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地方交付税の仕組みと役割
島根県政策企画監室
1.地方交付税制度の意義
2.地方交付税額の決定過程
3.地方交付税の総額決定
4.地方交付税の配分
5.基準財政需要額の算定方法
6.基準財政収入額の算定方法
「島根の主張」別冊付録
(平成28年度版)
1
は じ め に
福祉・教育・警察など私たちの暮らしに大きく関わる行政サービスの多くは、県や市町
村などの地方団体が担っています。
その財源は本来、その地域の地方税で賄えるのが一番良い姿ではありますが、企業や人
口が大都市に偏在している現状では、地方部では必要な財源が確保できません。
このため、税収が不足する地方団体に必要な財源を交付し、どの地域でも一定の行政水
準が維持できるようにすることが重要であり、この役割を担っているのが、地方交付税制
度です。
その仕組みは、国税の一定割合を基本に必要な地方交付税総額を国が確保し、それを個
別の地方団体の財源不足に応じて配分するというものです。
近年、地方団体では国を上回る人員削減などの行政改革を進めていますが、高齢化に伴
う社会保障費の増加などにより、大幅に財源が不足する状況です。
行政サービスの低下により地方部の暮らしに不自由が生じることになると、税収が豊か
で行政サービスの充実した都市に人口が流出せざるを得なくなってしまいます。
そうすると、地方からの食料供給などに問題が生じるほか、大都市への人口集中により
都市問題はさらに深刻化することでしょう。
国により必要な財源の総額が確保され、島根県のような税源が不十分な地方団体でも安
定した財政運営が可能になるよう、地方交付税制度の拡充強化が必要です。
2
(法人や住民が集中し税源が豊か)
大 都 市
国(地方交付税=国が徴収する地方固有の財源)
大
国税
小
国税 財源不足状況 に応じて交付
農林水産物・エネルギー供給などで都市の生活を地方が支えている
大都市圏
地方税 行政 サービス
(法人や住民が少なく税源が不十分)
地 方 部
島根県など
地方税 行政 サービス
教育・福祉などの行政サービス維持
地方 交付税
地方 交付税
小 大
大 小
1.地方交付税制度の意義 ○地方交付税は、国が地方に代わって徴収する地方税(地方の固有財源)であり、地方団体(都道府県や市町村)の財政状況を踏まえて配分されます。
○地方団体間の財源の不均衡を調整(財源調整機能)し、どの地域に住む住民にも一定の行政サービスができるよう財源を保障(財源保障機能)する機能を持っています。
3
国 民
国 地方団体 (都道府県・市町村)
地 方 税
地方交付税
補 助 金
地 方 債
公 債 金
国 税
交付税等 特別会計
行政サービス 納税 行政サービス 納税
国税5税の 一定割合等 一
般財源
補助金=国の関与が大きい
各地方団体ごとの 一般財源の不足額 を算定して配分
特定財源
(使途制限あり)
(使途制限なし)
4
国と地方との行政事務の分担等
• 我が国では、都道府県や市町村が、住民に身近な多くの行政事務を担っています。
• その内容は、国の施策・予算と関連の深い、公共投資、社会保障、教育、治安の分野が多くを占めています。
公 共 資 本 教 育 福 祉 そ の 他
国
○高速自動車道
○国道
○一級河川
○大学
○私学助成(大学)
○社会保険
○医師等免許
○医薬品許可免許
○防衛
○外交
○通貨
地方公共団体
都道府県
○国道(国管理以外)
○都道府県道
○一級河川(国管理以外)
○二級河川
○港湾
○公営住宅
○市街化区域、調整区域決定
○高等学校・特別支援学校
○小・中学校教員の給与・人事
○私学助成(幼~高)
○公立大学(特定の県)
○生活保護(町村の区域)
○児童福祉
○保健所
○警察
○職業訓練
市
町
村
○都市計画等
(用途地域、都市施設)
○市町村道
○準用河川
