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慈恵ICU勉強会 2020年08⽉18⽇臨床⼯学部 笛⽊ 瑞穂
指導医 齋藤 敬太
JAMA.2020;324(1):57-67.
Introduction
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Ø 急性低酸素⾎症性呼吸不全は、成⼈患者が集中治療室に⼊室する主要因の⼀つであり、これらの40%は気管挿管へ繋がる。
Ø ⾮侵襲的換気は気管挿管リスクを軽減すると推進されているが、 最も効果的なデバイスが何かは不明である。
Eur Respir Rev. 2018;27(147):180008.Lancet. 2009;374(9685):250–9.
JAMA. 2018;320(20):2083-2084.
今回初めて⾮侵襲的酸素化戦略に関するネットワークメタアナリシスが実施されたので報告する。
Introduction ‒ device ‒〜 NIV 〜 〜 HFNC 〜
〜 Standard oxygen therapy(SOT) 〜
3
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Ø 実施プロトコール (PROSPERO;CRD42019121755)に登録され公開されている。
Ø すべての研究データは以前に公開されており、この研究には個々の患者データが含まれていないため、研究倫理審査委員会の承認は必要なかった。
Method
《定義》・頻呼吸、呼吸作⽤の増加・⽚側性または両側性の胸部X線異常・低酸素⾎症または、6L/min以上の酸素必要量
➡新規発症(7⽇未満)
Method ‒ 対象 ‒
Ø 急性低酸素⾎症性呼吸不全を有する成⼈患者(18歳以上)
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Method ‒ 介⼊ ‒
Ø 標準的酸素療法(SOT)、HFNC、フェイスマスクによる⾮侵襲的換気(FM_NIV)、ヘルメットによる⾮侵襲的換気(H_NIV)を⽐較している。
Ø 2つのアウトカム(死亡率または挿管率)のうち、1つまたは両⽅を評価したRCT
Ø 無作為化⽐較試験
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Method ‒ ⽂献の検索条件 ‒
Ø ⾮侵襲的⼈⼯呼吸の有効性が確⽴されている試験は除外した。
ü 慢性閉塞性肺疾患の急性増悪ü うっ⾎性⼼不全の治療に焦点を当てた研究ü 抜管直後の⾮侵襲的酸素化戦略を評価した研究ü ⼤規模な⼼臓⾎管外科⼿術後の⾮侵襲的酸素化戦略を評価した研究
CMAJ. 2011;183(3):E195-E214. / Eur Respir J. 2017;50(2):1602426.
※急性呼吸不全の要因が明らかでない場合や急性期から慢性期への移⾏がある場合が多いことから⼀部の無作為化⽐較試験には含まれていることが予想される。
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Method ‒ ⽂献の検索過程 ‒
【期間】開始から2020年4⽉まで
【検索】MEDLINE / Embase / PubMed / Cochrane Central Register of Controlled Trials / CINAHL / Web of Science / LILACS
【検索ワード】Adult / Humans / Intubation / Intratracheal /Network Meta-Analysis / Respiratory Distress Syndrome, Adult / Respiratory Insufficiency
出版された論⽂のデータベース検索
※⾔語、出版年、性、⼈種には制限はなし。
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Method ‒ ⽂献の検索過程 ‒
・ClinicalTrials.gov,
・the World Health Organization International Clinical Trials Registry Platform(WHO ICTRP)
・the International Standard Randomized Controlled Trial Number Registry(ISRCTN)
臨床試験データベースの検索
