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1 PEN May 2012 May 2012 Volume 3, Number 2 PEN Public Engagement with Nano- based Emerging Technologies N E W S L E T T E R ISSN 2185 - 3231

ISSN 2185 - 3231 PEN...PEN May 2012 1 May 2012 Volume 3, Number 2 PEN Public Engagement with Nano-based Emerging Technologies N E W S L E T T E R ISSN 2185 - 3231 2 PEN May 2012 Table

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  • 1PEN May 2012

    May 2012

    Volume 3, Number 2

    PENPublic Engagement with Nano-based Emerging TechnologiesN E W S L E T T E R

    ISSN 2185 - 3231

  • 2 PEN May 2012

    Table of Contents

    連載 生物規範工学 第九回 

    自己組織化の工業化を目指し、 バイオミメティクスの適用へ ………… 3

    土曜集中講座 「ナノテクノロジー社会受容特論」 の公開について ………… 12

    短期連載 韓国のナノテクノロジーの研究開発 ① …………………………… 15

    海外動向 ……………………………………………………………………… 19

    国内動向 ……………………………………………………………………… 24

    Cutting-Edge Technologies

    プレスリリースより ………………………………………………………… 28

    豊蔵レポートより ………………………………………………………… 37

    台湾 ITRI より …………………………………………………………… 48

    韓国 NNPC より ………………………………………………………… 53

    PE ヘッドラインより ……………………………………………………… 55

    バイオミメティクス研究会より …………………………………………… 60

    MEMS 関連情報 ………………………………………………………… 62

    書籍出版のご案内 …………………………………………………………… 65

    イベント案内 …………………………………………………………………… 66

    編集後記 ……………………………………………………………………… 68

    Column 構造色をもつ鳥② キジ ……………………………………………………………………………… 23

    Column どくとるマンボウ昆虫展 ………………………………………………………………………………… 52

    Cover:春の竹林

    「瞬く間に成長した」と物語に書かれているかぐや姫のように、竹は春に生えた筍が 10 メートル程度まで一気に伸びた後は 100 年に一度の花が咲いて枯れるまで姿が変わりません。人の寿命が今よりもはるかに短く、死が身近にあった平安時代の人々が、竹に不老長寿の力を感じて語り継いだのが竹取物語だったのかもしれません。

  • 3PEN May 2012

    1.はじめに

    2011 年 3 月 11 日の東日本大震災をきっかけに、今まで

    日本人がおざなりにしてきた非常に大きな課題がクローズ

    アップされた。その課題こそが、エネルギー問題である。

    地震が引き起こした大津波による福島第一原発での事故が

    起因となった電力不足から計画停電などを経験し、我々の

    生活が如何に電気に依存しているかを痛感させられた。現

    在、原発の安全性への不安から、各地の原発は定期検査後

    の再稼動を見合せている。地震以前には原発増設により原

    発を中心にしたエネルギー政策がたてられていた。原発の

    安全神話が崩壊し、原発増進の道が閉ざされたことによっ

    て、エネルギーの大転換への道を突き進む必然に直面する

    こととなった。今回の地震は、我々日本人の生活の大きな

    ターニングポイントとなる可能性が高い。実際にはエネル

    ギーの転換が完了するまでには、エネルギーの需給バラン

    スが崩れ深刻なエネルギー不足になる可能性やエネルギー

    の質の低下により現在まで人間が築いてきた安定な電力供

    給を前提とした工業プロセスからの転換の必然性も再認識

    されている。

    これまで人間が築いてきた工業化プロセスでは、化石燃料

    をエネルギー源とし、鉄、アルミ、シリコン、そして希少

    元素を原料として、リソグラフィー等を駆使したトップダ

    ウンの加工技術によりモノを作り、情報や価値を生み出し

    てきた。これに対し、低エネルギーで典型元素を中心とし

    て自己集合や自己組織化というボトムアップの加工技術が

    連載 生物規範工学 第九回

    自己組織化の工業化を目指し、バイオミメティクスの適用へ

    三菱レイヨン株式会社 横浜先端技術研究所 魚津吉弘

    昨今注目を浴びている。ボトムアップの加工技術は、この

    ような省エネという一面とともに、トップダウンの加工技

    術では困難な大面積加工や超微細加工の可能性を有してい

    ることからも期待されている。

    生物は太陽光や化学エネルギーを用いて、炭素を中心とす

    る有機化合物を主だった原料として、分子集合や自己組織

    化によってモノを作る、「生物の技術体系」とも言うべき

    仕組みを持っている。上述のような技術のトレンドのなか

    で、今世紀に入り欧米を中心に、「自然に学ぶモノつくり」

    のひとつである「バイオミメティクス」が改めて注目され

    始めている。

    2.ボトムアップとしての自己組織化の利用

    規則的な構造を有する機能性材料の作製に関しては、現在

    大部分は半導体用レジストや成形材料の金型など、まずは

    構造を形成するための規則性を機械加工やリソグラフィー

    等により形成している。人の意思によって、その時点で手

    に入れた加工手法によって規則的構造を形成する、いわゆ

    るトップダウンの加工方式である。トップダウンの加工方

    式では、規則構造の微細化とともに加工設備が非常に大き

    くなってきて、研究開発設備でさえ単独の企業ではもてな

    いようなレベルになってきた。また、トップダウンの加工

    方式では、将来的な目標である規則性のサイズの実現も不

    可能となってきた。そこで最近注目を集めているのが、ボ

    トムアップの加工方式である自己組織化の手法を利用した

  • 4 PEN May 2012

    新たな材料設計である。自己組織化の手法による材料設計

    では、用いる加工設備は比較的簡易でかなり安価のもので

    済ませられること、ならびに一般的に大面積での構造形成

    が可能だという大きなメリットを有している。ただし、こ

    の自己組織化現象は、作製される組織化構造が完璧には制

    御できず、欠陥が必ず存在するという欠点を有している。

    自己組織化現象を工業化プロセスに適用するには、このよ

    うな規則性の不完全性を許容するようなアプリケーション

    を見出すことか、トップダウンの手法との組み合わせで高

    度な規則性を付与することが重要なポイントである。

    3.自己組織化現象を利用した研究開発

    自己組織化現象の代表例としては、高分子の世界ではブ

    ロックコポリマーのナノ相分離構造形成があげられる。材

    料設計や加工条件を整えることにより、自己組織的にナ

    ノオーダーの様々な構造形成が実現されている [1]。 ま

    た、高分子の溶液キャストを加湿下で行うことにより、マ

    イクロオーダーではあるが規則的なハニカム状の構造が形

    成できることもよく知られている現象である。これらの手

    法では大面積での加工が可能であり、工業化へ向けた開発

    が進められている [2]。自己組織化はこれらの現象だけで

    はなく、非常に多くのバリエーションが知られている。そ

    の中で、三菱レイヨンにおいても自己組織化現象を利用し

    た研究開発を進めている。これらの研究は屈折率分布型プ

    ラスチックロッドレンズの研究を通じて、色々な検討を

    行ってきた結果たどり着いたものである。一つは、レンズ

    材料の特性をさらに向上させるために、材料探索研究を進

    めてきた中で偶然見出した現象(セレンディピティ)に関

    するものである。もう一つは、蛾の目の表面を模倣し微細

    凹凸を形成した無反射構造を、工業化を目指し大面積に形

    成することを目的とした研究である。ロッドレンズの研究

    者として屈折率分布をいかに効率良く形成するかを考える

    なかで、蛾の目の表面の微細凹凸構造に関心を寄せるよう

    になっていた。この研究は、現在バイオミメティクスの代

    表的な研究となりつつある。本稿では一連の研究の起点と

    なったロッドレンズの紹介から、これら自己組織化現象を

    用いた工業プロセスの開発に向けた取り組みの現状、なら

    びにその開発におけるバイオミメティクス適用の意義に関

    して解説していきたい。

    4.拡散と反応の制御によるプラスチックロッドレンズの製造技術

    ロッドレンズとは図1に示すように直径1mm 程度の円柱

    状の物体であり、中心から円周にかけて連続的に屈折率が

    減少していることを特徴としている。このような屈折率分

    布を有していることで、特定の長さで切断すると、1対1

    の正立実像を形成することから、ファクシミリ、スキャナ

    や、多機能プリンタ等の原稿読み取り用のレンズとして用

    いられている。プラスチックロッドレンズは、複数の屈折

    率の異なるモノマーとポリマーとの溶解混合物(原液)を

    図2に示すように、複合ノズルより押し出し糸状とした後

    に層間でモノマーを拡散させ、モノマーの分布を形成した

    (屈折率分布を形成した)後に、紫外線を照射することで

    モノマーを重合するという工程により作製される。各層の

    ロッドレンズの原液は拡散光を用いて重合硬化すると、透

    明なレンズ材料として使用できる。[3]

    図 1 ロッドレンズの構造と機能

    図 2 相互拡散法の製造プロセス概要

  • 5PEN May 2012

    5.平行光線照射によるマルチシリンダー構造の形成技術

    プラスチックロッドレンズに用いる原液のポリマーとモノ

    マーとの均一溶解物を平行光線により重合硬化すると、図

    3 に模式的に示すように光線の方向に自己組織的にマルチ

    シリンダー状の構造が形成される [4]。この現象はレンズ

    材料の開発を進める中で 20 年近く前に偶然に見出した現

    象である。図4に光照射面から観察した代表的な相分離構

    造の光学顕微鏡写真を示す。この図から確認できるように

    直径が約 5 μ m で間隔が約 10 μ m のドメインが一面に

    形成されていることがわかる。また、アスペクト比 100

    を超えるシリンダー構造が形成可能である。これらマルチ

    シリンダー構造の形成は、光重合速度(光開始剤量、光強度)

