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九州支部研究発表会
交差型とLAP型の円筒形1.5層スペースフレームの力学特性に関する基礎研究
九州工業大学 陳研究室
○落石謙陳沛山
1. 研究背景
1.5層スペースフレームとは、新しい構造形式
2層の節点と1層の弦材と斜材で構成
円筒形1.5層スペースフレーム
幾何学構成
デザインの多様化、施工性の容易化、構造全体の軽量化
□
デザインの多様性
構造安定性
平面状1.5層スペースフレーム
1. 研究背景
→検討項目
□
□
□
既往研究(1.5層スペースフレームに関する)
2. 研究目的
曲面形状の1.5層スペースフレームに関する研究が不十分
円筒形1.5層スペースフレームの研究
静的力学特性に関する解明
4.1形状と変位の関係4.2軸力分布の特性4.3固有振動特性
実用可能なスパンや構造設計に関する情報の提言
3. 研究方法と内容
解析モデル
構造解析ソフト を用いて
1.5層スペースフレームの静的解析,固有値解析
Case1-1 Case1-2
Case2-1 Case2-2
Case1-1:交差型ユニット、正方向グリッドCase1-2:交差型ユニット、45°斜交グリッドCase2-1:LAP型ユニット、正方向グリッドCase2-2:LAP型ユニット、45°斜交グリッド
[1]解析モデル
□
荷重や境界条件などの設定単位重量(kN/m3) 長さ(m) 断面積(mm2) 本数
上弦材 7.8 2.5 3656.8 840
斜材 7.8 2.9 3656.8 840
束材 7.8 1.5 3656.8 261
補強材 7.8 - 3656.8 236
総重量 1664(kN)
部材断面Φ200×6.0のSS400に相当する鋼管ヤング係数は2.05×105N/mm2
ライズスパン比 デプス・グリッド比 辺長比
形状パラメータ
この総重量より上層面表面積から固定荷重を算出し、上弦材負担面積に応じて集中荷重を載荷した。
スパンLx:50m、一定条件とする。
形状パラメータによる鉛直変位や軸力分布の変化を調べる適切な形状を模索する
3. 研究方法と内容 [2]形状パラメータ
□
4. 研究結果 [1] 変位形状 Case1-1
47.9mm 43.0mm 339.8mm
集中荷重4156Nを載荷
4辺支持 桁支持 妻支持
支持条件による変形
スパン50×50m
束材長さ1.5m
ライズスパン比0.13 初期形状
4つの解析モデルに関わらず、妻支持の場合に鉛直変位が大きい。
4辺支持や桁支持では過大な変形ではない(スパンに対するたわみ1/1000程度)
□
4. 研究結果
0
100
200
300
400
500
0 0.1 0.2 0.3 0.4
最大鉛直変位
(mm
)
ライズスパン比
交差型4辺支持
交差型桁支持
交差型妻支持
0100200300400500600700800900
0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1.6最大鉛直変位
(mm
)デプスグリッド比
交差型4辺支持
交差型桁支持
交差型妻支持
0
1000
2000
3000
4000
0.5 1.5 2.5
最大鉛直変位
(mm
)
辺長比
交差型4辺支持交差型桁支持交差型妻支持
[1] 形状パラメータと鉛直変位 Case1-1
形状パラメータと鉛直変位の関係から
(1)ライズスパン比0.13以下での剛性の変化が大きい。(2)デプスグリッド比0.8以下での妻支持の剛性の変化が大きい。(3)辺長比は、妻支持の場合に剛性の影響が大きい。
剛性の評価
上弦材円筒軸方向部材
X=0m
X=25m
4. 研究結果 [2] 軸力分布 Case1-1 4辺支持の場合
-80
-60
-40
-20
0
20
40
60
-25 -15 -5 5 15 25
軸力
kN
Y座標m
X=0m
X=2.6m
X=5.2m
X=7.8m
X=10.4m
X=12.9m
X=15.5m
X=17.9m
X=20.3m
X=22.7m
X=25m
X=0m近傍部材では引張、X=25近傍部材では圧縮
-80
-60
-40
-20
0
20
40
60
-25 -15 -5 5 15 25
軸力
kN
Y座標
X=0m
X=2.6m
X=5.2m
X=7.8m
X=10.4m
X=12.9m
X=15.5m
X=17.9m
X=20.3m
X=22.7m
X=25m
4. 研究結果 [2] 軸力分布 Case2-1 4辺支持の場合
X=0m近傍部材では圧縮、X=25近傍部材では引張
上弦材円筒軸方向部材
X=0m
X=25m
X=0m
X=25m
円筒形シェルの力学特性は、形状パラメータにより異なるが、ユニットにより上弦材円筒軸方向の軸力分布が異なることがわかる。
-80
-60
-40
-20
0
20
40
60
-25 -15 -5 5 15 25
軸力
kN
Y座標m
X=0m
X=2.6m
X=5.2m
X=7.8m
