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Nihon no Kurashi to Bunka

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Page 1: Nihon no Kurashi to Bunka

1

初級後期~中級前期の読み教材

日本のくらしと文化

日本語駆け込み寺教材開発部      代表 目黒真実

Page 2: Nihon no Kurashi to Bunka

2

Page 3: Nihon no Kurashi to Bunka

3

Page 4: Nihon no Kurashi to Bunka

4

第一部 くらしの歳時記

 1月の行事とくらし・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 2月の行事とくらし・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 3月の行事とくらし・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 4月の行事とくらし・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 5月の行事とくらし・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 6月の行事とくらし・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 7月の行事とくらし・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 8月の行事とくらし・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 9月の行事とくらし・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

10 月の行事とくらし・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 11月の行事とくらし・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 12月の行事とくらし・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

第二部 くらしのマナー

 1 お辞じ

儀ぎ

と握あくしゅ

手・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 2 あいさつと名めい

刺し

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 3 上かみ

座ざ

と下しも

座ざ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 4 手て

みやげと餞せんべつ

別・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 5 面めんせつ

接の知ち

識しき

とマナー・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 6 会かいしゃ

社での言こと

葉ば

づかい・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 7 二に

十じゅう

四し

節せっ

気き

と季き

節せつ

の花はな

・・・・・・・・・・・・・・・・・

<資料>

 日本史略表・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Page 5: Nihon no Kurashi to Bunka

5

第一部 

くらしの歳さい

時じ

記き

初級後期~中級前期

Page 6: Nihon no Kurashi to Bunka

6

あけましておめでとうございます

             1月 1 日から 1月 3 日までを三さん

が日にち

、1 月 7 日

            までを松まつ

の内うち

と呼よ

び、この期き

間かん

を「正しょうがつ

月」と呼んで

            います。元がんじつ

日は国こくみん

民の祝しゅくじつ

日となっていて、官かんこうちょう

公庁や

            銀ぎんこう

行は 12月 29日から 1月 3日までお休やす

みです。

             昔むかし

から、1年の最さいしょ

初の日、1月 1日「元日」は、

            私たちに命いのち

を与あた

えてくれる " 歳神〔としがみ〕さま

            を迎むか

え、おまつりする日でした。お正月に人ひと

と会あ

たときには「あけまして、おめでとうございます」と言い

いますが、このあいさ

つは、もともとは年とし

が明あ

けて、歳神さまを迎えるときの感かんしゃ

謝の言こと

葉ば

でした。今

でも私たちは歳神さまをお迎えするために、門かどまつ

松を門もん

の前まえ

に飾かざ

ったり、鏡かがみもち

餅を

供そな

えたり、前ぜんじつ

日に準じゅん

備び

したおせ

ち料りょう

理り

を食べたりしています。

そして、子こ

供ども

は親おや

や親しんせき

戚からお

年としだま

玉をもらいます。最さいきん

近では、

プラスチック製せい

の門松や鏡餅を

使つか

ったり、おせちをデパートで

買か

う家か

庭てい

も増ふ

えました。現げんだいじん

代人

の暮く

らしが忙いそが

しいのはわかりますが、できればこういうものは自じ

分ぶん

で作つく

りたい

ですね。

 さて、今こんにち

日では、「歳とし

をとる」ことは悪わる

いように言われますが、もともと「歳

をとる」ことは人ひとびと

々に歓かんげい

迎されていました。正月、歳神さまは全すべ

ての人や物もの

新あたら

しい生せいめい

命を吹ふ

き込こ

むために現あらわ

れると伝つた

えられています。つまり、「歳をとる」

ということは、一年に一いち

度ど

、新あら

たに生う

まれ変か

わるということだったのです。今

の言葉で言いますと、命いのち

のリセットですね。

門松 鏡餅

1月の行事とくらし

Page 7: Nihon no Kurashi to Bunka

7

三さん

が日にち

松まつ

の内うち

呼よ

ぶ:

官かんこうちょう

公庁:

迎むか

える:

まつる→おまつりする:

あけましておめでとう:

あいさつ:

もともと:

門かどまつ

松:

鏡かがみもち

餅:

供そな

える:

おせち料りょう

理り

お年としだま

玉:

プラスティック製せい

暮く

らし:

歓かんげい

迎する:

全すべ

て:

生せいめい

命を吹ふ

き込こ

む:

つまり:

新あら

た(な):

生う

まれ変か

わる:

リセット:

使いましょう

1 ~から~まで

 ◆ 1月 1日から 1月 3日までを、三が日と呼んでいます。

 ◇週しゅうきゅう

休二ふつか

日制せい

の会かいしゃ

社が多おお

いので、    から    までを週しゅうまつ

末と呼んでいます。

 ◇私の国では、      は     から     までです。

2 ~たり~たり

 ◆門松を門の前に飾ったり、鏡餅を供そな

えたり、おせち料理を食べたりします。

 ◇休みの日は、     たり     たりします。

 ◇今日は     たり     たりの天てん

気き

になるでしょう

3 ~ために[目的]

 ◆正月、神さまは人や物に新しい生命を与えるために現れると伝えられています。

 ◇私は         ために、日本語を勉べんきょう

強しています。

 ◇私の母はは

は         ために、毎まいにち

日         くれます。   

新しいことば

Page 8: Nihon no Kurashi to Bunka

8

お正月の食べ物 ー祝いわ

い膳ぜん

            デパートなどでおせち料理のセット(左の絵)

           を作って売う

っていますが、昔は年とし

の暮く

れにお母

           さんが手て

間ま

暇ひま

かけて作ってくれました。

            このほかに、汁しる

の中なか

にお餅もち

を入れて食べる「お

           雑ぞう

煮に

」があります。お餅の上に色いろいろ

々な具ぐ

を乗の

           て食べます。お父さんたちが楽たの

しみにしている

           のが「おとそ」です。お正月に飲の

む薬やくしゅ

酒です。

実じっさい

際には、「おとそ」を飲むのは最さいしょ

初の一いっぱい

杯だけで、あとは好す

きなお酒さけ

心こころ

ゆくまで味あじ

わいます。これらをお正月の「祝い膳」と呼んでいます。

年とし

の暮く

れ:

手て

間ま

暇ひま

かける:

汁しる

餅もち

お雑ぞう

煮に

具ぐ

を乗の

せる:

楽たの

しみにする:

おとそ:

薬やくしゅ

酒:

心こころ

ゆくまで:

味あじ

わう:

祝いわ

い膳ぜん

新しいことば

出典 : フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

初詣の参さんぱいきゃく

拝客で賑にぎ

わうお寺てら

の様子

です。もともとは地じ

元もと

の氏うじがみ

神さま

にお参まい

りするのですが、最さいきん

近は有ゆう

名めい

なお寺や神じんじゃ

社にお参りする人が

増ふ

えました。

<おせち料理>

Page 9: Nihon no Kurashi to Bunka

9

【話しましょう】

1 日本では、いつからいつまでを正月と呼んでいますか。

2 日本では、元旦はどんな日ですか。

3 日本では、お正月に人と会ったとき、どんなあいさつをしますか。

4 日本人は、お正月にどんなものを食べますか。

5 あなたの国のお正月は、いつからいつまでですか。

6 あなたの国では、お正月に人と会ったとき、どんなあいさつをしますか。

7 あなたの国では、お正月にはどんなものを食べますか。

8 子供のとき、お正月にはどんなことをして遊びましたか。

9 あなたの国にもお年玉がありますか。

10 お正月にする何か特とくべつ

別な行ぎょう

事じ

があったら、話してください。

Page 10: Nihon no Kurashi to Bunka

10

ー1月(睦む

月つき

)の暦こよみ

1 初はつもうで

 年とし

が明あ

けてから初はじ

めて寺じ

社しゃ

にお参まい

りして、一年の

無ぶ

事じ

と平へいあん

安を祈いの

る行ぎょう

事じ

です。寺社で、お守まも

りや破は

魔ま

矢や

、風かざぐるま

車などを買ったり、絵え

馬ま

に願ねが

いごとを書いた

り、おみくじを引ひ

いたりして、今ことし

年一年がよい年で

あるようにお祈りをします。

2 年ねん

賀が

状じょう

 お正月にお世せ

話わ

になった人や友とも

だちに送おく

るはがきで、干え

支と

のイラスト

が入はい

った年賀はがきに、「謹きん

賀が

新しんねん

年」「年賀」「新しんしゅん

春」「あけましておめで

とうございます」などと大きく書き、メッセージを添そ

えます。

3 初はつゆめ

4 鏡かがみびら

開き(1月 11日)

 1月 11 日は「鏡開きの日」です。鏡開きの日には、今年 1年の一いっ

家か

円えんまん

満を願ねが

いながら、神かみ

さまに供そな

えた鏡かがみもち

餅をみんなで食べます。

5 成せいじん

人の日(1月の第2月曜日)

          成人の日は、2はたち

0 歳になった青せいねん

年が両りょうしん

親や周まわ

りの大

         人たちに保ほ

護ご

されてきた子こ

供ども

時じ

代だい

を終を

えて自じ

立りつ

し、 

         大人の社しゃ

会かい

へ仲なか

間ま

入い

りする儀ぎ

式しき

(成人式)を行おこな

う日

         です。当とうじつ

日は、女じょせい

性は振ふりそで

袖、男だんせい

性はスーツや羽は

織お

り・

         袴はかま

などの正せいそう

装に身み

を包んだ新成人の姿すがた

を見ることが

         できます。

<破魔矢と絵馬>

        

<振袖姿の女性>

Page 11: Nihon no Kurashi to Bunka

11

【書きましょう】

 あなたの国のお正月について書いてください。

Page 12: Nihon no Kurashi to Bunka

12

2月の行事とくらし「鬼

おに

は外そと

、福ふく

は内うち

」(節せつぶん

分の豆まめ

まき)

                               もともと、節

せつぶん

分というのは、立りっしゅん

春・立りっ

夏か

               立りっしゅう

秋・立りっとう

冬の前まえ

の日のことを言い

いました。そ

               の中なか

では、立春が1年の初はじ

めと考かんが

えられてい

               ましたから、春はる

の節分が一いちばんたいせつ

番大切でした。今

               では「節分」といえば、立春を指さ

すものとなっ

               ています。

               立春は 2月 3日に来ることが多いのですが、

2 日や 4日のこともあります。この日は旧きゅうれき

暦で冬ふゆ

の最さい

後ご

、一年の終お

わりの日

に当たりますから、新あら

たな春を迎むか

えるために、

前ぜんねん

年の邪じゃ

気き

を払はら

って、福ふく

を招まね

く行ぎょう

事じ

が行おこな

われま

す。その代だいひょう

表が「豆まめ

まき」です。

 「豆まき」は、節分の日の夜よる

、八時じ

から十時

くらいの間あいだ

に、はじめは玄げんかん

関、そして各かく

部へ

屋や

と、戸と

を全ぜん

部ぶ

開あ

けて、大きな声こえ

で「鬼おに

は外そと

、福ふく

は内うち

」を二回かい

繰く

り返かえ

しながら、豆をまきます。鬼は一いっ

家か

のご主しゅじん

人や長ちょうなん

男、また

は厄やくどし

年の人が行っていましたが、現げんざい

在は家か

族ぞく

で楽たの

しみながら行うお宅たく

が多おお

いよ

うです。まき終お

えたら、鬼を入い

れないようにすぐに

戸を閉し

めます。このあと、家族で年ねんれい

齢の数かず

だけ豆を

食べます。厄年の人は一つ多く食べて、早はや

く厄年が

終わるように願ねが

います。この豆まきの風ふうしゅう

習は室むろまち

町時じ

代だい

に始はじ

まりましたが、もとは7世せい

紀き

ごろに中ちゅうごく

国から

伝つた

わった鬼はらいの儀ぎ

式しき

「追つい

儺な

」で、病やまい

や災さいがい

害など

を鬼に見み

立た

てて、桃もも

の弓ゆみ

、葦あし

の矢や

で追お

い払はら

うもので

した。この弓ゆみ

矢や

が豆に変かわ

わったのが「豆まき」だと言われています。

<神社での豆まきの風景>

<豆をまく神かんぬし

主>

<家庭での豆まきの風景>

Page 13: Nihon no Kurashi to Bunka

13

使いましょう

1 ~というのは~ことです

 ◆節分というのは、立春・立夏・立秋・立冬の前の日のことです。

 ◇立春というのは、                     ことです。

 ◇厄年というのは、人ひと

の一いっしょう

生のうちで、           年のことです。

2 ~ながら

 ◆大きな声で「鬼は外、福は内」を二回繰り返しながら、豆をまきます。

 ◇         ながら、         ないでください。

 ◇         ながら、         ましょう。

3 ~ように/~ないように[目的]

 ◆鬼を入れないようにすぐに戸を閉めます。/早く厄年が終わるように願います。

 ◇もっと         ように、説せつめい

明してください。

 ◇遅ち

刻こく

しないように、              方ほう

がいいですよ。     

       

節せつぶん

分:

立りっしゅん

春:

立りっ

夏か

立りっしゅう

秋:

立りっとう

冬:

旧きゅうれき

暦:

最さい

後ご

~に当あ

たる:

春はる

を迎むか

える:

邪じゃ

気き

を払はら

う:

福ふく

を招まね

く:

行おこな

う:

豆まめ

まき:

繰く

り返かえ

す:

豆をまく:

長ちょうなん

男:

厄やくどし

年:

楽たの

しむ:

風ふうしゅう

習:

病やまい

災さいがい

害:

鬼おに

に見み

立た

てる:

桃もも

の弓ゆみ

葦あし

の矢や

追お

い払はら

う:

変か

わる:

新しいことば

Page 14: Nihon no Kurashi to Bunka

14

角つの

が生は

える:

パーマをかける:

チリチリ:

鋭するど

い:

とがる:

牙きば

突つ

き出で

る:

思おも

い浮う

かべる:

亡な

くなる:

迷まよ

う:

化ば

ける:

幽ゆうれい

霊:

イメージ;

仕し

事ごと

の鬼:

思おも

い浮う

かべる:

過か

労ろう

死し

恨うら

む:

夜な夜な:

現あらわ

れる:

新しいことば

古こ

代だい

の追つい

儺な

の儀ぎ

式しき

(「広こう

辞じ

苑えん

」より)

日本の鬼おに

と中国の鬼

             日本の鬼と言いますと、頭あたま

に角つの

が二本生は

            ていて、髪かみ

はパーマをかけたようにチリチリ、

            下の歯は

が鋭するど

くとがった牙きば

となって上に突つ

き出で

            た恐こわ

い顔かお

を思い浮かべます。

             しかし、中国で「鬼」というのは、亡な

くなっ

            た人が、迷まよ

ってこの世よ

に化ば

けて出で

てくる幽ゆうれい

のことなので、鬼のイメージが日本と全ぜんぜんちが

然違います。ですから、中国の

人が日本語の「仕し

事ごと

の鬼」という言こと

葉ば

を聞き

いて思おも

い浮う

かべるのは、過か

労ろう

死し

か何なに

かで死し

んで、この世を恨うら

んで夜よ

な夜よ

な現あらわ

れる幽ゆうれい

霊になってしまう

のです。

Page 15: Nihon no Kurashi to Bunka

15

【話しましょう】

1 立春というのは、どんな日のことですか。

2 日本で行われる豆まきというのは、どんな行事ですか。

3 豆をまくとき、どう言いますか。

4 豆まきで、家の中にまいた豆はどうしますか。

5 日本の豆まきは、どんな儀ぎ

式しき

がもとになって生まれましたか。

6 あなたの国では、豆まきに似に

た行事がありますか。あれば、紹しょうかい

介してくだ

  さい。

7 あなたの国に鬼はいますか。どんな姿すがたかたち

形をしていますか。

8 あなたの国の鬼は、どのような存在ですか。

9 あなたの国に、鬼が出てくる昔話があれば、紹介してください。

10 あなたの国の「建国記念日」は、何を記念して作られましたか。その日に、

  どのような行事がありますか。

Page 16: Nihon no Kurashi to Bunka

16

ー2月(如きさらぎ

月)の暦こよみ

1 建けんこく

国記き

念ねん

日び

(2月 11日)

 日本書しょ

記き

では日本国こく

を統とういつ

一して初しょだい

代の天てんのう

皇になったのは神じん

武む

天皇とさ

れています。もちろん神武天皇は科か

学がくてきこんきょ

的根拠のない神しん

話わ

上じょう

の人じんぶつ

物なので

すが、神武天皇が即そく

位い

したとされる紀き

元げんぜん

前 660 年 2月 11日を、日本が

建けんこく

国された日として祝いわ

おうという動うご

きが高たか

まり、1966年に国こくみん

民の祝しゅくじつ

日に

なりました。

2 バレンタインデー (2月 14日)

 2月14日は日本では「女じょせい

性が男だんせい

性にチョコレートをプレゼントする日」

とされています。実じつ

はその起き

源げん

は、メリーチョコレート社しゃ

がこの日に東

京の「伊い

勢せ

丹たん

」でチョコレートを販はんばい

売したのがきっかけでした。

鬼が出で

てくる民みん

話わ

「桃もも

太た

郎ろう

 民みん

話わ

「桃太郎」は、桃もも

から生う

まれた桃太郎がきびだんごをもって鬼おに

退たい

治じ

に行い

きます。鬼が住す

む鬼ヶ島しま

に向む

かう途と

中ちゅう

で、犬いぬ

・猿さる

・雉きじ

に会あ

いますが、

彼かれ

らにきびだんごをあげて仲なか

間ま

にし、協きょうりょく

力して鬼を退治するというお話はなし

です。では、その書か

き出だ

しを載の

せておきましょう。

 「むかし、むかし、ある所ところ

におじいさんと

おばあさんが住す

んでいました。おじいさん

は山やま

へしば刈か

りに、おばあさんは川かわ

へ洗せんたく

に行きました。すると大きな桃が流なが

れてき

ました。喜よろこ

んだおばあさんはその桃を背せ

中なか

に担かつ

いで帰かえ

りました。桃を切き

ろうとすると、

桃から大きな赤あか

ん坊ぼう

が出てきました。…」

Page 17: Nihon no Kurashi to Bunka

17

【書きましょう】

あなたの国の建国記念日について書いてください。

Page 18: Nihon no Kurashi to Bunka

18

女おんな

の子こ

の「ひな祭まつ

り」

              「ひな祭まつ

り」は、3月3日におひなさま(ひな

             人にんぎょう

形)を飾かざ

って、女の子の幸こうふく

福と美うつく

しく成せいちょう

長する

             ことを願ねが

う行ぎょう

事じ

です。もとは、中ちゅうごく

国から伝つた

わった

             上じょう

巳し

の節せっ

句く

でした。中国では、この日は忌き

日じつ

とさ

             れる日でしたから、古ふる

くは河か

原わら

でみそぎをしたり、

             桃もも

の花はな

を浮う

かべた酒さけ

を飲の

んだり、桃の葉は

を入い

れた

             お風ふ

呂ろ

に入って、無む

病びょうそくさい

息災を願いました。そのた

             め、「桃の節句」とも呼よ

ばれます。

 昔むかし

から中国には、桃の花は長ちょうじゅ

寿のシンボルで、魔ま

よけの力ちから

があるという言い

伝つた

えがあります。しかし、「桃の節句」は旧きゅうれき

暦の3月3日なので、現げんざい

在、日本で「ひ

な祭り」が行われる新しんれき

暦の3月3日ごろに咲いているのは梅うめ

の花だけで、桃の花はまだ咲さ

いていませんね。

 やがて「桃の節句」には、人のけがれや災わざわ

いなどを人形に

移うつ

して川かわ

に流なが

し、不ふ

浄じょう

を払はら

う行事が行われるようになりまし

た。この「流しひな」から「ひな祭り」が

生う

まれたそうです。この「流しひな」の風ふう

習しゅう

は、今いま

もまだ日本各かく

地ち

に残のこ

っています。

 おひなさまは、「ひな祭り」の1~2週しゅう

間かんまえ

前に飾ります。飾る前まえ

の日には桃ももざけ

酒やひ

し餅もち

などをお供そな

えします。そして家か

族ぞく

や仲なか

のいい友とも

だちを呼よ

んで、ごちそうしてもてなします。昔むかし

から、おひなさまをい

つまでも出だ

しておくと、婚こん

期き

が遅おく

れると言い

われていますが、これは「片かた

づけの

できない娘むすめ

は、いいお嫁よめ

さんになれないよ」という意い

味み

なのでしょう。

3月の行事とくらし

<おひなさま>

<流しひな>

Page 19: Nihon no Kurashi to Bunka

19

ひな祭まつ

り:

ひな人にんぎょう

形:

幸こうふく

福(な):

成せいちょう

長する:

願ねが

う:

上じょう

巳し

の節せっ

句く

忌き

日じつ

河か

原わら

みそぎ:

無む

病びょうそくさい

息災:

長ちょうじゅ

寿:

シンボル:

魔ま

よけ:

言い

い伝つた

え:

けがれ:

災わざわ

い:

移うつ

す:

不ふ

浄じょう

を払はら

う:

各かく

地ち

ひし餅もち

仲なか

がいい:

ごちそうする:

もてなす:

婚こん

期き

が遅おく

れる:

片かた

づけ:

お嫁よめ

さん:

新しいことば

使いましょう

1 まだ

 ◆桃の花はまだ咲いていません。/「流しひな」の風習は、今もまだ残っています。

 ◇「もうお昼ひる

ご飯はん

は食べましたか」「いいえ、まだ         。」

 ◇「李さんは、まだお風呂に入っていますか」「はい、まだ         。」

2 ~ようになります

 ◆人のけがれを人形に移して川に流し、不浄を払う行事が行われるようになりました。

 ◇あなたが親おや

になれば、ご両りょうしん

親の気き

持も

ちも        ようになるでしょう。

 ◇練れんしゅう

習すれば、もっと上じょう

手ず

に              ようになります。

3 ~そうです[伝聞]

 ◆この「流しひな」から「ひな祭り」が生まれたそうです。

 ◇先せんせい

生の話はなし

によると、                    そうです。

 ◇言い

い伝つた

えによると、                    そうです。   

         

Page 20: Nihon no Kurashi to Bunka

20

春しゅんぶん

分の日ひ

 ーお彼ひ

岸がん

と墓はか

まいりー

              3月 21日ごろを「春分の日」と言い、

              国こく

民みん

の祝しゅくじつ

日となっています。春分の日は

              昼ひる

と夜よる

が同おな

じ長なが

さになる日ですが、昔の

              人はこの日を春はる

の訪おとず

れを祝いわ

う日としてい

              ました。また、この日の前ぜん

後ご

三日を「お

              彼岸」と言って、ご先せん

祖ぞ

への感かんしゃ

謝の気持

              ちを伝つた

えるために、お墓まいりをする日

本独どく

自じ

の仏ぶっ

教きょう

行ぎょう

事じ

があります。彼岸とは迷まよ

いのない、悟さと

りの世せ

界かい

を言う

のですが、彼岸は春分の日と秋しゅうぶん

分の日の前後三日、一年に二回あり、春

は三月十八日ごろ、秋あき

は九月二十日ごろが彼岸の入い

りとなります。

春しゅんぶん

分の日ひ

彼ひ

岸がん

墓はか

まいり:

春はる

の訪おとず

れ:

先せん

祖ぞ

感かんしゃ

謝:

独どく

自じ

仏ぶっきょうぎょう

教行事じ

迷まよ

い:

悟さと

り:

世せ

界かい

彼ひ

岸がん

の入い

り:

新しいことば

 日本人の家いえ

なら、ほとんどどこにで

もあるのが仏壇です。朝あさ

と晩ばん

、お線せんこう

をたいたり、お水みず

や食た

べ物もの

を供そな

えたり

して、ご先せん

祖ぞ

を供く

養よう

します。

Page 21: Nihon no Kurashi to Bunka

21

【話しましょう】

1 ひな祭りというのは、どのような行事ですか。

2 「上巳の節句」は、中国ではどんな日だと考えられていましたか。

3 「上巳の節句」は、どうして「桃の節句」と言われたのですか。

4 「流しひな」というのは、どのような意味を持った行事ですか。

5 どうして、おひなさまをいつまでも出しておいてはいけないのですか。

6 彼岸というのは、本ほんらい

来どういう意味の語ですか。

7 あなたの国では、家でご先祖をどのようにしてお祀まつ

りしていますか。

8 あなたの国では、日本の「お彼岸」のような墓まいりの行事がありますか。

9 その墓参りの行事はいつ行われ、なんと呼よ

ばれていますか。

10 その墓まいりの行事の日には、なにか特とくべつ

別な食べ物や飲の

み物もの

、催もよお

しなどが

  ありますか。あれば、紹しょうかい

介してください。

Page 22: Nihon no Kurashi to Bunka

22

ー3月(弥や

生よい

)の暦こよみ

1 ひな祭まつ

り(3月3日)

2 国こくさい

際婦ふ

人じん

デー(3月8日)

 1904 年の 3月8日、ニューヨークの女じょせいろうどうしゃ

性労働者たちが女性参さんせいけん

政権の

運うんどう

動を起お

こしたのを記き

念ねん

して、国際婦人デーが定さだ

められました。日本では、

敗はい

戦せん

後ご

に選せんきょほうかいかく

挙法改革が行おこな

われ、女性の選せんきょけん

挙権が認みと

められました。1946年

4月、女性が参さん

加か

した初はつ

の衆しゅう

議ぎ

院いん

選挙では、39名の女性議ぎ

員いん

が生う

まれて

います。

3 卒そつぎょうしき

業式のシーズン

 日本では、卒業式は 3月に行われるところが多おお

く、春の季き

語ご

になって

いるほどです。高こうとうがっこう

等学校では上じょうじゅん

旬、大だいがく

学・短たんだい

大では下げ

旬じゅん

が多いでしょう。

4 春しゅんぶん

分の日ひ

(3月 21日ごろ)

知し

っていますか、桃もも

の起き

源げん

  『西さいゆう

遊記き

』の中なか

で、孫そん

悟ご

空くう

が天てんかい

界・桃とうげんきょう

源郷の不ふ

老ろう

不ふ

死し

の桃を食べるお話はなし

がありますね。そのころの桃は「毛毛(もも)」と言われ、毛け

がいっぱい

生は

えた硬かた

い果くだもの

物だったことをご存ぞん

じでしたか。

 中国で生う

まれた桃は、中国からシルクロ

ードで西さいいき

域へ伝つた

わりますが、中国から西にし

行った桃は果か

肉にく

が黄き

色いろ

くなりました。黄おうとう

です。古こ

代だい

には日本にも桃が伝わるのです

が、現げんざい

在のような桃がつくられるようにな

ったのは明めい

治じ

時じ

代だい

のことで、中国から伝わった品ひんしゅ

種から自し

然ぜんこうざつ

交雑で偶ぐうぜん

生う

まれた白しろ

い桃を発はっけん

見し、その後ご

、品ひんしゅかいりょう

種改良が重かさ

ねられてきました。で

すから、「白はくとう

桃」は日本独どくとく

特の桃なのです。

Page 23: Nihon no Kurashi to Bunka

23

【書きましょう】

あなたの国のお墓まいりの行事について書いてください。

Page 24: Nihon no Kurashi to Bunka

24

花はな

より団だん

子ご

             桜さくら

が咲さ

く季き

節せつ

になると、家か

族ぞく

や仲なか

間ま

、会かいしゃ

社の同どうりょう

            が桜の木き

の下した

に集あつま

まって、お弁べんとう

当を広ひろ

げて、お酒さけ

            飲の

んだり、歌うた

を歌ったり……こんな光こうけい

景が日本の至いた

            る所ところ

で繰く

り広げられます。これが日本の伝でんとう

統行ぎょう

事じ

「お

            花はな

見み

」なのです。たぶんこんな風ふうしゅう

習は、日本でしか

            見み

られないのではないでしょうか。

             花見が盛さか

んに行おこな

われるようになったのは、江え

戸ど

時じ

            代だい

の元げんろく

禄のころからだと言い

われています。花見には

            金かね

持も

ちも貧びんぼうにん

乏人もありません。それぞれが集しゅうだん

団を作つく

り弁当を持も

って出で

かけ、飲んで食って大おおさわ

騒ぎをします。それは、普ふ

段だん

は士し

農のうこうしょう

工商という厳きび

しい身み

分ぶんせい

制度ど

の中なか

で生せいかつ

活して

いる庶しょみん

民にとって、羽はね

を伸の

ばしてリフレッシ

ュする絶ぜっこう

好の機き

会かい

であったようです。それは

今いま

も変か

わりません。花見のときは上じょう

司し

も部ぶ

下か

も無ぶ

礼れいこう

講で飲んで騒さわ

ぐのですが、ときには裸はだか

になって踊おど

り出だ

す人が現あらわ

れたり、酒さけ

の勢いきお

いで

けんかが始はじ

まったりと大たいへん

変な騒そうどう

動になること

もあります。「花見」で見るものはもちろん桜です。夜よる

に花見をすることは夜よ

桜ざくらけんぶつ

見物と言います。しかし、庶民にとっては、桜よりも飲み食い騒ぐことの方

            が楽たの

しみなのです。これを「花より団だん

子ご

」と言います。

             もしあなたが、日本人が花見を楽しんでいる光景

            を見たら、あなたの日本人観かん

が変か

わるかもしれませ

            ん。

4月の行事とくらし

<飲んで騒いで>

<花見団子>

Page 25: Nihon no Kurashi to Bunka

25

仲なか

間ま

同どうりょう

僚:

光こうけい

景:

至いた

る所ところ

繰く

り広ひろ

げる:

伝でんとう

統:

~のではないでしょうか:

盛さか

ん(な):

金かね

持も

ち:

貧びんぼうにん

乏人:

それぞれ:

普ふ

段だん

士し

農のうこうしょう

工商:

身み

分ぶんせい

制度ど

庶しょみん

民:

~にとって:

羽はね

を伸の

ばす:

リフレッシュする:

絶ぜっこう

好の機き

会かい

無ぶ

礼れいこう

講:

裸はだか

酒さけ

の勢いきお

い:

けんか:

騒そうどう

動:

夜よ

桜ざくらけんぶつ

見物:

花はな

より団だん

子ご

新しいことば

使いましょう

1 ~のではないでしょうか

 ◆たぶんこんな風習は、日本でしか見られないのではないでしょうか。

 ◇会社の業ぎょうせき

績も伸の

びていますから、給料も      のではないでしょうか。

 ◇空そら

が暗くら

くなってきたから、もしかして          んじゃないか。

2 ~にとって

 ◆それは庶民にとって、羽を伸ばしてリフレッシュする絶好の機会であったようだ。

 ◇私たちにとって、一番大切なのは               。

 ◇それは    にとって、初めての経験だった。

3 ~ようです(感覚推量)

 ◆庶民が羽をのばして、リフレッシュする絶好の機会であったようです。

 ◇寒さむ

気け

がします。どうも               ようです。

 ◇この靴くつ

、少すこ

しサイズが     ようなので、     のに換か

えてください。

           

Page 26: Nihon no Kurashi to Bunka

26

梅うめ

と桜さくら

のお話はなし

 日本に梅うめ

がもたらされたのは、奈な

良ら

時じ

代だい

、遣けん

唐とう

使し

が薬やくよう

用として持も

ち帰かえ

ったのが最さいしょ

初のようで

す。この時代、花といえば梅を指さ

しました。当とう

時じ

、梅は中国の文ぶんじん

人たちに大たいへんあい

変愛されていた花

でしたから、中国文ぶん

化か

を理り

想そう

としていた当時の日本人にとって、梅こそ

花の代だいめい

名詞し

でした。しかし平へいあん

安時代に入り、「かな」が作つく

られ、遣唐使が

廃はい

止し

されると、しだいに国こくふう

風文化と言われる独どく

自じ

の文化が形けいせい

成されてい

きます。それにつれて、梅よりも昔むかし

から日本の山さん

野や

に原げんせい

生していた桜が

尊とうと

ばれるようになり、やがて梅は桜と交こうたい

代しました。このように桜が国こっ

花か

とされるようになったのは、国風文化の発はってん

展と密みっせつ

接な関かんけい

係があったの

新しいことば

もたらす:

遣けんとう

唐使し

薬やくよう

用:

~として:

代だいめい

名詞し

廃はい

止し

する:

しだいに:

国こくふうぶん

風文化か

独どく

自じ

形けいせい

成する:

~ていく:

~につれて:

原げんせい

生する:

尊とうと

ぶ:

国こっ

花か

             

やがて:

交こうたい

代する:

密みっせつ

接(な):

Page 27: Nihon no Kurashi to Bunka

27

【話しましょう】

1 日本人は、花見に行ってどんなことをしますか。

2 日本で花見が盛さか

んになったのは、いつごろからですか。

3 花見というのは、庶しょみん

民にとってどのようなものなのですか。

4 「花より団子」というのは、どういう意い

味み

ですか。

5 遣唐使が廃止されてから、日本で発展した独自の文化をなんと呼よ

びますか。

6 日本では、どうして梅よりも桜の方が尊ばれるようになりましたか。

7 あなたの国では、日本のようなお花見の風ふうしゅう

習がありますか。

8 あなたの国の国花はなんですか。どうしてその花が国花となったのですか。

9 あなたの生まれた故ふるさと

郷で、春を代表するのはどんな花ですか。

10 あなたの国には、花と関係が深いお祭まつ

りがありますか。あれば、紹しょうかい

介して

  ください。

Page 28: Nihon no Kurashi to Bunka

28

ー4月(卯う

月づき

)の暦こよみ

1 エイプリルフール (4月1日)

 4月1日は、エイプリルフールの日とされ、この日に嘘うそ

をついて、人

を驚おどろ

かせても許ゆる

されることになっています。

2 花はな

まつり(4月8日)

 4月8日は、お釈しゃ

迦か

さま生せいたん

誕の日です。今から 2500 年前、ヒマラヤ

のふもと、カピラ国こく

の太たい

子し

として、ルンビニーの花はなぞの

園でお生う

まれになリ

ました。

 お釈迦さまがご誕たんじょう

生のとき、あたりに

花が一いっせい

斉に咲き、音おんがく

楽が流なが

れ、甘あま

い雨あめ

降ふ

ってきたと言われます。そこで、今で

もお寺てら

では花はな

御み

堂どう

を花で飾かざ

リ、天てん

地ち

を指ゆび

さした誕生のお姿すがた

を安あん

置ち

して、甘あまちゃ

茶をか

けてお祝いわ

いする「花まつり」が行おこな

われます。

3 入にゅうがくしき

学式のシーズン

           欧おうべい

米では一いっぱん

般に 9月に入学式がありますが、日

          本では入学式は桜が咲く春の恒こうれい

例行ぎょう

事じ

です。学がくしゅう

          指し

導どう

要よう

領りょう

で「国こっ

旗き

を掲けいよう

揚するとともに、国こっ

歌か

を斉

          唱するよう指し

導どう

する」と定さだ

めたため、教きょういく

育現げん

場ば

          は様さまざま

々な問もんだい

題が発はっせい

生しています。

4 みどりの日(4月 29日)

 元もと

は昭しょう

和わ

天てんのう

皇の「天皇誕たんじょう

生日び

」でしたが、現げんざい

在は国こくみん

民の祝しゅくじつ

日「みどりの日」

に改かいめい

名され,「自し

然ぜん

に親した

しむとともにその恩おんけい

恵に感かんしゃ

謝し、豊ゆた

かな心こころ

を育はぐく

む日」

となりました。

      

Page 29: Nihon no Kurashi to Bunka

29

【書きましょう】

「故郷の春」をテーマに作文を書いてください。

Page 30: Nihon no Kurashi to Bunka

30

「こどもの日ひ

」とゴールデンウイーク

              ゴールデンウィークとは、4月がつすえ

末から 5月初はじ

             にかけて、多おお

くの祝しゅくじつ

日が重かさ

なった大おおがた

型連れんきゅう

休のこと

             を言い

います。ゴールデン・ウィークには国こくみん

民の祝

             日である「みどりの日 (4/29)」「憲けんぽう

法記き

念ねん

日び

(5/3)」

             「国民の休きゅうじつ

日 (5/4)」「こどもの日 (5/5)」が含ふく

             れます。これらの祝日と土ど

日にち

がうまくつながると、

             1いっしゅうかん

週間間かん

ほどの大型連休が発はっせい

生します。

 このゴールデンウィークの過す

ごし方かた

は人ひと

によって色々ですが、子こ

どもがいる

家か

庭てい

では家か

族ぞく

旅りょこう

行に行い

くことが多おお

いようです。この期き

間かん

、日本の行こうらく

楽地ち

は子ど

も連づ

れの家族で溢あふ

れます。調ちょう

査さ

では、2006 年ねん

の海かいがいりょこうしゃ

外旅行者は過か

去こ

最さいこう

高の 56

万まん

人にん

、国こくないりょこうぐみ

内旅行組が 2000万人以い

上じょう

でしたから、ちょっとした民みんぞくだい

族大移い

動どう

です。

 さて、ゴールデンウイークの最さいしゅう

終日び

にあたる 5月 5いつか

日は「こどもの日」です。

古ふる

くは、「端たん

午ご

の節せっ

句く

」といって、男おとこ

の子こ

が強つよ

くたくましく育そだ

つことを祝いわ

う日

            でしたが、1948年に定さだ

められた国民の祝日法ほう

によっ

            て、男だんじょ

女の別べつ

なく、こどもの健けんぜん

全な発はったつ

達を願ねが

う祝日

            となりました。しかし、もともと「端午の節句」の

            日だったので、菖しょう

蒲ぶ

湯ゆ

に入はい

ったり、柏かしわもち

餅を食べたり、

            男の子のいる家いえ

では「兜かぶと

」 や「こいのぼり」「五月 

            人にんぎょう

形」を飾かざ

ったりします。

             この「こいのぼり」は、

中国の昔むかしばなし

話、急きゅう

流りゅう

だった黄こう

河が

の竜りゅうもん

門を昇のぼ

りきったのが

鯉こい

だけだったという「鯉の滝たきのぼ

登り」の話が元もと

になって

いるようです。ここから、「登とうりゅうもん

竜門」という言こと

葉ば

も生う

まれました。

5月の行事とくらし

<こいのぼり>

<柏餅>

<菖蒲で縛った紙兜>

Page 31: Nihon no Kurashi to Bunka

31

ゴールデンウイーク:

~から~にかけて:

重かさ

なる:

大おおがたれんきゅう

型連休:

憲けんぽう

法記き

念ねん

日び¥

含ふく

む:

うまい:

つながる:

~によって:

過す

ごし方かた

行こうらく

楽地ち

子こ

ども連づ

れ:

溢あふ

れる:

過か

去こ

最さいこう

高:

ちょっとした:

民みんぞくだい

族大移い

動どう

端たん

午ご

の節せっ

句く

たくましい:

~の別べつ

なく:

健けんぜん

全な発はったつ

達:

菖しょう

蒲ぶ

湯ゆ

柏かしわもち¥

餅:

兜かぶと

急きゅうりゅう

流:

~きる:

鯉こい

の滝たきのぼ

登り:

~が元もと

になる:

登とうりゅうもん

竜門:

新しいことば

使いましょう

1 ~から~にかけて

 ◆ゴールデンウィークとは、4月末から 5月初めにかけての大型連休のことを言う。

 ◇ 昨さく

夜や

は、     から     にかけて、何なん

度ど

か強つよ

い地じ

震しん

がありました。

 ◇ 日本では      から      にかけて、梅つ

雨ゆ

のシーズンです。

2 ~によって[対応]

 ◆ゴールデンウィークの過ごし方は人によっていろいろです。

 ◇時じ

間かん

によって、忙いそが

しいときもあるし、       もある。

 ◇     によって     も違ちが

うから、「郷ごう

に入い

れば郷に従したが

え」だよ。

3 ~によって[基準・根拠]

 ◆祝日法によって、男女の別なく、こどもの健全な発達を願う祝日となった。

 ◇学がくせい

生の      によって、クラスを三つに分けることにしました。

 ◇未み

成せいねんしゃ

年者の飲いんしゅ

酒は、      によって禁きん

止し

されている。         

   

Page 32: Nihon no Kurashi to Bunka

32

「母はは

の日ひ

」とカーネーションのお話はな

           1907 年ねん

、米べいこく

国のアンナ・ジャービスが亡な

き母はは

          の追つい

悼とう

会かい

で、母ははおや

親の好す

きだったカーネーションを

          参さんれつしゃ

列者たちに配くば

りました。これが米国全ぜん

土ど

へ広ひろ

          り、1914 年には米べい

議ぎ

会かい

で 5 月の第 2日にちよう

曜を「母

の日」と定さだ

めました。

 日本では、教きょうかい

会の働きかけなどもあり、1949年ごろから「母の日」が

年ねん

中じゅう

行ぎょう

事じ

として、一いっぱん

般に定ていちゃく

着しました。現げんざい

在でも、子こ

どもが母親にカーネー

ションを贈おく

ったり、日ごろの感かんしゃ

謝を示しめ

す日として受う

け継つ

がれています。

 カーネーションの花はな

言こと

葉ば

は、母の愛あいじょう

情、清きよ

らかな愛などで、母ぼ

性せいあい

愛を

表あらわ

します。赤あか

いカーネーションは「健けんざい

在する母の愛情」、白いカーネーショ

ンは「亡き母から受う

けた愛情」を表しています。

新しいことば

追ついとうかい

悼会:

カーネーション:

参さんれつしゃ

列者:

配くば

る:

教きょうかい

会:

働はたら

きかけ:

一いっぱん

般に:

定ていちゃく

着する:

感かんしゃ

謝を示しめ

す:

受う

け継つ

ぐ:

花はなこと

言葉ば

清きよ

らか(な):

母ぼ

性せいあい

愛:

健けんざい

在する:

 端たん

午ご

の節せっ

句く

は厄やく

除よ

けの行ぎょう

事じ

が行おこな

われる日で、中国で

は災さいやく

厄を払はら

う薬やくそう

草として菖蒲を使つか

っていたので、「菖

蒲の節句」とも呼よ

ばれます。現在の日本ではお風ふ

呂ろ

入い

れて菖蒲湯にする風ふうしゅう

習が最もっと

も身み

近ぢか

なようです。

Page 33: Nihon no Kurashi to Bunka

33

【話しましょう】

1 ゴールデンウイークというのは、なんですか。

2 五月五日は「こどもの日」ですが、何年に定められましたか。

3 五月五日は、昔、なんと呼ばれていましたか。それはどんな日でしたか。

4 「こどもの日」には、どんなものを飾り、どんなものを食べますか。

5 「こいのぼり」は、どんな話が元になって生まれましたか。

6 あなたの国には、日本の「こどもの日」のような行事がありますか。

7 あなたの国では、その日(「こどもの日」)は、なんと呼ばれていますか。

8 あなたの国では、その日(「こどもの日」)に、特とくべつ

別な物を飾ったり、食べ

  たりしますか。

9 あなたの国には「母の日」がありますか。あれば、その日にどんなことを

  するか、紹しょうかい

介してください。

10 母の日に、亡な

くなったお母さんのお墓はか

に供そな

えるのはどんな花ですか。それ

  はどうしてですか。

Page 34: Nihon no Kurashi to Bunka

34

ー5月〔皐さ

月つき

)の暦こよみ

1 メーデー(5月1日)

 国こくさいろうどうしゃさい

際労働者祭。労ろうどうくみあい

働組合を中ちゅうしん

心に集しゅうかい

会や

デモ行こうしん

進が行おこな

われます。

2 憲けんぽう

法記き

念ねん

日び

(5月3日)

 1947年 5月 3日、日に

本ほんこくけんぽう

国憲法が発はっ

布ぷ

れました。それを記き

念ねん

してこの日が国民の祝日と定さだ

められました。以い

来らい

50 年にわたってこの憲法は全まった

く改かい

正せい

を加くわ

えられることなく継けいぞく

続し、天てんのう

象しょうちょうせい

徴制・三さんけんぶんりつ

権分立・民みんしゅしゅ

主主義ぎ

・人じん

権けん

尊そんちょう

重・平へい

和わ

主しゅ

義ぎ

などをうたっています。

 憲法に関かん

してよく議ぎ

論ろん

されるのが、第だいきゅうじょう

九条の問もんだい

題です。

 第九条 日本国民は、正せい

義ぎ

と秩ちつじょ

序を基き

調ちょう

とする国こくさいへい

際平和わ

を誠せいじつ

実に希き

求きゅう

     し、国こっけん

権の発はつどう

動たる戦せんそう

争と、武ぶ

力りょく

による威い

嚇かく

または武ぶ

力りょく

の行こう

     使し

は、国際紛ふんそう

争を解かいけつ

決する手しゅだん

段としては、永えいきゅう

久にこれを放ほう

棄き

     する。

   (2) 前ぜんこう

項の目もくてき

的を達たっ

するため、陸りくかいくうぐん

海空軍その他た

の戦せんりょく

力は、これを

     保ほ

持じ

しない。国くに

の交こうせんけん

戦権は、これを認みと

めない。

 この第九条を改かいせい

正するかどうかが、日本の国こくせいじょう

政上、最さいだい

大の焦しょうてん

点になっ

ていて、憲法記念日には、護ご

憲けん

派は

と改かいけん

憲派は

がそれぞれ集しゅうかい

会を開ひら

き、激はげ

くぶつかっています。

3 こどもの日(5月5日)

4 国こくみん

民の休きゅうじつ

日(5月4日)

5 母の日(5月第2日曜日)

Page 35: Nihon no Kurashi to Bunka

35

【書きましょう】

 「私の母 」をテーマに作文を書いてください。

Page 36: Nihon no Kurashi to Bunka

36

露ろ

天てん

風ぶ

呂ろ

の日ひ

と混こんよく

浴の伝でんとう

              6月 26 日は露天風呂の日です。大おお

きな温おんせん

地ち

に行い

けば、ほとんど露天風呂がありますが、

広ひろ

い屋おくがい

外で風呂に入るのも開かいほうてき

放的で、気き

分ぶん

が変か

             わってよいものです。混浴のところも各かく

地ち

に残のこ

             っていますが、混こんよく

浴の露天風呂では女じょせいきゃく

性客の方ほう

が元げん

気き

がよく、男だんせいきゃく

性客は恥は

ずかしそうに下した

を向む

いているケースが多おお

いようです。

日本には「入いり

込こ

み湯ゆ

」と言い

って、古ふる

くから混こんよく

の風ふうしゅう

習がありました。奈な

良ら

時じ

代だい

の「風ふう

土ど

記き

」にも、

こんこんと涌わ

き出で

る温泉に、老ろうにゃくなんにょ

若男女の区く

別べつ

なく、

みんなが喜よろこ

んで入はい

ったと書か

いてあります。

江え

戸ど

時代の中ちゅう

期き

にはたびたび混浴禁きん

止し

令れい

が出だ

れ、やがて男だんじょべつ

女別の銭せんとう

湯が生う

まれるのですが、地ち

方ほう

の温泉地では男女がいっしょに温泉につかり、お互たが

いの背せ

中なか

を流なが

し合あ

うのは

当あ

たり前まえ

のことでした。今いま

でも混浴の露天風呂はたくさんありますが、入いりぐち

口は

男女別でも、中なか

に入はい

ると混浴浴よくじょう

場というところも多いですから、混浴が嫌いや

な人ひと

は、事じ

前ぜん

によく調しら

べておきましょう。

さて、外がいこく

国の皆みな

さんにもう一つ気き

をつけてもらいたいことがあります。日本

でお風呂というと湯ゆ

風ぶ

呂ろ

で、ゆっくり湯につかるのが習しゅうかん

慣です。よく外国の人

がホームステイすると、お風呂が終お

わった後あと

、湯を抜ぬ

いてしまうそうです。し

かし日本では、お風呂に入る前まえ

に体からだ

を洗あら

います。

湯風呂にはつかるだけで、浴よくそう

槽の中で体を洗い

ませんから、お湯は汚よご

れないのです。これは日

本での入にゅうよく

浴のマナーなので、覚おぼ

えておいてく

ださい。「郷ごう

に入い

れば郷に従したが

え」ですよ。

6月の行事とくらし

<家庭の湯風呂>

<河原の露天風呂>

Page 37: Nihon no Kurashi to Bunka

37

新しいことば

露ろ

天てん

風ぶ

呂ろ

温おんせん

泉地ち

屋おくがい

外:

開かいほうてき

放的(な):

気分ぶん

が変か

わる:

混こんよく

浴:

ケース:

こんこんと:

湧わ

き出で

る:

老ろうにゃくなんにょ

若男女:

~てある:

たびたび:

禁きん

止し

令れい

銭せんとう

湯:

つかる:

お互たが

いに:

背せ

中なか

当あ

たり前まえ

事じ

前ぜん

に:

気き

をつける:

湯ゆ

風ぶ

呂ろ

ホームステイ:

抜ぬ

く:

浴よくそう

槽:

入にゅうよく

浴のマナー:

郷ごう

に入い

れば郷ごう

に従したが

え:

使いましょう

1 ~そうだ[様態]

◆男性客は恥ずかしそうに下を向いているケースが多いようです。

◇  そうなケーキ、買か

っていこうよ。

◇  そうに見み

えるけれど、実じっさい

際にやるのは難むずか

しいよ。

2 ~てある

◆……温泉に、老ろうにゃくなんにょ

若男女の区く

別べつ

なく、みんなが喜よろこ

んで入はい

ったと書いてあります。

◇玄げんかん

関のドアに「猛もうけん

犬に注ちゅう

意い

」という札ふだ

が てあった。

◇「もう夕ゆう

ご飯はん

の準じゅん

備び

は終お

わりましたか」「はい、もう あります。」

3 ~ておく[準備]

◆混浴が嫌な人は、事前によく調べておきましょう。

◇ ておいたお菓か

子し

を、弟おとうと

に食た

べられてしまった。

◇ を冷れいぞう

蔵庫こ

に入い

れて、 ておきましょう。

Page 38: Nihon no Kurashi to Bunka

38

衣ころも

替が

えと入にゅうばい

衣ころも

替が

えは季き

節せつ

に応おう

じて衣い

服ふく

を着き

替が

えること

を言い

います。季節の変へん

化か

がはっきりしている

日本特とくゆう

有の習しゅうかん

慣です。現げんざい

在では、気き

候こう

に合あ

せて何なに

を着ても自じ

由ゆう

という風ふうちょう

潮になっていま

すが、和わ

服ふく

では今いま

もこの習慣が厳げんかく

格に守まも

られていて、6月1日からは

「単ひとえ

」(夏なつもの

物)、10月1日からは「袷あわせ

」(冬ふゆもの

物)と決き

められています。

梅つ

雨ゆ

の季節に入はい

ることを入にゅうばい

梅といいますが、これ以い

後ご

約やく

一ヶ月げつかん

間ほど

雨あめ

が続つづ

き、うっとうしい期き

間かん

になります。 「梅雨」という言こと

葉ば

は、ちょう

ど梅うめ

の実み

が熟じゅく

すころに雨が降ふ

ることからつけられたと言い

われています。

衣ころも

替が

え:

~に応おう

じて:

衣い

服ふく

着き

替が

える:

特とくゆう

有:

気き

候こう

~に合あ

わせる:

風ふうちょう

潮:

新しいことば

和わ

服ふく

厳げんかく

格(な):

梅つ

雨ゆ

入にゅうばい

梅:

うっとうしい:

実み

が熟じゅく

す;

~ことから:

江え

戸ど

時じ

代だい

の武ぶ

家け

社しゃかい

会では年ねん

4 回かい

も衣替えを

していたそうです。衣替えが 6月 1 日と

10 月 1日になったのは明めい

治じ

以い

降こう

で、学がっこう

や官かんこう

公庁ちょう

、銀ぎんこう

行など制せいふく

服を着ちゃくよう

用するところ

では、現げん

在ざい¥

もほとんどこの日に行おこな

われてい

Page 39: Nihon no Kurashi to Bunka

39

【話しましょう】

1 露天風呂というのは、どのような風呂のことですか。

2 露天風呂はどのような点がいいのですか。

3 混浴というのは、どういう意味ですか。

4 混浴の風習は、昔はなんと呼ばれていましたか。

5 江戸時代になって、混浴の風習はなくなりましたか。

6 日本の湯風呂に入るとき、気をつけなければならないことはなんですか。

7 あなたの国には混浴の風習がありますか。

8 あなたは日本に残る混浴の習慣をどう思いますか。

9 あなたの国には、衣替えの風習がありますか。あれば、話してください。

10 あなたの国には梅雨がありますか。あれば、いつごろからいつごろまでで

 すか、話してください。

Page 40: Nihon no Kurashi to Bunka

40

ー6月〔水み

無な

月づき

)の暦こよみ

1 環かんきょう

境の日ひ

(6月5日)

 6月5日は「環かんきょう

境の日」です。1972年 6

月 5日、第一回の地ち

球きゅう

サミット「国こくれんにんげん

連人間環

境会かい

議ぎ

」が開ひら

かれたのを記き

念ねん

して「世せ

界かい

環境

デー」が制せいてい

定されました。日本でも翌よくねん

年から

この日を「環境の日」と定さだ

め、各かく

地ち

の環境保ほ

護ご

団だんたい

体が、クリーンアップ作さくせん

戦などの運うんどう

動を

この日を中ちゅうしん

心に展てんかい

開しています。

2 海かいがい

外移い

住じゅう

の日ひ

(6月 18日)

               1908年(明めい

治じ

41 年)6月 18日、日

              本から初はつ

の集しゅうだん

団移い

住じゅうしゃ

者 781 名めい

を乗の

せた笠かさ

戸ど

丸まる

がブラジルのサントス港こう

に到とうちゃく

着しま

              した。この後あと

、中ちゅうなんべい

南米や北ほくべい

米への移民が

相あい

次つ

ぎますが、入にゅうしょく

植した人たちは厳きび

しく

辛つら

い生せいかつ

活を送おく

りながら、これらの国くにぐに

々で日にっけいじんしゃかい

系人社会を築きず

きました。ペルー

のフジモリ前ぜんだいとうりょう

大統領のことは有ゆうめい

名です。

3 父ちち

の日(6月第だい

3日にちよう

曜日び

 日ごろ一いっしょうけんめい

生懸命働はたら

いている父ちちおや

親に感かんしゃ

謝する日として、6月の第 3日曜

日が、「父の日」として制せいてい

定されました。米べいこく

国の家か

庭てい

では白しろ

いバラを贈おく

ますが、日本では「愛あい

する人の無ぶ

事じ

を願ねが

う」という気き

持も

ちを込こ

めて、父

の日には「黄き

色いろ

いリボン」を贈おく

ることもあります。

4 露ろ

天てん

風ぶ

呂ろ

の日(6月 26日) 

Page 41: Nihon no Kurashi to Bunka

41

【書きましょう】

あなたの国に、今も残っている昔からの風習について書いてください。

Page 42: Nihon no Kurashi to Bunka

42

天あま

の川かわでんせつ

伝説と「七たなばた

夕まつり」

七たなばた

夕といえば、牽けんぎゅう

牛と織おりひめ

女が、年ねん

                   に一いち

度ど

だけ天あま

の川かわ

を渡わた

って会あ

うこと

                   ができるという、悲かな

しくロマンあふ

                   れる恋こい

の物ものがたり

語を思おも

い出だ

しますね。

                    この伝でんせつ

説が中ちゅうごく

国から日本に伝つた

わっ

                   たのは、奈な

良ら

時じ

代だい

だそうです。この

牽けんぎゅうせい

牛星と織おりひめせい

女星の伝説と、日本古こ

来らい

の棚機津女〔たなばたなつめ〕の信しんこう

仰が混ま

ざり合あ

って、星ほし

に技ぎ

芸げい

の上じょうたつ

達やお米こめ

の豊ほうさく

作を祈いの

る宮きゅうちゅうぎょう

中行事じ

が生う

まれました。そ

れで 7月 7日が「たなばた」と呼よ

ばれているのです。

江え

戸ど

時代になると、七夕の行事は民みんかん

間にも広ひろ

がりました。笹ささだけ

竹に願ねが

いごとを

書か

いた短たんざく

冊を飾かざ

るスタイルもこのころ定ていちゃく

着したようで

          す。この短冊を飾るのは 6日の夜よる

で、7日には七夕飾

          りを海うみ

や川かわ

へ流なが

します。しかし、現げんざい

在は環かんきょう

境汚お

染せんもんだい

問題

          から川や海に流せなくなったため、神じんじゃ

社で燃も

やして

          もらうのが一いっぱんてき

般的なようです。全ぜんこくかく

国各地ち

で七夕まつり

が行おこな

われていますが、中なか

でも仙せんだい

台と平ひらつか

塚の七夕

まつりが有ゆうめい

名です。街まち

は和わ

紙し

と竹たけ

でつくられた

豪ごう

華か

な七夕飾りで埋う

め尽つ

くされます。

さて、もともと日本では旧きゅうれき

暦の七夕でお祝いわ

をしていたのですが、明めい

治じ

に太たいようれき

陽暦へ移い

行こう

して

からは、しだいに新しんれき

暦で行われるようになりま

した。ところが新暦の7月7日は梅つ

雨ゆ

の真ま

っ最さいちゅう

中なのです。もしその晩ばん

に雨あめ

降ふ

って川を渡ることができないと、牽牛と織女はその年とし

はもう会えません。で

すから、七夕の晩は雨が降らないようにお祈りしましょうね。

7月の行事とくらし

<七夕まつり>

Page 43: Nihon no Kurashi to Bunka

43

七たなばた

夕:

~といえば:

牽けんぎゅう

牛:

織おりひめ

姫:

天あま

の川かわ

ロマンあふれる:

恋こい

の物ものがたり

語:

思おも

い出だ

す:

伝でんせつ

説:

信しんこう

仰:

混ま

ざり合あ

う:

技ぎ

芸げい

上じょうたつ

達:

豊ほうさく

作:

笹ささだけ

竹:

短たんざく

冊:

スタイル:

定ていちゃく

着する:

環かんきょう

境汚お

染せん

中なか

でも:

和わ

紙し

豪ごう

華か

(な):

埋う

め尽つ

くす:

移い

行こう

する:

ところが:

梅つ

雨ゆ

真ま

っ最さ

中なか

新しいことば

使いましょう

1 ~といえば

◆七夕といえば、牽牛と織女が年に一度だけ……という物語を思い出します。

◇      といえば、もう何なんねん

年も会っていないなぁ。

◇ 子こ

どものころといえば、 を思い出します。

2 ~てもらう

◆七夕飾りを海や川へ流して、神さまに持ち去ってもらいます。

◇私は孫そん

さんに まで、車くるま

で もらいました。

◇高たか

いですね。もう少し てもらえませんか。

3 ~ため(に)[原因・理由]

◆川や海に流せなくなったため、神社で燃やしてもらうのが一般的なようです。

◇ご迷めいわく

惑をおかけしています。ただ今、 ため、電でんしゃ

車が遅おく

れております。

◇ ために、試し

験けん

が受う

けられませんでした。

Page 44: Nihon no Kurashi to Bunka

44

お中ちゅうげん

元の起き

源げん

 お中元というと、7月のはじめから 15日くらい

までに、日ひ

ごろお世せ

話わ

になっている親しんせき

戚や上じょう

司し

に、

品しなもの

物を贈おく

る日本の習しゅうかん

慣ですが、もとは日ひ

付づけ

を表あらわ

ことばで、その起源は中国にあります。お中元の

「中元」は旧暦の 7月 15日で、道どうきょう

教の習しゅうぞく

俗「三さんげん

(上じょうげん

元・中元・下か

元げん

)」の一つです。道教ではこの日を贖しょくざい

罪の日として、

神かみ

に食たべもの

物を供そな

えてお祀まつ

りし、人ひとびと

々をもてなす習慣がありました。これが

日本に伝つた

わり、お盆ぼん

と結むす

びついたのが中元で、お盆に一いちぞく

族が先せん

祖ぞ

の霊れい

捧ささ

げる品しな

を持も

ち寄よ

ったのが始はじ

まりだと言われています。

お中ちゅうげん

元:

日ひ

ごろ:

親しんせき

戚:

上じょう

司し

日ひ

付づけ

起き

源げん

道どうきょう

教:

習しゅうぞく

俗:

贖しょくざい

罪:

お盆ぼん

結むす

びつく:

霊れい

に捧ささ

げる:

持も

ち寄よ

る:

新しいことば

<七夕のときの夜よ

空ぞら

Page 45: Nihon no Kurashi to Bunka

45

【話しましょう】

1 七夕に関係が深い物語はなんですか。

2 どうして7月7日が「たなばた」と呼ばれるようになりましたか。

3 七夕の行事が広く民間に広まったのはいつですか。

4 竹笹に飾る短冊には何を書きますか。

5 どうして最近、七夕飾りが海や川に流せなくなりましたか。

6 日本では新暦で七夕のお祭りが行われますが、新暦の7月7日はどんな季

 節ですか。

7 お中元というのは何のことですか。

8 あなたの国に牽牛と織姫のお話があれば、どんな話か紹しょうかい

介してください。

9 あなたの国には、日本の七夕のようなお祭りがありますか。あれば、いつ

 行われる、どんなお祭りか話してください。

10 あなたの国にはお中元のような贈り物をする習慣がありますか。あれば、

紹しょうかい

介してください。

Page 46: Nihon no Kurashi to Bunka

46

ー7月〔文ふみづき

月)の暦こよみ

1 七たなばた

夕(7月7日)

2 土ど

用よう

の鰻うなぎ

           土用とは、立りっしゅん

春・立りっ

夏か

・立りっしゅう

秋・立りっとう

冬の前まえ

18 日にちかん

を言い

いますが、今いま

では立秋の前だけを土用と呼ん

でいます。ちょうど大たいしょ

暑の少し前から終お

わりまで

の「暑しょ

中ちゅう

」にあたります。土用の入い

りは、だいた

          い7月の 20日ごろになります。日本には土用の丑うし

の日は「う」のつくものを食た

べる習しゅうかん

慣があります。うどん・梅うめぼし

干・うり・

鰻うなぎ

などさまざまですが、夏なつ

の疲ひ

労ろう

をとり、夏なつ

痩や

せを防ふせ

ぐというのが目もくてき

のようです。特とく

に「土用の鰻」と言って、鰻を食べるのが一いっしゅ

種の夏の行ぎょう

事じ

になっています。

3 海うみ

の日(7月第だい

3月げつよう

曜日び

 7月の第 3月曜日は、「海の日」です。もとは「海の記き

念ねん

日び

」と呼よ

ばれ

ていましたが、 その後ご

、1996年ねん

に「みんなで海のことを考かんが

え、海に親した

み、海を大たいせつ

切にしましょう」という趣しゅ

旨し

に立た

って、国こくみん

民の祝しゅくじつ

日「海の日」

となりました。

  日本は周まわ

りを海で囲かこ

まれた海かいようこく

洋国

で、海との関かか

わりはとても深ふか

いです。

古こ

来らい

、文ぶん

化か

は中国・朝ちょうせん

鮮から海を渡わた

ってもたらされましたし、今も日本

と外がいこく

国との間あいだ

で行われる貿ぼうえき

易の 99.8

%が海かいじょう

上輸ゆ

送そう

に支ささ

えられています。 また海は、魚さかな

や貝かい

や昆こん

布ぶ

など、豊ゆた

かな

水すいさんぶつ

産物を提ていきょう

供してくれています。ところが、普ふ

段だん

日本人この海の恵めぐ

みを

忘わす

れているようです。そこで、この「海の日」が制せいてい

定されました。

<朝鮮と日本を結んだ古代船(復元)>

Page 47: Nihon no Kurashi to Bunka

47

【書きましょう】

あなたの国のお正月について書いてください。

Page 48: Nihon no Kurashi to Bunka

48

夏なつ

の風ふうぶつ

物詩し

、盆ぼんおど

踊りと花はな

火び

大たいかい

 お盆ぼん

は旧きゅうれき

暦の 7月 15日を中ちゅうしん

心に行われる先せん

祖ぞ

供く

養よう

の儀ぎ

式しき

で、先祖の霊れい

があ

の世よ

からこの世に戻もど

ってくるという日本古こ

来らい

の信しんこう

仰と、仏ぶっきょう

教が結むす

びついてでき

た行ぎょう

事じ

です。明めい

治じ

以い

後ご

に多おお

くの行事が新しんれき

暦(太たいようれき

陽暦)に移い

行こう

しましたが、お盆

の行事だけは、今いま

でも8月の同おな

じ期き

間かん

に行おこな

う地ち

方ほう

が多いようです。だいたい 8

月 13日の「迎むか

え盆」から 16日の「送おく

り盆」までの 4よっか

日間かん

をお盆としています。

 お盆の間あいだ

に、人ひとびと

々はお墓はか

まいりをして、お墓の掃そう

除じ

をします。自じ

宅たく

の仏ぶつだん

壇もきれいに掃除して、花はな

や季き

節せつ

の野や

菜さい

を供そな

えます。そして盆の終お

わりには、送り火び

してご先祖さまをあの世へ送り出す行事、灯とうろう

籠流なが

があ

ります。京きょう

都と

の有ゆうめい

名な「大だいもん

文字じ

焼や

き」(正せいしきめい

式名:五ご

山ざん

           の送り火)は、これが大だい

規き

模ぼ

になったものです。日本

人にとって、先祖供養のための、一年で一いちばん

番大たいせつ

切な日と言い

えるでしょう。

 さて、お盆の期間に寺てら

の境けいだい

内や町まち

の広ひろ

場ば

などで

は盆ぼんおど

踊りが行われます。

村むら

や町ちょうないかい

内会の恒こうれい

例行事と

なっていますから、日本

人なら誰だれ

でも心こころ

に残のこ

る夏なつ

祭まつ

りや盆踊りの思おも

い出で

があることでしょう。今でこそ、盆踊りというと、人々

が櫓やぐら

を囲かこ

んで太たい

鼓こ

を打ち、ゆかたを着き

て踊って楽たの

む遊あそ

びのイメージしかありませんが、もともとはお

盆に戻った霊を慰なぐさ

めて、送り出すための儀式だった

のです。このお盆、盆踊りと切き

り離はな

せないのが、夏

の風物詩、花はな

火び

大たいかい

会でしょうね。

8月の行事とくらし

<高知の阿波踊り>

<灯籠流し>          

Page 49: Nihon no Kurashi to Bunka

49

お盆ぼん

~を中ちゅうしん

心に:

あの世よ

この世よ

先せん

祖ぞ

供く

養よう

儀ぎ

式しき

信しんこう

仰:

だいたい:

~を~とする:

仏ぶつだん

壇:

送おく

り火び

灯とうろうなが

籠流し:

大だい

規き

模ぼ

(な):

さて:

境けいだい

内:

盆ぼんおど

踊り:

恒こうれいぎょう

例行事じ

思おも

い出で

~こそ:

櫓やぐら

を囲かこ

む:

太たい

鼓こ

を打う

つ:

ゆかた:

イメージ:

慰なぐさ

める:

風ふうぶつ

物詩し

花はな

火び

大たいかい

会:

新しいことば

使いましょう

1 ~を~とする

◆ 8月 13日の「迎え盆」から 16日の「送り盆」までの 4日間をお盆としています。

◇この会かい

は を目もくてき

的としてつくられたボランティア団だんたい

体です。

◇警けいさつ

察はその男おとこ

を として、全ぜんこく¥

国に指し

名めい

手て

配はい

した。

2 ~ため(に/の)[目的]

◆先祖供養のための……/お盆に戻った霊を慰めて、送り出すための儀式

◇ ために、みんなで歓かんげいかい

迎会を開ひら

いた。

◇人ひと

は食た

べるために のではなく、生い

きるために のです。

3 ~こそ

◆今でこそ、盆踊りというと、人々が櫓を囲んで太鼓を打ち、……

◇「主しゅじん

人がいろいろお世せ

話わ

になっております。」「いいえ、 こそ。」

◇今こ

年とし

はだめだったが、 こそは合ごうかく

格するぞ。

Page 50: Nihon no Kurashi to Bunka

50

暑しょちゅう

中見み

舞ま

い:

大たいしょ

暑:

指さ

す:

残ざんしょ

暑見み

舞ま

い:

暑しょちゅう

中見み

舞ま

 暑中というのは「大たいしょ

暑」にあたる

期き

間かん

のことで、7月20日ごろから

8月8日ごろの立りっしゅう

秋の前ぜんじつ

日までを指さ

します。ですから、暑中見舞いはこ

の間あいだ

に相あい

手て

に着つ

くように出だ

します。

その期間を過す

ぎた場ば

合は、残ざんしょ

暑見舞

いとして出します。

 なお、年ねん

賀が

状じょう

のように、暑中見舞

い・残暑見舞いをいただいた場合も、

必かなら

ず礼れいじょう

状を出しましょうね。

新しいことば~として:

必かなら

ず:

礼れいじょう

状:

もう一つの夏の風物詩が、全国高校野球大会。

毎まいとし

年、甲こう

子し

園えんきゅうじょう

球場で熱ねっせん

戦が繰く

り広ひろ

げられる。

Page 51: Nihon no Kurashi to Bunka

51

【話しましょう】

1 お盆というのは、どのような行事ですか。

2 「あの世」「この世」というのはどういう意味ですか。

3 灯籠流しというのは、何のために行う行事ですか。

4 盆踊りは、もともとどのような意味を持っていましたか。

5 盆踊りは、今、どのようなものと考えられていますか。

6 お盆は、日本人にとってどんな日ですか。

7 あなたの国には盆踊りのようなみんなで踊る行事がありますか。あれば、

紹しょう

介かい

してください。

8 あなたの国には、年賀状や暑中見舞いのような書しょじょう

状を送る習慣があります

 か。あれば話してください。

9 日本にはどのような宗しゅうきょう

教がありますか。

10 あなたの国で、夏の風物詩といえば、どんなものがありますか。

Page 52: Nihon no Kurashi to Bunka

52

ー8月〔葉は

月づき

)の暦こよみ

1 原げんばくとう

爆投下か

~敗はいせん

戦(8月 15日)へ

8月 6日 広ひろしま

島に原爆投下

8月 9日 長ながさき

崎に原爆投下

8月 15日 ポツダム宣せんげんじゅだく

言受諾・日本無む

条じょうけんこうふく

件降伏(=「終しゅうせん

戦記き

念ねん

日び

」)

8月 30日 連れんごうこくさいこう

合国最高司し

令れいかん

官マッカーサー元げんすい

帥、厚あつ

木ぎ

飛ひ

行こうじょう

場に降お

り立た

つ。

忘わす

れてはならない「原爆~終しゅうせん

戦記き

念ねん

日び

 アメリカ軍ぐん

は 1945年の8月6日広島に、

8月 9日長崎に原爆を投下しました。広島で

は 30万まん

人にん

、長崎では 8万人の市し

民みん

の命いのち

が一いっ

瞬しゅん

にして奪うば

われました。軍ぐん

部ぶ

はなお「本ほん

土ど

戦」を叫さけ

んでいましたが、天てんのう

皇の決けつだん

断で「ポ

ツダム宣言」の受諾が決けってい

定されました。

 1945年 8月 15日、NHKラジオは天皇の肉にくせい

声によって全ぜんこくみん

国民に日本

が戦せんそう

争に負ま

けたことを伝つた

えました。日本ではこの日を太たいへいよう

平洋戦争終しゅうけつ

結の

日として、終戦記念日としています。他た

方ほう

、この日は韓かんこく

国や台たいわん

湾の人ひとびと

にとっては日本の植しょくみん

民地ち

支し

配はい

から解かいほう

放された記き

念ねん

すべき日であり、韓国

では「光こう

復ふくせつ

節」として国こくみん

民の祝しゅくじつ

日となっています。

2 夏なつやす

休みの終わり(8月 31日)

小しょうちゅうがっこう

中学校では、夏休みを 7/20 ~ 8/31 とし

ているところがほとんどですが、夏暑あつ

い地ち

域いき

は少すこ

し長なが

いかわりに冬ふゆやす

休みが短みじか

くなったり、逆ぎゃく

に冬寒さむ

い地域では夏休みを短くされて冬休みが

長かったりします。しかし、ほとんどの小中学校では、この日に楽たの

しい

夏休みが終わります。

<広島に投下された原爆>

Page 53: Nihon no Kurashi to Bunka

53

【書きましょう】

あなたが子どものころの、楽しい夏休みの思い出について書いてください。

Page 54: Nihon no Kurashi to Bunka

54

関かんとうだいしんさい

東大震災と「防ぼうさい

災の日ひ

 9月 1日は「防災の日」です。1923 年のこの日に起お

きた関東大震災〔死し

者しゃ

・行ゆく

方え

不ふ

明めいしゃ

者 14万

人以い

上じょう

、江え

戸ど

以い

来らい

の木もく

造ぞうけんちく

建築はこのとき、火か

事じ

で焼しょうしつ

失しました)の

教きょうくん

訓を忘わす

れないという

意い

味み

を込こ

めて、1960

年に制せいてい

定されました。

 もう一つの由ゆ

来らい

「二にひゃく

百十とおか

日」という厄やく

日び

です。立りっしゅん

春から数かぞ

えて 210 日目、太たいようれき

陽暦で 9月 1日ごろが、台たいふう

風が一いちばん

番よ

く来らいしゅう

襲する厄日なのです。そこで、9月1日の防災の日には、日本全ぜんこく

国で大だい

地じ

震しん

や災さいがい

害の発はっせい

生を想そうてい

定した防災訓くんれん

練が行おこな

われています。

 日本では昔むかし

から怖こわ

いものを順じゅん

に並なら

べて、「地震・雷かみなり

・火事・親おや

父じ

」と言い

いました。

最さいきん

近では「親父」は怖くなくなりましたが、やはり地震は日本人が一番怖いも

のでしょう。1995年 1月 17日にも阪はんしん

神淡あわ

路じ

大震災が起こり、死者 6.434 名、

行方不明者 3名、家か

屋おく

の倒とうかい

壊など、10兆ちょうえん

円規き

模ぼ

の被ひ

害がい

を出だ

しています。

 そのため、日本の家か

庭てい

では、いざという時とき

に備そな

えて避ひ

難なん

場ば

所しょ

を確かくにん

認しあい、

各かく

人じんよう

用の非ひ

常じょう

持も

ち出だ

し袋ぶくろ

が用よう

意い

されていま

 す。その中なか

身み

は一ひとり

人で持ち出せる最さいていげん

低限の

 もの、例たと

えば、ミネラルウォーター、イン

 スタント食しょく

品ひん

、缶かんづめ

詰、医い

薬やくひん

品などです。み

 なさん、「備そな

えあれば、憂うれ

いなし」ですよ。

9月の行事とくらし

Page 55: Nihon no Kurashi to Bunka

55

使いましょう

1 ~以来/~て以来

◆江戸以来の木造建築は、このとき、火事で焼失しました。

◇ 父ちち

は病びょう

気き

で入にゅういん

院して以来、 。

◇ 先せんげつ

月以来、 。

2 ~を込めて

◆関東大震災の教訓を忘れないという意味を込めて、1960年に制定されました。

◇母はは

はいつも を込めて、私たちのお弁べんとう

当を作ってくれた。

◇無ぶ

事じ

に育そだ

ってほしいという願ねが

いを込めて、母は 。

3 ~なくなる

◆最近では「親父」は怖くなくなりました。

◇昔むかし

はとてもおいしかったけど、最さいきん

近、あまり  たね。

◇若わか

いころはずいぶん飲の

んだが、年とし

をとってあまりお酒が 。

新しいことば

防ぼうさい

災:

行ゆく

方え

不ふ

明めいしゃ

者:

~以い

来らい

木もくぞうけんちく

造建築:

消しょうしつ

失する:

教きょうくん

訓:

~を込こ

めて:

由ゆ

来らい

厄やく

日び

台たいふう

風:

来らいしゅう

襲する:

災さいがい

害:

怖こわ

い:

雷かみなり

家か

屋おく

の倒とうかい

壊:

規き

模ぼ

被ひ

害がい

を出だ

す:

いざという時とき

備そな

える:

避ひ

難なん

場ば

所しょ

非ひ

常じょう

持も

ち出だ

し袋ぶくろ

ミネラルウオーター:

インスタント食しょくひん

品:

缶かんづめ

詰:

医い

薬やくひん

品;

備そな

えあれば憂うれ

いなし:

Page 56: Nihon no Kurashi to Bunka

56

敬けいろう

老の日ひ

(9月 15日)

 9月 15日は「敬老の日」です。長なが

い間あいだ

社しゃかい

のために尽つ

くしてきた高こうれいしゃ

齢者を敬うやま

い、長ちょうじゅ

寿を祝いわ

う日ですが、それとともに若わか

い世せ

代だい

に高齢者福ふく

祉し

に関かんしん

心を持も

ってもらおうという気き

持も

ちが込こ

られています。

 みなさん、高齢者というのは何なんさい

歳からか知し

ていますか。一いっぱん

般に 65 歳さい

以い

上じょう

を高齢者と呼よ

び、高齢者の割わりあい

合が 7%~

14%の社会を高齢化社会、14%~ 21%の社会を高齢社会、それ以上を

超ちょう

高齢社会と呼んでいます。日本は 1994 年に高齢社会となりましたが、

2010年には超高齢社会となる見み

込こ

みです。

敬けいろう

老の日ひ

尽つ

くす:

高こうれいしゃ

齢者:

敬うやま

う:

長ちょうじゅ

寿:

新しいことば~とともに:

福ふく

祉し

~に関かんしん

心を持も

つ:

割わりあい

合:

見み

込こ

み:

お月見は旧きゅうれき

暦の8月 15日に月を鑑かんしょう

賞する行ぎょう

事じ

で、「中秋の名月」、「十じゅうご

五夜や

」と呼ばれます。

月見の日には、おだんごやススキ、サトイモな

どをお供そな

えします。

Page 57: Nihon no Kurashi to Bunka

57

【話しましょう】

1 防災の日にはどのようなことが行われますか。

2 「二百十日」というのはどのような日ですか。

3 日本の家庭では、地震に備えて、どのような準備をしていますか。

4 非常持ち出し袋にはどんな物が入っていますか。

5 高齢社会というのは、どのような社会のことですか。

6 あなたの国ではどのような防災訓練が行われていますか。

7 あなたが怖いと思うものを、順番に四つあげてください。

8 あなたの国には日本の敬老の日に似に

た行事がありますか。あれば、どのよ

 うなお祝いの行事をするか、紹しょうかい

介してください。

9 あなたはおじいさん、おばあさんになったら、どんな生せいかつ

活がしたいですか。

10 あなたの国には、お月見の風習がありますか。あれば、どんなことをする

 か、紹介してください。

Page 58: Nihon no Kurashi to Bunka

58

ー9月〔長ながつき

月)の暦こよみ

1 防ぼうさい

災の日ひ

(9月1日)

2 菊きく

[重ちょうよう

陽]の節せっ

句く

(9月9日)

3 中ちゅうしゅう

秋の名めいげつ

月(9月 15日)

旧きゅうれき

暦で8月 15日の月を「十五夜や

」「中秋の名月」と言い

います。旧暦で

は1~3月が春はる

、4~6月が夏なつ

、7~9月が秋あき

、10~12月が冬ふゆ

です。

そこで8月は秋の真ま

ん中なか

の月つき

なので「中秋」と呼よ

ばれています。

古こ

来らい

、満まんげつ

月が一いちばん

番美うつく

しいものとされました。中なか

でも中秋のこの時じ

期き

空くう

気き

が澄す

んでいて、最もっと

も美しい満月が見み

られるということで、平へいあん

安時じ

代だい

初しょ

期き

に、この日に月を見ながら宴えんかい

会をする風ふうしゅう

習ができたのです。一いっぱんしょ

般庶

民みん

の間あいだ

に広ひろ

まったのは江え

戸ど

時代以い

降こう

で、月の見えるところにすすきを飾かざ

り、月つき

見み

団だん

子ご

、里さといも

芋、枝えだまめ

豆などを盛も

って、大おと

人な

は月つき

見み

酒ざけ

を飲の

みます。

4 敬けいろう

老の日ひ

(9月 15日)

5 秋しゅうぶん

分の日ひ

(9月 23日ごろ)  秋分の日は春

しゅんぶん

分の日と同どうよう

様に、昼ひる

と夜よる

の長なが

さが等ひと

しくなる日です。秋

分の日を中ちゅうしん

心とした前ぜん

後ご

一いっしゅうかん

週間を「秋あき

彼ひ

岸がん

」と言います。家いえいえ

々では、家か

族ぞく

でお墓はか

まいりに行ったり、祖そ

先せん

を供養する「法ほう

会え

」を行おこな

ったりします。

 もともと日本では、春分と秋分のころに豊ほうさく

作を祝いわ

う神しんとう

道行ぎょう

事じ

がありま

したが、仏ぶっきょう

教の浸しんとう

透とともに秋分は「秋の彼岸」として祖先を供養する

意い

味み

を持も

ち始はじ

めました。そして 1948 年には、広ひろ

い意味で「祖先を敬うやま

い、

亡な

くなった人を忍しの

ぶ日」として国こくみん

民の祝しゅくじつ

日に制せいてい

定されました。

Page 59: Nihon no Kurashi to Bunka

59

【書きましょう】

あなたの国で起こった大きな天災について書いてください。

Page 60: Nihon no Kurashi to Bunka

60

「体たいいく

育の日ひ

」と秋あき

の運うんどうかい

動会

以い

前ぜん

は 10 月 10 日、今いま

は 10 月の第だい

2月げつよう

曜日び

が「体

          育の日」として祝しゅくじつ

日になっています。この「体育の日」は、

          1964 年のこの日、東とうきょう

京オリンピックの開かいかいしき

会式が行おこな

われ

          たのを記き

念ねん

して制せいてい

定されました。東京オリンピックは、

日本にとって「戦せん

後ご

」の終お

わりを告つ

げるものでした。このイベントを境さかい

にして、

日本は貧まず

しい国くに

から豊ゆた

かな国へと変へんしん

身し、高こう

度ど

経けいざい

済成せいちょう

長の時じ

代だい

のまっただ中なか

飛と

び込こ

みます。

 さて、この「体育の日」の行ぎょう

事じ

といえば小しょうちゅう

学がっこう

校で行われる「秋あき

の運うんどうかい

動会」でしょう。では、

この「運動会」はいつのころから始はじ

まったので

しょうか。日本でも刀とうじゅつ

術や弓きゅうじゅつ

術、馬ば

術じゅつ

など特とくてい

の競きょう

技ぎ

大たいかい

会はあったのですが、「運動会」とい

う体たいいくぜんぱん

育全般にわたる行事は行われていませんでした。どうも運動会という行事

は、明めい

治じ

の文ぶんめいかい

明開化か

のころに西せいよう

洋から持も

ち込こ

まれたらしいです。最さいしょ

初は軍ぐん

事じ

訓くんれん

練に近ちか

いものだったらしいのですが、回かい

を重かさ

ねるにつれて、ち

地域いき

ぐるみのお

祭まつ

りになっていきました。運動会では、秋あき

晴ば

れの空そら

の下もと

、親おや

子こ

が一いっしょ

緒に手て

づく

りの弁べん

当とう

を広ひろ

げ、親たちは「がんばれ~」と声こえ

の限かぎ

りに自じ

分ぶん

の娘むすめ

や息むす

子こ

に声せいえん

を送おく

ります。ですから、子こ

どもたちにとって、運動会は昔むかし

も今いま

も特とくべつ

別な行事な

のです。

現げんだいしゃかい

代社会では運動不ぶ

足そく

やストレス、脂し

肪ぼう

や糖とうぶん

分の

多おお

い食た

べ物もの

を原げんいん

因とする肥ひ

満まん

が心しんぱい

配されるようにな

っていますから、「体育の日」を契けい

機き

にして、それ

ぞれの体たいりょく

力や年ねんれい

齢に合あ

ったスポーツを始はじ

めるのもい

いかもしれませんね。

10 月の行事とくらし

<二人三脚走>

Page 61: Nihon no Kurashi to Bunka

61

使いましょう

1 ~らしい

◆運動会という行事は、文明開化の時に西洋から持ち込まれたらしいです。

◇どうやらその話はなし

は らしい。

◇今け

朝さ

の天てん

気き

予よ

報ほう

によると、今きょう

日は午ご

後ご

から らしい。

2 ~につれて

◆回を重ねるにつれて、地域ぐるみのお祭りになっていきました。

◇年とし

をとるにつれて、 。

◇時とき

が経た

つにつれて、                      。

3 ~かもしれません

◆それぞれの体力や年齢に合ったスポーツを始めるのもいいかもしれませんね。

◇もしかしたら、 かもしれません。

◇ かもしれないが、よく覚おぼ

えていないんだ。

新しいことば

体たいいく

育:

オリンピック:

告つ

げる:

イベント:

変へんしん

身する:

高こう

度ど

経けいざいせいちょう

済成長:

まっただ中なか

飛と

び込こ

む:

刀とうじゅつ

術・弓きゅうじゅつ

術・馬ば

術じゅつ

特とくてい

定:

競きょう

技ぎ

大たいかい

会:

~にわたる:

文ぶんめいかい

明開化か

持も

ち込こ

む:

軍ぐん

事じ

訓くんれん

練:

回かい

を重かさ

ねる:

~につれて:

地ち

域いき

ぐるみ:

秋あき

晴ば

れ:

~の下もと

で:

~の限かぎ

りに:

声せいえん

援を送おく

る:

ストレス;

脂し

肪ぼう

糖とうぶん

分:

~を契けい

機き

にして:

それぞれ:

スポーツ:

Page 62: Nihon no Kurashi to Bunka

62

秋あき

の収しゅうかく

穫を祝いわ

う「神かんなめさい

嘗祭」とハロウィン

 10 月 15 日から 25 日にかけて、伊い

勢せ

神じんぐう

宮では神かんなめさい

嘗祭が行おこな

われます。

これは、その年とし

にとれた新あたら

しい米こめ

を最さいしょ

初に神かみ

さまに捧ささ

げて、秋あき

の実みの

りに

感かんしゃ

謝する行ぎょう

事じ

です。戦せんぜん

前は祝しゅくじつ

日になっていました。

同おな

じようなお祭まつ

りに「ハロウィン」があります。このお祭りは、古こ

代だい

ケルト人にん

の秋の収穫感謝祭さい

に起き

源げん

があると言い

われています。アメリカで

は子こ

どもたちはかぼちゃの中なか

身み

をくりぬいたちょうちんを作つく

り、夜よる

にな

ると怪かい

物ぶつ

の格かっこう

好をして近きんじょ

所の家いえ

を訪たず

ね歩ある

き、「Trick or

treat?」(いたづらされたい?嫌いや

なら接せったい

待して)と言っ

てお菓か

子し

をもらいます。

神かんなめさい

嘗祭:

捧ささ

げる:

秋あき

の実みの

り:

ハロウィン:

古こ

代だい

ケルト人じん

かぼちゃ:

新しいことば

くりぬく:

ちょうちん:

怪かいぶつ

物:

訪たず

ね歩ある

く:

格かっこう

好をする:

いたずらする:

Page 63: Nihon no Kurashi to Bunka

63

【話しましょう】

1 体育の日には各地でどのようなことが行われますか。

2 東京オリンピックは日本にとってどのような年でしたか。

3 日本では、いつごろから運動会という行事が始まりましたか。それが始まっ

 たころの運動会はどのようなものでしたか。

4 今の日本の運動会はどのような様子ですか。

5 日本の神嘗祭とハロウィンは、どこが共きょうつう

通していますか。

6 あなたの国では、小中学校の運動会はいつごろ開かれますか。

7 あなたの国の運動会では、どのような競技が行われますか。あなたの国の

 運動会の様子はどうですか。

8 あなたが一番好きなスポーツは何ですか。それはどうしてですか。

9 あなたの国には、秋の収穫を祝う行事やお祭りがありますか。

10 あなたが秋と聞いて、思おも

い浮う

かべることはなんですか。

Page 64: Nihon no Kurashi to Bunka

64

ー 10月〔神かん

無な

月づき

)の暦こよみ

1 衣ころも

替が

え(10月1日)

 衣替えの習しゅうかん

慣は、宮きゅうちゅう

中行ぎょう

事じ

として始はじ

まりました。そんほ当とう

時じ

は、旧きゅうれき

暦の

4月 1日と 10 月 1日に行われていました。衣替えが 6月 1日と 10 月

1日に変か

わったのは明治以い

降こう

で、学がっこう

校や官かんこうちょう

公庁、銀ぎんこう

行など、制せいふく

服を着ちゃくよう

用す

るところでは、現げんざい

在もこの日に衣替えが行われています。

2 体たいいく

育の日ひ

(10月第2月曜日)

3 神かんなめさい

嘗祭(10月 15日~ 25日)

4 原げん

子し

力りょく

の日ひ

(10月 26日)

 1963年 10月 26日、東とうかいむら

海村日本原子力

研けんきゅうじょ

究所の動どうりょく

力試し

験けん

炉ろ

が日本初はつ

の発はつでん

電に成せいこう

したことを記き

念ねん

して、原子力が定さだ

められま

した。ほんとうは原子力発電などせずに済す

めばいいのですが、まだ太たいようこう

陽光発はつ

電でん

などの

次じ

世せ

代だい

の発電が実じつよう

用の域いき

に達たっ

していません。

それまでは原子力発電に頼たよ

るしかないのも事じ

実じつ

です。「原子力発電所が

安あんぜん

全だというのなら、皇こうきょ

居の隣となり

に作ったらどうだ」という議ぎ

論ろん

がありま

すが、ほんとうに皇居の中なか

に作ってもいいくらいの安あんぜんたいさく

全対策を取と

るべき

でしょう。同どう

時じ

に、少すこ

しでも早はや

く次世代のエネルギー開かいはつ

発の研けんきゅう

究を進すす

る必ひつよう

要があるでしょう。

5 ハロウィン[Halloween](10月 31日)

関西電力<高浜原子力発電所>

Page 65: Nihon no Kurashi to Bunka

65

【書きましょう】

あなたの国で人にん

気き

のあるスポーツについて書いてください。

Page 66: Nihon no Kurashi to Bunka

66

七五三と童どうよう

謡「とうりゃんせ」

             七五三のお祝いわ

いは、三歳さい

と五歳の男だん

児じ

と三歳と七

            歳の女じょ

児じ

の成せいちょう

長を祝いわ

う儀ぎ

式しき

です。家か

族ぞく

そろって、11

            月 15日に地じ

元もと

の氏うじがみ

神さまや神じんじゃ

社にお参まい

りします。

             七五三の祝いに神じんじゃ

社に行い

ってお札れい

を納おさ

める様よう

子す

歌うた

った歌に「とおりゃんせ」という童どうよう

謡があります。

            この歌は「とおりゃんせ、とおりゃんせ、ここはど

この細ほそみち

道じゃ、天てんじん

神さまの細道じゃ……」という歌か

詞し

に始はじ

まるのですが、「行

きはよいよい、帰かえ

りは恐こわ

い」という恐おそ

ろしい歌詞で終おわ

わります。どうして帰り

が恐いのか、諸しょせつ

説あるのですが、当とう

時じ

、「七つ前まえ

は神かみ

の子」という言こと

葉ば

があっ

たように、医い

療りょう

が発はったつ

達していませんし、疫えきびょう

病や栄えいよう

養不ぶ

足そく

による乳にゅうよう

幼児じ

の死し

亡ぼうりつ

が高たか

かった昔むかし

は、七つを迎むか

えるまでは、その子が無ぶ

事じ

に大おとな

人になるかどうかわ

からないというのが現実でした。ですから、七ななさい

歳まではいつ神に召め

されるかも

しれない「神の子」と考えていたのでした。天てんじん

神さまに七つのお祝いのお札を

納めたけれど、神がいつ子どもを連つ

れ去さ

っていくかもしれない。この歌詞には

そんな親おや

の不ふ

安あん

や子の無事を祈いの

る切せつ

ない思おも

いが表あらわ

れているのです。

この七つの祝いの後あと

は、地元の氏神さまの氏うじ

子こ

となって、地ち

域いき

の共きょうどうたい

同体の

一いちいん

員として迎えられました。現げん

在ざい

、義ぎ

務む

教きょういく

育が七歳から始まるのもその名な

残ごり

のです。 七五三というのは、子どもを社会の一員として

受う

け入い

れる行ぎょう

事じ

でもあったのです。

現在では、こんなしきたりに関かんけい

係なく、着き

物もの

や袴はかま

を着き

せ、千ち

歳とせあめ

飴を買ってお祝いします。この千歳飴を引ひ

っ張ぱ

ると伸の

びるのですが、寿じゅみょう

命が伸びるという縁えん

起ぎ

ものです

から、お赤せきはん

飯とともに、千歳飴を親しんせき

戚や親した

しい人ひと

へ、内うち

祝いわ

いとして配くば

ることもあります。

11 月の行事とくらし

<千歳飴>

Page 67: Nihon no Kurashi to Bunka

67

新しいことば

使いましょう

1 ~まで(は/に)

◆七つを迎えるまでは、無事に大人になるかどうかわからないというのが現実でした。

◇兄あに

はいつも夜よるおそ

遅くまで、 ています。

◇子どもが帰ってくるまでに、             なければなりません。

2 ~として

◆七五三というのは、子どもを社会の一員として受け入れる行事でもあったのです。

◇ として、一いちまんえん

万円いただきます。

◇今きょう

日は としてではなく、一人の として、君きみ

に話はな

したいことがある。

3 お~します

◆お参りする/お祝いする

◇「雨あめ

ですね。」「私の傘かさ

でよければ、 しましょうか。」

◇ちょっと しますが、近ちか

くに郵ゆうびんきょく

便局はございませんか。

男だん

児じ

女じょ

児じ

氏うじがみ

神:

お札ふだ

を納おさ

める:

諸しょせつ

説:

医い

療りょう

発はったつ

達する:

疫えきびょう

病:

栄えいよう

養不ぶ

足そく

乳にゅうよう

幼児じ

死し

亡ぼうりつ

率:

迎むか

える:

神かみ

に召め

される:

連つ

れ去さ

る:

切せつ

ない思おも

い:

氏うじ

子こ

~として:

義ぎ

務む

教きょういく

育:

名な

残ごり

しきたり:

袴はかま

千ち

歳とせあめ

飴:

縁えん

起ぎ

もの:

赤せきはん

飯:

親しんせき

戚:

内うちいわ

祝い:

Page 68: Nihon no Kurashi to Bunka

68

勤きんろうかんしゃ

労感謝の日ひ

戦せんぜん

前は、11 月 23 日に「新にいなめさい

嘗祭」が行おこな

われていました。「新嘗祭」は

古ふる

くから国くに

の大たいせつ

切な行事で、「瑞みず

穂ほ

の国くに

(日本の美び

称しょう

)」の祭さい

祀し

を司つかさど

最さいこうせきにん

高責任者しゃ

である天てんのう

皇が国こくみん

民を代だいひょう

表して、神かみ

に農のうさくぶつ

作物の恵めぐ

みに感かんしゃ

謝する

式しきてん

典でした。

 この「新嘗祭」は 1948年に「勤労感謝の日」に、

改かいめい

名されて、国民の祝しゅくじつ

日となりましたが、改名にあ

たっては、本ほんらい

来の「新嘗祭」として祝いわ

うべきだなど、

さまざまな意見がありました。しかし、今こんにち

日の「労ろう

働どう

」は農のうぎょう

業だけでなく、工こうぎょう

業やサービス業なども含ふく

んだ幅はばひろ

広い意い

味み

を持も

つようになっているので、現在の「勤労感謝の日」となりました。

新にいなめさい

嘗祭:

瑞みず

穂ほ

の国くに

祭さい

祀し

を司つかさど

る:

最さいこうせきにんしゃ

高責任者:

天てんのう

皇:

農のうさくぶつ

作物:

恵めぐ

み:

式しきてん

典:

新しいことば

勤きんようかんしゃ

労感謝の日ひ

改かいめい

名する:

~にあたって:

本ほんらい

来:

~べきだ:

工こうぎょう

業:

サービス業ぎょう

幅はばひろ

広い:

「新嘗祭」は五ご

穀こくほうじょう

豊穣を祈いの

る大切な式典

で、天皇が神に感謝し、自みずか

らもその年に

取と

れた新しんまい

米を食べる儀ぎ

式しき

です。

Page 69: Nihon no Kurashi to Bunka

69

【話しましょう】

1 七五三というのは、どのような儀式のことですか。

2 「七つ前は神の子」というのは、どういうことを表していますか。

3 「とうりゃんせ」の歌詞の終わりが「行きはよいよい、帰りは恐い」となっ

 ているのはどうしてですか。

4 七五三が終わった子どもは、その社会でどのように迎えられましたか。

5 現在の七五三は、どのようになっていますか。

6 あなたの国では、七五三のような子どもの成長を祝う儀式がありますか。

7 あなたの国では、子どもの成長を祝うときに、どのような物を食べる習しゅうかん

 がありますか。また、どうしてそれを食べるか知っていますか。

8 あなたの国には、秋あき

の五ご

穀こく

の実みの

りを祝う行事がありますか。あれば、紹しょうかい

 してください。

9 あなたの国には、「勤労感謝の日」のような祝日がありますか。あれば、 

 紹介してください。

10 日本では食しょく

事じ

の前まえ

に「いただきます」と言い

いますが、それは「あなたの命いのち

 を私がいただきます」と命への感謝を表すと言われます。あなたの国では

 食事の前になんと言いますか。どうしてそういうか知っていますか。

Page 70: Nihon no Kurashi to Bunka

70

ー 11月〔霜しもつき

月)の暦こよみ

1 文ぶん

化か

の日ひ

(11月3日)

           戦前は、11月3日を明治節といい、明めい

治じ

天てんのう

皇の

遺い

徳とく

を偲しの

ぶための祝しゅくじつ

日でした。しかし、戦せん

後ご

は廃はい

          止し

され、「自じ

由ゆう

と平へい

和わ

を愛あい

し、文ぶん

化か

をすすめる」と

          いう趣しゅ

旨し

のもとに、文化の日に改かいてい

定されました。

           この日には文化を称たた

える行ぎょう

事じ

として、皇こうきょ

居で文

          化勲くんしょう

章の授じゅ

与よ

式しき

が行おこな

われます。また文ぶん

化か

庁ちょうしゅさい

主催に

よる芸げいじゅつさい

術祭が開かいさい

催されています。

2 太たいようれきさいよう

陽暦採用記き

念ねん

日び

(11 月9日)

 1892年 11月9日、太たいいんれき

陰暦が廃止され、太陽暦

が採さいよう

用されました。この年とし

の 12月3日が明めい

治じ

6年

1月1日と改あらた

められましたが、12月がたった2ふつか

間かん

しかないことになり、このとき、世よ

の中なか

は大おおさわ

ぎになったそうです。

3 世せ

界かいへい

平和わ

記き

念ねん

日び

(11月 11)

4 七しち

五ご

三さん

(11月 15日) 

5 勤きんろうかんしゃ

労感謝の日ひ

(11月 23日)

Page 71: Nihon no Kurashi to Bunka

71

【書きましょう】

「私の国の伝でんとうてき

統的な食べ物」について書いてください。

Page 72: Nihon no Kurashi to Bunka

72

クリスマスと除じょ

夜や

の鐘かね

 12月 24日~ 25日のクリスマスはキリストの

生せい

誕たん

を祝いわ

う日で、キリスト教きょうけん

圏の人ひとびと

々は、教きょうかい

会で

ミサをした後あと

、厳げんしゅく

粛にキリストの生誕を祝います。

 クリスマスは、フランシスコ・ザビエルが日本

にキリスト教きょう

を伝つた

えてから、450年の歴れき

史し

があり

ます。日にち

露ろ

戦せんそう

争のころには、すでに日本文ぶん

化か

の一いち

部づ

となっていました。しかし

日本では、宗しゅうきょうてき

教的な意い

味み

は薄うす

れ、パーティを開ひら

いたりプレゼントを交こうかん

換する、

年ねんまつ

末の楽たの

しい行ぎょう

事じ

になっています。街まち

には色いろ

とりどりのクリスマス・ツリーが

輝かがや

き、クリスマス・ソングがにぎやかに流なが

れます。

            「師し

走わす

」とはよく言い

ったもので、クリスマスが終お

           ると、慌あわ

ただしく年とし

の暮く

れがやってきます。一年の最さい

後ご

の日を大おおみそ

晦日か

と言いますが、大晦日にそばを食べる

           のは、そばが長なが

いことから、命いのち

や幸しあわ

せが長く続つづ

くこと

           を祈いの

る縁えん

起ぎ

ものだからです。大晦日には、自じ

宅たく

でNH

K紅こうはくうた

白歌合がっ

戦せん

を聞き

きながら年とし

を越こ

す人ひと

もいますし、お寺てら

にお参まい

りして、そのま

ま除じょ

夜や

の鐘かね

を聞きながら新しんねん

年を迎むか

える人もいます。山やま

に登のぼ

ったり、海うみ

辺べ

に宿やど

を取と

り、元がんたん

旦に初はつ

日ひ

の出で

を拝おが

人もいます。除夜の鐘というのは、中ちゅうごく

国の宋そう

の時じ

代だい

始はじ

まった仏ぶっきょう

教行ぎょう

事じ

ですが、江え

戸ど

時じ

代だい

以い

降こう

、日本でも盛さか

んに行おこな

われるようになりました。除夜の鐘は、百八つ

つきますがが、これは人にんげん

間が持も

つ 108の煩ぼんのう

悩を払はら

うと

いう意い

味み

があると言われます。最後の一つは、年とし

が明あ

けてからつきますが、除夜の鐘が鳴な

り終お

わると、いよいよ新しんねん

年です。

12 月の行事とくらし

<除夜の鐘>

<年とし

越こ

しそば>

Page 73: Nihon no Kurashi to Bunka

73

新しいことば

使いましょう

1 ~と/~ないと

◆クリスマスが終わると、慌ただしく年の暮れがやってきます。

◇  と、困こま

ります。

◇ 毎まいとし

年、クリスマスになると、               。

2 ~のは~からです

◆大晦日にそばを食べるのは、命や幸せが長く続くことを祈る縁起ものだからです。

◇私が怒っているのは、あなたが からです。

◇彼かれ

が のは、一いっしょう

生懸けんめい

命がんばったからです。

3 ~ながら

◆自宅でNHK紅白歌合戦を聞きながら年を越す人もいます。

◇ ながらタバコを吸す

うのは、やめてください。

◇ ながら のは、よくないことですよ。

クリスマス:

キリスト(教):

生せいたん

誕:

教きょうかい

会:

ミサ:

厳げんしゅく

粛(な):

歴れき

史し

すでに:

色いろ

とりどり:

クリスマス・ツリー:

輝かがや

く:

クリスマス・ソング:

師し

走わす

~とはよく言い

ったもので:

慌あわ

ただしい:

年とし

の暮く

れ:

大おおみそ

晦日か

そば(蕎麦):

自じ

宅たく

紅こうはくうたがっせん

白歌合戦:

除じょ

夜や

の鐘かね

海うみ

辺べ

宿やど

を取と

る:

初はつ

日ひ

の出で

を拝おが

む:

煩ぼんのう

悩を払はら

う:

いよいよ:

Page 74: Nihon no Kurashi to Bunka

74

お歳せい

暮ぼ

を贈おく

お歳暮は、もともと嫁とつ

いだ者もの

や分ぶん

家け

した者が年とし

の瀬せ

親おやもと

元に戻もど

るとき、正しょうがつ

月のお供そな

え物もの

を持じ

参さん

したのが始はじ

まり

とされています。それが、一いちねん

年の締し

めくくりに感かんしゃ

謝のし

るしとして、お世せ

話わ

になった方かた

に品しなもの

物を贈おく

りあう習しゅうかん

慣に

なりました。

今いま

ではデパートなどから送おく

ることが多おお

く、品しなもの

物も日にちよう

雑ざっ

貨か

、趣しゅ

味み

の品しな

などいろいろです。金きんがく

額はお中ちゅうげん

元の2~3割わり

増ま

しを目め

安やす

にし、先せんぽう

方には 12月の初しょじゅん

旬から 20日ぐらいまでに届とど

くようにします。

31日を過す

ぎた場ば

合あい

は、「お年ねん

賀が

」として手て

渡わた

すといいでしょう。

お歳せい

暮ぼ

嫁とつ

ぐ:

年とし

の瀬せ

親おやもと

元:

供そな

え物もの

持じ

参さん

する:

新しいことば

締し

めくくり:

感かんしゃ

謝のしるし;

日にちようざっ

用雑貨か

目め

安やす

先せんぽう

方:

手て

渡わた

す:

年も暮く

れが迫せま

ると、年ねん

賀が

状を書か

きます。

年賀状を書き終お

えて、やっと一ひとあんしん

安心。こ

れが日本人の年の瀬せ

です。

Page 75: Nihon no Kurashi to Bunka

75

【話しましょう】

1 クリスマスというのは、どのような日ですか。

2 日本にキリスト教を伝えたのは誰で、いつごろのことですか。

3 日本の今のクリスマスはどのようですか。

4 日本人は、どうして大晦日におそばを食べますか。

5 除夜の鐘は、どうして 108回つくのですか。

6 お歳暮というのは、どういうものですか。

7 あなたの国では、クリスマスのお祝いをしますか。

8 あなたの国では、クリスマスにどのようなことをしますか。

9 あなたの国には、お歳暮や年賀状を書く習慣がありますか。

10 あなたの国では、大晦日をどのようにして過す

ごしますか。

Page 76: Nihon no Kurashi to Bunka

76

ー 12月〔師し

走わす

)の暦こよみ

1 冬とう

至じ

(12月 22日ごろ)

毎まいとし

年 12 月 22日ごろが冬至にあたり、一年で最もっと

も昼ひる

が短みじか

く、夜よる

が長なが

日です。このころからしだいに寒さむ

さも本ほんかくてき

格的になります。冬至にはかぼ

ちゃを食た

べる習しゅうかん

慣がありますが、野や

菜さい

が不ふ

足そく

しがちなこの時じ

期き

に、ビタ

ミンやカロチンを摂と

るという合ごう

理り

性せい

があり、昔むかし

の人は「冬至までとって

おいたかぼちゃを食べると魔ま

除よ

けになる」と考かんが

えていました。

2 天てんのう

皇誕たんじょう

生日び

(12月 23日)

 12月 23日は「天皇の誕生日を祝いわ

う日」と

して法ほうりつ

律で定さだ

められました。戦せん

前ぜん

は天皇は現あら

人ひとがみ

神として崇あが

められており、「天てんちょうせつ

長節」と呼よ

ばれていました。 しかし戦せん

後ご

、天皇は神では

なく「日に

本ほんこくみんとうごう

国民統合の象しょうちょう

徴」という新あた

しい意い

味み

を持も

つようになりました。そこで天皇の誕生日を純じゅんすい

粋に誕生日として

祝い、国こくみん

民と天皇との距きょ

離り

を縮ちぢ

めることを目もくてき

的として、国民の祝しゅくじつ

日「天

皇誕生日」となりました。

3 クリスマス(12月 24日夜~ 25日)

4 ご用ようおさ

納め(12月 28日) 

 ご用納めというのは、官かんちょう

庁や役やくしょ

所などがその年の執しつ

務む

を終わることで.

一いっぱんてき

般的には 12月 28日のことを言い

います。その反はんたい

対に、執務を始はじ

めるこ

とをご用ようはじ

始めといい、1月4日がご用始めとなります。つまり、官庁や

役所は、12月 29日から1月3日までが休やす

みとなります。

5 大おおみそ

晦日か

(12月 31日)

Page 77: Nihon no Kurashi to Bunka

77

【書きましょう】

あなたの国の年末の行事について書いてください。

Page 78: Nihon no Kurashi to Bunka

78

Page 79: Nihon no Kurashi to Bunka

79

第二部 くらしのマナー

中級前期~中級後期

Page 80: Nihon no Kurashi to Bunka

80

1 お辞じ

儀ぎ

と握あくしゅ

手 お辞

儀ぎ

と握あくしゅ

手は、代だいひょうてき

表的な挨あいさつ

拶の形かたち

ですが、お辞儀は相あい

手て

への敬けい

意い

を表あらわ

し、

握手は親しんぼく

睦・和わ

解かい

を表すという違ちが

いがあります。日本での丁ていねい

寧な挨拶はお辞儀

が一いっ

般ぱん

的てき

でしたが、近きんねん

年では握手も一般化してきています。

           お辞儀は、主おも

に東アジアで見られるものですが、飛あす

鳥か

~奈な

良ら

時じ

代だい

、中国の礼れいほう

法を取り入い

れ、身み

分ぶん

に応おう

じたお辞

          儀の形が制せいてい

定されたのが、お辞儀の始はじ

まりと言われてい

          ます。首くび

を差さ

し出すことで、敵てき

意い

がないことを表ひょうげん

現した

          ことに由ゆ

来らい

すると言われます。

           お辞儀には「立りつれい

礼」「座ざ

礼れい

の 2種しゅるい

類があります。座礼は和わ

式しき

礼法ですから、な

じみが薄うす

いと思いますが、和わ

風ふう

の畳たたみ

の部へ

屋や

に通とお

され

たとき、初しょたいめん

対面の挨拶のときなどに必ひつよう

要となります。

 オフィスでのお辞儀は「立礼」ですが、礼の深ふか

さで分ぶんるい

類すると、「最さいけいれい

敬礼」「敬礼」

「会え

釈しゃく

」の 3種類があります。立礼の場ば

合あい

、「最敬礼」は直ちょくりつ

立の姿し

勢せい

から腰こし

を基き

点てん

に 45度ど

以い

上じょうたい

体を曲ま

げます。「敬礼」は 30~ 45度、「会釈」は 15度程てい

度ど

です。

頭あたま

を下げるだけのお辞儀はいけません。腰こし

を基き

点てん

に上じょうはんしんぜんたい

半身全体を前まえ

に倒たお

します。

1拍ぱく

目め

でサッと倒し、2拍はく

目で止めて、3~5拍目でゆっくりと体を起お

こしま

す。この動うご

きの緩かんきゅう

急と静せい

止し

した状じょうたい

態のメリハリが美うつく

しさを生う

みます。

                 最敬礼:特とく

に敬けい

意い

を表あらわ

したり、お詫わ

びの

気き

持も

ちを真しんけん

剣に伝えたい時に使います。

                 敬礼 :来らいきゃく

客を出で

迎むか

えたり、見み

送おく

るとき、

                 または、上じょう

司し

への挨拶などに使う一般的

                 なお辞儀です。

                 会釈 :同どうりょう

僚や上司と廊下などですれ違ちが

                 う時や、応おうせつしつ

接室の入にゅうたいしつ

退室時じ

に使うお辞儀

                 です。

Page 81: Nihon no Kurashi to Bunka

81

なお、手にハンドバッグとか荷に

物もつ

とかを持って

いるときですが、右のイラストのように、前に抱かか

えるようにしてお辞儀をするといいでしょう。

西せいよう

洋の挨拶は握手がメインですが、握手は一般

的に右みぎ

手て

で、立って行います。握手の由ゆ

来らい

は諸しょせつ

ありますが、手に武ぶ

器き

を持っていないことを、相手に証しょうめい

明することから始まっ

たと言う説せつ

が有ゆうりょく

力です。

握手は背せ

筋すじ

を伸の

ばし、必かなら

ず相手の顔かお

(目め

)を見て行います。握手の際は、しっ

かりと握にぎ

るようにしましょう。ゆるく握っては相手に誠せい

意い

がないと感かん

じさせて

しまいます。なお、握手のときは、目め

上うえ

・年としうえ

上の人から目め

下した

・年としした

下の人へと手

を差さ

し出だ

すのがマナーです。握手は手が触ふ

れあうので、そうした行こう

為い

を目下か

ら目上の人に対たい

して強し

いるのは失しつれい

礼だからです。女じょせい

性と男だんせい

性では、女性から手

を差し出します。これはレディーファーストですね。しかし、日本では女性と

男性の場合には握手をしないで、軽くお辞儀をすることが多いようです。

もう一つ注ちゅう

意し

してほしいことがあります。日本人によくある光こうけい

景ですが、お

辞儀をしながら握手をするのは、卑ひ

屈くつ

に見えますから、やめましょう。また、

椅子などに座すわ

りながら握手をする人がいるのですが、握手は立って行うのがマ

ナーなので、これもいけません。これらは、社しゃかいじん

会人の心こころ

得え

なので覚おぼ

えておきま

しょうね。

Page 82: Nihon no Kurashi to Bunka

82

新しいことば

お辞じ

儀ぎ

握あくしゅ

手:

挨あいさつ

拶:

敬けい

意い

親しんぼく

睦:

和わ

解かい

主おも

に:

東ひがし

アジア:

身み

分ぶん

~に応おう

じる:

敵てき

意い

立りつれい

礼:

座ざ

礼れい

和わ

式しきれいほう

礼法:

なじみが薄うす

い:

初しょたいめん

対面:

オフィス:

(最さい

)敬けいれい

礼:

会え

釈しゃく

直ちょくりつ

立:

姿し

勢せい

基き

点てん

曲ま

げる:

緩かんきゅう

急:

メリハリ:

お詫わ

び:

真しんけん

剣(な):

来らいきゃく

客:

出で

迎むか

える:

見み

送おく

る:

或ある

いは:

すれ違ちが

う:

応おうせつしつ

接室:

なお:

ハンドバッグ:

抱かか

える:

メイン:

武ぶ

器き

証しょうめい

明する:

説せつ

有ゆうりょく

力(な):

背せ

筋すじ

を伸の

ばす:

~際さい

誠せい

意い

印いんしょう

象:

差さ

し出だ

す:

触ふ

れあう:

~に対たい

して:

強し

いる:

失しつれい

礼:

レディーファースト:

卑ひ

屈くつ

(な):

