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1 QCWS 参考プロトコル HLA 抗体検査 QCWS 参考プロトコル 抗体検査(LABScreen) 平成 29 年度版 作成者 日本組織適合性学会 認定制度委員会 ワーキンググループ HLA 抗体 WG

抗体検査(LABScreen - 日本組織適合性学会jshi.umin.ac.jp/qcws/Proc_Ab_LAB.pdf3 QCWS参考プロトコル HLA抗体検査 目次 1.LABScreen製品概要 4 1.1 LABScreenの使用目的・原理

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QCWS 参考プロトコル HLA 抗体検査

QCWS 参考プロトコル

抗体検査(LABScreen)

平成 29 年度版

作成者

日本組織適合性学会 認定制度委員会 ワーキンググループ

抗 HLA 抗体 WG

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QCWS 参考プロトコル HLA 抗体検査

改訂履歴

改 訂 日 改訂理由 改訂内容

改訂

責任者 施 行 日

判定方法の見直し

その他記載整備

判定時に確認するべき事

項について修正と追加を

した。

専用解析ソフトに必要な

ファイルの参照先を更新

その他誤記等の記載整備

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QCWS 参考プロトコル HLA 抗体検査

目次

1.LABScreen製品概要 .......................................................... 4

1.1 LABScreen の使用目的・原理 ............................................ 4

1.2 LABScreen の種類 ...................................................... 5

2.検査の準備 .................................................................. 7

2.1 検査機器の準備・キット内容・検体処理 .................................. 7

2.2 検体の処理 ............................................................ 7

3.HLA Fusion 3 による LABScreenの解析 ........................................ 14

3.1 LABScreen 解析カタログのインポート方法 ............................... 14

3.2 LABScreen データのインポート方法 ..................................... 16

3.3 LABScreen Mixed 解析 ................................................. 18

3.4 LABScreen Single Antigen 解析 ........................................ 20

3.5 レポートの作成 ....................................................... 25

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QCWS 参考プロトコル HLA 抗体検査

1.LABScreen製品概要

1.1 LABScreen の使用目的・原理

LABScreenは、LABScan システム(Luminex)を使用して検体(血清または血漿)中の HLA 抗

体を検出する為の研究用試薬で、精製した HLA 抗原がコーティングされたマイクロビーズで

ある。高感度に HLA 抗体を検出する事ができる。

LABScreen ビーズと検体を反応後、PE 標識抗ヒト IgG 抗体で染色し、Luminex により蛍光強

度を測定し、HLA 抗体を検出する。

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QCWS 参考プロトコル HLA 抗体検査

1.2 LABScreen の種類

LABScreenは LABScreen Mixed、LABScreen PRA、LABScreen Single Antigen の 3種類のキッ

トがある。(図 1)これらの試薬は、殆どの HLA 抗原型を網羅している。

1. LABScreen Mixed:ビーズに 3-5パネルセル由来の HLA 抗原が結合しており、HLA抗体

の有無を確認できる。また、本製品は HLA 以外にも MICA 抗体の有無の確認も可能。

2. LABScreen PRA:1ビーズに 1パネルセル由来の HLA抗原が結合しており、HLA 抗体の

有無、およその特異性、%PRA*を確認できる。

3. LABScreen Single Antigen:1ビーズに対しリコンビナント HLA 抗原が 1種類のみ結

合しており、HLA 抗体の抗原特異性が分かる。

なお、追加で開発された LABScreen Single Antigen Supplement を併用すれば、日本人に見

られる HLA アリルのほぼ全てを網羅しているため(表 1)、さらに高精度なアリルレベルでの

DSA 測定が可能となる(図 2)。

* %PRA(Panel Reactive Antibody):全パネル細胞の何%が陽性となるかの値。%PRA が高い程、様々な抗原に対

する抗体を保有している指標となる。

製品名 目的

LABScreen Mixed

LS12M(ClassI&II&MICA)

HLA抗体のスクリーニング

(1ビーズに 3~5 パネル)