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Method ‒ ⽂献の検索過程 ‒
Ø 検索戦略は、Peer Review of Electronic Search Strategies (PRESS) 2015ガイドラインに従って構成された。
Ø Cochrane Handbook for Systematic Reviews of Interventions Version 5.1.0, Section 6.4.11を使⽤し、 Ovid MEDLINE、Embase、PubMedをスクリーニングした。
Ø Scottish Intercollegiate Guidelines Network(SIGN)を使⽤し、CINAHL CompleteとWeb of Scienceをスクリーニングした。
Ø タイトルと抄録のスクリーニング段階で、関連性があると判断された論⽂は、全⽂レビューを実施した。
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Method ‒ バイアスの評価 ‒
Ø 2⼈の著者(B.L.F., F.A)が独⽴して個々の研究データを抽出し、the Cochrane Risk of Bias toolを⽤い、バイアスリスクについて評価した。
各⼀次研究の以下領域を評価ü ランダムシーケンスの⽣成ü 割り付けの隠蔽ü 研究参加者の盲検化ü 不完全なアウトカムデータü 選択的報告ü その他のバイアス
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Ø 意⾒の相違は第三者の著者(LM)とのコンセンサスまたは議論により解決された。
Method ‒ バイアスの評価 ‒
Øリスク⽐(RR)とリスク差を95%信頼区間(CI)とともに導出する為、ベイズ統計学を⽤いたネットワークメタアナリシスを実施した。
Øネットワークメタアナリシス推定値の確実性は、Grading ofRecommendations Assessment, Development and Evaluation(GRADE) Working Groupに基づいて推定された。
Ø⽭盾がある場合、2つの評価の確実性が低い⽅が、対応するネットワーク推定値に割り当てられた。
12
BMJ. 2014; 349:g5630.
Fig1 Approach for rating the quality of NMA estimates
Method ‒ 評価項⽬ ‒
【primary outcome】全死因死亡率(90⽇間)
【secondary outcome】挿管率(30⽇間)
【その他の評価項⽬】患者の快適性 / 呼吸困難スコア / 集中治療室滞在期間/ 病院⼊院期間 / 6ヵ⽉死亡率
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Method ‒ 統計解析 ‒
Øすべての解析には、Just Another Gibbs Sampler(JAGS)version 4.3.0とOpenBUGS R version 3.6が使⽤された。
Ø⼀連のpairwise conventionalメタアナリシスを変量効果モデルを⽤いて実施し、介⼊と研究アウトカムの間の直接的な関連を評価した。
Øベイズ変量効果モデルを⽤いたネットワークメタアナリシスが実施され、すべての介⼊を直接⽐較した治療推定値を導き出した。
Øペアワイズリスク⽐とネットワークリスク⽐(RR)が導出され、事後分布の中央値と対応する95%信頼区間(CI)の2.5%と97.5%から要約推定値が導出された。
Ø相対的な関連に加えて、ベイズ分析を⽤いて治療群間のリスク差および95%CIを算出した。
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Method ‒ 統計解析 ‒
Ø SOT群における全死因死亡率と挿管率の事前分布は、データと先⾏⽂献から導出された。
Øベイズフレームワークと各マルコフ連鎖モンテカルロサイクルにおいて、各治療法は推定された効果量に応じてランク付けされた。
Ø研究間の治療効果の不均⼀性は、事後分布τ2を⽤いて定量化された。
Ø直接⽐較と間接⽐較の間の⾮⼲渉性は、直接エビデンスと間接エビデンスの両⽅からの推定値を対⽐させるノード分割法を⽤いて推定された。
Øモデル収束は、Brooks-Gelman-Rubin診断、トレースプロット、⾃⼰相関プロットを⽤いて評価した。
Ø 適合度は、平均残差と寄与データ点の数を⽐較することで評価した。
Ø 統計的有意性は、値1.0を含まない95%のCIとして定義された。