X=10.4m
X=12.9m
X=15.5m
X=17.9m
X=20.3m
X=22.7m
X=25m-80
-60
-40
-20
0
20
40
60
-25 -15 -5 5 15 25
軸力
kN
Y座標
4. 研究結果 [2] 軸力分布 4辺支持の場合
上弦材円筒軸方向部材
-60
-40
-20
0
20
40
60
80
100
120
140
-25 -15 -5 5 15 25
軸力
kN
Y座標
X=0m
X=2.6m
X=5.2m
X=7.8m
X=10.4m
X=12.9m
X=15.5m
X=17.9m
X=20.3m
X=22.7m
X=25m
円筒軸方向の斜材は引張を負担する。
4. 研究結果 [2] 軸力分布 Case1-1,Case2-1 4辺支持の場合
X=0m
X=25m
斜材円筒軸方向部材
上弦材アーチ方向部材は円弧アーチの特性→桁支持部で引張、スパン中央で圧縮
-150
-100
-50
0
50
100
150
-25 -15 -5 5 15 25
軸力
kN
X座標m
Y=0m
Y=2.5m
Y=5m
Y=7.5m
Y=10m
Y=12.5m
Y=15m
Y=17.5m
Y=20m
Y=22.5m
Y=25m-150
-100
-50
0
50
100
-25 -15 -5 5 15 25
軸力
kN
X座標m
斜材アーチ方向部材は→桁支持部で圧縮、スパン中央で引張
4. 研究結果 [2] 軸力分布 Case1-1,Case2-1 4辺支持の場合
上弦材アーチ方向部材 斜材アーチ方向部材
Y=0m
Y=25m
Y=0m
Y=25m
上弦材アーチ方向部材は円弧アーチの特性→桁支持部で引張、スパン中央で圧縮
-150
-100
-50
0
50
100
150
-25 -15 -5 5 15 25
軸力
kN
X座標m
Y=0m
Y=2.5m
Y=5m
Y=7.5m
Y=10m
Y=12.5m
Y=15m
Y=17.5m
Y=20m
Y=22.5m
Y=25m-150
-100
-50
0
50
100
-25 -15 -5 5 15 25
軸力
kN
X座標m
斜材アーチ方向部材は→桁支持部で圧縮、スパン中央で引張
アーチ方向部材は対応していることがわかる。
4. 研究結果 [2] 軸力分布 Case1-1,Case2-1 4辺支持の場合
上弦材アーチ方向部材 斜材アーチ方向部材
上弦材の軸力分布は円筒軸方向とアーチ方向が同じような軸力分布をしている。
-120
-80
-40
0
40
80
120
-25 -15 -5 5 15 25
軸力
kN
Y座標m
X=1.3m
X=3.9m
X=6.5m
X=9.1m
X=11.7m
X=14.2m
X=16.7m
X=19.1m
X=21.5m
X=23.8m-120
-80
-40
0
40
80
120
-25 -15 -5 5 15 25
軸力
kN
X座標m
Y=1.25m
Y=3.75m
Y=6.25m
Y=8.75m
Y=11.25m
Y=13.75m
Y=16.25m
Y=18.75m
Y=21.25m
Y=23.75m
4. 研究結果 [2] 軸力分布 Case1-2 4辺支持の場合
上弦材円筒軸方向部材 上弦材アーチ方向部材
Y=0m
Y=25m
X=0m
X=25m
45°斜交グリッドの場合
-100
-80
-60
-40
-20
0
20
40
60
80
100
-25 -15 -5 5 15 25
軸力
kN
Y座標m
X=1.3m
X=3.9m
X=6.5m
X=9.1m
X=11.7m
X=14.2m
X=16.7m
X=19.1m
X=21.5m
X=23.8m
-100
-80
-60
-40
-20
0
20
40
60
80
100
-25 -15 -5 5 15 25
軸力
kN
X座標m
Y=1.25m
Y=3.75m
Y=6.25m
Y=8.75m
Y=11.25m
Y=13.75m
Y=16.25m
Y=18.75m
Y=21.25m
Y=23.75m
斜材の軸力分布は円筒軸方向とアーチ方向が同じような軸力分布をしている。
4. 研究結果 [2] 軸力分布 Case1-2
斜交グリッドにより軸力の伝達に偏りが小さい4隅に軸力が集中
4辺支持の場合
斜材円筒軸方向部材 斜材アーチ方向部材
Y=0m
Y=25m
X=0m
X=25m
A
A’
B
B’
C
C’
ライズスパン比による軸力分布の変化
-200
-150
-100
-50
0
50
100
150
-25 -15 -5 5 15 25
軸力
kN
X座標m
B-B'
-150
-100
-50
0
50
100
150
-25 -15 -5 5 15 25
軸力
kN
X座標m
C-C'θ=20°
θ=40°
θ=60°
θ=80°
θ=120°
-200
-150
-100
-50
0
50
100
150
-25 -15 -5 5 15 25
軸力
kN
X座標m
A-A'
デプスグリッド比による軸力分布の変化
-90
-60
-30
0
30
