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IT新戦略(案)の概要 ~ デジタル強靱化社会の実現に向けて ~ 令和2年7月15日 内閣官房IT総合戦略室 資料1-1

~デジタル強靱化社会の実現に向けて~ · • 一方で、給付に至るまでの手続き全体のデジタル化、マイナンバー の活用に係る制度的制約、マイナンバーカードの普及等の課題あり

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IT新戦略(案)の概要~ デジタル強靱化社会の実現に向けて ~

令和2年7月15日内閣官房IT総合戦略室

資料1-1

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IT新戦略※(案)の概要~ デジタル強靱化社会の実現に向けて ~

※世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画

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新型コロナウイルス感染症がもたらした社会・価値観の変容行政

働き方

経済・生活

医療

教育 防災

【影響】・感染症対応で初の緊急事態宣言の発動・給付金や助成金等支援策に係る申請が膨大・オンライン手続の実施も不具合が発生

【影響】・テレワーク増加、Web会議増加・テレワークが難しい業務の顕在化・押印手続等、テレワークの阻害要因の顕在化

【影響】・全国的な学校の臨時休業・臨時休業等に伴い登校できない児童生徒の学習指導の必要性

・基盤不足、ノウハウ不足の顕在化

【影響】・サプライチェーンの一部断絶、物資不足・工場、飲食店等の休業、イベント自粛・電子商取引拡大、ネット利用増加、移動の制限

【影響】・現場負荷増、現場要員不足、医療資材不足・医療機関のクラスター化懸念・オンライン診療の時限的な拡大

【影響】・コロナ感染拡大時における災害対応の可能性・自治体等現場の負担増加

行政手続オンライン化原則へ

コロナ再来を念頭に施策立案

サプライチェーンの強靱化

東京一極集中の是正地方創生

押印手続見直し業務効率化

テレワーク等の更なる推進

再来を念頭に置いた医療体制・資材整備

オンライン診療の活用

早急な環境整備ノウハウ蓄積・展開

オンライン教育の進展

等災害時の

クラスター対策AI等新技術活用地域間情報連携

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3今般の緊急事態下でのデジタル対応について指摘されている課題例特別定額給付金

• マイナポータルを利用した申請を可能としたことで、これを利用した場合、前回(2009年)に比して、申請の受付開始までの期間や、申請に要する時間は大幅に短縮

• 一方で、給付に至るまでの手続き全体のデジタル化、マイナンバーの活用に係る制度的制約、マイナンバーカードの普及等の課題あり

• デジタル対応が可能となっているにもかかわらず、活用されずに、迅速な給付等に支障が出たケースもあり

雇用調整助成金

• 政府CIOの下で行われている一元的なプロジェクト管理による対応がなされることなく急遽構築されたオンライン申請システムが、複数のシステム障害により運用停止。当該システムにより目指されたオンライン化が実現せず、従前の通り窓口又は郵送での手続のみに

テレワーク

• 手続や契約に係る書面・押印の慣行等に起因して、出社を余儀なくされたケースがあったと言われている

• 政府でのWeb会議環境に関し、各府省庁において縦割りのLAN環境が構築されていることにより、府省庁間や、民間企業・地方公共団体とのWeb会議サービスの接続が困難となる状況が発生

オンライン教育

• 端末や通信環境の課題、ノウハウの不足、学校間・地域間の格差• 遠隔教育の制度上の扱いについて、今般、特例的な措置が講じられたが、必要な制度上の措置の更なる明確化が求められる。

データの活用

• 保健所等からの陽性者の報告が当初はファックスで行われていたなど、デジタルデータの活用により効率性・利便性を向上させる視点が欠けていたケースが多く見られた

制度の不統一

• 民間事業者が、住民から得られるデータを活用して新型コロナウイルス対策に資するサービスを提供するに当たり、居住地域ごとに異なる個人情報保護ルールに対応するために、多くのコストが費やされたケースが報告された

災害への対応

• 感染症と自然災害に同時に襲われる事態が現実に生じていることを踏まえ、テクノロジーを駆使して効率的・効果的に災害に対応することが喫緊の課題

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Society5.0時代のデジタル化国民生活の利便の向上

データの資源化と最大活用安全・安心の追求

効率化の追求

人にやさしいデジタル化

コロナ対策で見えてきた萌芽と課題社会の仕組みの変化

• 「繋がる社会」:リアル・サイバー融合による多様な新産業• 「新たな競争・共創」を発生させる

ライフスタイルの変化• 「広がる生活」:生き方の選択肢の広がり• 「新たな格差」を発生させる

ITの変化• デジタルインフラの概念が変わる• デジタルミニマムを支える新しいシステムが生まれる

<コロナ後のニュー・ノーマルの視点>

社会・価値観の変容を受けた戦略策定の視点 4

移行四原則①テールリスク※を

重視する ②世界をリードする ③誰も取り残されない

④漸進主義ではなく、ショックセラピー型で抜本的に移行する

デジタル化・オンライン化

データの積極活用

WorkとLifeの近接化

グローバル経済の再構築

・課題ドリブンのビジネスモデル

・日常からデジタル化

迅速に危機対応できるしなやかな社会へ・オープンイノベーション・迅速な支援措置・労働力のリバランシング

※頻繁には起こらないが、起こった場合に大きな被害が出るリスク(パンデミック、大災害等)

誰もが快適で活力に満ちた質の高い生活を送ることのできる人間中心の社会

対面・高密度から「開かれた疎」へ、一極集中から分散へ・リモート対応の常態化・高度化・対面とリモートの最適な組み合わせ(ハイブリッド化)

