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#1 掲載雑誌名 Bioorganic & Medicinal Chemistry (Bioorg Med Chem.) 15 1967-75pp(2007) 論文タイトル Modulating effects of a novel skin-lightening agent, α-lipoic acid derivative, on 5 melanin production by the formation of DOPA conjugate products 「新規な美白剤、α-リポ酸誘導体の DOPA 抱合産物形成によるメラニン産生の 抑制効果」 発表者 10 内藤健太郎 *1) 、羽溪 はたに 朋子 1) 、岡田猛 2) 、手原隆夫 1) 1) 株式会社ディーエイチシー 第二研究所、 〒261-0025 千葉県千葉市美浜区浜田 2-42 2) 株式会社タイキ、〒533-0031 大阪府大阪市東淀川区西淡路 6-3-41 15 20 *この著書の問い合わせ先 E-mail [email protected] (内藤 健太郎) 電話番号: +81-43-275-4811 25 ファックス:+81-43-275-4831

Modulating effects of a novel skin-lightening agent, α-lipoic ...5 Modulating effects of a novel skin-lightening agent, α-lipoic acid derivative, on melanin production by the formation

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#1

掲載雑誌名

Bioorganic & Medicinal Chemistry (Bioorg Med Chem.) 15号 1967-75pp(2007)

論文タイトル

Modulating effects of a novel skin-lightening agent, α-lipoic acid derivative, on 5

melanin production by the formation of DOPA conjugate products

「新規な美白剤、α-リポ酸誘導体の DOPA抱合産物形成によるメラニン産生の

抑制効果」

発表者 10

内藤健太郎*1)、羽溪はたに

朋子 1)、岡田猛 2)、手原隆夫 1)

1) 株式会社ディーエイチシー 第二研究所、 〒261-0025 千葉県千葉市美浜区浜田 2-42

2) 株式会社タイキ、〒533-0031 大阪府大阪市東淀川区西淡路 6-3-41

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20

*この著書の問い合わせ先

E-mail : [email protected] (内藤 健太郎)

