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はじめに技術が進歩するにつれて、電子製品に求められる製造技術が高度化しています。電子製品でもっとも利用されている導電体は、高純度銅です。高密度配線(HDI)プリント回路基板、バンプ接続で使用されるフリップチップ、ウェハー部材といった部品は、高純度の硫酸銅を使用して製造されます。銅の陽イオンを硫酸銅から所定の表面に結合する際は、電気めっきが利用されます。この電気めっき技術を用いた結果として、鉄、カルシウム、クロムといった、硫酸銅中に存在する他のすべての陽イオンも表面にめっきされるため、銅内に不純物が生じ、導電効率が低下します。したがって、求められる高品質を維持するため、硫酸銅を使用する前に、含有される不純物を定量化する必要があります。誘導結合プラズマ発光分析装置(ICP-OES)は、正確かつ高スループットの多元素分析が可能でありながら、最低限の試料調製で済むため、硫酸銅中の不純物の分析技術として最適です。この分析では、iCAP 7400 ICP-OES Duoを使用しました。この装置は、必要な装置パラメーターの制御能力および分析速度を備えていると同時に、軸方向プラズマ測光により微量分析に求められる高感度が得られるため、もっともコスト効率の高いソリューションです。
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iCAP 7400 Duo ICP発光分光分析装置による電子グレード硫酸銅中の不純物元素分析
サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社Joy Allied Technology Inc.(台湾)
試料と標準溶液の調製電子グレードの固体の硫酸銅(CuSO4)試料を、脱イオン(DI)水(抵抗率>18 M Ω /cm)に溶解しました。5 gの固体試料を50 mL
のDI水に溶解し、最終的に250 mLに定容し、測定しました。また、濃度が0、20、50、および100 µg/L(ppb)で、マトリックスが試料に一致する(2 % CuSO4)多元素の検量線溶液を用意しました。
分析メソッドThermo Scientific Qtegra™ Intelligent Scientific Data
Solutionを使用して、対象元素を分析するためのLabbookを作成しました。元素および選択した分析波長を表1に、測定パラメーターや試料導入系を表2に示します。作成した標準溶液(0、20、50、および100 µg/L)を使用して、検量線を作成しました。
キーワード電子グレード硫酸銅、CuSO4、原材料評価
目的このアプリケーションノートでは、複雑なマトリックスを持つ電子グレードの硫酸銅の分析において、Thermo Scientific™ iCAP™ 7400 ICP-OES Duoが優れた性能および高い光学的分解能を持つことを実証します。
元素 波長(nm) MDL(µg/L)Ag 328.068 1.0
As 189.042 2.3
Ca 393.366 0.04
Cd 226.502 0.15
Co 228.616 0.33
Cr 267.716 0.47
Fe 259.940 0.82
In 230.606 4.2
K 766.490 0.44
表2:測定パラメーター
パラメーター 設定ネブライザー ガラス Kタイプ同軸型スプレーチャンバー ガラス サイクロン型センターチューブ 2 mm
高周波出力 1150 W
測光方向 軸方向ネブライザーガス流量 0.45 L/min
補助ガス流量 0.5 L/min
積分時間低波長 20秒高波長 5秒
ぺリスタルティックポンプ速度 50 rpm
繰り返し数 3
表3:4試料の分析結果および50µg/L添加試料の添加回収率
元素 濃度単位 346 50X 346 50X +50 µg/L
添加回収率(%)
348 50X 348 50X +50 µg/L
添加回収率(%)
484 50X 484 50X +50 µg/L
添加回収率(%)
486 50X 486 50X +50 µg/L
添加回収率(%)
Ag µg/L ND 48.26 96.52 ND 49.30 98.60 ND 48.95 97.90 ND 48.66 97.32
As µg/L ND 50.51 101.03 ND 50.24 100.48 ND 51.77 103.54 ND 52.08 104.16
Ca µg/L 0.62 50.96 100.69 1.16 51.47 100.62 0.56 52.04 102.96 1.77 52.31 101.07
Cd µg/L ND 49.08 98.16 ND 49.09 98.18 ND 50.38 100.76 ND 49.97 99.94
Co µg/L ND 50.31 100.62 ND 50.38 100.76 ND 51.73 103.46 ND 51.20 102.40
Cr µg/L 0.49 49.56 98.14 ND 49.55 99.10 ND 50.65 101.30 0.46 50.94 100.96
Fe µg/L 8.38 57.57 98.38 9.38 58.01 97.25 7.35 57.58 100.47 12.63 62.57 99.88
In µg/L ND 47.21 94.42 ND 47.70 95.40 ND 48.19 96.38 ND 48.32 96.64
K µg/L ND 49.19 94.38 ND 46.24 92.48 ND 47.33 94.66 ND 46.70 93.40
Mg µg/L 0.18 49.73 99.09 0.25 49.43 98.37 0.20 50.57 100.74 0.36 50.35 99.98
Mn µg/L ND 49.00 98.00 ND 48.88 97.76 ND 49.91 99.82 ND 49.74 99.48
