2013/01/12認定NPO法人日本ネパール女性教育協会；JNFEAポカラ・カンニャ・キャンパス PKC　さくら寮　絵画指導

実施報告

１、全体の感想

・やはり全員出席は不可能の様。学生の日常は忙しく予定変更が予測不可能であることを改めた感じた。

・単発・短期授業の活動内容詳細共有と連携の必要性を強く感じた。金さんの訪問の際、音楽指導を何をどのくらいやっているかの詳細情報が共有できていれば短時間の指導が効果的になる。啓示してある指番号やドレミの表示を見つけ、想像して指導に生かしていた。頻繁に指導されている折り紙がどこまで出来るかわかっていたら指導しやすかった。

・日本語を習いたいという気持ちが強く感じられた。

・理解度の個人差が極めて大。11年生と 12年生としての差はあまり感じられなかった。

２、事前調査：さくら寮で授業を行うに当って認識しておかなければいけないと感じたこと

・カニャキャンパスでの図工、絵画指導に関する授業の有無→全くなし。

・キャンパスでの授業は英、ネ、児童心理学、教育学、保健衛生のみ。

・一般社会の根深い認識を理解することが必要。「縫製 美術 工芸等は、各専門職に付く者の･ ･みが学ぶこと」。寮生も即座に「美術は画家になるための勉強だから」「縫いこになる人が縫いものを習う」と回答。

・教科書配布不備。教科書自体が新学年開始に間に合わず、試験の２日前、試験を教科書を手にすることなくうけることは日常茶飯事。

・指導内容実施のムラ。7年生の家庭科教科書では、後半の会計・経理のみ指導。６年生以降、技術家庭の教科書に混色など絵画の基礎や折り紙、技術、工芸等もあったが、後半の会計・経理のみ実施した学校が殆ど。

・教科書改訂は頻繁。年度は教科書裏表紙に明記されている。今回のために６年生以上の技術家庭関連の教科書を購入するのにも苦労した。１０年生のものは出版元に行っても手に入らなかった。来年度改定の予定なので、工場（キルティプール）のどこかに残っているかもしれないからほしければそこへ行くよう言われた。・全員（1995,6年ごろ）は現在の教科書のように、社会科と情操教育のような合体式教科書は使用していない＝情操教育の授業はなかった。

３、指導の実際第一回　2013年 1月 5日、6日　赤字＝関連写真（別添 7件）

実施内容 備考

一日目

AM;2h12:30~12:50

13:00~

14:00~

11:30到着、休憩

事前調査事前に送った英 指導計画の事前調査部に対し寮母から回答を得る。･授業開始導入①質問：幼児、小学生のころの図工体験の思い出は？・学校で授業としては全く扱っていなかった。・家族、隣人、教員と個人的に。・学校で宿題として土で何かを作って持ってくる。・例；竹で風車、とうもろこしの皮で竹とんぼ、土遊び、靴下に紙を詰めて縫ったボール、くず布人形、紙飛行機、紙風船、折り紙睡蓮、折り紙ジャンプカエル、など②カトマンズ美術界の現状・良いレベルの美術高校、美大、大学院（カトマンズ大学美術科）もある。・現在カトマンズインターナショナルアートフェスティバルが開催されていて、外国から沢山のアーティストが集まっている。・カトマンズ市立学校では美術教育、情操教育の重要性を認識しつつある。・インターナショナル校（ブリティッシュスクール、リンカーンスクール等）ではネパール人学生が世界レベルの美術教育を受けている。③リサイクルアートと ECOフレンドリーアート・２つの言葉（リサイクルシステム、エコシステムとして）を知っている学生も数人いた。・不用品、廃品を使って作るアートから環境保護の認識を高める。④今までさくら寮で体験した美術関連指導（金さん訪問、折り紙、他）確認⑤情操教育、美術教育の位置づけ、重要性・情操 美教育を重要視しない社会の中、認識を確かに持ち指導に当るべき。･・特に小５までの美術教育の目的は、絵が上手になることではなく、広く物事を捉えられる感性、感覚を養うことである。・全ての教科に絵による表現は必要。・図工を利用し、他の教科の指導を印象付ける。（折り紙で算数の図形、角度、分数等、ゲームで計算、折り紙、工作で理科、等）⑥公立校の教科者の表題「想像的芸術（仮訳）」を常に認識し、指導する必要性。（想像＝皆が同じではない、良し悪しの評価は存在しない、等）

事前指導①自分で作れるものを自由にひとつ折ってみる→ボート７、鶴１、写真フレーム１、他は、自分だけでは全く作れない。②教科書にも間違えはある！数箇所を確認し、自己判断の必要性を提示。③折り紙の基本マーク確認小２ p64下。山折、谷折を加えて説明。切る、裏返す、折って開く、他実習：教科書内の折り紙　小２から５学年まで掲載されている折り紙を実習　写２

出席数：全員(20名)

＊白井の到着が予定より遅くなり、３時間ずらす。

・室内は寒く、日向で実施。写１

＊透かし切りは飾れるので

15:00

①４グループに分かれ、小 2,3,4,5年の教科書を各１冊ずつ渡し、折り紙の課題を手分けして全てやってみる。→間違い、難しい部分を後で報告。算数、理科の指導に関連性が持てることを強調。②

