GIS を活用した評価マップの作成

　 GIS を活用した評価マップの作成

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地理空間情報活用人材育成プログラム

Copyright 　 © 　 2011 　立命館大学文学部　教授　矢野桂司

GIS を活用した評価マップの作成

開発担当者：立命館大学文学部　教授　矢野桂司

【地方公共団体向け】


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●本ワークショップの流れ

＜ 1 日パターン＞

【１日目（ 13 ： 30 ～

17:00 ）】1. 本ワークショップの内容

1. 　対象地域の問題設定2. 　評価マップ作成のための要素の設

定

2. 対象地域の GIS データの収集3. プロセス・モデルの作成4. チーム分け

【２日目（ 9:00 ～ 13:00 ）】5. 評価マップの作成6. プレゼンテーション

＜ 1 日半パターン＞

【１日目（ 13 ： 30 ～ 17:00 ）】1. 本ワークショップの内容

1. 　対象地域の問題設定2. 　評価マップ作成のための要素の設定

2. 対象地域の GIS データの収集3. プロセス・モデルの作成4. チーム分け

【２日目（ 9:00 ～ 17:00 ）】5-2. 評価マップの作成

＜昼食＞

5-1. 評価マップの改良6. プレゼンテーション


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地域の将来計画を GIS を用いて、どのように行うことができるか？ Harvard 大学計画大学院（ GSD ）の Carl Steinitz 教授の景観

計画へのフレームワーク 6 つのモデルを地図で表現する。

カルトグラフィックモデリング

フィードバック

地図による合意形成

この中のプロセス・評価モデル

　　を本ワークショップで実施する。

参考資料：矢野桂司（ 2001 ）：ハーバード大学 GSD の GIS を用いた景観プランニング．ランドスケープ研究 64-3 、 212-215 頁。http://ci.nii.ac.jp/naid/110004305516

１．本ワークショップの内容

Ⅰ景観はどのように　記述されるべきか？

Ⅱ景観はどのように　作用するか？

Ⅲ現在の景観はうまく　機能しているか？

Ⅳ景観はどのように　変えられるのか。　どのような行為によって、　いつ、どこで？

Ⅴ変化はどのような　予測可能な差異を　導くのか？

Ⅵ景観はどのように　変えられるべきなのか？

研究方法の特定

プロセス・モデル

表現モデル

評価モデル

変化モデル

インパクト・モデル

意志決定モデル No Yes

Time+Time-

実地手段

スケールの変更

文脈の認識

研究の実行

情報

データ

文化的知識


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１－１．対象地域の問題設定

1. 対象地域の自治体において議論されるべき問題を設定する。

2. 例えば、

1. 保育所を新設すべき地域はどこ？

2. 高齢者介護施設（デイケアー）を新設すべき地域はどこ？

3. 公共交通を拡充すべき地域はどこ？

4. 避難所（公園・学校）が不足しているのはどこ？

5. 廃止すべき郵便局はどれ？

6. 交番・派出所が必要な地域はどこ？

7. 災害から文化財を守るには？

8. 新しいショッピングセンターを新設すべき地域はどこ？


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１－２．評価マップ作成のための要素の設定

1. 設定された問題の地域を特定するために必要な要素（ 3 つ以上）を考える。

2. それら要素がどのような状態であれば、「望ましい」のか、または、「望ましくない」のかを考える。

3. それらの要素に関する GIS データを考える。


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◆ 立地可能な地域と、 3 つの要素を特定

　　例：保育所を新設すべき地域はどこ？立地可能な地域：保育所は都市部に立地する。

土地利用（細密数値情報）要素１：児童がたくさんいる地域に新設すべきで

ある。0-4 歳人口（国勢調査）

要素２：鉄道駅の近くに新設すべきである。駅の分布（基盤地図情報）

要素３：保育所の少ない地域に新設すべきである。保育所の分布（住所からアドレスマッチング）


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◆ 3 要素ごとの評価マップ　　児童数　　　　　　駅からの距離　　　　　　保育所数

（緑色）望ましい、（黄色）　普通、（赤色）望ましくない


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２．対象地域の GISデータの収集

1. 対象地域の設定2. 設定した問題のために必要な GIS データを収集す

る。3. 基本的な GIS データの整備4. アドレス・マッチングによる施設の GIS データ

の作成5. 自治体 GIS データの活用


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◆GISデータの構造（デジタル地図の構造）

『 ArcGIS の操作ガイド』（ 1-3 頁参照）

1.デジタル地図のレイヤ構造2.デジタル地図データの形式

1. ベクタデータとラスタデータとの違い

2. ベクタデータの例

3. ラスタデータの例


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◆主な GIS データの提供元1. 公的統計（統計 GIS プラザ）

1. http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/toukeiChiri.do?method=init

2. 国土地理院（基盤地図情報）1. http://www.gsi.go.jp/kiban/index.html

3. 国土数値情報1. http://nlftp.mlit.go.jp/ksj/

4. 自然環境保全基礎調査（緑の国勢調査）1. http://www.biodic.go.jp/J-IBIS.html

5. 各自治体の GIS データ1. 地図データ（都市計画図、用途地域指定）2. 台帳データ（住所からアドレスマッチング）

6. 民間の GIS データ1. ESRIジャパン： Disc1　全国基盤地図 ( 世界測地系 )


