十分
認知症初期集中支援チームの全区展開
早期スクリーニング体制の構築
市北部地域への認知症疾患医療センターの整備検討
認知症ケア、ケアマネジメントの質向上
在宅医療・介護に関する市民啓発
•在宅移行の壁となる「本人・家族の理解」•ACP等が浸透していない
市民向け普及啓発(ACP含む)
在宅療養のサポートに関わる人材育成
(2) 各取組について
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2017(H29)
2018(H30)
2019(H31)
2020(H32)
2021(H33)
2022(H34)
2023(H35)
2024(H36)
2025(H37)
人口構造等を踏まえた在宅医療ニーズの動向(推計)
第7期高齢者施策推進プラン 第8期高齢者施策推進プラン 第9期
第8次第7次医療計画
病床の機能分化・連携に伴い生じる増加分
高齢化の影響等により生じる増加分
2025(H37)年に約4,900人増
2025(H37)年に約1,200人増
2020(H32)年に約2,000人増
2020(H32)年に約500人増
2025(H37)年度訪問診療:約16,000人
H28年度比1.6倍
高齢者人口、特に75歳以上人口の増加に伴うニーズ増 約3,000人程度
自宅等の在宅で最期を迎える人の増加に伴うニーズ増 約1,900人/年程度
慢性期需要から、病床対応分、介護医療院への転換分、施設整備分等を除いた、在宅での追加的なニーズ増
在宅医療提供体制の増加は自然体では1.1倍程度
2016(H28)年度訪問診療:約9,900人
2020(H32)年度訪問診療:約12,400人
H28年度比1.25倍
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4.在宅医療に取り組む機関・人材の確保と育成
在宅医療へのニーズの増加に対応する提供体制の確保が必要。実態調査では、在宅医療を推進する上での課題として「在宅担当医の確保」の回答割合が高いほか、診療所、病院、歯科診療所、薬局の約半数が在宅医療を未実施。全体的に、在宅医療に対する関心は高い一方で、取組みを増やしたいという割合は低い。
高齢者は複数の疾患を抱えているケースが多く、日常の療養支援から看取りまでが求められるものの、主傷病や診療内容によって、在宅移行は困難という割合が高いものがあるほか、在宅医療を推進する上での必要な要素として、診療所では「在宅医の医療技術の向上」が最多になるなど、対応力の向上が必要となっている。
ACPを実践している割合が低く、実践していても、極まれに実施しているが多くなっている。
現状と課題
1.在宅医療を支える人材の量的拡充に向けて
①同行研修による在宅医療に携わる人材の育成
• 多職種協働による同行研修に加え、各職能団体等と連携し、各職種における実践的な同行研修を推進
②医療従事者向けのセミナー等
• 既に在宅医療に取り組んでいる医師等を講師とするセミナー等による情報発信
③在宅医療実施機関の相互連携・協力体制構築に向けた検討
• 休日・夜間、看取り期の対応や医療器材等の共同管理等、診療所、病院、在支診、24時間対応の訪看ST等によるグループ化を含めた相互連携・協力体制構築に向けた検証・検討
④訪問看護師の確保・育成
• 大学教育機関等と連携し、訪問看護師の確保・育成に向けた支援
取組の方向性
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2.対応力の向上に向けて
①在宅における医学管理の更なる質向上
• 地域連携の会等と連携し、脳卒中(ひろしま脳卒中地域連携パス)、心不全(心筋梗塞・心不全手帳)といった地域連携パスの活用等、在宅期における医学管理の対応力の更なる向上
②摂食嚥下・口腔ケア対応力の向上
• 多職種が連携し、在宅期における摂食嚥下機能の評価、チームケアに結び付けていくことで、誤嚥性肺炎を含む肺炎への対応、食べる力を支える体制の構築
③服薬管理の更なる質向上
• 広島市薬剤師会との連携の下、嚥下困難患者、認知症患者への服薬管理、副作用等のモニタリング、在宅緩和 ケアにおける麻薬の管理等、ステージ、状態像に応じた在宅医療における対応力の向上
④訪問看護師の確保・育成に向けた支援(再掲)
• 訪問看護師の看取り対応力向上に向けた支援
⑤ケアマネジメント等の更なる質向上
• 医療依存度の高いケースが増加することを踏まえ、ケアマネジャーのケアマネジメント、医療ソーシャルワーカーの医療対応力の向上
⑥在宅緩和ケア、在宅看取りの更なる質向上
• 多職種、緩和ケアに取り組む機関等と連携、がん・非がんの在宅緩和ケア、在宅看取り力の向上。特別養護老人ホーム、GH等における看取りに向けたベストプラクティスの収集、勉強会等を通じた対応力向上
⑦ACPの推進
• 本市在宅医療・介護連携推進委員会の下にWGを設置、在宅緩和ケアやACPの普及啓発の推進に向けた検討を実施。県地対協(ACP普及促進WG)とも連携し、医療・介護関係者の研修や普及推進員の養成を推進