電話番号: +81-43-275-4811 25

ファックス:+81-43-275-4831

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#2

抄録

DHLHZn(sodium zinc dihydrolipoylhistidinate)は、化粧品および医薬品

用途に開発されたZn2+/ジヒドロリポ酸誘導体複合体の化合物である。新しい美

白剤としてのDHLHZnの特性を明らかにするために、本研究ではDHLHZnのチロ5

シナーゼ(その反応経路を含む)に対する阻害作用を解明した。B-16メラノー

マ細胞系では、DHLHZnは美白剤としてよく知られているα-アルブチンと同様に

メラニン合成の抑制に有効であった。さらに、チロシナーゼのアッセイでは、

DHLHZnはコウジ酸等の他のチロシナーゼ阻害物質より強いDOPAクロム形成

阻害作用を示した。我々は、還元型リポ酸のスルフヒドリル基がDOPAキノンと10

反応し、リポ酸-DOPA抱合体を形成することを以前の研究で実証している。こ

れにより、DHLHZnとDOPAキノン間に抱合産物が形成されていると仮定した。

チロシナーゼ触媒酸化後のDHLHZnとL-DOPAとの反応時にDHLH DOPA抱合産

物が形成されたことが、レセルピンを内部標準として用いたHPLCタンデム質量

分析法により確認された。また、Lineweaver-Burkプロットにより分析した阻害15

動態から、0.35µMのKI値を持つ競合様阻害物質としてDHLHZnの可逆性が示さ

れた。以上の結果は、この共有結合反応がチロシナーゼ反応産物であるDOPAキ

ノンの代替に寄与しており、DHLHZnのDOPAクロム形成に対する競合様阻害作

用を発生させている可能性があることを示している。このように、DHLHZnは潜

在的に有効な美白剤として働く可能性があり、その有効性は、DOPAキノンの共20

有結合性除去による美白作用の機序に基づいている。

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#3

1. 緒言

明らかな皮膚の色素沈着はメラニンの合成および分布により生じる[1]。

近年、顔面における過度の色素沈着の治療を目的としてメラニン合成を効果的

に抑えるために、複数の研究者が色素沈着した皮膚の美白化を広範に研究して5

いる[2-5]。ヒトでは、メラニンは主にメラニン細胞内で形成され、ジヒドロキ

シインドール前駆体の重合により形成される黒色および/または褐色のユーメ

ラニン[6]とシステイン抱合前駆体の重合が伴うことによって着色する赤色およ

び/または黄色のフェオメラニンの 2 種類の一般型に分類される。ほとんどの

天然メラニンは、これら 2 種類の混合物またはコポリマーであることが知られ10

ている[7,8]。

メラニンの合成は、ユーメラニンおよびフェオメラニンの両者の形成に

共通の初期および律速反応(チロシンの L-3,4-dihydroxyphenylalanine [L-DOPA]へ

の水酸化および L-DOPA の DOPA キノンへの酸化)に関与するチロシナーゼに

より主に調節されている[1,9]。これら 2 種類のメラニンのどちらになるかは、15

DOPAキノン形成後のステップにより決まる。自然な化学反応を含むそれらのス

テップは、メラニン形成細胞内のシステインおよび/またはグルタチオン

(GSH)等のスルフヒドリル化合物の比に左右される。すなわち、システイン

および/または GSHが存在しない場合は、DOPAキノンが酸化され、ユーメラ

ニンの中間産物として DOPA クロムを形成するため、ユーメラニンの形成が進20

む。システインおよび/または GSHが存在する場合は、DOPAキノンがそれら

の SH基と結合し、フェオメラニンとして知られている含硫色素の前駆体として

のシステイニル DOPA を形成するが、これはフェオメラニン形成が進むことに

対応する。このように、チロシナーゼに加えて、DOPAキノンを捕捉するチオー

ルがメラニン形成に必須であると考えられる。 25

チロシナーゼの転写を含め、その活性を阻害しメラニン合成を下方調節

することにより、皮膚の美白剤を開発するさまざまな方法が考案されている

[3,4,10-13]。一方、いくつかの美白剤は、スルフヒドリル化合物と DOPAキノン

間の抱合反応を応用したものである[14]。しかし、関連する抱合産物の構造に関

するデータ等の化学的情報はほとんど存在しない。我々は、以前にα-リポ酸(LA)30

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#4

の還元型であるジヒドロリポ酸(DHLA)のスルフヒドリル基が DOPAキノンと

反応してリポイル DOPA抱合産物を形成することを報告し、DHLAが DOPAク

ロム形成の阻害物質として強力な色素沈着に対する抑制作用を示すことを明ら