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◆基本的な GIS データ一覧（１）１． GIS データの形式

１）ラスタ・データ（ 50mメッシュを基準とする、 10mメッシュも可）

２）ポイント、ライン、ポリゴン

２． GIS データ

１）土地利用

２）地形（標高、傾斜、傾斜方位など）

３）道路（幅員）

４）鉄道・鉄道駅

５）公共施設（保育所、小学校、中学校、高校、大学、病院、警察、郵便・・・）

６）文化財（寺院、神社）


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◆基本的な GIS データ一覧（２）３．官庁統計

１）人口・世帯（年齢階級別人口、単独高齢者、通勤・通学手段、・・・）

２）就業（事業所数、就業者総数、・・・）

４．ほか

１）活断層

２）地価

３）スーパーマーケット

４）バス停

５）用途地域

６）ハザード・マップ


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◆ アドレス・マッチング（１）住所データから、経緯度を特定する方法

1. 住所データベースを作成する1. 台帳

2. 電話帳（ｉタウンページ）賢早くん（ http://www.mjakk.jp/kensakun/ ）

2. アドレス・マッチング・システムの利用1. 東京大学空間情報科学研究センター（ CSIS ）

2. www.geocoding.jp 　（ AG2KML004b_jscriptsの利用）

3. ArcGIS で、経緯度をポイントデータに変換


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◆ アドレス・マッチング（２）保育所の一覧（住所を含む）保育所名運営定員所在地電話番号受入最低月齢延長一時休日ステー

主体保育保育保育ション京都市室町乳児保育所市営 60 163-1上京区新町通今出川上る元新在家町 441-1730 産休明け ○ ○ 　　京都市鶴山保育所市営 90 5- 6上京区寺町今出川上る五丁目鶴山町 231-6289 産休明け ○ 　　　　 ○北野保育園民営 150 103-60上京区五辻通七本松西入る上る老松町 462-6491 産休明け ○ ○ 　　 ○信愛保育園民営 150 747上京区丸太町日暮西入西院町 841-5761 産休明け ○ 　　 ○せいしん幼児園民営 235 207上京区裏門通中立売下る高台院竪町 415-1234 産休明け ○ 　　　　 ○西陣和楽園民営 90 247上京区下長者町七本松西入鳳端町 461-2060 産休明け ○ ○ ○京都市上京保育所民営 90 上京区大宮通鞍馬口下る東入新ン町 414-2351 産休明け ○　　 ○　心月保育園民営 60 703上京区相国寺北門前下之町 241-3321 8箇月　　　　わかば園民営 130 488上京区東三本木通丸太町上る上之町 256-2727 産休明け ○ ○中立保育園民営 90 493　上京区室町通中立売下る花立町 441-2512 産休明け　　　　　 ○

住所から経緯度（ｘ、ｙ）を特定する


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３．プロセス・モデルの作成1. 対象地域を限定する（立地可能な地域を特定）。 ※省略可能

2. 特定した３つの要素を地図で表現する。3. 各要素ごとに、当該の値を以下の 3 段階の基準で

評価する。1.「望ましくない」

2.「普通」

3.「望ましい」

4. 再分類を用いて、各要因ごとの地図作成する。5. 総合評価マップの作成


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◆ プロセス・モデルの作成のための空間分析再分類（抽出）　～そこはどうなっているか～

必要な情報だけを引き出す

3 段階の評価を行う（３つの要因ごと、総合評価）

近傍統計　～そこの周りには何があるか～近隣にあるものの量を調べる

距離　～そこは空間的にどのような関係にあるか～注目している対象からの距離を測る


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◆ 立地可能な地域：再分類（①抽出） ※省略可能必要な情報だけを取り出す。（例）保育所の立地できる場所は、森林、水部以外である。　土地利用図の、森林 (1) 、水部 (9) を NoData　（ NO ）、

それ以外を 1 （ YES ）とする。


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◆ 保育所の立地できる地域を（１） ※省略可能


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◆ 要素１【児童数】：近傍統計（例）周辺にそのぐらい児童がいるのだろうか？　近隣半径500ｍ以内にある 0-4 歳人口の合計を求

める。


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◆　要素２【駅からの距離】：距離計測　　　その場所は最も近い対象物（駅・コンビニ・

郵便局など）からどのくらい離れているのだろうか？

（例）駅から近いところはどこだろう？


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◆ 要素３【保育所数】：近傍統計（例）周辺に保育所はどのぐらいあるのだろうか？　近隣半径500ｍ以内に保育所の数を求める。


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◆各要素ごとに、以下の 3段階の基準で評価する。

データは客観的だが、あなたは主観的である

評価とは、データに基づいて、自分や目的にとって、「望ましい」「好ましくないか」を判断することである。

ここでは、データを「再分類」して、地域を３段階評価する。

　　　（緑色）「望ましい」　　　（黄色）「ふつう」または「標準的」　　　（赤色）「望ましくない」


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◆各要素ごとの評価マップを作成する。　　児童数　　　　　　駅からの距離　　　　　　保育所数