○港湾
○公営住宅
○下水道
○小・中学校
○幼稚園
○生活保護(市の区域)
○児童福祉
○国民健康保険
○介護保険
○上水道
○ごみ・し尿処理
○保健所(特定の市)
○戸籍
○住民基本台帳
○消防
5
税源偏在と地方交付税
• 経済活動の集積度の違いなどにより、法人関係税をはじめ地域間で地方税の税源は大きく偏在しています。
• 税源の偏在を是正し、地方が実施する行政サービスの水準を確保するための制度が地方交付税です。
24.2
20.2
12.3
19.8
15.4
18.9
11.3
31.1 32.9 32.6
44.3 42.9
69.1
56.2
17.7
23.6
25.9
22.5
19.9
27.7
29.8
41.7
50.3
33.7 31.8
30.0
39.1
31.4
25.7
16.6 15.5
12.8
30.2
35.1
22.7
16.7
26.9
22.4
14.8
33.4
19.4
17.2
21.3 19.8
17.4 18.6
15.1
34.7 37.5
29.6
20.0
36.9
37.9
15.9
26.2 24.7 25.8
22.7
20.4
15.5
24.0
30.7
31.7 36.2
33.7
33.5 30.8
23.6 13.4 29.3 31.9
26.7 19.2
23.1
38.7
35.1
45.4
40.2
32.0
29.5
32.9
35.0
33.2
34.0
45.3 24.8 39.3
38.3 34.5 37.1
38.4
41.6
33.6
0
10
20
30
40
50
60
70
80
北
海
道
青
森
県
岩
手
県
宮
城
県
秋
田
県
山
形
県
福
島
県
茨
城
県
栃
木
県
群
馬
県
埼
玉
県
千
葉
県
東
京
都
神奈川県
新
潟 県
富 山
県
石 川
県 福
井
県 山
梨
県
長
野
県
岐
阜
県
静
岡
県
愛
知
県
三
重
県
滋
賀
県
京
都
府
大
阪
府
兵
庫
県
奈
良
県
和歌山県
鳥
取
県
島
根
県
岡
山
県
広
島
県
山
口
県
徳
島
県
香
川
県
愛
媛
県
高
知
県
福
岡
県
佐
賀
県
長
崎
県
熊
本
県
大
分
県
宮
崎
県
鹿児島県
沖
縄
県
(%) 都道府県歳入に占める地方税・地方交付税の割合
資料:H26年度決算統計 地方交付税は、臨時財政対策債を含む実質的な地方交付税
地方交付税
地方税
6
地方交付税制度への疑問に対して
• 地方交付税は、国を通じて配分される仕組みになっており、また算定方法も複雑なため、その在り方について疑問の声もありますが、地方税とともに地方団体の自主的な財政運営を支えるための必要不可欠な制度です。
国が使い道を定めず一定の額を地方団体に交付する
ので、無駄遣いの原因になるのではないですか。
• 交付税は、各地方団体の実経費ではなく、標準
的なモデルにより算定されますので、必要以上
の経費が算入されることはありません。
• なお、近年の危機的な財政状況の中で、むしろ
必要なサービス提供に支障を来しているのが現
状です。
交付税で財源の不足がカバーされるので、地方税の
確保がなおざりになるのではないですか。
交付税の算定対象には国が義務づけた行政サービス
も多く、補助金と同じではないですか。
人口や面積などで単純に地方団体に配分する方が、
国の関与が少なく合理的ではないですか。
• 交付税の算定においては、国が義務づけた行政
サービスも含まれていますが、補助金と異なり
使途が制限されるものではありません。
• 各地方団体が工夫を凝らして、地域で必要な行
政サービスを充実させることができます。
• 地方税の25%部分は、交付税の算定における
収入額に算定されないなど、地方団体の税源確
保の努力が反映される仕組みになっています。
• 独自課税なども算定に影響しませんので、多く
の地方団体で税源確保の取組みを進めていま
