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IoTセキュリティを支える技術群 パナソニック株式会社 全社CTO梶本 一夫 20171115

IoTセキュリティを支える技術群ンターによる多重化、データの多重格納 etc. レジリエンス技術 システムはダウンすることを前提に対 応する技術

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IoTセキュリティを支える技術群

パナソニック株式会社

全社CTO室

梶本 一夫

2017年11月15日

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パナソニックの

Internet of Things取組み事例

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技術10年ビジョン ー IoT/ロボティクス領域 -

人工知能、センシング、UI/UXの技術を深化、出口戦略に基づき顧客価値提供

出典 http://www.panasonic.com/jp/corporate/technology-design/10years-vision.html

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Wonder Life-Box (IoT化した未来の生活)

2014/5 東京・有明の弊社ショールームにて、クラウド時代の生活事例を常設展示多くのビジネスパートナー様と、ともに楽しく快適なお客様の生活を想定・提案

未来の街角ショッピング

ショーウィンドウのガラス面が人を検知しサイネージ化情報を光通信でスマホに転送、その場で決済OK

地域とつながるエントランス

家がモノを認識、関連情報の提示で話題づくり水素社会までシームレスな最適エネルギー制御

家との対話で楽しむキッチン&リビング

家がモノや言葉を認識、対話で料理を楽しむスマホと個人に連動した大画面での映像体験

美と健康のプライベートスペース

ARによるファッションシミュレーション非接触センサーによる24時間健康管理

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IoTセーフティ・セキュリティ

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セーフティ&セキュリティでの新たな懸念

垂直統合型から水平分業型への移行⇒一社だけではセーフティ&セキュリティが保証できない世界へ

クローズからオープンへの移行⇒お客様を限定しないB2C商品の改造/侵入への糸口化の不安

WebからIoTへの移行⇒情報漏洩から直接的に生命・財産が侵されるリスクへ(火事、健康被害、盗難、・・・)

B2CからB2B2Cへの移行⇒異業種分野横断での商品・サービス群での協調の必要性

BCP(事業継続性)のリスク⇒セーフティ&セキュリティ対応投資とビジネス収益の関係無限責任の回避

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IoTセキュリティでの注意点(1)

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1)B2C, B2B2Cで製品が一般消費者に渡る場合は、オフラインでのハッキング対策に注意

2)購入時以外に、譲渡、廃棄など製品の全ライフサイクルに渡るリスク分析が必要

3)ネットワークの常識は通じない。製品だけ販売するケースでは、ファイヤーウォールがある前提に立ってはいけない。またデフォルトのパスワードはワンタイム化する、パスワード忘れ対応では多要素認証を行うなどする必要あり

4)製品認証xユーザ認証の徹底により、野良化(管理者不在)の機器が接続に来るのを防ぐ

5)アーキテクチャ全体像は複雑だが、全体像を把握した上で対策を実施

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IoTセキュリティでの注意点(2)

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6)業界分野ごとに過去からのしがらみ(CANの平文通信など)があり、それを熟知した上でプロセスアプローチ・アーキテクチャアプローチ双方で対策を実施

7)セーフティが冒されるケースを重視したセキュリティ対策が必要。しかし、対策結果がかえってセーフティリスクを高めることはあってはならない

(例えば、自動車がハッキングされたことを検知し、運転中に急ブレーキで止める対策は危険なケースもある)

8)製品の組込みソフトウェアにOSSを利用する場合は、ライセンス条件を見て、消費者保護の観点を優先

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IoTセキュリティ対応17の指針(IPA)

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機能安全・セキュリティ・コンプライアンスの全体プロセス機能安全・セキュリティ・コンプライアンスの全体プロセス

検証実装設計企画

リスクの混入予防

リスクの検査・除去

リスク分析

全体検証 本社審査

設計対策 セキュアコーディング等

設計対策レビュー コード検証 システム検証

- つぶやき- VOC

- 他社比較- 雑誌批評- 市場問題…

基盤・商品・サービス

事例分析 +事業判断

全社での情報共有

ツールによる安定した適用

体制・教育による 適用定着

市場からのフィードバック

文書化DB化

IT化プロセス化組織化

パナソニッククラウド

アジャイル的に即時にリリース

コード修正

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セーフティ&セキュリティでの取組み (1)

脅威分析のフロー例 セキュリティ検証のフローと検証項目例

社内の製品セキュリティセンターにて、ホワイトハッカーによるセキュリティ検証サービスを実施

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セーフティ&セキュリティでの取組み (2)製品やサービスのネットワークセキュリティ課題発生時の対応体制(PSIRT: Panasonic Product Security Incident Response Team)

2010/4/1より運用中

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セーフティ&セキュリティ関連技術の分類(1)

技術 内容 キーワード

数学的技術 数学理論により裏付けられる技術 暗号(安全性)、ビットコイン(希少性)、暗号計算(安全な統計処理)

アナログ要素技術 アナログ信号を使った解読など、デジタル情報を支える物理信号に関連する技術

真正乱数(熱雑音の利用)、サイドチャネルアタック(電力量や不要輻射の変化から暗号鍵を解読)

人間行動解析技術 人間の行動解析からリスク検知を行う技術

人のタッチパネル等の操作の癖から個人認証。人のふりをするマルウェアの検知

人事DBと重要情報DBを元に社内人員のアクセスパターンと組合わせて不正行為のリスクが高い人を発見

SNSやYouTube等からテキスト、写真などを分析し、自爆テロ、サイバーテロなどの不法行為の時間を場所、ターゲットを予測

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セーフティ&セキュリティ関連技術の分類(2)

