2
2013730 6 事務局:350-0035 川越市西小仙波町 2-22-1(山口) TEL/FAX:夜間・休日 049-224-9687( 山口 ) 平日・昼間 049-224-0020 (赤松岳法律事務所) Mail:[email protected] http://kawagoe9jyounokai.wordpress.com/ 参議院選挙が終わりました。7月21日午後8時 0分0秒、最後の有権者が投票箱に1票を投じたそ の瞬間、テレビは自民党の圧勝を告げました。選管 発表の開票速報に心を躍らせる間も与えられず、衆 参のねじれ解消を知らされた瞬間でもありました。 日本国憲法の行方を案じる私たちの胸元をなにか切 ない空気がすーっと通り抜けて行ったような気がし ます。 今回の選挙にはかつてなかったほどの重要テーマ があふれていました。経済、財政、暮らし、子育て、 教育、復興、原発、憲法、外交、安全保障、等々。 政権党の自民党はそれらすべての項目を公約に掲げ ながら、選挙期間中は有権者の疑問や反発を買うテ ーマには触れないよう、アベノミクスの自賛に徹す る選挙戦術を押し通しました。とりわけ私たち「九 条の会」が懸念する憲法問題に関しては、驚くほど 節操を欠いていました。9条を変える、それを変え やすくするために96条を変える、わずか1/3の議 員が反対するだけで発議できないのはおかしい。い ずれ国民投票に問うのだから1/2での発議でいい。 /2条件がだめなら1/2と2/3とを使い分けたら いい。その主張は日が経つにつれしどろもどろにな りました。 しどろもどろになったのは自民党だけではありま せんでした。民主党は憲法に関する自らの立ち位置 を最後まで明確にできませんでした。公明党は護憲 の立場をとりながら政権与党の立場をひたすら強調 しました。護憲一筋の社民党は今回も全く歯のたた ない選挙でした。そしてその他名乗りを上げた10 指に及ぶ政党もそれぞれ党内に不協和音を抱えたま までした。参議院は衆議院の審議結果を再チェック するための冷静な機関の筈です。が、各党とも衆議 院選挙と全く同じ振る舞いしかできず、参議院議員 を目指す候補者としての衿持を感じることはできま せんでした。 選挙の翌日、全国の郵便受けに「一強多弱」の大 見出しが躍る新聞が投函され、その紙面には早くも 自民党が同党の憲法改正案を国民に直接説明する「対 話集会」を全国展開するとの記事が含まれていまし た。そしてまた、東京第一弁護士会の弁護士たちを 中心とする「一票の格差を提訴するグループ」が全 国14の高裁本庁、支部に選挙無効を求める訴状を 一斉提出したという記事も載っていました。 同じ日、世界のメディアでも日本の選挙結果が報 じられました。「安倍政権のナショナリズム傾向が強 まり、中国・韓国との間にさらなる緊張をもたらす 可能性が」(仏・AFP)、「タカ派安倍首相の保守的 な政策目標は近隣諸国との関係をさらに緊張させか ねない」(米・AP)、「安倍政権の右傾化が進めば日 本は国際社会の不安定要因になる」(中・新華社)「安 倍首相の天下で韓国は対日政策の練り直しを迫られ る」(韓国中央日報)など。選挙戦がスタートした数 日後、外国通信社3社の記者が参加するテレビ番組 で「もし9条が改正されたら世界にどのように配信 するか」との質問に、ロイター通信のリンダ・リー ク記者は「”憲法9条を日本が捨てた“とヘッドラ インを置くだろう。そしてそのニュースは世界に衝 撃を与えるだろう」と応えていました。奇しくも選 挙終了直後の世界メディアの反応はロイター記者の 発言に沿うものでした。安倍政権と憲法問題は日本 だけの問題を飛び越えています。 自民党は選挙公約で「憲法を改正し、日本を取り 戻す」と高らかに謳いました。しかし選挙が始まっ て、それが議席獲得のマイナスメッセージになると 判断するや、すぐに口をつぐんでしまいました。そ して選挙が終わったその瞬間からまた自前の改憲を 謳いだしています。このように選挙駆け引きの中で 憲法を手玉に取ることには我慢なりません。 国民は選挙というたった一つの手段でしか自らの 意思を国家に示すことができません。百種類もの料 理を盛り付けた各党の大皿料理を突き付けられ「さ あ、好きな皿を一枚選べ」という現在の仕組みでは、 国民が本当に望む日本を実現することはできません。 盛り付けの終わった皿を選ぶのではなく、国民が一 品一品吟味した料理を皿に盛る政治の在り方を定着 させることはできないでしょうか。 今回の選挙ではインターネットの利用が解禁され ました。しかし候補者サイドでも有権者サイドでも 未熟で、初体験の域を出ませんでした。反原発活動 では組織のない国民運動という新しい意思表示が行 われています。インターネットがその成果を高める 有効な機能をはたしていますが、政治に反映させる という締めくくりの段階ではまだまだエネルギー不 足のようです。9人の知名人の個人的な呼びかけか