かにした[15]。しかし、化粧品/医薬品の用途では、DHLAには空気中で酸化し

やすく、水性条件で不溶性であるという欠点があることがわかった。これらの5

欠点を解消するために、DHLHZn(sodium zinc dihydrolipoylhistidinate)が開発さ

れた[16,17]。これによって得られる Zn2+の配位により S-チオレーションによる

酸化物の形成に対する安定性が得られ、ヒスチジンとの結合により水溶解度が

上昇する(図 1)。本研究では、DHLHZnの美白効果の特性を明らかにする。我々

は、DHLHZn が DOPA キノンに対するスルフヒドリル基の反応性を維持しなが10

ら、美白剤として知られているα-アルブチン[4]と同様にメラニン合成を有意に

阻害することを解明する。本研究の結果は、DHLHZn が美白剤として利用でき

る有望な物質であることを示している。

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#5

2. 結果

2.1. DHLHZnは、既知の美白剤α-アルブチンと同様に B-16マウスメラノーマに

おけるメラニン生合成を抑制する。

DHLHZnは、化粧品および医薬品用途に開発された[16,17]、Zn2+/DHLA5

誘導体複合体の化合物である(図 1)。メラニン合成に対する DHLHZnの色素沈

着に対する阻害活性を評価するために、DHLHZnと 3日間培養した B16メラノ

ーマ細胞におけるメラニン濃度を測定し、その結果をα-アルブチンおよびDHLA

と比較した。75µMのDHLHZnで 3日間処理した結果、41.5%の阻害率でDHLHZn

の強い阻害効果が認められた(図 2A)。この濃度では、DHLHZn に顕著な毒性10

は認められなかった。同じ濃度の DHLA およびα-アルブチンの阻害率は、それ

ぞれ36.3%および38.3%であり、ほぼ同程度の阻害効果を示した。この結果から、

DHLHZn が、よく知られた美白剤であるα-アルブチンと同程度に効果的にメラ

ニン合成を抑制することが示された[4]。

15

2.2. DHLHZnは、チロシナーゼ触媒反応時の DOPAクロムの形成を特異的に抑

制する。

LAは効果がないが、DHLAはDOPAクロムおよびシステイニルDOPA等の

メラニン前駆体の形成を効果的に阻害すると報告されている[15, 18]。そのため、

L-DOPAのチロシナーゼ触媒酸化によりDHLHZnのDOPAクロム形成に対する阻20

害活性を評価した。図2Bに示すように、DHLHZnとDHLAはDOPAクロムの形成

を同程度に阻害した。よく知られたチロシナーゼ阻害物質であるコウジ酸およ

びα-アルブチンと比較した場合[4,19,20]、DHLAとDHLHZnはいずれもチロシナ

ーゼ触媒反応に対する特異性が高い阻害物質として作用するようである。

25

2.3. DHLHZnは、DOPAキノンと共有結合反応して DHLH DOPA抱合体を形成

する。

我々は、以前の報告において、DHLA のチオール基が DOPA キノンと

共有結合反応し、リポイル DOPA抱合産物を形成することを明らかにした[15]。

この事実から、我々は DHLHZnもチロシナーゼ触媒酸化後に DOPAキノンと反30

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#6

応し、DOPAキノンとの間に抱合産物を形成するのではないかと考えた。

この予想を裏づけるために、次に、マッシュルーム由来チロシナーゼ存

在下で DHLHZnと L-DOPAを反応させ、形成された DHLH DOPA抱合体量を計

算した。そのために、陽イオンモードの UV 検出とエレクトロスプレー質量分

析法(ESI+-MS)を用いた HPLCにより反応混合物を分析した。m/z 541におい5

て、予想された単抱合体産物に 3 つの分子イオンピークが検出され、それぞれ

ピーク I、II(ピーク IIIのショルダーピーク)、IIIとした。これらの物質は、主

要反応産物に特有の時間で共溶出した(図 3A-B)。これらのピークは、DHLHZn

または L-DOPA を単独でインキュベートした後にチロシナーゼ触媒酸化を行っ

た場合は検出されなかった(データは示していない)。さらに、分光分析から、10

以前に定義したDHLA DOPA抱合産物の特徴と一致する 256nmおよび 291nmの

ピークが明らかになった(補足データ)。同様の産物のピークが 3つ DHLA DOPA

抱合反応でも検出されたことから[15]、以上の結果は、上述の 3つの産物がDOPA

キノンの 5、2、6位置への DHLHZnのスルフヒドリル基の追加によって生じた

イソマーであることを示している。 15

これらの予想された単抱合体ピークの中で、ピーク IIIは HPLCにより

ピーク II を含む混合物として単離できるほど顕著であった。このピーク領域の

画分を採取し、それ以上の精製を行わずに処理した(「材料および方法」を参照)。