    や、光重合の進行とともに形成されるネットワーク構造(オ

    リゴマー分子構造)に依存することを実験的に確認してい

    る。この構造の形成起源は、反応拡散系における Turing

    不安定性 [5] との関わりを理解することが重要と考え検討

    を進めているが、いまだにその形成メカニズムの解明には

    至っていない。

    図 3 平行光によるマルチシリンダー構造の形成

    図 4 自己組織化構造の光学顕微鏡による観察

  • 6 PEN May 2012

    6.トップダウンの手法との組み合わせテクスチャリングの手法を用いた規則性の向上

    光硬化性樹脂フィルム中に、自発的に形成される規則的な

    構造には、自己組織化では避けがたい不完全性が見られる。

    このマルチシリンダー構造は回折格子としての利用が考え

    られるが、回折格子への適用には規則性の向上が必須であ

    る。より高い規則性を付与するためには、フォトマスクに

    よる前段硬化を用いたテクスチャリング法が効果的である

    ことが確認されてきた。ゲル化点近傍における構造の誘起

    をテクスチャリング法によりアシストし、引き続いて行わ

    れる平行光束の紫外線照射により、構造を成長させ固定化

    することにより、高度な規則性を有するマルチシリンダー

    構造の形成が実現される [6] (図5)。図6にレーザー光を

    これらのフィルムに通して得られた回折パターンを示す。

    自発形成のみで作製したフィルムを通したパターンでは、

    ビームスポットの滲みや散乱成分が確認される。一方、テ

    クスチャリングを施したフィルムを通したパターンでは、

    それらは認められなかった。

    自己組織化現象の工業化のためには、このようにトップダ

    ウンの手法と組み合わせて、従来の手法では形成すること

    が困難な超規則構造の形成に結びつけることが一つの方向

    性であると考えられる。

    7.構造制御への考え(図7)

    平行光線照射により形成されるマルチシリンダー構造 (a)