心こころ

得え

Page 83: Nihon no Kurashi to Bunka

83

2 あいさつと名めい

刺し

 みなさんは「挨あいさつ

拶」の語ご

源げん

をご存ぞん

知じ

ですか?「挨」には心こころ

を開ひら

くという意い

味み

があり、「拶」には相あい

手て

に近ちか

づくという意味があります。つまり、あいさつは「心

開いて、相手に近づいていく」という意味なのです。

昔むかし

から日本人は、他た

人にん

と外そと

で出で

会あ

ったり、すれ違ちが

ったりした際さい

は、たとえ

見み

知し

らぬ人でも、声こえ

をかけるのが一いっぱんてき

般的な礼れい

儀ぎ

でした。挨拶ができない者もの

は、

一いちにんまえ

人前とはみなされませんでした。今でも日本では、会かいしゃ

社や近きんじょかんけい

所関係など各かく

ミュニティの中で、そういった傾けいこう

向が強つよ

く残のこ

っています。

朝あさ

会あ

ったときのあいさつ「おはよう」は、「早はや

くから、ご苦く

労ろう

さまです」の

略りゃく

だと言い

われています。それは朝から働はたら

く人をねぎらう言こと

葉ば

でした。「こんに

ちは」は「今きょう

日は、ご機き

嫌げん

いかがですか」の略で、お昼ひる

に初はじ

めて出会った人の

体たいちょう

調や心しん

境きょく

を気き

づかっていました。「こんばんは」は「今こんばん

晩は、よい晩ばん

ですね」

など略だと言われます。また、「さようなら」は「さようならば」の略で、「そ

れなら、私はこれで失しつれい

礼いたします」という意味だったそうです。

 会社では、外がいしゅつ

出する上じょう

司し

・先せんぱい

輩にはもちろん、同どうりょう

僚への「いってらっしゃい」、

外出から帰かえ

ってきたら「お帰かえ

りなさい」、仕し

事ごと

が終お

わって帰き

宅たく

する人への「お

疲つか

れさま」などのあいさつは、忘わす

れてはならない礼れい

儀ぎ

でしょう。

 さて、ビジネスの世せ

界かい

のあいさつに

欠か

かせないのが名めい

刺し

です。初しょたいめん

対面のと

き、一般的には「お世せ

話わ

になっており

ます、○○商しょう

事じ

の XXでございます」

のように名な

乗の

りながら、名刺を渡わた

しま

す。名刺はその人の身み

分ぶんしょうめいしょ

証明書であり、

名刺を丁ていねい

寧に扱あつか

うことで、相手に敬けい

意い

を払はら

っていることを表します。

 名刺交こうかん

換のときは、まず目め

下した

の人が目め

上うえ

の人に渡します。一方、先せんぽう

方への訪ほう

問もん

の際は、「お邪じゃ

魔ま

します」という意味を込こ

めて、訪ほうもんしゃ

問者が先さき

に出だ

します。ただし、

訪問者の方ほう

が明あき

らかに目上・格かくうえ

上の場合は、訪問を受う

けた側がわ

が先さき

に出します。

Page 84: Nihon no Kurashi to Bunka

84

 名刺は世せ

界かいじゅう

中で使われていますが、最もっと

も古ふる

いのは中ちゅうごく

国で、唐とう

の時じ

代だい

の文ぶんけん

には木き

や竹たけせい

製の名刺についての記き

述じゅつ

があります。「名刺」という言葉そのもの

が、中国の古こ

語ご

なのです。当とう

時じ

は、訪問先が不ふ

在ざい

の際に、戸と

口ぐち

の隙すき

間ま

に挟はさ

んで、

来らいほう

訪を知し

らせる目もくてき

的で使われたようです。日本では、江え

戸ど

時じ

代だい

から和わ

紙し

に墨すみ

名前を書いた名刺が使われ始めました。その後ご

、初しょたいめん

対面の人にも自じ

己こ

紹しょうかい

介がわ

りに名刺を渡すようになりますが、それは日本が最さいしょ

初だと言われています。日

本は今でも世界で最も名刺交換をする国と言われますが、この名刺交換の習しゅうかん

は、日本の文ぶん

化か

そのものと言ってもいいでしょう。

ビジネスの挨拶をマスターしましょう

◆おはようございます:一いちにち

日をさわやかにスタートさせましょう。

◆こんにちは:相あい

手て

の気き

分ぶん

に変へん

化か

をつけましょう。

◆ありがとうございます:感かんしゃ

謝を伝つた

えましょう。

◆申もう

し訳わけ

ございません:失しっぱい

敗は素そっちょく

直に認みと

めましょう。

◆行い

ってらっしゃい:気き

持も

ちよく送おく

り出だ

しましょう。

◆お帰かえ

りなさい:暖あたた

かく迎むか

えましょう。

◆行い

ってまいります:外がいしゅつ

出を知し

らせましょう。

◆ただいま戻もど

りました:無ぶ

事じ

に戻もど

ったことを伝つた

えましょう。

◆今いま

、お手て

すきですか:自じ

分ぶん

から用ようけん

件を切き

り出だ

すときに使つか

いましょう。

◆失しつれい

礼いたします:相手の動どう

作さ

を中ちゅうだん

断させるときに使いましょう。

◆お疲れさまでした:相手の苦く

労ろう

をねぎらいましょう。

◆いつもお世話になっております:取とりひきさき

引先の人へ感謝を伝えましょう。

◆お先に失礼します:退たいしゃ

社の際さい

に忘わす

れず言い

いましょう。

Page 85: Nihon no Kurashi to Bunka

85

新しいことば

語ご

源げん

声こえ

をかける:

一いちにんまえ

人前:

みなす:

ビジネス:

コミュニティー:

傾けいこう

向:

~はもちろん:

ご苦く

労ろう

さま:

ねぎらう:

ご機き

嫌げん

いかがですか:

欠か

かせない:

名めい

刺し

名な

乗の

る:

身み

分ぶんしょうめいしょ

証明書 :

敬けい

意い

を払はら

う:

明あき

らか(な):

格かくうえ

上:

文ぶんけん

献:

記き

述じゅつ

そのもの:

古こ

語ご

不ふ

在ざい

戸こ

口ぐち

隙すき

間ま

挟はさ

む:

和わ

紙し

墨すみ

自じ

己こ

紹しょうかい

介がわり:

さわやか(な)::

スタートする:

気き

分ぶん

失しっぱい

敗:

率そっちょく

直(な):

認みと

める:

外がいしゅつ

出:

お手て

すき:

用ようけん

件:

切き

り出だ

す:

取とりひきさき

引先:

退たいしゃ

社:

Page 86: Nihon no Kurashi to Bunka

86

3 上かみ

座ざ

と下しも

座ざ

ご存ぞん

じの方かた

も多おお

いでしょうが、上かみ

座ざ

は目め

上うえ

の人ひと

(上じょう

司し

・客きゃくじん

人など)が座すわ

席せき

、下しも

座ざ

は目め

下した

の人(部ぶ

下か

や家か

族ぞく

など、もてなす側がわ

)が座る席です。ビジネス

の世せ

界かい

ではこの席せき

次じ

が重おも

んじられますから、ぜひ知し

っておいてくださいね。「か

みざ」「しもざ」または「じょうざ」「げざ」とも呼よ

ばれます。

一いっぱん

般に、和わ

室しつ

では床とこ

の間ま

に近ちか

い席が上座、部へ

屋や

の出で

入い

り口ぐち

近い席が下座となります。床の

間がない部屋では、出入り口か

ら向む

かって右みぎ

手て

奥おく

や、庭にわ

などの

見み

晴は

らしがよく、額がく

や飾かざ

り物もの

ある側が「上座」になります。

 なぜ床の間の近くが上座になったのでしょうか。それは床の間の歴れき

史し

をみる

とわかります。床の間は書しょいんづく

院造りの特とくちょう

徴で、もともと床の間は仏ぶつ

画をかける

神しんせい

聖な場ば

所しょ

であったため、部屋の一いちばんおく

番奥の、出入り口から遠くて落お

ち着つ

いた場

所に造つく

られました。そのため、客人や身み

分ぶん

の高たか

い人には、その神聖で落ち着く

場所に、座ってもらうようになったのです。

会かいしゃ

社の応おうせつしつ

接室では、部屋の入いりぐち

から遠く、かつ入口が見み

えるとこ

ろ、窓まど

から景け

色しき

などがよく見み

えて、

部屋の装そうしょくひん

飾品や絵かい

画が

・花はな

などが観かん

賞しょう

できる席が上座になります。そ

して、来客側にゆったり座ってい

ただくために、長なが

椅い

子す

やソファーを配はい

置ち

するのが礼れい

儀ぎ

です。出入り口に近い方

が下座なのは、出入りが頻ひんぱん

繁にあると、落ち着かない気き

分ぶん

になるため、大だい

事じ

人を座らせるわけにはいかないからです。

Page 87: Nihon no Kurashi to Bunka

87

座」となります。また、持も

ち主ぬし

本ほんにん

人が運転する場合は助じょしゅせき

手席が

「上座」となります。タクシー

などでは、目下の者が精せいさん

算をし

て降お

りることを忘わす

れないでくだ

さい。

新しんかんせん

幹線のような場合、進しんこうほう

行方

向こう

を向いて、座る位い

置ち

の窓側が

上座です。通つう

路ろ

側は下座になり

ます。しかし、「上座」の席に

破は

損そん

や座り心ごこ

地ち

が悪わる

いなどの不ふ

備び

がある場合は、そのことを伝

えて、自みずか

らその席に座るように

しましょう。

エレベーターでは、入口から向かって左ひだりおく

奥から順じゅんばん

番に上座で、手て

前まえ

の操そう

作さ

タンのある方が一番の下座です。ボタンの位置が左さ

右ゆう

どちらであっても、奥の

位置はかわりません。

以い

上じょう

が原げんそく

則なのですが、上座であっても冷れいだんぼう

暖房の風かぜ

が直ちょくせつ

接当あ

たる、また直ちょくしゃ

日にっ

光こう

が当たる、逆ぎゃっこう

光で目上の人が心地よく過すご

ごせないなどの場合があります。

そんなときには、その時ときどき

々の状じょうきょう

況に合あ

わせて席を勧すす

めるのが、ほんとうに相手

を気き

づかったおもてなしと言えるでしょう。

Page 88: Nihon no Kurashi to Bunka

88

新しいことば

ご存ぞん

じ:

上かみ

座ざ

下しも

座ざ

もてなす:

席せき

次じ

重おも

んじる:

床とこ

の間ま

見み

晴は

らし:

額がく

書しょいんづく

院造り:

特とくちょう

徴:

僧そうりょ

侶:

経けいてん

典:

原げんけい

型:

取と

り入い

れる:

仏ぶつ

画が

神しんせい

聖(な):

落お

ち着つ

く:

かつ:

景け

色しき

装そうしょくひん

飾品:

絵かい

画が

鑑かんしょう

賞する:

ゆったり:

ソファー:

配はい

置ち

する:

頻ひんぱん

繁(な):

~わけにはいかない:

助じょしゅせき

手席:

タクシー:

精せいさん

算する:

新しんかんせん

幹線:

進しんこうほうこう

行方向:

窓まどがわ

側:

通つう

路ろ

側がわ

破は

損そん

座すわ

り心ごこ

地ち

不ふ

備び

手て

前まえ

操そう

作さ

ボタン:

原げんそく

則:

冷れいだんぼう

暖房:

直ちょくしゃにっこう

射日光:

逆ぎゃっこう

光:

心ここ

地ち

よい:

状じょうきょう

況:

気き

づかう:

Page 89: Nihon no Kurashi to Bunka

89

4 手て

みやげと餞せんべつ

別日本では知

人じん

やオフィスを訪たず

ねるとき、菓か

子し

折おり

などを持も

っていく習しゅうかん

慣があり

ます。これを手て

みやげと言い

います。

手みやげには、縁えんだん

談や就しゅうしょく

職の世せ

話わ

をお願ねが

いするなど、改あらた

まった訪ほうもん

問のときに

持っていくものと、親しんこう

交を深ふか

めるために友ゆうじん

人と会あ

うときに持っていくものとあ

ります。改まった訪問のときの手みやげには、やはり改まった品しな

がいいでしょ

う。行く途と

中ちゅう

で買か

うのではなく、事じ

前ぜん

に心こころ

を込こ

めて選えら

だ品を用よう

意い

しておきましょう。お菓子なら、老しにせ

舗や名めいてん

の品ひん

格かく

の感かん

じられるものがいいでしょう。

お祝いわ

い事ごと

なら、お酒さけ

やお祝いの品が適てき

しています。の

し紙がみ

には 「ご銘めい

菓か

」 あるいは 「粗そ

品しな

」 と表おもて

書が

きし、下した

は姓せい

だけでなく名な

前まえ

も書くのが正せいしき

式です。手みやげをい

つ手て

渡わた

すかですが、先せんぽう

方であいさつをした後あと

、「 ごあい

さつのしるしに 」とか「つまらないものですが」とか言い

って風ふ

呂ろ

敷しき

や袋ふくろ

から取と

り出だ

し、品物の正しょうめん

面を相手に向む

て、両りょう

手て

で差さ

し出だ

すのが和わ

式しき

マナーです。受う

け取と

る方は、

ありがたくいただき、一いったん

旦、座ざ

敷しき

の高たか

いところに納おさ

め、

次つぎ

にその場ば

を離はな

れるときに持って出ます。なお、風呂敷

や空あきぶくろ

袋は自じ

分ぶん

で持ち帰ります。

以い

上じょう

が正せいしき

式の手みやげ授じゅじゅ

受の作さ

法ほう

なのですが、親しんこう

交が

目もくてき

的の場合の手みやげは、形けいしき

式ばったり、気き

取ど

ったりす

る必ひつよう

要はありません。手づくりのケーキやジャム、庭にわ

に咲さ

いた花はな

なども喜よろこ

ばれ

るでしょう。 受け取るほうも体ていさい

裁ではなく、率す

直なお

な気き

持も

ちを表あらわ

すことが大たいせつ

切で

す。手みやげを出されたら 「開あ

けてもいいですか 」と断ことわ

って、その場ば

で包つつ

みを

開ひら

き、すぐに 「うれしい 」とか 「素す

敵てき

」と感かんそう

想を伝えます。品物が花なら、す

ぐ花か

瓶びん

に活い

けて部へ

屋や

に飾かざ

りますし、食しょくひん

品なら器うつわ

に盛も

って、「いっしょにいただ

きましょう。」と勧すす

めます。その場で開けて喜よろこ

びを表すのは、日本の古ふる

い作法

Page 90: Nihon no Kurashi to Bunka

90

ではよくないとされていましたが、欧おうべいしゃかい

米社会ではこれがマナーですし、親した

しい

間あいだがら

柄には欧米風しき

のほうが自し

然ぜん

ではないでしょうか。

餞せんべつ

別には、転てんきょ

居・転てんしょく

職する方かた

へ、「これからもよろしく 」「 お元げん

気き

で 」 と心を

込こ

めて贈る場合と、旅りょこう

行に出る方へ贈る場合とがあります。転居先さき

や旅たびさき

先で役やく

立だ

つような物ぶっぴん

品や金きんせん

銭を贈るのですが、欧米では餞別に金銭を贈ることはない

ようです。

 転居・転職の場合は、親しくしていた近きんじょ

所の方や職しょく

場ば

仲なか

間ま

に、お別わか

れの二~

           三週しゅうかんまえ

間前から当とうじつ

日までに贈るといいでしょう。体裁は、

紅こうはく

白五ご

本ほん

の結むす

びきりの水みずひき

引がついた、のし紙がみ

かのし袋ぶくろ

           に 「餞別 」「 はなむけ 」 などと書きます。ただし、目め

上うえ

の人には「餞別」と書くと失しつれい

礼にあたるので、その

           場合は「御おんれい

礼」と書きます。餞別へのお返かえ

しは必要あ

           りませんが、新あたら

しい土と

地ち

や職場に無ぶ

事じ

移うつ

ったという報ほう

告こく

を添そ

えて、必かなら

ず礼れいじょう

状を出しましょう。

 旅行する人への餞別については、特とくべつ

別の目的や立たち

場ば

での旅行に限かぎ

って餞別を

贈るというのが一いっぱんてき

般的です。例たと

えば重じゅうよう

要な意い

味み

のあ

る会かい

議ぎ

や会かいごう

合に出しゅっせき

席する場合、何かの代だいひょう

表として催もよお

しなどに参さん

加か

する場合、長ちょう

期き

間かんかいがい

海外に滞たいざい

在するよう

な場合があります。旅の準じゅん

備び

を始はじ

めるころから出しゅっぱつ

の一いちりょうじつまえ

両日前までに贈るようにします。体裁は紅白の

花はなむす

結びの水引きを使います。

最さい

後ご

に参さんこう

考までにお話ししますが、日本からのお土み

産やげ

で外国の方に喜よろこ

ばれる

贈り物は、浮うき

世よ

絵え

入りの風呂敷や手ぬぐい、扇せん

子す

・団うちわ

扇などだそうです。

<結びきりの水引>

<花結びの水引>

Page 91: Nihon no Kurashi to Bunka

91

新しいことば

訪おと

ねる:

菓か

子し

折おり

手て

みやげ:

縁えんだん

談:

就しゅうしょく

職:

世せ

話わ

改あらた

まる:

親しんこう

交を深ふか

める:

やはり:

老しにせ

舗:

名めいてん

店:

品ひんかく

格:

のし紙がみ

ご銘めい

菓か

粗そ

品しな

表おもて

書が

きする:

ごあいさつのしるし:

風ふ

呂ろ

敷しき

空あきぶくろ

袋:

座ざ

敷しき

納おさ

める:

形けいしき

式ばる:

気き

取ど

る:

手て

づくり:

ジャム:

体ていさい

裁:

率そっちょく

直:

さっそく:

断ことわ

る:

包つつ

み:

素す

敵てき

(な):

感かんそう

想:

花か

瓶びん

に活い

ける:

食しょくひん

品:

器うつわ

に盛も

る:

勧すす

める:

欧おうべいしゃかい

米社会:

間あいだがら

柄:

餞せんべつ

別:

転てんきょ

居:

転てんしょく

職:

結むす

びきり:

水みずひき

引:

のし袋ぶくろ

はなむけ:

御おんれい

礼:

お返かえ

し:

催もよお

し:

滞たいざい

在する:

一いちりょうじつ

両日:

花はなむす

結び:

浮うき

世よ

絵え

手て

ぬぐい:

扇せん

子す

団うちわ

扇:

Page 92: Nihon no Kurashi to Bunka

92

5 面めんせつ

接の知ち

識しき

とマナー面めんせつ

接は、よく「段だん

取ど

り8分ぶ

! 残のこ

りの2分は機き

転てん

と人ひとがら

柄」と言われます。面接

に成せいこう

功する人というのは、日ごろから自じ

分ぶん

の能のうりょく

力や長ちょうしょ

所・短たんしょ

所、経けいけん

験などをき

ちっと整せい

理り

して、面接の中で「自じ

分ぶん

自じ

身しん

を正せいかく

確に説せつめい

明できる」人でしょう。

              まず、面接へ行く前まえ

に、持も

っていくものや身み

             しなみのチェックをしておいた方ほう

がいいですよ。

第だい

一いち

印いんしょう

象はとても大だい

事じ

です。

              さて、面接は、求きゅうじんがわ

人側が応おう

募ぼ

者しゃほんにん

本人と直ちょくせつ

接会あ

い、

             応募書しょるい

類の記き

入にゅう

事じ

項こう

の確認と書類だけではつかめ

             ない人にんげんせい

間性を探さぐ

るための機き

会かい

です。社しゃふう

風に合あ

かどうか、協きょうちょうせい

調性はあるか、仕し

事ごと

への熱ねつ

意い

はどうか、人間的な魅み

力りょく

や生い

き方かた

信しんねん

念があるか、などがチェックポイントですが、これから面接の実じっさい

際の流なが

れに

そって、面接のマナーをチェックしてみましょう。

  [以下、イラスト等、埼さいたまけん

玉県「彩さい

の国くに

仕し

事ごとはっけん

発見システム」に基もと

づく。]

1 部へ

屋や

に入はい

  面接室しつ

のドアをノック(ゆっくり2回)する。

 (「お入はい

りください」の声こえ

がかかってから入にゅうしつ

室)

  入室

  まず、面接官かん

に軽かる

く一いちれい

礼【会釈 15度】

  「失しつれい

礼いたします。」

  面接官の前まで進すす

む。

  椅い

子す

の左ひだりがわ

側に立た

つ。

● 背せ

筋すじ

を伸の

ばす。踵きびす

をつけ、爪つまさき

先は少し開ひら

いて直ちょくりつ

立不ふ

動どう

● 手て

はまっ直す

ぐ伸ばして、ズボンの折お

り目め

に添そ

える(男性)。

●  手は前まえ

で重かさ

ねる(女性)。

Page 93: Nihon no Kurashi to Bunka

93

● 笑え

顔がお

で、明あか

るく、視し

線せん

は面接官に。

     「○○○○(姓せいめい

名)と申もう

します。よろしく

    お願ねが

いいたします」【敬けいれい

礼:30度ど

のお辞じ

儀ぎ

2 椅い

子す

に座すわ

面接官:「○○さんですね。どうぞお座すわ

りください。」

求職者(立ったまま):「はい、ありがとうございます。失しつれい

礼いたします。」

  座る。

● 背せ

中なか

は軽かる

く椅子の背せ

に・背せ

筋すじ

を伸ばす。

●  手は軽かる

く握にぎ

って膝ひざ

の上に置お

く(男性)。

●  手は重かさ

ねて膝の「上に置く(女性)。

面接官:「私は人じん

事じ

の△△です。こちらは▽▽です。」

     「○○さん、貴あなた

方の(経けいれき

歴 / 自じ

己こ

紹しょうかい

介 / 自己

    PR…)をしてください。」

求職者:【軽くうなずき、面接官の目を見ながら「はい」と返事】

    「はい、私は………………………………………………」

     (応募書類にまとめてある内ないよう

容を落お

ち着つ

いて話す)

3 本ほんろん

論に入はい

志し

望ぼうどう

動機き

、退たいしょく

職理り

由ゆう

、性せいかく

格(長ちょうしょ

所・短たんしょ

所)、前ぜんしょく

職の仕事内ないよう

容、職しょく

務む

経けいけん

験、

その他た

さまざまな角かく

度ど

から硬こうなん

軟織お

り交ま

ぜた質しつもん

問がされます。

答こた

え方かた

として、注ちゅう

意い

するのは以い

下か

の点てん

でしょう。

● 求職者は自じ

信しん

ある態たい

度ど

で、ハキハキと答える。

●  まず結けつろん

論を述べる。聞き

かれたら理り

由ゆう

を具ぐ

体たいてき

的に説せつめい

明。

● 質しつもん

問の意い

味み

がわからない時とき

、わからないまま曖あいまい

昧な答えはしない。

「申もう

しわけありません。もう一度おっしゃっていただけますか。」

    「……というのは、……ということでしょうか?」(確かくにん

認)

● 以い

前ぜんつと

勤めていた会社を非ひ

難なん

することは絶ぜったい

対にしない。

Page 94: Nihon no Kurashi to Bunka

94

● 退たいしょく

職理由をきちんと整せい

理り

し、前まえ

向む

きな理由にしておく。

●  軽くうなずきながら質しつもん

問を聴き

く。はいと返へん

事じ

をして答える。

● 笑え

顔がお

で相あい

手て

の目め

を見み

て話す。ジェスチャーを交まじ

えてもよい。

4 終しゅうりょう

了から退たいしつ

室まで

 面接官:「それでは、最さい

後ご

に何か質問はありますか。」

 求職者:「はい、………………………について、お聞き

かせください。」

 面接官:「はい、それではこれで結けっこう

構です。結けっ

果か

は○○日後に、△△の方ほうほう

     でご連れんらく

絡いたします。」

 求職者:(椅子の左側に立つ)「本ほんじつ

日はありがとうござ

     いました。是非よろしくお願いいたします。」

     【心をこめて最敬礼(45度のお辞儀)】

  退室 ドアのところで、面接官に一礼【会釈 15度】 

面接の流れとマナーについて確認できましたか。

よくある質問事項

● 志し

望ぼうどう

動機き

はなんですか?

