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本格的議論のための酪農・乳業の課題 平成26年7月 資料5 酪農経営の概況 ・・・・・・・・ 酪農経営のコスト ・・・・・・・ 生乳需給と経営安定対策・・ 酪農経営のまとめ ・・・・・・ 集送乳の合理化 ・・・・・・ 乳業再編・整備 ・・・・・・・ 需要拡大など ・・・・・・・・ 14 21 27 31 34

本格的議論のための酪農・乳業の課題 - maff.go.jp*2放牧は、昼夜放牧、夜間放牧等の様々な放牧形態を含んだものである。 うち搾乳ロボット

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Page 1: 本格的議論のための酪農・乳業の課題 - maff.go.jp*2放牧は、昼夜放牧、夜間放牧等の様々な放牧形態を含んだものである。 うち搾乳ロボット

本格的議論のための酪農・乳業の課題

平成26年7月

資料5

1 酪農経営の概況 ・・・・・・・・

2 酪農経営のコスト ・・・・・・・

3 生乳需給と経営安定対策・・

4 酪農経営のまとめ ・・・・・・

5 集送乳の合理化 ・・・・・・

6 乳業再編・整備 ・・・・・・・

7 需要拡大など ・・・・・・・・

14

21

27

31

34

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北海道 都府県

経営中止予定(10年後) 20.3% 32.3%

規模拡大予定 36% 27%

H25年度加工原料乳確保緊急対策事業のアンケートにおいて、今後3年間の予定を聞取り。そのトレンドが10年間続いた場合の推計値。

✔ 飼養戸数は、北海道では年率約3%・都府県では年率約5%程度で減少。✔ 一方、1戸当たり経産牛頭数は増加してきたが、近年伸び悩み。✔ 今後も高齢化等により、一定割合で経営中止が見込まれる一方、規模拡大を目指す経営も3割程度存在。

○ 飼養動向

○ 今後の見込み

1

資料:農林水産省「畜産統計」

H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26

飼養戸数(千戸)(前年比)

全国 31.0 29.8 28.8 27.7 26.6 25.4 24.4 23.1 21.9 21.0 20.1 19.4 18.6

北海道9.4 9.2 9.0 8.8 8.6 8.3 8.1 7.9 7.7 7.5 7.3 7.1 6.9

▲2.5 ▲2.1 ▲1.8 ▲2.2 ▲2.7 ▲3.3 ▲2.6 ▲2.8 ▲2.2 ▲2.5 ▲3.1 ▲1.9 ▲3.2

都府県21.6 20.6 19.8 18.8 18.0 17.1 16.3 15.2 14.3 13.5 12.8 12.2 11.7

▲4.0 ▲4.6 ▲3.9 ▲5.1 ▲4.3 ▲5.0 ▲4.7 ▲6.7 ▲5.9 ▲5.6  ▲5.2 ▲4.4 ▲4.3

1戸当たり経産牛頭数(頭)

(前年比)

全国 36.3 37.6 37.8 38.1 39.3 39.8 40.9 42.6 44.0 44.4 46.9 47.6 48.0

北海道52.4 54.6 55.1 55.3 57.2 56.8 59.5 62.4 63.6 63.9 68.1 68.1 68.2

+3.5 +4.2 +0.9 +0.4 +3.4 ▲0.6 +4.7 +4.9 +1.9 +0.5 +6.6 ▲0.1 +0.2

都府県29.3 30.0 29.8 30.2 30.8 31.5 31.7 32.5 33.2 33.6 34.9 35.8 36.2

+3.8 +2.2 ▲0.6 +1.1 +2.3 +2.2 +0.6 +2.6 +2.0 +1.2 +4.1 +2.6 +0.9

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✔ 飼養規模別戸数は、北海道で、80頭以上の規模層の割合は着実に拡大し、49頭以下の規模層の割合は減少。✔ 都府県では、79頭以下の各規模層で減少傾向にあるが、100頭以上の規模層はH14年に比べ162戸増加。✔ なお、北海道・都府県ともに80~99頭の規模層は、H19年にかけて増加したものの、H24年には減少。

2資料:農林水産省「畜産統計」:各年2月1日の状況

北海道

都府県

○ 飼養規模別戸数の推移

2,495 

3,250 

4,010 

2,420

2,960 

3,450 

644

804 

750 

1,410

1,010 

910 

0% 20% 40% 60% 80% 100%

H24

H19

H14

1~49頭 50~79頭 80~99頭 100頭以上

6,460 

9,020 

11,790 

5,010 

6,590 

8,440 

365

379 

340 

622

544 

460 

0% 20% 40% 60% 80% 100%

H24

H19

H14

1~29頭 30~79頭 80~99頭 100頭以上

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3

✔✔ つなぎ飼いが飼養農家の7割を占め、フリーストールが約2割まで増加したが、近年は伸び悩み。✔ 搾乳ロボットは約1%まで増加。

(参考)北海道のフリーストール牛舎の導入状況(累計):道庁調べ(年度) ~S63 ~H5 ~H10 ~H15 ~H20 ~H21 ~H22 ~H23 ~H24

戸数 108 439 827 1,188 1,434 1,480 1,508 1,538 1,559

参照)オランダでは17%以上が導入デーリージャパン(2014.7月号)

つなぎ形式 フリーストールミルキングパーラー

ロータリー 搾乳ロボット

イメージ画像

最大飼養頭数(頭)

建築コスト

日本における割合

メリット ・個体ごとの健康状態等の確認が容易・牛1頭当たりの施設面積が小さくて済む

・牛が歩き回るため、搾乳や給餌の労力が少ない

(左記のフリーストールと同じ)・ストールが無く、牛が自由な姿勢がとれる

・搾乳作業の実働が極めて少なくなり、飼養管理時間が削減・搾乳回数が増える(3(回/日)程度)ことにより、乳量が増加

デメリット ・つないだ牛ごとの作業が必要となるため、搾乳や給餌に労力がかかる

・設備投資額が大きくなる・採食時に競合が起こりやすい

・個体ごとの健康状態等の確認が比較的困難

・乳用牛をロボットに馴致させることが必要・乳房、乳頭が汚れやすいフリーバーンには不向き

飼養形態 つなぎ飼いフリーストール

放牧

1戸当たり経産牛飼養頭数

約40頭/戸 約100頭/戸 約100頭/戸 約50頭/戸

キャリロボや自動給餌機等により100頭程度まで可能

一台で約60頭の搾乳可能

1頭当たり平均乳量

約8,500kg/年 約8,900kg/年 約9,100kg/年 約7,600kg/年

飼養形態割合 約7割 約2割 約1% 約3%

メリット ・飼料給与や繁殖確認等の個体管理が容易・牛1頭当たりの施設面積が小さくて済む

・搾乳や給餌の労力が減少、牛のストレスも軽減・発情行動がわかりやすくなる

・搾乳作業の実働が極めて少なくなり、労働時間が短縮・搾乳回数の増加(3(回/日)程度)により、乳量が増加

・牛が自ら採食するため、飼養管理、飼料生産の省力化・購入飼料費の削減

デメリット ・人が動くことが必要であり、搾乳や給餌に労力がかかる

・設備投資額が大きくなる・つなぎ飼いのような個体管理が困難(群管理)

・設備投資額が大きくなる・乳用牛をロボットに馴れさせることが必要

・1頭当たりの乳量が低下・搾乳施設の周辺に、まとまって整備された放牧地が必要

*1 飼養形態には、このほか、つなぎ飼いとフリーストールの併用といったもの(約5%)がある。*2 放牧は、昼夜放牧、夜間放牧等の様々な放牧形態を含んだものである。

うち搾乳ロボット

資料:H24年度乳用牛群能力検定成績から推計

(*1) (*2)

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規模拡大等の支援 経営資源の有効活用

共同利用施設整備

規模拡大を図りつつコスト削減や品質向上に取り組むた

めの畜舎等共同利用施設の整備を支援(強い農業づくり交

付金)

経営資源有効活用対策

雇用促進のため、規模拡大しよう

とする法人経営等に離農農家や後継

者不在農家の畜舎等経営資源を補改

修してリースする取組を支援(強い農

業づくり交付金)

機械のリース導入支援事業

規模拡大に必要な機械等をリース導

入する際の費用の一部を支援(産地活

性化総合対策事業)

畜舎の増改築等

酪農後継者の属する経営体に対し、初妊牛の導入奨励

金(5万円/頭)、性判別受精卵移植費用の補助(10万円上

限)、畜舎の増改築等(1/2補助)

畜舎の増築資材の支給や簡易牛舎、カーフハッチ、哺乳

ロボットを貸付により供給(1/2補助)(ALIC酪農生産基盤

維持緊急支援事業)

