7 第2部 成尾整形外科病院 脊椎外科部長 村上 直也 先生 (問/ 096-371-1188) 腰部脊柱管 狭窄症 70 80 退50 こんな症状は要注意! □ 長く歩けない。少し休むと 回復して再び歩けるようになる □ 前かがみになるとラク □ トイレが近い □ 足の痛みやしびれがある 背部 内視鏡 除圧前(上)と除圧後(下) 脊柱管が圧迫されて いる状態 除圧後

主催/熊本リビング新聞社 - naruoseikei.comƒªビング医療セミナー村上... · 主催/熊本リビング新聞社 むくみ・しびれ・痛みの最新治療

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Page 1: 主催/熊本リビング新聞社 - naruoseikei.comƒªビング医療セミナー村上... · 主催/熊本リビング新聞社 むくみ・しびれ・痛みの最新治療

6月7日「リビング医療セミナー」 3人の専門家の講演をレポート

 6月7日、熊本リビング新聞社主催の「リビング医療セミナー」を熊本テルサにて開催しました。“むくみ・しびれ・痛みの最新治療”をテーマに「下肢静脈瘤」「腰部脊柱管狭窄症」「神経障害性疼痛」の専門家が講演。知って得する最新治療のお話を紹介します。

主催/熊本リビング新聞社

むくみ・しびれ・痛みの最新治療

下肢静脈瘤

第1部

熊本血管外科クリニック 院長

(診察予約/096-288-3851)宇藤 純一 先生

第3部

神経障害性疼痛

熊本託麻台リハビリテーション病院ペインクリニック外科部長

後藤 真一 先生(問/096-381-5111)

第2部

成尾整形外科病院 脊椎外科部長

村上 直也 先生(問/096-371-1188)

