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北海道診療情報管理研究会 1 1 ICD第1巻「コーディングのためのガイドライン」 ー 主傷病名の選択ルールを学ぶ ー NPO法人北海道診療情報研究会 平成28年度生涯教育セミナー 【分類法概論】 Hokkaido society of Health Information Management July.23,2017 1.分類学とICD 2.疾病統計の対象病態を選ぶ ・・・・・ 「コーディングルールおよびガイドライン」 3.症例から学ぶガイドライン 本日の内容 2 Hokkaido society of Health Information Management July.23,2017

ICD第1巻「コーディングのためのガイドライン」hokkaido-him.jp/members/wp-content/uploads/2015/08/2c7ae395d5… · 4.4.1 「主要病態」 および 「その他の病態」のコーディング

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北海道診療情報管理研究会 1

1

ICD第1巻「コーディングのためのガイドライン」

ー 主傷病名の選択ルールを学ぶ ー

NPO法人北海道診療情報研究会 平成28年度生涯教育セミナー

【分類法概論】

Hokkaido society of Health Information Management July.23,2017

1.分類学とICD 2.疾病統計の対象病態を選ぶ ・・・・・

「コーディングのルールおよびガイドライン」 3.症例から学ぶガイドライン

本日の内容

2 Hokkaido society of Health Information Management July.23,2017

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北海道診療情報管理研究会 2

1.分類学 と ICD

3 Hokkaido society of Health Information Management July.23,2017

コーディングをはじめるにあたって

「分類」とは・・・・

診療情報管理Ⅳ 97頁 Hokkaido society of Health Information

Management July 23,2017 4

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北海道診療情報管理研究会 3

コーディングをはじめるにあたって

「分類」とは・・・・

グルーピング:一定の法則にしたがって

同種類・類似集団に振り分けること

診療情報管理Ⅳ 97頁 Hokkaido society of Health Information

Management July 23,2017 5

科学としての博物学(自然科学)を

支える両輪とは

「採集」 と 「分類」である。

自然科学(博物学:Natural History)とは:

自然に存在するものについて、研究する学問

学問として

「分類学」の分野が確立

Hokkaido society of Health Information

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北海道診療情報管理研究会 4

・国際疾病分類法(ICD-10)

「疾病及び関連保健問題の国際統計分類:

International Classification of Diseases and

Related Health Problems」

・国際医療用語集・・・77万7千語

SNOMED→ ICD-O(Oncology)

(Systematized Nomenclature of Medicine-CT) ・五界説分類法:生物の分類体系

・細菌分類法

・微生物分類法

・図書分類法

国際十進分類法、デューイ分類法、日本十進分類法

コーディングをはじめるにあたって

医療機関が作成する「診療記録」は、

疾病や医療行為に関連する情報が集積

されている。

診療情報管理Ⅳ 97頁 Hokkaido society of Health Information

Management July 23,2017 8

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北海道診療情報管理研究会 5

コーディングをはじめるにあたって

医療機関が作成する「診療記録」は、

疾病や医療行為に関連する情報が集積

Hokkaido society of Health Information

Management July.23,2017

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【活用の範囲】

情報の活用

情報のコード化

患 者

医療の

質の評価

医師 ・ 医療従事者

安全管理

公衆衛生 病院

経営・管理

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通称:国際疾病分類 「疾病、傷害および死因統計分類提要」

ICD : International Statistical Classification of Diseases

(ICDー9までの名称)