乳用牛の有効活用地域内で離農や経営規模を縮小す

る酪農家の乳用牛を地域内で継承す

る場合に3.2万円/頭を交付(ALIC酪農

生産基盤維持緊急支援事業)

○支援概要

4

✔ 強い農業づくり交付金により、規模拡大を図りつつコスト削減や品質向上に取り組むための畜舎等共同利用施設(原則5戸以上)の整備、離農農家や後継者不在農家の畜舎等経営資源を補改修してリースするなどの有効活用を支援。

✔ 共同利用施設の5戸要件は、農家の減少や偏在化・点在化により要件を満たすことが困難になりつつある。✔ 施設整備への支援のほか、個別経営も対象とした機械のリース導入支援を実施。

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5

✔ 全体としては、大規模層ほど生産費は低下。✔ 物材費は、大規模層ほど低下する傾向にあるものの、流通飼料費の上昇等により、北海道の80頭以上の規模階層で増加。

✔ 家族労働費は、一人当たりの飼養頭数が増加するため、大規模層ほど低下。

0

50.0

100.0

150.0

(円/実搾乳量kg)

118.8円

110.6円

93.0円

27.6

59.9

80.9円

14.1

62.2物財費等

78.9円

10.1

65.4

家族労働費

飼養戸数

6,910戸

20頭未満

483戸

(7.0%)

100頭以上

1,320戸

(19.1%)

30~49頭

1,680戸

(24.3%)

20~29頭

352戸

(5.1%)(100%)

700戸

(10.1%)

80~99頭

2,370戸

(34.3%)

50~79頭

83.1円

18.1

59.9

生産コスト

47.833.8

63.0

70.6

8.1

6.2

5.4

5.04.7 3.4

自己資本利子・自作地地代

北 海 道

飼養戸数

11,900戸

20頭未満

3,560戸

(29.9%)

100頭以上

643戸

(5.4%)

30~49頭

3,490戸

(29.3%)

20~29頭

2,360戸

(19.8%) (100%)

329戸

(2.8%)

80~99頭

1,490戸

(12.5%)

50~79頭

42.6

76.9

123.0円

74.1

26.1

103.5円

72.1

96.4円

21.8

74.8

15.2

92.6円

85.7円

10.5

9.5

88.5円

76.7

71.8

都 府 県

3.5

2.6

3.3

2.6

3.5

2.3

資料:農林水産省「畜産物生産費調査」(H24年度)、「畜産統計」(H25年2月1日現在)注)経営コストは、配合飼料費について、配合飼料価格安定制度による補塡金を控除する一方、積立金を加えた農家負担額ベースに修正。

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3,530 3,638 3,677 3,659 3,813 4,115 4,366 3,964 3,969 4,245

4,388

384 349 347 355 352

409 461

418 434 395 349 1,096

1,101 1,025 1,068 1,119 1,183

1,163 1,206 1,228

1,237 1,196

2,688 2,563 2,480 2,443 2,402

2,403 2,343

2,257 2,242 2,210 2,158

1,322 1,313 1,397 1,422 1,417

1,620 1,750

1,678 1,660 1,699 1,628

9,020 8,964 8,926 8,947 9,103

9,730 10,083

9,523 9,533 9,786 9,719

H14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24

(1,511)

(9,536)

(1,143)

1,850 1,851 1,933

1,962 1,995 2,331 2,560 2,342 2,404 2,567 2,651

1,297 1,306 1,339 1,302 1,313 1,314

1,361 1,443 1,364 1,331 1,300

1,077 1,099 1,087 1,184 1,238 1,212

1,267 1,356 1,445 1,466 1,494

2,052 1,978 1,970

1,943 1,881 1,772

1,778 1,748 1,764 1,766 1,777

1,121 1,169 1,227 1,189 1,205 1,281

1,409 1,366 1,250 1,226 1,155 7,397 7,403 7,556 7,580

7,632

7,910 8,375 8,255 8,227 8,356 8,377

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000

9,000

H14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24

全算入生産費(

円/生乳100㎏)

(1,209)

(7,759)

(1,170)

(1,277)

乳 牛 償 却 費

牧草・放牧・採草費

6

✔ 流通飼料費が上昇していることから、生産コストは増加傾向で推移。✔ 特に、北海道は従来、流通飼料費の割合が低かったが、配合飼料給与量の増加もあり、流通飼料費の伸びが顕著。また、乳牛の供用期間の短縮化もあり、乳牛償却費が北海道・都府県ともに上昇。

(365)

労 働 費

そ の 他

流 通飼料費

資料:農林水産省「畜産物生産費」

注1:H19年度から、税制改正に伴う減価償却費の見直しにより、減価償却算出方法を変更した。

2:( )内の数値は税制改正前の減価償却計算方法により算出した。

○生乳100kg(実搾乳量)当たり全算入生産費の推移

[都府県][北海道]

年度年度

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2,651 2,316 

2,636  2,475  2,317 2,809  2,928 

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

4,500

5,000

平均 1~20頭未満 20~30 30~50 50~80 80~100 100頭以上

北海道4,388  4,492  4,397  4,224 

4,531 4,214 

4,495 

平均 1~20頭未満 20~30 30~50 50~80 80~100 100頭以上

都府県○ 規模別流通飼料費(H24年度 実搾乳量100kg当たり)

流通飼料費(円/生乳100㎏)

○ 粗飼料と濃厚飼料の給与割合(TDNベース)の推移

北海道

TDN(Total Digestible Nutrients):家畜が消化できる養分の総量。カロリーに近い概念。1TDNkg≒4.41Mcal

粗飼料 : 乾草、サイレージ、稲わら等

濃厚飼料 : とうもろこし、大豆油かす、こうりゃん、大麦等

資料:農林水産省「畜産物生産費」

年度

都府県

資料:農林水産省「畜産物生産費」年度

42%濃厚飼料

45%46%

58%粗飼料55%

54%

0%

20%

40%

60%

80%

100%

H13 H18 H23

58%濃厚飼料

63% 63%

42%粗飼料37% 37%

0%

20%

40%

60%

80%

100%

H13 H18 H23

✔ 都府県では、飼養規模と流通飼料費との間に明確な傾向はないものの、北海道ではバラツキがあり、大規模層で高くなる傾向。

✔ 北海道では濃厚飼料の給与割合は微増傾向。

7

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✔ 経年劣化等により生産性が低くなった草地では、草地更新によりTDN収量が6割増加すると試算。✔ 集約的な放牧の活用により、舎飼に比べて購入飼料費が約2割低減すると試算。

✔ 都府県において現在のコストで飼料全体における国産粗飼料割合が10 %向上した場合、飼料費が5%、生産コスト全体で2%低減すると試算。

※ 経産牛60頭、個体乳量8,500 kg、農業従事者数3人とし、およそ7ヶ月間放牧した場合の試算(「集約放牧導入マニュアル(平成20年3月)」より)

従事者1人当たりの労働時間(放牧期間中の1ヶ月平均)

239205

0

100

200

300

舎飼 集約放牧

時間(h)

1頭当たりの購入飼料費(左)と所得額(右)

119

2428

0

10

20

30

舎飼 集約放牧

万円

2 放牧の活用による飼料費の低減(試算)1 草地更新による経営コストの低減(試算)

草地更新後の単収(生草)の推移

0

1

2

3

4

1 2 3 4 5 6 7 8(改良後年数)

生産性の低い草地

北海道酪農

経産牛 80 頭草地面積 63 ha

草地 63ha のうち 15ha を更新

○元の所得額 506万円○コスト削減 164万円○所得増割合 32%

【所得増加効果の試算】

TDN収量は6割増加更新前 更新後

生草収量(kg/10a) ① 2,496 3,725

生草TDN率(%) ② 10.5 11.3

TDN収量(kg/10a) ①×② 261 422

8%増加49%増加

合計62%増加

○草地更新に要した経費は2年間で回収が可能

・更新経費(H22年平均)24,000円/10a

・更新後2年目までの経営節減効果33,647円/10a

増収量

3 自給飼料拡大における生産費の低減(試算)

14.4%

24.4%

国産38.9%

輸入61.1%

粗飼料37.0%濃厚飼料63.0%

【前提】 都府県において現在のコストで飼料全体における国産粗飼料割合が10%向上した場合の試算

81円/TDNkg ・・・①

70円/TDNkg ・・・②

○飼料全体における国産粗飼料割合10%向上で粗飼料費11円/TDNkgの低減( ①-② )○搾乳牛1頭当たり飼料費では

19,209円の低減

【都府県】搾乳牛1頭当たり生産費(単位:円)

