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令和元年11月13日 経済産業省製造産業局化学物質管理課 化学物質安全室 化審法の運用とその概要について NITE講座「化学物質に関するリスク評価とリスク管理の基礎知識」

化審法の運用とその概要について - niteDDT、アルドリン等:農取法(1948) 公害への対応 大気汚染(NOx、SOx(四日市ぜんそく)) :大防法(1968)

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  • 令和元年11月13日経済産業省製造産業局化学物質管理課

    化学物質安全室

    化審法の運用とその概要について

    NITE講座「化学物質に関するリスク評価とリスク管理の基礎知識」

  • Ⅰ. 化審法の概要

    Ⅱ. 新規化学物質の事前審査

    Ⅲ. 上市後の一般化学物質等の継続的な管理

    Ⅳ. 第一種・第二種特定化学物質等

    Ⅴ. トピックス

    内 容

    2

  • Ⅰ. 化審法の概要

    3

  • 顕著な有害性への対応

    毒性 : 毒物劇物営業取締規則(1912) → 毒劇法(1960)労働者の健康被害 : 労働基準法(1947) → 労安法(1972)

    有害性が顕在化した化学物質(残留農薬)対策

    DDT、アルドリン等 : 農取法(1948)

    公害への対応

    大気汚染(NOx、SOx(四日市ぜんそく)) : 大防法(1968)水質汚濁 (カドミウム(イタイイタイ病)、有機水銀化合物(水俣病) : 水濁法(1970)

    PCB問題を契機とした予防的アプローチ

    新規化学物質事前審査 :化審法(1973)、TSCA(1979) 、67/548/EEC(6次修正版、81施行)

    各国の事前審査制度の国際調和

    有害性試験方法 : OECDテストガイドライン(1981~)試験データ受入れの条件整備 : OECD・GLP(優良試験所制度、1981~)試験データの受入れ : OECD・MAD(1981~)新規化学物質上市前最少データセット : OECD・MPD(1982~)評価結果の受入れ : OECD・MAN(2002~検討中)

    ボパール事件を契機とした情報開示

    米TRI(毒性物質排出目録、1985)欧PRTR(80年代後半~90年代)

    日本PRTR法(2000)※化管法

    企業の自主管理促進

    レスポンシブルケア(85に加で提唱、日95~)

    リスクベースの化学物質管理

    ・WSSD目標(2002年 持続可能な開発に関する世界サミット)「2020年までに化学物質による人・環境への悪影響を最小化」

    →欧 REACH規制導入(2007年~) ノーデータ・ノーマーケット→日 化審法改正(2011年~) 国が全ての化学物質を優先度付けしリスク評価を実施

    化審法と化管法はともに、環境経由の長期毒性(慢性毒性)を対象としている。

    リスク評価ベースの管理・有害性・曝露情報に基づいたリスク評価

    ・規制と自主管理の補完

    ハザードベースの管理

    Ⅰ-1. 化学物質管理政策の系譜

    4

  • Ⅰ-2. 各種化学物質管理法令の位置づけ

    労働環境

    消費者

    環境経由

    軍縮排出・ストック汚染 廃棄

    人の健康への影響

    急性毒性

    長期毒性

    生活環境(動植物を含む)への影響

    有害性

    暴露

    労働安全衛生法

    農薬取締法

    農薬取締法

    食品衛生法

    医薬品医療機器法

    家庭用品品質表示法

    家庭用品規制法

    建築基準法

    農薬取締法

    化審法

    化管法

    大気汚染防止法

    水質汚濁防止法

    土壌汚染対策法

    廃棄物処理法等

    毒劇法

    ・環境経由で、人健康や生態影響を及ぼす化学物質が対象

    ・PCB等

    ・毒物(青酸カリ等)、劇物(硫酸等)など

    ・人の健康等を「じわじわと」蝕む毒性

    ・短期間の影響で死に直結する毒性

    化兵法(特定物質)

    ・過去化学兵器製造に用いられたもの等が対象

    ・サリンやVXガスなど

    5

  • Ⅰ-3.化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)