（緑色）望ましい、（黄色）　普通、（赤色）望ましくない


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◆ 評価基準の問題マスクをかける

評価対象地域の特定

　3 段階評価の区切りの決め方絶対的な意味

面積等分

平均・標準偏差

複数の要因の重み付けの最終評価マップ3 段階の面積等分


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◆ 要素１【児童数】の評価マップ：再分類

近傍の児童数に基づいて評価する：（最大値、最小値、平均、標準偏差）

　｢望ましい｣： 205 人以上

　｢普通｣： 15 人以上　 205 人未満　　｢望ましくない｣： 15 人未満


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◆ 要素２【駅からの距離】の評価マップ：再分類交通利便性を駅からの距離に基づいて評価する：（最大値、最小値、平均、標準偏差）

　｢望ましい｣： 0m　–　1000m歩いて通える

　｢普通｣： 1000m　–　2000m　自転車で通える　　｢望ましくない｣： 2000m 以上バスなどが必要

○ GIS の世界では、一定の距離に基づいて区分した領域のことをバッファーという


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◆ 要素３【保育所数】の評価マップ：再分類周囲の保育所から評価する：（最大値、最小値、平均、標準偏差）

半径 500ｍ（徒歩8分）内に、保育所がどの程度あるのか

　（最大値、最小値、平均、標準偏差）

　｢望ましい｣：　　　 0所周りに保育所がない　｢普通｣：　　　　　 1-2 所　周りに一定数保育所が

ある　｢望ましくない｣： 3- 所　周りに保育所が多数ある


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◆総合評価マップの作成

　児童数　　　　　　　　　　駅からの距離　　　　　保育所数評価

それではどこに保育所を立地すれば良いのか？


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◆ 3 つの要素を総合評価する：オーバーレイ

児童数＋駅からの距離＋保育所数　　　　　　　 = 　　　　総合評価


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◆　評価マップを Google Earth でみる作成した評価マップで特徴的な地域（望ましい地域、あるいは望ましくない地域）が具体的にどこなのかを、評価マップを Google　Earthに持っていく。

1. 評価マップのラスタ地図を、 ArcGIS の「 Map→KML 形式」で変換する。

2. 作成された KMZ 形式のファイルで Google　Earth を立ち上げる。


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◆もう少し高度な総合評価（加重合計）

　　１　 ×　[ 児童数 ]＋２　 × [駅からの距離 ]

　　＋１　 × [保育所数 ]　　　　＝総合評価（加重合計）

個人の好みを反映させた総合評価：

「駅に近いところが重要である」

この係数は各条件の重要度を示す重み


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◆重み付けした総合評価マップ

児童数＋駅からの距離（ 2倍）＋保育所数　　　　 = 　　　　総合評価


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４．チーム分け

1. １チームは、 3-5名としています。

2. できれば同一の自治体からのメンバー構成は避けています。

3. １チームに、最低 1 人 GIS （ ArcGIS ）を使えるメンバーを配置しています。

4. プレゼンテーションを含め、チームの中での作業を分担する。

　　　※なお、 GIS を使えるメンバーがいない場合は、 TA がそれをカバーできる体制としています。


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５－１．評価マップの作成各チームごとに、

1.評価する対象（ミッション）を決める。

2.プロセス・モデルとして、最低３つの要素を考える。

3.3 つの要素に対応する GIS データを考える。

4.3 つの要素ごとに評価基準を考える。

5.GISソフトを用いて、 3 つの要素それぞれの評価マップを作成する。

6.3 つの評価マップを重ね合わせて、総合評価マップを作成する。

　　　※なお、チームごとにメンバーで役割を分担考える。


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５－２．評価マップの改良（※ 1日半のオプション）各チームごとに、作成した評価マップに関して、

1.評価基準の見直し

2.重み付け総合評価マップ

3.Google Erath などによる、グランド・トゥルース

4.新たなに取り入れるべき GIS データの可能性

　　　


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６．プレゼンテーション（ PowerPoint ファイルの作成）各チームで、プレゼン用の以下のスライドを作成す

る。

1. タイトル、メンバー2. 目的3. プロセス・モデル（各要素ごとに「望ましい」「望ましく

ない」のコンセプト）4. 要素の評価マップ（評価基準）

※各要素で 1枚

5. 総合評価マップ（コメント）　※　Google　Earth の画面キャプチャなども活用する。

6. 意見・感想


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◆ チームごとのプレゼンテーション

1. 作成したプレゼンテーション PPT を用いて、１チーム 5 分で発表する。

2. 各チームの発表後、質問・コメントの時間を取る（ 2 分）。

１鈴 : 予鈴（発表終了 1 分前）

２鈴 : 発表終了

３鈴 : 質問・コメント

3. 発表の全体の講評を行う。

どのチームが良かったかを参加者全員で投票（自分のチーム以外に投票）など

で決め、優秀チームに対して表彰などをしてもよい。

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