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1 2020.1.16 機械システム工学実習Ⅱ 3 年次前期、必修 令和2年度『機械システム工学実習Ⅱ』ガイダンス 第 1 章 この授業のねらい この授業は、テーマ作品を企業の「ものづくり」に倣(なら)って製作しながら、 その体験を通して実習者の創造性を引き出すことにある。実習作品の製作過程での失 敗やその原因究明、対策、改良、工夫を経験することが創造性の育成に寄与する。 第 2 章 授業の概要 本実習では、「機械システム工学実習Ⅰ(以下、実習Ⅰ)」で学んだ「ものづくり」 の基本を応用し、自己のアイデアを形にする。そのためには、アイデアの具体化や設 計、図面作成、製作方法の検討、材料の調達、部品の製作と組立、試験、性能と機能 の評価、レポートの作成、成果のプレゼンテーションなどの様々な活動が求められる。 その一方で、チーム作業による業務分担やグループ討議、チームワーク、工程管理、 コスト意識などのプロジェクト業務の遂行の重要性についても併せて学ぶ。 機械システム工学実習Ⅱ(以下、実習Ⅱ)は4月から始まる 15 週の授業で、火曜と 木曜の 2 組に分けて実施する。授業時間は 8 時 40 分~11 時 50 分とする。また作業場 所は原則的に「ものづくり教育研究支援ラボ(以下、支援ラボ)とするが、設計段階 は図書館などの他の場所を利用することも認める。 第 3 章 履修にあたっての留意事項 この授業では、作品の性能や出来栄えを競うだけではなく、「ものづくり」の過程、 特に発生したトラブルをどう切り抜け、そこから何を学ぶかが重要となる。これに作 品の完成度、作品の設計や製作への寄与度、レポート、プレゼンテーションの内容を 加えて成績を評価する。参考までに添付資料 1 に「成績評価表」を示す。 実習の履修にあたっては下遵守しなけれならない。 授業には毎回し、もし欠席する場必ず指導に理連絡する。 病欠の場診断書を出すること。し、病欠でも 5 える欠席単位取得を認しない。 し、 全員の出必須である「発表」に、 許可ないで欠席した場は5 える欠席様となす。 実習は班単位協同作業なので、参はの他のーにも迷惑る。作業ーテングに間にうように集合し、遅刻をしないこと。 (4) 実習は作業帽子安全靴用し、作業安全意すること。 実習では、工作機械を使って作業するので怪我をする能性もある。この ため、履修者は 学生教育研究災害障害保険に加しなけれならない(部分はに加入済み)。たに加要な者には別途連絡する。 実習に要な部品は、「実習Ⅰ」で習した機械加工技術を利用して自分達 材を加工して造ることを原則とする。また、木材の使テープや 接着剤使用した作品の製作は原則禁止とする。

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1

2020.1.16

機械システム工学実習Ⅱ

3 年次前期、必修

令和2年度『機械システム工学実習Ⅱ』ガイダンス

第 1 章 この授業のねらい

この授業は、テーマ作品を企業の「ものづくり」に倣(なら)って製作しながら、

その体験を通して実習者の創造性を引き出すことにある。実習作品の製作過程での失

敗やその原因究明、対策、改良、工夫を経験することが創造性の育成に寄与する。

第 2 章 授業の概要

本実習では、「機械システム工学実習Ⅰ(以下、実習Ⅰ)」で学んだ「ものづくり」

の基本を応用し、自己のアイデアを形にする。そのためには、アイデアの具体化や設

計、図面作成、製作方法の検討、材料の調達、部品の製作と組立、試験、性能と機能

の評価、レポートの作成、成果のプレゼンテーションなどの様々な活動が求められる。

その一方で、チーム作業による業務分担やグループ討議、チームワーク、工程管理、

コスト意識などのプロジェクト業務の遂行の重要性についても併せて学ぶ。

機械システム工学実習Ⅱ(以下、実習Ⅱ)は4月から始まる 15 週の授業で、火曜と

木曜の 2組に分けて実施する。授業時間は 8時 40 分~11 時 50 分とする。また作業場

所は原則的に「ものづくり教育研究支援ラボ(以下、支援ラボ)とするが、設計段階

は図書館などの他の場所を利用することも認める。

第 3 章 履修にあたっての留意事項

この授業では、作品の性能や出来栄えを競うだけではなく、「ものづくり」の過程、

特に発生したトラブルをどう切り抜け、そこから何を学ぶかが重要となる。これに作

品の完成度、作品の設計や製作への寄与度、レポート、プレゼンテーションの内容を

加えて成績を評価する。参考までに添付資料 1 に「成績評価表」を示す。

実習の履修にあたっては下記を遵守しなければならない。

(1) 授業には毎回出席し、もし欠席する場合は必ず指導教員に理由を連絡する。

(2) 病欠の場合は診断書を提出すること。但し、病欠でも 5 日を越える欠席の

場合は単位取得を認定しない。但し、全員の出席が必須である「発表会」に、

担当教員の許可を得ないで欠席した場合は5日を超える欠席と同様とみなす。

(3) 実習は班単位の協同作業なので、遅参は班の他のメンバーにも迷惑を掛け

る。作業前のミーティングに間に合うように集合し、遅刻をしないこと。

(4) 実習中は作業服や帽子、安全靴を着用し、作業安全に十分留意すること。

(5) 実習では、工作機械を使って作業するので怪我をする可能性もある。この

ため、履修者は“学生教育研究災害障害保険”に加入しなければならない(大

部分は既に加入済み)。新たに加入が必要な者には別途連絡する。

(6) 実習に必要な部品は、「実習Ⅰ」で習得した機械加工技術を利用して自分達

で素材を加工して造ることを原則とする。また、木材の使用およびテープや

接着剤を使用した作品の製作は原則禁止とする。

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(7) 作業は「実習Ⅱ」の授業時間内に行うのを基本とする。例外的に、工程遅