    ○人の健康を損なうおそれ又は動植物の生息・生育に支障を及ぼすおそれがある

    化学物質による環境の汚染を防止。

    目的

    ○新規化学物質の事前審査→新たに製造・輸入される化学物質に対する事前審査制度

    ○上市後の化学物質の継続的な管理措置→製造・輸入数量の把握(事後届出)、有害性情報の報告等に基づくリスク

    評価

    ○化学物質の性状等(分解性、蓄積性、毒性、環境中での残留状況)に応じた規制及び措置→性状に応じて「第一種特定化学物質」 等に指定→製造・輸入数量の把握、有害性調査指示、製造・輸入許可、使用制限等

    概要

    6

  • Ⅰ-4. 化審法のこれまでの改正経緯

    ○化審法は、ポリ塩化ビフェニル(PCB)による環境汚染問題を契機にPCB及びそれに類似する化学物質による環境汚染の未然防止のため、昭和48年(1973年)に制定された法律。

    ○新規化学物質の事前審査制度を設けるとともに、難分解性、高蓄積性、人への長期毒性を有する化学物質を「特定化学物質」として、その製造と輸入を規制。

    昭和61年(1986年)の改正点○特定化学物質の他に難分解性ではあるが、高蓄積性を有さないかつ相当広範な地域に残留している

    化学物質(トリクロロエチレン等)を「第二種特定化学物質」として規制。

    平成15年(2003年)の改正点○人への健康影響に加えて動植物への影響の観点も含めた審査・規制制度、それらの影響のおそれがあ

    りえるとされた物質(監視化学物質)の全国数量の把握制度、環境への放出可能性が小さい化学物質に対する審査の効率化(中間物等の特例制度)等の導入。

    平成21年(2009年)の改正点

    ○既存化学物質を含むすべての化学物質について、 一定数量以上製造・輸入した事業者に対して、その数量等の届出を新たに義務付け。国は、上記届出を受けて、詳細な安全性評価の対象となる化学物質を、優先度を付けて絞り込む。

    ○化審法は、社会的背景や国際的な整合性を勘案しながら、合計4回の法改正を実施。(中央省庁再編に伴い、環境省を共管とする旨を規定した(平成11年改正))

    平成29年(2017年)の改正点○新規化学物質の審査特例制度における国内総量規制を製造・輸入数量から環境排出数量に変更。○一般(新規)化学物質のうち、毒性が強いものを「特定一般(新規)化学物質」として指定。

    7

  • Ⅰ-5. 化審法の体系

    新規化学物質

    上市

    事前審査

    一般化学物質

    (およそ28,000物質)

    優先評価化学物質(223物質)

    第二種特定化学物質

    (23物質)人健康影響・生態影響のリスクあり

    第一種特定化学物質

    (33物質)難分解・高蓄積・人への長期毒性又は高次捕食動物への長期

    毒性あり

    監視化学物質

    (38物質)難分解・高蓄積・毒性不明

    少量新規(年間1トン以下)

    高濃縮でなく低生産(年間10トン以下)

    中間物等(政令で定める用途)

    低懸念高分子化合物

    ・製造・輸入許可制(必要不可欠用途以外は禁止)・政令指定製品の輸入禁止・回収等措置命令 等

    • 上市前の事前審査及び上市後の継続的な管理により、化学物質による環境汚染を防止

    ・製造・輸入実績数量、詳細用途等の届出義務

    ・ 製造・輸入(予定及び実績)数量、用途等の届出

    ・ 必要に応じて予定数量の変更命令

    ・ 取扱についての技術指針・ 政令指定製品の表示 等

    ・ 製造・輸入実績数量・詳細用途別出荷量等の届出

    ・ 有害性調査指示・ 情報伝達の努力義務

    ・情報伝達の努力義務(特定一般化学物質のみ)