衝突誘起によるMS/MS実験により構造を確認した(図 3C)。衝突誘起によるタ

ンデム質量分析法(MS/MS)から得られた DHLHZnおよび DHLAの断片パター20

ンに基づき、断片イオンの式を割り当てた。図の断片パターンは推定によるも

のだが、合理的な割り当てである。m/z 155.8 および 110.0 の断片は、DHLHZn

の断片と重なっているが、DHLA の断片とは重なっていないため、ヒスチジン

部分の存在を裏づけている。

DHLH DOPAの形成をさらに確認するために(DHLHZnの反応における25

抱合体)、DHLHZnを、B16細胞抽出物の存在下で L-DOPAと共にインキュベー

トし、抱合産物の形成を調べた。反応後、混合物に対し HPLC/MS/MS実験(m/z

541.0 [M + H]+ → 155.8および 110.0)を行った。得られたイオンの保持時間は、

マッシュルーム由来チロシナーゼ触媒反応と完全に一致していたことから、

DHLHZn と B16 細胞抽出物で処理した DOPA、ならびにマッシュルーム由来チ30

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#7

ロシナーゼで処理した DOPAとの反応時に DHLH DOPA抱合体が形成されたと

考えられる(図 4A-C)。これらの結果は、DHLHZn のスルフヒドリル基もスル

フヒドリル化合物に固有な形で DOPAキノンと反応することを示している。

2.4. DHLH DOPA抱合体の形成は極めて速く進行するが、時間の経過と供に減5

少する。

無細胞系における DHLH DOPA抱合体を明確にするために、(m/z 609.0

[M + H]+ → 195.0)のレセルピンの定量的挙動を内部標準とする HPLC/MS/MS

定量システムにより、DHLHZnと B16細胞抽出物で処理した DOPAとの反応混

合物を分析した(図 4D)。DHLH DOPA抱合体の形成は、10分間という極めて10

短時間でほぼ完了した(図 5A)。上述のピークの収量は約 4 時間で最大になっ

たが、その後は減少し、24 時間後にはほぼ検出不能であった。さらに、DOPA

および DHLHZnを等しく低密度で含む反応からも、明らかにそれらの新しいピ

ークが検出された(補足データ)。この定量的確証は、3 つの抱合産物すべての

共通であった。 15

図 5Bは、DOPAクロム形成に対する DHLHZnの阻害作用の時間的経過

を示している。DHLHZnの阻害効果はインキュベーションから 24時間後までは

有効であったが、48時間後には低下していた。このような結果は、DHLH DOPA

抱合体形成の量的変化が DOPA クロム形成に対する阻害効果の低下と相関して

いることを示しており、このことからこれらの抱合産物が安定した最終産物で20

はなく、むしろさらなる連鎖反応後の色素成分の産生に関与していると考えら

れる。一方、システインは、システイニル DOPA を形成するよく知られたスル

フヒドリル化合物であるが、同濃度でのその阻害作用が発揮されるのは 30分間

のみである(データは示していない)。

25

2.5. DHLHZnはチロシナーゼを不活性化することなくチロシナーゼ触媒反応に

対する競合的阻害を示す。

DHLHZnの阻害モードを調べるために、DHLHZnのマッシュルーム由来

チロシナーゼ活性に対する阻害作用を評価した。DHLHZn のマッシュルーム由

来チロシナーゼ活性に対する作用は、4.0µM で IC50値 1.3µM のとき 82.9%の阻30

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#8

害率であった(図 6)。DHLHZnの存在下で、マッシュルーム由来チロシナーゼ

により触媒された L-DOPA の酸化の動態研究を実施した。DHLHZn は、マッシ

ュルーム由来チロシナーゼ活性の Km値を上昇させたが、Vmaxには影響を与えな

かった。マッシュルーム由来チロシナーゼ活性の Vmax値(∆A492/min)は 1.3 x 10-4

であり、Km値は 0.86mM L-DOPAであった。1.3µMの DHLHZnの存在下のマッ5

シュルーム由来チロシナーゼ活性については、Vmax値は1.3 x 10-4と同じであり、

Km値は 4.1 x 10-3であった。従って、DHLHZnは、チロシナーゼを不活性化させ

ることなく、チロシナーゼ触媒反応後の DOPAクロム形成を競合様に阻害した。

このことは、DHLHZnとチロシナーゼ反応産物である DOPAキノン間に抱合産

物が形成されることによって DHLHZnの競合様阻害作用が生じることを示唆し10

ている。

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#9

3. 考察および結論

本研究において、化粧品および医薬品用途で開発されたDHLHZn [16, 17]