「疾病及び関連保健問題の国際統計分類: International

Classification of Diseases and Related Health Problems」とは、

異なる国や地域から、異なる時点で集計された、死亡や疾病の

データの体系的な記録、分析、解釈及び比較を行うため、

世界保健機構(WHO)が作成した分類である。

Hokkaido society of Health Information Management July.23,2017

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北海道診療情報管理研究会 6

【第1巻総論 目次】 1.ICD-10導入の経緯

2.疾病および関連保健問題の国際統計分類の解説

3.ICDの使用方法

4.疾病(および死因)コーディングについてのルールおよびガイドライン

5.統計的表章

6.ICDの歴史的沿革

7.日本における死亡診断書等の様式

8.ICD-10 3桁分類および

勧告された特定製表用リスト

9.日本で使用する分類表

10.付録

12

それぞれの既知の病態に対して、別々の病名を持たなければならない

という 用語集と統計分類との違い は

統計分類はグループ化するという要素を有している点である。

それにも拘わらず用語集がしばしば体系的に作られているので、

分類と用語集との概念緊密に関連している。・・・・・中間略・・・・・ 疾病統計分類は特定の疾病を分類することと、より幅広いグループに

対するデータの統計的表章を行うこととの両者の能力を持って

いなければならない。 【ICD第1巻34頁「2.3 疾病分類の一般原則」】

疾病を分類・・・・検索

統計的表章・・・・統計 診療情報管理

コーディング

Hokkaido society of Health Information Management July.23,2017

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北海道診療情報管理研究会 7

13 Hokkaido society of Health Information

Management July 23,2017

2.疾病統計とデータの精度

「コーディングのルール

およびガイドライン」

14 Hokkaido society of Health Information Management July.23,2017

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北海道診療情報管理研究会 8

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3.3 基本的コーディング・ガイドライン

・索引表は第2巻には含まれていない多くの用語を含んでおり、

コーディングする場合は、コードを付ける前に索引表および

内容例示表の両方を参照しなければならない。

・コードしようとする前に、コーダーは、

分類およびコーディングの基本原理を勉強する必要があり、

実地訓練を受ける必要がある。

【ICD第1巻48頁「3.3 基本的コーディングガイドライン」 】

Hokkaido society of Health Information Management July.23,2017

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4.4.2 主要病態およびその他の病態の

コーディングのためのガイドライン

Hokkaido society of Health Information Management July.23,2017

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北海道診療情報管理研究会 9

17

可能であるならばいつでも、明らかに不十分であるか不正確に記録

された主要病態を含む記録は、発生源に戻し明確にするべきである。

明確にできなかった場合は、

MB1からMB5のルール(4.4.3節)が、コーダーにとって、不正確な

記録の一般的原因を取り扱う場合に役立つだろう。

下記のガイドラインは、コーダーがどのコードを使うべきか明確に

わからない場合に使用する。

【ICD第1巻48頁「3.3 基本的コーディングガイドライン」 】

診療録の診断名が不十分あるいは不正確な場合は?

Hokkaido society of Health Information Management July.23,2017

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基本的には

発生源に戻して確認する。

Hokkaido society of Health Information Management July.23,2017

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北海道診療情報管理研究会 10

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コーダーが、どのコードを使うべきか

明確にわからない場合に、

適用する。

ガイドライン(ルール)を

Hokkaido society of Health Information Management July.23,2017

疾病データは、保健医療政策の策定、管理、監視および

評価にますます使用されるようになってきており、

疫学、リスク人口の把握、臨床研究などにも使用される

ようになってきている。

単一病因分析のために使用される病態は、保健ケアの

エピソードの間に治療または検査された主要病態である。

【 ICD-10第1巻125頁 4.4 疾病統計】

4.4 疾病統計

疾病統計 入院期間中に

Hokkaido society of Health Information Management July.23,2017

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北海道診療情報管理研究会 11

単一病因分析のために使用される病態は、保健ケアの

エピソードの間に治療または検査された主要病態である。

【主要病態の定義】 主要病態とは、

主として、患者の治療または検査に対する必要性にもとづく、

保健ケアーのエピソードの最後に診断された病態であると

定義される。

【ICD-10第1巻125頁 4.4 疾病統計】

4.4 疾病統計

21

Hokkaido society of Health Information Management July.23,2017

主要病態とは、

主として、患者の治療または検査に対する必要性にもとづく、保健ケアーの

エピソードの最後に診断された病態であると定義される。

もしそのような病態が複数ある場合には、最も医療資源が使われた病態を

選択すべきである。

もし診断がなされなかった場合は、主要症状または異常な所見、もしくは

問題を主要病態として選択すべきである。

【引用:ICD-10第1巻125頁 4.4 疾病統計】

4.4 疾病統計

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3.症例から学ぶガイドライン

23 Hokkaido society of Health Information Management July.23,2017

4.4.1 「主要病態」 および 「その他の病態」のコーディング

のためのガイドライン (ICD-10,Vol.1総論127頁~134頁)

