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15 16 AOMORI fan book AOMORI fan book まんまる顔に、愛らしい笑顔。 ふわりと優しい色合いで描かれた女性のイラストは、どこかご本人に似ています。 青森市出身の柿崎こうこさんは、雑誌、広告、書籍などを中心に活躍するイラストレーター。 柿崎さんのご自宅を訪ね、外から見た青森のイメージ、青森の可能性についてお話を伺いました。 Interview 東京へ出てみて 感じた青森 KOKO KAKIZAKI Interview 東京へ出てみて感じた青森 青森市出身、東京都在住。イラストレーター。セツ・モードセミナー 美術科卒業。食をはじめ、美容、健康、旅などライフスタイルをテー マに、雑誌や書籍、広告媒体などで活躍中。 https://www.kakizakikoko.com/ @kakizaki_koko_illustration(イラスト) @kakizaki_koko(趣味の古いものや金継ぎなど) 柿崎 こうこ どもの頃から絵を描くのが好きで、漠然とイラストレー ターや漫画家に憧れていました。高校卒業後は、地元 のデパートで働いていたんですが、どうしても絵を描く仕事が したくて。それで、21歳の時に東京の美術学校に入学し、2 年 間デッサンの勉強をしました。現在は主に雑誌や書籍、広告 媒体などでイラストを描いています。 高校時代を振り返ると、東京は何でもある憧れの街でした。 それに比べて、青森はお洒落な店がない、遊ぶ場所も刺激的 な場 所もないと、デメリットばかり感じていました。26、27 歳で 仕事が軌道に乗り始めてからは、自分が働いたお金で憧れの お店で買い物をするのが楽しみでした。 その後、30代、40代と年齢を重ねるなか、少しずつ心境も 変化していきました。流行の洋服や雑貨もさほど必要ではなく なり、それよりも骨董市で見つけた古い器に愛着を感じたり…。 あまり物を持たずに、シンプルに暮らすライフスタイルへと 変わっていったことも理由のひとつかもしれません。 最近では、青森県内の自治体や企業からお仕事をいただく 機会も増え、講演会や取材旅行で青森に出かけています。 そのたびに、地元にいた頃は気づかなかった青森の素晴らしさ や価値をあらためて感じるようになったんです。 交通が便利になったことで、昔に比べて、青森・東京間の移 動時間も格段に短くなったし、今はネットで何でも買える時代。 なので、私が20代だった頃と今の若い人たちとでは、物理的 にも精神的にも青森・東京間の距離感が違うと思うんですね。 そういう意味でも、東京を特別なものとして考えなくなってきて いるのではないでしょうか?私自身の仕事面においても、イラ ストの制作やデータの送付はすべてパソコンでできてしまう。 逆に今となっては、あえて東京で暮らす意味は何なんだ ろう?って。だって、青森で 暮らすことのデメリットが見つから ないんですから。 地元を離れたからこそ 再発見した 青森の価値!

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15 16AOMORI fan book AOMORI fan book

まんまる顔に、愛らしい笑顔。

ふわりと優しい色合いで描かれた女性のイラストは、どこかご本人に似ています。

青森市出身の柿崎こうこさんは、雑誌、広告、書籍などを中心に活躍するイラストレーター。

柿崎さんのご自宅を訪ね、外から見た青森のイメージ、青森の可能性についてお話を伺いました。

Interview東 京へ出てみて

         感じた青森

K O K O K A K I Z A K I

Interview 東京へ出てみて感じた青森

青森市出身、東京都在住。イラストレーター。セツ・モードセミナー美術科卒業。食をはじめ、美容、健康、旅などライフスタイルをテーマに、雑誌や書籍、広告媒体などで活躍中。

https://www.kakizakikoko.com/  @kakizaki_koko_illustration(イラスト)  @kakizaki_koko(趣味の古いものや金継ぎなど)

柿崎 こうこ

どもの頃から絵を描くのが好きで、漠然とイラストレーターや漫画家に憧れていました。高校卒業後は、地元

のデパートで働いていたんですが、どうしても絵を描く仕事がしたくて。それで、21歳の時に東京の美術学校に入学し、2年間デッサンの勉強をしました。現在は主に雑誌や書籍、広告媒体などでイラストを描いています。 高校時代を振り返ると、東京は何でもある憧れの街でした。それに比べて、青森はお洒落な店がない、遊ぶ場所も刺激的な場所もないと、デメリットばかり感じていました。26、27歳で仕事が軌道に乗り始めてからは、自分が働いたお金で憧れのお店で買い物をするのが楽しみでした。  その後、30代、40代と年齢を重ねるなか、少しずつ心境も変化していきました。流行の洋服や雑貨もさほど必要ではなくなり、それよりも骨董市で見つけた古い器に愛着を感じたり…。あまり物を持たずに、シンプルに暮らすライフスタイルへと