資料:「平成23年度畜産物生産費調査」

・・・2%の低減

・・・5%の低減

資料:「平成23年度畜産物生産費調査」、「日本標準飼料成分表2009年」により推計

物材費

うち飼料費

費用合計

643,900

384,719

827,160

区 分 生産費

624,691

365,510

807,951

低減後

飼料全体における国産粗飼料割合

粗飼料37.0%国産65.9%

輸入34.1%

濃厚飼料63.0%

粗飼料の費用価

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9

北海道 都府県

H24

出生頭数 171,440頭 92,858頭

死亡頭数 6,559頭 1,248頭

死亡率 3.8% 1.3%

H22 死亡率 3.3% 1.4%

H20 死亡率 3.0% 1.5%

○ 出生頭数に対する0ヶ月齢の死亡割合

資料:(独)家畜改良センター「牛個体識別全国データベースの集計結果」

(参考)乳牛の限界温度下 限 上 限

仔 牛 13℃ 26℃

育成牛 -5℃ 26℃

乾乳牛 -14℃ 25℃

搾乳牛 -25℃ 25℃

資料:(社)農山漁村文化協会「生産獣医療システム乳牛編1」

✔ 乳牛の供用期間は、近年、短縮傾向にあるが、その延長は、乳牛償却費の低減や生涯生産量の増加に寄与。✔ 乳器障害、繁殖障害、肢蹄故障等による廃用を避けるため、飼養・衛生管理技術の向上が重要。✔ 都府県では0ヶ月齢の死亡率が改善しているが、乳牛の死亡事故は出生後1ヶ月間が高いことから、子牛の飼養・衛生管理技術の向上も重要。

(供用期間改善のためのポイント例)・ボディコンディション(過肥や削痩)の観察・適切な削蹄・乳房の汚れ除去など乳房炎予防 等 5%

10%15%20%25% 除籍理由別比率○ 供用期間

○ 乳雌牛の死亡月齢

H24年度月齢別死亡率の推移

月齢

死亡率=H24年度月齢別死亡頭数÷(H25年3月末の飼養頭数×12月)資料:(独)家畜改良センター「牛個体識別全国データベースの集計結果」

初産

1ヶ月未満

3産以降

H14

H19

H24

平均除籍産次 4.2 4.0 3.5

資料:H24年度乳用牛群能力検定成績から推計

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0

10

20

30

40

50

初産 2産 3産 4産 5産 6産

北海道 都府県

10

○ 産次別の1日当たり乳量 ○ 産次別の乳汁中の体細胞数

○ 体細胞数に関する基準

(kg)(万/ml)

✔ 乳用牛は3産から4産次にかけて最も泌乳量が増加し、その後漸減。他方、乳汁中の体細胞数は産次を経るほど増加。

✔ 指定生乳生産者団体は、乳房炎の早期発見などにより乳質の向上等を図るための指標として、乳汁中の体細胞数を30万/ml以下とする自主基準を設定。この基準は乳房炎防止の面で一定の効果があるが、一部で産次の進んだ乳用牛の有効活用のハードルとなっていると言われている。

✔ 体細胞数の基準を、米国では75万/ml以下、EU、NZでは40万/ml以下としている。我が国においても、乳用牛頭数が減少する中、基準の設定によっては、乳用牛の産次の延長に寄与する面もあることから、乳用牛の能力の発揮と乳牛償却費の削減、生乳への安定供給の観点から、そのあり方を再度検討することが必要。

体細胞数

日 本 30万/ml 指定団体ごとに独自に設定

米 国 75万/ml 国が定めたガイドラインで規定

E U 40万/ml EU指令により規定

N Z 40万/ml 乳業各社が独自に設定

資料:(一社)家畜改良事業団調べ

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6,500

7,000

7,500

8,000

8,500

10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24

全国北海道都府県

全 国: 8,153kg (前年比:+1.5%)北海道: 8,018kg (前年比:+0.4%)都府県: 8,305kg (前年比:+2.7%)

年度H

○ 我が国の経産牛1頭当たり乳量(kg)

出典:ICAR加盟国の牛群検定実施状況(305日乳量、家畜改良事業団)

✔ 経産牛1頭当たり乳量は増加傾向で推移。H22及び23年度は、22年の猛暑の影響等により減少したが、24年度は再び増加。✔ 1頭当たり乳量の向上は生産コストの低減に有効であることから、濃厚飼料の過度な給与を回避しつつ、乳用牛の能力を充分に発揮できる飼養管理が重要。

✔ このためには、牛群検定成績の活用が経営改善を図る上でも有効。

○ 各国の乳用牛1頭当たり乳量(kg)・ 各国の牛群検定の結果を比較すると、乳量に特化した取組(米国)や放牧に適した取組(ニュージーランド)もみられ、各国の実需に応じ、乳牛改良を推進。・ 我が国の牛群検定加入率は、諸外国と比べ低く、乳量の伸び悩みの一因とも考えられる。

資料:農林水産省「畜産統計」、「牛乳乳製品統計」より推計

6,830

9,038

6,000

7,000

8,000

9,000

10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24

(Kg)

差 2,208(kg)

牛群検定参加牛

差 1,552(kg)非検定牛

○ 牛群検定の参加牛と非検定牛の乳量比較(経産牛1頭当たり年間生産量)

・乳量・乳質、繁成績等の牛1頭ごとの記録を収集・分析し、その結果を、農家にフィードバック。・その情報は、飼養(健康)管理、繁殖管理、乳質・衛生管理、遺伝的改良という面で経営改善に有効。

年間305日成績 ・・・ ①乳量

・・・・・・ ・・・ ・・・・

平均又は合計 ・・・ 9,102kg

分娩間隔 ・・・ ③分娩間隔

平均又は合計 ・・・ 400日

月②経産牛1頭当たり年間成績

乳量 ・・・・

今月 8,869kg

・・・・

検定日成績

・・・1kg単価

④乳価 濃厚飼料

今月 ・・・ 90円

・・・・

(経産牛1頭当たりの繁殖遅延による損失)年間収入の減収:21.0千円=(9,102kg-8,869kg)×90円1日当たりの損失:600円=21.0千円÷(400日-365日)

H

○ 牛群検定成績を活用した繁殖遅延による損失の試算(例)

*1年1産を目指す経営の繁殖成績が良好な場合、①と②は、ほぼ同一になるため、(例)の場合、①から②を減算した233kgが、繁殖遅延による損失とみなすことができる。

(参考)牛群検定のメリット

H14 H18 H23 検定農家(H23)

日本 8,995 9,162 9,214 48.4%

米国 9,621 10,007 10,289 (非公表)

カナダ 9,511 9,481 9,774 75.8%

韓国 8,761 9,271 9,672 54.2%

オランダ 7,972 8,429 8,574 85.0%

ニュージーランド 4,895 5,018 5,415 73.9%

資料:(社)家畜改良事業団推計

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1 労働時間の推移 2 労働時間の削減のための手法

・ フリーストールミルキングパーラー・ 搾乳ロボット、自動給与機械、ほ乳ロボット・ TMRセンター、酪農ヘルパー、コントラクター・ 放牧 等

北海道の例

1人当たり家族労働時間

1戸当たり家族労働時間

H14年度 1,952 5,466

H19年度 1,941 5,242

H24年度 2,077 5,817

資料:農林水産省「牛乳生産費」より算定

○ 家族労働時間の推移

✔ 労働時間は、飼養頭数の増加により搾乳牛1頭当たりでは減少しているものの、経営全体では増加傾向。✔ 労働時間削減に向け、飼養管理の省力化につながる機械等の導入、コントラクターなどの支援組織や放牧の活用等を進めることが重要。

3 事例搾乳ロボット、自動給餌機等を活用し、飼養管理の省力化を図っている事例(愛知県)

・ 乳牛頭数は、約200頭。自動給餌機の他、搾乳ロボットを3台導入し、飼養管理を省力化。

・ 省力化によるゆとりから乳雄の育成・肥育も手がけている。

・ ふん尿を自動スクレーパーにより自動搬出し堆肥を生産。

H

H

H

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■ 地元JA、企業、自治体が協力した例(北海道)

・ 地元農協が主体となり、企業や自治体が協力し、農協出資型酪農事業体を設立。生乳生産の増大、新規就農や若手後継者ら担い手の育成、技術継承を図る。(27年4月からの生産開始を目指す)

*企業は草地管理などに技術協力。

13

2 酪農経営の法人化の状況(H23年)

3 地元企業、JA等参入事例

資料:(社)中央酪農会議「酪農全国基礎調査」

・ 地域の生産基盤を維持していくため、地元JAと建設業等を含む地元企業10社との共同出資により法人を設立。

・ 異業種の企業に酪農の経営手法を伝え、将来的には、地域内で引き受け手のいない離農跡地等を継承させていく方針。

・ 粗収益は、17年に策定した経営展望(法人経営)の水準を上回る。

■ 地元JAと複数の地域企業との共同出資法人により、地域の生産基盤を維持する例(北海道)

