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NECソリューションイノベータ

NECソリューションイノベータ2014/08/25  · 同社は、NECの社会ソリューショ 進するつもりだ。業化を主導する独自事業を積極的に推担っていく。今後はさらに、同社が事先端技術を駆使したシステム開発をロジェクトにおいてNECと分担し、けるビッグデータ活用など、様々なプキ

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NECソリューションイノベータ

いま、日本が抱える問題の多くは地

域社会にこそあります。全国各地にあ

る拠点がマーケットセンサーとなって

ニーズを集め、一緒にソリューション

を開発できれば、同じ問題を抱える別

の地域にも展開できます。場合によっ

ては海を越え、海外でもそのソリュー

ションが役立つかもしれません。しか

し7社が個別に動いていたのでは、そ

ういう横展開はしにくい。人材を含む

資産の有効活用という面でも、7社が

強く連携したほうがいい。そういう積

極的な意味合いで統合に踏み切ったの

です」

同社は、NECの社会ソリューショ

ン事業の中核会社として、サイバーセ

キュリティや衛星システム、企業にお

けるビッグデータ活用など、様々なプ

ロジェクトにおいてNECと分担し、

先端技術を駆使したシステム開発を

担っていく。今後はさらに、同社が事

業化を主導する独自事業を積極的に推

進するつもりだ。

中でも特に、第一次産業支援ソリュー

ションに力を入れていくという。たと

えば東京海洋大学と共同で開発したク

ラウド型サービスシステム「NEC養

殖管理ポータル」は、水産物の養殖に

おける飼育業務の記録や報告から、水

昨年、NECソリューションイノ

ベータ設立のニュースが伝わると、ソ

フトウェア業界に衝撃が走った。競合

他社の多くを驚かせたのは、その規模

の大きさだけではない。各地域に根を

下ろしながら、OSからアプリケー

ション、組み込み型ソフトウェア、さ

らにシステム開発、ITコンサルティ

ングに至るまで多様なITサービス事

業を展開してきた7社が統合されると

なると、技術力やインテグレーション

力などで、とてつもないパワーを持つ

ソフトウェア企業が登場することにな

るからだ。

今回統合したのは、NECソフト、

NECシステムテクノロジー、中部日

本電気ソフトウェア、九州日本電気ソ

フトウェア、NECソフトウェア東北、

北陸日本電気ソフトウェア、北海道日

本電気ソフトウェアという7社。それ

ぞれがNECグループのソフトウェア

事業を担ってきた、まさに主力部隊で

ある。

なぜ7社は統合したのか。その意図

について新会社を率いる毛利隆重社長

は次のように語る。

「NECグループの方向性は社会価値

を創造する社会ソリューション事業に

シフトしています。当社はその社会ソ

リューション事業を支える中核ITソ

フトウェア企業という位置づけです。

質、温度、養殖物の常時モニタリング

まで行い、さらに収集したそれらの

データ分析とその後の活用までを包括

的に支援するユニークなクラウドサー

ビスだ。養殖環境の可視化やノウハウ

蓄積など多くの成果が期待できるこ

の事業は、現在実証実験の段階にあ

り、新木場駅前にある同社のオフィス

の中では、仕事に没頭するビジネス

パーソンがいるすぐ横の部屋でアワビ

の養殖が行われている。

「私たちが持っている技術やソリュー

ションを横展開するためには、まず旧

7社にどういうアセットがあるのか洗

い出す必要があります。昨年からその

作業を始めたのですが、いろいろ面白

いプロジェクトが発見できています。

アワビの養殖をしているなんて、私も

知りませんでしたよ」

そう言って、毛利社長は微笑む。

また、同社が注力する第一次産業分

野としては、三重県などでのICTを

活用したミカン栽培も挙げられる。こ

れは農研機構、三重県、愛媛県などと

共同で進めているプロジェクトで、生

育途中の果実の品質や、気象データな

