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『上級で学ぶ日本語』L15 ○○○○○40 許瀞文整理 「~にくい / ~づらい / ~がたい」の使い分け 「~にくい」 「~づらい」 「~がたい」 接続 動詞のマス形 + にくい / づらい / がたい 意味 意思動詞に接続して「~するの が難しい」、無意志動詞に接続 して「なかなかそうならない」 の意味を表わす。 意思動詞にだけ接続し「~す るのが困難だ」という意味。 「心情的にはしたいけれど、状況的には 困難である、または絶対にできない」状 態に用いる。 ポイ ント 客観的状態 を表わす。 客観的な困難、対象側に困難 を生み出す条件がある。 主観的評価 を述べたりする。 心身的苦痛を感じる状 に用いる。 肉体的理由に原因があ ことがおおい。行為を しようというときに、条 件によって困難さを覚 える状態。 ① 「能力的にできない」という意味で は使わない ② 困難さ、ほとんど不可能に近い状 態、多くはプラス 、まれにマイナス。 心情的には~したいけれど状況的に は困難である。 理由が心情的な場合は使えない。 度合 快適に行えない。普通より大変 だ。 それをすることで動作主は つらいが、出来ないことはな い。 ほとんど不可能である。 V 意志 /無 意志 「手に入る」「見える」「気が付く」「分かる」などの無意志 動詞や「見つかる」「理解される」などの受身は「~にくい」 の方がよいとされるが、「~づらい」も使われだしている。 1)手に入り[ にくい/づらい ] 2)見つかり[ にくい/づらい ] 場所。 意志動詞のみ。 例)×分かりがたい 分からない 「信じる」「理解する」「耐える」「言 う」「動かす」「捨てる」「許す」など とよく用いられる。 人称 制限 困難を感じる人は一人称に限られ、ニ格で表す。 1[ 私/×]には彼女にそんな話を しにくい/しづらい 2[ 私/×]には彼女の話は 理解しがたい 一人称以外は「~そうだ」をつける。それでも「~がたい」は言いにくい。 1)彼は彼女にその話を{ しにく/しづら } そうだ。 2)彼は彼女の話を 理解しがたそうだ にくい づらい がたい 1. 対戦相手が知り合いなので攻め 2. まだけがが完治していないので、長い時間は × × 3. この魚は骨が多くて、食べ × 4. まじめな彼女が嘘をついているなんて信じ 5. 平和条約を結ぶ上で領土問題は避け 問題だ。 × 6. 子育てを妻一人に押し付けて、海外研修には × 7. 犯行に及んだ動機は確かに理解し が,家庭環境を考慮すればわから なくも無い。 × 8. 消防士の服の素材は非常に燃え × × 9. この寒さでは降り積もった雪も解け だろう。 × × 10. 虫歯が痛くて食べ × × 11. 歳のせいか、小さい字が読み くなった。 × × 12. この録音テープは雑音が入っていて、聞き取り ×

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『上級で学ぶ日本語』L15 ○○○○○40 許瀞文整理

「~にくい / ~づらい / ~がたい」の使い分け 「~にくい」 「~づらい」 「~がたい」

接続 動詞のマス形 + にくい / づらい / がたい

意味

意思動詞に接続して「~するの

が難しい」、無意志動詞に接続

して「なかなかそうならない」

の意味を表わす。

意思動詞にだけ接続し「~す

るのが困難だ」という意味。

「心情的にはしたいけれど、状況的には

困難である、または絶対にできない」状

態に用いる。

ポイ

ント

① 客観的状態を表わす。

② 客観的な困難、対象側に困難

を生み出す条件がある。

③ 主観的評価を述べたりする。

① 心身的苦痛を感じる状

態に用いる。

② 肉体的理由に原因があ

ることがおおい。行為を

しようというときに、条

件によって困難さを覚

える状態。

① 「能力的にできない」という意味で

は使わない。

② 困難さ、ほとんど不可能に近い状

態、多くはプラス、まれにマイナス。

③ 心情的には~したいけれど状況的に

は困難である。

④ 理由が心情的な場合は使えない。

度合

快適に行えない。普通より大変

だ。

それをすることで動作主は

つらいが、出来ないことはな

い。

ほとんど不可能である。

V の

意志

/無

意志

「手に入る」「見える」「気が付く」「分かる」などの無意志

動詞や「見つかる」「理解される」などの受身は「~にくい」

の方がよいとされるが、「~づらい」も使われだしている。

例 1)手に入り[ にくい/づらい ]。

例 2)見つかり[ にくい/づらい ]場所。

意志動詞のみ。

例)×分かりがたい → ○分からない

「信じる」「理解する」「耐える」「言

う」「動かす」「捨てる」「許す」など

とよく用いられる。

人称

制限

困難を感じる人は一人称に限られ、ニ格で表す。

例 1)[ ○私/×彼 ]には彼女にそんな話を しにくい/しづらい 。

例 2)[ ○私/×彼 ]には彼女の話は 理解しがたい 。

一人称以外は「~そうだ」をつける。それでも「~がたい」は言いにくい。

例 1)彼は彼女にその話を{ しにく/しづら } そうだ。

例 2)彼は彼女の話を 理解しがたそうだ 。

例 にくい づらい がたい 1. 対戦相手が知り合いなので攻め ~ 。 ○ ○ ○

2. まだけがが完治していないので、長い時間は ~ 。 × ○ × 3. この魚は骨が多くて、食べ ~ 。 ○ ○ × 4. まじめな彼女が嘘をついているなんて信じ ~ 。 ○ ○ ○

5. 平和条約を結ぶ上で領土問題は避け ~ 問題だ。 ○ × ○

6. 子育てを妻一人に押し付けて、海外研修には ~ 。 ○ ○ ×

7. 犯行に及んだ動機は確かに理解し ~ が,家庭環境を考慮すればわから

なくも無い。 ○ ○ ×

8. 消防士の服の素材は非常に燃え ~ 。 ○ × × 9. この寒さでは降り積もった雪も解け ~ だろう。 ○ × ×

10. 虫歯が痛くて食べ ~ 。 × ○ × 11. 歳のせいか、小さい字が読み ~ くなった。 × ○ × 12. この録音テープは雑音が入っていて、聞き取り ~ 。 ○ ○ ×