1.剣印(†)と星印(*)システムで使用される病態のコーディング

2.疑わしい病態 ・症状および異常所見並びに病気ではない状態

3.多発病態のコーディング

4.疾病の外因のコーディング : 「第20章 傷病及び死亡の外因」 5.急性および慢性の病態のコーディング 6.処置後病態および合併症のコーディング

24 Hokkaido society of Health Information Management July.23,2017

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北海道診療情報管理研究会 13

1.統計用主傷病名には

ダブルコーディングの剣印(†)を適用する。

基礎疾患剣印( † )と症状発現星印(*)の取り扱いは、

標準化を進める上で統計上の基本にも関わる点として

規定されている。

基礎疾患剣印(†)を統計表章用第一次コードとして選択し、

これに基づく統計を標準統計とする。

他の表章方法が必要な場合には、「追加して」使用する

ための「星印」を使用する。

(ICD-10,Vol.1総論41頁)

1.ダブルコーディングの剣印(†)と星印(*)

25 Hokkaido society of Health Information Management July.23,2017

1.ダブルコーディングの剣印(†)と星印(*)

【例1】 診断名 : 麻疹肺炎 主傷病名 : 肺炎を合併する麻疹 (B05.2 †) 追加コ-ド : ウィルス性疾患における肺炎 (J17.1 *)

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Hokkaido society of Health Information Management July.23,2017

統計表章用

第一次コード

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北海道診療情報管理研究会 14

2.疑わしい病態 ・症状

および異常所見並びに病気ではない状態

主要病態が疑診であった場合:

疑い病名の他に診療録内にそれ以上の記載が無く、

明確にできない場合。

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Hokkaido society of Health Information Management July.23,2017

2.疑わしい病態 ・症状および異常所見並びに病気ではない状態

主要病態が疑診であった場合:

疑い病名の他に診療録内にそれ以上の記載が無く、

明確にできない場合。

① 疑診を確診としてコーディングする。

②Z03は検査後、除外することが出来る疑診に適用する。

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Hokkaido society of Health Information Management July.23,2017

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2.疑わしい病態 ・症状および異常所見並びに病気ではない状態

①疑診を確診としてコーディングする。

【例1】主傷病名: 急性胆嚢炎疑い

(診療録には他に情報無し)

<選択すべき主傷病名> 急性胆嚢炎 K81.0

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30 Hokkaido society of Health Information Management July.23,2017

【症例2-1】

一週間前から右鼻出血あり、他院で治療するも止血されず、挿入して

いたガーゼの圧迫による頭痛症状もあり症状改善されず、数件病院を

受診され当院に受診。鼻腔粘膜焼灼したが、瘡蓋取れると再出血の

リスクあり、経過観察のため即入となる。止血処置後は微量な出血ある

も症状落着き、頭痛も自制内で過ごせるまで改善したため、入院4日目

退院となる。

①疑診を確診としてコーディングする。

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北海道診療情報管理研究会 16

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Hokkaido society of Health Information Management July.23,2017

回答【症例2-1】 コード

主要病態

①疑診を確診としてコーディングする。

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Hokkaido society of Health Information Management July.23,2017

回答【症例2-1】 コード

主要病態

①疑診を確診としてコーディングする。

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北海道診療情報管理研究会 17

2.疑わしい病態 ・症状および異常所見並びに病気ではない状態

② Z03は検査後除外することが出来る疑診に適用する。

【例2】 主傷病名: 子宮頚部癌の疑い。検査目的で入院。

検査結果後、子宮頚部癌は否定された。

<選択すべき主傷病名>

癌の疑いに対する観察 Z03.1

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Hokkaido society of Health Information Management July.23,2017

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Hokkaido society of Health Information Management July.23,2017

回答【例2-2】 コード

主要病態

①疑診を確診としてコーディングする。

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北海道診療情報管理研究会 18

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回答【例2-2】 コード

主要病態

①疑診を確診としてコーディングする。

3.多発病態のコーディング

・主要病態が 「多発病態」 として記載され、

そのうち特定の単一病態が、

主要病態(医療資源を最も多く使用した)とは

判断できない場合

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Hokkaido society of Health Information Management July.23,2017

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北海道診療情報管理研究会 19

3.多発病態のコーディング

・主要病態が 「多発病態」 として記載され、

そのうち特定の単一病態が

主要病態(医療資源を最も多く使用した)とは

判断できない場合

・「多発病態…」を優先コードとして分類する。 ・単一病態は任意的に追加コードとして付加することに よって検索キーとして有効である。

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Hokkaido society of Health Information Management July.23,2017