    ・製造・輸入実績数量、用途等の届出

    事前確認等

    有害性や使

    用状況等を

    詳細に把握

    環境中への

    放出を抑制

    使用状況等を

    大まかに把握

    環境中への

    放出を回避

    使用状況

    等を詳細

    に把握

    ※物質数は平成31年4月1日時点のもの

    特定一般化学物質

    国がリスク評価

    8

  • ・元素、天然物

    <一般用途(工業用)>

    ・一般工業化学品

    <特定用途>

    【食品衛生法】 食品、添加物、容器包装、おもちゃ洗浄剤

    【農薬取締法】 農薬

    【肥料取締法】 普通肥料

    【飼料安全法】 飼料、飼料添加物

    【医薬品医療機器法】

    医薬品、医薬部外品、化粧品医療機器、再生医療等製品

    【放射線障害防止法】 放射性物質

    【毒物及び劇物取締法】 特定毒物

    【覚せい剤取締法】 覚せい剤、覚せい剤原料

    【麻薬及び向精神薬取締法】 麻薬

    水質汚濁防止法

    大気汚染防止法廃棄物処理法

    化学物質

    化審法上の化学物質

    製造等規制 排出規制 廃棄物規制

    Ⅰ-6. 化審法の対象となる化学物質

    ○化審法における化学物質とは:元素又は化合物に化学反応を起こさせることにより得られる化合物のこと。

    ○化審法の対象となる化学物質:一般工業化学品に用いられる物質。(法第2条、第55条)

    (※)化審法と同等以上に厳しい規制(毒劇法に規定する特定毒物や用途に応じた他の規制(医薬品医療機器法に規定する医薬品等))等が講じられている場合は除く。

    9

  • Ⅰ-7. 新規化学物質の事前届出/一般化学物質等の事後届出

    製品☆であるか

    ○新規化学物質として事前届出が必要

    元素・天然物か薬機法等他法令の規制対象であるか

    (新規物質)試験研究用or試薬☆であるか(一般物質等)試験研究用であるか

    NO

    YES

    NO

    NONO

    YES

    YES

    (☆製品の定義は運用通知参照)https://www.meti.go.jp/policy/chemical_manag

    ement/kasinhou/files/about/laws/laws_h30120

    351_0.pdf

    (簡易フロー図)

    ○新規化学物質としての事前届出は不要

    ○一般化学物質/優先評価化学物質/監視化学物質としての製造・輸入実績数量等の事後届出は不要

    ※第一種・第二種特定化学物質の使用製品に該当する場合は、事前手続等が必要な場合あり。

    一般化学物質等新規化学物質

    ○一般化学物質/優先評価化学物質/監視化学物質としての製造・輸入実績数量等の事後届出が必要

    (官報公示整理番号無し) (官報公示整理番号有り)

    10

    https://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/kasinhou/files/about/laws/laws_h30120351_0.pdf

  • Ⅱ.新規化学物質の事前審査

    11

  • ①分解性自然環境中で分解されやすいか

    ②蓄積性生物の体内に蓄積しやすいか

    ③毒性人・生物に対する毒性があるか

    CO2H2O

    • 新規の化学物質を製造又は輸入しようとする者は、国に事前に届出をする。

    • 国はその届け出られた新規化学物質の性状(分解性、蓄積性、人健康・生態への毒性を有するものであるか否か)を審査し、その結果に応じた規制を行う。

    Ⅱ-1-①. 新規化学物質の審査制度

    12

  • Ⅱ-1-②. 新規化学物質の審査・確認制度(概要)

    ○新規化学物質の届出を行い、通常の事前審査を受けると、製造・輸入が可能になる。【通常新規】

    ○通常の届出によらず、事前の申出・確認により製造・輸入できる場合がある。(特例制度、届出免除制度)。 【低生産量新規、少量新規、低懸念高分子、中間物等】

    ○我が国の化学産業が少量多品種の形態に移行をする中、化学物質による環境汚染の防止を前提に、少量多品種産業にも配慮した合理的な制度設計としている。それぞれの手続により、国に提出する有害性等の情報は異なる。

    手続きの種類 条項 手続届出時に提出すべき有害性データ

    その他提出資料数量上限

    数量調整

    受付頻度

    通常新規法第3条第1項

    届出→判定

    分解性・蓄積性・人健康・生態影響

    用途・予定数量等 なし なし 10回/年度

    低生産量新規法第5条第1項

    届出→判定申出

    →確認

    分解性・蓄積性(人健康・生態影響の有害性データもあれば届出時に

    提出)