Na µg/L 0.82 51.71 101.77 1.13 50.33 98.41 1.62 51.83 100.42 1.09 50.94 99.69
Ni µg/L ND 50.53 101.06 ND 50.79 101.58 ND 51.98 103.96 ND 51.74 103.48
Pb µg/L ND 47.27 94.54 ND 46.05 92.10 ND 50.72 101.44 ND 47.65 95.30
Sn µg/L ND 48.16 96.32 ND 48.33 96.66 ND 49.80 99.60 ND 49.45 98.90
Ti µg/L ND 48.83 97.66 ND 48.65 97.30 ND 49.78 99.56 ND 49.89 99.78
Tl µg/L ND 46.18 92.36 ND 46.18 92.36 ND 47.05 94.10 ND 46.78 93.56
Zn µg/L ND 49.71 99.42 ND 51.25 102.50 ND 51.13 102.26 ND 50.30 100.60
元素 波長(nm) MDL(µg/L)Mg 279.553 0.03
Mn 257.610 0.17
Na 589.592 0.20
Ni 231.604 0.39
Pb 168.215 4.1
Sn 189.989 0.67
Ti 336.121 0.16
Tl 190.856 2.2
Zn 206.200 0.23
表1:測定元素、波長および得られたメソッド検出限界(MDL)2
分析結果マトリックスをマッチングさせたブランクを10回繰り返し測定した結果の標準偏差(SD)を3倍して、メソッド検出限界(MDL)を算出しました。算出した検出限界を表1に示します。マトリックスに標準溶液を添加した試料を分析して、分析メソッドの適合性を検証しました。電子グレードの4種の硫酸銅試料に、すべてのターゲット元素を50 µg/L添加しました。添加した試料と添加していない試料の両方を分析し、測定濃度を比較しました。この分析の結果と添加回収率を表3に示します。すべての試料について、全元素の添加回収率が92 %~105 %の間に収まっています。メソッドおよび機器の安定性を実証するために、電子グレードの硫酸銅試料に、すべてのターゲット元素を50 µg/L添加したのち、60分間にわたって繰り返し分析しました。その結果を図1に示します。また、平均値、標準偏差(SD)、および相対標準偏差(RSD)を表4に示します。鉛が4 %未満となった以外、他のすべての元素の相対標準偏差が2 %未満となりました。
まとめ安定性試験において得られた相対標準偏差が小さいことと、試料の添加回収率(%)から考慮すると、iCAP 7400 ICP-OES Duo
によって、正確で精度の高い分析結果が得られることが分かります。また、iCAP 7400 ICP-OES Duoはメソッド検出限界が優れているため、電子工場、半導体工場、貴金属技術の拠点、およびその他の電子グレードの原料の試験で求められる、電子グレードの硫酸銅の分析を簡単に実施できることも示されました。
表4: 50µg/L添加試料の分析結果
元素 平均値(µg/L) SD(µg/L) RSD(%)Ag 49.95 0.69 1.38
As 52.15 0.57 1.09
Ca 52.90 0.56 1.07
Cd 50.21 0.24 0.47
Co 53.35 0.34 0.63
Cr 51.71 0.49 0.94
Fe 62.50 0.55 0.88
In 53.47 1.02 1.90
K 48.16 0.86 1.79
Mg 51.76 0.47 0.91
Mn 50.94 0.43 0.84
Na 51.99 1.00 1.92
Ni 52.72 0.31 0.59
Pb 50.69 1.58 3.13
Sn 53.13 0.33 0.62
Ti 50.97 0.47 0.92
Tl 48.63 0.69 1.43
Zn 51.37 0.25 0.48
図1:添加試料の安定性試験結果
3
装置寸法・重量● ICP装置本体 832 mm(W)×744 mm(D)×589 mm(H)、85.5 kg● 冷却水循環装置 361 mm(W)×627 mm(D)×696 mm(H)、57.2 kg
電源● 本体用 200 V 単相、50/60 Hz、30 A● 冷却水循環装置 200 V 単相、50/60 Hz、7 A● データシステム 100 V、50/60 Hz、10 A
設置環境● 室温 15~35 ℃±2 ℃/時● 湿度 20~80 %RH(15~30 ℃)結露しないこと
設置スペースの例
導入に必要なユーティリティーiCAP 7000 シリーズ ICP-OES
ガス供給● アルゴン 0.6 MPa(6.2 kg/cm2) 純度>99.998 % 最大20 L/分(通常運転時は17 L/分) (パージ用に窒素ガスを使用する際にはご相談ください)
排気設備● 排気風量 10 m/s(Duo)、5 m/s(Radial)● ダクト口径 125 mm(耐熱・耐酸性のもの。調節ダンパをご用意ください)
データシステム用デスク0)(オプション)08:H 057D: 0051:W(台架置設
アルゴンガス供給口
装置電源単相 200 V 30 A
冷却水循環装置
冷却水電源単相 200 V 7 A
PC本体TFTモニタプリンタ
データシステム電源アクセサリー電源
100 V
約 2500 mm
ASX-260
オートサンプラー(オプション)
Ap
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E1403
TEL 0120-753-670 FAX 0120-753 -671
〒221-0022 横浜市神奈川区守屋町3 -9
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