    に関して検討を積み重ねてきたが、ドメインサイズがミク

    ロンサイズの範囲でしか実現できないこと、並びにドメイ

    ン間にはわずかな組成の差しかなく屈折率差が小さく、回

    折や拡散にしか利用ができないという制約がある。様々な

    光学素子の可能性のあるサブミクロンオーダーでの構造形

    成を思考し研究企察を進めた結果、同じ画で表現できる陽

    極酸化法によるアルミナナノホールアレイの活用へと行き

    着いた。アルミナナノホールアレイを金型として用い、ナ

    ノインプリントによりポリマーに構造を転写することで、

    可視光の波長オーダーの表面構造 (b) を形成可能である。

    また、空気とポリマーとからなることから、屈折率差も大

    きくなる。さらにはその空気の部分に機能性材料を埋め込

    む (c) ことにより、更なる機能性の付与も期待して研究に

    取り組んでいる。その研究のマイルストーンとして、モス

    アイ型無反射フィルムの開発に取り組んでいる。

    図 5 テクスチャリング法による配列精度の改良

    図 6 フィルムを通した回折パターン

    図 7 表面機能化研究の展開

  • 7PEN May 2012

    8.アルミナナノホールアレイを用いたモスアイ型反射防止フィルムの製造技術開発

    自己組織化現象を利用した工業化プロセス研究の二つ目

    は、神奈川科学技術アカデミー(KAST)の益田秀樹教授

    と共同で研究を進めているモスアイ型反射防止フィルムの

    開発である。

    1)モスアイ型反射防止フィルムとは

    ディスプレイにとっては外光から生じる反射光の影響で、

    画像が見えにくくなるという現象が生じ、その反射光の影

    響を低減化することがディスプレイの特性を改善するため

    の大きなポイントとなっている。反射光の影響を防ぐフィ

    ルムとしては、反射光をぼやかす Anti-Glare (AG)フィル

    ムと反射光自体を低減化する Anti-Reflection (AR)フィル

    ムとがある。現在、AG フィルムは、液晶ディスプレイに

    多く用いられており、AG フィルムはプラズマディスプレ

    イに用いられてきた。AG フィルムは反射光をぼやかすた

    めに、ディスプレイの解像度を落とすという欠点を有して

    いる。一方、現在各社より上市されている AR フィルムは

    多層膜タイプのものであり、各層の屈折率及び膜厚制御を

    行うことで反射光同士が干渉して打ち消しあうように設計

    されている。この多層タイプのものは多くの層を積み重ね

    ることで、かなり広い波長範囲の光の反射を抑えることが

    可能である。ただ、コスト面からの要請から、一般的にディ

    スプレイ用途で用いられている AR フィルムは2層フィル

    ムであり、視感度の最も大きな 570nm 付近の光の反射を

    強く防止するような設計となっている。

    一方、これとは異なる原理でナノオーダーの微細な凹凸構

    造を表面に形成することで、空気と基材の界面で屈折率を

    連続的に変化させて反射を防止できることは、学術的には

    以前から知られていた。この構造は図8に示す蛾の目の表

    面構造を模倣したものであり、一般にモスアイ構造と呼ば

    れ、バイオミメティクスの代表的な例である [7]。しかし

    ながら、このようなナノオーダーの微細な凹凸構造を大面

    積で作製することは難しく、工業的には実用化されていな

    い。

    2)モスアイ型アルミニウム金型の作製とインプリント技

    アルミニウムを陽極酸化した時に自己組織的に形成される

    アルミナナノホールが、大面積に、しかも、曲面に形成で

    きる [8] という特性を利用すれば、シームレスな大型のロー

    ル金型の形成が可能であるとの確信のもと検討を開始し

    た。

    アルミナナノホールアレイの構造は、セルと呼ばれる一定

    サイズの円柱状の構造体が細密充填した構造となってい

    る(図9)。各セルの中心にはセル径の約1/ 3の径を有

    する均一な径の細孔が配置しており、各細孔が膜面に垂直

    に配向して配列している。それぞれのセルのサイズ(細孔

    の間隔)は、陽極酸化の際の電圧に比例する。陽極酸化時

    の電圧を変化させることによって、細孔間隔を 10nm から

    500nm 程度の範囲で制御することが可能である [9]。テー

    パー形状を有するアルミナナノホールアレイからなるモス

    アイフィルム形成用金型の形成方法を、図 10 を用いて説

    明する。まず、シュウ酸水溶液を電解液として用い定電圧

    下で、アルミニウムの陽極酸化を行う。次に形成した細孔

    をエッチングにより拡大する処理を行った。エッチングに

    より孔径拡大処理を行ったものを、シュウ酸水溶液を電解

    液として用い定電圧下で、アルミニウムの陽極酸化を行う。

    すると、ナノホール底面よりセル径の1/ 3の径を有する

    細孔が形成される。底部にはセル径の1/ 3の径を有する

    細孔その上部にエッチング処理により拡大した径の部分が

    形成された複合形状のナノホールアレイが形成される。こ

    の一連の処理を複数回繰り返すことにより擬似的なテー

    パー形状を有するモスアイ金型が形成される [10]。

    モスアイフィルムは図 11 のような光ナノインプリントの

    工程により作製した [11]。まず、アルミナナノホールアレ

    イ金型に光硬化性樹脂を充填し、PET 等の透明な基盤フィ

    ルムをかぶせる。この基盤フィルムは酸素による重合阻害

    を防止するという目的も持っている。次に、基盤フィルム

    側からUV光を照射し、光硬化性樹脂を硬化させる。最後

    に保護フィルムと一体化した形状を付与した樹脂を金型か

    ら剥離する。この一連の工程を経由して、モスアイ型反射

    防止フィルムが作製される。基盤となるフィルム上に、モ

    スアイ型反射防止コーティングを行うことにより、モスア

    イ型反射防止フィルムが形成される。基盤となるフィルム図 8 蛾の目の表面構造

  • 8 PEN May 2012

    としてはアクリル系フィルム、ポリエステルフィルム、ポ

    リカーボネートフィルム等が用いられる。図 11 の下側の

    写真は、左は作製したテーパー形状を有するアルミナナノ

    ホールアレイを有するモスアイ金型の断面の SEM 写真で

    あり、中央がモスアイ金型の表面の SEM 写真である。直

    径約 100nm のテーパー状の細孔がきれいに配列した形状

    となっている。また、右の図は UV ナノインプリントによ

    り形成したモスアイフィルムの TEM 写真である。モスア

    イ金型の形状がきれいに転写されていることが確認でき

    る。

    図 9 アルミナナノホールとその作製方法

    図 10 テーパー状アルミナ金型作製の模式図

  • 9PEN May 2012

    図 11 モスアイフィルム作製プロセスの模式図

    図 12 反射防止フィルムの反射率図 13 反射防止フィルムの映り込み評価結果

    3)モスアイフィルムの光学特性

    標準的なモスアイフィルムの反射率の測定データを図 12

    に示す。従来品の AR フィルムは視感度の最も高い 570nm

    付近の反射を選択的に防止するような特性を有しているの

    に対し、モスアイフィルムは可視光域全域において反射率

    を下げることが可能であることが分かる。また、反射率の

    入射角度依存性も良好であり、入射角度 50 度付近までは

    ほぼ無反射で、60 度になってはじめて反射率は 1% を超

    える。アクリルシートの両面に反射防止フィルムを貼り付

    け、映り込みの比較を行ったのが図 13 である。右側の市

    販の反射防止フィルムを用いた場合、強い映り込みが確認

    できる。一方、モスアイフィルムを貼ったのが左側である

    が、映り込みはほぼ確認できなかった。

  • 10 PEN May 2012

    が 1.5 で計算すると、ピッチは 267nm 以下であれば無反

    射特性となる。モスアイ構造はピッチが 267nm 以下であ

    れば無反射の特性となるということであり、ピッチがそれ

    以下の中でフレても無反射構造であるということを意味す

    る。すなわち、モスアイ構造は多少の構造の欠陥は特性に

    影響しない、規則性の不完全さを許容するアプリケーショ

    ンである。このようにモスアイ無反射フィルムは、自己組

    織化の工業化のための最適なアプリケーションと考えられ

    る。

    10.まとめ

    自己組織化の手法による材料設計では、基本的にエネル

    ギー消費が少なく省エネであるということ、用いる加工

    設備は比較的に簡易でかなり安価なもので済ませられるこ

    と、ならびに一般的に大面積での構造形成が可能だという

    大きなメリットを有している。多くの解説では省エネの面

    並びに安価な加工設備の面が強調されたものとなっている

    が、本稿では工業化に結びつく最も大きなポイントと考え

    られる大面積加工の可能性にポイントを絞って解説を行っ

    た。

    自己組織化現象を工業的に適用した事例は、現在までのと

    ころ非常に数少ない。自己組織化現象を工業的なプロセス

    へと結びつけた成功例として挙げられるように、これらの

    技術の工業化を目指し多くの研究開発が進められている。

    そのための強力なツールとしてバイオミメティクスは期待

    されている。

    References:[1] 鎌田香織、化学と工業、58(3)、231-232 (2005)

    [2] 下村政嗣、高分子、55(1)、28(2006)

    [3] 魚津吉弘、廣田憲史、高分子論文集、61(1)、51-66 (2004)

    [4] 魚津吉弘、服部俊明、川原田泰、藤井泰行、高分子学

    会予稿集、55(2)、3413(2006)

    [5] Castets, V., Dulos, E., Boissonade, J., and De Kepper, P.,

    Phys. Rev. Lett., 64, 2953-2965 (1990).

    [6] 茶谷俊介、實藤康一郎、服部俊明、刀禰誠司、2006

    式 1

    4)ロール to ロールによるモスアイ型フィルムの連続的製

    造技術

    数 10cm 単位の大きさのロール形状で鏡面加工したアル

    ミニウムをシュウ酸水溶液を電解液として用い定電圧下で

    陽極酸化を行い、次に細孔径を拡大する処理を行った。こ

    れを複数回繰り返して表面にテーパー形状のアルミナナノ

    ホールを有するロール金型を得た。

    得られたロール金型を用いて光硬化性樹脂を用いてロール

    to ロールで連続的に樹脂フィルム上にモスアイ構造を転写

    した。樹脂表面及び断面を電子顕微鏡により観察したとこ

    ろ、バッチで検討していた時と同様に、100nm 周期の均

    一なサイズのモスアイ構造がナノインプリントされている

    ことを確認した。得られたフィルムの反射率測定を行った

    ところ、可視光波長域において反射率及び反射率の波長依

    存性が低いことがわかった。このように、ロール金型を用

    いた連続光ナノインプリントの可能性を確認した。

    9.バイオミメティクスと自己組織化現象の工業化

    微細構造の大面積での加工技術の実現のためには、自己組

    織化現象の適用が最も可能性が高いと考えられる。しかし

    自己組織化現象で形成される規則構造には、規則構造の乱

    れ “ いいかげんさ ” が必ず存在する。自己組織化を工業化

    するためには、テクスチャリングによりマルチシリンダー

    構造の超規則性を実現したように、トップダウンの加工技

    術との組み合わせにより規則構造の乱れを解消する方向性

    がある。ただ、トップダウンの加工技術がベースにあるの

    で、大面積の加工にはつながらない。自己組織化現象の特

    性を十分に活かし大面積加工技術を実現するためには、構

    造の “ いいかげんさ ” を許容するようなアプリケーション

    を見出すことが必須である。

    ここで生物に目を移してみる。生体に帰属する表面構造は

    特性としては、完全な機能の発現が必須である。また、生

    体を構成する構造は、基本的には自己組織的に形成される。

    ただ、自己組織化による構造形成は、規則性に不完全さが

    必ず存在する。生体の表面構造では、規則性に不完全さが

    存在するにもかかわらず、完全な機能が実現されている。

    生体は自己組織的な構造形成の最良のお手本であり、自己

    組織化を工業的に利用する際の非常に良い指針となると考

    えられる。

    モスアイの場合を例にして考えてみる。モスアイ構造はア

    スペクト比などの満たすべき条件はあるが、式1の関係を

    満たす限り無反射の特性を実現するものと計算されてい

    る。最もピッチが小さくなる条件、波長 400nm で屈折率

  • 11PEN May 2012

    年第 15 回ポリマー材料フォーラム、2PB12

    [7] P. B. Clapham & M. C. Hultley, Nature 244, 281 (1973)

    [8] H. Masuda and K. Fukuda, Science, 268, 1466 (1995).

    [9] T. Yanagishita, K. Nishio, and H. Masuda, J. Vac. Sci. B,

    25, L35 (2007).

    [10] T. Yanagishita, K. Yasui, T. Kondo, K. Kawamoto K.

    Nishio, and H. Masuda, Chem. Lett., 36, 530 (2007)

    [11] 魚津吉弘:日本接着学会誌 “ モスアイ型反射防止コー

    ティング ”、46(5)、173 (2010)

  • 12 PEN May 2012

    ナノサイエンス・ナノテクノロジーは専門領域を横断した

    学際的な研究分野であり、その成果の多くが学問体系の枠

    組みを超えて急速に発展しています。

    そのことを踏まえ、大阪大学では、研究科、研究所・センター

    を横断するナノサイエンス・ナノテクノロジーに関する人

    材育成のために、理工学系大学院の博士前期課程(修士)・

    博士後期課程(博士)向けの副専攻型プログラムと、ナノ

    テクノロジー関連企業で働く社会人向けの高度教育プログ

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    では、ナノ理工学の基礎から応用に亘る専門的知識を育む

    ことはもちろんですが、同時にナノ理工学の研究開発に携

    わる人なら是非知っておいて欲しいナノテクノロジーの社

    会受容、すなわち新たなナノサイエンス・ナノテクノロジー

    を社会で活用する際の科学技術政策、リスクアセスメント、

    リスク管理手法、標準化、科学技術コミュニケーションな

    どの基礎知識とその考え方を育むことにも力を入れていま

    す。我が国のものづくり産業に資する新規科学技術の実用

    化には世界的展開が不可欠であり、ナノ理工学の多様性と

    迅速性の故に基礎科学技術の初期の時期から、ナノテクノ

    ロジーの社会受容を世界的にかつ戦略的に実践することが

    必須となっています。我が国が世界に立ち後れている社会

    受容の実践家を幅広く育てると共に、ナノ理工学分野、ナ

    ノテクノロジー産業にかかわる科学技術者自身が、自分の

    専門と社会受容との関連を日頃から議論し、 必要に応じて

    実践に結びつける訓練を積むことも極めて重要です。

    大阪大学では 2009 年度に、(社)大阪大学ナノ理工学人

    材育成産学コンソーシアムと連携して、ナノテクノロジー

    社会受容セミナー入門編を開催するとともに、産業技術

    総合研究所イノベーション推進室ナノテクノロジー戦略W

    Gが主催する「ナノテクセミナー 2009 大阪 ~みんなで

    学ぼう リスク管理策~」を共催しました。これらは社会

    受容の専門家を養成するためのものではありませんが、現

    在と将来のナノ理工学に関わる科学者・技術者が持つべき

    共通認識として、極めて大切な内容を含み、多くの先進諸

    国でもその知識普及と実践の必要性が謳われているもので

    す。そこで、2010 年度より産業技術総合研究所 ナノシス

    テム研究部門の協力を得て、大阪大学ナノ高度学際教育研

    究訓練プログラムの大学院生と社会人受講生に共通の土曜

    特別集中講座「ナノテクノロジー社会受容特論」として正

    式開講しました。数名の政策担当者、企業開発担当者、学

    内教員等が講義を担当します。社会受容、科学技術コミュ

    ニケーションに関する視野を身につけ、産業化における問

    題点、リスクアセスメント並びに管理手法、標準化、知財

    等の基礎知識、科学技術政策の考え方を学びます。この講

    座は、1 日は基本的に午前 3 時間、午後 3 時間の 2 テー

    マの組み合わせですが、各テーマは各々同じ重みを持った

    時間配分の講義と討論により構成されていることが特徴で

    あり、少人数のグループ討論では受講生が自分の専門に対

    してケーススタディーを行うことができます。

    2012 年度は 3 日間の日程で、以下の要領で大学院生 ・ 社

    会人受講生に対して開講しますが、同時により幅広い分野

    の社会人の方々にも参加していただけるように、ナノ関連

    企業にお勤めの研究者・技術者の方々にも本講座を一般公

    開します。なお、本講座は遠隔講義システムを用いたライ

    ブ中継により受講場所も大阪以外に複数設けてありますの

    で、お近くの会場を選んでご参加下さい。1 日だけの参加

    も可能です。

    平成 24 年度大阪大学ナノ高度学際教育研究訓練プログラム

    土曜集中講座「ナノテクノロジー社会受容特論」の公開について

    大阪大学ナノサイエンスデザイン教育研究センター 特任教授 伊藤正

  • 13PEN May 2012

    (1)開講場所

    ・大阪大学中之島センター 7 階セミナー室(講師来訪)