Mail:[email protected]...写真展 Íフクシマ・チ ェルノブイリ Î Í原爆 の図平和紙芝居 Ë被災者からのメッ セージ Ì 講演会 Ë被災者の被

  • Upload
    others

  • View
    3

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: Mail:kawagoe9jyounokai@hotmail.co...写真展 Íフクシマ・チ ェルノブイリ Î Í原爆 の図平和紙芝居 Ë被災者からのメッ セージ Ì 講演会 Ë被災者の被

2013.7.30

第96 号

事務局:350-0035 川越市西小仙波町 2-22-1(山口)

TEL/FAX:夜間・休日 049-224-9687(山口 )

平日・昼間 049-224-0020(赤松岳法律事務所)

Mail:[email protected]

http://kawagoe9jyounokai.wordpress.com/

参議院選挙が終わりました。7月21日午後8時

0分0秒、最後の有権者が投票箱に1票を投じたそ

の瞬間、テレビは自民党の圧勝を告げました。選管

発表の開票速報に心を躍らせる間も与えられず、衆

参のねじれ解消を知らされた瞬間でもありました。

日本国憲法の行方を案じる私たちの胸元をなにか切

ない空気がすーっと通り抜けて行ったような気がし

ます。

今回の選挙にはかつてなかったほどの重要テーマ

があふれていました。経済、財政、暮らし、子育て、

教育、復興、原発、憲法、外交、安全保障、等々。

政権党の自民党はそれらすべての項目を公約に掲げ

ながら、選挙期間中は有権者の疑問や反発を買うテ

ーマには触れないよう、アベノミクスの自賛に徹す

る選挙戦術を押し通しました。とりわけ私たち「九

条の会」が懸念する憲法問題に関しては、驚くほど

節操を欠いていました。9条を変える、それを変え

やすくするために96条を変える、わずか1/3の議

員が反対するだけで発議できないのはおかしい。い

ずれ国民投票に問うのだから1/2での発議でいい。

1/2条件がだめなら1/2と2/3とを使い分けたら

いい。その主張は日が経つにつれしどろもどろにな

りました。

しどろもどろになったのは自民党だけではありま

せんでした。民主党は憲法に関する自らの立ち位置

を最後まで明確にできませんでした。公明党は護憲

の立場をとりながら政権与党の立場をひたすら強調

しました。護憲一筋の社民党は今回も全く歯のたた

ない選挙でした。そしてその他名乗りを上げた10

指に及ぶ政党もそれぞれ党内に不協和音を抱えたま

までした。参議院は衆議院の審議結果を再チェック

するための冷静な機関の筈です。が、各党とも衆議

院選挙と全く同じ振る舞いしかできず、参議院議員

を目指す候補者としての衿持を感じることはできま

せんでした。

選挙の翌日、全国の郵便受けに「一強多弱」の大

見出しが躍る新聞が投函され、その紙面には早くも

自民党が同党の憲法改正案を国民に直接説明する「対

話集会」を全国展開するとの記事が含まれていまし

た。そしてまた、東京第一弁護士会の弁護士たちを

中心とする「一票の格差を提訴するグループ」が全

国14の高裁本庁、支部に選挙無効を求める訴状を

一斉提出したという記事も載っていました。

同じ日、世界のメディアでも日本の選挙結果が報

じられました。「安倍政権のナショナリズム傾向が強

まり、中国・韓国との間にさらなる緊張をもたらす

可能性が」(仏・AFP)、「タカ派安倍首相の保守的

な政策目標は近隣諸国との関係をさらに緊張させか

ねない」(米・AP)、「安倍政権の右傾化が進めば日

本は国際社会の不安定要因になる」(中・新華社)「安

倍首相の天下で韓国は対日政策の練り直しを迫られ

る」(韓国中央日報)など。選挙戦がスタートした数

日後、外国通信社3社の記者が参加するテレビ番組

で「もし9条が改正されたら世界にどのように配信

するか」との質問に、ロイター通信のリンダ・リー

ク記者は「”憲法9条を日本が捨てた“とヘッドラ

インを置くだろう。そしてそのニュースは世界に衝

撃を与えるだろう」と応えていました。奇しくも選

挙終了直後の世界メディアの反応はロイター記者の

発言に沿うものでした。安倍政権と憲法問題は日本

だけの問題を飛び越えています。

自民党は選挙公約で「憲法を改正し、日本を取り

戻す」と高らかに謳いました。しかし選挙が始まっ

て、それが議席獲得のマイナスメッセージになると