・時間や場所にとらわれない新しい働き方・地域の再興、地域からの発信・新しいエンタメ

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5デジタル強靱化社会の実現に向けた基本的な枠組み

くらし改革学び改革働き方改革

■官民のテックチームによる、ITやデータを活用した感染拡大阻止(→陽性者と接触した可能性について通知するアプリケーションの開発・普及、病院の医療提供体制の見える化・国民への情報提供、その他民間テック企業の技術・アイデアの実装)

■諸外国のデータ活用の動向を踏まえ、個人情報保護に十分配意した取組の促進(DFFTの観点)

■オンライン化・リモート化による働き方改革・学び改革・くらし改革(行動変容)により、長期間又は断続的な接触機会の減少の中にあっても、社会が機能し、経済が成長可能となるようにするとともに、テクノロジーを駆使した災害対応を進め、デジタルによる強靱化を図る。■改革の前提となるインフラ、データの流通環境、デジタル・ガバメントといった社会基盤の整備とともに、デジタル社会に最適化した規制のリデザインを実施。また、地域の中小事業者や高齢者、障害者など誰一人取り残すことのないデジタル・インクルーシブ社会を実現

規制のリデザイン(デジタル化・オンライン化の障害となる制度の見直し)社会的基盤の整備

(インフラ、データの流通環境、デジタル・ガバメント、セキュリティ/トラスト、サプライチェーン、ブロックチェーン等の新技術、研究開発)

教育 健康・医療・介護・障害福祉テレワーク 子育て・介護等

ワンストップ経済活動・企業活動

■マイナポイントによる消費活性化策や健康保険証としての利用環境整備などを踏まえ、令和4年度までにほとんどの住民がマイナンバーカードを保有していることを想定し、様々な手続をデジタルで行うための基盤と位置付けるなど、危機に順応できる弾力的なデジタル社会構築に向けた基本的考え方を整理

▶ 新型コロナウイルスの感染拡大を阻止するための喫緊の方策として、治療薬やワクチンの開発・普及、雇用・家計・事業を守るための取組とともに、接触機会の削減等のため、ITやデータを総動員した取組が必要。

▶ また、戦後最大の危機とも言われる今般の感染拡大は、社会的距離を確保しながら、仕事、学び、くらしを継続可能としなければならないなど、社会の在り方に根源的な変革を迫っている。

▶ 感染拡大抑制の後には、我が国経済を再起動するため、ピンチをチャンスに変え、デジタル化を社会変革の原動力とするデジタル強靱化を強力に推進する。

デジタル強靱化による社会構造の変革 ~社会全体の行動変容~

新型コロナウイルス感染拡大の阻止(直近の取組)

災害対応

防災×テクノロジー

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6喫緊に取り組むべき事項

○ しなやかなデジタル社会の基盤としてのマイナンバー制度■強靱な社会経済構造の一環として、マイナンバーカード・マイナンバーを基盤としたデジタル社会の構築を進める:(検討事項例)• 在留カードとマイナンバーカードの一体化、運転免許証の発行手続やシステム連携の在り方、各種免許・国家資格等におけるマイナンバー制度の利活用

• 公金振込口座の設定を含め預貯金口座とマイナンバーの紐づけの在り方

○ データの基盤整備と積極活用■データ資源を横断的、継続的な活用できる環境を整備

• 以下から構成される戦略を取りまとめる:– 社会の基本データを始めとするデータの質・量の向上– データ利活用の一般原則としてのデータガバナンスルールの在り方を含むデータ戦略

– 行政のデジタルトランスフォーメーションのためのデータ基盤– 研究開発・インフラの整備 等

• 学校内外における児童生徒の学習ログや、健康状態等について、転校や進学等にもかかわらず継続的にデータ連携や分析を可能とするための標準化や利活用を進める

• 生涯にわたる健診・検診情報について、マイナポータル等を活用して電子化・標準化された形での提供を進める

• 今般の新型コロナウイルス対策のサーベイランス情報(※)と、医療機関情報の連携のあり方を検討

ニュー・ノーマルに向けたデジタル戦略

学習データ等の活用

健康・医療関連データの活用○ 国と地方を通じたデジタル基盤の構築■情報システムの標準化・共通化、クラウド活用の促進等を進める• 給付金等におけるデジタル手続・事務処理・早期給付の実現• 各府省情報システムのネットワーク統合・再構築• 民間との相互連携の強化(API利用の促進)

○ 遠隔・分散に対応した制度・慣行の見直し■遠隔・分散型の社会経済活動の障壁となる制度・慣行の見直し• 書面・押印・対面に関する官民の制度・慣行の見直し• 「隗より始めよ」の考えのもと、行政機関等の会計手続、人事手続その他の内部手続について、書面・押印・対面の見直し

※今般、システム(HER-SYS)を構築し、全国一元的に感染者等情報を把握・管理

○ 防災×テクノロジー■感染症の感染拡大と災害が併発する事態に備え、テクノロジーを駆使した災害対応のための取組を進める

• 防災チャットボットを通じた分散避難下の現地情報の収集• ハザードマップの基礎となるGISデータのオープンデータ化

○ 縦割りを打破するトータルデザイン■政府CIOの一層のリーダーシップによる全体最適の追求、利用者視点の徹底• 国・地方を通じた情報システムの標準化・共通化、クラウド活用の促進等• 各行政機関の保有するデータの分析・活用に必要な仕組みなど、データ活用に係る分野横断的な設計

