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iPS細胞の臨床応用
ー基礎研究から臨床へ
iPS細胞の臨床応用
ー基礎研究から臨床へ
理化学研究所 多細胞システム形成研究センター網膜再生医療研究開発プロジェクト プロジェクトリーダー
神戸市民医療センター中央市民病院 眼科
先端医療センター病院 眼科
高橋 政代
資料1-5
基礎研究
基礎研究
応用研究
応用研究
実用研究
実用研究
臨床研究
臨床研究
臨床治験
臨床治験
事業化
事業化
1996年 2001年 2008年 2013年 2015年 2020年
神経幹細胞 ES細胞
患者会眼科学会
iPS細胞
ヒト幹指針患者選択
理研ベンチャーPMDA,FDA
基礎研究から臨床へ
Why How
網膜再生なんて無理
ES細胞は臨床には絶対使えない
iPS細胞は危険だからまだ臨床は考えるな
臨床研究も始まってないのに治験や事業化を考えるな
2
体性幹細胞(組織幹細胞)
• 間葉系幹細胞→骨、肝臓血液
• 神経幹細胞(脳、網膜)
多能性幹細胞
• ES細胞(胎性幹細胞)
• iPS細胞(人工多能性幹細胞)
幹細胞
3
ES 細胞 と iPS 細胞
OCT3/4
SOX2KLF4
(c-MYC)
Pluripotentstem cells
Somatic cellsProliferation/ differentiatio
n
Fertilized egg
Transplantation therapy
ESCs iPSCsiPSCs
Gene transferInner cell mass
Blastocyst
Blood cellsMuscle cells Neural cells
Retrovirus vector
Plasmid Sendaivirus vector
(L-MYC)
4
世界の状況
5
Estimated Therapeutic Effect
PfizerAnti-VEGF aptamer
MacugenUSA 2004 EU 2006 JP2008
VEGF阻害薬
NovartisAnti-VEGF antibody
LucentisUSA 2006 EU 2007 JP 2009
OHSC / ACTESC-derived RPE cellPhase I/II Clinical trials
(Dry AMD) 2011
RPE移植治療UCL / Pfizer
ESC-derived RPE patch
201x
OHSC Casey Eye Institute, Oregon Health and Science Univ.
ACT Advanced Cell Technology Inc.RIJ Retina Institute Japan Inc.UCL Univ. college London
BayerFusion protein of
VEGFR and IgGEylea (VEGF Trap-Eye)
USA Nov.2011(PMDA and EMA submission
June 2011)
Estimated Approval Timing
Riken / RIJiPSC-derived
RPE sheet201x
5
hiPS-RPE 細胞シートによる加齢黄斑変性治療
加齢黄斑変性
RPE 細胞シート
純化 RPE 細胞
Skin fibrobrasts
遺伝子導入(Reprogramming)
移植
iPS細胞 24 line → 6 line
4ヶ月 4ヶ月
3 line
2ヶ月
分化誘導
6
網膜色素上皮(RPE)の機能
1、貪食能 :視細胞外節の貪食 →視細胞の維持
2、栄養因子 :PEDF →視細胞保護、血管侵入阻止
VEGF →脈絡膜血管維持
3、バリア機能 :タイトジャンクション→網膜血管バリア
4、Visual cycle :レチナール リサイクル
(Osakada, Ikeda et al. Nature Biotechnology 2008)
視細胞
PEDF
VEGF
タイトジャンクション ビーズ貪食電顕像(断面)上から(六角形)
7
網膜変性モデル
RCSラット網膜下へ
ヒトiPS由来RPEシートを移植
有効性試験 移植後の生着と機能
RCS rat
RPEの貪食機能障害
ZO-1 / DAPI
ZO-1 / DAPI
視細胞層が維持されている
移植片
移植部位
対照
(Kamao et al. Stem Cell Report In press) 8
安全性試験のまとめ免疫不全マウスを用いた造腫瘍性の安全性評価試験• NOD-SCID, NOGマウスにマトリゲルに包埋した細胞
を移植することにより高感度で造腫瘍性を検出• PA-1細胞、 Hela細胞などの腫瘍細胞では、約10個
の細胞で腫瘍形成が観察されている。→極めて高感度のアッセイ系
PA-1(1x10e7)移植後7週
iPS作製方法最終的なRPE製造・品質管理工程との差異
一次安全性試験2010年11月~2011年9月
レトロウイルス、センダイウイルス
大きい(原材料、製造方法、製造施設に顕著な差異)
二次安全性試験2011年2月~2012年4月
プラスミド(shp53)小さい(原材料、製造方法、製造施設に顕著でない差異)
三次安全性試験2012年3月~
プラスミド(Glis1)最終的な製造・品質管理工程とほぼ同一
追加安全性試験2012年4月~
プラスミド(Glis1)最終的な製造・品質管理工程とほぼ同一
腫瘍形成無し (Kanemura et al. PlosONE 2013) 9
コスト時間
安全性