変わっていったことも理由のひとつかもしれません。 最近では、青森県内の自治体や企業からお仕事をいただく機会も増え、講演会や取材旅行で青森に出かけています。そのたびに、地元にいた頃は気づかなかった青森の素晴らしさや価値をあらためて感じるようになったんです。 交通が便利になったことで、昔に比べて、青森・東京間の移動時間も格段に短くなったし、今はネットで何でも買える時代。なので、私が20代だった頃と今の若い人たちとでは、物理的にも精神的にも青森・東京間の距離感が違うと思うんですね。そういう意味でも、東京を特別なものとして考えなくなってきているのではないでしょうか?私自身の仕事面においても、イラストの制作やデータの送付はすべてパソコンでできてしまう。逆に今となっては、あえて東京で暮らす意味は何なんだろう?って。だって、青森で暮らすことのデメリットが見つからないんですから。

地元を離れたからこそ

再発見した青森の価値!

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 私は自他ともに認める「美容オタク」ですが、青森は水がものすごくいいんです!青森に帰ると、その時だけ肌が変わるんですよ。洗顔でダイレクトに感じますね。青森県民は、普段からそういうお水を飲んだり、お湯に浸かったりしているんですよね。 あと、私は大の温泉好きで、帰省した時は家のお風呂には入らないで温泉銭湯に行くほど。東京の銭湯は水道水を沸かしたものですが、青森では銭湯のほとんどが天然温泉。マイカーに、温泉

セットを常備している人もたくさんいますしね。こんな“青森あるある”を東京の友人に話すと、「それってすごくない?」と驚かれます。最近では、全国放送で青森が取り上げられる機会も多くなってきましたが、それでも青森のニッチな面白さはまだまだ知られていません。また、外から見ると高く評価されているものなのに、地元の人が重視していないことが多いのがもったいないですね。なので、その価値に気づいて、もっと発信していくことが大事だと思います。

 昔に比べて、青森は東京とそんなに変わらない部分も多くなってきたという印象を受けます。たとえば、お洒落なパン屋さんやジャム屋さん、コーヒー屋さんとか、東京にあってもおかしくないクオリティの高い店が普通にありますよね。SNSで青森の人たちのやり取りや交流を見ていると、人と人のつながりが強い気がします。東京のつながり方とは全然違う。すごくいいなって思います。 東京は何もかもが飽和状態で、どんなジャンルでもなかなか「初」にはなれません。私のようなイラストの仕事にしても、イラストレーターはいっぱいいますし。

ですが、青森だと、「初」になれるチャンスがたくさんあると思うんです。そういう意味では、若い方たちがいろんなことに挑戦できる可能性を秘めた場所だと思います。私も、一度地元を離れたからこそ見えてきたものも多く、自分が若い時に感じていた「何にもない青森」というイメージは大きく変わりました。おいしい食べ物や自然環境、温泉資源、青森ならではの文化など、青森にはむしろ東京の人が羨やむ要素がたくさんあります。特に私のおススメは、温泉、それに青森の食が一堂に並ぶ市場!県外の方にも自慢できる青森の宝物です。

豊かな水、天然温泉、青森ならではのぜいたく!

チャンスや可能性を秘めた青森!

青森の当たり前

東京では貴重なこと

子供の頃から大好きで、実家に帰ったらいちばんに食べたいもの。 東京では新鮮でおいしいものがなかなか買えないので、青森では思う存分食べます。

魚卵(すじこ・たらこ)

青森の銭湯が温泉なんて贅沢!実家に帰った時は、毎日近所のこやなぎ温泉へ。湯船に浸かりながら津軽弁に耳を傾けるのもなかなか楽しい。

銭湯(実家の近くのこやなぎ温泉)

帰省するとゆっくりと海を眺めたくなり、必ず一度は浅虫へ。 青森で暮らしていた頃、友人とよくドライブに行った思い出の場所でもあります。

浅虫

帰省時必ず立ち寄るコーヒーがおいしい喫茶店。 本を読んだり、ぼーっとしたり。静かに過ごせて、ほっとする場所。 普段の東京での生活と明らかに時間の流れが変わります。

喫茶店(クレオパトラ)私の好きな青

「住まいは東京都内」にこだわり続けて28年目、引っ越し先に決めたのは都内にアクセスがよい立地ながら、どこか青森っぽいのどかさも感じる横浜のとある街。やっぱり私は根っこの部分が青森で、年々、青森を求める気持ちが増していくことを実感しているのでした。

※高尾山…東京都心から近く、高すぎない標高で気軽に山歩きができる。高尾山薬王院はパワースポットとしても人気。

イラスト/柿崎こうこ 青森駅発上野行きの寝台

列車に乗り憧れの東京へ。

上京した28年前、90年代

のはじめのことです。

〜柿崎こうこ

  東京にて青森を想う〜

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