■政府DX推進委員会(仮称)の機動的な活用、IT基本法の全面的な見直し

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7デジタル強靱化社会におけるIT新戦略の全体像

デジタル強靱化社会を先導する、社会実装

デジタル強靱化に向けた、社会基盤の整備/規制のリデザイン

GIGAスクール構想(1人1台端末)の加速 デジタル活用支援員の制度化

国民が安全で安心して暮らせ、豊かさを実感できる強靱なデジタル社会の実現

5Gと次世代信号や、自動運転の実現による「先駆的社会インフラ網」の整備 スマートフードチェーンの構築等による食関連産業の安定的・持続可能な発展 民事訴訟手続、刑事手続のデジタル化

全国民のQOL向上のための「健康・医療・福祉分野のデータ活用」 港湾の生産性革命を実現する「サイバーポート」 「運転免許システムの合理化・高度化」による国民負担の軽減等

国民の生命を守り経済を再生するための、データ利活用 デジタル社会構築TFを受けた分野間データ連携のルール整備、データ・ガバナンスに関する戦略

学習データ、健康・医療関連データの活用 情報銀行やトラストサービスのルール整備、データ取引市場の活性化、国際データ流通環境の構築、個人情報保護法制の一元化

<地方と密接連携を要する取組> 災害対応におけるAIチャットボットやシェアリングエコノミー等の活用

接触機会を減らし利便性を向上させるための、デジタル・ガバメント デジタル社会の基盤としてのマイナンバー制度 政府ネットワーク環境の整理・再構築に向けた実証を進めるなど、 「デジタル・ガバメント実行計画」等に基づく取組の加速化

基本的考え方▶ 国民の利便性を飛躍的に向上させ、国・地方・民間の効率化を徹底▶ データを新たな資源として活用し、全ての国民が不安なくデジタル化の恩恵を享受

基盤技術AI、セキュリティ対策

デジタル格差対策

人材育成・学び改革

スタートアップ経済活動・企業活動

5G 等インフラ再構築

Society 5.0時代にふさわしいデジタル化

働き方改革くらし改革

Beyond 5G推進戦略の策定・実行 国家公務員のテレワーク環境の大幅な拡充

防災×テクノロジー 遠隔に対応した書面・押印・対面主義の見直し

コロナ対策で見えてきた萌芽と課題

コロナ後のニュー・ノーマルの視点

▶ 「デジタル化・オンライン化」、「WorkとLifeの近接化」、「データの積極活用」、「グローバル経済の再構築」

▶ 「対面・高密度から『開かれた疎』へ」、「一極集中から分散へ」、「迅速に危機対応できるしなやかな社会へ」

自動運転×MaaS

<地方と密接連携を要する取組> 全ての市町村において、マイナポータル・ぴったりサービスを活用 業務プロセス・システムの標準化、クラウド化、AIの活用

<社会の仕組みの変化>・<ライフスタイルの変化>・<ITの変化>

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各施策の位置付け 8

経済・生活 働き方 教育 健康・医療・福祉 行政 防災テレワーク推進 遠隔診療・健康相談EdTech

遠隔教育

請求/領収書等、証明のデジタル化

ワンストップ・ワンスオンリー

マイナポータルでの検診情報提供

標準活用によるデータ共有

標準化、共通化

適切なセキュリティと個人情報保護

紙・FAX等のアナログ慣行の廃止

デジタル化のための制度の抜本改革

オンラインコミュニケーションツール

キャッシュレス

データ連携基盤

マイナンバー JPKI 法人番号 GビズID

ベース・レジストリ(土地、法人等)オープンデータ

IMI、行政データ連携標準等

5GBeyond 5G

IoT等、社会のデジタルツイン化

情報銀行 データ取引市場

スタートアップ環境整備

IDの推進

データ品質

学校等の環境整備

シェアエコに向けた環境整備

AI、データ分析

クラウドの推進行政ネットワークの見直し

フレキシブル・ワーク 窓口レス 衛星データ活用

多様なチャネルとUI/UX

利用者(国民、企業)

ポリシー/ルール

サービス

プラットフォーム

ハード・インフラ

デジタル活用支援員

光ファイバの整備

トラストサービス

可能な限りの仕様のオープン化 APIの推進

ソフト・インフラ

オープンイノベーションの活用

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個別取組の方向性(案)

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■また、厚生労働省は、保健所・医療機関での感染の把握・管理を支援するシステム(HER-SYS)の構築・運用を5月末に開始。これにより、感染者が、スマートフォンで健康状態の報告を容易に行えるほか、医療機関の発生届の入力・報告や保健所への情報共有が迅速化されるとともに、患者情報の都道府県・国での共有が可能となる

10情報通信技術を活用した新型コロナ感染症対策に係る取組○ AIを含めた情報通信技術を積極的に活用し、感染症対策に貢献していくことを目的として、官民テックチームを組成。○ 関係省庁が連携し、民間の知見も活かしながら、以下に掲げる新たな取組を実施。

(1)マクロ的な観点からの感染症対策支援

(2)新たな生活様式に向けた支援

(3)医療機関の対応支援

(4)オープンデータによる情報発信の促進

■人の密集地域を避けたり、陽性者と接触した可能性がある場合に人との接触と避けるといった、日常生活における行動様式の変更を支援するため、例えば以下の取組について、社会実装を促す必要

– スマートフォン間の信号(Bluetooth)のやりとりにより接触履歴を記録し、陽性者と接触した可能性について通知するアプリケーションの普及・効果的な運用

– 店舗、公的施設、イベント会場等に掲示したQRコードを通じた来訪者への通知システムや、店舗等の事業者が行う感染症対策の見える化等、自治体による取組を紹介、支援

– 特定の店舗や公園等での人の動きを画像データ等を用いて分析し、できる限り密集を避ける行動を支援

■人の流れ等、クラスター対策に資する情報についてマクロ的に把握するため、– 携帯電話事業者やプラットフォーム事業者の保有する位置情報等や公共交通機関の改札通過人数等を統計処理したデータの活用