    用途・予定数量等

    環境排出量

    全国10t以下

    あり届出:10回/年度申出(電子・光・書面):13回/年度

    少量新規法第3条

    第1項第5号申出

    →確認- 用途・予定数量等

    環境排出量

    全国1t以下

    あり

    申出(電子):10回/年度

    申出(光・書面):4回/年度

    低懸念高分子化合物

    法第3条第1項第6号

    申出→確認

    -分子量・物理化学的安定性

    試験データ等なし なし 随時

    中間物等法第3条

    第1項第4号申出

    →確認-

    取扱方法・施設設備状況を示す図面等

    なし なし 随時

    少量中間物等 (簡素化)1社

    1t以下なし 随時

    13

  • 有害性に関する試験の内容

    評価項目

    試験方法 試験の内容 OECD/TG

    分解性

    微生物等による化学物質の分解性試験

    汚泥中の微生物により、化学物質が分解される割合を調べる試験

    TG301

    蓄積性

    魚介類の体内における化学物質の濃縮度試験

    化学物質を魚の水槽に溶解し、化学物質の魚体中濃度と水中濃度の比から濃縮度を調べる試験

    TG305

    1-オクタノールと水との間の分配係数測定試験

    化学物質が1-オクタノールと水に溶ける量の比から濃縮度を調べる試験

    TG107TG117

    人健康影響

    細菌を用いる復帰突然変異試験(Ames試験)

    化学物質により細菌の遺伝子が変異する割合から、遺伝毒性やガン原性を調べる試験

    TG471

    哺乳類培養細胞を用いる染色体異常試験

    化学物質により細胞の染色体構造異常が誘発される割合から、遺伝毒性やガン原性を調べる試験

    TG473

    哺乳類を用いる28 日間の反復投与毒性試験

    ラットに化学物質を投与したことで現れる生体の機能及び形態の変化から、毒性を調べる試験

    TG407

    生態への影響

    藻類生長阻害試験 化学物質による藻類の増殖阻害状況から、毒性を調べる試験

    TG201

    ミジンコ急性遊泳阻害試験

    化学物質により行動異常を起こすミジンコの割合から、毒性を調べる試験

    TG202

    魚類急性毒性試験 化学物質を魚の水槽に溶解し、魚の死亡率から毒性を調べる試験

    TG203

    (分解性・蓄積性)

    低生産の評価に用いる試験

    (分解性~生態への影響)

    通常新規の評価に用いる試験

    どちらか1つ

    Ⅱ-2-①.通常新規・低生産量新規化学物質

    14

  • (参考)OECDにおけるMADの取り組み

    【MAD (Mutual Acceptance of Data: データの相互受入れ)】

    他国で規制目的のために作成された試験データがテストガイドライン及びGLP原則に従って作成されたものであれば、そのデータを受け入れるようにOECD加盟国に求めたシステム(1981年理事会決定)。さらに一部のOECD非加盟国に対しても同システムが適用されている(1997年理事会決定)。

    【相互現地評価】目的:監視当局の信頼性向上とデータ相互受け入れの推進方法:他国の査察官が、その国の監視当局によるGLP試験施設の管理状況を査察する

    2008年から10年間で全ての監視当局を査察。日本では、薬事法と労働安全衛生法(2008年)、化審法(2012年)、農薬取締法(2012年)がそれぞれ終了。

    (MADの概念)

    MADシステム

    OECDテストガイドライン

    GLP

    産業界

    貿易

    規制当局規制当局

    <A国>

    試験施設

    産業界

    試験データの相互受け入れ

    ・査察・Study Audit

    OECD相互査察相互査察

    監視当局

    試験施設

    監視当局

    ・査察・Study Audit

    15

  • Ⅱ-3-①. 通常新規化学物質(毒性が強い化学物質への規制)

    • 法改正後平成30年4月から、新規化学物質の審査により、新たに著しい毒性が確認されたものについて特定新規化学物質として指定。(公示後は特定一般化学物質)

    難分解性高蓄積性

    人・動植物への毒性

    備考

    第一種特定化学物質 ○ ○第二種特定化学物質 ○

    相当広範地域に相当程度残留

    優先評価化学物質無いことが

    明らかでない相当程度残留

    特定一般化学物質(※公示前は、特定新規化学物質) ○ 環境排出量少

    一般化学物質 環境排出量少

    総合的なリスク

    新たに定義

    16

  • Ⅱ-3-②. 通常新規化学物質(毒性が強い化学物質への規制)