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Method ‒ 感度分析 ‒
Ø 主要評価項⽬に対するプールされたRRの頑健性を評価するために、いくつかの感度解析を⾏った。
Ø 解析では、慢性閉塞性肺疾患の急性増悪、うっ⾎性⼼不全の患者を登録した研究、術後の患者を登録した研究、重症度の低い呼吸不全(P/F⽐>200)の患者を登録した研究は除外した。
Ø 死亡率の報告時期にばらつきがあったため、主要評価項⽬の解析は退院時の死亡率を報告した研究に限定した。
Ø 免疫不全患者50%以上(⾎液学的悪性腫瘍、化学療法が有効な固形腫瘍、免疫抑制剤による治療、固形臓器移植を受けている患者の50%以上)を含む研究に限定して解析を⾏った。
Ø 研究の質の影響を評価するために、バイアスリスクが最も低い研究に限定した分析を⾏った。
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Method ‒ 感度分析 ‒
Ø 所⾒の頑健性を評価するために、最近のエビデンスから得られた関連性と分布の尺度に基づいて、異質性については無情報事前分布、HFNCの治療効果については楽観的事前分布、FM_NIVについては懐疑的事前分布を⽤いて、主要分析を再構成した。
Ø 再構成した感度解析は、FM_NIVと⽐較して、HFNCの⽅が信頼性が⾼いと思われる臨床医のサブグループを考慮することを⽬的とした。
Ø post-hoc感度分析を⽤いて、⽭盾原因を検索した。
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Method ‒ まとめ ‒
Population 急性低酸素⾎症性呼吸不全18歳以上の成⼈患者
Intervention HFNC
Comparison H_NIVFM_NIVSOT
Outcomes [主要評価項⽬]30⽇間での全死因死亡率[副次評価項⽬]90⽇間での挿管率
18
Result ‒ study profile ‒
19Figure 1. Summary of Study Retrieval and Identification for Network Meta-analysis
20Figure 1. Summary of Study Retrieval and Identification for Network Meta-analysis
Result ‒ study profile ‒
45論⽂はフルテキストで適格性が評価された
4481論⽂を除外
4526論⽂をスクリーニング
721論⽂が重複していた
1論⽂が参照検索で識別され追加された
5246論⽂がデータベース検索で⾒つかった
25論分の無作為化⽐較試験が得られた(3804⼈)13 FM_NIV vs SOT(1521⼈)4 HFNC vs SOT(1279⼈)4 H_NIV vs SOT(377⼈)2 FM_NIV vs HFNC(234⼈)1 HFNC vs FM_NIV vs SOT(310⼈)1 H_NIV vs FM_NIV(83⼈)
21Figure 1. Summary of Study Retrieval and Identification for Network Meta-analysis
Result ‒ study profileつづき ‒
20論⽂が除外10 慢性閉塞性肺疾患、
⼼不全、胸部⼿術を受けた患者が50%以上を含む。
3 クロスオーバー研究2 無作為化⽐較試験ではなかった2 管理が不⼗分であった2 データが重複していた1 重要な結果が測定されなかった
Result ‒ 対象研究の主な特徴 ‒
22Table. Main Characteristics of Included Studies
Result ‒ 対象研究の主な特徴つづき ‒
23Table. Main Characteristics of Included Studies
[略語]ALI: 急性肺損傷, ARF: 急性呼吸不全, CAP: 市中肺炎, CHF: うっ⾎性⼼不全, COPD: 慢性閉塞性肺疾患, NA: 利⽤不可a 年齢は中央値として報告された。b 死亡または挿管された患者はなかった。(分析に利⽤可能なイベントはなかった)
Result ‒ 対象研究の主な特徴のまとめ ‒
Ø平均年齢:30〜75歳
Ø平均P/F⽐:200以下 56%
Ø免疫不全患者が含まれた 56%
Ø急性低酸素⾎症性呼吸不全の主な原因:市中肺炎 64%
Ø1研究(47名)では、どの治療群でも挿管することはなかった。
24
Chest. 2010;138(1):114-120.