す。
• 人口や面積での配分は簡素ではありますが、中
山間地域や離島での行政サービスに必要な額を
きめ細かく算定できなくなってしまいます。
• 各地方団体に必要な財源を適切に配分するため
に、ある程度、複雑な算定方法にならざるを得
ません。
Q Q
Q Q
2.地方交付税の決定過程
7
○地方交付税の総額は、国の予算編成時期に策定される「地方財政計画」の中で決定され、一定のルールに基づき各地方団体ごとに算定された額が配分されます。
○総額の94%は「普通交付税」として各地方団体の財源不足額に応じて配分され、残りの6%は「特別交付税」として特別の財政需要等を考慮して配分されます。
普通交付税(94%)
特別交付税
(6%)
普通交付税は、財源不足額を基準に配分 特別交付税は、特別の財政需要を基準に配分
各地方団体ごとに標準的な需要額と収入額を算定し、その財源不足額を基準に8月31日までに決定(例年7月)
各地方団体の特別の財政需要等を考慮して、年度後半の12月・3月に決定・交付
○災害等の臨時的・突発的な経費
○普通交付税の算定時には捕捉困難な経費
地方交付税総額 地方交付税の総額は「地方財政計画」で決定
基準財政需要額
財源 不足額
基準財政収入額
※財源不足額が生じない団体には、不交付
※普通交付税が不交付の団体にも交付
8
地方交付税の決定・配分スケジュール
• 交付税総額は、前年度に策定される「地方財政計画」において決定されます。
• 各地方団体から調査した基礎数値等をもとに、普通交付税と特別交付税に分けて国(総務省)が配分を行います。
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月
交付年度 前年度
8月 9月 10月 12月 11月 1月 2月 3月 8月 9月 10月 12月 11月
交付税総額
普通交付税
特別交付税
基礎数値等調査
7月
8月末までに決定
基礎数値調査
4月
交付 ①
6月
交付 ②
9月
交付 ③
11月
交付 ④
4回に分けて各1/4の額を交付 (4月・6月は前年度額に基づき概算交付)
12月
決定
3月
決定
決定と同時に交付
12月
地方財政計画決定
策定作業(国予算編成時)
地方交付税法 改正
※年度途中に、地方交付税の総額が増加した場合や地方財政の収支に大きな変動が見込まれる場合は、再算定が行われることがある。
3.地方交付税の総額決定 ○国の毎年度の予算編成を受けて、翌年度の地方団体の歳入歳出総額の見込み額に関する国の「地方財政計画」が定められることになっており、その中で地方交付税の総額も決定されます。
○その財源(交付税原資)は国税5税の一定割合とされていますが、財源が不足する場合には加算等の措置が行われます。
9
一般行政費
歳 出
投資的経費
給与関係費
国庫補助金
地 方 債
そ の 他
公 債 費
公営企業繰出
そ の 他
歳 入
特定財源
一般財源
国予算と連動して作成
・起債の償還額 ・国庫補助金のある 地方関連事業 ・公務員給与と人数 ・地方税収の伸び 等を勘案
標準的な行政水準を確保するためのものであり、次の経費等は含まれない。 [歳出]国家公務員の給与水準を 超えて支給される給与 [歳入]超過課税、法定外税
所 得 税 33.1% 法 人 税 33.1% 消 費 税 22.3% 酒 税 50.0% 地方法人税 100.0%
加算・借入
国税5税分 の見込み
国税5税の一定割合 (交付税原資)
原資不足への対応
各地方団体が一定の 範囲内で借入
償還時に全額交付税措置
地方譲与税
地方交付税
臨時財政対策債
地方税等
10
一般財源総額の確保
• 地方税の財源不足を補い、必要な一般財源の総額が確保されるよう、地方交付税の総額は変動します。
• したがって、交付税総額が増加したからといって、必ずしも一般財源総額が増える訳ではありません。
