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公庫MBS の流通市場整備について 公庫MBS の流通市場整備について 2002 2 28 メリルリンチ日本証券 調査部 マネージングディレクター小関 広洋 ヴァイスプレジデント羽仁 千夏 2002 2 28 メリルリンチ日本証券 調査部 マネージングディレクター小関 広洋 ヴァイスプレジデント羽仁 千夏

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公庫MBSの流通市場整備について公庫MBSの流通市場整備について

2002年2月28日

メリルリンチ日本証券調査部マネージングディレクター 小関 広洋

ヴァイスプレジデント羽仁 千夏

2002年2月28日

メリルリンチ日本証券調査部マネージングディレクター 小関 広洋

ヴァイスプレジデント羽仁 千夏

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1

流通市場整備に向けた検討事項流通市場整備に向けた検討事項

公庫公庫MBSMBS流通市場の発展の条件流通市場の発展の条件

市場整備に向けた検討事項市場整備に向けた検討事項

流通市場における流動性の拡大

制度面の整備

ベンチマークの形成

取引環境の整備

商品の多様化

発行市場における適正価格の形成

信用リスクの明確化

分析データの拡充・蓄積

販売方法の検討

投資家層の拡大

流動性の改善

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2

公庫MBS市場の投資家層

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3

投資家層の現状投資家層の現状

n 発行市場• 4回の発行を通じて、投資家層は徐

々に拡大

• 中心となっているのは、一部都市銀行、中堅生保・損保、一部地銀、信金

• 投資を手控えている大手機関投資家が多いことも事実

• 官公庁系は制度上投資できない• 米国のMBSの場合は年金・ファンド

が投資家層として存在、日本ではそのような投資家層が育っていない

n 流通市場

• セカンダリー市場は形成の緒についたばかり

• 気配値は証券会社が提供

第1回債

都市銀行

生命保険会社

損害保険会社

第2回債

地方銀行

系統系金融機関

第4回債

一部信用金庫

第3回債

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4

投資家アンケート調査:母集団の内容投資家アンケート調査:母集団の内容

n 業種別内訳(回答社数:50社)

n 投資実績

n 投資検討中か?

検討していない50%

検討している50%

なし78%

あり22%

地方銀行28%

都市銀行4%

投資信託・投資顧問

4%

その他金融機関18%

保険会社24%

事業法人22%

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5

投資家の意識投資家の意識

n 投資実績のない投資家:今後投資検討する予定

n 投資実績のない投資家:ABS一般は投資対象としているか

n どのような点が改善されれば、投資を今後検討するか?

ある71%

ない29%

いいえ22%

はい78%

2

4

4

10

10

14

17

27

0 5 10 15 20 25 30

日銀買いオペ対象に

情報開示

インデックスの構築

その他

商品のキャッシュフローの多様化

ストラクチャーの改善

商品のリスク・平均年限の多様化

流動性の改善

(回答数:複数回答)

その他:

n プライスが見合えば

n 時価評価の問題をクリア

n 公庫のステータスの安定

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6

流通市場における流動性の拡大

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7

n 投資実績のある投資家:セカンダリー市場での購入実績

n 投資実績のある投資家:満期保有を前提に?

投資家の流通市場への参加投資家の流通市場への参加

n セカンダリー市場には今後参加するか?

いいえ73%

はい27%

はい36%

いいえ64%

いいえ63%

はい37%

投資家のコメント:

n 流動性があれば参加したい

n プライマリー・セカンダリーを問わず、プライスが合えば検討

n 売買可能な期間が短い

n パー以外で購入した場合の管理の課題あり

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8

流通市場の整備と検討事項流通市場の整備と検討事項

検討事項

① 制度面の環境整備

② ベンチマークの提供

③ 取引環境の整備

④ 商品の多様化

n <投資家アンケート調査より>公庫MBSの流動性を高めるには何が望まれるか?