20種類のビーズ

LABScreen PRA

LS1PRA(ClassI)

LS2PRA(ClassII)

LS12PRA(ClassI&II)

%PRA*とおおよその特異性

(1ビーズに 1パネル)

ビーズの種類

ClassI:55

ClassII:35

LABScreen Single Antigen

LS1A04(ClassI)

LS1A04SP(ClassI+SupplementI)

LS1ASP01(SupplementI)

LS2A01(ClassII)

LS1ASP01(SupplementII)

LS2A01SP(ClassII+SupplementII)

特異性の検出、DSA の同定

(1ビーズに 1抗原)

ビーズの種類

ClassI:99、SupplementI:36

ClassII:97、SupplementII:18

図 1. LABScreen の種類及び使用目的

A2

A11

B13 B62

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表 1:LABScreen Single Antigen+ Supplement での日本人アリル頻度カバー率

図 2:各種 LABScreen による HLA 抗体測定レベル

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QCWS 参考プロトコル HLA 抗体検査

2.検査の準備

2.1 検査機器の準備・キット内容・検体処理

2.1.1 検査器具・資材の準備

機器 名称

Luminex

プレート遠心機(回転数 1300g 以上)

プレートシェーカー

器具・資材 96ウェル マイクロプレート(V底推奨)

参考商品:7701-3250 (white) "UNIPLATE"(Whatman)

トレーシール

ピペット、チップ等

2.1.2 キット内容と保存方法

未開封のキットは、-65℃以下で有効期限まで保存できる。一度解凍したあとの保存方法と

有効期限は下記のとおりである。

内容 保存方法と有効期限

LABScreen beads mix 初回使用時まで-65C 以下のフリーザーに保管する。ラベル

に記載された有効期限まで保管できる

一度解凍したビーズは再凍結不可。解凍したビーズは、最長

3ヵ月または有効期限(3ヵ月以内の場合)まで 2 - 8C に保

管できる。

10 X Wash buffer 初回使用後は、最長 3 ヵ月または有効期限(3 ヵ月以内の場

合)まで 2C~8C に保管できる。

2.1.3 他に必要な試薬

LABScreenでは、毎回必ず陰性コントロール血清(LS-NC)を並行してテストする。-20℃で

有効期限まで保管できる。

二次抗体(LS-AB2)は、凍結乾燥の粉末状態で届く為、蒸留水(または精製水)で溶解させ

る。蒸留水(または精製水)の量は、ロット毎に異なる場合があるので、必ず製品バイアル

で量を確認する。溶解した後は冷蔵で 6ヶ月間保管できる。

製品コード 品名 容量 1検体の使用量

LS-NC LABScreen negative control serum 400uL(20test) 20uL

LS-AB2 PE conjugatedgoat anti human IgG 0.5mg

(約 1000test)

×100 Stock を

1uL

― PBS - -

2.2 検体の処理

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2.2.1 検体前処理(必須)

1. 検体(血清または血漿(ACDまたは K-EDTA 添加))は必ず凍結融解する。融解後は、しっ

かり転倒混和を行ってから遠心を行う。(8000~10000g、10 分間以上)。不純物が多い検

体は遠心速度、時間を増やす。

2. 遠心後、上層、下層および壁面に凝固物が存在する可能性があるので、慎重に中間層か

ら検体を回収して使用する。

2.2.2 再検査の為の検体処理(QCWS部会推奨)

1. 陰性コントロールビーズ値(NC値)が高い場合:非特異物質の吸着操作

(参考値)NC値 500 以上、または PC/NC 値 10 未満

使用する試薬:AdsorbOut(製品コード:ADSORB、One Lambda 社)

AdsorbOut処理プロトコル(メーカープロトコル)