がメラニン合成を調節する美白効果に関与していることが実証された。DHLHZn

はB-16マウスメラノーマ細胞において、よく知られている美白剤α-アルブチン

[4]と同様にメラニン生合成を抑制した。また、DHLHZnはマッシュルーム由来5

チロシナーゼによるL-DOPAの酸化およびB-16マウスメラノーマに対して強力

な阻害作用を示したことから、他の美白剤より特異性の高いチロシナーゼ活性

阻害剤であると考えられる。

DHLHZnの調節メカニズムは、DHLHZnのスルフヒドリル基とDOPAキノ

ンの反応時に形成されるDHLH DOPA抱合体の形成に基づいている(図式1)。シ10

ステインおよびGSH等のスルフヒドリル化合物がDOPAキノンと結合する際の

反応は、メラニン形成初期の他の重要なステップよりはるかに速く進むことが

知られている[21-25]。システインの存在下では、チロシナーゼ触媒酸化後の

DOPAキノンはシステイニルDOPAの発生により優先的に消費されるが、これは、

こうした反応がDOPAキノン固有の化学的活性による調節を受けるためである。 15

マッシュルーム由来チロシナーゼの動態に関する我々の研究から、

DHLHZnのDOPAクロム形成に対する阻害作用は、チロシナーゼの不活性化に起

因するものではなく、DHLHZnがチロシナーゼ活性を競合様に阻害しているため

であることが明らかである。一般に、競合的阻害物質は遊離酵素と結合して基

質の結合を防止する物質とみなされている。しかし、DHLAを含むDHLHZnは、20

L-DOPAの非代謝性類似体あるいは誘導体ではないように思われる。このことか

ら、チロシナーゼ反応産物であるDOPAキノンの反応経路が切り替わり、DOPA

クロムに代わる産物としてDHLH DOPA抱合体を形成していると考えられる。す

なわち、DHLH DOPA抱合体の形成はDOPAクロムの形成と競合すると考えられ

る。 25

色素細胞にスルフヒドリル化合物が存在すると、ユーメラニン形成が調

節され、DOPAキノンの抑制によりフェオメラニン/ユーメラニン比が上昇する

[23-25]。システインとGSHの分析を除くと、これまでに化学的視点から裏づけ

られた証拠がほとんどないため、我々の化学的証拠からフェオメラニン形成の

化学に関する情報も得られるかもしれない。DHLH DOPA抱合体は、チロシナー30

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#10

ゼ触媒反応において極めて急速に形成され、最終段階ではピークは完全に消失

した(図5)。以上の結果から、抱合産物が安定した最終産物ではなく、さらな

る連鎖反応後の色素成分の産生に関与しているのではないかと考えられる。ま

た、それらの結果は、DHLH DOPA抱合体がフェオメラニンおよび/またはトリ

コクロムを含む色素形成を促進する反応をさらに行う可能性も示している。さ5

らに、DHLHZnはシステインより長期間にわたりDOPAクロムの形成を効果的に

阻害した(データは示していない)。このようなDHLHZnとシステイン間の明ら

かな違いは、重合段階における各DOPA抱合産物間の挙動の差によるものと考え

られる。我々は、その後のDHLH DOPA抱合体の重合はインドールまたはシステ

イニルDOPAの重合よりゆっくりと進むのではないかと推測している。以上の結10

果から、DHLH DOPA抱合体の形成が環化および/または重合の進行を遅らせ、

それに伴いメラニン合成を抑制していると考えられる。これらの結果は、Jaraら

[23]の結果とも一致している。

DHLHZnは、Zn2+のキレート化により安定した六員環を形成し、ヒスチ

ジンと結合して水溶性産物となることにより、DHLAの2つの欠点を解消してい15

る(図1)。さらに、生理条件下で極めて安定した分子でもある(データは示し

ていない)。我々は、以前の報告においてDHLAを美白剤として利用する可能性

について言及したが[15]、この物質の欠点(酸化しやすいこと、水性条件で不溶

性であること)のためにそのような用途での開発は進んでいない。さらに、我々

は当初はZn2+のキレート化がDHLHZnの阻害作用に影響を及ぼすものと予想し20

ていたが、DHLHZnはDHLAと同程度に強力にDOPAクロムの形成およびメラニ

ン形成を抑制した(図2)。HPLC/MS/MSシステムを用いた我々の化学的研究で

も、DHLHZnのチオール基がZn2+イオンよりDOPAキノンに対する親和性が高く、

DHLHZnがDOPAクロム形成に対する阻害作用を失うことなくS-チオール化に

対する安定性をもつことが示されている。従って、DHLA誘導体にZn2+を追加す25

ることにより、その本質的な美白効果を失うことなく安定性が得られると思わ

れる。

近年発表された複数の報告書から、チロシナーゼ活性部位で銅をキレー

ト化し、反応性酸素種(ROS)を抑制する能力も、チロシナーゼ触媒反応の阻

害に寄与している可能性があることが明らかになっている[19, 20, 26, 27]。コウ30

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#11

ジ酸は銅の良好なキレート剤であることが知られており、ビタミンB6化合物は

一重項酸素を効果的に抑制する。これらの化合物はいずれもチロシナーゼ触媒

反応を阻害することが明らかになっている[19, 20, 27]。DHLAは、銅をキレート

化し、ROSを抑制することが知られている[28, 29]。そのため、DHLHZnもそれ

らの能力のいずれかあるいは両方のメカニズムを有している可能性がある。5

DHLHZnの美白剤としての潜在能力を詳細に理解するには、チロシナーゼと

DHLAを含むDHLHZn間の構造活性相関の要を評価しなければならないだろう。

本研究では、DHLHZnが、DHLAのメラニン生合成および DOPAクロム

形成に対する阻害活性を損なうことなくメラニン合成を調節する美白効果に関

与していることが実証された。DHLHZn の調節メカニズムは、DHLHZn のスル10