その他:

n 売買ルールの規定

n 発行額の増加

2

4

9

14

14

15

17

25

0 5 10 15 20 25 30

その他

日銀買いオペ対象に

商品のキャッシュフローの多様化

インデックスの構築

情報開示

真正売買方式ABSにする

社債等登録法の改正

商品のリスク・平均年限の多様化

(回答数:複数回答 )

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制度面での環境整備(1)制度面での環境整備(1)

n 社債等登録制度・決済制度の見直し• 現在の社債等登録法において元利払い前3週間の移転登録は認められていない(社債等登録

法施行令第4条)

– 月次元利払いの公庫MBSは、1ヶ月のうち実質的に流通可能な期間が1週間に限定される

– 社債市場全般の流動性を制限

• 日銀ネット上での決済を可能にすること、債券の無券面化などが有益è 米国

– エージェンシーMBSはFedwireで決済可能

– エージェンシーMBSはSEC登録が免除されている

n 利子所得に対する分離課税制度の見直し

• 海外投資家層の投資意欲① プライスが海外商品と比較して魅力にかける

② ストラクチャーが複雑

③ 非居住者が公社債への投資を行った場合、利子所得に対して源泉税がかかる

• 海外投資家を呼び込むには登録国債のような非課税措置が有効

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制度面での環境整備(2)制度面での環境整備(2)

n 信託受益権の有価証券化

• 日本において住宅ローンの信託受益権の位置付けは「みなし有価証券」– 指名債権であるため、譲渡時の事務負担が大きいè 米国:受益権は有価証券と位置付けられ、流動性あり

n 自己信託機能

• 日本の信託法において自己信託は認められていないè 米国:FNMA・FHLMCは商業銀行と同様、トラストを設定することが可能

n 日銀オペ• 公庫MBSの適格担保化

– 先般、日銀がパススルー債も適格担保として受け入れることを決定、これにより公庫MBSも適格担保とされた(ヘアカット15%)

– ただし、受益権は適格担保ではないè 米国:MBS・CMO共に適格担保(通常5%ヘアカット)

• 日銀オペの対象にè 米国:米連邦準備銀行はMBSのレポ市場に参加(一時的措置)、買い切りオペの対象にはされ

ていない

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ベンチマークの形成ベンチマークの形成

n プリペイメントモデルのベンチマークの提供• 当初、各証券会社のプリペイメント予想に開

きあり

• 公庫自身、もしくは第三者機関に委託して、投資家が目安とできるベンチマークを

n インデックスの構築• 年金など、ベンチマーク運用を行っている投

資家を取り込むには、債券インデックスに採用されることが必要

• インデックスの対象とするには、流動性の確保、明確なプライシングが求められる

n 商品の継続的供給• マーケットの規模の拡大

• 商品の統一性を確保

• 継続的なデータの蓄積

n <投資家アンケート>キャッシュフロー分析

モデルを使用せず

28%

その他5%

社内モデルを使用

10%

他社モデルを使用

57%

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取引環境の整備取引環境の整備

n 取引ルールの確立• 米国におけるTBA取引に類似したマーケット

取引慣行の形成

• 証券会社によるインディケーションの提供、マーケットメイク

n 管理システムの開発• プリペイメントを管理するシステムを開発す

るにはコストの負担が大きい

• システムを開発・提供することで、より小規模の参加者も対象に

n <投資家アンケート>パフォーマンス管理体制

n <投資家アンケート>公庫MBSのための管理システムの導入

マニュアルで管理35%

他社開発システムを使用

27%

その他22%

社内でシステムを構築

16%

既存のシステムで対応し

た5%

今後導入する予定

11%

すでに新たにシステムを導

入した0%

導入の予定は特にない

84%

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n 投資家の様々なニーズに応える=より幅広い投資家層の確保① 期間の多様化

– 短期商品を好む投資家もMBS市場に参加

– シーケンシャルペイ:トランシェに分解し、順番(シーケンシャル)に償還することで満期の多様化を図る

② 利払いの多様化

– 固定から変動

– フローター、インバースフローター

③ 償還の多様化

– パススルー型からブレット型

④ プリペイメントリスクの多様化

– パススルーからコントロールドアモチゼーション(PAC、TAC)