37.1 37.6 36.3 34.6 35.4 37.2
39.9 41.4 41.6 38.1 34.8 36.0 36.0 36.5
37.9 40.3 41.2
21.4 21.8 22.8 23.9 21.1 20.1
18.8 17.8 18.2
21.0 24.6 23.5 23.6 23.3
22.5 21.3 20.5
58.5 59.4 59.0 58.5 56.5 57.4
58.7 59.2 59.9 59.1 59.4 59.5 59.6 59.8 60.4 61.5
61.7
0
10
20
30
40
50
60
70
H12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
(兆円) 地方一般財源総額(地方財政計画)の推移
地方交付税
地方税等
一般財源総額
地方 交付税
11
地方財政対策(原資不足への対応)
• 近年の税収不足によって、交付税原資は慢性的に不足する状況にあり、平成13年度からは、原資不足の一部を国と地方で折半(地方側では、臨時財政対策債を発行)して対応しています。
• 平成27年度には、交付税率(交付税原資である国税の割合)が引き上げられましたが、安定的な地方財政の確保のためには、交付税率の更なる引上げが必要です。
国
交付税等特別会計 一般会計
入口ベース
15.2兆円
国税4税分 14.3兆円
一般会計加算 0.9兆円
臨時財政対策債 3.8兆円
20.5兆円
地方交付税の必要総額
地方 歳出
地方 税収
国税 5税分 地方
交付税
地方 税収
国税 5税分
地方 歳出
原資不足
通 常 時 景気後退時
地方団体の歳出は住民に身近なものが多く、また国に連動して景気対策が求められるため、国・地方双方の税収減に連動した歳出削減は困難
特会借入金の元利償還金充当 ▲0.6兆円
地方交付税 16.7兆円
出口ベース
16.7兆円
地方団体 ≪H28年度≫
国と地方の折半ルールあり
減
減
増
繰越金、地方法人税、公庫債権金利変動準備金等 +2.1兆円
12
財源不足の対応状況
• 交付税原資の慢性的な不足の中で、地方団体も臨時財政対策債による多額の借入を強いられています。
• 返済も地方交付税制度の枠組みの中で処理するため、将来の財政運営に与える影響が心配されます。
13.3 13.9 12.6 10.6 11.2
12.0 12.5 14.6 14.5
11.8 9.5
10.5 10.6 10.8 11.9
13.8 15.0
1.7
3.7 4.9
7.5 5.7 4.9 3.4 0.6 0.9
4.0 7.4
6.9 6.8 6.2 5.0 3.0
1.7
6.4 2.8 2.0
1.4 3.2 5.9
4.2 3.2 2.9
2.6 2.8
5.1
7.7 6.2 6.1 6.2 5.6 4.5 3.8
21.4 21.8 22.8
23.9
21.1 20.1
18.8 17.8 18.2
21.0
24.6 23.5 23.6 23.3
22.5 21.3
20.5
0
5
10
15
20
25
30
H12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
(兆円) 地方交付税総額の推移と財源不足の対応
臨時財政対策債 特会借入 一般会計加算等 法定率分 地方交付税
地方団体の借入
国の加算等
法定5税分
※H14年度までは特別会計で地方団体全体として借入(特会借入)。 H13年度からは臨時財政対策債(個別団体が借入する方式)を併用し、H15年度から臨時財政対策債に一本化。
財源不足額
4.普通交付税の配分 ○普通交付税は、各地方団体ごとに基準財政需要額と基準財政収入額を算定し、その差額である財源不足額を基準に交付されます。
○ただし、現在は交付税原資が不足しているため、基準財政需要額の一部は臨時財政対策債への振替が行われています。
13
財源不足額 (交付基準額)