フヒドリル基と DOPAキノンが反応するときに生じる DHLH DOPAの形成に基

づいている(図式 1)。DHLHZnは、化粧品/医薬品用途において二重の利点が

ある。すなわち、水溶性であることと S-チオール化による酸化に対する安定性

である。本研究の結果から、DHLHZn が色素沈着過多の治療において有用な物

質として役立つ可能性が出てきている。 15

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#12

4. 材料および方法

4.1. 材料

L-システイン、L-DOPA、DHLA、コウジ酸、マッシュルーム由来チロシナーゼ

(EC 1.14.18.1)は、Sigma Chemical社(ミズーリ州セントルイス)から購入し5

た。レセルピンは、和光純薬工業(大阪)から購入した。LAは、ナカライテス

ク(京都)から購入した。α-アルブチンは、江崎グリコ(大阪)から購入した。

DHLHZn(N-(6,8-dimercaptooctanoyl)-L-histidine zinc complex sodium salt)は、イ

ワキ株式会社(東京)から入手した。その他の化学物質はすべて市販の最高級

レベルのものであった。 10

4.2. 細胞培養

B16F10 マウスメラノーマ細胞(東北大学医用細胞資源センター)を、5% CO2

を含む 37℃の加湿大気中で、10%熱不活性化ウシ胎仔血清、100U/mL のペニシ

リン、100µg/ml のストレプトマイシンを添加した Eagle 最小必須培地(Sigma 15

Chemical社)にて単層培養として維持した。

4.3. メラニン含量の測定

B16F10細胞を試験物質で 3日間処理した。トリプシン処理により細胞を採取し、

リン酸緩衝食塩水(PBS)で 2回洗浄した。分光光度分析により全メラニン量を20

測定するために、細胞ペレットを 5%トリクロロ酢酸、エタノール-エーテル

(3/1;v/v)、エーテルを用いて 3 回ずつ洗浄した。乾燥した沈殿物を 1 N

NaOH/10% ジメチルスルホキシドに加え、80℃で 30 分間加熱して可溶化し、

1420 ARVOシリーズのマルチラベルカウンター(パーキンエルマージャパン、

神奈川)を用いて 475nmでモニターした。 25

4.4. チロシナーゼアッセイ

既報の方法[30]をわずかに修正して、チロシナーゼ活性を DOPAオキシダーゼ活

性として評価した。簡単に説明すると、約 2.5×106 個の細胞をペレット化し、

PBS で 2 回洗浄した。遠心分離後、上澄み液を捨てた。沈殿した細胞を、0.1% 30

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#13

t-octylphenoxypolyethoxyethanol およびプロテアーゼ阻害剤カクテルを含むリン

酸緩衝液(pH 6.8)1.0mLに溶解し、超音波で分解し(TOMY Sonicator UD201:

トミー精工、東京:3×10 秒のバースト、出力=2)、11,000×g で 10 分間遠心

分離した。遠心分離後の上澄み液をチロシナーゼの採取源として使用した。200µl

の L-DOPA(2.5mM)と 0.1Mリン酸緩衝液(pH 6.8)中の各物質(最終濃度 120µM)5

からなる反応混合物を 200µl の細胞溶解物と混合した。アッセイは 37℃で実施

した。1420 ARVOシリーズのマルチラベルカウンターにより 475nmで吸光度を

モニターした。対照中の L-DOPAの自動酸化について補正した。分析的実験のた

めに、反応混合物を、以下に述べるようにHPLC/MS/MSによりさらに分析した。

10

4.5. DHLH DOPA抱合体の単離および分析

DHLH DOPA抱合体の単離のために、DHLHZn(5mM)、L-DOPA(5mM)、なら

びにマッシュルーム由来チロシナーゼ(25U)を 10mMリン酸緩衝液(pH 6.5)

5mLに溶解した。反応混合物を 37℃で 2時間インキュベートした。インキュベ

ーション後、その混合物を以下に述べる HPLC法 Iを用いて精製した。クロマト15

グラフにおいて産物に相当するピークで溶出した液体を採取し、ただちに−80℃

で冷凍した(ドライアイスバス)。得られた溶離液を凍結乾燥し、固体乾燥産物

を得た。タンデム質量スペクトルを得るために、以下に述べるように

HPLC/MS/MSを直接噴射モードで使用して精製産物をさらに分析した。

分析的実験では、DHLHZn(120µM)、L-DOPA(2.5mM)、ならびにマッシュル20

ームチロシナーゼ(2.5U)を 10mMリン酸緩衝液(pH 6.5)に溶解した。反応混

合物を 37℃で 1時間インキュベートした。その反応混合物を以下に述べる HPLC

法 IIおよび HPLC/MSを用いて分析した。

4.6. HPLC 25

HPLCは、PU-2089プラス型ポンプ(10mlのポンプヘッド)を 2機、5.0mlのサ

ンプルループを有する Rheodyne(カリフォルニア州コタティ)製 7725i 型、な

らびに日本分光製MD-2010プラス型マルチ UV検出器を搭載した日本分光の勾

配システムを用いて実施した。2 種類の移動相溶媒を使用した。溶媒 A は、濃

縮酢酸(0.01%)を脱イオン水に加えて調製した。溶媒 Bは、酢酸(0.01%)を30

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#14

HPLCグレードのアセトニトリルに加えて調製した。単離を目的とした I法では、

逆相カラム(Develosil C18、5µm、8.0 × 250mm、野村化学、愛知)で以下のよう

な移動相勾配を使用して HPLCを実施した。すなわち、0~30分は 100%の溶媒

Aから 75%の溶媒 Bへの線形勾配、30~40分は 100%の溶媒 Bへの線形勾配、

40~45分は 100%の溶媒 Bとした。流速は 2.0ml/minで一定であった。分析法と5

しての HPLC法 IIは、逆相カラム(Develosil C18、3µm、2.0 × 50mm、野村化学)