実習：教科書内の折り紙：小２の教科書にある折り紙実習①p63長方形から折り紙の正方形を切る＝全員が理解するまでに 15分以上掛かった。もう一度やると出来ない者も 2,3名いる。②p63～66；魚、蝶、烏、帽子、あひる、切り紙星、うさぎ（p66扇子、67犬、虎は未完）→出来た者が教員となって指導→指導の際、できるだけ正しい語彙を増やすように指導。「ここをこれとこうやって…」では、意味が無いことを認識させる。③p65の展開で透かし切り（折り紙をたたんで切って開くと花のような透かし模様ができる。左右対称の形を学ぶ→左右対称の認識を持てる者は半分以下。「左右対称」をネパール語で言えた者 1名。終了

大人気で、折り紙はやらずにこれだけやろうという意

見も。写５

15:30~16:00 お茶休憩

集中力の限界。予定していた ExtraClass日本語、折り紙、意見交換は不可能。数名はまだやる気あり。

PM 2h16:00~

17:00終了

18:30~19:00

夕食をいただくホテル（マムズガーデン）へ

二日目

AM2h10:30~11:00

12:30

実習：小１教科書（ｐ 64～71）①小１教科書の指導要項（シッチャンニルデサン）を一人ずつ順番に音読、皆で内容を全て確認。自分で指導できるか？なにか問題は有るか？

②p65何に見えるかな？；形を使って想像する（はさみ、手型、他）写３③コラージュ：小１から５全てで扱っている題材　写４④スタンピング；葉など 5種類集めて試してみる

出席数:15名*12年生英語補習で 5名欠席*白井 30分遅刻

PM2h13:00~ 実習：水彩の技法（教科書から）　写６、写真７

①鉛筆でヒマラヤ、山、木、池を含む風景を自由に描く。11年生は前回指導した「遠景、中間、近景」を意識して。（1５分程度）

②教科書にある水彩の技法紹介。午前中に行った技法など、偶然にできる模様・形は手で描きおこしたものより時にはリアルであることを知る。・小１ p67,小２ p53にじみ・小１ p69,小２スタンピング・吹流し・小２ p53はじき（蝋燭、クレヨン）

作品を並べてまとめ・今回は特に指導の仕方に焦点をしぼった。

＊道具を分散して、又は一人一人に与えてやるべきだった。混雑して時間が掛かった。

＊3時からキャンパスで英語の補習があるので、皆こころここに有らずだった。

14:45 写８　終了、ホテルへ

４、反省点

・口頭、音読させることで指示、指導を行ったが、黒板にあらかじめ指導の表題を明記して、これからやること、目的等の認識を確認するやり方が適していたと感じた。

・教材、画材の確認（寮に既に有るものと購入するもの）に事前に時間を掛け準備すべきだった。

・画材は一人１セット与えるほうがよかった。

・全員出席を前提にしたかった。

・私が寮に宿泊すれば長く授業が出来ると思っていたが、全員対象の授業としては２時間×２コマが集中力的にも限界。食事の支度、洗濯物、シャワー、宿題、補習などで全員同席も、これが限度。１２年生は試験も控えていたようだ。

・実技は、口頭での説明や坂書より、実物を見て行わせるやり方のほうが理解が早く、効率がよかった。

・理解度の個人差が極めて激しいので、組を作り、互いに教えあうようにすれば良かった。

・最後の最後に「こんな子どもの遊びみたいなこと 」という会話が聞こえ、考えさせられ･･･た。

・1日目授業終了後、まじめに「アートを習いたい」学生が、市販のカードにあるお決まりのバラの花を大きく鉛筆で丁寧に描いて（写して）私に「出来がどうだか、感想を聞かせてください」と持ってきた。周囲はその学生のことを口々に賞賛。評価する対象ではないので、大きな画面の場合、水彩絵の具を大量に消費しなくても、クレヨンでも指、布などでぼかしが入ると良い、と着色のアドバイスをした。「こういうアイディアが私達にはないんだよねー」と満足そうだった。次の日にはその巨大なバラを皆で塗って仕上がりに近づいていた。学生の期待しているのは正にこれであって、指導者となる彼女らにあまり意気込んで指導の仕方を詰め込むのもどうかと反省させられた。

５、提案

①さくら寮に、幼児、全学年全教科の公立校教科書をそろえるべき。小１から５の「社会科と創造芸術（仮訳）」は寄贈済み。自分が実際に指導することになる教科書を一度も目にしないよりも、時間のあるときにでも触れることが出来ると良いと思う。

②絵画指導を 3回行うのであれば、6・1・4月と実施するとそれぞれの学年が受けられる？

６、今後の活動予定

①２階ロッカー内に有る美術関連用具の整理、在庫確認

②画材準備、基本はポカラ購入。

第二回授業内容概案：小 2,３の教科書実習。日本語、折り紙、意見交換

第三回授業内容概案：小 4,5の教科書実習。日本語、折り紙、意見交換

以上

図１ 図２

図８図７

図５図６

図３ 図４