1 法人化のメリット○経営上のメリット

・ 経営管理能力の向上 ・ 対外信用力の向上

・ 経営発展の可能性の拡大 ・ 農業従事者の福利厚生面の充実

・ 経営継承の円滑化

○地域農業としてのメリット・ 新規就農や雇用の受け皿

○制度面でのメリット・ 税制 ・ 融資限度額の拡大

✔ 酪農における法人経営の割合(H23年)は全国で約13%で、H13年の4.4%から3倍に増加。✔ 北海道、都府県ともに大規模層ほど、法人経営の占める割合は高い。✔ 最近では、JAや企業等が出資した法人による酪農生産基盤の維持の観点からの経営の事例もみられる。✔ 法人化に当たっては、労務管理等の経営・事務処理能力や投資規模の増大等の課題もあることから、これらを十分念頭に置いて取り組む必要。

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✔ この10年間で飲用向け供給量は約100万㌧減少。国際化の進展に対応し、液状乳製品(生クリーム、脱脂濃縮乳)の生産を拡大したこともあり、加工原料乳は約30万㌧減少する一方で、生クリーム等は約35万㌧増加。チーズは需要が伸びていることもあり約20万㌧増加。

乳価(取引価格)

75 70

北海道54万㌧

都府県347万㌧

国内の生乳生産量 761万㌧110円/kg

飲用牛乳等向け401万㌧

生産コスト

生クリーム等128万㌧

加工原料乳175万㌧

11 117 33 142

24

24

乳価(取引価格)

北海道54万㌧

都府県397万㌧

飲用牛乳等向け451万㌧

加工原料乳196万㌧

生クリーム等105万㌧

10 94 35 161

19

19

乳価(取引価格)

北海道47万㌧

都府県458万㌧

飲用牛乳等向け505万㌧

生クリーム等92万㌧

加工原料乳205万㌧

78

14

14

100円/kg

国内の生乳生産量 838万㌧

国内の生乳生産量 802万㌧

生産コスト

チーズ28万㌧

1 40

チーズ41万㌧

50

1 48

チーズ49万㌧

生産コスト

100円/kg

70

4560

178260 2814

6045

70

※ このほか、自家消費等に仕向けられたものがある。

※ 用途別の乳価(取引価格)は、各年度の代表的な水準を示したもの。※ 総供給量は、輸入乳製品を含む。

資料:農林水産省「牛乳乳製品統計」、(独)農畜産業振興機構「受託生乳数量等」、(一社)中央酪農会議「用途別販売実績」

総供給量1,210万㌧総供給量1,210万㌧

総供給量1,270万㌧総供給量1,270万㌧

総供給量1,260万㌧総供給量1,260万㌧

14

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0

100

200

300

400

500

H14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25300

400

500

600

700

800

900

H14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25

成分調整・加工乳

はっ酵乳

0

100

200

300

400

500

600

H14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25

○ 生乳の生産量の推移

万トン

資料:農林水産省「牛乳乳製品統計」、 (独)農畜産業振興機構「受託生乳数量等」、(一社)中央酪農会議「用途別販売実績」

万キロリットル

✔ 生乳の生産量は、近年おおむね減少傾向で推移。

✔ 牛乳等の生産量は、牛乳が減少する一方、乳飲料及びはっ酵乳が増加。

○ 生乳の用途別処理量の推移 ○ 牛乳等の生産量の推移

万トン

0

全 国

都府県

北海道

牛乳等向け

バター・脱粉等向け

クリーム等向け

チーズ向け

牛 乳

乳飲料

年度 年度 年度

15

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資料:中央酪農会議「用途別販売実績」

✔ 国際化の進展に対応し、保存性や輸送性の面から輸入乳製品と競合のおそれが少ない液状乳製品(生クリーム、脱脂濃縮乳)の生産及び需要の拡大を推進。

✔ 加工原料乳向け生乳処理量が低下する一方で、液状乳製品向け生乳処理量は順調に拡大し、需要が定着。✔ 近年、生乳生産量が停滞する中で、液状向けが増加していることから、加工向けの確保が困難な状況も発生。

1 液状と加工の比較

2 これまでの事業の実施状況

○ 国際化の進展に対応し、生クリーム等液状乳製品向け生乳の拡大により輸入乳製品との競合回避による需給の安定を図るため、生クリーム等生産拡大促進事業等(H7~22年度)により、拡大分に対して奨励金を交付。

○ 液状乳製品向け生乳が十分に拡大し、定着したため、補助事業については、今後も需要の伸びが期待できるが乳価が低いチーズ向け生乳の拡大に対策を集中するため22年度で発展的に終了。

液状乳製品 粉乳・バター

保存性(貿易適性)

低い(適さない)

高い(適している)

用 途 ・生クリームは生菓子等付加価値商品向けに利用しバターと棲み分け・脱脂濃縮乳は脱脂粉乳とほぼ同一用途

メリット 風味が良い可逆性が高い

輸送性が良い

デメリット 輸送性が良くない 風味が良くない

2 生乳処理量の推移

乳製品向け(加工原料乳、チーズ・液状乳製品向け含む)

液状乳製品向けチーズ向け

飲用等向け

加工原料乳向け

(千㌧)

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6,625 7,397 7,403 7,556 7,580 7,6327,910

8,3758,255 8,227 8,356 8,377

7,1006,800 6,750 6,750 6,750 6,750 6,750

7,1807,550

7,250 7,3007,550

6,2395,889 5,886 5,886 5,866 5,796 5,796

6,329

6,696 6,696 6,7967,096

6,345 6,3456,100 6,100

5,796 5,796

6,4296,796 6,696 6,796

7,096

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000

9,000

H8 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24

全算入生産費(円/生乳100㎏)

自己資本利子・自作地地代

家族労働費

物財費等

全算入生産費

生クリーム乳価

加工原料乳価

脱脂濃縮乳価

17

✔ 生菓子向け等バターでは代替できない商品特性がある生クリーム向け生乳は、加工原料乳価(脱・バ等向け)に比べて高値で取引されてきたが、近年、価格差は減少傾向。

✔ 脱脂粉乳と用途がほぼ同一である脱脂濃縮乳向け生乳は、以前は加工原料乳価(脱・バ等向け)よりも高値で推移していたが、近年は同程度で推移。

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✔ チーズは、需要が拡大している一方、輸入チーズが国内消費量の約8割を占め、かつ輸入乳製品全体の7割弱を占めていることから、可能な限り国産に置き換えていくための取組を着実に進めていくことが必要。

✔ 特に輸入チーズの中でも、その約7割を占める直接消費用のナチュラルチーズ、特にフレッシュチーズを置換えの対象として想定。

✔ なお、置換えに当たっては、チーズは国境措置が関税(29.8%)のみであり、乳価も仕向けの中で一番安いことを踏まえる必要。

18

0

50

100

150

200

250

300

H14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25

36 35 33 39 40 43 43 45 46 45 47 49

196 204 216 207 214 220180 192 199 222 238 230

千トン

年度

輸入量 国内NC生産量

○ チーズの需要動向(国産・輸入)の内訳

北海道においてチーズ向け生乳の供給拡大を選択

19年度末から大手乳業3社(明治、雪印、森永)のチーズ工場が順次稼働

ナチュラルチーズ:昭和26年から輸入自由化プロセスチーズ : 昭和63年の日米合意を受けてH元年から輸入自由化

資料: 牛乳乳製品課「チーズの需給表」

○ H25年度のチーズ需給

国産4.9万トン(自給率18%)

輸入23万トン

資料:国産:牛乳乳製品課「チーズの需給表」

輸入:財務省「貿易統計」

【輸入】 フ

レッシュチー

ズ(7.7万t)28%

【輸入】熟成

チーズ(8.4万t)

30%

【国産】直接

消費用ナ

チュラルチー

ズ(2.3万t)8%

【国産】プロ

セスチーズ

原料用ナ

チュラルチー

ズ(2.6万t)9%

【輸入】プロ

セスチーズ

原料用ナ

チュラルチー

ズ(5.6万t)20%

【輸入】粉

チーズ・プロ

セスチーズ

(1.4万t)5%

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✔ 乳製品は保存が利き、需給調整の役割を果たしているが、輸入品との競合に晒されている。✔ 現行の制度は、保存性があり需給調整機能が高い乳製品向け生乳に対象を絞り、交付対象数量を設けて補給金等を交付することにより、生乳需給全体の安定を図り、全国の酪農家の経営安定を図っているところ。