FM_NIVは、死亡率の低下と有意に関連していた。25
eFigure 1. Initial pairwise meta-analysis for all comparisons ( Comparisons 1 )
Result ‒ FM_NIV vs SOT メタ解析(全死因死亡率) ‒
0.80[0.69, 0.93]
HFNCは、死亡率の低下に関連していなかった。26
eFigure 1. Initial pairwise meta-analysis for all comparisons ( Comparisons 2 )
0.93[0.64, 1.35]
Result ‒ HFNC vs SOT メタ解析(全死因死亡率) ‒
H_NIVは、死亡率の低下と有意に関連していた。27
eFigure 1. Initial pairwise meta-analysis for all comparisons ( Comparisons 3 )
0.22[0.09, 0.51]
Result ‒ H_NIV vs SOT メタ解析(全死因死亡率) ‒
Result ‒ HFNC vs FM_NIV メタ解析(全死因死亡率) ‒
HFNCはFM_NIVと⽐較して、死亡率の低下と有意に関連していた。 28
eFigure 1. Initial pairwise meta-analysis for all comparisons ( Comparisons 4 )
0.45[0.25, 0.80]
Result ‒ H_NIV vs FM_NIV メタ解析(全死因死亡率) ‒
H_NIVは、FM_NIVと⽐較して、死亡率の低下と有意に関連していた。
29eFigure 1. Initial pairwise meta-analysis for all comparisons ( Comparisons 5 )
0.60[0.37, 0.99]
Result ‒ 全死因死亡率との関連性まとめ ‒
SOTと⽐較したNIVは、死亡率の低下と有意に関連していた。
30Figure 3. Forest Plots for the Association of Noninvasive Oxygenation Strategies With Study Outcomes ( A:All-cause mortality )
Result ‒ 全死因死亡率 ネットワークプロット ‒
リスク減少に最適な順位:H_NIV > FM_NIV > HFNC > SOT31
Figure 2. Network Plots for the Association of Noninvasive Oxygenation Strategies With All-Cause Mortality and Intubation ( A:All-cause mortality )
Result ‒ 感度分析(全死因死亡率) ‒
H_NIVは全ての感度解析において、死亡率低下との関連が有意なままだった。
FM_NIVは有意ではなかった。32
eTable 6. Summary of sensitivity analysis for the association of all interventions (versus standard oxygen) with all-cause mortality
FM_NIVは、挿管率の低下と有意に関連していた。33
eFigure 1. Initial pairwise meta-analysis for all comparisons ( Comparisons 1 )
0.71[0.58, 0.85]
Result ‒ FM_NIV vs SOT メタ解析(挿管率) ‒
HFNCは、挿管率に有意差はなかった。34
eFigure 1. Initial pairwise meta-analysis for all comparisons ( Comparisons 2 )
0.87[075, 1.00]
Result ‒ HFNC vs SOT メタ解析(挿管率) ‒
Result ‒ H_NIV vs SOT メタ解析(挿管率) ‒
H_NIVは、挿管率に有意差はなかった。35
eFigure 1. Initial pairwise meta-analysis for all comparisons ( Comparisons 3 )
0.27[0.05, 1.30]
Result ‒ HFNC vs FM_NIV メタ解析(挿管率) ‒
HFNCとFM_NIVは、挿管率に有意差はなかった。36