    • 新規化学物質の審査において特定新規化学物質への該否の判定を実施。

    3省合同

    審議会

    ・毎年、製造輸入実績数量及び用途情報を届出

    法第4条第1項第1号~6号(実質的には2号から5号)の判定

    公示

    特定一般化学物質

    特定新規化学物質か否かの判定

    優先評価化学物質か否かの判定

    特定新規の場合

    5年間

    優先評価化学物質

    新規化学物質

    判定を受け

    た事業者の

    み製造・輸入

    可能 優先指定する場合

    手続終了次第

    事業者からの届出試験成績 予定数量・用途情報

    第2~5号の判定結果の通知

    +特定新規化学物質の通知

    <有害性の審査> <環境排出量の推計>

    5年間

    試験費用を負担した先発者の利益保護のため

    ・毎年、製造輸入実績数量及び用途情報を届出

    ・毎年、製造輸入実績数量及び詳細用途情報を届出

    ・情報提供努力義務指導及び助言等

    ・情報提供努力義務指導及び助言等

    一般化学物質

    すべての事業者が

    製造・輸入可能

    第2号~第4号の場合

    17

  • Ⅱ-3-③. 通常新規化学物質(毒性が強い化学物質への規制)

    • 不用意な環境排出の防止を確保するため、既に事実上行っている以下の事項を法律に規定。

    特定新規化学物質/特定一般化学物質について1.通知

    一般化学物質の中でも毒性が強い化学物質である旨、3大臣から事業者に通知

    2.情報伝達義務事業者が当該化学物質を譲渡・提供するに当たって、一般化学物質の中でも毒性が強いものである旨、情報の伝達に努めるよう義務付け

    3.指導及び助言主務大臣から事業者に対し、必要な指導及び助言を実施(例えば、環境汚染を防止するためにサプライチェーンに沿って、管理手法の改善策などの情報を提供するよう指導・助言する。)

    4.取扱状況の報告主務大臣は、事業者から取扱いの状況について報告を求めることができる(これにより、例えば、毒性が強い化学物質の取扱事業者に対して、報告を求められた際に対応できるよう、あらかじめ当該化学物質の出入庫状況や在庫状況に関する記録を、文書で一定期間保存させられるようになる。)

    18

  • 低生産量新規(高濃縮でなく年間製造・輸入数量10トン以下)

    通常新規

    (H23年まで暦年、H24以降は年度)

    <新規化学物質届出件数の推移>(届出件数)

    ○新規化学物質の届出件数は、直近では500~600件前後で推移。うち通常新規による届出件数は300~400件前後で推移、低生産量による届出件数は200件前後で推移。

    ○主な用途は、①中間物、②電気・電子材料、③塗料、コーティング剤の順となっており、経年で比較しても上位の用途は不変。

    <主な用途(平成29年度)>

    (年度)

    Ⅱ-4.通常新規・低生産量新規化学物質

    0

    100

    200

    300

    400

    500

    600

    700

    800

    S49 50 55 60 H2 7 12 17 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29

    中間物22.1%

    電気・電子材料15.5%

    塗料、コーティング剤12.2%

    接着剤、粘着剤、シーリング材

    7.4%

    印刷インキ、複写用薬剤(トナー等)

    6.4%

    フォトレジスト材料、写真材料、印刷版材料

    6.4%

    芳香剤、消臭剤5.6%

    プラスチック、プラスチック添加剤、プラスチック加工助剤

    5.6%

    化学プロセス調節剤

    2.7%

    合成ゴム、ゴム用添加剤、ゴム用加工助剤

    2.7%

    作動油、絶縁油、プロセス油、潤滑油剤

    2.7%

    その他10.8%

    19

  • Ⅱ-5. 新規化学物質審査の合理化(平成30年4月から運用)

    <分解性試験>●OECDテストガイドライン301Fの導入●分解度試験で生成した変化物の残留性に関する判断の合理化

    <蓄積性試験>●餌料投与法の導入●一濃度区での水暴露法試験の判定基準の合理化

    <高分子フロースキーム>●高分子フロースキーム試験の簡素化●運用通知の98%ルールの拡大

    20

  • 法改正後の少量新規・低生産量新規化学物質の確認制度

    (平成31年1月施行)

    21

  • 国内総量規制について、製造・輸入数量から、環境排出数量(製造・輸入数量に用途別の排出係数を乗じた数量)に変更することにより、事業者の予見可能性が高まる。

    ✓ 用途を考慮した排出係数を活用することで、数量調整が減少し、製造・輸入数量は増加。✓ 数量調整による不確かさが解消され、事業者の予見可能性が向上。

    変更後:国内総量規制(環境排出数量)