– インターネット関連企業の協力を得て実施した「新型コロナ対策のための全国調査」の結果の活用

等に取り組んでいる

■厚生労働省と内閣官房は、全国約8,000の医療機関を対象とした情報収集システム(G-MIS)の構築・運用を5月に開始。これにより、感染症対策を担う医療機関を中心に、物資や病床、医療機器の状況等の把握が可能となった

■今後、感染症対策の長期化や、次なる感染症の拡大を見据え、G-MISやHER-SYSといったシステムの長期的な活用のための方策として、柔軟な社会システムの構築を図る上での基幹システムとしての役割について検討

■国は、以下のようにオープンデータによる情報発信を実施– 東京都の事例(陽性患者数や検査実施数等をオープンデータとして発信するウェブサイトを開発し、オープンソースとして公開)のような地方自治体の先進事例を発信

– 国内及び各国の発生状況や(1)のデータ等をJSON形式等でオープンデータ提供– 外出自粛等を踏まえた官民の各種支援策をオープンデータとして集約・公開– 上記(3)の取組で得られる情報のうち公開可能なものをオープンデータ化

■今後、「新しい生活様式」を実施するために人々に求められる情報を発信をしていくことも重要

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11Ⅰ.デジタル強靱化 ― 働き方改革(テレワーク)

○ 足下の感染拡大の防止と経済社会活動の維持の両立、更には、今後発生し得る同様の緊急事態にあっても経済社会活動を維持し、成長を可能とするため、テレワークの一層の活用促進が求められている。行政機能維持の観点から、国や自治体におけるテレワークの利用環境整備も重要。

○ 他方で、中小・小規模事業者や地方公共団体においては、テレワークに係るノウハウ不足やコスト負担が、必要なシステム導入の障壁となっている。○ 国の行政機関においては、テレワークに必要な機器やネットワークのキャパシティ等が、テレワークを原則的な働き方とする場面に対応しきれていない

ほか、府省庁間や、民間企業・地方公共団体とのWeb会議サービスの接続が困難となる状況が発生。

(1)中小・小規模事業者、地方自治体

(2)国の行政機関

■新型コロナウイルス感染症への緊急対応として、中小企業に対するテレワーク導入経費の補助や、テレワーク導入を図る企業や地方公共団体等に対する専門家の無料相談対応等に取り組んできている

■こうした支援策を更に進めるほか、以下に取り組む– 各地域における中小企業支援の担い手となる団体の窓口を「テレワーク・サポートネットワーク」として設定。これらの窓口に対してノウハウ提供等の支援を行うことで、テレワーク導入に係る地域内での相互連携を促進するとともに、サテライトオフィス等のBCP対策に資するテレワーク環境整備を促進

– フリーランスや兼業・副業人材等を含めたIT専門家を「中小企業デジタル化応援隊」として選定し、その活動を支援

■以下のような、国家公務員のテレワーク環境の大幅拡充に取り組む– テレワークに必要な機器の増設やネットワークの増強など、各府省庁等におけるテレワーク環境の整備を促進– 各府省、地方公共団体、民間事業者まで参加可能なウェブ会議を容易に開催できる環境を整備することで、大規模、長期間のテレワーク等が必要な場合においても滞りなく業務を継続できるようにする

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12Ⅰ.デジタル強靱化 ― 学び改革(オンライン教育)○ 新型コロナウイルス感染症の拡大を受けた学校の臨時休業等、非常事態における遠隔教育の重要性が再認識され、学校内での活用のみならず、

家庭内でのオンライン学習環境の整備が急務。○ 教育機会の公平性確保のためにも、引き続き教育現場のICT環境整備を早急に進めるとともに、ネット環境が整備されていない家庭向けの対策を

講じる必要。○ 学校休業の長期化や、今後再び同様の事態が発生する場合に備え、今回の経験を通じ、遠隔教育等、教育ICT化がもたらす利点や課題を洗い

出し、オンライン教育の効果的な活用に取り組む。

(1)GIGAスクール構想の加速■令和2年度中を目途に、義務教育段階の児童生徒1人1台端末の実現を目指す

■ICT支援員の配置促進や、民間企業、関係団体の協力による専門的人材の配置等、教育現場の支援体制の充実■学校を含む地域の光ファイバ整備を早期に進める

(2)ICTを活用した教育サービスの充実

■新型コロナウイルス感染症の拡大を受けた遠隔教育に係る特例措置の実施状況等も踏まえつつ、今後の同様の緊急事態における学びの継続や、遠隔教育の有効な活用を可能とする環境整備の方策について検討

(3)児童生徒の学習データの継続的な活用に向けたデータ基盤の検討

■在宅・オンライン学習に必要な通信環境の整備・支援、整備された端末の家庭への持ち帰りを可能とすることを前提としたガイドラインの策定

■EdTechの学校への導入の推進、産学連携STEAM教育コンテンツのオンラインライブラリーの構築、在宅教育を促進するオンライン・コンテンツの開発

■学校内外における児童生徒の学びやプロジェクトの記録を保存する学習ログや、健康状態等について、1人1台端末の配布に合わせ、個人情報保護に留意しつつ、転校や進学等にもかかわらず継続的にデータ連携や分析を可能にするための標準化や利活用を進める。

■児童生徒の学習データの継続的な活用と、教育政策へのデータの活用に向けたデータ基盤についても中長期的に検討を行う。

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13Ⅰ.デジタル強靱化 ― くらし改革○ 新型コロナウイルス感染症への対応を通じて、対面でのやりとりを必要としないデジタル社会の構築が、国民生活の利便性の向上だけでなく、緊急時へ