延などの理由で、別の日時にも作業を行う場合は、担当教員や技術職員に問

い合わせてから実施すること。但し、大学の就業時間中に限られる。

(8) 実習に関する連絡事項や最新情報、関連資料は「実習Ⅱ」のホームページ

(http://mpmech.mech.ibaraki.ac.jp/index.html)(以下、「HP」と略す)と

E2棟および W1棟 1 階の掲示板に掲示するので、掲示に注意すること。

(9) 実習で作成する図書や図面の充実化を図るため、用紙のフォーマットや記

載内容、要領を 11章で規定する。指定された図書や図面には上記「HP」から

ダウンロードした用紙(以下、「標準用紙」と略す)を使用すること。

実習で作成する図書や図面は、デジタル情報として保存する。作成したデー

タは、USB メモリ、CD、DVDなどにより実習終了時に担当教員に提出する。

第 4 章 実習テーマ

4.1 実習テーマとその担当者

実習Ⅱのテーマを表 4-1 に、実習を支援や指導する担当者等を表 4-2 に示す。なお

実習テーマの概要を本ガイダンス資料の末尾に掲載しているので参照のこと。

表 4-1 標準実習テーマ一覧表

テーマ

No. テーマ

関連力学* 必要技術**

材 機 流 熱 機 電 ソ

A

1 オリジナルレースロボット X X X X X

2 風に向かって・ウインドカー X X X X

3 温度差発電エコカー X X X X

*:テーマ作品の製作に必要な機械工学の知識を示す。「材」は材料力学、「機」は機械

力学、「流」は流体力学、「熱」は熱力学を意味する。

**:作品製作に必要な工学技術を示す。「機」は機械技術、「電」は電気技術、「ソ」は電

子技術とマイコン・ソフト技術を示す。

表 4-2 実習指導者

実習組 テーマ

No.

テーマ

指導者

機械工作

指導員

TA* テーマ別オリエンテーション**

時刻 場所

火曜組

(A組)

1 北山 佐久間、小松、

山口、土田、

照井、鈴木

4名 10:20 E1-31

2 山崎 10:20 E1-41

3 松村 10:20 E1-43

木曜組

(B組)

1 新任教員 4名 10:20 E1-31

2 境田 10:20 E1-41

3 倉本 10:20 E1-43

*:TAは各テーマ担当が1名ずつ、全体補佐が1名で、曜日ごとに4名が担当する。

**:実習Ⅱガイダンスは 9:00 から E1-22 教室で実施

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4.2 実習テーマの割付

実習テーマは原則1チーム4名の学生から構成される班を作って担当する。これに

より、2名以下の班が出来るのを避け、また留学生の発表負担の軽減を図る。但し、

学生の総数との関係から5名の班も作る。このような考え方に基づき作られた本年度

の班分けを添付資料2に示す。

「実習Ⅱガイダンス」に先立って、各班への実習テーマの割付を次のような要領で

行う。テーマ希望順位と班長を決める必要があるため、少なくとも一度は「実習Ⅱガ

イダンス」前に班のメンバー全員で集まって協議する。

(1) 班は添付資料2に記載のように学生名簿の順に構成する。但し、班の構成メ

ンバーに2名以上の留学生を含めないよう、留学生は複数の班に分散する。

(2) 4名を超える班は、基本的には最後の班から順次先頭に向かって編成する。

(3) テーマ毎の班の数は同数を原則とするが、全体の班の総数との関係などから

テーマ毎の班の数に差異が生じても、1班以内であれば是認する。

(4) 各班へのテーマの割付は、班の希望テーマを考慮して教員が決める。このた

め、各班は自分達の有する知識や技術力等を勘案しながら、表 4-1 や「実習

テーマの概要」を参照して、希望順位1~3位までのテーマと班長を選ぶ。

(5) その結果を、「実習Ⅱガイダンス」前の期日までに添付資料2の「実習割付

および班長」の自班の欄に記載し、そのコピーを取りまとめ担当者に提出する。

なお、テーマの希望順位は添付資料2のテーマ番号欄に1、2、3と記入する。

(6) 教員は希望順位に従って班のテーマを決めるが、テーマ毎の班数に制限があ

るので、全ての班に第一希望のテーマが割りつけられるものではない。

テーマ決定後は、班は年度(和暦)と実習組(Aまたは B)、テーマ番号(A1~C3)、

担当テーマ内番号(1~)からなる班番号(例えば、2-B-A2-1)で識別する。

4.3 オリエンテーション

「実習Ⅱガイダンス」終了後、表 4-2 に示す時刻と場所で、「テーマ別オリエンテ

ーション」を実施する。学生は遅滞なく所定の時刻、場所に集合すること。また「実

習Ⅱガイダンス」や「テーマ別オリエンテーション」の時に、各班に「プロジェクト・

ファイル」やテーマ作品の「基幹部品」を紹介または支給する。

第 5 章 授業計画

5.1 授業の大まかな流れ

「実習Ⅱガイダンス」から「成果発表会」までの作業項目と工程を表 5-1 に示す。

5.2 アイデア発表会までのスケジュール

「実習Ⅱガイダンス」から「アイデア発表会」までの期間は春休みと重なるが、実

習Ⅱの準備期間と考え、この間に表 5-2 の作業を行い、実習の履修に万全を期すこと。

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表 5-1 機械システム工学実習Ⅱの授業の大まかな作業の流れ