eFigure 1. Initial pairwise meta-analysis for all comparisons ( Comparisons 4 )
0.79[0.61, 1.02]
Result ‒ H_NIV vs FM_NIV メタ解析(挿管率) ‒
H_NIVとFM_NIVは、挿管率の低下と有意に関連していた。37
eFigure 1. Initial pairwise meta-analysis for all comparisons ( Comparisons 5 )
0.30[0.15, 0.58]
Result ‒ 挿管率との関連性まとめ ‒
SOTと⽐較したNIV, HFNCは、挿管率の低下と有意に関連していた。
38Figure 3. Forest Plots for the Association of Noninvasive Oxygenation Strategies With Study Outcomes ( B:Intubation )
Result ‒ 挿管 ネットワークプロット ‒
リスク減少に最適な順位:H_NIV > FM_NIV > HFNC > SOT39
Figure 2. Network Plots for the Association of Noninvasive Oxygenation Strategies With All-Cause Mortality and Intubation ( B:Intubation )
Result ‒ 感度分析(挿管率) ‒
SOTと⽐較した場合、全ての⾮侵襲的換気療法は複数の感度解析において挿管率の低下と有意に関連していた。
40eTable 7. Summary of sensitivity analysis for the association of all interventions (versus standard oxygen) with endotracheal intubation
Result ‒ Secondary outcome ‒
Ø患者の快適性(28%)と呼吸困難スコア(16%)は、全てのネットワーク⽐較の情報が不⼗分であったため意味のある結果は得られなかった。
Ø6ヵ⽉死亡率は1件の研究でしか得られなかった。
Ø ICU滞在期間と病院⼊院期間では、有意差は認められなかった。
41eTable 5. Median length of stay by treatment group
Discussion
ØH_NIVの使⽤が、他の⽅法と⽐較して死亡率、挿管率の低下と有意に関連している。
―間接的なエビデンスを含まないことに加え、先⾏研究は無作為研究と観察研究の両⽅を含み、慢性閉塞性肺疾患の急性増悪患者を主な対象とした研究も含まれた。
Ø⾮侵襲的換気の2つのインターフェイス(フェイスマスクとヘルメット)は、⽣理学的及び臨床効果が異なる可能性がある別の治療的介⼊とみなすべきか、疑問が提起された。
―⽣理学的研究では、フェイスマスクと⽐較し、ヘルメットの⽅がリークを減少させることが⽰されている。
―リーク減少により、より⾼いPEEPを効果的に送気でき、潜在的に肺胞のリクルートを増加させ、呼気努⼒を減少させる可能性がある。
42
Discussion
Ø急性低酸素⾎症呼吸不全の患者は、ヘルメットに対する耐性が⾼く、治療中断を最⼩限に抑える可能性がある。
ØFM_NIVは、急性低酸素⾎症呼吸不全の患者に対して、有害と考える臨床医もいるため、懐疑的事前分布を⽤いた感度解析が実施された可能性があった。
―NIVは、挿管タイミングを遅らせる可能性があり、呼吸努⼒の多い患者の肺損傷を⻑引かせることと関連していることが考えられた。
Ø SOTと⽐較して、HFNCの使⽤は挿管リスクを低下させるが死亡率は低下しない。
Ø HFNCは、潜在的な有益性がまだ存在する可能性があり、死亡率の減少が⽰唆された。
43
急性低酸素⾎症呼吸不全に対してHFNCを使⽤した治療の追加RCTが必要である。
Limitations
44
ü ネットワークメタアナリシスの前提として、個々の試験では同様の集団が登録されており、介⼊プロトコルも異なる試験間で同様であることが挙げられる。
ü 解析では、特にHFNCとFM_NIVの⽐較で、最⼩限の⼀貫性しか⽰されていないが、これは1つの⼤規模試験の影響とCOPD、CHFの患者が含まれていたことで部分的に説明できる。
ü 主にCOPDの増悪、CHFの患者を対象とした試験は除外されたが、ネットワークメタ解析のいくつかの試験にはこれらの患者も含まれており、急性低酸素⾎症性呼吸不全患者に対する⾮侵襲的酸素化戦略の有益な効果を過⼤評価する可能性があった。