取組の方向性
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5.在宅医療を支える病診連携、診診連携、多職種連携、後方支援体制の確保
【多職種連携】
多職種との情報共有の必要性を感じる割合は高く、また、在宅医療を推進する上での必要な要素として、「多職種連携の充実」、「経験豊かな医師との相談・信頼関係の構築」と答える割合が高くなっている。一方、同一法人以外に気軽に相談できる人がいないという割合が高いなど、連携体制は更に充実させていく必要がある。
在宅移行の意識が全般的に高まっているが、在宅医療に関する理解の高まりと比較すると低く留まる傾向にある。また、多くの主傷病や診療内容に関して、病院管理者の認識は、在宅では対応困難と思う一方で、診療所や病院地域連携部門、介護関係者は対応可能とするなど、在宅移行の意識に乖離が見られる。
現状と課題
1.多職種、関係機関の連携強化に向けて
①地域レベルでの在宅医療・介護連携の推進
• 在宅医療・介護連携推進委員会等により、市・区・日常生活圏域レベルにおいて、多職種連携、協働を推進
②病院等とも連携した在宅医療・介護連携の推進
• 本市の在宅医療・介護連携推進事業に病院の代表の参画・協力を得て取り組む体制の構築
③多職種協働等の推進
• 本事業にリハビリ専門職、管理栄養士の参画を得るほか、同職種内・多層な職種間における関係の構築、施設・地域密着型サービスにおける看取りの体制構築に向けた外部医療機関等との連携関係の構築を推進
• 保健師地区担当制、包括的な相談支援体制とも相まって、複合的・福祉的課題を抱えるケース等に対応するネットワーク構築を推進
④摂食嚥下・口腔ケア対応力の向上(再掲)
⑤ICT等の活用
• ICT等を活用した効果的・効率的な連携ツールの整備について検討
取組の方向性
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【在宅療養への移行】
入退院時の調整、在宅での療養開始をはじめ、退院前カンファレンスやサービス担当者会議等、患者情報の共有と医療・介護に関する意識の統一が求められる場面において、連携体制の充実が必要となっている。
退院前カンファレンスによる退院調整が必要と思われるケースにおいて、約20%が実施できていない。また、かかりつけ医は3割が不参加、歯科医、薬剤師は多くが不参加となる一方、かかりつけ医又は在宅医の参加を要請していない割合が40%を占める。
ケアマネジャーの退院前カンファへの参加については、医療機関の都合に合わせた訪問調整が困難であることが課題。また、「急に退院の連絡があり、対応が困難」、「退院時に連絡がない」といった課題も。
サービス担当者会議への参加頻度は、訪問看護ステーションが全て参加とする一方、不参加の職種が多く、また、ケアマネジャー・地域包括支援センターから参加要請していない割合も高い。(時間調整が困難等)
現状と課題
2.スムーズな在宅療養への移行に向けて
①退院前カンファレンス、サービス担当者会議等の推進
• 在宅移行の円滑化に向けては、入院中の情報、在宅療養の方針・留意点、ケアマネジメント、急変時の対応等について共有することが重要であることから、退院前カンファレンスやサービス担当者会議の開催と参加の推進による切れ目のない体制づくりを推進
• 同行研修事業に病棟看護師をはじめとする病院スタッフの参加を促進
②在宅移行(退院支援)ツール、地域連携パスの策定・活用
• 退院調整を担う看護師、医療ソーシャルワーカー、病棟看護師等の病院スタッフとケアマネジャー、地域包括支援センター等の在宅期を支えるスタッフの連携強化とより適切な退院支援に向けて、退院支援と在宅移行に関する流れを整理し、共有化
• ひろしま脳卒中地域連携パス等、疾病に関する地域連携パスの活用等による、病院と診療所、診療所と診療所等、医療機関相互の連携と対応力の強化(再掲)
取組の方向性
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【体調急変時(入院時)等における連携】
最も緊急時の対応が求められることの多い時間帯は「夜間(18~24時)」となっている。緊急の対応が求められることはない、という回答も一定割合見られる。
受入先の確保に当たっては、診療所の4割は医療機関・医師や医師会のネットワークにより確保できていると回答する一方、35%は苦労もあると回答している。また、在宅医療相談支援窓口については、全体的に認知度がまだ低く、知っていても利用したことがない割合も高い。
入院時におけるかかりつけ医・在宅医との連携状況に関しては、病院はほとんど連携しているとの回答であるが、連携していないという回答も10%前後ある。
約7割の病院が緊急入院・レスパイト入院を受け入れ。自院の受診経験があるか、連携している医師からの紹介を受け入れる割合が高く、後方支援医療機関として、要請があれば受け入れるとの回答も一定程度みられる。