の対応の観点からも重要であることが認識されている。○ こうした点も踏まえ、くらしの中の様々な仕組みや手続のデジタル化・オンライン化を加速することで、利便性が高く、かつ、様々な危機にも順応性の高

い社会構造への転換を進めることが急務。○ その際、中小・小規模事業者、障害者、低所得者などを含め、誰もがデジタルの恩恵を享受できるデジタル・インクルーシブ社会を作り出す視点が必要。

(1)健康・医療・介護・障害福祉

■データの活用等による、リスクの早期発見・予防、健康・医療・介護サービスの高度化、地域社会における高齢者等生活支援サービスの実現のための取組を進める– 高齢者の「通いの場」と、スマートフォン等を活用した介護プログラムを通じて高齢者の生活を立て直すことも喫緊の課題

■新型コロナウイルスの感染拡大の中で非常時の時限的対応として可能となった初診を含むオンライン・電話による診療等について、検証。検証結果を踏まえ、医療の現場に定着すべき所要の措置について検討。

(2)子育て・介護等のワンストップ化■子育てや介護等の各分野におけるワンストップ化の推進。子育て分野における最適なタイミングでのプッシュ型通知

■生まれてから学校、職場など生涯にわたる健診・検診情報について、マイナポータル等を活用して電子化・標準化された形での提供を進める

■移動や施設利用の利便性確保のため、障害者の本人確認等の簡素化

(3)経済活動・企業活動

(4)国における慣習の見直し等(「隗より始めよ」)

■2023年10月のインボイス制度導入も見据え、ビジネスプロセス全体のデジタル化によって企業や生活者の負担軽減を図る観点から、請求書・領収書のデジタル化、キャッシュレス化、税・社会保険手続の電子化・自動化を促進– キャッシュレス化推進として、QRコード決済における統一QRである「JPQR」の全国展開や、会計クラウドサービスとの連携等を推進

■窓口において「対面でもデジタル」な手続が可能となるよう、マイナンバーカードのICチップを活用することができる環境整備を促進

■紙や押印を前提とした業務慣行の見直し

■国の行政機関等において率先してデジタルの活用を実践。完全デジタル化が実現できる環境を整える– IT総合戦略本部等の会議開催に当たっての外部構成員との事前調整の完全オンライン化、IT戦略等に係る施策の進捗状況等のフォローアップの完全電子化

– 国の行政機関等が入居する庁舎・ビル内でビジネスを行う店舗等におけるJPQRの導入促進

– 各府省等は、会計手続や人事手続等の内部手続の書面・押印・対面を見直し

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14Ⅰ.デジタル強靱化 ― 「防災×テクノロジー」による災害対応

災害リスク・避難情報の提供、被害状況の把握

■AIを活用した防災チャットボットを通じて、一人一人の状況に応じて適切な避難行動を促す情報を提供し、住民等から現地の災害情報を収集する取組を進める。– 「防災×テクノロジー官民連携プラットフォーム」を設置し、地方公共団体等のニーズと先進技術とのマッチング支援や活用事例等の横展開を行う

■衛星データを活用して広域的な被災状況を迅速に把握・共有するための研究開発を進める

被災者支援制度のデジタル化

○ 近年頻発し、激甚化する災害に効果的・効率的に対応するため、情報通信技術や新たなサービスを活用していくことが強靱な社会基盤の構築のために重要。新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、感染症と災害に複合的に見舞われる事態が具体的に懸念されるようになったことで、その重要性が一層高まっている。

○ 現在、災害対応業務の効率化・省力化に資する可能性のあるAI、SNS、衛星などの先進技術の研究開発や、各種手続のデジタル化が進められていることから、地方公共団体等の現場におけるこれらの活用を促進する。

■以下により被災者支援手続等のデジタル化を図る– マイナンバーを活用した庁内連携や庁外からの情報入手による被災者台帳の整備

– マイナンバーカードを活用した避難所入退所情報の収集– マイナポータル等による罹災証明書の申請

■「防災×テクノロジー官民連携プラットフォーム」において、モデル自治体を選定。被災者支援手続等のデジタル化について効果的な活用事例を創出し、望ましいシステムの在り方を検討

共助による避難施設の確保等

■シェアリングエコノミーを活用した避難場所、食料、支援物資等に係る災害支援サービスの提供を実現するため、モデル防災協定の検討及び周知を行う。

通信の冗長化■防災機関や地方公共団体における以下の活用を開始する

– 地上の通信インフラが途絶した場合でも、準天頂衛星経由で被害状況や必要な物資に関する情報を被災地から収集する「衛星安否確認サービス」

– 津波や土砂災害等の情報を準天頂衛星経由で配信する「災害・危機管理通報サービス」

■ハザードマップの基礎となる洪水浸水想定区域などの災害リスク情報について、GISデータでのオープンデータ化を進める– 順次、洪水浸水想定区域(想定最大規模)のGISデータでの提供を開始

■航空写真、衛星等により広域的な被災画像を迅速に収集・共有することで、被災者支援手続の簡略化にも役立てる取組を推進

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15Ⅰ.デジタル強靱化 ― 社会基盤の整備○ オンライン化・リモート化による社会構造の変革や、行動変容の促進によるデジタル強靱化を進めるための前提として、デジタル・ガバメント、インフラ

の整備、デジタル格差対策、データ流通環境の整備、セキュリティ・トラストの確保、災害対応能力の強化といった社会基盤の整備が必要。

(1)デジタル・ガバメント• デジタル技術の徹底活用と、国と地方、官と民の枠を超えた行政サービスの見直しにより、デジタル社会に対応したデジタル・ガバメントを実現し、非常時においても持続可能な社会の実現、人口減少など社会課題の解決、経済成長の実現を目指す。