    ・大阪大学東京オフィスサテライト教室 (遠隔配信による

    講義)

    上記の2教室については下記を参照下さい。http://www.sigma.es.osaka-u.ac.jp/pub/nano/02_shakaijin/map/Maptop.htm

    ・四日市商工会議所内サテライト教室 (遠隔配信による講

    義)

    (2)プログラム

    第 1 回 6 月 2 日(土)

    ナノテクノロジー研究開発における社会受容の重要性を理

    解すると共に、研究開発・産業応用におけるナノテクノロ

    ジー知財の問題点を探る。

    1. 10:00-10:10 「はじめに(履修ガイダンス)」

    伊藤正(大阪大学ナノサイエンスデザイン教育研究セ

    ンター 特任教授)

    2. 10:10-13:00(討論1時間 20 分を含む)

    「ナノテク社会受容とは」

    阿多誠文(産総所ナノシステム研究部門)

    日本におけるナノテク社会受容の必要性を初期から提

    唱し、その普及を図ってきた立場から、研究開発の現

    状と社会受容に対する各方面の動向を概観し、受講生

    にナノテク社会受容の重要性を認識してもらいたい。

    3. 14:00-17:00(討論1時間 30 分を含む)

    「ナノテク知財」

    玉川惟正氏(Thomson Reuters(株)、Yet2.com(株)

    Executive Adviser、英国Nanoco Technologies社 副社長)

    特許の歴史、欧米企業の特許戦略の歴史、21 世紀の欧

    米の産官学の Patent 戦略、Intellectual Property (知的

    財産ではなく知的資産であること)、等を踏まえて、ナ

    ノテクに関する Open Innovation、Global Business 戦略、

    New Business、社会受容体と特許戦略について解説し、

    ナノテクベンチャー起業家ならばどうすべきかを考え

    る。

    第 2 回 6 月 30 日(土)

    ナノ材料分析の標準化とそのための計測技術の重要性、ナ

    ノ材料の安全性の問題を理解し、いかに共有するかを考え

    る。

    1. 10:00-13:00(討論1時間 30 分を含む)

    「ナノ計測と標準化」

    田沼繁夫氏((独)物質・材料研究機構中核機能部門 部

    門長)

    ナノ材料は非常に幅広いが、昨今の計測技術ではナノ

    レベルの分析自体は特段難しいわけではない。しかし、

    材料をそのまま計測・分析しようとすると多くの困難

    に遭遇する。ここでは、材料のキャラクタリゼーショ

    ンの歴史とその意義から始め,特に表面・微小領域分

    析法の対象として考えた「実際の材料」としての「ナ

    ノ材料」分析の標準化の動向と問題点について考える。

    2. 14:00-17:00(討論1時間 30 分を含む)

    「ナノリスクとマネジメント」

    山根秀信氏(シャープ ( 株 ) ドキュメントソリューショ

    ン事業本部)

    エレクトロニクスメーカーにおいて、永年化学物質の

    安全性評価に携わってきた経験から、直面する新たな

    リスク “ ナノリスク ” をどう捉え、どのように対応して

    いかなければならないのかを欧米や国内の取組み事例

    を参考に考える。

    第 3 回 7 月 14 日(土)

    企業の立場からのナノ材料の安全性に関する国際標準化の

    考えを学び、あわせて情報活用の重要性を知る。シリーズ

    講義の纏めとして、ナノテクノロジー社会受容への各人の

    取り組みを考える。

    1. 10:00-13:00(討論1時間 30 分を含む)

    「ナノテク国際標準化」

    柳下皓男氏(JFE テクノリサーチ ( 株 ) ビジネスコンサ

    ルティング本部)

    工業ナノ材料の国際標準化・安全性評価関連の作業に

    係わっている立場から、ナノ材料定義やナノ材料含有

    製品の表示および安全性に関する標準化機関・規制 当

    局の動向と、この動きに対する欧米産業界の取組みを

    紹介し、国際的視野および CSR の観点から日本企業が

    取るべき対応について共に考える。

    2. 14:00-14:30

    「ナノテクノロジー情報の活用」

    関谷瑞木氏(産総研ナノシステム研究部門)

    月刊誌 PEN の活動などを通じた研究開発における情報

    活用の有効性を述べる。

    3. 14:30-17:00

    「パネル討論」

    パネラー(予定):阿多、玉川、田沼、山根、柳下、関谷、

    伊藤(敬省略)

    今回のシリーズ講義で取り上げた課題は、いずれもナノテ

    クノロジーの社会受容にとって極めて重要な要素であり、

    これからのナノサイエンス・ナノテクノロジーの発展に欠

    くことの出来ないものである。パネル討論でその認識を深

    めると共に、お互いにどのようにリンクしながら、国際的

    なナノサイエンス・ナノテクノロジー推進に結びつくかを

    考える。

  • 14 PEN May 2012

    なお、最終日には講義終了後、中之島センター 7 階セミ

    ナー室にて講師と受講生を交えた交流会を開催しますの

    で、奮ってご参加下さい。

    (3)受講費用

    大阪大学ナノ理工学人材育成産学コンソーシアム会員企

    業関係者は無料、一般参加者は資料代3回分一括で 3,000

    円を頂戴します。

    (4)受講申込方法

    下記事項について、メールで下記の期日までにお申込み下

    さい。

     締め切り 第1回から:5 月 23 日(水)

          第2回から:6 月 20 日(水)

          第3回のみ:7 月 4 日(水)

    追って、参加費支払い方法、講義資料の受領方法をお知ら

    せ致します。

    ※メール返信先:[email protected]

    ※申込必要事項(返信内容)

    ・御氏名:

    ・所属企業名:

    ・受講日:

    ・受講場所:(日により受講場所が異なる場合は、日付と

    受講場所を対で明記のこと)

    (5)問い合わせ先

    大阪大学ナノサイエンスデザイン教育研究センター

    伊 藤 正、 小 川 久 仁、 片 山 京 子(Tel:06-6850-6397、

    -6995、e-mail: [email protected]

    URL:http://www.sigma.es.osaka-u.ac.jp/pub/nano/

  • 15PEN May 2012

    短期連載 韓国のナノテクノロジーの研究開発 ①

    韓国のナノテクノロジー研究開発戦略と投資の現状産総研ナノシステム研究部門ナノテクノロジー戦略室 安順花

    1. 韓国のナノテクノロジー戦略、その背景

    韓国は今や情報通信技術だけではなくナノテクノロジーに

    おいても先進国に仲間入りをしたが、その理由はどこにあ

    るのだろうか。韓国のこれまでの経済成長の長い道のりを

    振り返ることで、その答えを見出すことができるだろう。

    昨年 12 月 5 日、日本の経済産業省に相当する韓国の知識

    経済部は、暫定集計ではあるが、韓国の貿易規模について、

    輸出 5,153 億米ドル、輸入 4,855 億米ドルで、1 兆ドル

    を突破したと発表した。これは半世紀前の 1962 年 1 月、

    輸出主導による経済成長を図って韓国政府による経済開発

    5 ヵ年計画が策定・施行されて以来の快挙である。

    1960 年代に韓国は主に農水産物や鉄鉱石等を輸出してい

    たが、現在は半導体、船舶、自動車、電子電気製品等の先

    端製品が主要輸出品目となっている。とりわけ半導体の場

    合、1960 年中盤、米国、日本等からトランジスタとダイ

    オード等半導体部品を下請け、組立、生産していたことか

    ら、1974 年には CMOS チップの生産、1983 年には 64K

    DRAM の開発、1992 年には世界初の 64M DRAM の開発

    等にいたる目覚ましい発展を続けてきた。以降半導体産業

    は韓国経済成長及び輸出をけん引する代表産業として位置

    づけられるまでになり、2010 年には単一品目としては史

    上初の輸出 500 億ドルを達成している。よく知られてい

    るように、これら半導体・電子電気製品等先端分野は激し

    い技術競争とコスト競争に晒されている。この分野での技

    術の差別化、コスト削減に欠かせない技術領域が情報通信

    技術(IT)であり、ナノテクノロジーである。

    韓国政府は 1990 年後半から、IT を産業発展の原動力と位

    置付けた。その戦略の下で韓国は IT 強国入りをしたもの

    の、1998 年の金融危機や IT バブルを経験したことから、

    新たな成長エンジンが必要となった。韓国経済の成長を再

    加速させる有用な分野としてナノテクノロジーが取り上げ

    られたのである。ちょうど 2000 年頃には、ナノテクノロ

    ジーが今後成長する有望な分野として期待され、米国等先

    進国を中心に次々に国家科学技術戦略に基づいてその研究

    開発が取り組まれはじめた時でもあり、IT 産業の更なる成

    長を導く未来の戦略テーマと位置づけられ、中長期的な研

    究開発投資の戦略が策定された。

    韓国は内需市場が小さく、輸出主導型経済成長を進めてき

    た結果、表 1 に示すように、韓国経済は世界的に見ても貿

    易依存度の高さを見せている。そのため、韓国は対外環境

    要因に敏感な経済構造を持っていると同時に、持続的な経

    済成長の解も輸出で探さなければならない。とりわけ競争

    の激しい半導体、自動車、IT 機器の輸出主力分野で国際競

    争力をより一層高めていくためには、更なる先端技術を取

    り入れなければならない。韓国産業の主力分野である半導

    体の需要を牽引するのは、携帯電話、ディスプレイ等の IT

    製品であるが、半導体、情報通信技術分野においてナノテ

    クノロジーは極めて重要な要素技術である。そのため、ナ

    ノテクノロジーは表 2 から分かるように韓国の研究開発費

    の割合においても IT に続き 2 番目となり、重点育成分野

    として戦略的に位置づけられている。

    表 1  貿易 1 兆ドル国家の貿易依存度(2010 年)