① (1テストあたり)血清 30uL に対して Adsorb Out ビーズを 3 uL加え、ボルテックスす

る。

② 室温で 30 分間、振とうしながら反応させ、15000 rpmで 5分間遠心する。

③ 上清を、ビーズを吸わないように慎重に新しい別の 1.5mLチューブに移す。

④ もし検体に Adsorb Out ビーズが混入した場合には、再度超遠心し、上清を移す。

2. 陽性コントロールビーズ値(PC値)が低い場合: DTT 処理による IgM 抗体の除去

(参考値)PC値 3000 以下、または PC/NC 値 10 未満

使用する試薬:DTT (dithiothreitol、メーカー不問)

DTT処理プロトコル(第 4回 アメリカ組織適合性学会 ASHI推奨プロトコル)

① DTT溶液(0.05M) 10 uL に対して血清を 90 uL加える。(DTTの終濃度は 0.005M)

② よく混ぜた後、37℃で 30-45 分間反応させる。1300g で 10 分間遠心し上清を使用する。

3. プロゾーン現象*が疑われる場合:PBS(メーカー不問)による検体の希釈。希釈倍率は、

検体によって異なるので各施設で検討する。

*プロゾーン現象・・・過剰に抗体が存在することで、抗原・抗体反応が抑制される現象。偽陰性

となる可能性あり。

4. プロゾーン様現象が疑われる場合:補体成分の不活化

使用する試薬: 0.5M-EDTA(メーカー不問)

EDTA処理参考プロトコル

① 溶解した血清 90uLに、EDTA 3uLを入れる。

② 室温にて 30分間、振とうしながら反応させ、20000gで 10分遠心し上清を使用する。

*プロゾーン様現象・・・検体中の補体成分が二次抗体の結合を阻害して偽陰性となってしまう現

象。主に LABScreen Single Antigen で報告されている。

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QCWS 参考プロトコル HLA 抗体検査

2.3 検査の手順

2.3.1 操作の流れ

2.3.2 Luminex測定時に必要なファイル

「必要なファイルは One lambda 社ホームページからダウンロードできる。

http://www.onelambda.com

ダウンロードの方法は下記 URL を参照

http://www.veritastk.co.jp/attached/6073/How%20to%20download%20catalogs%20from%

20One%20Lambda%20Site.pdf」

•検体(血清または血漿)を凍結融解、転倒混和

•8000g -10000gで10分間、超遠心前処理

•ビーズ5ulと検体20ulを混合

•遮光、室温(20 – 25℃)で振とうで30分間反応反応

•洗浄バッファー、遠心(1300gx5分 or 1500gx3分)

•フリッキング、タッピング、ドライボルテックス洗浄(3回)

•100倍希釈した二次抗体を100ulずつ添加

•遮光、室温(20 – 25℃)で振とうで30分間反応PE標識

•洗浄バッファー、遠心(1300gx5分 or 1500gx3分)

•フリッキング、ドライボルテックス、タッピング洗浄(2回)

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QCWS 参考プロトコル HLA 抗体検査

2.3.2 標準プロトコル

検体及び試薬の分注

① 96 ウェルプレートの最初のウェルに陰性コントロール血清(製品コード:LS-NC)