✔ なお、H26年度から加工原料乳に新たにチーズ向け生乳を含め、加工原料乳の生産者に補給金を交付。

乳価(取引価格)

※ このほか、自家消費等に仕向けられたものがある※ 用途別の乳価(取引価格)は、H25年度の各用途の代表的な水準を示したもの※ 対策の金額は、26年度予算額(所要額)

持続的酪農経営支援 (62億円)

加工原料乳生産者経営安定対策

加工原料乳生産者補給金(311億円)

国内の生乳生産 745万㌧

19

115

75 70

北海道都府県円/kg

飲用牛乳等向け396万㌧

生産コスト

生クリーム等130万㌧ チーズ

48万㌧

脱脂粉乳・バター等160万㌧

生産者団体、 乳業 メ ー カ ー間で用途別に取引

50

都府県

北海道

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補塡基準価格(過去3年平均)

全国平均取引価格

a

年度

a+1

年度

a+2

年度

a+3

年度

差額差額×8割を補塡

加工原料乳価格(脱・バ等向け及びチーズ向け)が下落した場合の経営への影響緩和を目的に、生産者と国が拠出(1:3)して造成した積立金から補塡。

加工原料乳生産者経営安定対策加工原料乳生産者補給金制度

(所要額:311億円)

乳業者の支払分(買取価格)

政府からの交付分

脱脂粉乳・バター等向け

生乳価格

補給金

生産者の手取り

チーズ向け生乳価格

補給金

生産者団体と乳業者との交渉で

決定

補給金単価及び交付対象数量は毎年度決定

H26年度から加工原料乳に新たにチーズ向け生乳を含め、加工原料乳の生産者に補給金を交付。

26年度:脱脂粉乳・バター等:単価12.80円/kg、交付対象数量:180万トンチーズ:単価15.41円/kg、交付対象数量: 52万トン

持続的な経営を行う酪農家(飼料作付面積を確保し環境負荷軽減に取り組んでいる者)に対し、飼料作付面積に応じた交付金を交付。

○ 対象者の要件

・飼料作付面積が、北海道40a/頭以上

都府県10a/頭以上

・ 環境負荷軽減に取り組んでいること

○ 交付金単価:飼料作付面積1ha当たり15千円

持続的酪農経営支援事業(62億円)

20

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65

70

75

80

85

90

95

100

105

H14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25

プール乳価(

円/㎏)

21

✔ 配合飼料の高騰を踏まえH20年度より、飲用・乳製品とも生産者乳価が引き上げられ、その後も増加傾向で推移。✔ 生産コストの上昇を受け、加工原料乳生産者補給金(チーズ含む)も近年上昇。

※ プール乳価(総合乳価)とは、生乳取引価格(飲用向け乳価及び乳製品向け乳価)と加工原料乳生産者補給金等をプール計算したもの。相対的に乳価の高い飲用向けの割合が低下するとプール乳価は低下する。

資料:牛乳乳製品課調べ 年度

✔ 生乳取引価格は、指定生乳生産者団体と乳業メーカーとの交渉により、生乳の需給状況、生乳の生産コストの変動等をおおむね反映して決定。

✔ プール乳価※でみると、H19年度からの配合飼料価格の高騰を受け、H20年度に飲用・乳製品とも生乳取引価格が

引き上げられ、その後も増加傾向で推移。

円安等による配合飼料及び輸入粗飼料価格の上昇を受け、飲用等向け乳価(10月から約5円)を引き上げ

配合飼料価格の高騰を受け、飲用等向け(約10円)及び加工原料乳向け乳価(約4円)を引き上げ

配合飼料価格の上昇を受け、飲用等向け(約3円)及び加工原料乳向け乳価(約5円)を引き上げ

生乳需給の緩和を受け、飲用等向け(約1~2円)及び加工原料乳向け乳価(約40銭)等を引き下げ

都府県

全国

北海道

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22

北 海 道 都 府 県

生乳取引価格

14年度 19年度 24年度 14年度 19年度 24年度

補給金等(注1)

70.5

プール乳価

65.6

6.2

71.8円

83.0円

76.7

6.3

92.4円 89.4円

100.2円

91.688.3

1.1

99.1

1.20.8

資料:農林水産省「畜産物生産費調査」他より牛乳乳製品課試算注1)補給金等には、加工原料乳生産者補給金のほか、生クリーム等需要拡大事業、酪農安定特別対策事業、生乳需要構造改革奨励金交付事業の交付額を含む。注2)物財費等は、配合飼料費について、配合飼料価格安定制度における補塡金を控除する一方、積立金を加えた農家負担額ベースに修正。

物財費等

48.6

生産コスト

自己資本利子・自作地地代

78.5円

5.5

4.4

62.6

83.2円 3.1

61.8

89.8円3.2

21.6

94.6円 2.8

74.2

96.3円

0.0

60.0

100.0

80.0

40.0

20.0

6.9

✔ 24年度における補給金等は、北海道で6.3円(プール乳価の7.6%)、都府県で1.2円(同1.2%)であり、乳業メーカーから受け取る生乳取引価格がプール乳価の大半を占めている。

✔ 近年の酪農経営の収支をみると、19年度は、配合飼料価格の高騰により生産コストのうち、家族労働費をわずかに下回る状況であったが、その他はプール乳価が生産コストをほぼ上回っている状況。

(円/実搾乳量kg)

家族労働費19.8

56.9

16.0

16.2

24.9

69.7

19.3

5.3

77.4円 73.7円

73.0

91.3

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99.11.2

100.2円

23

✔ 24年度において、収支性を規模別に見ていくと、平均飼養頭数(北海道;72頭、都府県;38頭)以上の経営体では、プール乳価で生産コストをほぼ賄える水準。

飼養戸数11,900戸

20頭未満

3,560戸

(29.9%)

100頭以上

643戸

(5.4%)

30~49頭

3,490戸

(29.3%)

20~29頭

2,360戸

(19.8%) (100%)

329戸

(2.8%)

80~99頭

1,490戸

(12.5%)

50~79頭

42.6

76.9

123.0円

家族労働費は賄えている状態

74.1

26.1

103.5円

72.1

96.4円

21.8

経営コストは賄えるが家族労働費は賄えない状態

74.8

15.2

92.6円

85.7円

10.5

9.5

88.5円

76.7

71.8

都 府 県

3.5

2.6

2.6

3.5

2.3

3.3

資料:農林水産省「畜産物生産費調査」(H24年度)、「畜産統計」(H25年2月1日現在)注)物財費等は、配合飼料費について、配合飼料価格安定制度による補塡金を控除する一方、積立金を加えた農家負担額ベースに修正。

経営コストは賄えるが家族労働費は賄えない状態

0

50.0

100.0

150.0

(円/実搾乳量kg)

118.8円

110.6円

93.0円

27.6

59.9

80.9円

14.1

62.2物財費等

78.9円

10.1

65.4

家族労働費

飼養戸数6,910戸

20頭未満

483戸

(7.0%)

100頭以上

1,320戸

(19.1%)

30~49頭

1,680戸

(24.3%)

20~29頭

352戸

(5.1%)(100%)

700戸

(10.1%)

80~99頭

2,370戸

(34.3%)

50~79頭

83.1円

18.1

59.9

家族労働費は賄えている状態

北 海 道生産コスト

47.8

63.0

70.6

83.0円

76.7補給金等6.3

生乳取引価格

8.1

6.2

5.4

5.04.7 3.4

自己資本利子・自作地地代

33.8

プール乳価プール乳価

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✔ 加工原料乳生産者補給金制度、指定団体制度、用途別取引等により、北海道、都府

県ともに飼養頭数が平均以上の経営体で、プール乳価で生産コストをほぼ賄える水準と

なっており、これらの制度等は有効に機能しているものと評価。

✔ 一方、生乳生産が減少傾向にある中、液状乳製品及びチーズ需要が増加し、加工原

料乳が減少していることから、生産・需給環境を踏まえた適切な配乳調整のあり方を検

討することが必要。

✔ 都府県では、用途別取引等により生産コストを上回る水準でプール乳価を維持できて

いるものの、生産コストの大きな部分を占める流通飼料費の低減や、家畜排せつ物の利

用の促進を図る観点から、更なる自給飼料の生産・利用の拡大が必要。

24

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持続可能な酪農経営

(4-5)酪農経営のまとめ(今後の酪農経営に関し考慮すべき事項(イメージ))