技術 内容 キーワード

生体認証技術 人間の個人認証を指紋等で確実に行う技術

指紋認証、虹彩認証など

耐タンパ化技術 処理を見破られないように実装する技術

難読化(ソースコードを結果は同じだがロジックを追えない複雑な計算に変更)、破壊(ハードの分解を試みると回路、LSIが破壊され中身を見れなくなる)

静的解析技術

セキュアプログラミング技術

ソースコードを解析し、脆弱性の存在を指摘。代替手段でのソース改善方法の提示などを行う。

関数の呼び出し関係も考慮し、脆弱性の中でもリスクが高い、もしくはワンポイント修正で最も効果があるものを、修正方法とともに指定

仮想化技術 ハイパーバイザーで処理を孤立化 redbend, Green Hills等が組込み向けにも提供

セキュアハード技術 ハードウェアとして特殊なモードでしかアクセスできないモードを設けるなど、セキュリティを考慮したつくりを提供。

暗復号エンジン、TrustZone(ARM)、TPM(Trusted Platform Module)による改ざん検出の保証、バススクランブラ、デバッガー認証ROM化時のバックドア封止 etc.

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セーフティ&セキュリティ関連技術の分類(3)

技術 内容 キーワード

フォールトトレランス技術

回路など多重化することにより、一系統が停止しても、もう一系統で動作を継続

ftServer(Stratus社)、複数データセンターによる多重化、データの多重格納etc.

レジリエンス技術 システムはダウンすることを前提に対応する技術

エルイーテック社のマイコンFUJIMI(パチンコなど静電気火花が散る劣悪環境で、敢えて何度もNMIでリセットをかけ、暴走していない状態の保存値を復帰させる、動作の連続性を保証)産総研がMiRKとして汎用化

NetflixのChaos Monkey(サーバ群の一部の常にダウンさせる常駐ソフトにより、わざと常にフォールトトレランスによるリカバリーが動作させることで、動作の連続性を保証)

枯れた技術 古くから実用化され、挙動、寿命などの特性が良くわかっている技術を採用する

衛星打ち上げロケットや人工衛星では、できるだけ安定化した技術の採用とともに、別会社が同じ仕様で別の実装を納入し、それで二重化するなどが実施されている。

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セーフティ&セキュリティ関連技術の分類(4)

技術 内容 キーワード

プロセス技術 手順、権限をはっきりさせ、リスク分析・脅威分析から設計、実装、検証の各内容・結果の相互関係のトレーサビリティを保証する。

脅威分析等の手順ごとに従来は手法の実施において、ExelやWordなどのドキュメントに手作業で書いていたが、ツールチェーンで全体をサポートする方法が、徐々に採用されつつある。フランス原子力庁傘下のLISTがオープンソースとしてeclipseプロジェクトのPapyrusを中核にリスク分析のSOPHIA、セキュリティ脅威分析のEBIOSなどを提供。

またInria社とLISTが組んでC/C++既存コードの改善を図るframaCも提供されている。

ネットワーク・Web技術

ネットワークやWebの特性に由来する脆弱性を防ぐ技術

ポートスキャン対応、Firewall、証明書による改ざん検知、改ざん監視・復旧など。DIT社のWebARGUSなどパッケージもあり

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参考文献(1)

ビットコインを支えるブロックチェーンhttp://sssslide.com/speakerdeck.com/ks91/blockchain-overview

秘匿検索・秘密計算http://www.nstac.go.jp/services/pdf/121116_6-1.pdf

インテルの真性乱数生成器(エントロピー・ソース)https://www.isus.jp/security/drng-guide/

立命館大学 藤野研究室(サイドチャネルアタック対策技術)http://www.ritsumei.ac.jp/se/re/fujinolab/

BIOCATCH社http://www.biocatch.com/

FORTSCALE社https://fortscale.com/

TERROGENCE社https://www.terrogence.com/

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参考文献(2)

IPA生体認証運用の手引きhttps://www.ipa.go.jp/files/000024404.pdf

ICカードリーダの耐タンパ紹介http://sol.panasonic.biz/ic/jt-r400_r230.html

ソフト難読化ARXAN社https://www.arxan.com/

ソースコード静的解析CHECKMARX社https://www.checkmarx.com/

ソースコード静的解析BLACK DUCK社https://www.blackducksoftware.com/

セキュアコーディングSONY DNA社https://www.sonydna.com/sdna/solution/scc.html

RedBend社の仮想化技術を利用したP-04D(スマホ)のパーソナルプロテクトhttp://153.127.246.254/pdf/2013-08-01/122161.pdf

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参考文献(3)

ARM社TrustZone技術解説https://www.arm.com/products/security-on-arm/trustzone

Let’s Note(PC)におけるTPM等の解説http://askpc.panasonic.co.jp/beginner/topics/security04.html

Stratus社のftServerhttp://www.stratus.com/solutions/platforms/ftserver/

産総研のレジリエンスOS MiRK(エルイーテック社の技術を引継ぎ)http://www.itri.aist.go.jp/events/IoTSecSymp16/pdf/20160307poster_ysato.pdf

Netflix Chaos Monkeyhttps://github.com/netflix/chaosmonkey

京都大学 磯部准教授の講座資料(ソユーズで枯れた技術に言及)http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~isobe/etc/seika13/file/Seika-20130618.pptx.pdf

フランスCEA LISTのPapyrusプロジェクト説明http://www-list.cea.fr/en/184-media/list-tv/embedded-systems/195-papyrus

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参考文献(4)

2016/10/21 ISS水平ワークショップでのデジタルインフォメーションテクノロジー社 飯嶋様資料より引用

デジタルインフォメーションテクノロジー社のWebARGUS説明https://webargus-jp.ditproducts.com/

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参考文献(5)

IPSoft社のIPCenterhttp://www.ipsoft.com/ipcenter/

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パナソニックにおける「ことづくり」と「エコシステム」

22(当社資料)

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