20uLを入れる。使用する LABScreen 試薬毎に LS-NCを 1ウェルずつ使用する。

② 2 番目のウェルから、前処理(凍結融解・超遠心)済みの検体 20uLを入れる。

③ ビーズを軽くスピンダウンし(蓋の裏に付いた液を落とす)、数秒間ボルテックスす

る。キャップを開け、10回程度ピペッティングをして LABScreen ビーズをよく混合

する。ビーズ数が多いため、しっかりとボルテックス、ミキシングすることが大切

である。使用後は、蒸発を防ぐためにしっかり蓋を締め冷蔵で保存する。凍結融解

不可。

④ ビーズ 5uLを各ウェルに入れ、ピペッティングでよくビーズと検体を混合する。

一回目の反応:ビーズと検体の反応

⑤ トレーシールを貼り、アルミホイルなどで遮光し、室温(20-25℃)でシェーカーを

用いて振とうしながら 30 分間反応させる。

⑥ 反応中に、蒸留水で 10 X Wash Buffer (製品コード:LSPWABUF) を希釈し、1 X Wash

buffer を必要量だけ調製する。希釈は、使用するチューブ等の目盛を用いての調製

で問題ない。1 X Wash buffer は 1テストあたり約 1.1mL必要。

洗浄操作:⑦~⑪を 3 回繰り返し行う。

⑦ 反応後、各ウェルに希釈済みの 1 X Wash buffer を加える。

添加量:1回目は 150uL、2回目、3回目は 200uL を加える。

⑧ 新しいトレーシールを貼り、1300gで 5 分間(または 1500g で 3分間)遠心する。

3回目の洗浄の遠心時に、100 倍希釈の二次抗体を用意する。

1テストあたり、二次抗体の Stock 溶液(製品コード:LS-AB2 を滅菌水で予め

溶解、保存したもの)1uL を、1 X Wash Buffer 99uL に加えて 100 倍希釈する。

⑨ トレーシールを剥がし、しっかりフリッキングして上清を除去する。フリッキング

は真下にしっかりと 1回のみ行う。何度も行うとビーズをロスする危険がある。

⑩ フリッキング後はトレーを下向きにしたままペーパータオル等に 5 秒間押し付け軽

く5回タップする。タッピングすることでウェル内の残存液を除去する事ができる。

⑪ ビーズのみの状態でボルテックスする(ドライボルテックス)。 ウェルの底に張り

付いたビーズがほぐれる程度(約 2秒~5秒程度)行う。ほぐれると、青い点のよう

になっていたビーズが広がり見えなくなる。ドライボルテックスを長くし過ぎると、

蛍光値が弱くなる場合があるので注意する。(図 4)

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QCWS 参考プロトコル HLA 抗体検査

左図:フリッキング、中央図:タッピング、右図:ドライボルテックス(シール不要)

二次抗体によるラベリング

⑫ 3 回目のドライボルテックス後、希釈二次抗体 100 uLずつ各ウェルに加える。トレ

ーシールを貼り、遮光し室温(20C~25C)で振とうしながら 30 分間反応する。

⑬ Luminexの電源を入れておく。

洗浄操作:⑮~⑯を計 2 回行う。(遠心は 3 回)

⑭ 反応後、洗浄バッファーは加えず 1300g で 5 分間(または 1500g で 3 分間)遠心す

る。

⑮ フリッキング、タッピング、ドライボルテックスを⑨~⑪と同様に行う。

⑯ 各ウェルに 1 X Wash buffer を 200uLずつ加え、トレーシールを貼り 1300gで 5 分

間(または 1500g で 3分間)遠心する。

⑰ フリッキング~遠心(⑮~⑯)をさらに一回行った後、フリッキング、タッピング、

ドライボルテックスを⑨~⑪と同様に行う。

⑱ 1 X PBSを各ウェルに 80uLずつ加える。

Luminexによる測定に関して

すぐに測定できない場合は、シールを貼り冷蔵庫で保管する。蛍光値が弱くなるの

で、必ず 24時間以内に測定する。

ビーズ数が非常に多くビーズがウェル底に沈みやすいので、すぐに測定できない場

合には、測定前にしっかりとサンプルのミキシングを行う。

Luminexの蛍光値は、その日の条件(レーザー出力、気温等)に影響される。より正

確に蛍光値を測定するために測定前にキャリブレーションを行う事をことが重要で

ある。

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QCWS 参考プロトコル HLA 抗体検査

図 3:LABScreen Single Antigen のプレート法とチューブ法の比較

図 4:LABScreen Single Antigen におけるドライボルテックス時間の影響

→HLA 特異性

→HLA 特異性

蛍光値(n

MF

I

) 蛍光値(n

MF

I

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2.3.3 検査結果判定に関する注意事項

蛍光値(nMFI値、Baseline)に関して

LABScreen検査は、使用分野、使用目的に応じて当然結果の解釈や治療方針等は異なるので、

必ず各施設で判定基準・判定ルールを作成する。なお、判定の際の蛍光値(nMFI*)を絶対視

せず、あくまでも抗体量の目安として参照する事。

*nMFI(Baseline):補正された蛍光値、normalized Mean Fluorescence Intensity の略。ビーズに対

する非特異反応と抗原に対する非特異反応を差し引いた値。式は下記参照。

nMFI = 検体の各ビーズ値- 検体の NC ビーズ値-( NC 血清 各ビーズ値-NC 血清の NC ビーズ)