    出典:韓国知識経済部(2012)

    国 米国 ドイツ 中国 日本 フランス オランダ 英国 イタリア 韓国

    貿易依存度(%) 22.0 72.8 49.5 25.1 42.7 114.6 43.2 44.0 87.4

  • 16 PEN May 2012

    2. 韓国におけるナノテクノロジー戦略

    このような背景のもと、2001 年 7 月、韓国国家科学技

    術委員会は「ナノテクノロジー総合発展計画(2001 ~

    2010)」を策定した。そのなかで「ナノテクノロジー開発

    促進法」第 4 条および同法施行令第 2 条に従い、ナノテ

    クノロジー研究開発の促進のため、5 年ごとの研究開発計

    画を策定するよう法的根拠を設けられている。これによっ

    て国によるナノテクノロジーに対する長期的な戦略と継続

    的な研究開発投資の支援が可能となった。日本も 5 年ごと

    の科学技術基本計画を策定しているが、それはナノテクノ

    ロジーに限ったものではなく科学技術全般の計画である。

    これがナノテクノロジーに特化した研究開発計画を策定す

    る韓国と異なる点である。

    このような背景から施行された第 1 期ナノテクノロジー戦

    略では、5 年以内にナノテクノロジーの研究開発のための

    主要インフラを構築し、2010 年までに先進 5 か国の技術

    競争力を確保し、技術的優位を持つ少なくとも 10 件以上

    の最高技術を確保するとのビジョンを示した。

    その後第 2 期計画では、① 2015 年に先進 3 大国の技術

    競争力の確保、②ナノテクノロジー融合による新技術の先

    占、③安全かつ豊かな社会の実現を 3 大ビジョンとして、

    ① 30 以上の世界トップ技術の確保、②世界のナノ関連市

    場で 20% の占有率(5000 米ドル)、③診断及び治療技術

    の画期的な向上、④エネルギー及び環境問題への対策の提

    示を 4 大推進目標として挙げた。

    2011 年から 2020 年にわたる第 3 期総合計画では、世界

    一流のナノ強国を目指し、①体系的なナノテクノロジー

    R&D プログラムに基づいたナノテクノロジー先導国家入

    り、②ナノテクノロジーによる未来新産業の創出、③ナノ

    テクノロジー研究開発における社会的・倫理的責任の強化、

    ④優秀ナノ人材の育成及びインフラの活用の極大化の四つ

    の目標を挙げた。

    ナノテクノロジー開発を国家のコア戦略とした韓国政府

    は、先進国レベルの競争力を備えるために様々な戦略に取

    り組んできた。文部科学省に当たる韓国教育科学技術部の

    「2009 ナノ基礎・源泉技術中期戦略」では、7 大 R&D 重

    点支援技術、4 大インフラ、3 大成果を目指す「743 細部

    戦略」が推進された。ここでいう 7 大重点支援技術とは、

    ①ナノ融合素材、②次世代素子、③ナノバイオ、④ナノエ

    ネルギー、⑤ナノ工程装備、⑥物性評価指標、⑦安全性

    評価のことであり、4 大インフラとは、①ナノファブセン

    ター、②人材育成教育、③国際共同研究、④制度改善・運

    営のことであり、3 大成果とは、①基本特許の先占、②専

    門人材の確保、③技術水準の向上のことである。また 7 大

    重点支援技術は、さらにナノ融合素材等 35 の細部技術に

    分けられていた。

    引き続き 2011 年には融合型ナノテクノロジー開発の革新

    的システムの構築に向けた「ナノ融合 2020 事業」が策定

    され、2012 から 2020 年までの 9 年間に総額 1 兆 7500

    億ウォンが投資される見込みである。ここでは、ナノ融合

    技術の商用化による新市場と新産業の創出を目指し、①世

    界先占型グローバルヒット商品 10 件を開発、②世界トッ

    表 2 韓国における重点分野の研究開発費の推移

    出典:韓国ナノテクノロジー発展施行計画 (2011)、単位:億ウォン ※ 1000 ウォン=約 70 円

    2005 2006 2007 2008 2009 2010

    IT 88,680 97,230 109,949 116,501 123,543 147,369

    バイオ 14,115 18,099 23,537 26,349 30,089 34,591

    ナノ 29,134 36,568 38,120 42,326 45,994 55,891

    航空宇宙 4,089 5,000 5,331 5,949 4,878 5,481

    環境 17,424 17,408 23,680 29,330 34,651 48,196

    文化技術 1,249 3,345 2,406 2,986 3,574 5,029

    そのほか 86,865 95,808 109,992 121,540 136,556 141,992

    合計 241,554 273,457 313,014 344,981 379,285 438,548

  • 17PEN May 2012

    プのナノ融合技術 10 件の確保、③ナノ融合技術を活用し

    た売上企業 50 社の育成、④新市場・新産業創出型融合技

    術 200 件を開発、⑤オープンナノ融合 R&D 支援体制の構

    築を 5 大目標とした。これの推進事業としては、3 大重点

    融合分野の 10 大戦略事業で構成されている。3 大融合分

    野とは、①ナノテクノロジー(NT)-情報通信技術(IT)、

    ② NT -バイオテクノロジー(BT)、③ NT -環境工学技

    術(ET)である。

    3. 成果

    こうした政府の積極的な取組に支えられ、2001 年から

    2009 年までの約 10 年間に韓国のナノテクノロジー研究

    開発は目を見張るような発展を達成した。

    まず、同期間の投資額からみると、7 省庁から 9 年間合計

    2 兆 1,276 億円が投資された。その内訳をみると、教育科

    学部 9,981 億ウォン(46.9%)、知識経済部 6,112 億ウォ

    ン(28.7%)、環境部 1,112 億ウォン(5.2%)等である。

    2001 年から 2005 年の第 1 期ナノテクノロジー総合発展

    計画では 1 兆 705 億ウォン、2006 年から 2010 年までの

    第 2 基計画では 1 兆 3,105 億ウォンが投資された。部分

    別でみると、R&D 投資額が持続的に増加しており、イン

    フラ部門への投資は 2005 年以降減少傾向を見せている。

    技術レベルの向上も顕著だった。韓国による相対評価で

    あるが、ナノテクノロジー技術水準では、2001 年基準で

    米国に比べ当時の 25%程度から 2008 年には 75%まで追

    い上げた。また、研究成果である論文数を見ると、2009

    年ナノテクノロジー分野の Science Citation Index(SCI)

    ジャーナルに掲載された論文数は 2001 年比で 10 倍以上

    増えて 2,499 件となり、2008 年から世界第 4 位を維持

    している。1997 年から 2009 年までの累積論文数は合計

    13,170 件で世界第 5 位レベルである。米国での公開特許

    登録件数は 2001 年 81 件(6 位)から持続的に増加し、

    2005 年 461 件を記録して以降、第 3 位を維持している。

    インフラ面では、2009 年まで大田総合 Fab センター、水

    原特化 Fab センター、浦項・全州・光州集積センター、大

    邱実用化センターのナノインフラ施設 6 か所を構築し、産

    学連携サービスを実施している。

    人材育成については、2001 年には大学のナノテクノロジー

    関連学科がわずか 3 カ所しかなかったものの、2010 年に

    は 43 カ所へと増加し、在学生数も過去 5 年間で 5 倍に増

    加した。

    産業化では、ナノ銀を用いた衣類、化粧品等の生活用品、

    家電製品、自動車、ディスプレイ・半導体等を中心で商品

    展開が行われている。またナノテクノロジー関連企業数

    も着実に増えつつある。2005 年に中小企業を中心として

    154 社あったナノテクノロジー関連企業は、2009 年には

    184 社へ増加している。技術別にナノテクノロジー関連企

    業を分類すると、ナノ素材(35.1%)、ナノ工程(18.2%)、

    ナノ測定(11.7%)、ナノ素子(8.7%)、ナノバイオ(12.6%)、

    その他(13.7%)である。

    このような顕著な成果に基づき、2011 年発表された第 3

    期ナノテクノロジー総合計画では、世界的なナノ強国の建

    設を目指すビジョンを示した。ここでは、2020 年までに

    米国のナノテクノロジー技術水準の 90%にまで追い上げ、

    ナノテクノロジー先導国家となること、融合及びグリーン

    産業への波及効果の多いナノ融合基盤技術を 30 件以上確

    保するというナノテクノロジーをもとにした将来新産業の

    表 3 韓国のナノテクノロジー R&D に対する投資額の推移

    出典:韓国第 3 期ナノテクノロジー総合発展計画(2011)、単位:億ウォン

    01 02 03 04 05 06 07 08 09 10

    合計 1,052 2,121 2,375 2,480 2,676 2,788 2,814 2,429 2,543 2,427

    R&D 955 1,589 1,644 1,631 1,700 1,938 2,044 1,764 2,303 2,075

    インフラ 30 456 626 702 840 688 609 526 110 224

    人材育成 67 76 105 147 136 162 159 139 130 127

  • 18 PEN May 2012

    創出、ナノテクノロジーに係わる優秀人材数を 2020 年ま

    で 20000 人にまで育成する優秀ナノ人材育成及びインフ

    ラの活用の最大化、2020 年まで環境・健康・安全(EHS)