現状と課題
3.体調急変時(入院時)等における連携に向けて
①在宅医療相談支援窓口事業の推進
• 「在宅医療相談支援窓口」を各区に設置・運営、有床診療所を含め、緊急時等における後方支援医療機関のネットワーク化を推進
②在宅医療実施機関の相互連携・協力体制構築に向けた検討(再掲)
取組の方向性
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4.地域の医療・介護資源情報の整理
• 各区単位で情報収集・整理してきた医療・介護資源情報を再度整理、必要に応じて更新及び機能強化
5.地域包括ケア拠点の検討
• 安佐市民病院の移転・建替えに伴い、北館に整備する病院に地域包括ケア拠点の設置することを検討。在宅期における医療の更なる充実に向けた機能を担うことが考えられ、当該検討を踏まえ、市域全体への展開を検討。
取組の方向性
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6.認知症医療・介護連携の強化
【認知症等への対応】
軽度認知障害(MCI)への対応は、「経過を見る」が最多、次いで、「治療を開始」、「認知症サポート医等で経過を見てもらう」等、患者の状態像に応じて対応は様々。
認知症への対応は多くが可能となっているが、一定程度、対応困難との回答もみられ、特にBPSDへの対応については、対応可能・困難が拮抗。薬局、訪問看護ST、ケアマネジャー、地域包括支援センターは9割方対応可能。ただし、ケアマネジメントではルーチン化できていない割合も多い。
多くのカテゴリーにおいて、特に状態に応じた適切なサービスに繋げられないことが1位に挙がっているほか、早期対応が困難であることが課題とする割合も高い。
若年性認知症への対応は、BPSDも含め、高齢者に比べて総じて低調であり、対応の難しさが浮き彫りに。
現状と課題
1.早期診断・早期対応体制の構築
①認知症早期スクリーニング体制構築に向けた検討
• 幅広い関係機関との連携の下、早期スクリーニングやものわすれ検診など、認知症の早期発見、早期対応体制の構築について検討
②認知症初期集中支援チームの設置促進
• 「認知症初期集中支援チーム」を各区に設置し、認知症サポート医や認知症地域支援推進員などと連携して安定した医療・介護サービスにつなげるなど、自立生活をサポート
取組の方向性
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【認知症患者の紹介及び連携先】
診療所・病院ともに、精神科が最多となっており、認知症サポート医・かかりつけ医の割合は低い。また、特に紹介・連携等をしていない、との回答が2割弱。
歯科診療所・薬局・訪問看護ステーションでは、かかりつけ医・主治医が最多、特段。紹介・対応をしていないという回答も見られ、特に、歯科診療所では5割超と最多に、薬局でも3割近い。訪問看護STは、様々な医療機関を紹介(連携)する一方、診療所・病院とは一定の割合で連携していない。
ケアマネジャー、地域包括支援センターは、様々な事業所・施設と連携する一方、歯科診療所、薬局とは連携に課題(ケアマネジャーは診療所・病院とも)。認知症地域支援推進員を連携先とする割合は総じて低い。
今後の連携先として重要と思う事業所・施設としては、概ね、認知症疾患医療センター、(認知症サポート医、認知症かかりつけ医のいる)医科診療所、地域包括支援センターの割合が高い傾向
介護が必要なケースについては、ほぼ全てのカテゴリーで「地域包括支援センターを紹介」が最多、次いで、「ケアマネジャー」、「市・区役所の高齢者相談窓口」等。一方、「特に紹介や情報提供はしていない」も一定割合見られ、歯科診療所では50%超、薬局では40%弱。
現状と課題
2.多職種協働による状態に応じた適切な医療・介護サービスの提供
①認知症医療提供体制の構築
• 認知症疾患医療センターや認知症地域支援推進員が中心に、認知症サポート医や医師会等の関係団体と連携、早期診断・対応、状態に応じた医療・介護サービス等が切れ目なく適切に提供できる体制の整備・充実
• 本市の認知症施策について、歯科医師、薬剤師等の幅広い職種が協働して議論し、政策形成へと結び付けていく場の構築を推進
• 市内北部に未設置となっている認知症疾患医療センターについて、安佐市民病院の移転整備とも併せ、早期設置に向けて検討
• 認知症サポート医や認知症かかりつけ医(「かかりつけ医認知症対応力向上研修」の修了者)のフォローアップ研修を実施し、地域の認知症医療体制の充実
取組の方向性
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2.多職種協働による状態に応じた適切な医療・介護サービスの提供
②認知症ケアパスの整備
• 認知症の容態の変化に応じて、切れ目なく良質な医療・介護等のサービスが提供されるよう、標準的な流れを示した「認知症ケアパス」を整備、その充実と普及を推進