✔ 持続可能な酪農経営を確立するため技術や飼料など様々な対応すべき事項が存在し、相互に関係していることから、地域における一体的な取組が必要。

25

指定団体制度

用途別取引

加工原料乳生産者補給金制度

新たな需給構造に応じた需給調整方法の検討

労働時間減

生産コスト減

経営中止酪農家の資源有効利用

農外資本参入

放牧酪農コントラクター

草地更新

自給飼料増産

後継者・新規就農

支援組織

担い手

投資コスト減

規模拡大

農協出資法人

TMR

需給

経営力

融資

環境

酪農ヘルパー

牛群検定

供用期間延長

飼養管理技術水準の向上

家畜改良

各種機械消費拡大

乳業再編

性判別技術

乳量増

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(参考)高収益型畜産体制の構築(一体的な取組の例)

✔ 農家戸数や飼養頭数の減少など畜産・酪農の生産基盤の弱体化が懸念されている中、足腰の強い高収益型の畜産・酪農を創出していくことが課題。

✔ このため、畜産農家をはじめ、地域に存在する各関係者が有機的に連携・結集し、地域ぐるみで収益力向上を図る体制(畜産クラスター)を各地に展開し、コストの削減や付加価値の向上・需要の創出を目指す取組を支援。

このような事例を全国各地の畜産・酪農で展開するため

○ 放牧(生産コストの低減、高付加価値化)○ 旨味成分に着目した食肉生産○ 情報共有と指導体制の再構築○ キャトルステーションを活用した地域内一貫経営○ 地元企業等の畜産・酪農関係への参入促進○ 地域資源を利用した飼料費の低減と飼料自給率の向上○ 衛生管理の強化、栄養機能の向上等に関する取組の推進○ 環境対策の強化と耕畜連携による堆肥等の有効活用等の新たな取組の実証を支援。

地域ぐるみで高収益型の畜産体制を構築

<生乳生産状況(対前年比)>

102.8 105.3

%左の事例

の地域

94

96

98

100

102

104

106

22 23 24

B地域

C地域

A地域

年度

酪農家

酪農技術酪農技術センター 支援組織により、生産コスト

の低減や規模拡大等を支援

NOSAINOSAI

(獣医師)

品質が管理された良質な生乳生産ブランド力の確保

高品質な乳製品を製造する乳業と連携

指導

農業士

町町

普及センター

育成牧場

<畜産クラスターの優良事例>

畜産畜産

コンサルタント

コントラクター情報共有

建設事業者等

酪農

ヘルパー組合

生乳生産量が、

近隣の他地域と比べ増加

高収益型畜産体制構築事業 69百万円(-)

26

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生産者

県 連

指定団体

単協

県農協

単協

・・

・・

販売委託

販売委託

販売委託

会員

孫会員

資料:牛乳乳製品課調べ

注 :沖縄県酪農協、任意組合。酪農専門農協以外の専門農協及び員外利用組合を除く。

✔ 都府県の指定団体は、H12年度に、集送乳の合理化、広域での余乳調整と乳価交渉力の強化等を目的として広域化。✔ 出荷経費は、孫会員(単協)から会員(県団体)を経由して販売委託される3段階の方が高くなる傾向にある。このため会員、孫会員の再編に取り組み、12都県で1県1団体を実現したが、近年、団体の再編が停滞している地域があることを踏まえ、再編を

一層推進するための方策の検討が必要。

1県1団体

東京、山梨、愛知、奈良、鳥取、岡山、広島、徳島、福岡、佐賀、大分、鹿児島

(12都県)

8.37円/kg 7.38円/kg

1.15  1.20 

5.93 5.00 

0.30 

0.18 

0.92 

1.00 

0.00

5.00

10.00

生乳1kg当たり出荷経費の比較事例

3団体経由

①販売手数料

②集送乳等経費

③乳質検査費

④団体拠出金等

(円/kg)

資料:牛乳乳製品課調べ

2団体経由

27

① ①①

131

78

117

69

42 44

11

39

85101

65

86

5039 36

11 15

39

0

20

40

60

80

100

120

140指定団体別単協数の推移

H14年度末 H24年度末

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582

1152

99

402

182295

132

659

0

1000

2000指定団体別受託乳量の推移

H14年度 H24年度

3826

0

1000

2000

3000

4000

✔ 酪農家戸数は都府県を中心に10年間で4割程度減少。一方、単協の数は戸数の減少割合ほどは減少していない状況。指定団体の受託乳量も減少傾向で推移し、飲用牛乳向け等の用途別取引乳量の比率は指定団体ごとに違いがあり、プール乳価水準の差の要因となっている。

✔ 広域化後の受託農家戸数・乳量、用途向け比率、プール乳価水準等の変化を踏まえ、集送乳の合理化や価格交渉力の向上等の指定団体機能を強化するための方策についての検討が必要。

資料:牛乳乳製品課調べ

指定団体別の用途別販売比率の推移

資料:(一社)中央酪農会議調べ

H14/H24

0%

20%

40%

60%

80%

100%その他

特定乳

製品

飲用牛

(千トン)(千トン)

28

0

20

40

60

80

100農家戸数 単協数

地域別酪農家戸数及び単協数の推移(H14年度を100とした場合)

7270

31313977

4311073

709975 498

1969

0

2000

4000

6000

8000

10000地域別酪農家戸数の推移

H14 H24

(戸)

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✔ 集送乳を指定団体に集約・一元化することにより、乳業工場への適切な配乳による飲用牛乳向けとしての販売のチャンスロスを回避(余乳の発生を低減)し、手取りの増加等が期待できるため、クーラーステーション(CS)の再編整備等を通じた集乳・送乳の合理化・効率化が重要。

✔ 指定団体において、CSの再編整備に取り組み合理化を推進しているものの、CSの稼働率等を踏まえ、更なる再編整備に取り組むことが重要。

○ クーラーステーション(CS)の再編整備の事例

・ CSを4箇所廃止し、新たなCSに再編統合

・ 人員を整理(19名→12名)・ 集乳車を削減(20台→17台)・ 集乳業務を外部委託

CS

C農協

A農協

B農協

CS

CS

CS

CS

H24年度 指定団体別稼働率50%以下のCS数

資料:牛乳乳製品課調べ

年間約3,500万円の経費削減

(箇所)

ホクレン

東北 関東 北陸 東海 近畿 中国 四国 九州

0 2 3 1 0 0 0 1 1

4

26

48

6

117

11 12

27

2

23

34

4 3 4 25

18

0

10

20

30

40

50指定団体別CSの推移

H14年度 H24年度

(箇所)

29

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✔ 指定団体の広域化を通じて、錯綜していた送乳ルートの合理化や集乳の一元化等により、集送乳コストの低減に取り組んできたが、燃油高騰や酪農家戸数の減少等から近年集送乳コストは横ばい。また、農家及び乳業工場の立地距離が遠い傾向にあることや、消費地から遠く域外移出割合が高い傾向にあることから、東北と九州は集送乳コストの削減に一定の限界が存在。

✔ 燃油高騰や輸送事業者の人件費増加、農家や乳業工場の点在化等について適切に対応しつつ、集送乳経費の負担の軽減に努めることが必要。

目標達成に向けた課題

資料:牛乳乳製品課調べ

H24年度 生乳の指定団体別域外移出割合

ホクレン

東北 関東 北陸 東海 近畿 中国 四国 九州

8.54 31.35 6.92 12.73 5.53 0.28 8.82 27.92 21.83

(単位:%)

資料:農林水産省「牛乳乳製品統計」

分類 現状 対応方向

運送業者からの運賃値上要請

・燃油高騰・環境税導入

・運転者の過労事故防止対策としてドライバーの増員、仮眠施設確保

・約10%値上予定・燃油サーチャージの導入

・集乳路線の削減、集乳車の大型化

集乳車の路線・配車問題

・離農により効率的な集乳ルートが編成困難

・合併後も委託業者ごとに路線が錯綜

・農家への接続道路幅が狭く、集乳車の大型化が困難

・ルートの見直し(隣接県を含む)・経営継続意向調査・委託業者間の調整

施設の老朽化・集乳車、CSが老朽化・貯乳量が減少する一方で、維持管理費が増加

・CSの統廃合を検討・集乳運賃見直し

域内乳業工場廃止

・産地近隣の乳業工場が廃止され、域外への送乳経費及びCS利用料が増加

・集乳車の大型化

乳業による産地指定等

・農家指定により、集乳車や路線が固定化し、合理化が困難

・乳業が求める品質を地域全体で確保・プレミアム取引

ホク

レン東北 関東 北陸 東海 近畿 中国 四国 九州

検査 0.14 0.15 0.14 0.21 0.28 0.25 0.16 0.26 0.15

手数料 1.39 2.80 2.71 3.09 1.83 2.17 2.85 1.62 2.81

集送乳等 3.92 8.77 5.56 4.13 5.32 5.04 5.26 5.99 6.37

02468

101214円/kg H24年度 集送乳等経費(集計中)