施設カットオフラインの検討方法【オプション(各施設で検討)】

① カットオフラインは、陰性コントロール血清のバックグラウンド値よりも十分に高くな

るように設定する。バックグラウンド値は、メーカーの陰性血清を用いて 3-5 回の再現

性試験を行って測定する。

② 5-10程度の予め特異性が分かっている陽性血清あれば、設定したカットオフラインで検

出できるかを検証する。

③ 必要に応じて、他の抗体検査法の過去の結果と LABScreen のカットオフが適合するか検

証する。また、%PRA が高く、特異性の幅が広い血清でかつ、タイピング情報があれば、

自己の抗原ビーズの反応値をカットオフの目安として使用することも出来る。

LABScreen Single Antigen の判定方法(QCWS 部会推奨)

① 測定データの確認:全ビーズが 50カウント以上であることを確認する。また、コントロ

ールビーズの NC 値は 1,500未満で PC 値の半分以下であること、PC値は 500以上で、NC

値の 2 倍以上であることを確認し、これらが範囲外であれば再検査をする。(2.2.2 再

検査の為の検体処理参照)。また、コントロールビーズの蛍光値がこの範囲内であっても、

日常の検査測定範囲から大きく逸脱していないことも確認する。

② デフォルトの設定では HLA Fusion の自動判定で x6 以上を陽性とするが、抗体特異性や

反応グラフのショルダー(蛍光値が大きく下がるビーズ)を考慮しながら陽性カットオ

フを決定する。

③ ただし陽性カットオフの妥当性は検査の目的によっても異なるため、各施設で設定した

陽性カットオフの臨床的意義を検討することが望ましい。

LABScreen Single Antigen の判定時の確認事項(QCWS 部会推奨)

① 基本情報の確認:患者情報、性別、感作歴(妊娠歴、輸血歴、移植歴)、HLA タイプ情報、

検査日、実施者、使用製品・使用ロットなど。

② 検査結果の詳細情報の確認:ビーズカウント数、PC 値、NC値、PC/NC 比、抗体特異性(抗

原レベル、アリルレベル)、DSAの有無、nMFI 値、バーチャルクロスマッチ結果 など

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3.HLA Fusion による LABScreenの解析

3.1 LABScreen 解析カタログのインポート方法

(既に最新のカタログをインポートしている場合はスキップし、3.2以降を参照)