週 期日

実施事項 備考 火曜組 木曜組

1/16 1/16 実習Ⅱガイダンス

テーマ別オリエンテーシ

ョン

説明会(E-22)後、テーマ別オリ

エンテーション(E1-31、41、43)

春休みレポート作成* 個人別作成(10章参照)

アイデア協議、設計検討

業務分担作成*、発表準備

レポートを持ち寄り技術検討

1 アイデア発表会 各班代表発表(9 章参照)

2 管理用図書作成

設計、図面作成*

機材調達準備・手配

工程表*、成果一覧表*

設計書*の作成を含む

機材調達 DB*、出庫依頼票*

参考図書は作成の都度にフラッ

シュメモリなどに保存。

3 4

5 製作構想発表会 各班代表発表(9 章参照)

6 機材調達

部品製作

組立

試験

改良、手直し

性能評価

第 11 回・進捗度チェック

ポイント

時間外作業は、7、8月の特定の期

間のみ実施可能

7 8 9 10 11 12 13 14 教員立会性能確認試験 11 時~11 時 50 分実施

取扱説明書作成

最終レポート作成*

作成図書データ保存完成

共通部分と個人部分(10章参照)

最後に、デジタル情報を記録した

CD、DVDなどを提出

15 成果発表会/作品競技会 各班代表発表(9 章参照)

(再試験) 機能(仕様)未達の班が対象

*:「標準用紙」を使用し、「プロジェクト日誌」に規定された期日に提出すること。

表 5-2 アイデア発表会までのスケジュール

No. 項目 備考

1 「テーマ別オリエンテーショ

ン」参加

担当教員が、テーマ実施の際の注意事項や実施

要領などを説明する。

2 「春休みレポート」の作成 テーマ作品を実現するためのアイデアを考案

し「春休みレポート」に纏める。(10章参照)

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3 グループのアイデア協議、決定 各自の「春休みレポート」を持ち寄り、技術的

に協議して班としてのアイデアを決定する。

4 作業分担の決定 11章の標準用紙「最終レポート」の付録 1-(1)

を利用して班共通作業項目の担当を決める。

5 実習Ⅱの開始準備 作品製作に時間的な余裕がないので、「アイデ

ア発表会」を待たずに準備作業を開始する。

6 「アイデア発表会」用資料作成 「パワーポイント(PPT)」によるプレゼンテー

ション用資料を作成する。(詳細は 9 章参照)

第 6 章 設計・製作

「ものづくり」は積み上げ作業である。先行作業を確実に行って、次の作業に進む

必要がある。先行作業が以降の作業の全てに影響することを考えると、各製作段階の

作業完成度がいかに重要であるかが分かる。

実習Ⅱの「ものづくり」では、「構想立案」、「図面作成」、「部品製作」と作業が続く。

「構想」がいい加減のまま「図面作成」に着手すると、「構想」に欠陥があれば図面が

作り直しになるばかりではなく、機材の購入、部品の再製や再組立などによる作業の

増加、大幅な工程遅延、製品の原価アップを招く。いたずらに先を急がず、作業の完

成度を充分に吟味して作業を進めなければならない。なお、設計・製作作業では、全

員が図面作成と部品製作を実施すること。

6.1 設計

担当者だけで設計の妥当性をチェックするのではなく、衆知を集めてレビューし、

設計検証の確度を向上させることが必要である。このため、設計・製作に関わる書類

や図面は整理して、第三者にも提示出来るようにしなければならない。

設計段階で作成する図書は、表 6-1 のように大別される。これらの図書だけで第三

者が作品を製作できるよう、その内容を充実する。また設計書や図面の作成には「標

準用紙」を使用し、「HP」に掲載されたサンプルや記載要領を参照する。

6.2 製作

部品はチェック済みの「部品図」に基づき製作し、「組立図」に従って組立て、組立

て完了後は作品の各部を実測して図面と照合し、作品が図面通りに製作されているこ

とを確認する。旋盤やボール盤等による機械加工は、「実習Ⅰ」で学習しているので、

部品は原則として自分達で製作すること。それぞれの部品は、班内の他人が作成した

図面で製作することを原則とし、併せて分かり易い図面の書き方の習得を目指す。製

作した部品や調達した機材は、班単位に用意された「機材収納箱」に保管する。

また「ものづくり」において、作品や製品性能の再現性や安定性が重要となる。装

置が 1回または数回機能すれば良いというものではない。少なくとも性能確認試験中

は補修作業を行わなくても、何度でも同じ性能が出せるように設計して製作しなけれ

ばならない。ネジの緩みや外力などによる変形や振動、可動部のブレによる結合部の

離脱、不安定な仕掛けなどで修理を余儀なくされるケースが多いので注意すること。

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表 6-1 設計図書

図書 内容

設計書 作品の構想や重要な機構部の仕組み、目標性能の実現性を考察、検証する

概念図

(計画図)