    ●新規化学物質A→1トン(予定数量・製造)→333kg (数量確認後・製造)

    ●新規化学物質A→1トン(予定数量・製造)→333kg(数量確認後・製造)

    ●新規化学物質A→1トン(予定数量・製造)→333kg (数量確認後・製造)

    ●新規化学物質A→ 1トン(予定数量・製造)→用途:電気材料又は電子材料→1トン(数量確認後・製造)

    ●新規化学物質A→ 1トン(予定数量・製造)→用途:電気材料又は電子材料→1トン(数量確認後・製造)

    ●新規化学物質A→ 1トン(予定数量・製造)→用途:電気材料又は電子材料→1トン(数量確認後・製造)

    変更前:国内総量規制(製造・輸入数量)

    製造・輸入数量 環境排出数量

    ・例えば、「電気材料又は電子材料」の排出係数として0.01を用いると、製造量1トンの環境排出数量は10キロで、3社の合計排出量は30キロとなり、数量調整は不要となる。

    Ⅱ-6-①. 少量新規・低生産量新規化学物質の確認制度

    22

  • Ⅱ-6-②. 少量新規・低生産量新規化学物質の確認制度

    審査特例制度における全国総量上限の見直し

    用途別の排出係数を用いたリスク評価手法の確立を踏まえ、企業活動における予見性を高めるため、全国総量上限を環境排出量換算の基準へ見直すべく、以下を実施。

    環境排出量換算方法や用途別の排出係数、新制度施行に伴う手続き等に係る政省令、告示の整備 新制度に対応するため新規化学物質申出システムの改修

    合理化後:全国上限(環境排出数量)合理化前:全国上限(製造・輸入数量)

    製造・輸入数量 製造・輸入数量 用途情報

    用途ごとの排出係数

    用途情報

    環境排出数量

    全国上限枠(製造・輸入数量) 全国上限枠

    (環境排出数量)

    全国上限枠以内であることを国が確認。

    全国上限枠以内であることを国が確認。

    事業者からの情報 事業者からの情報

    確認数量を事業者に通知。 確認数量を事業者に通知。

    新規物質の使用者が作成した用途証明書

    23

  • ○申出書に添付する用途証明書を作成する者新規化学物質又はその調合品が48分類のいずれかの用途に使われることを特定できる使用

    者※1,2,3 。そのため、原則、工業的に使用※4する調合品、又は家庭用・業務用で使用する製品を製造する者が想定されます。

    ※注1:環境排出数量は、48分類の用途ごとに設定されていますので、用途証明書はこれらの用途を特定できる使用者が作成する必要があります。

    ※注2:いわゆる「商社」は使用者には当たりません。ただし、商社が化学物質を輸出する場合には、「輸出用」の用途証明書を作成することができます。なお、用途分類の「輸出用」とは、化学物質又はその調合品を輸出することを指しており、「製品」(成形品又は一般消費者用に小分けされた混合物をいう。)を輸出する場合には該当しません。

    ※注3:製造・輸入者が自ら使用・輸出する場合には、社内で使用・輸出する責任者が用途証明書を作成することができます。

    ※注4:工場内で製品又は他の化学物質を製造する際に、その原材料として又は工程で使用することをいいます。

    〇用途証明書に記載する事項・ 用途証明書の宛先(社名、部署、担当責任者氏名)・ 新規化学物質(又は新規化学物質が含有されている商品)の名称、用途番号及び用途分類・ 使用者(社名、部署、担当責任者氏名、住所)