3.1.1 解析用 PC がインターネットに繋がっていない場合

1. HLA Fusion 解析時に必要なカタログファイルは、インターネットに繋がっている別の PC

を使用して下記よりダウンロードする。ダウンロードしたファイルは、USB 等を使用し

て解析 PC の C ドライブに保存する(2.3.2 Luminex 測定時に必要なファイル の項で

表示した URLを参照)。。

カタログ ID:製品コード、陰性血清 Lot、ビーズ Lot、カタログバージョン

例: LABScreen Single Class I、陰性血清ロット 14、ビーズロット 8、revison2=「LS1A04NC14_008_02」

2. HLA Fusion を起動し、画面の上部のタブより Utilities >Update Reference >Update

Reference Fileを選択する。

3. 新しい画面が表示されるので、左側のファイルより、Cドライブを選択する。画面左下の

Catalog にチェックを入れて、カタログファイルを選択し、Import Catalog ボタンを

クリックする。

4. 新しい画面が開き、左側のカラムにカタログが表示されるので、Close を押す。

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QCWS 参考プロトコル HLA 抗体検査

3.1.2 解析用 PC がインターネットに繋がっている場合

1. HLA Fusionを起動し、画面の上部のタブより Utilities >Update Reference >Update

Reference Files を選択する。

2. 新しい画面が表示されるので、画面左下の Catalog にチェックを入れて、Auto Update ボ

タンをクリックする。

3. 別画面が表示されるので、画面左下の Not in Fusion DBにチェックをいれ、画面左上

の LABScreenにチェックをいれ、画面右下の Import ボタンを押す。完了すると緑色のゲ

ージが一番右側まで行きる。Closeを押す。

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3.2 LABScreen データのインポート方法

LABScreen解析用データは、LABScan(Luminex)の測定用 PCの以下の場所に自動的に保存

されている。

Luminex IS2.3の場合:C:\My Batch\Output

Luminex XPONENT3.1/4.2 の場合:C:\ ProgramData\Luminex\xPonent31\OutPut

もしくは C:\My Session

ファイル名は、「測定の際に入力したバッチ名.csv」となっている。

測定 PCと別の PC で解析する場合は、上記のファイルを USB等で移動させる。

1. HLA Fusion 3.0 アイコンをクリックし、User Name、Password を入力し、ログイン

する。初期画面左下の「LABScreen」のアイコンをクリック後、画面左上にあるフォル

ダのアイコンをクリックする。

2. 解析したいバッチファイルを選択する。複数選択する場合は、「Shift」または「Ctrl」

キーを押しながら選択して「開く」を押す。その後、解析したいバッチファイルを選択

する。もし、過去に解析したファイルを再度読み込む時は、Include Imported にチェ

ックする。

3. 中央画面に、Session ID 、Catalog ID が自動入力される。Catalog ID が合っているか

必ず確認をする。Session ID に、特殊記号が含まれていると HLA Fusion で解析できな

いので、必ず半角英数字とハイフン、アンダーバーのみを使用する。

カタログ ID の読み方:製品コード、陰性血清ロット、ビーズロット、カタログバージョン

例: LABScreen Single Class I、陰性血清ロット 14、ビーズロット 8、バージョン 2 =

「LS1A04NC14_008_02」

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QCWS 参考プロトコル HLA 抗体検査

4. 陰性コントロール血清(一番目の検体)の NS のボックスをチェックし、Import ボタン

横の、Check Control ボタンを押し、陰性コントロール血清の測定データとメーカーデ

ータとを比較する。

5. 陰性コントロール血清の測定データがメーカーデータと乖離していた場合には、コンタ

ミネーション等が疑われる。問題ない場合には、Import ボタンをクリックする。

6. 画面右上にある「Navigator」から解析したいデータクリックする。

青字: 未解析のセッション、黒字: 解析済セッション

7. Summaryが表示される。各検体をダブルクリックすると解析画面が表示される。

データが乖離している例。NC血清やバッファーなど、

どこかでコンタミしている可能性あり

メーカーデータ

測定データ

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3.3 LABScreen Mixed 解析

3.3.1 解析手順

1. 画面左下 Statistics のコントロール値が問題ない事を確認する。

2. 結果は HLA Class I 抗体 、Class II 抗体および MICA 抗体の陰性/陽性が自動判定さ

れる。MICA抗体の結果を確認するには、画面左下の MIC というタブをクリックする。

3. 判定結果は、Final Assignment の「Positive」(陽性)、「Negative」(陰性) 、

「Undetermined(判定保留)」を確認する。判定後、Save ボタンをクリックする。

赤色の横線:陽性カットオフライン。陽性カットオフ以上のビーズが一つでもあれば、

Positiveと判定される。

緑色の横線:陰性カットオフライン。すべてのビーズが陰性カットオフライン以下であ

れば、Negativeと判定される。

グレーゾーン:陰性カットオフラインと陽性カットオフラインの間にビーズがある場

合。Undetermined と判定される。

カットオフラインは、各施設で各自検討する。(2.3.3 参照)