• 「デジタル・ガバメント実行計画」において、デジタル・ガバメントを実行するために必要となる事項を、誰が、何を、どうやって取り組むかについて定めている。• 今後、内閣官房と関係府省が連携しつつ、取組の加速を図り、実現時期を前倒しできるものは前倒しするとともに、非常時においても持続可能な社会を構築するために新たに取り組むべき事項も見定め、実行計画も見直す。

• 特に、新型コロナウイルスの感染拡大への対応を踏まえ、強靱なデジタル社会構築の実現に向けて、以下に取り組む。① 行政のデジタル化の徹底■各府省は、デジタル3原則(デジタルファースト、ワンスオンリー、コネクテッド・ワンストップ)の徹底を図るとともに、全ての行政手続を対象として、デジタル化の前倒しなどを早急に検討

■その際に必要な情報システムの整備に当たっては、迅速かつ柔軟に進めるため、クラウド・バイ・デフォルト原則を徹底

② 政府ネットワーク環境の再構築等■行政のデジタル化の一環として、正常時・非常時のいずれにおいても適切に行政サービスを提供できるようにするため、行政の情報システム及びネットワークのうち、基盤となるネットワーク環境について、整理・再構築に向けた実証等を進める

■テレワークによるリモート化が社会に浸透するに際して、行政の業務の在り方が弊害とならないよう、各府省は、書面・対面主義等の制度・慣習を見直す

③ 地方公共団体のデジタル化

④ マイナンバーカードの普及、利活用の推進等■様々な手続をデジタルで行うための基盤として、マイナンバーカードの普及、利活用の推進等に取り組む

■全ての市町村におけるマイナポータル・ぴったりサービスの活用によるオンライン化を促進– 地方公共団体が自ら利用者視点に立ったBPRを必ず行って、エンドツーエンドでデジタル化を進めることができるよう、マイナポータルの使い勝手を常時向上させるとともに、優先的にオンライン化に取り組むべき手続の申請フォームのひな形をマイナポータル・ぴったりサービスにプリセット等

– 住民等からの申請の総件数が多いが、オンラインで解決できないものについては、その課題を整理

– やむをえず対面で手続を行うときにおいても、予約の仕組みの導入を促進

■地方公共団体の業務プロセス・システムの標準化、クラウド化、AIの活用等の促進

■地方公共団体と事業者との手続オンライン化のためのプラットフォーム整備の検討

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16Ⅰ.デジタル強靱化 ― 社会基盤の整備(続き)(2)次世代インフラの整備

■5Gやローカル5Gの早期の展開、産業利用・公的利用への拡大■ソーシャルディスタンス等が求められる「ニュー・ノーマル」の世界において、社会経済活動を円滑に維持するためには、フィジカル空間で起きている事象をリアルタイム・ビッグデータを活用してサイバー空間に投影し、解決策を見出す仕組みの実現が求められる。– 5Gの次の世代のBeyond 5Gをこれらを実現するための基幹インフラと捉え、その早期かつ円滑な導入や、我が国の国際競争力強化に向けて、産官学が連携する「Beyond 5G推進コンソーシアム(仮称)」を構築し、研究開発戦略、知財・標準化戦略、展開戦略を推進

(3)デジタル格差対策・アクセシビリティの確保■光ファイバ整備支援、公衆無線LAN環境の整備推進、家庭からの通信環境にも配慮した児童生徒の1人1台端末の整備(再掲)

■高齢者等がICT機器・サービスの使い方を身近に相談できる「デジタル活用支援員」の本格的な実施に向けた制度整備の検討

■「言葉の壁」を克服するための多言語翻訳の普及推進、多言語同時通訳の研究開発の推進

(4)データ流通環境の整備、セキュリティ/トラストの確保■感染症対策支援や、新たな生活様式への対応支援のために官民のデータを活用するに当たって、様々な主体が保有するデータの流通を容易とするための環境整備や、利用者・国民からの信頼確保が必要– この観点からも、官民一体的なデータ利活用に向けた制度整備など、データ流通環境の整備を進める

■テレワークのセキュリティ確保のため、テレワークシステム導入に当たってのセキュリティチェックリストの策定・普及や、中小企業等のサイバーセキュリティ対策の強化を進める■タイムスタンプに関する認定制度の整備及びeシールに関する認定制度の創設に向けた要件整理等、行政手続における活用や普及の障害となる制度の見直し検討

■障害者向けICT機器・サービスの開発に資するデータベース等の構築、企業等が開発するICT機器・サービスが情報アクセシビリティ基準に適合しているか自己評価する仕組みの構築

(5)モビリティシステムのデジタル化

■無人自動運転の実現により、車内に運転者が不在となるので、タクシーやバスのドライバーのウイルス感染を防ぐことができ、トラックの自動運転が実現すれば、物流の継続による国民生活の維持につながる

– 安全で効率的な人と物の移動を実現する観点からも、高度な自動運転技術の早期実用化に向けて、官民連携しての研究開発や実証実験を推進するとともに、必要な制度整備に取り組む

■署名者がリモートで署名を行う「リモート署名」や、サービス提供者が利用者の指示を受けて暗号化等を行うサービスについて、電子署名法上の位置づけを明確化

■生活困窮者のデジタル利用等の実態を把握し、好事例の収集等を行うとともに必要な支援策を検討

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17Ⅰ.デジタル強靱化 ― 社会基盤の整備(続き)(6)サプライチェーン