    に対する投資割合を 7% にまで引き上げるというナノテク

    ノロジーの研究開発における社会的・倫理的責任の強化の

    5 つの目標が示されている。

    さらに詳しく述べると、①未来社会需要解決型ナノテクノ

    ロジーの開発として、デバイス、バイオ等 5 大分野 30 技

    術の重点育成、②ナノテクノロジー専門人材の養成として、

    修士・博士の研究開発人材の養成、産業現場の専門人材の

    養成、③ナノインフラの運営活性化として、ナノインフラ

    の活性化のための制度的基盤構築、運営体系の改善、④研

    究開発の社会的・倫理的責任の強化として、EHS 関連制度

    的基盤構築、ナノ物性の測定及び評価の基盤技術の確保、

    EHS 情報ネットワークの構築及び EHS 国際研究への参加、

    ⑤効果的支援体制の強化として、政府投資の持続的拡大、

    省庁間国家ナノテクノロジー開発の推進体制の改善を図る

    予定である。

    References:[1] 韓国知識経済部、プレスリリース http://www.mke.go.kr/news/coverage/bodoView.jsp?seq=70863&pageNo=2&s

    rchType=1&srchWord= 무역&pCtx=1

    [2] 韓国政府のナノテクノロジー戦略、李仁植、PEN、

    2011 年 12 月、Vol.2, No.9、産総研

    [3] 第 3 期ナノテクノロジー総合発展計画(2011~2020)

    ( 案 )、国家科学技術委員会、2011.4.19

  • 19PEN May 2012

    【政策】 フランス、ギリシャで緊縮財政に逆風(2012.5.7) 5 月 6 日に行われたフランス大統領

    選の決選投票で、野党社会党のオラ

    ンド氏が現職のサルコジ氏を破って

    勝利した。勝利演説でオランド氏は、

    これまでドイツとフランスがリード

    して進めてきた欧州連合(EU)の緊

    縮財政の見直しを明言した。同じ日

    にギリシャで行われた総選挙でも、

    反緊縮策を掲げた急進左翼進歩連合

    が第 2 党に躍進するなど、緊縮財政

    に対して厳しい結果が突きつけられ

    た。この結果、財政再建を進めてき

    た中道右派・新民主主義党を中心と

    する連立与党が過半数割れに追い込

    まれた。EU が協調して取り組もう

    としていた財政再建の枠組みが崩れ、

    欧州の財政不安が再燃する可能性も

    ある。 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120507/

    k10014927761000.html

    【ELSI、医薬品】 ノートルダム大学、ナノ医薬品の倫理的課題に取り組む(2012.4.27) 米国のノートルダム大学では、ナノ

    テクノロジーの社会的な影響につい

    て議論の活発化のため学内外から参

    加者を募り Nano Impacts Intellectual

    Community という定例の会合を月に

    一度開いている。ナノ医薬品の倫理、

    ナノテクノロジー製品、ナノテクノ

    ロジー研究の学際性などについて議

    論を深めている。 http://newsinfo.nd.edu/news/30536-notre-dame-

    leads-in-the-discussion-of-the-ethical-and-societal-

    impacts-of-nanotechnology/

    海外動向

  • 20 PEN May 2012

    【規制策、食品、医薬品】 カナダ保健省、食品規制を合理化(2012.4.26) カナダ保健省は食品医薬品法を改定し、非効率な手続きを

    減らし合理化する。ツールを導入し、現在実施されている

    上市前の安全性評価の機能を損なうことなく、手続きを合

    理化する。これにより製品の許認可のスピードが上がるこ

    とが期待されている。 http://www.hc-sc.gc.ca/ahc-asc/media/nr-cp/_2012/2012-58-eng.php

    【食品、ナノ材料、EHS】 マサチューセッツ大学アムハースト校、ナノカプセル作製プロジェクトを立ち上げ(2012.4.26) マサチューセッツ大学アムハースト校の食品科学の研究

    チームが、農務省から 40 万ドルの研究支援金を受けて、

    油溶性のビタミンなどを食品に添加するため自然素材で

    ナノカプセルを作製するプロジェクトを立ち上げた。プロ

    ジェクトの実施期間は 3 年である。 http://www.umass.edu/newsoffice/newsreleases/articles/152326.php

    【政策、規制策】 スイス、合成ナノ材料戦略の継続を決定(2012.4.25) スイスの Federal Council は、2008 年に採択した戦略計画

    の 2015 年までの継続を 4 月 25 日に決定した。公開され

    た「合成ナノ材料の戦略計画」は、スイス国内におけるナ

    ノ材料の安全な取り扱い説明している。戦略計画は、規制

    策の構築、健康・環境リスク低減のための科学的基礎の構

    築、リスクとベネフィットに関するパブリックダイアロー

    グの促進などを目標としている。 http://www.bafu.admin.ch/publikationen/publikation/00574/index.html?lang=en

    【EHS、リスク管理】 国際共同研究でセンサーを開発(2012.4.25) ドイツのテュービンゲン大学が率いる国際共同研究プロ

    ジェクト INSTANT で、消費者製品中のナノ粒子の検出と

    分析を行うための電気化学的なセンサーの開発を行ってい

    る。プロジェクトは、欧州連合(EU)から 380 万ユーロ

    の研究資金を受け、6 カ国から 10 の機関が参加している。

    また、EU のイニシアチブであるナノ安全クラスターとも

    連携している。 http://www.nanowerk.com/news/newsid=25007.php

    【研究開発、CNT】 柔らかいメモリー素子を開発(2012.4.25)韓国科学技術院(KAIST)、ナノ総合ファブセンター、ソ

    ウル大学は、カーボンナノチューブ(CNT)を使い、折り

    曲げられる柔らかいメモリー素子を開発した。樹脂の中に

    CNT を溶かし金属薄膜で挟んだ。2 種類の CNT を使って

    2 段階の記憶機能を持たせた。CNT に何も加えないで作っ

    た素子よりも、オンとオフの切り替え動作が 100 倍以上

    速くなり、寿命も 100 倍以上に延びた。今回の研究成果

    は 4 月 20 日付の Nano Lettes のオンライン版に掲載され

    た。 http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/nl204039q

    【リスク管理】 消防士とナノ粒子(2012.4.24) 消防関係者の間では火災現場で発生する煙は健康上問題が

    あることが知られている。ナノ材料を用いた製品が燃えた

    場合に発生する煙にも懸念が向けられている。カナダのオ

    タワではナノテクノロジー製品によるリスクが不明確なた

    め、消火活動の際には常に自給式の呼吸器を装着するよう

    求めている。また、消火活動の現場でできるだけ煤を洗い

    流すように勧めている。 http://www.firehouse.com/news/10705138/nanotechnology-spells-danger-for-

    firefighters

    【医薬品】 ナノ医薬品の現状について活発な議論(2012.4.24) 2012 年 4 月 19 ~ 20 日にナノテクノロジーの医薬品分

    野の専門家がベルリンで一同に会した。シンポジウムでは

    ナノ医薬品の現状について非現実的な将来像を描くことな

    く注意深く科学に基づいた議論が行われた。ナノ粒子の造

    影剤利用、ナノカプセルなどが紹介され、ナノ構造の定義、

    ナノ医薬品のリスク、倫理的課題についても活発な議論が

    行われた。 http://www.nanowerk.com/news/newsid=24999.php

    【ナノ材料、EHS】 UCLA、ナノ粒子の毒性予測モデルを開発(2012.4.23) カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の研究チー

    ムが、金属酸化物ナノ粒子の電気特性と溶解度を分析する

    ことのできる毒性予測モデルを開発した。 http://cen.acs.org/articles/90/web/2012/04/Model-Predict-Nanoparticle-Toxicity.

    html

  • 21PEN May 2012

    酸化銅(Ⅱ)と 100nm より大きな酸化銅(Ⅱ)、そして

    銅イオンの 3 種の材料に曝露させ、細胞への吸収と DNA

    への影響を分析した。ナノサイズの粒子に曝露させたナズ

    ナでは 2 倍の損傷を観察した。また、細胞への吸収も多く

    なっていた。DNAの損傷はナズナと牧草では異なっていた。

    さらに、3 種の植物全てで根と芽の成長が阻害された。 http://www.nist.gov/mml/biochemical/nanoparticles-041712.cfm

    【科学技術教育】 テネシー州、公立学校で進化論への反論を授業に取り入れることが可能に(2012.4.13) キリスト教保守派の影響が強い米国テネシー州で、公立学

    校の教師が進化論や地球温暖化に対する反論を教えること

    を許容する州法が成立し、Bill Haslam 州知事が承認のサ

    インをした。これをモンキー法と呼んで反対してきたテネ

    シー科学教員連盟等は、「教師が疑似科学的な考えを教え

    ることが法律で保障されることになる」と反発している。

    対して推進派は、既存の科学的学説の良いところや欠点の

    理解を助ける法律だとし、特定の宗教に基づく価値観を押

    し付けるものではないと主張している。 http://scienceline.org/2012/04/the-state-of-tennessee-vs-the-theory-of-evolution/

    【政策、リスク管理】 タイ、ナノ安全性戦略計画の一環としてセミナーを開催

    (2012.4.11) タイは 2012 年~ 2016 年までを実施期間とする「ナノ安

    全性と倫理戦略計画」を施行し、ナノテクノロジーの研究

    開発と並行してリスクの課題にも取り組んでいる。タイの

    国立ナノテクノロジー研究センター(NANOTEC)と国連

    訓練調査研究所(UNITAR)は、キャパシティビルディン

    グのためのパイロットプロジェクトを実施している。本プ

    ロジェクトの一環として、NANOTEC は、UNITAR、国立

    科学技術開発機構(NSTDA)と共催で、市民にナノ材料と

    ナノテクノロジー製品の環境と健康への影響について理解

    を深めてもらうため、大学や政府から専門家が招かき「ナ

    ノテクノロジー開発と社会、ナノ安全性、倫理」のテーマ

    で 3 月 27 日にセミナーを行った。 http://www.nanotec.or.th/en/?p=3534

    【化学物質規制、WEEE】 EC、WEEE 指 令 改 訂 案 へ の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を 採 択