3.多発病態のコーディング

【例1】主傷病名: 右尺骨骨折、右両果部骨折、多発性肋骨骨折 その他の病態 : 全身打撲 <選択すべき主傷病名> その他複合部位の骨折 T02.8 副傷病名として下記を追加する : 右尺骨骨折 S52.2 右両果部骨折 S82.8 多発性肋 骨骨折 S22.4

・「多発病態…」を優先コードとして分類する。 ・単一病態は任意的に追加コードとして付加することによって検索キーとして有効である。

38 Hokkaido society of Health Information Management July.23,2017

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北海道診療情報管理研究会 20

39 Hokkaido society of Health Information Management July.23,2017

【症例3】

2型糖尿病で定期通院中、便潜血反応陽性のため大腸内視鏡検査を

行ったところ回盲弁対側に腫瘍を認め、生検で腺癌と診断された。

精査加療目的で消化器内科入院し精査中に、膵尾部癌を認め、手術

目的で外科に転科した。結腸右半切除術施行し、病理診断結果では

上行結腸癌は中-高分化腺癌で漿膜下層まで浸潤し、StageⅡ。

膵尾部癌は上行中-高分化管状腺癌、リンパ節転移、StageⅢであった。

術後経過順調で、軽快退院した。

・「多発病態…」を優先コードとして分類する。 ・単一病態は任意的に追加コードとして付加することによって検索キーとして有効である。

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Hokkaido society of Health Information Management July.23,2017

回答【症例3】 コード

主要病態

副傷病名

形態コード

副傷病名

副傷病名

形態コード

副傷病名

・「多発病態…」を優先コードとして分類する。 ・単一病態は任意的に追加コードとして付加することによって検索キーとして有効である。

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北海道診療情報管理研究会 21

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Hokkaido society of Health Information Management July.23,2017

回答【症例3】 コード

主要病態

副傷病名

形態コード

副傷病名

副傷病名

形態コード

副傷病名

・「多発病態…」を優先コードとして分類する。 ・単一病態は任意的に追加コードとして付加することによって検索キーとして有効である。

4.疾病の外因のコーディング 「第20章 傷病及び死亡の外因」

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Hokkaido society of Health Information Management July.23,2017

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北海道診療情報管理研究会 22

・ 「主傷病名」 としてこの章(20章)のコードを適用しない。 任意追加コードとしてのみ使用する。 ※但し死亡統計では原死因の対象として選択できる。

4.疾病の外因のコーディング(第20章 )

・この第20章は病態の外因を特定する意図で作成されたものである。 第19章「損傷および中毒…」 に限らず、その他の章でも外因を 明示する必要に応じて任意追加コードとして使用することが出来る。

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Hokkaido society of Health Information Management July.23,2017

【例1】主傷病名 : 平坦でない歩道でつまづき、転倒して

大腿骨頸部骨折(閉鎖性)

選択すべき主傷病名 : 大腿骨頸部骨折 S72.00

任意追加コード : 街路でのスリップつまづき転倒 W01.49

4.疾病の外因のコーディング(第20章 )

「主傷病名」 としてこの章(20章)のコードを適用しない。

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Hokkaido society of Health Information Management July.23,2017

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北海道診療情報管理研究会 23

4.疾病の外因のコーディング「第20章 傷病及び死亡の外因」

【例2】 主傷病名 : 処方された抗ヒスタミン剤による複視

選択すべき主傷病名 : 複視 H53.2

任意追加コード:治療上の使用による有害作用を起こした

抗アレルギ-薬 Y43.0

その他の章でも外因を明示する必要に応じて、任意追加コードとして

使用することが出来る。

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Hokkaido society of Health Information Management July.23,2017

第20章 「発生場所コード」と「活動コード」

のコード適用範囲

コード適用範囲 付記桁 備 考

発生場所

コード

(vol.2,889頁) W00 ー Y34 4桁細分類

V01 ー V94

は独自の場所

コードを持つ

活動コード

(vol.2,892頁) V01 ー Y34 5桁細分類

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北海道診療情報管理研究会 24

47 Hokkaido society of Health Information Management July.23,2017

【症例4】

ラグビーの試合中に受傷。

他院で左足関節両果骨折と診断。

希望で当院受診され手術目的で入院となる。

CTで左脛骨遠位部で内側方向に骨折があり複数の骨片を認め、

内果にも骨折線(+)。左腓骨に後上方~前下方に斜走する

骨折線(+)を認めた。

下腿骨折観血的手術を施行。術後経過良好で退院となった。

4.疾病の外因のコーディング(第20章 )