    【注意】用途証明書の添付がある申出は、事業の実現性が高いと考えられるため、用途証明書の添付がない申出よりも優先的に製造・輸入の確認数量が配分されます。

    Ⅱ-6-③. 少量新規・低生産量新規化学物質の確認制度

    新規化学物質の製造・輸入者は、使用者から用途証明書を入手して提出

    24

  • 用途番号 用途分類 係数

    101 中間物 0.004

    102塗料用、ワニス用、コーティング剤用、インキ用、複写用又は殺生物剤用溶剤

    0.9

    103 接着剤用、粘着剤用又はシーリング材用溶剤 0.9

    104 金属洗浄用溶剤 0.8

    105 クリーニング洗浄用溶剤 0.8

    106 その他の洗浄用溶剤(104及び105に掲げるものを除く。) 0.8

    107 工業用溶剤(102から106までに掲げるものを除く。) 0.4

    108 エアゾール用溶剤又は物理発泡剤 1

    109 その他の溶剤(102から108までに掲げるものを除く。) 1

    110 化学プロセス調節剤 0.02

    111 着色剤(染料、顔料、色素、色材等に用いられるものをいう。) 0.01

    112 水系洗浄剤(工業用のものに限る。) 0.07

    113 水系洗浄剤(家庭用又は業務用のものに限る。) 1

    114 ワックス(床用、自動車用、皮革用等のものをいう。) 1

    115 塗料又はコーティング剤 0.01

    116 インキ又は複写用薬剤 0.1

    117 船底塗料用防汚剤又は漁網用防汚剤 0.9

    118 殺生物剤(成形品に含まれるものに限る。) 0.04

    119殺生物剤(工業用のものであって、成形品に含まれるものを除く。)

    0.2

    120 殺生物剤(家庭用又は業務用のものに限る。) 0.4

    121 火薬類、化学発泡剤又は固形燃料 0.02

    122 芳香剤又は消臭剤 1

    123 接着剤、粘着剤又はシーリング材 0.02

    124 レジスト材料、写真材料又は印刷版材料 0.05

    用途番号 用途分類 係数

    125 合成繊維又は繊維処理剤 0.2

    126 紙製造用薬品又はパルプ製造用薬品 0.1

    127 プラスチック、プラスチック添加剤又はプラスチック加工助剤 0.03

    128 合成ゴム、ゴム用添加剤又はゴム用加工助剤 0.06

    129 皮革処理剤 0.02

    130 ガラス、ほうろう又はセメント 0.03

    131 陶磁器、耐火物又はファインセラミックス 0.1

    132 研削砥石、研磨剤、摩擦材又は固体潤滑剤 0.1

    133 金属製造加工用資材 0.1

    134 表面処理剤 0.1

    135 溶接材料、ろう接材料又は溶断材料 0.03

    136 作動油、絶縁油又は潤滑油剤 0.02

    137 金属等加工油又は防錆油 0.03

    138 電気材料又は電子材料 0.01

    139 電池材料(一次電池又は二次電池に用いられるものに限る。) 0.03

    140 水処理剤 0.05

    141 乾燥剤又は吸着剤 0.09

    142 熱媒体 0.08

    143 不凍液 0.08

    144 建設資材又は建設資材添加物 0.3

    145 散布剤又は埋立処分前処理薬剤 1

    146 分離又は精製プロセス剤 0.1

    147 燃料又は燃料添加剤 0.004

    199 輸出用のもの 0.001

    Ⅱ-6-④. 少量新規・低生産量新規化学物質の確認制度

    ※この用途分類に該当しないことが明確な用途に用いる場合、将来排出係数が設定されるまでの間、全量排出する用途のものとして取り扱う。

    用途番号、用途分類、環境排出係数の一覧表

    25

  • Ⅱ-6-⑤. 少量新規・低生産量新規化学物質の確認制度

    • 申出物質の構造情報は、MOL形式の構造情報ファイル(適切なソフトウェアにより作成)での提出を求める。

    • 実際に構造式を描画する際には、以下のソフトのいずれかを利用してもらう。下記以外のソフトについては、別の表記法(SMILESやInChI)への変換の確認ができていないため、少量新規化学物質の申出に用いることができない。

    (使用できるソフトウェア)

    種類 ソフト名称 対応OS 対応言語 マニュアル 開発元 特徴

    有償ソフト ChemDraw Windows、

    Mac OS

    日本語、英

    あり(日本語) PerkinElmer

    (CambridgeSoft)

    ・既に利用している事業者が多い

    フリーソフト Marvin JS Windows、

    Mac OS

    英語 あり(日本語) Chemaxon ・インストール不要のため、社内セキュリティ環境の

    影響を受けにくい

    ・NITE MOLファイル作成システムで提供

    BIOVIA Draw Windows 英語 あり(日本語) Dassault Systems

    Biovia

    ・Webアプリではなくローカル環境で動作するため、

    インターネットとの接続がない

    新規化学物質の構造情報の提出

    26

  • NITEによる事業者支援

    ●構造式ファイル作成関連NITEホームページ「少量新規化学物質の申出に必要な構造情報について」

    URL: https://www.nite.go.jp/chem/kasinn/syouryou.html#section2・NITE MOLファイル作成システム