腰部脊柱管狭窄症  

足の血管がぼこぼこと

浮き出る「下肢静脈瘤」。

静脈の弁が壊れて血液が

逆流する〝弁不全〞によっ

て引き起こされます。夕

方になると足がむくむな

どの軽度のものから、皮

ここ数年で治療法が格段に進歩

痛みの少ない日帰り治療へ

膚炎や出血が起こる重度

のものまで症状はさまざ

ま。とくに女性や立ち仕

事をしている人に多くみ

られます。自然治癒する

ことはなく、少しずつ進

行するため早めの診察を

おすすめします。

 軽度であれば弾性スト

ッキングの着用でむくみ

を予防。重症の場合は手

術を行います。これまで

の日帰り手術として、弁

不全が起きた静脈を引き

抜く〝ストリッピング

術〞、不全静脈を焼く〝レ

ーザー治療〞がありまし

たが、さらに昨年9月か

らは「ラジオ波治療」が導

入されています。

 ラジオ波治療の一番の

特徴は、なんといっても

〝痛みが少ないこと〞。高

周波電流で120℃に熱

した金属カテーテルによ

り不全静脈を閉塞させま

す。小さな傷で済むこと

に加えて、術後の痛みが

激減しています。治療に

は保険が適応され、最近

ではラジオ波を中心とし

た血管内治療が多く行わ

れています。

 「手術が必要かどうか

の判断には、超音波によ

る正確な診断が大切で

す。一人で悩まずに、専

門医の診察を受けられる

ことをおすすめします」

と宇藤院長。時間をかけ

て診察と説明をするた

め、診察は予約制です。

電話で予約の上、来院く

ださい。

重症度に応じて

治療法は多様に

 辛い腰痛や足の痛みな

どを、「歳だから仕方な

い」と我慢していません

か。もしかしたら「腰部

脊柱管狭窄症」の可能性

が考えられます。

 原因は、腰にある細い

神経の束・馬尾神経や神

経根が圧迫されること。

症状として一番特徴的な

のは「間欠跛行(はこう)」

と呼ばれるものです。歩

いていると、痛みやしび

れで歩行が困難になるけ

れど、少し休むと回復し

て歩けるようになる症状

です。また「背筋を伸ば

した状態よりも、前かが

みのほうがラク」という

人も注意。身体を曲げる

ことで脊柱管が広がり、

痛みが緩和されているか

もしれないので、一度診

察を受けてみましょう。

 薬の内服や痛みが強い

場合はブロック注射、ま

たストレッチなどの理学

療法などで経過を観察し

ます。それでも改善が見

られない場合は、手術に

よって神経の圧迫を取り

除きます(除圧という)。

 現在同院では70〜80

%、内視鏡手術を行って

います(図1)。背部の片

側からわずか約2㎝の切

開で内視鏡や器具を挿入

し、除圧などを行います。

筋肉や組織が傷まず、出

血が少ないため、術後の

痛みが軽いというメリッ

トがあります。手術後は

翌日から歩行練習をし、

早くて1週間、遅くても

2〜3週間ほどで退院で

きます。

 「放っておくと改善が

難しくなるため、自己判

断せずに早めにご相談く

ださい」。

腰痛、足のしびれや痛み…。50代以上

なら「腰部脊柱管狭窄症」の疑いも!

保存的療法が基本

手術の選択も

 長引く痛み・しびれ・

ふるえ…。辛い症状に悩

まされている人も多いと

聞きます。完治しない理

由は、神経機能に問題が

あるのかもしれません。

 神経からくる痛みに

は、飲み薬の内服や「神

経ブロック」などが基本

的な治療法。改善せず「何

かほかの方法はないか」

という人には、「神経刺

激療法」という選択肢も。

 これは体内に細い電極

を置いて微弱の電流を流

し、痛みを和らげる治療

法です。〝さすると和ら

ぐ〞と同じ原理で、痛み

よりも先に刺激を伝える

ことによって、症状を緩

和することができます。

 中でも脊髄へ通電する

のを「脊髄刺激療法」とい

います。脊髄と脊椎の間

にあるスペース(硬膜外

腔)に動線と、腹部の皮

下に装置を埋め込み、定

期的に刺激を与えます。

 神経を通じた伝達に、

何らかの問題があること

で起こる手足のふるえや

こわばり。同院では「定

位脳手術」で対応できる

ケースがあります。

 脳のある1点に電極を

流すため、特殊な器具と

コンピューター、そして

熟練の技術・経験が必要

な手術です。手術中は刺

激による反応を確かめる

ため、局部麻酔で患者は

起きた状態。細かなとこ

ろまで微調整をしたのち

に、刺激をします。「例

えば『視床』を刺激するこ

とでふるえをピタッと止

められた、など大幅に改

善した例もあります」と

後藤先生。

 同院では神経障害によ

る症状に広く対応。まず

は一度受診を。

手足の痛み・しびれ・ふるえ・こわばり…

神経機能をコントロールして改善

下肢静脈瘤の重症度

1度:小さな静脈瘤(弁不全なし)2度:弁不全あり、うっ血所見は軽度3度:弁不全+足のうっ血(むくみ、重い、痛い、    だるい、つる、など)

4度:弁不全+皮膚の炎症(色素沈着、湿疹など)5度:弁不全+潰瘍・出血

ニューロモデュレーションは神経機能に起こる痛みやしびれ、ふるえなどの原因を総合的に検査して探り、電気刺激によって軽減する“神経の総合治療”です。神経による疼痛や腰痛などをはじめ、パーキンソン病などの難治性の病気に対する治療にも行われています

こんな症状は要注意!

□ 長く歩けない。少し休むと 回復して再び歩けるようになる□ 前かがみになるとラク□ トイレが近い□ 足の痛みやしびれがある

電極による

「神経刺激療法」

ふるえ・こわばり

に「定位脳手術」

【図1】内視鏡手術のイメージ

背部

内視鏡

除圧前(上)と除圧後(下)

脊柱管が圧迫されている状態

除圧後

一方向弁の働きで、血液は足から心臓へもどります

静脈の弁が壊れると血液は逆流し、静脈は拡張し静脈瘤となります

ピンポイントで症状を和らげる神経刺激療法

“ニューロモデュレーション”

●大脳皮質運動野刺激四肢や顔面の疼痛の治療に

●脳深部刺激パーキンソン病などの治療にも行われています

●脊髄刺激腰痛や疼痛の治療に

●末梢神経刺激腰痛や疼痛、顔面痛の治療に