作品の概観や全体構成、重要な機構部の仕組みを示す図面

部品図 作品で使用される部品の材料やその切断、加工内容を示す図面

組立図 数種、数個の部品からなる部品ユニットの組立て方を示す図面

ソフト図* マイコン・ソフト関係のフローチャートやプログラム・リストなど

*:マイコン・ソフト関係の「ソフト図」は特定の実習テーマに対してのみ作成する。

6.3 工作機械

工作機械は技術職員の指示に従って使用すること。また溶接加工は、溶接可能な板

厚や材料が限られるので、事前に技術職員や教員に相談すること。その他、特殊形状

の加工方法についても技術職員や教員に相談すること。使用後は、各班は使用した機

械の種類と所要時間、使用者を所定の「標準用紙」(「工作機械使用記録」)に記入し、

その都度「プロジェクト・ファイル」に綴じ込む。

6.4 教員立会性能確認試験

第 14 週の授業日の 11 時~終了までに担当教員単位で作品の「教員立会性能確認試

験」を実施する。各班は、これを受査出来るよう万全の準備を整えなければならない。

作品の性能評価の目安は、テーマ内容や作品の要求性能を踏まえ、教員が立会性能確

認試験前に開示する。作品が所定の動作をしない場合や、要求性能を実現できない場

合には、担当教員が再試験を指示することもある。指定された班は試験日までに作品

を完成させなければならない。

6.5 取扱説明書

各班は、市販の商品の取扱説明書などを参考にしながら、「標準用紙」を使用して

作品の取扱説明書を作成する。第三者が作品を操作、または第三者に作品を譲渡する

ことを想定し、操作方法や注意事項などを記載する。取扱説明書を作成することで、

ユーザ目線で作品の操作性や機能の良し悪しが分かる。作成した説明書は、同一テー

マを担当している他の班のチェックを受け、内容を充実させることが望ましい。

第 7 章 機材調達

作品製作に必要な機材は表 7-1 の4種に区分され、「余剰品」以外は全て新たに購入

する。「余剰品」は実習で使用された在庫品や購入品の使い残しの余材で、作品の試作

や手直し、改造などで早期に必要な場合や手持ちの機材が不足した場合に利用する。

余剰品が必要な場合は「余剰品保管所」から自由に取り出して使用出来る。また、作

品が完成して余剰品が出る場合には「余剰品保管所」に収納するように心掛ける。

実習Ⅱに関わる費用は、1班当り 12,000円以下とし、各班は最小の費用で最高の性

能を実現する作品の完成を目指す。また作品に使用した「余剰品」のコストも含む。

作品に必要な機材の調達方法の概略を表 7-2 に示す。具体的な調達方法ついては

「HP」に掲載されている「機材調達要領」を参照して調達処理を行う。なお、物品の

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入手までに納期を必要とするため、機材調達申請の期限は 6月末とする。