基準財政需要額 基準財政収入額 = -
普通交付税額
= 交付基準額 - 基準財政 需 要 額
調 整 率 (全国一律)
×
需要額の算定 <各費目ごとに積算>
収入額の算定 <各税目ごとに積算>
単位費用 測定単位 補正係数
標準的な 地方税収
地方譲与税等
× 75/100
×100/100
× ×
※地方財政計画に計上された交付税総額に合わせて、単位費用等が設定されるが、計画策定時点と関連数値に若干の差異が生じてくるため、調整を実施。
普通交付税額
(財源超過額)
基準財政需要額
基準財政収入額
基準財政需要額
基準財政収入額
(25/100=留保財源)
留保財源
留保財源
普通交付税
標準税収入
標準税収入(=標準財政規模)
標準財政規模
不交付団体(東京都等) 交付団体(島根県等)
臨財債相当額控除
臨時財政対策債 発行可能額
実質的な交付税
留保財源
※
基準財政収入額
目的税等
国庫支出金・地方債 ・使用料手数料 等
特定財源でまかなう歳出
14
地方財政計画と普通交付税の関係
• 地方財政計画は、実際の配分時に普通交付税が交付されない地方団体(不交付団体)の財源超過額も見込んだ地方団体の歳入・歳出の総体として策定されています。
留保財源分
特別交付税分
一般財源で行う事業(地方一般歳出)
特別交付税分
基準財政収入額 財源不足額
普通交付税 地 方 税
(標準的な地方税収の75%+地方譲与税等)
※
(同25%)
歳 出
歳 入
基準財政需要額
財源 不足額
基準財政収入額
基準財政需要額
普通交付税を不交付 (不交付団体) 東京都など
普通交付税を交付 (交付団体)
※財源 超過額
※印=不交付団体の財源超過額(水準超経費) 地方団体総体の歳入・歳出が合うように不交付団体の財源超過額も見込んで地方財政計画は策定(ただし、基準財政需要額には含まれない)
地方 譲与 税等
地方財政計画(総額)
普通交付税(配分)
※特別交付税は不交付団体も対象
(臨時財政対策債を含む)
※
基準財政需要額
≪補正係数が必要な理由≫ 段階補正の場合
5.基準財政需要額の算定方法 ○基準財政需要額は、算定項目ごとに定められた単位費用(単価)に、人口等の数量(補正あり)を乗じたものを積算して算定します。
○標準的な人件費・行政経費を算定する仕組みになっており、行革努力をした分だけ財源を他の行政施策に活用することができます。
15
単位費用 基準財政需要額 = × 測定単位 × 補正係数
各費目ごとに算定して積算
需要額
測定単位 (人数等)
需要額
測定単位 (人数等)
人数等が少ない団体でも一定の費用が必要
人数等が多くなるにつれて効率的な運用が可能
[単位費用×測定単位]の場合 [単位費用×測定単位×補正係数]の場合
人数等に 単純比例
標準団体
標準団体での単価 その団体の人数等 団体規模等に応じた乗率
※小規模団体の嵩上げだけでなく、都市化の程度等により嵩上げする補正係数もある。
0 0
段階的に下がるよう補正(補正率<0)
小規模団体ほど高い補正(補正率>0)
標準団体
16
算定項目の種類
算定項目・単位費用は、都道府県と市町村と別に、できるだけ実態に合わせた需要額を補足する仕組みになっています。
項 目 測定単位
警 察 費 警察職員数
土 木 費 道路橋りょう費 道路の面積
道路の延長
河川費 河川の延長
港湾費 係留施設の延長(港湾)
外郭施設の延長(港湾)
係留施設の延長(漁港)
外郭施設の延長(漁港)
その他の土木費 人口
教 育 費 小学校費 教職員数
中学校費 教職員数
高等学校費 教職員数
生徒数
特別支援学校費 教職員数
学級数
その他の教育費 人口
公立大学等学生数
私立学校等生徒数
厚生労働費 生活保護費 町村部人口
社会福祉費 人口
衛 生 費 人口
高齢者保健福祉費 65歳以上人口
75歳以上人口
労働費 人口
項 目 測定単位
産業経済費 農業行政費 農家数