⑤ その他、投機的商品の組成

– ストリップ債など

n 証券会社による投資家のニーズの把握、ストラクチャリング

n 同質の公庫MBS(一次商品)の継続的な供給

商品の多様化商品の多様化

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米国エージェンシーMBSの流通市場(1)米国エージェンシーMBSの流通市場(1)

n 米国MBS市場の流動性は非常に高い

• 2001年における一日平均取引高(9月まで)は1000億米ドル以上

n TBA取引による流動性の確保

• あらかじめ決められたクーポンの商品が発行、クーポン単位で取り引きが成立

• 具体的に何回債がデリバーされるかは、数日前まで分からない

• 先物のデリバリーは毎月決まった日に行われ、それによりマーケットが簡素化

• MBS市場の高い流動性を確保

n 米国エージェンシーMBS:一日平均取引高

0

20

40

60

80

100

120

1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001*

Inter-Dealer Brokers Others

(bln USD)

出所:Bond Market Association

*2001年9月末現在

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米国エージェンシーMBSの流通市場(2)米国エージェンシーMBSの流通市場(2)

n データの蓄積

• プール単位のデータは簡単にアクセス可能

• 過去のデータが蓄積

n プリペイメントに関するベンチマークの存在• PSAがプリペイメントのベンチマーク尺度として投資家に浸透

• 証券会社などがモデルを構築、プリペイメント分析・レラティブバリュー分析を行う

n 一次商品の統一性• パススルー債はFNMA、FHLMC、GNMAがそれぞれ0.5%刻みのクーポン別に発行

• 各クーポン単位のマーケットインディケーション

n FNMA・FHLMCはMBS市場における最大のプレーヤー

• FNMA・FHLMCはMBS市場において最大の投資家

• マーケット環境に応じて対応

– 通常の投資家と同様、トレーディングはあくまで利益目的

– ポートフォリオの金利・プリペイメントリスクマネージメントは活発

– ただし、取引規模が大きいため、マーケットを左右することは可能

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米国のCMO市場米国のCMO市場

n CMOの歴史• 1983年、初めてCMO登場

– プリペイメントリスクの多様化• 1986年、REMICの登場

– CMOにかかる税金問題を回避するための制度の導入、CMOマーケットの拡大に寄与

• 現在はPAC、TAC、IO・PO、Z-bondなど、様々な商品が提供されている

n CMOは投資家主導のマーケット• CMOの組成は、投資家のニーズに合わせ

る• FNMA、FHLMCなどはそれを審査・認定し、

REMICを設定

• 裏付資産(エージェンシーMBS)は保証付き、信用リスクはFNMA・FHLMC・GNMAと同等

• FNMA・FHLMC自身も、CMOの組成・投資に積極的

n 米国エージェンシーCMO発行残高

0

100

200

300

400

500

600

700

800

1987 1989 1991 1993 1995 1997 1999 2001*

GNMA FNMA FHLMC

bln USD

出所:Bond Market Association

*2001年9月末現在

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発行市場における適正価格の形成

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公庫MBSのプライシング公庫MBSのプライシング

n 第1~4回貸付債権担保住宅金融公庫債券(公庫MBS)のプライシング

n <投資家の意識>現在のプライシングレベルは投資妙味があるか?

ある程度ある48%あまりない

52%

ある0%

投資家のコメント:

n スプレッドイメージについての回答の幅:T+40~100bps

n 都銀RMBSより上乗せ必要

n 流動性の欠如をカバーするスプレッドの上乗せが必要

n 発行体よりのプライシングになっているのでは

n 格付け(AAA)のわりにはスプレッドが確保できる

n 絶対金利は確保できる

第1回 第2回 第3回 第4回発行時:

クーポン 1.75% 1.78% 1.85% 1.82%Tスプレッド +60bps +55bps +47bps +42bps

2 月 25 日 現 在 までの平均:

投資家利回り 1.90% 1.92% 1.92% 1.96%Tスプレッド +62bps +59bps +53bps +52bps

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検討事項

① 信用リスクの明確化

② 分析データの拡充・蓄積

③ 販売方法の見直し

プライシングの課題と検討事項プライシングの課題と検討事項

n 投資評価• 公庫MBSは財投機関債なのか、資産担

保証券なのか

• 受益権行使の可能性=公庫のステータスの評価:定量化が難しい

• パススルー債のキャッシュフローの予想

• プライシングのベンチマークがない

n 競争入札によるプライシングの歪み

• 入札における引受業者間での過当競争により、投資家の求めているプライシングが確保されない可能性

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信用リスクの明確化(1):受益権行使の可能性信用リスクの明確化(1):受益権行使の可能性

n 現行公庫MBSのストラクチャー

• 公庫MBSは当初、担保付財投機関債の形式をとる。この間クレジットリスクは債権の入れ替えを通じて公庫が補填。投資家への元本返済はパススルー。

• 公庫が株式会社化されるなどの「受益権行使事由」が発生した場合には、公庫MBSは消滅し、投資家が直接的な受益権者となる。償還はパススルーで継続、クレジットリスクは10%程度で設定される超過担保によりカバー。

n 受益権行使事由の投資家にとっての課題

• 裏付資産の評価のみならず、政策リスクという定量化が困難なファクターを織り込む必要がある

• 現在の公庫債から受益権行使事由発生により受益権に切り替わった場合に生じる問題点① 流動性が制限される

♦ 受益権は証券取引法上の有価証券ではない② リスクウェート

♦ 公庫MBSは10%リスクウェート、受益権になると50%

③ 投資家層の制限

♦ 受益権には投資ができない投資家層が存在④ 会計上の取り扱い

♦ 受益権行使された場合の会計上の取り扱いのコンセンサスがない

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信用リスクの明確化(2):公庫か裏付資産か信用リスクの明確化(2):公庫か裏付資産か

n 公庫の信用力に依存する場合• 公庫による保証機能

• 公庫のステータスの安定

• 国債に準ずる商品として

n 裏付資産の信用力に依存する場合• 真正売買方式の導入

• プールの詳細情報開示がより重要

• 制度面、事務的な面における環境整備

n 証券化支援(民間ローンの証券化)ストラクチャーの形成においてもこの点が重要

è 米国

• シンプルなトラストを用いた証券化• 信用リスクは政府支援機関であるFNMA・

FHLMC、政府機関であるGNMAが保証することで明確に

• キャッシュフローはパススルー、投資家はプリペイメント分析に集中

n <投資家の意識>公庫の信用力はソブリンと同等?

劣っている75%

優れている5%

同等20%

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n 公庫MBSのストラクチャーはそのままで良い?

受益権行使に関する投資家の認識受益権行使に関する投資家の認識

n 公庫MBS分析は公庫の信用力、裏付資産のどちらに依存?

n 受益権に切り替わる可能性は?

両方44%

公庫2%

裏付資産54%

どちらとも言えない

47%

高い29%

低い24%

無回答33%

改善すべき38%

そのままで良い29%

投資家のコメント:

n ストラクチャーが分かりづらい

n 公庫のステータスが不安定

n 受益権になった時の税務・会計処理に関する意見書がない

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分析データの拡充・蓄積分析データの拡充・蓄積

n プリペイメント分析データの拡充

• 過去のパフォーマンスデータ– 現在は1996年以降のデータのみ、より過去のデータを提供

♦ デフォルト・延滞債権データ

♦ 早期償還に関するデータ:借換え、住み替え、全額対部分償還など返済動機別

♦ 債務者の属性データ

• 証券化プールのパフォーマンス・属性データ– 当初データは十分と認識

♦ 現在ファクターデータを月次で提供♦ WAC、WAM、債務者属性データなどの継続的な開示

♦ ウェブサイト等におけるデータベースの公開、投資家が直接アクセスできるように

n データの蓄積– 同質の商品の継続的な提供

♦ 継続的なプールデータの蓄積

– 投資家が目安とできるベンチマーク、システムを提供

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販売方法の検討販売方法の検討

n 投資家の需要を反映する販売方法を検討

• 現在は入札方式– 業者の過当競争により、必ずしも投資家のニーズを反映していない

– 今後発行額が増えるが、一社が全額引き受けることは現実的でない

• より投資家の需要を反映する方法を– 主幹事のルーティン制、ブックビルディング方式の採用

– プライスのボックスレンジを設け、マーケットからかけ離れた入札を排除

• プライシングから購入までの期間– 現在1日、2~3日ほしいという投資家も

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米国のMBS市場:投資家主導米国のMBS市場:投資家主導