表 7-1 作品製作用機材

項目 内容 購入時期他

基幹部品 作品の構想立案のために必須の完成購入部品

で、テーマ毎に予め選定

「実習Ⅱ説明会」前に購入

済み

在庫品 ボルトや鉄板、アルミ板、アクリル板のよう

に種々の作品で共通的に使われる部品や素材

実習開始前に購入済み

購入品 作品毎に特有の機材 学生の購入依頼で新規発注

余剰品 購入品や在庫品の使い残し分(余材) 過去の実習の余材。コスト

は相場価格などから算出

表 7-2 機材の調達方法

区分 入手手続 「票」提出先 機材配布 機材受領時期

基幹部品 不要 不要 担当教員 「テーマ別オリエンテーション」

時受領

在庫品 出庫依頼

担当教員、

TA 担当教員、

TA 依頼票発行1週間程度で受領*

購入品 機材 DB** TA 担当教員、

TA

DB**発行。2、3週間後受領予定

余剰品 不要 不要 自己調達 「支援ラボ」などの余剰品保管所

に保管

*:授業日以外であれば TAなどによる対応で、すぐに出庫出来る場合がある。

**:データベース (11章参照)

第 8 章 プロジェクト管理

ISO 10006(品質マネジメントシステム国際規格)によれば、プロジェクトとは、『開

始日と終了日のある活動からなり、時間、コスト及び経営資源制約を含む特定の要求

事項に適合する目標を達成するために実施される特有のプロセス』と定義される。組

織における継続的な業務と異なるのは「期間」が定められている点である。この定義

に従えば、企業で行われる製品開発と同様に「実習Ⅱ」も、後述のプロジェクト・フ

ァイル収納図書と作品の完成を目指すプロジェクトの一種と解釈できる。

プロジェクト管理は、プロジェクトの明確な目標を有限期間、有限資源で達成する

活動であり、端的には製品に対する要求仕様(性能)を所定の期限内(納期)に、目

標原価以下の費用で、所定の品質を実現するための活動とも言える。「実習Ⅱ」ではプ

ロジェクト管理の一部である納期管理(工程管理)を中心に学習する。

プロジェクトは、プロジェクト・リーダー(班長)の指揮の下に複数の構成メンバ

ーでなされるチームワークである。そこで、業務の分担を明確化し、メンバー間で情

報を共有して状況認識を一致させるために、メンバー全員がプロジェクトの進行状況

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を正しく把握できるような仕掛け作りが重要となる。

また、班長には管理業務が発生するので、班長は発表の分担を「アイデア発表会」

で済ませ、作品製作段階での実務を出来るだけ軽減するほうが望ましい。

実習Ⅱにおけるプロジェクトの主な内容は以下の通り。

(1) プロジェクト管理用の資料として、「標準用紙」(「工程表」と「最終レポート」

の付録1-(1)、「成果物一覧表」(図面一覧表、製作部品一覧表))を用いる。

(2) 作業量の正確な把握と適正な作業分担がプロジェクト成功の鍵である。実習

Ⅱでは作品の完成時期が決められているので、作業量の大部分を占める作成図

面枚数と製作部品数に注意を払う必要がある。このため、工程内で消化可能と

思われる図面枚数と製作部品数の限度を決め、これを作品の設計に反映する。

(3) 次に、「最終レポート」の付録1-(1)に記載した班共通の作業項目についての

各メンバーの作業量を考慮し、図面や部品の単位毎に分担を決める。

(4) 「HP」に掲載の「工程表」サンプルを参考にしながら、図面作成枚数や製作

部品数、性能実現の難易度などを勘案し、作品製作の「工程表」を作成すると

共に「成果物一覧表」の項目毎に完成予定を設定する。

(5) 保管責任者を班長とする「プロジェクト・ファイル」を班毎に保有する。本

ファイルの目次に記載されているプロジェクトに関する「日誌」や「工程表」、

「図面」、「発表会資料」、「レポート」、図書など関連する資料を一括して保管

し、メンバーの誰もが同一の情報を閲覧可能とする。

(6) 授業完了前に管理業務用の時間を確保し、図面や製作部品の完成期日や工程

の進捗状況を記録する。組立てや性能評価などが遅れ気味の場合は、班のメン

バーと相談して作業応援や授業時間外の作業などにより工程挽回を図る。

(7) 作業予定と実績、問題点を明らかにするため、これらを「日誌」に記入して、

先手管理で迅速な対策を行う。

(8) 9 章で述べる発表会を除き、授業開始時にテーマ指導教員のグループ単位毎に

「プロジェクト・ミーティング」を行う。各班は持ち時間 3 分程度で問題点や

当日実施予定の作業を説明して、教員や TAに指導を仰ぐ。

第 9 章 発表会と作品競技会(実演デモ)

9.1 発表会

発表会は、表 9-1 に示すように「アイデア発表会」と「製作構想発表会」、「成果発

表会」の 3 回あり、何れも班の代表者がパワーポイント(PPT)を使って発表する。

班のメンバーは全員何れかの発表を担当しなければならない。メンバーが 4 ⼈を超える班は「製作構想発表会」(5 ⼈の班は「成果発表会」も)を 2 ⼈で分担して発表する。留学生は会話力のハンディーに配慮し、原則分担発表となる。

発表は 1人(または 2人)で行うが、質疑応答には班の全員で対応するものとし、

発表者以外のメンバーも演壇脇で待機する。

発表は、決められたテーマ番号順の班番号順で行い、発表時間は 10 分(発表8分、

質疑2分)とする。発表時間を十分考慮して発表資料を準備すること。

教職員への説明を目的とした発表会ではあるが、文字や声の大きさにも気を配って、

発表会出席者全員に内容が分かるように発表しなければならない。

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発表資料の表紙には、班番号、テーマ名称、作品愛称、班長と発表者を明示した班

所属の全学生の氏名と学生 No.を記載する。発表の内容や図表、発表の仕方について

は第 13 章の付録を参照のこと。発表にあたっての注意事項は次の通り。

(1) 発表会では教員または TA のパソコンを使用するので、発表原稿の PPT は発

表会の前日までに、テーマ担当教員(発表会用パソコン保有者)に渡しておく。

(2) 発表会の開始時刻の5分前に教室に入り着席する。

(3) 最前列の座席に「発表班席」を設けるので、次に発表する班のメンバーは自

席を移動して発表者席で待機する。

(4) 「成果発表会」は第 15 週目に予定している。第 14 週目以降は、「成果発表

会」の準備と並行して「取扱説明書」と「最終レポート(共通部)」を作成す

る必要があるので、これらの業務の担当者は分けるのが望ましい。

発表会には、発表資料を綴じ込んだ「プロジェクト・ファイル」を持参し、

発表終了後に担当教員に提出する。「成果発表会」では、「最終レポート」を含

む全資料を綴じ込んだ「プロジェクト・ファイル」と、資料のデジタル情報を

記録した CD、DVDなどを、発表終了後に担当教員に提出する。

表 9-1 発表会と重点発表内容

発表会

(発表の目的)/[関連図書他] 重点発表内容(アピール点)

発表会出席

教員 学生

アイデア発表会

(アイデアの検証)

〔春休みレポート〕

班のメンバーのアイデアの比較検討、

班アイデアの確立過程、アイデアの概

要と特徴、実現のための要検討事項

担 当

曜日

所属組

のみ

製作構想発表会

(作品の実現性確認)

〔設計書、工程表、成果一覧表〕

作品の動作機構の紹介、目標性能実現

性の検証、予想される課題と対処法、

作業量の把握と納期厳守の確度

担 当

曜日

所属組

のみ

成果発表会

(作品/プロジェクトの評価)

〔最終レポート、取扱説明書〕

作品の概要、プロジェクトの評価、目

標未達の根本原因と対策、「構想発表

会」からの変更点と変更目的、変更発

生理由、問題点と対策、実習で学んだ

こと

担 当

曜日

両 組

(所属

組でな

いもの

は自由

参加)

9.2 発表会作品競技会(実演デモ)