林野行政費 公有以外の林野の面積
公有林野の面積
水産行政費 水産業者数
商工行政費 人口
総 務 費 徴税費 世帯数
恩給費 恩給受給権者数
地域振興費 人口
地域経済・雇用対策費 人口
地域の元気創造事業費 人口
人口減少等特別対策事業費 人口
公債費 <起債額又は償還額>
算定の抜本的な簡素化を図り、交付税の予見可能性を高める観点から、人口と面積を基本とした簡素な算定を行う新型交付税として導入(H19年度~) ①国の義務づけが弱い行政分野等の算定について導入 (基準財政需要額の1割程度) ②人口規模や土地の利用形態による行政コスト差を反映 ③算定項目の統合により個別算定経費の項目数を3割削減 ④離島・過疎など条件不利地域等には地域振興費で対応
2.包括算定経費
α円× 人口 + β円× 面積
人口規模のコスト差を反映
※段階補正を適用
土地利用形態のコスト差を反映
宅地×1.00 耕地 ×2.87 林野×0.60 その他×0.59
1.個別算定経費(都道府県分)
(上記常数は、都道府県の場合)
17
単位費用(法定)の考え方
• 算定項目ごとの単位費用は、都道府県・市町村別に想定された標準団体における行政経費をもとに、地方交付税法で定められます。
• 毎年度の地方財政計画を踏まえて設定されるので、毎年度単位費用の改定(法改正)が行われます。
単位費用 =
標準団体の標準的な歳出 - そのうち国庫補助金等の特定財源
標準団体の標準的な一般財源所要額
標準団体の測定単位の数値
想定されている標準団体
都道府県 市 町 村
人 口 170万人 10万人
面 積 6,500k㎡ 210k㎡
世 帯 数 69万世帯 41千世帯
道路の延長 3,900km 500km
ア 標準団体(人口170万人)の行政規模
例 小学校費(道府県分)の単位費用 … 教職員1人当たり6,210千円
項 目 平成28年度 改善等数 平成27年度
学校数(本校) 380校 ▲10校 390校
教
職
員
数
校 長 380人 ▲10人 390人
教 頭 386人 ▲ 7人 393人
一 般 教 員 5,121人 ▲ 9人 5,130人
事務職員等 515人 ▲ 4人 519人
計 6,402人 ▲30人 6,432人
イ 標準団体経費
歳 出(給与費、旅費等) 52,512百万円
歳 入(国 庫 支 出 金) 12,756百万円
差 引(一般財源所用額) 39,756百万円
標準団体一般財源所要額 =
39,756百万円
標 準 団 体 教 職 員 数 6,402人
= 6,210千円
ウ 単位費用
18
補正の種類
• 単位費用は標準団体について定められたものであり、各団体の行政権能や規模などに応じた需要額を適正に算定するため、各種の補正を行います。
• 算定項目ごとに、必要に応じ複数の種類の補正が適用されます。
種 別 内 容
種別補正 種別ごとの費用の差(例:港湾費について、重要港湾と地方港湾等の差)を算定
段階補正 測定単位の多少による行政経費の増加・減少(規模の経済)を算定
密度補正 ①人口密度等の大小による行政経費の増加・減少(道路橋りょう費等)を算定 ②特定の経費の単位当たり比率の増減差(高齢者保健福祉費等)を算定
態容補正
地方団体の態容(都市化の程度等)による経費の差を算定 ①普通態容補正 ア 行政質量差 …都市化の度合い、隔遠の度合い、農林業地域の度合いによる経費差を勘案 イ 給与差 …地域手当等の給与差を勘案 ウ 行政権能差 …法令に基づく行政権能(保健所設置等)の差を勘案
②経常態容補正 ①以外の経常経費の差 ③投資態容補正 ア 投資補正 …投資的経費の必要度(未整備道路延長比率等)を算定 イ 事業費補正 …実際の財政需要(地方債の元利償還金等)を算定
寒冷補正
寒冷又は積雪の度合いによって割高になる経費の差を算定
①給与差…寒冷地に勤務する公務員の寒冷地手当を勘案 ②寒冷度…寒冷地における暖房用施設等を勘案 ③積雪度…積雪地における道路・建物等に係る除排雪経費等を勘案