■農林水産業では急激な需給バランス変化や人手不足に直面しており、サプライチェーンの効率化が求められる。また、国民生活や産業活動に不可欠な物流について、担い手の安全を確保しながら、その生産性向上や、機能を維持するための取組が必要

– スマート農業及びスマート水産業による品質・生産性向上、農林水産施策のデジタル・トランスフォーメーション、港湾物流のスマート化、スマートフードチェーンの構築によるサプライチェーン全体の効率化、更には港湾物流における遠隔・非接触化を推進

(7)建設分野におけるデジタル・トランスフォーメーション(DX)

■新型コロナウイルスの感染拡大を契機として、建設工事の現場において非接触・リモート型の働き方に転換する等、感染症リスクに対して強靱な経済構造の構築を加速することが課題

– 公共事業について、設計・施工から維持管理に至る一連のプロセスやストック活用をデジタルで処理可能とすることや、熟練技能のデジタル化を進めること等により、抜本的な生産性向上と非接触・リモート型への転換を進める

(8)裁判関連手続のデジタル化

■民事訴訟手続の全面IT化として目指されている「e提出」(主張証拠のオンライン提出等)、「e法廷」(Web会議・テレビ会議の導入・拡大等)及び「e事件管理」(訴訟記録への随時オンラインアクセス等)の「3つのe」は、ソーシャルディスタンスを確保する観点からも有用。司法府における自律的判断を尊重しつつ、実現に向けて必要な取組を進める。

■刑事手続についても、デジタル化は捜査手続に関与する国民の負担軽減につながり、感染症の拡大時にも有用と考えられる。司法府における自律的判断を尊重しつつ、令状請求・発付をはじめとする書類のオンライン受交付、刑事書類の電子データ化、オンラインを活用した公判など、捜査・公判のデジタル化方策の検討を開始する。

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18Ⅰ.デジタル強靱化 ― 規制のリデザイン○ 新型コロナウイルスの感染拡大により、様々な必要性からデジタルの活用に一定の制限をかけていた各種規制について、その前提となる社会状況に

変化が生じている。○ 感染症等の危機に対応可能な強靱なデジタル社会の構築のためには、こうした社会状況の変化を反映し、デジタルの活用を前提に、規制を再設計

(リデザイン)する必要がある。

■医療分野について、新型コロナウイルスの感染拡大の中で非常時の時限的対応として可能となった初診を含むオンライン・電話による診療等について、

検証。検証結果を踏まえ、医療の現場に定着すべき所要の措置について検討。(再掲)

■教育分野については、学校休業が長期化し教育課程の実施に支障が生じる事態を受けて、遠隔授業において、受信側に教師がいることを求める要件

や、同時双方向であることを求める要件の緩和など、種々の特例的措置がとられている。今後、これらの措置の実施状況を踏まえ、今後の同様の緊急

事態における学びの継続や、遠隔教育の有効な活用を可能とする環境整備の方策について検討(再掲)

■テレワーク等の推進とデジタル時代に向けた規制・制度の見直しの観点から、規制改革推進会議は、IT総合戦略本部と連携し、書面主義、押印原

則、対面主義に関するこれまでの規制・制度・慣行の見直しに取り組む。

■行政機関等の内部手続について、制度的な対応が不要な押印・書面提出等は速やかに廃止。制度的な対応が必要なものについては、官民を通じ

た業務プロセス全体を見渡した業務見直しの中で検討。特に、会計について、契約書を除いて押印廃止、契約書については電子的手段の利活用

促進を図るなど、契約相手の負担軽減を行う。

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19Ⅱ.デジタル強靱化社会を先導する社会実装

〇 新型コロナウイルスの感染拡大により浮き彫りとなった各種課題、社会的ニーズに対応する官民 サービスを促進する観点から、先端技術の基礎となるデータを円滑に連携させ、次世代の社会インフラの基礎となるデータプラットフォームの社会実装を加速化する。

• 我が国経済の持続的発展• 新型コロナウイルス対策• 自然災害への対応

あらゆる分野に共通した社会的課題 少子高齢化に伴う労働力不足、働き方改革 国民の利便性向上 サプライチェーンや各種サービス等の社会基盤の維持

持続可能な次世代社会基盤の構築・活用を加速化し、各分野においてメーカー・ベンダーの枠を超えた様々データを連携・分析・活用することで、社会的課題の解決に寄与する。

分野内、さらには分野の枠を超えて活用可能なデータを最大限活用

食関連産業 港湾 信号 運転免許 5Gエリアの拡大 新技術を活用した交通信号機の制御による渋滞の緩和

防災、安全安心、介護、産業振興等、既存のソリューションを革新する次世代社会システムの広範な実現

システムの合理化・高度化による一層の国民の利便性向上と負担軽減を実現

共通基盤の構築及びシステムの集約による他システム・データとの連携を実現

健康・医療・福祉 疾病・介護予防に加え、感染予防にも役立つ平時からの健康状態把握を可能にし、リスクの早期発見・予防を促進

オンライン診療等、国民の利便性向上と、医療・福祉現場の負担軽減や働き方改革を実現

国民一人一人の生活を支えるIT利活用を促進

様々な観点から対応する必要

港湾関連データ連携基盤を活用し、企業間の情報連携や作業手配といった業務で遠隔勤務を可能とする事業環境を実現。

ITを活用し、荷役機械の遠隔操作や非接触業務を導入することにより、現場におけるリスク低減や、セキュリティ向上を実現

データ連携を新たな分野にも拡張し、港湾の電子化を推進

農業の担い手のほぼ全てがデータを活用した農業を実践することで競争力を向上

多様な情報を利活用した我が国食関連産業の安定的かつ持続可能な発展

データ駆動型の経営を実現するため、農林水産施策のデジタルトランスフォーメーションを推進

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20Ⅲ.国民の生命を守り経済を再生するための、データ利活用○ 感染症対策の支援等に官民のデータを活用する観点からも、個人・法人の権利利益を保護しながら、官民連携したデータ利活用を促進す