「成果発表会」では、出席者全員立会いの下、作品競技会(または実演デモ)を行

う。時間的余裕がないので、各班はスムーズな競技や実演デモが行えるよう前日まで

に準備を整えること。競技や実演デモの方法は、「取扱説明書」による操作以外は教

員立会性能確認試験と同じとし、作品の「性能」、「操作性」、「コスト」などが評価さ

れる。

作品競技会(または実演デモ)の結果として、出席者の投票で決定した優秀作品や

各作品が「HP」に掲示される。

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10

第 10 章 レポート

表 10-1 に示すように、実習Ⅱで学生が作成するレポートには、「春休みレポート」

と「最終レポート」の2種がある。前者は学生が個人で作成し、後者は班の共通部分

と個人作成部分から構成される。記載要領を付記した標準用紙を「HP」からダウンロ

ードして使用してレポートを作成する。両レポート共、班長が全員分を集めて「プロ

ジェクト・ファイル」に綴じ込んで担当教員に提出する。

(1)春休みレポート

「春休みレポート」は、テーマの要求仕様(性能)を実現するためのアイデアを

学生各自が記述するものである。基幹部品の特性を調査したり、テーマに関連する

参考図書を学習したりして、テーマ作品を実現するためのアイデアを考え「春休み

レポート」として纏める。

レポートは、A4サイズ用紙2枚程度とし、アイデアの内容と「機械工学実習Ⅱ」

履修にあたっての抱負、自己の注力課題を「標準用紙」に記載する。

(2)最終レポート

本レポートは実習を総括するものであり、表 10-2 に示すように班の共通部分と

個人作成部分に区分し、「標準用紙」に記述する。

レポートは「プロジェクト・ファイル」に綴じ込んで提出するので、設計した図

面など、既にファイルに綴じ込まれている書類を本レポートに添付する必要はない。

一方、個人部分のレポートは付録の形に纏め、学生毎に付録番号を変えて編集する。

作品の仕様変更内容や作品製作時の問題点、反省事項、作業関連実績データなど、

レポートに記載すべき内容は予め定められている。そのため、記載項目が発生した

り、記載内容を思いついたりしたら、その内容をその都度所定の箇所に記述するこ

とが望ましい。万一、それが出来ない場合でも、少なくとも関連するキーワードは

メモしておく。この作業により、レポートの作成が容易になるほか、レポートの内

容も充実できる。さらに、「成果発表会」での発表に対しても同様の効果がある。

表 10-1 提出レポート

種別 作成方法 レポート提出期日

春休みレポート 個人作成 「アイデア発表会」終了時

最終レポート 班合作+個人作成 「成果発表会」終了時

表 10-2 最終レポートの構成

区分 記載内容 備考

共通部 実績工程概要、メンバーの業務分担と寄与、作品の概

要、作品完成写真、作品の性能、作品に対する評価、

特に工夫した点、技術的な問題点とその解決策、反省

点、付録1成果纏め表(図面枚数、調達機材数、製作

部品数、費用など)

図面枚数や製作部品

数等については、メン

バーの寄与度を明ら

かにする。

個人部 注力事項、反省事項、実習で学んだこと、実習Ⅱに対

する改善要望(実施要領、テーマ内容、指導方法など)

学生毎に、付録2~4

(5)として綴じ込む

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第 11 章 実習Ⅱ関連標準用紙

実習Ⅱで使用する下記の用紙類は標準化され、「HP」にアップロードしてある。「プ

ロジェクト・ファイル」が配布されたら、速やかにこれらのデータファイルを班長の

フラッシュメモリや班のパソコンなどにダウンロードし、実習Ⅱの班のデータベース

として保存する。また、作成した標準用紙は「プロジェクト・ファイル」に綴じ込む。

標準用紙には予め記載項目や表、記載要領を指定しているものもあるが、表の行数

と項目ごとのスペースは、記載内容の分量を規定するものではない。記載内容に応じ

て、行数やスペースを自由に増減して良い。なお「記載要領」は抹消すること。

「プロジェクト・ファイル」の標準用紙

(1) プロジェクト・ファイル表紙と目次

(2) 日誌

(3) 工程表(工程管理要領を示すサンプル付)

(4) 成果一覧表(図面一覧表、製作部品一覧表)

(5) 機材調達データベース(「機材 DB」、出庫依頼票)

(6) 設計書

(7) 図面様式(図面サンプル付き)

(8) 取扱説明書

(9) 春休みレポート

(10) 最終レポート

(11) 工作機械使用記録

第 12 章 実習Ⅱ関連の参考資料

(1) 機材調達要領

(2) 機械システム工学実習Ⅱ在庫品リスト

(3) テーマ別調達機材リスト

第 13 章 発表会資料の作成方法と発表の仕方

発表会で使用するプレゼンテーション資料の作成や、発表・質疑応答の際に注意す

べき点を、表 13-1 にまとめる。

表 13-1 発表会資料の作成方法と発表の仕方

No. 分類 項目 内容 1 プレゼン

テーショ

ンの設計

発表内容の摘出と吟味 何を発表すべきか、何を理解させるのか 2 発表のストーリー作り 話の全体の流れから詳細な内容に展開 3 課題の明示 何をどうするのか、問題点はなにか等を明示 4 論点の明確化 論点を明確にして、聞く人の意識を誘導 5 アピール点の強調 自分達の考え、工夫したこと、新発見等 6 結論の集約と簡潔化 最後に結論を集約して、簡潔明瞭に提示 7 図面作成 一目で内容が分る表題 表題は内容を表す的確で簡潔な表現で