②判定結果の確認

① コントロール値の確認 ③判定結果の保存

HLA Class I HLA Class II

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QCWS 参考プロトコル HLA 抗体検査

3.3.2 LABScreen Mixed の判定:NBG ratio に関して

LABScreen Mixed では、NBG ratioという値を用いて陽性、陰性のカットオフを定める。

NBG ratioは、コントロールビーズに対して、各ビーズがどれくらい反応したかの比率を表

すパラメーターである。

NBG ratio = (検体 各ビーズ値 - 検体 NC ビーズ値)/(NC血清各ビーズ値 - NC血清 NC ビーズ値)

NBG ratioのデフォルト値は、陽性カットオフ値が 1.5、陰性カットオフ値が 1.2 となって

いるが、各施設での検討を基にカットオフ値を変更する。

LABScreen Mixed のカットオフ値を変更する方法

1. HLA Fusionにログイン後、Utilities>Antibody Product Configuration>Set Mixed

Product Configuration をクリックする。

2. 下記画面にて、Catalog ID から使用するカタログを選択し、カットオフ値の変更を行

う。陽性カットオフ(Positive Threshold)、陰性カットオフ(Negative Threshold)

の欄に、施設で検討した値を手入力する。(Class I、Class II、MICA それぞれ変更可

能。)入力後は必ず Save を押す。

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QCWS 参考プロトコル HLA 抗体検査

3.4 LABScreen Single Antigen解析

3.4.1 解析手順

1. 画面左下 Statistics のコントロール値が施設基準と比較して問題ない事を確認する。

2. オレンジ色の縦線(デフォルトのカットオフライン)にカーソルを合わせると、蛍光値

が表示されるので、各施設の蛍光値のカットオフ基準に合わせて、左右にドラッグして

カットオフラインを検討する。

自動判定におけるデフォルトの陽性カットオフラインは X6である。HLA Fusion はビー

ズの反応を X8,X6,X4,X2 とグループ分けして解析する。解析のアルゴリズムは、nMFI

値(蛍光値)のショルダー(蛍光値が急に下がる点)、CREG(交差反応)、エピトープ等

に基づいている。カットオフの設定は各施設の基準に基づいて行う。変更する際には、

各施設で定めた nMFI 値や、抗原特異性(CREG、患者の HLA タイプの反応)等を参考に

する。

3. 画面下の CREGの表、Epitope Analysis Results から、抗原特異性を確認する。

下記の表は、各 CREG の反応を表しており、2C、5C などが各 CREG を表している。紫色

の抗原が陽性と判定されたものである。CREG で反応性がうまく説明できる場合がある

ので、カットオフ変更の際に参考にする。

Epitope Analysis Resultsでは 「Spec」:抗原特異性、「>=6」:陽性カットオフより

高い反応のビーズ数、「<X6」:陽性カットオフより低い反応のビーズ数、「Mean」=各抗

原ビーズ値の平均の nMFI(蛍光値)が分かる。

抗原レベルで反応が乖離しているものが無いかを確認する。

X8 X6 X4

① Mean(Raw)となっている場合は、設定の

変更を行う。

② Utilities > Antibody Product

Configuration > Set Analysis

Configuration を選択し、Product Type

を LABScreen Single Antigen を選ぶ。

③ その後、画面下の下記のチェックボック

スにチェックして、Save する。

抗原レベルで乖離している例

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QCWS 参考プロトコル HLA 抗体検査

4. 抗原レベルでの特異性を確認する場合には、画面上部の Sort Ag ボタンより、グラフ

をローカス毎に並び替える。もとに戻す場合は、Refresh ボタンを押す。

5. 画面中央上部の □DNA にチェックすると、抗原表記がアリル表記に切り替わる。アリ

ルによって反応性が異なる場合があるので、患者、ドナーのアリル情報がある場合は参

照する。アリル情報を結果に反映させたい場合には、3.4.2 を参照。

例:Cw10、Cw10 ⇔ C*03:02、C*03:04