注:データ確認中の県は除外している。また、CS経費は、集送乳等経費に含まれている。

資料:牛乳乳製品課調べ

5.45

11.72

8.41 7.43 7.43 7.458.27

7.87

9.32

30

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○ 生乳処理規模別飲用牛乳工場数の推移

○ 生乳処理規模別乳製品工場数の推移 ○ 中小乳業の損益動向

資料:全国乳業協同組合連合会

✔ 我が国の乳業は酪農とともに発展し、食品産業の重要な一部門として地位を確立。H24年の製造出荷額は2兆3400億円で食料品製造業出荷額の約1割。

✔ 飲用牛乳工場数は減少傾向で推移。H24年度では、ピーク時の昭和55年より49%減少して215工場。✔ 乳業の収益性は、特に中小・農協系乳業の中には、ほとんど利益が出ない厳しい経営も見られるところ。

31

○ 売上高営業利益率の推移

資料:乳業再編全国協議会

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※牛乳を製造する中小・農協系の乳業工場で製造日量2トン以上のもの。複数の工場がある場合には、本社工場(又は本社事務所)の所在地。

農協系乳業(酪農協、総合農協、出資会社を含む。) 50

その他中小乳業(大手子会社を除く。) 104

(369)牛乳消費減少の中での中小乳業の状況

大半は低価格供給でぎりぎり売上高を確保している状況

→ この結果、中小・農協系の場合、HACCPの取得率が低い

•設備投資が遅れ、古い設備をメンテナンスしながら使用する傾向

•依然として稼働率が低い傾向

✔ 中小・農協系乳業は、酪農地域や都市周辺を中心の全国的に分布。

✔ 中小・農協系乳業は、一部では低温殺菌牛乳など高付加価値化の取組も見られるが、一般に商品開発力が弱いため、低い価格で受注して生産量を引き上げ、売上げの確保を図らざるを得ないケースも多く、流通に対する交渉力が弱いこともあり、ほとんど利益が出ない場合もある模様。

✔ この結果、全体的にみれば、効率的で高度な衛生水準の設備への投資が遅れており、将来的には、安定的な牛乳の供給に懸念。

32

HACCP導入工場(67.0%)•大手3社・・・93.3%が取得•大手3社以外・・・56.9%が取得

飲用牛乳工場の稼働率(51.1%)•大手3社・・・平均57.9%•大手3社以外・・・平均44.2%稼働率が30%未満・・・77工場

※ 施設洗浄時間を除き1日6時間を100%として計算。

○中小・農協系乳業の分布

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〈増設事例1〉・A協同組合連合会(24年度操業開始:飲用牛乳工場)・2事業者の2工場を廃止し、うち1事業者の別工場を増設。

①再編実施後の労働生産性の向上(トン/人・年)再編前 25年度 向上率409 → 538 132%

②生乳処理量の増加(トン)再編前 25年度実績 増加率20,050 → 20,984 104.7%

〈増設事例2〉・B協同組合(22年度操業開始:飲用牛乳工場)・1工場を廃止、別事業者の工場を増設し、営業権を委譲。

①再編実施後の労働生産性の向上(トン/人・年)再編前 24年度 向上率378 → 389 103%

②工場の稼働率(%)再編前 24年度43% → 60%(本件では生乳処理量を落とし(12%)、稼働率を向上) ・労働生産性の向上

・工場稼働率の向上・生乳処理量の増加など

新設・増設

33

〈新設事例〉・C株式会社(13年度操業開始:飲用牛乳工場)・3事業者の5工場を廃止し、株式会社方式により新工場を建設。①再編実施後の労働生産性の向上(トン/人・年)再編前 14年度 向上率253 → 722 285%

②生乳処理量の増加(トン)再編前 14年度実績 増加率16,897 → 21,445 127%

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・ 供給条件不利地域への供給対策支援

(島嶼・山間部への輸送費等を一部補助)

・ 自県産生乳を用いた低温殺菌牛乳及びはっ酵乳等の供給支援等

○ [現行] 学校給食用牛乳等供給推進事業における供給支援学校種別

24年度

総数 実施数普及率(%)

児童生徒数(千人)

小 学 校 6,765 6,720 99.3

中 学 校 3,553 2,740 77.1

夜間高校 75 27 36.5

特別支援学校 130 113 86.6

計 10,522 9,600 91.2

※ 飲用向け生乳の約1割(約38万トン)を学校給食用牛乳として消費

34

✔ 文部科学省と連携し、酪農及び肉用牛生産の振興に関する法律に基づき年間を通じて学校給食用に安定的かつ効率的に牛乳を供給することにより、児童・生徒の体位・体力の向上を図るとともに酪農振興に資するものとして実施。

飲用牛乳工場等のHACCP取得率と酪肉近目標

90%

70%

61%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32

酪肉近目標飲用牛乳業者(全体)学乳事業参加業者

○昨今の学乳供給における乳業事故

⇒ 学乳事業参加業者のHACCP取得率は低く、

更なる衛生・品質管理向上が必要。

【事例1】(異物混入) (H26年4月)[概要] 給食用牛乳に黒い異物(2~3mm)を確認。[影響] 牛乳供給再開までの約2週間 461校約15万本/日 出荷停止。

[原因] 牛乳パック熱圧着時に焦げた牛乳が入った。[対応] 牛乳充填ラインのスピード減、確認頻度の向上等。

【事例2】(異味異臭) (H26年4月)[概要] 給食用牛乳を飲んだ小中学校から風味異常の訴え。[影響] 牛乳供給再開までの約2週間弱 646校約33万本/日出荷停止[原因] 特定の原料乳を運んだタンクローリーに臭気があり、生乳の青草臭と相まって

人が感じるレベルになったと推察。

[対応] タンクローリーの臭気チェックの徹底、工場での官能検査の徹底等。農林水産省としても通知を発出し、注意喚起や事例共有。

と う し ょ

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[京都市:第1回会議(4月28日)から](継続審議中)・ 学校における和食の定義をどのように考えていくかが重要。・ 本会議の目的は、和食以外を排除することではない。・ 和食に牛乳は合わないので中間休みに飲ませるなどできないか。

○京都市の議論や三条市の考え方の動向

35

✔ H25年12月、京都市教育委員会は、H26年4月から給食での和食の比率を高めるため、牛乳の取扱いも含めて検討することを公表。

✔ H26年3月、三条市教育委員会(新潟県)は、本年12月から来年3月まで、市内の全小中学校給食で牛乳を出すことを試験的に停止することを公表。

✔ こうした動きに対し、栄養士会等はカルシウム不足を懸念するコメント等を発表。

○三条市の給食対応を受けた栄養士会等の反応

[三条市:第2回三条市学校給食運営委員会(2月28日)から」・ 三条市の給食は、完全米飯給食・ 毎日主食を米飯とする給食に牛乳はあわない。・ 冬場の若干残量が増える牛乳を試験的に停止。

[全国学校栄養士協議会の意見書(H26.5.20)抜粋]・ 牛乳は、成長期の児童生徒のカルシウム供給源として大変重要であり、家庭で不足するカルシウムを補完する重要な役割。・ 給食用牛乳は市販に比べ安価で供給され、栄養素や作業効率を考えても他の食品で補うことは難しい。・ 栄養教諭・学校栄養職員は担任等と連携して、食育で牛乳を活用する意義は大きい。・ この度の議論に当事者である児童生徒や保護者の姿が見えない。・ むしろ和食の栄養素的不足を牛乳等で補って、健康的な食事になっていると思われる。

[学校給食研究改善協会考察 (H26.6.3)抜粋]・ 学校給食における牛乳摂取については、成長期に必要な食品として、カルシウムだけでなくタンパク質を摂取する上でも大切な役割。

・ 昔と違って極端に運動量が減り、学校給食以外でのカルシウム摂取量も少ないという現代の子どもたちの生活習慣から、現在の学校給食における牛乳摂取がいかに大切であるかよくわかる。

[日本栄養士会の所見 (H26.4.24) 抜粋]

・ 学校給食で牛乳の提供を止めることには、いろいろな角度から慎重に考えるべき点が多く含まれている。・ 牛乳は、カルシウムだけでは無く、たんぱく質の供給源としても重要であり、成長期に必要な食品。・ 牛乳の飲用を中止することは、児童生徒に、一層のカルシウム不足を招くおそれ。・ 牛乳を飲用する習慣の定着は、現在および将来にわたる健康の保持増進につながる。・ 牛乳提供と和食の推進は相容れないものではない。(摂取の工夫で克服できる。)・(食をめぐる教育の見地から)牛乳は、身近で有効な教材として活用されており、子どもたちの教育に価値ある役割を担う。