数値急増補正
数値急減補正 人口等が急激に増加・減少した団体について経費が割高になる状況を算定
合併補正 平成21年4月2日以降平成22年3月31日までに合併した市町村に対して適用。合併直後に必要となる経費等を算定(合併市町村の人口規模、合併関係市町村の数等を指標に割増算入)
財政力補正 財政力の弱い団体について、算入率を引き上げ(災害復旧費等)
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元利償還金への交付税措置
• 過疎地域などについては、財政力の弱い地方団体でも、必要な社会資本整備などが実施できるよう、地方債を発行して事業を実施し、償還時に交付税措置を行う仕組みが設けられています。
国庫補助金
地方債 ※事業ごとに上限率 (起債充当率=b/a)
利子 元金 1年目
2年目
3年目
4年目
完済
5年目
・・・・・
事 業 費 a(事業費-補助金等)
b
各年度の元利償還金に交付税措置 ※事業ごとに所定率(措置率=c/d)
C(交付税措置) d(元利償還金)
事業実施時
起債償還時
≪算定方法(公債費での場合)≫
[実額算入方式]
千円当たり の措置額 ×
償還額 合 計
毎年度、実際の償還額を調査して算入
測定単位 単位費用
[理論算入方式]…算入方法の簡易化
千円当たり の措置額 ×
年度別 起債額
測定単位 単位費用
起債額に対する平均的な償還額を基礎として設定
× 年度別 補正率
補正係数
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臨時財政対策債(臨財債)の振替
• 交付税額は、臨時財政対策債への振替相当額を控除した後の基準財政需要額に基づく財源不足額で決まります。
• この振替額を上限に各地方団体が臨時財政対策債を発行して、財源不足に対応しています。
財源 不足A
基準財政需要額
基準財政収入額
臨財債 振替①
財源 不足額
基準財政収入額
基準財政需要額
基準財政収入額
臨財債 振替①
基準財政収入額
基準財政需要額
基準財政収入額
臨財債 振替① 基
準財政需要額(
臨財債振替前)
財源 不足額
基準財政収入額
財源 不足B
基準財政需要額
基準財政収入額
臨財債 振替①
振替②
振替②
不足額の一部 基準財政需要額(
臨財債振替前)
基準財政需要額(
臨財債振替前)
普通交付税を交付 (交付団体)
不交付団体(振替後) 不交付団体
臨財債発行可能額 …各地方団体が起債を発行(償還時に100%交付税措置)して交付税の原資不足に対応
臨財債振替額の算定方法(概略)
単 価 人 口 補正係数 × × 振替額① =
財源不足A 振替額② = 振替額②の全国総額
補正係数 × × 財源不足Aの全国総額
財政力指数に応じて逓増
段階補正(人口規模による行政コスト等を補正)
※振替額②は、H22年度算定から導入
6.基準財政収入額の算定方法 ○基準財政収入額は、税目ごとに定められた方法で標準的な収入額を算定(地方譲与税等以外は算入率を適用)したものを積算して算定します。
○標準的な徴収率を上回った部分、超過課税、法定外税等は算入されませんので、これを独自の行政サービスに用いることが可能です。
標準的な地方税収入 ×75/100 + 基準財政収入額 地方譲与税等 =
基準税率
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収入の見込み額と実績の是正(法人税など算定時との乖離が大きいもののみ)
①普通交付税の精算制度 …翌年度以降の基準財政収入額に加算又は減算(3年以内に精算) ②減収補てん債の発行 …見込み額を下回る場合に発行可能(後年度75%交付税措置)
個別税目等ごとに積算
≪算入率が定められている主な理由≫ ①基準財政需要額において全ての財政需要を補足するのは不可能であり、地方団体の