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8 発表内容を示す目次 発表内容の項目を整理し箇条書きで 9 表題 No.の付記 聞く人、質問者のために表題に No.付記 10 明瞭な図面 図中の文字や図形が明瞭な図面 11 「見る」図面 読まずに、見るだけでポイントが分かる図面 12 技術的な内容 技術者の視点に基づく内容の記述 13 キーワードでの記述 文章ではなくキーワードのみで図面作成* 14 表形式表現で整理 相互に関連する項目には表形式表現を採用 15 箇条書で纏め 複数の単独項目の場合は、箇条書で纏め 16

発表の 仕方

未記載事項は説明不可 何処にも記載されていない項目は話さない 17 キーワード始点の説明 口頭でキーワードに肉付けして内容鮮明化* 18 発表原稿の読上げ不可 発表原稿は、時々見る程度に限定 19 指し棒の活用 指し棒で図面・関連個所を明示しながら説明 20

質疑応答 質問事項にのみ回答 質問されたことにのみ、的確に回答

21 回答不能時の対応 回答出来なければ、速やか不可と謝罪 *:漢語を使用して表現を簡潔化。体言止めで記述。これに肉付けし話し言葉で発表。

表 13-2 実習テーマ一覧表(参考)

テーマ

No. テーマ名

関連力学* 必要技術**

材 機 流 熱 機 電 ソ

Aグルzプ

1 オリジナルレースロボット X X X X X

2 風に向かって・ウインドカー X X X X

3 温度差発電エコカー(H25 改定) X X X X

Bグルzプ

1 相撲ロボット X X X X X

2 階段移動谷越えロボット(H26改定) X X X X X

3 遠投マシン X X X X X

Cグルzプ

1 荷物搬送ロボット(H30 改定) X X X X

2 風力発電機 X X X X X

3 ピンポンサーブマシン(H27改定) X X X

*:テーマ作品の製作に必要な機械工学の知識を示す。「材」は材料力学、「機」は機械

力学、「流」は流体力学、「熱」は熱力学を意味する。

**:作品製作に必要な工学技術を示す。「機」は機械技術、「電」は電気技術、「ソ」は電

子技術とマイコン・ソフト技術を示す。

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テーマA1 モータ駆動ロボット:オリジナルレースロボット(概要)

(1)概要

できるだけ短い時間で指定された競技コースを移動する

オリジナルレースロボットを製作する。

(a)構成

・基幹部品:H8 CPU ボード(VS-WRC003LV)+ I/O ボード

(減速機付モータ 2 軸独立制御、赤外線センサ 2 個付)

・タッチセンサ 2 個

・C 言語統合開発環境「HEW」

・ロボット全体サイズ:最大 200mm 程度

(b)競技方法

・競技コース(図 2):幅 900 mm、

長さ 1,800 mm の合板に、パネル 1

(ラインエリア)、パネル 2(壁エリア、

障害物エリア、最終エリア)を設置

・ラインエリア:直線部、大きなカーブ

など基本幅は 20mm とする

・壁エリア:幅 25cm、高さ 150mm の U 字

コースを合板で製作する

・障害物エリア:の角材(30mm x 30mm x

300mm)をコース上に一箇所取り付ける

・最終エリア:タイル状(30mm x 50mm) にラインを配置する

・各エリアをできるだけ早く通過してゴールにたどり着くまでの時間を競う

・障害物エリアを乗り越えるスムーズさ、車体のオリジナリティー(カッコよさ)

についても評価する

(c)購入部分

・H8 CPU ボード(VS-WRC003LV)+ I/O ボード、タッチセンサ、乾電池(教員用意)

・ロボット製作部材:常備品ほか各班購入

(d)製作部分

・ラインエリアは赤外線センサ),壁エリアはタッチセンサを用いて通過させる

・障害物エリアを乗り越えられるように、ロボットの走行機構を制作する

・ロボット本体,動力伝達機構などの部品をフライス盤や旋盤で加工製作する

(2)実習の内容

・各エリアを十分理解し、改造方法や全体の大きさを予算を含め決定する

・各エリアを通過するためのアルゴリズムを十分検討し、C 言語によるプログラ

ムを作成する

参考資料:[1]はじめてのH8マイコン~ライントレース・ロボットをC言語で実践的に使う~,島田義

人,CQ出版 [2]H8マイコンによる組み込みプログラミング入門―ロボットで学ぶC言語,オーム

社 [3] タミヤ工作パーツで作るロボット工作ガイドブック (RoboBooks)"、城井田 勝仁、オーム社

VS-WRC003LV

図1 基幹部品

図2 競技コース(教員用意)

ス タ ート

パネル2

パネル1

ゴール

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テーマA2 風力利用マシン2:風に向かって・ウインドカー

(1)概要

風速3m/秒の風を動力にして、風上に向って行く「ウインドカー」に挑戦する。

(a)構成

・羽、回転軸、ギヤ、車輪等で走行台車を構成する。

・走行台車は前後方向長さ 500 mm 以内、高さ 460 mm 以内、横幅 460 mm 以内とし、

質量制限はない。

(b)競技方法

・扇風機の風力で、3 m 離れたスタートラインからゴールラインを通過するまで

の到達時間を競う。スタートラインの風速は約 3 m/s とする。

・走行路寸法は高さ 480 mm×幅 480 mm×長さ 3,000 mm で床面にマットを敷く

(図1参照)。

・羽根形状、走行台車などの外観や走行動作の美しさもアピールポイントとなる。

(c)購入部分

・基幹部品:なし

・走行台車用部材:在庫品ほか各班で購入する

・競技用具:走行路は教員が用意する

(d)製作部分

・羽根、回転軸、車輪等の走行台車は、旋盤やフライス盤等で加工製作する。

(2)実習の内容

・上記の風速、自重そして走行抵抗を考慮して、羽根の形状、走行台車の構造を設

計する。

・設計した走行台車を、工作機械を利用して機械加工する。

(3)参考資料

(社)日本機械学会流体工学部門「流れのふしぎ展 実行委員会主催

ウインドカーコンテスト」

図1 走行路

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1

図1 ペルチェ素子 (大きさ 約 40×40×3.8 mm)