で以下の移動相勾配を使用して実施した。すなわち、0~30分は 100%の溶媒 A

から 75%の溶媒 Bへの線形勾配、30~40分は 100%の溶媒 Bへの線形勾配とし

た。流速は 200µl/minで一定であった。

10

4.7. HPLC/MS/MS

HPLC/MS/MS 分析は、陽イオンモードで作動する ESI 源を有する Applied

Biosystems(カリフォルニア州フォスターシティ)製 API 2000 三連四重極質量

分析計で実施した。ESI 源の加熱毛細管を 450℃で維持した。シース、噴霧化、

ならびに補助ガスとして窒素を使用し、それぞれ 25、30、40任意単位で維持し15

た。スプレー電圧は 5.5kVであった。

500nMの内部標準物質のレセルピン[31]を含むサンプル(10µl)をオンライ

ンの HPLC/MS(m/z 541)および HPLC/MS/MS(m/z 541のプロダクトイオンと

して m/z 110および 156、m/z 609 [レセルピン+H]+のプロダクトイオンとして m/z

195)により分析した。バイナリグラディエントポンプ、真空脱気装置、自動サ20

ンプラー、ダイオードアレー検出器を含む Agilent Technologies 社(カリフォル

ニア州パロアルト)製 1100 HPLC型シリーズを用い、上述の分析的 HPLC条件

においてオンラインの HPLC分離を実施した。HPLC/MSは Q1陽イオン走査モ

ードで使用し、HPLC/MS/MSは多重反応モニタリング(MRM)陽イオン走査モ

ードで使用した。カラムは Develosil C18、3µm、2.0 × 50mmを使用し、流量は25

200µl/min とした。質量分析法の汚染防止のために切り替え弁を使用し、8 分か

ら 30分までの溶出を質量分析計に導入した。

アセトニトリルを 30%含む 0.01%酢酸に溶解したサンプル 30µlを質量分析

計に加えることにより HPLC 精製付加物の直接注入を実施し、その付加物のド

ーターイオンスペクトルを得た。MS/MSの衝突エネルギーは 67Vであった。 30

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#15

4.8. 動態解析

既報の方法[32]にわずかな修正を加え、チロシナーゼによるL-DOPAの酸化を分

光光度計により測定した。反応混合物は、基質としての4濃度のL-DOPA(0.5~

2mM)および100mMのリン酸ナトリウム緩衝液中のマッシュルーム由来チロシ5

ナーゼから構成されていた。この反応混合物に異なる濃度のDHLHZnをそれぞれ

加えた。1420 ARVOシリーズのマルチラベルカウンターを使用し、反応混合物

からの初期DOPAクロム形成率を、492nmの波長における1分あたりの吸光度の

上昇率(∆A492/min)として求めた。マッシュルーム由来チロシナーゼのミカエ

リス定数(Km)および最高速度(Vmax)をLineweaver-Burkプロットにより求め10

た。値は、1/V = Km/Vmax (1 + [I]/KI) 1/[S] + 1/Vmaxの式を使用して算出した。競争

的阻害物質の阻害定数(Ki)は、Kmapp = Km [1 + ([I]/KI)] の式から算出した。こ

の式で、Kmappは、DHLHZn濃度の存在下の見かけのKmである。

4.9. 統計 15

試験サンプル別のチロシナーゼの影響を、((サンプル ∆A492/分)/(対照 ∆A492/分))

x 100とする対照に対する割合(%)として表した。統計解析は、Dunnettの平均

値の多重比較検定を加えたANOVAにより実施した。

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#16

謝辞

DHLHZn のプロフィールに関する情報を提供していただいた有限会社オガリサ

ーチの代表取締役緒方一美氏に感謝する。

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#17

図の説明

図 1:DHLHZn(sodium zinc dihydrolipoylhistidinate)の構造

図 2:(A) DHLHZnのメラニン合成に対する影響。全メラニン量を対照に対する5

割合として表示した。B16メラノーマ細胞を、美白剤(DHLA、DHLHZn、α-ア

ルブチン、75µM)の存在下または非存在下で培養した。値は、4 回の独立した

実験の平均±SDとして表示した。DOPAクロム形成に対する DHLHZnの阻害作

用。(B) L-DOPA(2.5mM)を各美白剤(LA、DHLA、DHLHZn、システイン、

α-アルブチン、コウジ酸、120µM)と混合あるいは混合せずに、無細胞チロシナ10

ーゼの酵素源としてのメラニン細胞抽出物と共に 37℃で 1 時間インキュベート

した。値は阻害率(%)として表示した。

図 3:(A) チロシンキナーゼ触媒酸化後における L-DOPAとの DHLHZnのインキ

ュベーションから得られた付加物の HPLC分析。(B) 同じクロマトグラフィー条15

件下の反応混合物の HPLC/ESI+-MS 分析。12.7 分で重なっているクロマトグラ

フィーのピークは、m/z 541の DHLH DOPA抱合体産物の溶出を表す。(C) m/z 541

の DHLH DOPA抱合体産物のタンデム質量スペクトル

図 4:無細胞チロシナーゼの酵素源としてのメラニン細胞抽出物の存在下におい20

て、DHLHZnの非存在下(A)および存在下(Bおよび C)の L-DOPAの 37℃に

おける反応の HPLC/MS/MSプロフィール。セミマイクロカラム(2.0 x 50mm)