「主傷病名」 としてこの章(20章)のコードを適用しない。

48

Hokkaido society of Health Information Management July.23,2017

回答【例4】 コード

主要病態

外 因

任意追加

任意追加

任意追加

任意追加

任意追加

4.疾病の外因のコーディング(第20章 )

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北海道診療情報管理研究会 25

49

Hokkaido society of Health Information Management July.23,2017

回答【例4】 コード

主要病態

外 因

任意追加

任意追加

任意追加

任意追加

任意追加

4.疾病の外因のコーディング(第20章 )

5.急性および慢性の病態のコーディング

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Hokkaido society of Health Information Management July.23,2017

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北海道診療情報管理研究会 26

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主要病態が急性(または亜急性)および慢性の両者であると記載され、

各々についてICDに複合の項目でない別々の分類項目および細分類項目

が用意してある場合は、急性病態に対する分類項目を優先的主要病態と

して使用しなければならない。

5.急性および慢性の病態のコーディング

Hokkaido society of Health Information Management July.23,2017

52

【例20】

主要病態:急性および慢性の胆嚢炎

その他の病態: -

<選択すべき主傷病名 >

主要病態 : 急性胆嚢炎(K81.0)

5.急性および慢性の病態のコーディング

Hokkaido society of Health Information Management July.23,2017

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北海道診療情報管理研究会 27

53

【例21】

主要病態 : 慢性閉塞性気管支炎の急性増悪

その他の病態 : -

<選択すべき主傷病名 >

主要病態 : 急性増悪を伴う慢性閉塞性肺疾患

(J44.1)

複合病態コードを付与する

5.急性および慢性の病態のコーディング

Hokkaido society of Health Information Management July.23,2017

54

Hokkaido society of Health Information Management July.23,2017

【症例5】

溶連菌感染症に罹患後、急性糸球体腎炎として入院治療後、外来

通院で経過を診ていたが、順調であったので通院を止めていた。

その後、時折下腿部にむくみを自覚していたが受診を怠っていた。

約1年経過後、全身倦怠と乏尿、下腿部に浮腫を自覚し、外来での

検査で、蛋白尿と顕微鏡的血尿が確認された。慢性糸球体腎炎の 急性増悪と診断され入院治療後、経過順調で軽快退院した。

5.急性および慢性の病態のコーディング

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北海道診療情報管理研究会 28

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5.急性および慢性の病態のコーディング

回答【症例5】 コード

主要病態

任意追加

別々の分類項目および細分類項目が用意してある場合は、

急性病態に対する分類項目を優先的主要病態として使用

しなければならない。

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5.急性および慢性の病態のコーディング

回答【症例5】 コード

主要病態

任意追加

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北海道診療情報管理研究会 29

6.処置後病態および合併症の

コーディング

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外科的処置およびその他の処置、たとえば手術創感染症、

挿入物の機械的合併症、ショック等に関連する合併症に対しては、

第XIX章(T80-T88)に分類事項が記載されている。

多くの身体系の章はまた特定の処置または手技の影響としてまた器官の

除去の結果として発生する病態(機能的合併症)に対する項目を含んで

いる。 ・・・・・・・・・処置との関連を分類するために、Y83-Y84からの

任意的追加コードを加えてもよい。

6.処置後病態および合併症のコーディング

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北海道診療情報管理研究会 30

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第3巻86頁

【注】-の処置合併症が・・・・・

(第一次索引項「合併症(81頁R欄)」を参照)

下記は、 T80-T88にコードする:

・医学的処置の早期の合併症

・機械的な合併症

下記は、 T適切な身体系の章にコードする:

・時間が経過して生じた合併症

・機能的な合併症

6.処置後病態および合併症のコーディング

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(1)体内挿入物による機械的合併症

(2)外科的合併症として術後感染症

(3)術創部縫合不全

(4)処置中の穿孔および裂傷

(5)適正に投与された薬物による副作用

(6)その他

6.処置後病態および合併症のコーディング

1.外科的及び内科的処置の合併症として

第19章「損傷、中毒およびその他の外因の影響:T80~T88」

に分類すべき疾病は下記のとおり。

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北海道診療情報管理研究会 31

(1)体内挿入物による機械的合併症

(2)外科的合併症として術後感染症

(3)術創部縫合不全

(4)処置中の穿孔および裂傷

(5)適正に投与された薬物による副作用

(6)その他

1.外科的及び内科的処置の合併症として

第19章「損傷、中毒およびその他の外因の影響」 (T80~T88)