安全vsコスト安全vs時間
安全性、コスト、時間どこで安全性の線を引くか
100% 細胞の安全性
手術の安全性
10
iPS由来網膜色素上皮細胞が安全な理由
網膜色素細胞の安全性
iPS細胞作製法の安全性向上
腫瘍形成の少ない眼球内環境
異常検出の感度(眼科検査)
遺伝子導入方法の変化(プラスミド)
色による純化必要細胞数が小さい 純化の確認分裂回数が少ない
OCT: 解像度7ミクロンの網膜断層像
眼科における腫瘍症例数の少なさ
11
【適応基準】
• 滲出型AMD (50 歳以上)
• 矯正視力 0.3以下
• 既存治療による不十分な治療効果
• 臨床研究の意味を理解していること
12
OCT)
【主要評価項目】
• 治療の安全性
【副次的評価項目】
• 視力の保存
• 網膜感度の向上 (MP-1)
• RPE から網膜表面までの長さ(OCT)
• 蛍光眼底造影による漏出の消失(FAG)
FoveaNormal
AMD
臨床研究デザイン
12
治療と検査のスケジュール
*目の検査は、視力検査、眼圧検査、眼底検査、画像検査(OCT)などです。*◎の日は通常の目の検査に加え、蛍光眼底造影、視機能検査(ERG、MP-1)、視野検査を
行います。*◆はがんの検査として、頭部および胸腹部CT、便中ヒトヘモグロビン(陽性の場合、大腸内
視鏡→大腸内視鏡で異常がなければ上部消化管内視鏡を実施)、尿細胞診、PSA(男性のみ)、乳房診察/マンモグラフィ(女性のみ)、子宮頚管パパニコロー(女性のみ)、CEAおよびCA19-9を行います。△は血液検査、尿検査を行います。
*アンケートは、目の見え方による日常生活のしやすさや不便さについてのアンケートです。
皮膚採取 判定
検査の
時期
検査の
内容
通院 入院 通院
移植手術前 手術 移植手術後 (経過観察期間)
10ヶ月
前
28日
以内当日
3日
1週
2週
1ヶ月 2ヶ月 3ヶ月4ヶ月
5ヶ月6ヶ月
8ヶ月
10ヶ月1年
年1回
3年間
目の検査 ◎ ◎ ○ ○ ○ ◎ ○ ◎ ○ ◎ ○
その他の検査 ◆△ ◆△ △ △ ◆△ ◆
アンケート ○ ○ ○ ○ ○ ○
13
マイクロペリメーター
MP-1網膜機能判定装置視野(網膜視感度)をカラー眼底写真と重ねる局所視野計
14
Nature DigestNOVEMBER 2014, VOLUME 11 NO 11
News in Japan
物理学賞は青色LEDを開発し た3人に p2松尾 義之
doi:10.1038/ndigest.2014.141102
2014年のノ ーベル物理学賞は、 窒化ガリ ウムによる高輝度青色LED( 発光ダイ オード ) を
開発し た3人の研究者に贈ら れるこ と になっ た。 赤﨑勇・ 名城大学教授、 天野浩・ 名古屋
大学教授、 中村修二・ カ リ フ ォ ルニア大学サンタ バーバラ 校教授の各氏だ。
日本語本文PDF (999 KB)
Nature News
羨望を集める日本の幹細胞臨床研究 pp3 - 4Sara Reardon & David Cyranoskidoi:10.1038/ndigest.2014.141103
iPS細胞から 作成さ れた網膜の移植手術が、 世界に先立って日本で行われた。 他の国々で
も 、 研究者たちがiPS細胞治療の臨床研究へのゴーサイ ンを今か今かと 待ちわびている。
日本語本文PDF (1,117 KB)
15
ISSCR
幹細胞の臨床応用に関するガイドライン
2008年12月作成
2014年改訂予定
日本の法律を紹介してほしい
16
再生医療等製品の実用化に対応した承認制度(条件・期限付承認)
条件・期限を付して承認
承認又は
条件・期限付承認の失効
治験(有効性、安全性の確認)
承認臨床研究
【従来の承認までの道筋】
【再生医療等製品の早期の実用化に対応した承認制度】 ※患者のアクセスをより早く!
患者にリスクを説明し同意を得、市販後の安全対策を講じる。
市販
市販後に有効性、さらなる安全性を検証
臨床研究
承認又は
条件・期限付承認の失効
市販
引き続き市販
治験(有効性の推定、安全性の確認)
期限内に再度
承認申請
<再生医療等製品に従来の承認制度を適用する場合の問題点>
人の細胞を用いることから、個人差を反映して品質が不均一となるため、有効性を確認するためのデータの収集・評価に長時間を要する。
・有効性については、一定数の限られた症例から、従来より短期間で有効性を推定。・安全性については、急性期の副作用等は短期間で評価を行うことが可能。 17
製品:iPS細胞由来網膜色素上皮細胞
シート手術リスク: 大
浮遊液手術リスク: 小
自家製造コスト: 大
自家/シート2013年6月~(臨床研究)
自家/浮遊液
他家製造コスト : 小 他家/シート 他家/浮遊液
F1 Car
カローラ
HLA 3座ホモiPS細胞バン
ク
HLA typesCiRA
18
再生医療の費用 対 効果
1903治療
10年?
臨床研究
1970
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患者にとっての危険性比較
iPS 細胞 ES細胞
移植
リスク 大
リスク 小→
iPS由来RPE
ES由来RPE
移植
免疫抑制剤
無治療100%
20
各分野の納得するデータが必要
科学者の
基準
規制当局の
基準
臨床医の
基準
臨床研究 治験
マイクロアレイエピゲノム
安全効果
トレーサビリティ安定性GLP試験
医師法 薬事法
再生医療
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