どから栽培状況を可視化・情報共有し、

おいしいミカンを栽培する技術を開

発。土壌成分や果実品質測定のための

共同研究も、東京農工大学、理化学研

究所らとともに行われ、タイや愛媛県

での実験も実施した。ミカンに限らず、

様々な作物への適用も視野に入れてい

る。林

業の分野でもICT活用による森

林資源の管理を目指す取り組みが進め

られている。たとえば航空写真の三次

元解析による資源量の推定と、GIS

(地理情報システム)による森林資源

管理は、人手による測定では困難だっ

た広域にわたる森林の金額価値の可視

化により、林業を支援することができ

る。森林資源量の推定技術は実用化の

レベルに到達した。

「日本の農水産物は高品質で安全だ

ということが海外でもよく知られるよ

うになってきています。けれども農業

も林業も水産業も、担い手不足という

問題に直面しています。そこをICT

で支援し効率を高めれば、担い手不足

の問題を解決できますし、データの解

析などでより付加価値の高い作物を、

より多く生産できるようになります。

そうなればその作物を輸出する道も

開けてきて、地域の活性化や地域ビジ

ネスの創出にもつながりますし、新た

な若い担い手が参入しやすくなる、と

いうことも期待できます。私たちはそ

こまで視野に入れて、第一次産業の支

援に取り組んでいます」

健康・予防医療、少子高齢化をはじ

めとする国内の諸問題にもICTを武

器に立ち向かおうとしている。加速度

センサーにより居室のドアや冷蔵庫の

開け閉めを感知し、独居高齢者を見守

るサービスが実用化されている他、メ

ンタルヘルスの不調の予防、早期発見・

早期対処に向けて、セルフケアと職場

改善の両面からアプローチして好評

を得ている。今後は、蓄積したセルフ

チェックデータを分析し、メンタル不

調者の予兆発見にまで取り組む予定

だ。地方を活性化させる観光分野で

も、リピーターを増やす施策にとりか

かったところだ。

どこにどういう技術を持つSEがい

るのか。誰が何を得意としているの

か。そうしたことを点検し、最適な

人員を最適なプロジェクトや部門に配

置するとともに、ある地域で展開して

いたソリューションを、別の地域の顧

客にも紹介するといった動きが徐々に

顕在化してきている。毛利社長はそれ

を「

ジグソーパズルのピースがピタッと

はまるようなイメージ」

だと表現する。

これはまさに統合によるシナジーで

あろう。

「OS、ミドルウェアから、ネット

ワーク、さらにセンサーやビッグデー

タまで、1社で、これほど多様で幅広

いアセットを持つソフト企業は、他に

あるでしょうか。7社の経験と知見を

集め、融合すれば、これまでできなかっ

たようなプロジェクトも可能になって

きます」

そう語る毛利社長は、さらに「アラ

イアンス構築力」「

技術の融合力」

「規

模とスピードを兼ね備えた現場力」と

いう3つの強みを構築していくとし

ている。今年度はそのための準備期間

という位置づけで、組織や仕組みを変

革、再構築していくが、それと同時に、

社員一人ひとりが自らを変革していか

なければならない、と毛利社長は強調

する。

「今後のソフトウェアの仕事において

は、課題解決能力だけでなく、問題発

見能力がより重要になってきます。顕

在化していない問題を見つけること、

その力を養うためには、自分自身で常

に考え続けることが必要です。変わら

なければと強く思い、視線を上げる、

下げる、幅を広げる。そういうことを

し続けると、今までと同じものを見て

いても、見え方が変わってきます。ま

ず自分たちが変わらなければ、現代の

激しく変化していく社会のニーズに応

えられるはずがありません。私自身、

自らを変革する強い意志で、この会社

をリードしていく覚悟です」

7つのピースが集まってピタリとは

まったとき、新しい会社が形作られ

た。しかし、その形は社会のニーズの

変化とともに、これからも常に変わり

続けていく。

おいて

問題発

す。顕

こと、

身で常

変わら

げる、

ことを

を見て

す。ま

現代の