    (2012.4.11) 欧 州 委 員 会(EC) は、4 月 11 日 に 廃 電 気 電 子 機 器

    (WEEE)指令の改訂案第 2 読会へのコミュニケーション

    【規制策、食品、化粧品】 FDA、ナノテクノロジーを用いた食品および化粧品のガイドラインを公開(2012.4.20) 米国食品医薬品局(FDA)は、ナノテクノロジーを用いた

    食品および化粧品に関する企業向けのガイドラインを公開

    した。FDA は、ナノテクノロジーを用いた食品や化粧品は

    人体に未知の影響を及ぼす可能性があるとして、食品や化

    粧品企業に対してデータの収集を継続するように求めた。

    FDA は消費者団体がナノテクノロジーを区別して規制する

    ように求めた 2006 年の請願は却下した。 http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm301125.

    htm

    FDA の両ガイドライン公開に関連するニュースhttp://www.newhavenindependent.org/index.php/archives/entry/fda_to_

    manufacturers_we_need_to_t/

    【食品、リスク管理】 FDA、 ナ ノ テ ク ノ ロ ジ ー 製 品 の 規 制 方 針 を 明 確 化

    (2012.4.20) 米国の食品医薬品局(FDA)の理事 Hamburg 氏は、FDA

    の今後のナノテクノロジー製品の規制策について、定義を

    定めて規制するのではなく、科学に基づき製品ごとに規制

    をする方針であると述べた。Hamburg 氏の発言は 2011

    年にパブリックコメントのために公開されたガイドライン

    で述べられている方針について改めて表明したもの。 http://www.foodnavigator-usa.com/Regulation/Nanotech-regulation-may-become-

    more-nuanced-in-light-of-experience-says-Hamburg

    【化学物質管理、REACH】 ECHA、ナノマテリアルの情報提供要件ガイドラインの付属書案を CARACAL へ提出(2012.4.18) 欧州化学品庁(ECHA)は、ナノマテリアルに関する情報

    提供要件と物質安全性評価ガイダンスの R.8, R.10, R14 の

    各章の付属書案 3 件を、REACH および CLP の所管官庁協

    議会 CARACAL へ提出した。 http://nanotech.lawbc.com/2012/04/articles/international/echa-forwards-draft-

    guidance-concerning-nanomaterials-to-caracal/

    【EHS、ナノ材料】 ナノ粒子が植物の成長を阻害する可能性が指摘される

    (2012.4.17) 米国の国立標準技術研究所(NIST)とマサチューセッツ

    大学アムハースト校の共同研究チームが、ナノ粒子が植物

    に蓄積し、DNA に損傷を与える可能性があることを明ら

    かにした。試験はナズナと 2 種の牧草を、ナノサイズの

  • 22 PEN May 2012

    COM(2012)139 を採択した。EC は本コミュニケーション

    で、電気電子機器類に含まれるナノマテリアルの潜在的な

    リスクは適切な規制策によって把握できるとの方針を示

    し、必要に応じ特別な措置を講じるか否かを判断するとし

    ている。WEEE の改訂は、2008 年に、行政手続きの合理

    化と、電気電子機器類の廃棄量の一層の削減と適切な処理

    の促進のため、回収目標の数値などを盛り込んて提案され

    た。 http://ec.europa.eu/environment/waste/weee/index_en.htm

    【ナノ材料、規制策、EHS】 SCENIHR、銀ナノ粒子に関する情報提供を要請(2012.4.10) 欧 州 委 員 会(EC) の Scientific Committee on Emerging

    and Newly Identified Health Risks(SCENIHR)は、環境・

    健康・安全(EHS)評価のために銀ナノ粒子に関するデー

    タの提供を呼びかけている。これは 2011 年 12 月に出さ

    れた EC の求めに応じたものである。EC は、医療機器や

    日用品で使用される銀ナノ粒子にマクロスケールの銀粒子

    とは異なるリスクがあるか、細菌が薬剤耐性を獲得する可

    能性はあるのかについて SCENIHR の意見を求めている。

    SCENIHR の情報提供は 6 月 4 日に締め切られる。 http://nanotech.lawbc.com/2012/04/articles/international/ec-scientific-committee-

    requests-information-on-nanosilver/

    【食品、ナノ粒子】 米国の研究チーム、飲み物から放射性物質を取り除く技術を開発(2012.4.5) 米国のオクラホマ州立大学の研究チームが、飲み物、牛乳、

    食品などから放射性物質や重金属を取り除くカプセルを開

    発した。研究チームによると、金属酸化物ナノ粒子が飲み

    物から放射性物質や重金属といった不要な物質を「ひっぱ

    りだす」という。研究チームは、今後半年から 1 年の内に

    製品化する予定でいる。 http://www.beveragedaily.com/Regulation-Safety/US-scientists-develop-wonder-

    capsule-that-pulls-radioactive-substances-out-of-beverages

    【食品、食中毒】 金ナノ粒子でサルモネラ菌の検出を容易に(2012.3.30) 米国のジャクソン州立大学の研究チームが、金ナノ粒子を

    用いて食中毒の原因となるサルモネラ菌を素早く、しかも

    低コストで検出することができる技術を開発した。サルモ

    ネラ抗体を載せた金ナノ粒子は、病原体に遭遇すると表面

    にサルモネラ菌を取り込む。一つ以上の金ナノ粒子が病原

    体に取りつくことができ、検出は容易だという。また、実

    験で同じく食中毒の原因菌である大腸菌の検出にも成功し

    ている。 http://www.foodqualitynews.com/Innovation/Gold-nanoparticles-offer-quick-and-

    easy-Salmonella-detection-developer

    【EHS、ナノ材料】 BfR、銀ナノ粒子をテーマに会議を開催(2012.2.8)ドイツの連邦評価研究機関(BfR)は、銀ナノ粒子の製造

    と消費者製品への応用の現状を紹介する会議を 2012 年 2

    月 8 ~9日に開催。 欧州委員会(EC)の共同研究センター

    (JRC)も代表を送った。プレゼンテーション資料は BfR

    のウェブサイトに公開されている。 http://ihcp.jrc.ec.europa.eu/our_activities/nanotechnology/jrc-ihcp-contributes-to-

    the-bfr-conference-on-nanosilver

  • 23PEN May 2012

    構造色をもつ鳥② キジ

    キジはまるい翼を持つ、がっしりとした丸みのある鳥です。良く発達した足を持ち、走るのが得意で、基本的に地上で生活する鳥です。危険が迫るとまず力強い羽ばたきでヘリコプターが飛び上がるように垂直に空中に飛び上がった後、水平飛行に移ります。グリコーゲンを燃焼させる短距離用の筋肉を使って飛ぶため、長く飛ぶことができません。昔話では桃太郎のお供をして鬼が島まで出かけますが、実際には生まれた場所から数キロメートル以内で暮らします。

    オスは体の下面が緑色の金属光沢の羽で覆われ、模様の入った長い茶色の尾羽、顔のほほ肉が変化した赤いひだ、耳の形に後方に突き出した羽角と呼ばれる飾り羽を持つ華やかな鳥です。一方メスは全体が黄褐色のまだら模様で、尾羽も短いものです。オスとメスで羽の色が異なる鳥は、繁殖期以外はオスもメス同様の地味な色になり、両者の区別がつかなくなることが多いのですが、キジのオスは1年中美しい羽を保ったままです。非常に臆病な鳥で、繁殖期に縄張りを主張して「ケーン」というけたたましい声で鳴く以外にはほとんど鳴かず、さえずったりはしません。

    キジは北海道と対馬を除く本州から九州まで広く分布しています。森林近くの畑地や草地、芦原などに暮らしています。日本の国鳥とされており、さらに多くの自治体で市町村の鳥に指定されている身近な鳥で、桃太郎はじめ昔話や短歌などにもよく登場します。毎年狩猟用にかなりの数のキジが放鳥されていますが、その多くは人ではなくオオタカのような猛禽類の餌食となります。