60
-25 -15 -5 5 15 25
軸力
kN
X座標m
C-C'
T=500mm
T=1500mm
T=2500mm
T=4000mm
-150
-120
-90
-60
-30
0
30
60
-25 -15 -5 5 15 25
軸力
kN
X座標m
A-A'
-90
-60
-30
0
30
60
-25 -15 -5 5 15 25
軸力
kN
X座標m
B-B'
4. 研究結果 [2] 形状パラメータによる軸力分布 Case1-1
4辺支持の場合の上弦材アーチ方向部材
mode1 mode2 mode3
mode4 mode5 mode6
mode 固有周期 刺激係数X刺激係数Y刺激係数Z1 0.270 0.00 0.00 5.422 0.269 -2.46 1.01 0.003 0.24 1.78 0.82 0.004 0.23 0.00 0.00 -0.725 0.18 0.00 0.00 -0.866 0.15 0.00 0.00 -6.117 0.15 0.92 -0.72 0.008 0.13 -0.33 -0.14 0.009 0.12 0.00 0.00 0.0010 0.12 2.86 -2.21 0.00
鉛直方向Z刺激係数の大きなmode1やmode6が支配的な振動モードである。
固有振動特性の考察
4. 研究結果 [3] 固有値解析 Case2-2
水平方向X,Y刺激係数の大きなmode2やmode3では、鉛直振動が励起
4辺支持の場合
0.0
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0
1.2
1.4
1.6
0 0.1 0.2 0.3
1次固有周期
[S]
ライズスパン比
Case1-1、4辺支持 Case1-2、4辺支持
Case1-1、桁支持 Case1-2、桁支持
Case1-1、妻支持 Case1-2、妻支持
ライズスパン比が大きくなると、水平方向の振動が卓越し、固有周期が長くなる。
Lx:50m一定Lx:50m一定Lx:50m一定
4. 研究結果 [3] 形状パラメータによる固有値解析
ライズスパン比と固有周期の関係
ライズスパン比0.13付近から、鉛直方向から水平方向の振動モードが表れる傾向がある。
0.0
0.5
1.0
1.5
2.0
2.5
3.0
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2
1次固有周期
[S]
デプス・グリッド比
Case1-1、4辺支持 Case1-2、4辺支持 Case1-1、桁支持
Case1-2、桁支持 Case1-1、妻支持 Case1-2、妻支持
束材長さ、デプス・グリッド比が大きくなると、固有周期が短くなることがわかる。
デプスグリッド比0.6以上では、全体剛性への影響が小さい。
4. 研究結果 [3] 形状パラメータによる固有値解析
デプスグリッド比と固有周期の関係
デプスグリッド比0.8付近から鉛直方向の振動モードが表れる傾向がある。
0.0
1.0
2.0
3.0
4.0
5.0
0.5 1 1.5 2 2.5
1次固有周期
[S]
辺長比
Case1-1、4辺支持 Case1-2、4辺支持
Case1-1、桁支持 Case1-2、桁支持
Case1-1、妻支持 Case1-2、妻支持
辺長比が大きくなると、固有周期が長くなる。
妻支持
4辺支持と桁支持
妻支持の場合に、その変化が大きいことがわかる。
4. 研究結果 [3] 形状パラメータによる固有値解析
辺長比と固有周期の関係
妻支持では鉛直方向の振動モード、4辺支持や桁支持では逆対称の複数振動モード
辺長比1.0
辺長比1.5
辺長比2.0
1.軸力分布4辺支持や桁支持はアーチ特性、妻支持はシェル、梁特性である。正方向グリッドよりも45°斜交グリッドのほうが軸力が小さい。交差型よりもLAP型のほうが軸力が小さい傾向にある。
5. まとめ
2.形状パラメータによる力学特性(1)ライズスパン比が大きい場合、軸力は小さくなる傾向にある。(2)デプスグリッド比が大きくなると、軸力が小さくなる傾向がある。
3.固有値解析(1)ライズスパン比が大きくなると、固有周期が長く、水平方向の振動が卓越する。
(2)デプスグリッド比が大きくなると、固有周期が短く、剛性が大きくなる。(3)辺長比が大きくなると、妻支持の場合にその影響が大きい。
4.今後の課題円筒形シェルの理論的な数値解析との比較非線形解析や座屈問題、動的解析、振動性状1.5層スペースフレーム構造形式を用いた構造設計や設計法の確立
5. まとめ
円筒形1.5層スペースフレームの静的力学特性に関する解析を行い、解析結果の分析、比較検討を行った。
円筒形1.5層スペースフレームが実用可能な構造形式
部材に生じる軸力の値が小さく、剛性を有する空間構造物として優れた構造形式であること
円筒形シェルの特徴を有していること
□
□
□
部材断面Φ200×6.0程度で実用可能な構造規模スパン50×50m□
ご静聴ありがとうございました。