自主性・独立性を保障する必要があるため(25/100相当=留保財源) ②100%算入とすると、地域振興などにより税収を増やす努力をしても、それだけ交付
税が減ることになり、税収確保の努力が意味をなさなくなるため
※各団体独自の税収見込みではなく、客観的数量・全国一律の徴収率で算定。
※地方団体が独自に定めるもの(法定外税・超過税率部分)は算入されない。
※入湯税・都市計画税等の目的税も算入されない。
※地方譲与税・交通安全対策特別交付金などが含まれる。(性質によっては基準税率が適用されるものもある。)
※地方団体の課税努力とは関係なく、一定基準によって交付されるという性質などを踏まえ全額算入。
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地方譲与税の種類
• 地方譲与税は、徴収の便宜等から国が代行して国税として徴収し、地方に譲与する地方税です。
譲与税目
地方揮発油譲与税 (地方道路譲与税を含む)
石油ガス譲与税 自動車重量譲与税 航空機燃料譲与税 特別とん譲与税 地方法人特別譲与税
譲与総額 地方揮発油税収入額の全額
石油ガス税収入額 の1/2
自動車重量税収入額の1/3(当分の間、407/1,000)
航空機燃料税収入額の2/13(H23~H28の間、2/9)
特別とん税収入額の全額
地方法人特別税収入額 の全額
課税標準税率等
製造場からの移出又は保税地域からの引取数量 揮発油に係る税 53,800円/kl
揮発油税 48,600円/kl 地方揮発油税 5,200円/kl
石油ガス充填場からの移出又は保税地域からの引取重量 17.50円/㎏
自動車検査証を受ける車・車両番号の指定を受ける軽自動車 例)乗用自動車 自家用(3年) 12,300円/自重0.5㌧
航空機に積み込まれた航空機燃料の数量 26,000円/kl
※H23~H28の間、 18,000円
開港へ入港する外国貿易船の純トン数
入港ごとに納付する場合 20円/㌧
開港ごとに1年分一時納付する場合 60円/㌧
基準法人所得割額 付加価値割額・資本割額及び所得割額によって課税される法人 税率414.2%
所得割額によって課税される法人 税率43.2%
基準法人収入割額 収入割額によって課税される法人 税率43.2%
譲与団体 都道府県・市町村 (特別区含む)
都道府県・指定都市 市 町 村
(特別区含む) 空港関係都道府県 空港関係市町村
開港所在市町村 都道府県
譲与基準
都道府県・指定都市:58/100 一般国道・高速自動車国道・都道府県の
延長:1/2 面積:1/2
市町村:42/100 市町村道の 延長:1/2 面積:1/2
一般国道・高速自動車国道・都道府県道の 延長:1/2 面積:1/2
市町村道の 延長:1/2 面積:1/2
市町村:4/5 1/2:着陸料収入額
1/2:騒音が特に著 しい地区内の 世帯数
都道府県:1/5 市町村の譲与基準により算定した額
開港への入港に係る特別とん税の収入額に相当する額
1/2:人口 1/2:従業者数 ※譲与額は、譲与総額から財源超過団体の財源超過団体調整額を控除した額を、上記基準により按分した額の合算額(財源超過団体は、当該合算額に個別財源超過団体調整額を加算した額)
譲与基準の補正
人口、道路の種類・形態・幅員による補正 昼間人口の多い地域には別途補正
普通交付税算定に用いる道路橋梁費の測定単位当たりの補正率による補正
道路の幅員及び人口により補正 昼間人口の多い団体については別途補正
着陸料の収入額、空港の管理の態様、空港の所在、騒音の程度等により補正
なし なし
使途 条件・制限なし (地方道路譲与税は道路費用)
条件・制限なし 条件・制限なし 騒音による障害防止・空港対策
条件・制限なし 条件・制限なし
譲与時期 6・11・3月 6・11・3月 6・11・3月 9・3月 9・3月 5・8・11・2月