ü 全体的な所⾒、特に挿管に関しては、これらの試験を除外した感度解析で⼀貫した結果が得られた。
Limitations
45
ü ネットワークメタアナリシスを実施するための研究レベルの共変量が含まれておらず、どの患者レベルの特徴がこれらの個別の治療法に対する反応の可能性増加と関連しているか評価できなかった。
ü 呼吸不全の重症度に幅がある患者が含まれており(ベースラインのP/F⽐に基づく)、これが潜在的な不適応の原因となっている。― 介⼊の相対的効果は、⼀貫性を保つことができた。
Limitations
46
ü H_NIVが⾼い確率で1位にランクされたが、これらの知⾒は注意して評価すべきである。
ü ランク確率の使⽤は、臨床家にとっては直感的に思えるが、H_NIVとの⽐較ではエビデンスの確実性を考慮していない。― 介⼊の有効性を評価した研究は少なく、他の戦略と⽐較しても参加者の数が少ない。
ü 治療法の有効性については、不確実性が残っている。
Limitations
47
ü 本レビューに含まれる主要研究には、治療群の盲検化が⾏われていない。
ü 全死因死亡率の主要評価項⽬の評価に偏りがあるとは考えにくいが、異なる治療群に割り付けられた患者に対して、臨床医が挿管を⾏うための閾値が異なっていた可能性がある。
ü 潜在的な異質性の原因は、全死因死亡率の追跡期間が異なる研究が含まれていた。
ü 病院または集中治療室の退院時に評価された死亡率に焦点を当てた感度分析では、主分析と同様の結果が得られた。
Conclusion
各戦略の相対的な利点をより理解するために、更なる研究が必要である。
Ø急性低酸素⾎症呼吸不全の成⼈患者を対象としたネットワークメタアナリシスでは、SOTと⽐較し、⾮侵襲的換気療法は、死亡率低下と関連していた。
48
Editorial
Ø1940年代に発明されて以来、陽圧換気はメリットとリスクの両⽅があることが知られている。
ØNIVは、COPDおよび⼼原性肺⽔腫の急性増悪における侵襲的機械換気の必要性を⼤幅に減少させる。
Ø肺損傷によるAHRFにおけるNIVの役割を定義するには、まだ不⼗分である。
ØHFNCでは700⼈以上の患者を対象とした臨床試験が⾏われ、⽣存率の改善をしないことが明らかになった。
ØCOVID-19の患者では、⾃発呼吸にリスクがあるため、 ⾮侵襲的な酸素投与は除外すべきともされているが、AHRFにおいて侵襲的⼈⼯呼吸器と合併症リスクを避けるための合理的アプローチである。
49
JAMA. 2018;320(20):2099-2107.
JAMA Published online June 4, 2020
Editorial
ØAHRFのような不均⼀な症候群の管理において、単⼀の選択肢に限定することへ焦点を当てるより、複数の選択肢を持つことが望ましい。
Ø患者にあった選択を特定することに焦点を当てるべきである。ü PEEPに反応しない肺損傷:HFNCü PEEPに反応する軽度の低酸素⾎症(P/F>200):FM_NIVü PEEPに反応する重度の低酸素⾎症(P/F<200)且つ⻑時間使⽤:H_NIV
50
JAMA Published online June 4, 2020
Ø主要研究が盲検化されていない。―挿管の閾値が異なった可能性がある。―どの治療群でも挿管されなかった研究がある。(47名)
Øネットワークメタ解析の試験では、⾮侵襲的酸素化戦略が有益な患者も含まれた。
―治療効果を過⼤評価している可能性がある。Ø呼吸不全の重症度に幅があった。
―各治療法に対しての反応と関連しているかを評価できなかった。Ø患者快適性や使⽤時間が考慮されなかった。
ØH_NIV vs FM_NIV :1 trials(83名)
ØH_NIV vs HFNCの研究:0 trials―サンプリング数に懸念が残る―インターフェイスにより患者の耐性が異なった可能性がある 51
私⾒ ‒ 内的妥当性 ‒
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私⾒ ‒ 外的妥当性 ‒
Ø当院では、ヘルメット型のインターフェイスは使⽤されていない。
―主に使⽤しているインターフェイス:フルフェイスマスク
ØEditorialの患者にあったインターフェイス選択は、実臨床で適応とする患者層と⽭盾しない
―但し、インターフェイスごとの使⽤時間がわからないため懸念は残る
53
批判的吟味 ‒ AMSTAR2を活⽤ ‒ BMJ.2017;358:j4008.