    Column

  • 24 PEN May 2012

    ヒト ES 細胞で筋萎縮性側索硬化症の症状再現 京都大学 物質-細胞統合システ

    ム拠点(iCeMS)はヒト ES 細胞

    から筋萎縮性側索硬化症の症状を

    再現した。これは 9 日付京都新

    聞が報じたもので、iCeMS は米誌

    Stem Cells Translational Medicine

    で研究成果を公表。 http ://www.47news . jp/news/2012/05/

    post_20120509111730.html

    大学や国研のナノテク設備を民間開放 文部科学省はナノテクノロジープ

    ラットフォーム事業として、全国

    の大学・研究機関が所有する、先

    端的なナノテクノロジー研究設備

    の共用ネットワークを構築し、画

    期的な材料開発に挑む産学官の利

    用者に対して、最先端の計測、分

    析、加工設備の利用機会を高度な

    技術支援とともに利用機会を提供

    する。これは「科学技術イノベー

    ションを支える先端的ナノテクノ

    国内動向

  • 25PEN May 2012

    ロジー研究基盤の充実強化」事業として本年度の予算が組

    まれていたもので、18 億円が助成される。5 月 1 日付日

    経新聞は、大学のナノテクノロジー装置とその用途を掲載

    した。 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/015-5/shiryo/__icsFiles/afi

    eldfile/2012/01/18/1315160_04.pdf

    注目されるヤモリテープ 5 月 1 日付日経新聞は、「ヤモリの足から生まれた最先端

    のテープ」とする木崎編集委員の署名記事を掲載した。こ

    れを作製したのは日東電工(株)で、直径数ナノ~数十ナ

    ノメートルのカーボンナノチューブが1平方センチメート

    ルあたり 100 億本の密度で並んでいる。せん断方向の接

    着力は、1平方センチメートルテープで 500 グラムに達し、

    工業的に十分な接着力である。いわゆる糊を使っていない

    ことから、めくれば簡単に剥離でき、粘着剤が残ることも

    ない。また繰り返し使うこともできる。このような、生物

    や植物などの持つ特異な構造や機能を工業的に応用する、

    生物規範工学の研究や商品の開発が加速しつつある。

    また同日、日経モノづくりも「自然の英知に学ぶ生物模倣

    (バイオミメティクス)の実用例が続々登場、環境対応を

    ナノテクが後押し」と題する特集を組み、企業が取り組む

    生物模倣製品のレポートしている。 http://www.nitto.co.jp/rd/report/2009_90/pdf/2009_90_11.pdf

    科学技術コミュニケーション推進事業「活動実施支援」平成 24 年度新規採択企画の決定 科学技術振興機構(JST)は、科学技術コミュニケーショ

    ン推進事業において、国民の科学技術リテラシーを高める

    とともに、国民の科学技術に対する理解、信頼と支持を得

    ることができるように、多様な科学技術コミュニケーショ

    ン活動を推進している。4 月 25 日、毛利衛氏がセンター

    長を務める科学コミュニケーションセンターの科学技術コ

    ミュニケーション推進事業において、「活動実施支援」の

    平成 24 年度新規採択企画を決定した。 http://www.jst.go.jp/pr/info/info878/index.html

    原子力発電稼働率ゼロに 現在国内には 50 基の原子力発電所が存在する。北海道電

    力の泊原発 3 号機が 5 月 5 日より 8 月上旬にかけ、第 2

    回定期検査を実施、5 月 7 日に冷温状態となり出力を停止

    したことから、国内の原子力発電所からの電力の供給が全

    て止まった。 http://www.hepco.co.jp/info/2012/1188298_1474.html

    つくば市、竜巻被害が発生 5 月 6 日午後 1 時頃、茨城県つくば市北条地区および隣接

    する桜川市、筑西市で相次いで竜巻が発生し、大きな被害

    が出た。つくば市の被害状況をまとめたデータによると、

    死者 1 名、負傷 37 名、全壊 170 棟、半壊 207 棟、一部

    損壊 450 棟に上った。現在の科学では竜巻の発生を予測

    するのは 1%という低い確率に留まっているが、スーパー

    セルと呼ばれる水平方向に回転する大規模な積乱雲が竜巻

    を発生させることが知られている。水戸気象台は今回の竜

    巻で漏斗型の積乱雲を確認している。水戸気象台が茨城県

    に竜巻注意情報を出したのは 6 日の午後 0 時 38 分で、そ

    の 7 分後に竜巻が発生している。 http://www.jma.go.jp/jma/press/1205/07a/toppu120507.pdf

    http://www.city.tsukuba.ibaraki.jp/1330/010505.html

    http://mainichi.jp/select/news/20120507k0000e040120000c.html

    外村彰氏が死去 5 月 2 日の NHK ニュースは、ノーベル物理学賞の候補と

    されていた日立製作所フェローの外村彰氏が、埼玉県内の

    病院で亡くなったことを伝えた。享年 70 歳。 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120502/t10014849751000.html

    X 線自由電子レーザー 5 月 1 日、総合科学技術会議は、同会議の国家的に重要な

    研究開発の一つである「X 線自由電子レーザーの開発・共

    用」に関する 4 月 23 日に行われた事後評価の結果を公表

    した。同事業の開発を担当したのは文部科学省で、理化学

    研究所、高輝度光科学研究センターをはじめとする研究機

    関が実施した。実施期間は 2006 ~ 2010 年度の 5 年間、

    予算額は約 388 億円である。評価検討会は当該研究開発

    に関係する分野の専門家や有識者を交え、文部科学省から

    の研究開発成果やその効果、マネジメントの実施状況等に

    ついてのヒアリングなどを行い、その結果に基づいて評価

    を行った。すでに本誌で報告したとおり、2010 年 10 月

    に、波長 0.06nm、パルス幅 100 フェムト秒以下の超高輝

    度 X 線レーザーの発振を目指した X 線自由電子レーザー

    施設「SACLA」の本体施設の整備が完了し、2011 年 6 月

    には世界最短波長(0.10nm)の X 線レーザーの発振に成

    功した。欧米に比べその規模が小さく、開発経費も約半分

    であること、SPring-8 に併設され今後の利用の利便性が考

    慮されていることなどが高く評価されている。 http://www8.cao.go.jp/cstp/tyousakai/hyouka/haihu92/haihu-si92.html

  • 26 PEN May 2012

    東京電力福島原子力発電所事故調査委員会 第 9 回委員会黒川清委員長 コメント 4 月 18 日、国会が設置した東京電力福島第 1 原発事故調

    査委員会の黒川清委員長は「安全に稼働するために必要な

    以下のような対策も先送りされ、判断基準の想定を超える

    災害が来た場合の対策が出来ていない。」と原子力発電所

    の再起動に懸念を示した。 http://www.naiic.jp/blog/2012/04/19/9thcomment/

    海藻のとりすぎが甲状腺がんのリスク高める 国環境研と国立がん研究センターの共同研究チームは、閉

    経後の女性が毎日海草を食べると甲状腺がんの発症が増え

    るという統計調査結果を論文として発表した。その原因と

    して海藻に含まれるヨウ素の可能性を指摘した。

    Seaweed consumption and the risk of thyroid cancer in

    women: the Japan Public Health Center-based Prospective

    Study Michikawa, Takehiro, et. al. European Journal of

    Cancer Prevention on April 11. http://journals.lww.com/eurjcancerprev/Abstract/2012/05000/Seaweed_

    consumption_and_the_risk_of_thyroid_cancer.7.aspx

    半導体デバイスの利用範囲を大きく広げる GaN 系半導体剥離プロセス NTT 物性科学基礎研究所は、現在発光ダイオード(LED)

    などに広く使用されている窒化ガリウム(GaN)系半導体

    薄膜素子を成長用サファイア基板から簡単に剥離するプロ

    セスの開発に成功した。今回の技術を用いることにより、

    2 μ m 厚といった非常に薄い GaN 系半導体薄膜素子を低

    コストで作製することが可能になる。本技術により、可視

    光を透過し紫外線のみを効率よく吸収する特性を持つ太陽

    電池の開発や 200μm 程度の薄い発光ダイオード(LED)

    の作製など、GaN 系半導体薄膜材料の応用範囲が大きく広

    がることが期待される。 http://www.brl.ntt.co.jp/J/2012/04/latest_topics_201204121655.html

    科学技術イノベーションを支える人材育成 4 月 26 日、科学技術政策担当大臣等政務三役と総合科学

    技術会議有識者議員との会合が開催され、国家戦略の視点

    から見た科学技術イノベーションを支える人材育成、およ

    び平成 25 年度科学技術関係予算の重点化について、の 2

    課題が議論され、一部の関連資料が公開された。 http://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/yusikisha/20120426.html

    東日本大震災の救援者の心的外傷後ストレス障害に関する調査 災害後の PTSD 予防に向けて4 月 26 日、科学技術振興機構は課題達成型基礎研究の一

    環として、国立病院機構災害医療センターの精神科医師ら

    が行った、東日本大震災の心的外傷後ストレス障害(PTSD)

    症状の調査結果について明らかにした。本研究では、被災

    地で活動した災害派遣医療チームの隊員 254 人を対象に、

    救援活動後の 2011 年 4 月に活動内容や救援活動でどのよ

    うな苦痛を感じたかなどの、アンケート調査を行った。そ

    して、2011 年 7 月から 8 月までの間に追跡調査を行い、

    初回調査の時点でどのような特徴を持っている人に PTSD

    症状が強く見られるかを検討した。その結果、①精神的苦

    痛の包括的評価法で得点が高かった人、②震災関連のテレ

    ビの平均視聴時間が 1 日 4 時間以上であった人に、PTSD

    症状が強く見られることが分かった。また、PDI のなかで

    も「感情的になった自分を恥じた」、「感情的に取り乱しそ

    うになった」という項目が、特に PTSD 症状と関連が見ら

    れた。 http://www.jst.go.jp/pr/announce/20120426/index.html

    トヨタの低燃費ハイブリッド車アクアの販売好調 昨年 12 月末に発売された低燃費ハイブリッド車アクアが、

    予定の 10 倍を超える注文を受け、好調な販売実績を上げ

    ている。アクアは「プリウス」より小さな、ハイブリッド

    専用モデルで、DAA-NHP10-AHXCB モデルでは 10.15 モー

    ド燃費の国土交通省審査値は 40.0km/l。ハイブリッドシ

    ステム、アイドリングストップ装置、電気式無段変速機、

    可変バルブタイミング、電動パワーステアリングといった

    燃費向上の技術が導入されている。 http://www.toyota.co.jp/jp/news/aqua.html

    従来の 10 分の 1 の価格での電子回路開発を可能にするベンチャー企業設立4 月 2