【(1)の例】 ・義眼による合併症 T85.3

・膝部人工関節置換術後感染症 T84.5

【(2)の例】

・腹腔内膿瘍(術後) T81.4

6.処置後病態および合併症のコーディング

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(1)消化器系の処置後障害

(2)内分泌性疾患の処置後障害

(3)妊娠中の処置の合併症

2.術後合併症で第19章以外の章に分類されるもの。

【(2)の例】

⑥甲状腺術後甲状腺機能低下症 E89.0

【(3)の例】

⑦妊娠時の麻酔による嚥下性肺炎 O29.0

6.処置後病態および合併症のコーディング

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北海道診療情報管理研究会 32

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患者の異常反応又は後発合併症を生じた外科的及びその他の医学的処置で,

処置時には事故の記載がないもの(Y83-Y84)

Y83 患者の異常反応又は後発合併症を生じた外科手術及びその他の外科的処置で、

処置時には事故の記載がないもの

Y83.0 器官全体の移植を伴う外科手術

Y83.1 人工体内器具の植込みを伴う外科手術

Y83.2 吻合,バイパス又は移植を伴う外科手術

Y83.3 外部ストマ形成を伴う外科手術

Y83.4 その他の再建手術

Y84 患者の異常反応又は後発合併症を生じたその他の医学的処置で,処置時には

事故の記載がないもの

Y84.0 心(臓)カテーテル法

Y84.1 腎透析

Y84.2 放射線医学的処置及び放射線治療

Y84.3 ショック療法

Y84.4 体液の吸引

Y83.5 (四)肢切断

Y83.6 その他の器官(一部)(全部)の除去

Y83.8 その他の外科的処置

Y83.9 外科的処置,詳細不明

Y84.5 胃又は十二指腸ゾンデの挿入

Y84.6 尿路カテーテル法

Y84.7 採血

Y84.8 その他の医学的処置

Y84.9 医学的処置,詳細不明

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(1)体内挿入物による機械的合併症

(2)外科的合併症として術後感染症

(3)術創部縫合不全

(4)処置中の穿孔および裂傷

(5)適正に投与された薬物による副作用

(6)その他

1.外科的及び内科的処置の合併症として

第19章「損傷、中毒およびその他の外因の影響」 (T80~T88)

【(3)の例】

・手術後創部離解 T81.3 【(4)の例】

・内視鏡による穿孔 T81.2

・血管処置中のカテーテルによる

穿孔 T81.2 【(5)の例】

・麻酔によるショック T88.2

6.処置後病態および合併症のコーディング

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北海道診療情報管理研究会 33

(1)消化器系の処置後障害

(2)内分泌性疾患の処置後障害

(3)妊娠中の処置の合併症

2.術後合併症で第19章以外の章に分類されるもの。

【(1)の例】 ①術後腸閉塞 K91.3 ②ダンピング症候群 K91.1 ③ERCP後急性膵炎 K91.8 ④胃空腸吻合部潰瘍 K28

⑤結腸術後吻合部狭窄 K91.8

6.処置後病態および合併症のコーディング

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66 Hokkaido society of Health Information Management July.23,2017

【症例1】

当院で横行結腸腺腫・下行結腸腺腫・直腸腺腫のEMR(内視鏡的結腸ポリープ・粘膜切除術)施行し、翌日退院。退院翌日より黒色便あり。

腹痛ないものの4日目に血便が見られ当院受診。大腸内視鏡検査を

実施した。下行結腸のクリップが全て脱落しており、周囲には血液が

貯留。直腸からも出血しており、クリップを追加して止血を確認し終了。

再出血なく退院となった。

6.処置後病態および合併症のコーディング

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北海道診療情報管理研究会 34

67 Hokkaido society of Health Information Management July.23,2017

回答【症例6】 コード

主要病態

任意追加

(外因)

6.処置後病態および合併症のコーディング

68 Hokkaido society of Health Information Management July.23,2017

回答【症例6】 コード

主要病態

任意追加

(外因)

6.処置後病態および合併症のコーディング