Q1. レビューの際、リサーチクエスチョンと組み⼊れ基準にPICOの要素を含めたか?⇒ Yes
Q2. レビューの報告にレビュー実施前にその⽅法を決定したことを明⽰し、重⼤な計画変更があれば正当な理由を⽰したか?⇒ No
Q3. レビュー著者は、レビューに組み⼊れる際の研究デザインの選択基準について説明したか?⇒ Yes
Q4. レビュー著者は、網羅的な⽂献検索の⼿法を⽤いたか?⇒ Yes 検索した参考⽂献リスト/組み⼊れた研究の⽂献⼀覧
検索した試験/研究登録データベース
批判的吟味 ‒ AMSTAR2を活⽤ ‒ BMJ.2017;358:j4008.
54
Q5. レビュー著者は、複数⼈で研究の選択を⾏ったか?⇒ Yes 2⼈のレビュアーが基準を満たす研究の選択について独⽴して合意し、組み⼊れる研究について合意形成した
Q6. レビュー著者は、複数⼈でデータ抽出を⾏ったか?⇒ Yes 2⼈のレビュアーが組み⼊れられた研究から抽出するデータについて合意形成した
Q7. レビュー著者は、除外した研究のリストを提⽰しその除外が正当である理由を⽰したか?⇒ Yes 潜在的に関連する研究についてレビューから除外したことの正当性を⽰した
Q8. レビュー著者は組み⼊れた研究を⼗分詳細に記述したか?⇒ Partial Yes ⽐較対象、アウトカム、研究デザイン、詳細な参加者
批判的吟味 ‒ AMSTAR2を活⽤ ‒ BMJ.2017;358:j4008.
55
Q9. レビュー著者は、レビューに組み⼊れた各研究のバイアスリスク評価に際し、満⾜のいく⼿法を⽤いたか?
⇒ Yes
Q10. レビュー著者は、レビューに組み⼊れた研究に対する資⾦源を報告したか?⇒ Yes
Q11. メタ分析が⾏われた場合、レビュー著者は結果の統計的合併において適切な⽅法を⽤いたか?⇒ Yes
Q12. メタ分析が⾏われた場合、レビュー著者は各研究のバイアスリスクがメタ分析や他の統合結果に与える影響について評価したか?⇒ Yes
批判的吟味 ‒ AMSTAR2を活⽤ ‒ BMJ.2017;358:j4008.
56
Q13. レビュー著者はレビュー結果の解釈や考察をする際にバイアスリスクを考慮したか?⇒ Yes
Q14. レビュー著者はレビュー結果にみられるいかなる異質性に対しても満⾜いく説明や考察を⾏ったか?⇒ Yes 全死因死亡率の追跡期間が異なる研究が含まれていた。
Q15. 量的な統合がなされた場合、レビュー著者は出版バイアス(⼩規模バイアス)について⼗分な検討、レビュー結果に与える影響の可能性を考察したか?⇒ No Harbord検定を実⾏し、ファネル・プロットの⾮対称性を検定したが、考察なし
Q16. レビュー著者はレビュー実施に際して受領した再現を含め、考えられる利益相反について報告したか?⇒ Yes 利益相反がないことを宣⾔している。
批判的吟味 ‒ AMSTAR2を活⽤ ‒ BMJ.2017;358:j4008.
2/16項⽬でNOとなったが、全体として本研究は妥当であることが考えられる。
Ø急性低酸素⾎症性呼吸不全の成⼈を対象とした試験で、SOTと⽐較して⾮侵襲的酸素療法の治療は死亡率の低下と有意に関連していた。
Ø各戦略の相対的な利点をより理解するために、さらなる研究が必要である。
Ø単⼀の選択肢に限定することへ焦点を当てるより、患者にあった選択を選定するため、複数の選択肢を持つことが望ましい。
57
まとめ
当院では、ヘルメット型NIVをまだ使⽤していないが、死亡率・挿管率の結果と選択肢の幅を広げるためにも
今後使⽤していく価値は⾼く思える。