③医療従事者向けの認知症対応力向上研修
• 歯科医師、薬剤師、看護師及び病院勤務の医療従事者を対象とする研修を実施し、医療関係者の認知症対応力の向上を図る。
• 認知症介護従事者を対象とした基礎研修や実践研修のほか、認知症対応型サービス事業管理者研修等の認知症介護に関する研修を実施し、介護従事者等の認知症対応力の向上を図る
④認知症ケアマネジメントの質向上
• ケアマネジャー、地域包括支援センターが担う認知症の人へのケアマネジメントについて、専門職からの客観的・専門的な助言を得る場を構築し、ケアマネジメントの質の更なる向上を図る。
⑤認知症ケアの質向上
• 認知症の人のQOL(生活の質)の維持・向上に向けて、ADL(食事や排せつなどの日常生活動作)、IADL(買い物や掃除・金銭管理などの手段的日常生活動作)など生活機能の維持に向けたケアや心理面でのケア等、認知症ケアに関する質の向上を図るための方策を検討、推進
3.若年性認知症施策の強化
①若年性認知症支援コーディネーターの設置
• 医療や介護、就労、生活など、若年性認知症の人やその家族等が抱える多様な課題に対する支援を行うため、若年性認知症支援コーディネーターの設置について検討、若年性認知症に関する相談支援体制の充実を図る。
②若年性認知症に対する医療・介護の充実
• 若年性認知症に関する医療・介護の現状を把握するとともに、更なる質の向上に向けた方策を検討
取組の方向性
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7.在宅医療・介護に関する市民啓発
ケアマネジャー、地域包括支援センターから見た課題として、「家族が望まないと困難」、「患者・家族の理解が不十分」、「介護体制が不十分」となっており、在宅移行に当たって、患者・家族との調整を課題。病院地域連携部門も同様の傾向。
在宅移行と維持がスムーズにいかないケースの要因としては、単身・高齢世帯や経済的な事情、認知症や精神疾患等が挙げられており、福祉的ニーズが強いケースが多く含まれていると推測。一方、「介護保険への理解が十分でない」ことも要因として挙げられており、リテラシーの向上によって改善が期待できる面も存在
ACPの実践が増えるために有効と思われる取組を見ると、各カテゴリーとも、「市民への啓発(研修会、講演会等)」、「ガイドをすぐ手に取れる環境」が有効との回答が多い。
現状と課題
①市民向け普及啓発
• 市民向け普及啓発に向けた情報発信を活用し、公開講座を推進。特に、日常生活圏域単位での実施、地域住民主体となった通いの場(地域介護予防拠点)等における出前講座の実施等も推進
②ACPの普及啓発
• ACPの実践に向けて、情報発信ツールを活用し、市民の学びの場や施設入所者向けにも、施設職員とともに学び、実践する場を設置。 また、県地対協とも連携し、普及推進員の養成も推進。
③在宅療養のサポートに関わる人材の育成
• 認知症サポーターステップアップ講座により、認知症高齢者等の見守り活動や認知症カフェのボランティアなど、地域において実際に認知症の人とその家族を支える活動に取り組む市民の増加。
• 単身高齢者等の看取りに寄り添うボランティア(「寄り添いパートナー」県内では大崎上島町において実践中)の養成についても検討
取組の方向性
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(1) 本方策の期間及び評価
2025年までを期間とした上で、医療・介護関係者、行政、市民が一体となって取組みを進めていくことが必要となる。その間、取組みの進捗状況等を把握しながら、適宜、評価・見直しを行うとともに、3年間を1タームとして、実態調査、分析等とともに、見直しを図る。その際、毎年度、進捗状況について把握するとともに、市在宅医療・介護連携推進委員会に報告する。
(2) 指標の設定
具体的な取組みを進める上で、進捗状況の把握と評価に当たっての指標を設定することが適当。
施策全般としては、
①退院支援から看取りまで、多職種による切れ目のない医療・介護サービスを受けられる仕組みの構築
②医療・介護を受ける側である高齢者、提供する側である従事者が、ともに高い満足度・充足感が得られるような仕組みの構築
③その結果、高齢者が自分らしい人生をおくることができ、望む場所での療養、看取りが叶うこと
が必要と考えられることから、その実現に向けて、以下の指標を設定。
8.今後に向けて
項目 目標
①在宅医療の量的拡充 訪問診療の受給状況(人数)の対前年度比増
②在宅医療に携わる従事者の満足度在宅医療に関する実態調査において
「満足度が大きい」とする人の割合の前回調査比増
③在宅医療を受ける高齢者の満足度
実態調査※において「満足度が大きい」とする人の
割合の前回調査比増※広島市高齢者の生活実態と意識に関する調査等において
定期的に把握することを検討
④自宅等※の在宅で最期を迎える人の割合※ 自宅、老人ホーム、介護老人保健施設
自宅等の在宅で最期を迎える人の割合の対前年比増
指標