図2 走行コースのイメージ(上) と断面(下)

コースの材質:(大きさ 約 40×40×3.8

mm)

コース断面

壁の高さ約4.8cm

コースの幅約11.5cm

1週:約5mカーブ半径:約40cm(内)、

約52cm(外)

スタート

テーマA3 熱力利用マシン:温度差発電エコカー

(1)概要

温度差で発電するペルチェ素子を用いて、長時間動作するエコカーの製作に挑

戦する。

(a)構成

温度差を生み出す集熱/廃熱機構と保温機構、温度差によって発電するペル

チェ素子、発電から得られた電力の動作機構で構成される。

(b)競技方法

・水の温度差を利用して発電し、長時間走行するエコカーを製作する

・ろうそくや、バーナー等の加熱装置、電池、電源の使用は不可とする

・熱源/冷却源の体積、重量の制限はなし

・熱源/冷却源(水)への添加物は可

・構造体として断熱材の使用は不可とする

・効率よく熱を回収し、どのように保温す

るか、また走行コースにあった車体デザ

インなどを工夫して、長時間の発電と動

作を達成する

(c)購入部分

・基幹部品:ペルチェ素子(たとえば市

販品の TEC1-12704、枚数は1~2枚。図1参照)は教員が用意する

・温度差発電エコカー構成用部材:アルミ板、アクリル板、モータ、ギア

ボックスなど、在庫品や購入品として調達

・高熱伝導性のペーストやシールを用いても可

・競技用品:走行コース(図2参照)、ストップウォッチ

(d)製作部分

・集熱/廃熱機構、保温機構、動力伝達機構は、旋盤やフライス盤等工作機械

を利用して加工する

(2)実習の内容

・温度差発電エコカーの、集熱/廃

熱機構、保温機構、動力伝達機構

などを考案し、設計する

・機械加工によって設計した上記部

品を製作し、組み立てる

(3)参考資料

・小山敏行:例題で学ぶ伝熱工学、森

北出版株式会社(2012年)

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2019.12.13

倉本(山崎)

作品完成度

(製作完了:5 必須

 動作可能:10

 安定稼動:15)

・作品の優秀性:最大10*4

実算評価

(予算内 :5

 予算超過:2)

レポート受理:5 必須

内容評価*1

レポート受理:5 必須

内容評価*1

レポート受理:5 必須

内容評価*1

発表:5 必須

発表内容と態度*1

1.工程表作成

2.図面一覧表作成

3.製作部品一覧表作成

4.設計書作成

5.購入依頼票作成

6.出庫依頼票作成

7.図面作成

8.部品製作、マイコン・ソフト作成

9.作業状況

10.取扱説明書作成

11.管理業務(日誌記載、工程管理)

12.作成図書類データ管理・CD,DVD保存

1~12を総合して評価

100 合計 0

*1: 5段階評価

*2:

*3:

*4:

個人

発表資料

□発表資料がまとまっているか

10

作品製作寄与*3

□アイデアや作品が理解できる十分な情報や内容が書かれているか

<評価基準> レポート(汎用)

 発表*2

(1回のみ)

最終レポート

30

アイデアと性能が優秀と判断されたベスト作品(1位)の製作班に対して10点を、2位以下には票

数に応じて点数を加点する。算出方法は、基礎点(仮に10)×得票数/投票総数

発表は「アイデア発表会」、「製作構想発表会」、「成果発表会」の何れか一つを担当する

「図面作成」と「部品製作、マイコンソフト作成」については、一部担当でも評点=配点とする。

25

成果一覧表

最終レポート

レポート

評点評価細目

春休みレポート

    「機械システム工学実習Ⅱ」成績評価チェックシートver.1.6.3 (公開)

10

10

10

5

レポート最終レポート

作品完成度

割合

班共通

分類 評価項目 証拠物件

最終レポート

最終レポート レポート

作品

作品コスト

□期限内に提出されたか

合計

□基礎となるアイデア、機構、プログラムやその考え方が優れているか

/および実現可能な製作構想であるか(製作構想発表会のみ)

□まとめ方は適切か

□使用した図や表は見やすいか

□レポートの記載項目は適切か

□オリジナリティはあるか

<評価点>

□期待する基準には若干足りないが最低限の内容を満たしている

□期待する基準にはほど遠い/期限後1週間~に提出/発表時間±60秒以上

<評価基準> 発表会(汎用)

□自分たちのアイデアや製作した作品の良さ、課題などをうまく伝えられたか

□質問に対する答えが適切か

□期待する基準をほぼ満たしている/期限1週間内に提出/発表時間±60秒

□特に優れている/期限内に提出/発表時間±30秒

□期待する基準を十分に満たしている

□制限時間内に発表できたか

Shigeru Kuramoto
添付資料1