6. 陽性と判断した抗原を Epitope Analysis ResuLts より選択し > ボタンで移動す

る。複数選択する場合、「Shift」キーもしくは「Ctrl」キーを押しながら選択する。取

り消したい抗原がある場合は、選択後、Remove を押す。

7. 解析後は必ず、画面右下の Saveをクリックする。一度保存したデータを再解析して保

存する場合は、Confirm ボタンをクリックする。

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QCWS 参考プロトコル HLA 抗体検査

3.4.2 アリルレベルでの特異性をアサインする場合

1. 画面右下の Raw Data ボタンをクリックする。

2. 下記画面より、陽性になったビーズのアリルをダブルクリックし、Close する。

3. 解析画面右下の Final Assignment のカラムに、陽性となったアリルが表示される。

最後に画面右下の Save を押す。追加したアリルはレポートにも反映される。

追加されたアリル

ダブルクリック

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QCWS 参考プロトコル HLA 抗体検査

3.4.3 DQ、DP抗体の解析

DQ、DP抗体は、デフォルト設定では、DQB1/DPB1 の反応性に基づいてソフトが自動判定して

いる。DQ、DP抗体を解析する際には、DQA1/DPA1 の特異性も確認する。

1. 解析画面右上の□DQA1/DPA1 にチェックを入れる。

2. DQA1/DPA1に陽性反応に関係する特異性があった場合には自動で Epitope Analysisの画

面に DQA1/DPA1のアリルが表示される。前後で結果を比較する。

3. 次に、画面上部の Sort Ag ボタンを右クリックし、Sort by DQA1/DPA1 をクリックする。す

ると、DQA1/DPA1 のアリル情報でグラフが並びかえされる。陽性と判定された抗原、アリ

ルは紫色で特異性が表示されるので、特異性を比較・確認する。元に戻す場合は、Refresh

ボタンを押す。

4. 陽性と判定した DQA1/DPA1 アリルは、Epitope Analysis 画面で選択して、>ボタンで

Final Assignment に追加し、Saveする。

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QCWS 参考プロトコル HLA 抗体検査

3.4.4 LABScreen Single Antigen と Supplement の結合解析方法

1. 3.2と同様に測定データをインポートする際に、LABScreen Single Antigen 及び

Supplementのデータを同時に読み込み、□Combine CSV、該当データをチェックする。

2. Combined タブを選択し、陰性コントロール血清にチェックし、Import をクリックする。

3. 基本的な解析方法は、3.4.1 の解析手順と同様である。

4. 解析画面上部の、□DNA にチェックを入れ、アリル毎の反応性の違い等を確認する。

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QCWS 参考プロトコル HLA 抗体検査

3.5 レポートの作成

1. 画面上部にあるメインメニューの「Report」をクリックする。

2. 画面左部分で、レポート作成したいデータの検索を行う。データ解析した日付で検索す

る場合、Test Date を選択して、Find ボタンを押す。その後、Generic Antibody →

Antibody Custom を選択する。

3. 画面右に Set Up ボタンが表示されるので、クリックする。

4. レポートに出力したい項目にチェックを入れる。ただし、患者情報、ドナー情報等、入

力されていない情報は出力されない。Report 名を入力して画面右側の Save を押す。

レポートタイトル

(英数字半角20字まで入力

可能)

患者 ID、名前

ドナー情報、DSA の有無

NC、PC 値、%PRA など

アサイン

した抗体

DSA 以外の陽性

抗体を黒丸で囲

む。

DSA を赤丸で囲む。

反応グラフの表示

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QCWS 参考プロトコル HLA 抗体検査

5. 画面中央の Sessions タブより、解析したいデータにチェックを入れる。セッション名の

横の + ボタンを押すと、さらに詳細情報が表示される。一つの検体だけ選択する事も

できる。

6. View Reportをクリックすると、下記の様なレポートが表示される。

7. 画面左上のアイコンより、PDFで保存または印刷する。