n データのアベイラビリティー• 過去30年のデータが蓄積

• ブルームバーグやホームページでプールデータが容易に入手可能– プールのWAC、WAM、平均貸付金額、地域分散など

– ただし、借手の信用力に関するデータは公表されていない♦ 信用リスクはFNMA・FHLMC・GNMAがカバー

• ベンチマーク– 定期的な発行、流動的なマーケットにより、蓄積されたデータが存在– PSAモデルの導入によるベンチマークが存在、プリペイメントに関する共通認識が育っている

– TBAによる商品のベンチマーク化

n プライシングはマーケット主導

• 競争の原理により効率的に価格が形成

• セカンダリーマーケットが活発、マーケットが常に成立• MBSマーケットの実勢がモーゲージ金利を決定

– モーゲージバンカーは多数存在するため、競争の原理が働く– 一方で、プールの質はFNMA・FHLMCなどにより設定されたガイドラインにより維持

– サービサーフィー・ギャランティーフィーも競争により調整:資産プールの信用力により変動

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まとめまとめ

流通市場における流動性の拡大

① 制度面の環境整備• 登録制度・決済制度の見直し

• 税制

• 受益権の有価証券化

• 自己信託機能の可能性

• 日銀の市場参加

② ベンチマークの提供• ベンチマークモデルの形成

• インデックスの構築

• 商品の継続的供給

③ 取引環境の整備• ルールの確立

• 管理システムの開発

• 証券会社によるマーケットメイク

④ 商品の多様化• 継続的な一次商品の供給

• 証券会社によるストラクチャリング

発行市場における適正価格の形成

① 信用リスクの明確化• ストラクチャー:公庫か裏付債権か

• 公庫のステータスの安定

② 分析データの拡充・蓄積• 過去のパフォーマンスデータの拡充

• 証券化プールの属性・パフォーマンスデータの継続開示と蓄積

③ 販売方法の検討• 投資家の需要を反映

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2002 Merrill Lynch, Pierce, Fenner & Smith Incorporated (MLPF&S)。無断転載を禁ず。/米国においては当該企業の社債は店頭取引されています。本誌は米国において、当該証券の登録義務がない州、もしくは販売が認められている州のみで販売あるいは配布を行うことができます。MLPF&Sは通常、当該社債の値付けを行っています。/本誌記載のデータは各種の情報源から入手したものですが、その正確性を保証するものではありません。要請に応じ追加情報を提供いたします。/MLPF&Sは自己勘定で、本誌記載の発行者の証券・オプションを端株ディーラー、値付け業者、大口売買の仕切り業者またはサヤ取り業者として取引する場合があります。また、MLPF&Sおよびその関連会社・役員・従業員・従業員給付制度は、当該証券・オプションを買いポジションまたは売りポジションで保有する場合があります。MLPF&Sおよびその関連会社は本誌で取り上げられた企業に対して投資銀行業務を含むサービスを提供したり、それらのサービスを勧誘する場合があります。/外貨建証券投資では、為替相場の変動により配当・利息収入の換算や証券売買に伴い為替差損益が発生する場合があります。ADRなどの投資にも為替リスクが伴います。/本誌は情報提供を目的としており、記載されている意見や予測は証券、オプション、先物等の売買を勧誘するものではありません。ある特定の投資目的や金融ポジション、あるいは特定のニーズに応えたものでもありません。将来的に予想通りの結果とならない可能性があります。本誌で取り上げられている投資対象や投資戦略の適正については投資アドバイスを受けることをお勧めします。投資利益あるいは投資対象の価格・価値は変動する可能性があり、投資収益が投資額を下回る場合もあります。過去の実績は必ずしも将来の実績を示唆するものではありません。投資の決定は投資家ご自身でなさるようお願いします。

発行 メリルリンチ日本証券株式会社 調査部

〒100-8180 東京都千代田区大手町1-1-3 大手センタービル

Tel:03-3213-7600 Fax:03-3213-7656