・公益社団法人日本栄養士会全国の管理栄養士・栄養士免許取得者を構成員とし、その資質向上等の活動を実施する団体。

・公益社団法人全国学校栄養士協議会栄養教諭・学校栄養職員を会員とし、食育の推進、児童生徒の健康増進等への寄与を目的とする団体。

・ 公益財団法人学校給食研究改善協会食品企業、学識経験者から構成され、学校給食における調査研究、改善等の助成や食育の推進等を図ることを目的とする団体。

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0

20

40

60

80

100

20 21 22 23 24 (年度)

約71万人

約88万人

約42万人

約75万人約84万人

牧場での酪農体験

搾乳体験

✔ 酪農教育ファームは、酪農体験を通して、「食といのちの学び」を支援することを目的として、酪農関係者の自発的な取組として開始。

✔ (一社)中央酪農会議において、「酪農教育ファーム認証制度」を創設し、教育関係者との連携しつつ、全国段階における食育関係イベントへの参加、消費者や児童・生徒等の酪農体験学習活動等を実施し、酪農への理解を醸成。

✔ 受入機関や人数が増加する中で、家畜防疫の対応や参加者の感染症予防への適切な対応が重要。

36

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資料:貿易統計【品目別 主要輸出国(上位3カ国)】 単位:トン

37

✔ 牛乳・乳製品の主な輸出先は、香港、中国、台湾等であり、近年、輸出量は増加傾向で推移してきたが、H23年の東京電力福島原子力発電所事故の発生に伴い大きく減少した。(なお、中国向けの輸出については、H22年の我が国における口蹄疫の発生以降輸出が禁止されており、輸出再開に向けた協議を実施しているところ。)

✔ 「輸出総合サポートプロジェクト」、「6次産業化支援事業」等を活用し、輸出に取り組む事業者等の課題の解決策の特定、生産者等が行う新商品開発及び販路拡大の取組を支援しているところ。

23年 24年 25年

ミルク及びクリーム(脂肪分が全重量の1%超6%以

下)(HS code 040120)

総輸出量 ①香港 ②台湾 ③タイ 総輸出量 ①香港 ②タイ ③台湾 総輸出量 ①香港 ②台湾 ③タイ

1,795 (100%) 1,759 (98.0%) 21 (1.2%) 14 (0.8%) 2,172 (100%) 2,114 (97.3%) 30 (1.4%) 15 (0.7%) 2,606 (100%) 2,482 (95.3%) 63 (2.4%) 48 (1.8%)

育児用調整品(小売用)(HS code 190110)

総輸出量 ①香港 ②パキスタン ③ベトナム 総輸出量 ①パキスタン ②香港 ③ベトナム 総輸出量 ①パキスタン ②香港 ③ベトナム

2,865 (100%) 1,987 (69.3%) 440 (15.4%) 187 (6.5%) 1,002 (100%) 462 (46.1%) 251 (25.0%) 152 (15.2%) 1,249 (100%) 544 (43.6%) 290 (23.2%) 222 (17.7%)

チーズ(HS code 0406-)

総輸出量 ①台湾 ②香港 ③タイ 総輸出量 ①台湾 ②香港 ③大韓民国 総輸出量 ①台湾 ②香港 ③大韓民国

239 (100%) 136(57.0%) 45(18.9%) 27(11.3%) 227 (100%) 125 (55.1%) 62 (27.5%) 30 (13.0%) 344 (100%) 195 (56.7%) 99 (28.9%) 31 (9.1%)

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21% 42% 15% 14% 9%

0% 20% 40% 60% 80% 100%飲用 アイス・ソフトクリーム等 ヨーグルト チーズ その他

◆目標値 2020年(H32年)までに6次産業化の取組件数を500件に倍増させる。

✔ 酪農家の創意工夫による6次産業化・輸出の取組を支援し、市場のニーズに的確に対応したマーケットインの発想に基づく酪農の付加価値創出を促進するため、

(1)指定団体との生乳取引について、指定団体の機能(多くの酪農家から販売委託を受けることにより、高い乳価水準の実現、生乳廃棄を招かない適切な販売等を目指す機能)に留意しつつ、一層の多様化を来年度からの取引に反映するとともに、

(2)小規模なチーズ工房や輸出向けの乳製品工場等について、設置規制(知事の承認)を緩和。

① 牛乳・乳製品を自ら製造販売生乳全量を自ら販売するのは難しく、一部を指定団体に委託するが、自分の生乳を使って牛乳・乳製品をより多く製造販売したい。

② 生乳を直接販売生乳全量を自ら販売するのは難しく、一部を指定団体に委託するが、自分の生乳を、その特色を活かした牛乳・乳製品を製造する乳業者に、自ら販売したい。

③ 乳価交渉を自ら実施生乳全量を指定団体に販売委託するが、特色ある生乳生産に取り組む努力を、自ら乳価交渉を行って乳代に反映させたい。

◆ 生乳の自己処理量の上限拡大生乳の一部を、指定団体に販売委託せず、自ら牛乳・乳製品に加工して販売する場合に、1日当たり処理量の上限を1.5トンから3.0トンへ拡大する。

◆ 特色ある生乳の直接販売酪農家が、特色ある生乳(ジャージー種、オーガニック等)を活かした牛乳・乳製品を製造する乳業者(日量処理能力3.0トン以下)に、直接販売できるようにする。

◆ 乳業者との直接交渉酪農家が、指定団体に代わり、特色ある生乳について乳業者と直接交渉し、受取乳代に反映させることができるようにする。

酪農家の取組

取引の多様化

ⅰ 小規模な乳業施設を設置して自ら牛乳・乳製品の製造・販売に取り組みたい。

ⅱ 輸出向けの乳業施設を設置して牛乳・乳製品の製造・輸出に取り組みたい。

◆ 乳業施設の設置規制を緩和事務的・時間的負担を軽減を図る観点から、集約酪農地域における都道府県知事の承認に係る規制を緩和。

規制の緩和

6次産業化・輸出を通じた酪農の付加価値創出を促進6次産業化・輸出を通じた酪農の付加価値創出を促進

2014年 236件 ⇒ 2020年 500件○当該取組により製造されている乳製品比率(直近の聞き取り(複数回答含む))

○ 生乳取引の一層の多様化等による6次産業化の取組支援を通じて、取組件数を倍増させる。

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✔ 酪農経営による創意工夫を活かした取組を支援する必要。

飲むミルクから、食べるチーズへ

A牧場 (北海道)

・「飲むミルクから、食べるチーズへ」のスローガンを掲げ、15種類以上のチーズを生産。北海道をはじめ、全国各地でも販売されており、インターネットを通じた販売も行っている。

・併設している交流センターで、チーズ料理などの飲食をはじめ、チーズづくりなどの体験も可能。

・日本古来の炭を使う環境改善技術により、生きものにとっての最適な環境づくりを行う。また、薬品を使わない環境コントロール技術により、臭い・ハエの無い畜産を実現。

・生産したチーズを動産担保にした融資を公庫から受けている。牛等の家畜を担保にした動産担保融資(ABL)が増えつつある中で、日本でも畜産物を担保にした融資が可能であることを証明。

・本牧場は、集団生活や農作業等を通じて、様々な理由で家庭生活や社会生活が困難な人と共に働く場を作り、社会貢献に寄与。

地域の連携による競争力強化

Bファーム(新潟県)

・経産牛65頭、育成牛15頭

・酪農教育ファームとして、小学校等の乳搾りやジェラート加工体験等を実施。

・生乳(低温殺菌)を使用しジェラート、チーズを製造。地元の旬の食材を使用し、季節に応じたジェラートを製造販売。

・稲作法人と耕畜連携し、地元の粗飼料(WCS、デントコーン)を活用。

・直営店での地元産食材の活用、酪農教育ファームへの取組など、地域の連携・つながりを意識した経営により、地域全体での活性化に取り組む。

・ツイッターなどを活用した情報発信による販売促進。

C牧場(兵庫県)

・経産牛 30頭、 飼料作物作付地 4ha

・自家産チーズの新メニューを創出し、場内のチーズハウス(レストラン)で食べ方を提案。

・ネットショップ他、百貨店、スーパー等での販売。

・牧場での結婚式は、すべてゼロから手づくりのおもてなし(19年程前から始めて、昨年で110組の挙式・披露宴を受ける)。

・NPOと連携して、農業に根ざしたセミナーを随時開催し、都市住民との交流を図る。

・搾乳ロボットの導入により省力化を実現。

・牧場から出るふん尿からバイオガスを生産し、エネルギー自給に向けて目下実験中。

自家産カマンベールチーズ

飲むミルクから、食べるチーズへ 地域の連携による競争力強化 放牧や搾乳ロボット等の導入による省力化