るための各種制度、環境の整備を引き継続き推進。国民の誰もが、データ利活用による便益を実感できる社会の実現を目指す。安全・公正なデジタル市場のルール形成 円滑なデータ流通に向けた環境整備

非常時等における共創・共助による新たな公共サービスの円滑な提供に向け、防災分野も含むモデル連携協定等の作成を進める

データ流通・利活用環境の整備 オープンデータの「公開」から「利活用」へシフトするため、各省の政策課題を起点した新たな官民ラウンドテーブルの開催や、オープンデータの質向上に関わる指標の検討、地域におけるオープンデータ人材の育成・活用などの取組を促進

オープンデータの取組フェーズの変容

(これまで)データの公開

政府による各種制度整備の充実

大・中規模都市を中心にデータ公開が加速

• 我が国発の情報銀行の社会実装促進に向けて、認定指針の見直し(令和3年度中)やビジネスモデルの国際標準化等の検討を推進

• デジタル社会構築TFでとりまとめた分野間データ連携に関する取組の方向性のもと、各分野における具体的なルールや体制等の整備を促進

• 現行の個人情報保護法、行政機関個人情報保護法、独立行政法人等個人情報保護法の3つの法律の規定を集約・一体化し、これらの制度を個人情報保護委員会が一元的に所管する方向で検討を進め、令和3年の通常国会に必要な法案の提出を目指す。

• 地方公共団体の個人情報保護制度について、地方公共団体等との懇談会等における、条例の法による一元化を含めた規律の在り方等に係る実務的論点を踏まえ、地方側と十分調整の上、具体的な検討を行う <シェアリングエコノミーのイメージ>

モビリティ関連データの利活用拡大• Society 5.0のデータ連携基盤アーキテクチャを踏まえて、モビリティシステムのリファレンスアーキテクチャを策定し、多様・多数な関係者間でのデータ連携・活用を促進する環境整備に取り組む

(これから)データ利活用へ

オープンデータの更なる深化

シェアリングエコノミーの更なる推進

国際的なデータ流通の推進及び枠組み構築• 我が国が初めて開催国となった昨年のG20大阪サミットにおいて、各国と「Data Free Flow with Trust(DFFT)」のコンセプトに合意し、「大阪トラック」を立ち上げ。今後もWTOや経済連携協定等において、データ流通を含む電子商取引に関するルール作りを加速

• 信頼性が確保された個人データの国際的な流通の枠組み構築に向け、日EU間の枠組みの維持に加え、個人データ流通の促進策や、相互運用可能な新たな企業認証制度の構築に向けた議論を日米欧三極においても推進するとともに、OECDプライバシーガイドラインの見直しに関する国際的な議論を主導

デジタル市場の透明性・公正性の確保に向けた取組• デジタル・プラットフォーム取引透明化法による取引環境整備やデジタル広告市場に関する競争評価を行い、プライバシー保護との適切なバランスの確保、技術革新の促進等を通じ、デジタル市場の競争を活性化

• データを分散型で個人・法人等が管理し価値をマネージできるTrusted Webを目指し、推進体制を立ち上げ

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21Ⅳ.接触機会を減らし利便性を向上させるための、デジタル・ガバメント

○ 令和元年12月に閣議決定したデジタル・ガバメント実行計画の取組の加速化を図り、非常時においても持続可能な社会を構築するために必要となる新たに積極果断に取り組むべき事項も見定め、年内に見直す。特に、新型コロナウイルスの感染拡大への対応を踏まえ、強靱なデジタル社会構築の実現に向けて、以下に取り組む。

地方公共団体のデジタル化• 全ての市町村におけるマイナポータル・ぴったりサービスの活用によるオンライン化を促進

ー 従来の紙を前提とした方法をそのままオンライン化するのではなく、地方公共団体が自ら利用者視点に立ったBPRを必ず行って、エンドツーエンドでデジタル化を進めることができるよう、マイナポータルの使い勝手を常時向上させるとともに、優先的にオンライン化に取り組むべき手続の申請フォームのひな形をマイナポータル・ぴったりサービスにプリセット等。

ー 住民等からの申請の総件数が多いが、オンラインで完結できないものについては、その課題を整理。ー やむを得ず対面で手続を行うときにおいても、予約の仕組みの導入を促進。

• 地方公共団体の業務プロセス・システムの標準化、クラウド化、AIの活用等の促進

行政のデジタル化の徹底• デジタル3原則「①デジタルファースト②ワンスオンリー③コネクテッド・ワンストップ」に基づく行政のデジタル化の徹底を図る。その際に必要となる情報システムの整備にあたっては、迅速かつ柔軟に進めるため、クラウドサービスの利用を第一候補として検討するとともに、共通的に必要とされる機能は共通部品として共用できるよう、機能ごとに細分化された部品を組み合わせる設計思想に基づいた整備を推進する。

政府ネットワーク環境の再構築• 行政のデジタル化の徹底の一環として、正常時・非常時のいずれにおいても適切に行政サービスを提供できるように、省庁内の会議はもとより、省庁間の会議などにおいても、リモートで実施することが可能となる環境を早急に整備するとともに、行政の情報システム及びネットワークのうち、特に、基盤となるネットワーク環境について、クラウドサービス利用の本格化を踏まえ、行政全体の最適化や利便性とセキュリティの両立を前提に検討を進め、その整理・再構築に向けた実証等を進める。