判断するや、すぐに口をつぐんでしまいました。そ

して選挙が終わったその瞬間からまた自前の改憲を

謳いだしています。このように選挙駆け引きの中で

憲法を手玉に取ることには我慢なりません。

国民は選挙というたった一つの手段でしか自らの

意思を国家に示すことができません。百種類もの料

理を盛り付けた各党の大皿料理を突き付けられ「さ

あ、好きな皿を一枚選べ」という現在の仕組みでは、

国民が本当に望む日本を実現することはできません。

盛り付けの終わった皿を選ぶのではなく、国民が一

品一品吟味した料理を皿に盛る政治の在り方を定着

させることはできないでしょうか。

今回の選挙ではインターネットの利用が解禁され

ました。しかし候補者サイドでも有権者サイドでも

未熟で、初体験の域を出ませんでした。反原発活動

では組織のない国民運動という新しい意思表示が行

われています。インターネットがその成果を高める

有効な機能をはたしていますが、政治に反映させる

という締めくくりの段階ではまだまだエネルギー不

足のようです。9人の知名人の個人的な呼びかけか

Page 2: Mail:kawagoe9jyounokai@hotmail.co...写真展 Íフクシマ・チ ェルノブイリ Î Í原爆 の図平和紙芝居 Ë被災者からのメッ セージ Ì 講演会 Ë被災者の被

写真展『フクシマ・チ

ェルノブイリ』『原爆

の図』「平和紙芝居」

「被災者からのメッ

セージ」

講演会「被災者の被

害補償の実態」

展示「ギャラリー・脱

原発」

8/11(日)pm.1:00~

同時企画

ら始まった「九条の会」は「組織を意識しない組織」

として全国に根を張ってきましたが、やはり政治に

反映させるという点ではまだまだエネルギー不足で

す。しかしインターネットの選挙利用も、反原発の

呼びかけも、「九条の会」の草の根も、それで政治家

や政党を動かそうということではなく、それで国民

自身が直接国を良い方に動かそうとする具体的な行

動になっています。代議士はわれわれの選んだ代表、

われわれの意思を間違いなく代弁するとう機能がど

んどん不安定になっているからです。

憲法は国家が国民を拘束するものではなく国民が

国家の暴走を拘束するものとする立憲民主主義であ

れば、時の政治家に憲法を都合よくいじくられるこ

とに細心の注意を払うのが、憲法にも法律にも書か

れてはいないが、国民としての最大の義務ではない

でしょうか。

の日宣伝 毎月、九条の「九」にちなんで呼びかけ

文(賛同はがき入り)などを配布し、「九

条の会」のこと!川越にも「九条の会」が

あることを宣伝しています。参加お待ち

しています。

日 時:8月9日(火)午前11時~

集合場所:時の鐘(川越市幸町・薬師神社)

第32期ヒロシマ市民の描いた

原 爆 絵 画 展 とき:8/9(金)~12日(月)

午前10時~午後7時(最終日pm3時迄)

会場:小江戸蔵里

入場無料

主催:原爆絵画展実行委員会

第三期 かわごえ「憲法塾」・開講中!

8 月はクラッセ川越多目的ホールに会場を移します。

日本の誇るべき憲法「9条」について 1日じっくりと

向き合う機会としましょう。一緒に考えて一歩踏み

出しましょう。ご家族・お友達もご一緒に!ご参加

ください。

日 程 内 容 担当弁護士

4 8月18日(日) 憲法9条はなぜ必要なの? 大久保賢一

5 10月9日(水) もし、あなたが逮捕されたら・・・ 長沼正敏

6 12月 11日(水) 今、なぜ憲法を変えなければい

けないの? 山崎 徹

お手元にある日本国憲法などの冊子持参ください 主催:「かわごえ憲法塾」実行委員会

後援:川 越 市・川越市教育委員会

お問い合わせは川越「九条の会」事務局まで、メール・FAX

をご利用ください。又 当日直接会場での受付もOKです。

クラッセ川越・多目的ホール・13:45~20:00

参加費:500円(1日フリーパス)前売りチケットあり

9条でも話そう会 と き:8 月 1 日(木)13:30~15:30

ところ:小江戸蔵里会議室 (旧鏡山酒造跡地)

川越市新富町 1-10-1☎:049-228-0855

新聞・テレビ・ラジオ・週刊誌等で報道される

気になることを持ち寄って自由に話し合ってい

ます。参加費無料・どなたでも・飛び入り歓迎

朗読劇「月光の夏」プレ企画

とき:8/11(日)16:00~17:00

ところ:ヤオコー美術館

入場無料 「ピアノは知っている。月光の夏」

絵本の朗読と

ピアノソナタ「月光」キーボードに

よる演奏