を使用し、m/z = 541 → 110および 156(DHLH DOPA抱合体)および m/z = 609 →

195(D; レセルピン)について反応混合物をMRMモードでモニターした。

25

図 5:(A) DHLHZn の存在下における L-DOPA のチロシナーゼ触媒酸化による

DHLH DOPA抱合体の形成(-○- ピーク I、-●- ピーク IIおよび III)。(B) DHLHZn

(-○-)および賦形剤(-●-)が DOPAクロム形成に及ぼす影響の経時変化の実験

を経時的に示した。DHLHZn(120µM)の存在下および非存在下で L-DOPA

(2.5mM)を混合し、無細胞チロシナーゼの酵素源としてのメラニン細胞抽出物30

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#18

と共に、37℃で 1時間インキュベートした。値は、3回の異なる実験から得られ

た平均±SEである。

図 6:DHLHZnによるマッシュルームチロシナーゼの阻害を示すLineweaver-Burk

プロット。データは、異なる濃度の L-DOPA を基質として用いた 3 回の独立し5

た検査の 1/V、すなわち 492nm の波長における吸光度の 1 分間あたりの増加量

(∆A492/min)の逆数の平均値として求めた。DHLHZn(最終濃度 0、0.5、1.0、

1.5、2.0µM)の存在下で反応を実施した。

図式 1:DHLHZn産物の形成を示すメラニン細胞におけるメラニン形成の想定さ10

れるメカニズム

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Naito et al.

Fig.1

S ZnS

NH

ONa

O

O

NH

N

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A

0

50

100

contro

lLA

DHLA

DHLHZn

L-C

ystei

n

α-Arb

utin

Kojicac

idInhi

bito

ry e

ffect

of t

yros

inas

e(%

)

contro

lDHLA

DHLHZn

α-Arb

utinInhi

bito

ry e

ffect

of m

elan

insy

nthe

sis

(%)

0

50

100

B

Naito et al.

Fig.2

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Naito et al.

Fig.3A

bsor

banc

e at

260

nm

11 15 20

Time (min)9 10 12 13 14 16 17 18 19

A.

Peak I 11 159 10 12 13 14 16 17

m/z 541

B.12.7

12.0

100 200 300 400 5000

50

100

Rel

ativ

e In

tens

ity (%

)

m/z

495.0

112.8

155.8

110.0

541.0[M+H]+

156

110

C.

mw 540.17

SSH

NH

ONa

O

O

NH

N

OH

OHH2N

HO O

Peak II

Peak III

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Naito et al.

Fig.4R

elat

ive

Inte

nsity

(%)

Time (min)

21.5

MS/MS 609 → 195

Reserpine(Internal standard)

0 5 10 15 300

50

100

20 25 35

0 5 10 15 300

50

100

20 25 35

0 5 10 15 300

50

100

20 25 35

0 5 10 15 300

50

100

20 25 35

D.

C.

B.

A.

+ DHLHZn

+ DHLHZn

MS/MS 541 → 110

- DHLHZn

MS/MS 541 → 110

MS/MS 541 → 156

12.6

12.0

12.6

12.0

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Naito et al.

Fig.5

Incubation time (hour)

Abs

orba

nce

at 4

75 n

m

0.0

0.5

1.0

1.5

0 10 20 30 40 50

controlDHLHZn

B

A

0.0

1.0

2.0

3.0

0 10 20 30 40 50

Incubaton time (hour)

Peak II + IIIPeak I

DH

LH D

OPA

con

juga

te(s

) / r

eser

pine

(rat

e of

pea

k ar

ea c

ount

s)

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0

10

20

30

40

50

60

70

-1.2 -0.6 0 0.6 1.2

1/[S] (mM-1)

1/v

(∆A492/m

in)-1

IC50 (µM) 1.33Km (M) 4.07 x 10-3

Vm (∆A492/min) 1.28 x 10-1

KI (M) 3.56 x 10-7

Inhibitor type competitive

DHLHZn

0.0 µM0.5 µM1.0 µM1.5 µM2.0 µM

DHLHZn

Naito et al.

Fig.6

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Naito et al.

Scheme.1

TyrosinaseTyrosine

DOPA-quinone

DOPA-chrome

Indoles

Eumelanin

Cysteine

Cysteinyl-DOPA

Benzothiazine

Pheomelanin

Tyrosinase

DOPA-quinone

DHLHZn

DHLH DOPA conjugate

Modulation of melanin synthesis

Uncharacterized seriesof

reactions

SSH

NH

ONa

O

O

NH

N

OH

OHH2N

HO O

HO OH

NH2

O

O OH

NH2

O

O

O OH

NH2

O

O

-O

O

NH

OH

O

+

HO OH

NH2

O

HO

S

H2N

O

OH

HO

HO

NH

R N OH

NH2

O

HO

S

R = H/COOH