●  なぜ、当とうしゃ

社に応おう

募ぼ

したのですか?

●  あなたは、当社で何なに

をやりたいのですか?

●  あなたは、当社で何ができますか?

●  あなたの長ちょうしょ

所・短たんしょ

所はなんですか?

●  あなたの趣しゅ

味み

および特とく

技ぎ

はなんですか?

●  今までの職しょくれき

歴を説せつめい

明してください。

●  前まえ

の会かいしゃ

社を退たいしょく

職した理り

由ゆう

はなんですか?

●  これだけは人ひと

に負ま

けないと思おも

うものはなんですか?

●  今までで、一いちばんおお

番大きな失しっぱい

敗はなんですか?

●  この会社の他ほか

に、どのような会社を受う

けていますか?

Page 95: Nihon no Kurashi to Bunka

95

新しいことば

面めんせつ

接:

段だん

取ど

り:

ー分ぶ

機き

転てん

人ひとがら

柄:

長ちょうしょ

所:

短たんしょ

所:

経けいけん

験:

自じ

分ぶん

自じ

身しん

身み

だしなみ:

チェック:

第だいいちいんしょう

一印象:

求きゅうじんがわ

人側:

応おう

募ぼ

者しゃ

人にんげんせい

間性を探さぐ

る:

社しゃふう

風:

協きょうちょうせい

調性:

熱ねつ

意い

魅み

力りょく

信しんねん

念:

踵きびす

をつける:

爪つまさき

先:

直ちょくりつ

立不ふ

動どう

折お

り目め

経けいれき

歴:

PR:

うなずく:

志し

望ぼうどう

動機き

業ぎょう

務む

内ないよう

容:

硬こうなん

軟織お

り交ま

ぜる:

ハキハキと:

曖あいまい

昧:

非ひ

難なん

する:

退たいしょく

職理り

由ゆう

前まえ

向む

き:

ジェスチャーを交まじ

える:

趣しゅ

味み

特とく

技ぎ

職しょくれき

歴:

Page 96: Nihon no Kurashi to Bunka

96

6 会かいしゃ

社での言こと

葉ば

づかい1 社内でのあいさつ

 ● 外がいしゅつ

出する人へ

  「いってらっしゃい」:(訳)

  「お気き

をつけて」:(訳)

 ● 外出から戻もど

った人へ

  「お帰かえ

りなさい」:(訳)

  「お疲つか

れさまです」:(訳)

<注:目め

上うえ

の人に「ご苦く

労ろう

さま」とは言わないように。「ご苦労さま」は目上の人が使

うことばです。>

2 時じ

候こう

のあいさつ

 ● 天てんこう

  「いいお天てん

気き

ですね」:(訳)

  「はっきりしないお天気ですね」:(訳)

  「あいにくのお天気ですね」:(訳)

 ● 春

  「ずいぶんと暖あたた

かくなりましたね」:(訳)

  「すっかり春めいてきましたね」:(訳)

 ● 夏

「毎まいにちあつ

日熱くて大たいへん

変ですね」:(訳)

  「今ことし

年の夏は、格かくべつ

別に熱いですね」 :(訳)

 ● 秋

  「ずいぶん過す

ごしやすくなりましたね」:(訳)

  「陽ひ

が短みじか

くなりましたね」:(訳)

 ● 冬

  「めっきり寒さむ

くなりましたね」:(訳)

Page 97: Nihon no Kurashi to Bunka

97

 「暮く

れも押お

し迫せま

ってきましたね」:(訳)

<注:こうしたあいさつ言葉を覚おぼ

えておくと、会かい

話わ

の取と

っかかりになります。>

3 謝あやま

● 謝る

 「申もう

しわけございません」:(訳)

「誠まこと

に失しつれい

礼いたしました」:(訳)

● 努ど

力りょく

したが、できなかったとき

 「お役やく

に立た

てず、申もう

しわけございません」:(訳)

<注:相手が期き

待たい

するような結けっ

果か

を出せなかったときは、あれこれ言い

い訳わけ

をしないで、

先ま

ず謝あやま

りましょう。事じ

情じょう

を述の

べるにしても、その後あと

にしましょう。>

● 反はんせい

省を表あらわ

「二に

度ど

とこのようなことのないよう、注ちゅう

意い

いたします」:(訳)

● 遅ち

刻こく

を詫わ

びる

「大たいへん

変お待ま

たせして、申もう

しわけございません」:(訳)

 「出で

がけに急きゅうよう

用が入はい

ってしまいまして、…」:(訳)

<注:遅刻した理り

由ゆう

がある場ば

合あい

は、具ぐ

体たいてき

的に説せつめい

明しましょう。>

● 約やくそく

束を変へんこう

更するとき

「誠まこと

に勝かっ

手て

なお願ねが

いで、申もう

しわけないのですが、…」:(訳)

 「大たいへん

変申もう

しわけありませんが、後ご

日じつ

、お約束できませんか」:(訳)

<注:相手を気づかいながら提ていあん

案します。変へんこう

更の理り

由ゆう

は率そっちょく

直に伝つた

えましょう。>

● 約束を破は

棄き

するとき

 「この件は、白はく

紙し

に戻もど

させていただけないでしょうか」:(訳)

「申もう

しわけありませんが、この話はなし

はなかったことにしていただけないでしょ

 うか」:(訳)

<注:自じ

分ぶん

の都つ

合ごう

で一度契けいやく

約したり、約やくそく

束したことを破は

棄き

する場ば

合あい

は、自じ

分ぶん

に責せき

任にん

あることを明めいかく

確にして、心から詫わ

びて謝あやま

りましょう。>

Page 98: Nihon no Kurashi to Bunka

98

4 お礼れい

を言い

 ● 物もの

をもらったとき

「先さき

ほどは(/先せんじつ

日は)けっこうな物をいただきまして」:(訳)

  「ちょうだいいたします」:(訳)

<注:「ちょうだいいたします」は名めい

刺し

を受う

け取と

るときにも使つか

います。>

 ● お世せ

話わ

になったとき

  「お世話になりました」:(訳)

  「恐おそ

れ入い

ります」:(訳)

  「ご協きょうりょく

力いただきまして、ありがとうございました」:(訳)

5 誘さそ

 ● 誘う

  「いろいろお忙いそ

しいでしょうが、ぜひ…」:(訳)

  「みなさま、お誘さそ

い合あ

わせの上うえ

、ぜひ…」 :(訳)

 ● 挨あいさつ

拶かわり

  「お帰かえ

りの節せつ

にでも、ぜひお立た

ち寄よ

りください」:(訳)

  「近ちか

くにおこしの際さい

は、ぜひお立ち寄りください」:(訳)

6 依い

頼らい

する

 ● 依頼する

  「~していただきたいのですが、お願ねが

いできますか」:(訳)

  「~していただけませんでしょうか」 :(訳)

<注:日本では、たとえ上じょう

司し

が部ぶ

下か

に頼たの

む場ば

合あい

でも、命めいれい

令口く

調ちょう

は避さ

けます。>

 ● 前まえ

置お

きの言こと

葉ば

  「突とつぜん

然のお願ねが

いで恐きょうしゅく

縮ですが…」:(訳)

  「折お

り入い

って、ご相談したいことがあるのですが…」:(訳)

  「お手て

数すう

をおかけして、申もう

しわけありませんが…」:(訳)

<注:人にものを依頼する時は、前まえ

置お

きの言こと

葉ば

を添そ

えましょう。>

Page 99: Nihon no Kurashi to Bunka

99

7 依い

頼らい

を受う

ける

● 引き受ける

 「承うけたまわ

りました」:(訳)

「承しょう

知ち

しました」:(訳)

 「かしこまりました」 :(訳)

● 申もう

し出で

 「私にできることでしたら、なんなりとお申もう

しつけください」:(訳)

 「どうぞ遠えんりょ

慮なくおっしゃってください」:(訳)

8 相あい

手て

の呼よ

び方かた

● 取とりひきさき

引先の呼び方

「御おんしゃ

社」:(訳)

 「貴き

社しゃ

」:(訳)

 「○○社しゃ

さま/○○商しょう

事じ

さま」 :(訳)

<注:「御社」「貴社」でもかまいませんが、できるだけ「○○社さま」のように、

正せいしき

式名めいしょう

称で呼よ

ぶようにしましょう。>

● 自じ

分ぶん

の会かいしゃ

社の呼び方

 「弊へいしゃ

社」:(訳)

「小しょうしゃ

社」:(訳)

 「当とうしゃ

社」:(訳)

● 同どうりょう

僚の呼び方

 「○○さん」:(訳)

 「○○くん」:(訳)

● 上じょう

司し

の呼び方

 「○○課か

長ちょう

」:(訳)

 「○○部ぶ

長ちょう

」:(訳)

<注:上司には、姓せい

に役やくしょくめい

職名をつけて呼よ

びましょう。>

Page 100: Nihon no Kurashi to Bunka

100

9 話はなし

の切き

り出だ

し方かた

 ● 尋たず

ねる

  「恐おそ

れ入い

りますが、どちらさまですか」:(訳)

  「つかぬことをお伺うかが

いしますが」:(訳)

  「立た

ち入い

ったことを伺うようですが、…」:(訳)

  「この点てん

(/件けん

)は、どうなさいますか」:(訳)

<注:お客きゃく

さまがお見み

えになったとき、いきなり「どなたですか」と聞き

くのでなく、「恐

れ入りますが」と一ひとこと

言添そ

えた方ほう

がいい印いんしょう

象になります。>

 ● 個こ

人じんてき

的な話を切り出す

  「私わたくしごと

事で恐きょうしゅく

縮ですが、…」:(訳)

  「個人的な話ですけれども、実じつ

は…」:(訳)

<注:個人的な話を切り出す場合、こうした前まえ

置お

きの言こと

葉ば

を加くわ

えましょう。>

10 会かいしゃほうもん

社訪問と来らいきゃく

客との応おうたい

 ● 訪問したとき

 【約やくそく

束があるとき】

  「お忙いそが

しいところを恐おそ

れ入い

ります」:(訳)

  「○○社しゃ

の○○と申もう

します」:(訳)

  「○○部ぶ

の○○さまと、○時じ

にお約束をしているのですが、…」:(訳)

<注:受うけつけ

付で、会かいしゃめい

社名・氏し

名めい

、約束している相あい

手て

の名な

をはっきりと告つ

げ、呼よ

び出だ

して

もらいます。>

【約やくそく

束がないとき】

 「お約束はないのですが、営えいぎょう

業部ぶ

の○○様さま

がおいででしたら、お目にかか

 りたいのですが、…」:(訳)

<注:基き

本ほんてき

的に約束なしで突とつぜん

然会あ

いに行くのは、礼れい

儀ぎ

に反はん

します。もし緊きんきゅう

急を要よう

する

ことで会いに行く場ば

合あい

でも、丁ていねい

寧に挨あいさつ

拶し、事じ

情を話はな

します。くれぐれも相あい

手て

の都つ

合ごう

を優ゆうせん

先する姿し

勢せい

を忘わす

れないようにしましょう。>

Page 101: Nihon no Kurashi to Bunka

101

 ● 来らいきゃく

客への対たいおう

  「いらっしゃいませ」:(訳)

  「遠とお

いところを、よくお越こ

しくださいました」:(訳)

  「わざわざお越しいただき、申もう

し訳わけ

ございませんでした」:(訳)

 ● 訪問先さき

から帰るとき

「本ほんじつ

日はお忙いそが

しいところ、お時じ

間かん

をちょうだいして、申もう

し訳わけ

ございません

  でした」:(訳)

  「遅おそ

くまで、ありがとうございました」:(訳)

<注:帰かえ

る際さい

は、時じ

間かん

を割さ

いてもらったことへのお礼れい

を忘れないようにしましょう。>

 ● 来客が帰るときの対応

  「また、ぜひお立た

ち寄よ

りください」:(訳)

  「お気き

をつけてお帰かえ

りください」:(訳)

「本ほんじつ

日はありがとうございました。○○社しゃちょう

長(/さま/先せんせい

生)にも、よろ

  しくお伝つた

えください」:(訳)

<注:来らいほうしゃ

訪者が気き

持も

ちよく帰れるような挨拶を心こころ

がけましょう。>

Page 102: Nihon no Kurashi to Bunka

102

春はる

立春(りっしゅん)

 ● 2月 4日ごろ

 ●春の始はじ

まり。この日から立りっ

夏か

の前ぜんじつ

日までが春。

雨水(うすい)

 ● 2月 19日ごろ

 ●雪ゆき

の降ふ

ることがなくなり、これから雨あめ

が降る

  ようになるという意い

味み

啓蟄(けいちつ)

 ● 3月 5日ごろ

 ●冬とうみん

眠をしていた虫むし

が、穴あな

から出で

てくるころと

  いう意味。

春分(しゅんぶん)

 ● 3月 21日ごろ

 ●昼ちゅう

夜や

の長なが

さがほぼ同おな

じになる。この日を境に

昼ひる

の方ほう

が長くなり、本ほんかくてき

格的な春が始まる。

清明(せいめい)

 ● 4月 5日ごろ

 ●清せいじょう

浄明めいけつ

潔の略りゃく

。気き

持も

ちのよい季き

節せつ

という意味。

穀雨(こくう)

 ● 4月 20日ごろ

 ●春はるさめ

雨が降って百ひゃっこく

穀を潤うるお

し、芽め

を出だ

させるという意味。

2月の花 水すいせん

3月の花 桃もも

4月の花 桜さくら

7 二に

十じゅう

四し

節せっ

気き

と季き

節せつ

の花はな

Page 103: Nihon no Kurashi to Bunka

103

夏なつ

立夏(りっか)

● 5月 5日ごろ

●夏の始まり。この日から立りっしゅう

秋の前日までが夏。

小満(しょうまん)

● 5月 21日ごろ

●陽よう

気き

がよくなり、草くさ

木き

などの生い

き物もの

が次し

第だい

生せいちょう

長して生お

い茂しげ

るという意味。

芒種(ぼうしゅ)

● 6月 6日ごろ

●芒(のぎ)のある穀こくもつ

物の種たね

をまくころという

 意味。芒というのは、稲いね

などにあるトゲのよ

 うな突とっ

起き

のこと。

夏至(げし)

● 6月 21日ごろ

●一いちねんじゅう

年中で一番昼ひる

が長い。

小暑(しょうしょ)

● 7月 7日ごろ

●梅つ

雨ゆ

明あ

けが近く、本ほんかくてき

格的な暑あつ

さが始まるころ。

大暑(たいしょ)

● 7月 23日ごろ

●最もっと

も暑いころという意味。

5月の花 菖しょうぶ

6月の花 梔くちなし

7 月 の 花 

Page 104: Nihon no Kurashi to Bunka

104

秋あき

立秋(りっしゅう)

 ● 8月 8日ごろ

 ●秋の始まり。この日から立りっとう

冬の前日までが

  秋。立秋以い

降こう

の暑あつ

さを「残ざんしょ

暑」という。

処暑(しょしょ)

 ● 8月 23日ごろ

 ●暑さが収おさ

まるころという意味。

白露(はくろ)

 ● 9月 8日ごろ

 ●野の

の草くさ

に露つゆ

が宿やど

って白しろ

く見え、秋の趣おもむき

がます

  ます深ふか

まるころ。

秋分(しゅうぶん)

 ● 9月 23日ごろ

 ●昼ちゅう

夜や

の長なが

さがほぼ同おな

じになる。この日を境さかい

  じょじょに昼ひる

の方が短みじか

くなる。

寒露(かんろ)

 ● 10月 8日ごろ

 ●冷つめ

たい露つゆ

の結むす

ぶころ。

霜降(そうこう)

 ● 10月 24日ごろ

 ●霜しも

が降お

りるころ。

8月の花 芙ふ

蓉よう

9月の花 竜りんどう

10月の花 紅もみじ

Page 105: Nihon no Kurashi to Bunka

105

冬ふゆ

立冬(りっとう)

● 11月 7日ごろ

●冬の始まり。この日から立りっしゅん

春の前日までが冬。

小雪(しょうせつ)

● 11月 22日ごろ

●冷ひ

え込こ

みが厳しくなり、小こ

雪ゆき

がちらつくころ。

大雪(たいせつ)

● 12月 7日ごろ

●雪ゆき

が大おお

いに降ふ

り積つ

もるころ。

冬至(とうじ)

● 12月 21日ごろ

●一いちねんじゅう

年中でで一番昼が短みじか

い。寒さむ

さはこれからが

厳きび

しくなるが、日ひ

脚あし

は徐じょじょ

々に伸の

びてくる。

小寒(しょうかん)

● 1月 5日ごろ

●寒かん

気き

はまだ最さいこう

高ではないが、寒さがいよいよ

 厳しくなっていくころ。この日が「寒かん

の入い

り」

 で節せつぶん

分までが「寒かん

の内うち

」。

大寒(だいかん)

● 1月 21日ごろ

●一年中で最もっと

も寒いころ。1月の花 椿

つばき

11 月の花 石ざくろ

12月の花 梅うめ