    URL: https://www.nite.go.jp/chem/kasinn/syouryou/mol/・少量新規化学物質の構造式ファイル作成に係る事業者ガイダンス・少量新規化学物質の構造式ファイル作成に関するFAQ・NITE化審法連絡システム「少量新規申出に関するお問合せ」

    URL: https://www.nite.go.jp/chem/kasinn/kasinnrenraku/syouryou/syouryouForm.html

    NITE MOLファイル作成システム操作画面 NITE化審法連絡システム「少量新規申出に関するお問合せ」

    ※ 問合せの際には、個別具体的に記載して下さい。

    Ⅱ-6-⑥. 少量新規・低生産量新規化学物質の確認制度

    27

    https://www.nite.go.jp/chem/kasinn/syouryou.html#section2https://www.nite.go.jp/chem/kasinn/syouryou/mol/https://www.nite.go.jp/chem/kasinn/kasinnrenraku/syouryou/syouryouForm.html

  • Ⅱ-6-⑦. 少量新規・低生産量新規化学物質の確認制度

    • 少量新規については、電子申出を従来の年4回から年10回受付に増やす。また、光ディスクによる申出を可能とし、年4回受け付ける。

    • 低生産については、電子及び光ディスクによる申出の受付を開始。

    少量新規申出期間

    受付 備考第1回 第2回以降 回数

    電子申出 1月20日~30日4月~12月(1日~10日)

    10回 e-Gov 電子証明書の添付は廃止

    光ディスク申出 1月20日~30日6、9、12月(5営業日)

    4回 郵送

    書面申出 1月20日~30日6、9、12月(5営業日)

    4回 窓口

    低生産申出期間

    受付 備考第1回 第2回以降 回数

    電子申出 3月1日~10日 4月~3月 13回 e-Gov 電子証明書不要

    光ディスク申出 3月1日~10日 4月~3月 13回 郵送

    書面申出 3月1日~10日 4月~3月 13回 郵送

    申出方法の多様化(電子化推進)

    28

  • Ⅱ-6-⑧. 少量新規・低生産量新規化学物質の確認制度

    製造・輸入量 排出係数 推計環境排出数量 確認環境排出数量

    申出情報

    申出数量 用途番号

    国の確認対象

    事業者A:中間物を1トン製造1トン × 0.004 = 0.004

    事業者B:接着剤用溶剤を1トン製造1トン × 0.9 = 0.9

    事業者C:クリーニング洗浄用溶剤1トン製造1トン × 0.8 = 0.8

    計1.704

    合計1トンとなるよう数量調整

    環境排出数量の確認の考え方

    29

  • Ⅱ-6-⑨. 少量新規・低生産量新規化学物質の確認制度

    • 一の新規化学物質について、少量新規・低生産量新規化学物質申出に係る環境排出数量の合計が、全国数量上限1トン又は10トン を超える場合には、全国数量上限の範囲内で当該数量を事業者に配分して確認する。

    • 用途を証明する書類の添付がない場合、全量排出するものとして取り扱う。また、用途証明書類を添付して申し出する事業者の事業機会を確保する観点から、当該年度における最終回の確認を除き、1回あたりの確認数量の上限は100kgとする。(少量新規のみ)

    • 確認数量の調整にあたっては、次の事項を考慮する。

    – 用途証明書類の添付があった場合は、添付無しよりも優先的に配分する。

    – 前年度の製造・輸入実績がある場合には、実績無しよりも優先的に配分する。

    – 前年度の製造・輸入確認数量の実績数量との差が小さい場合には、その差が大きい場合よりも優先的に配分する。

    数量調整と確認通知(数量調整の考え方)

    30

  • 電子申請16,573

    光ディス

    ク 1,898

    書類持参3,529

    2019年度(合計22,000件)

    Ⅱ-7-①. 少量新規・低生産量新規化学物質の確認制度

    ◼ 電子申請率が向上2018年度第1回 2019年度第1回

    電子申請率(申出件数ベース) 54% ⇒ 75%(84%)

    電子申請率(事業者ベース) 21% ⇒ 47%(54%)

    ■ 対策•なりすまし防止用の電子証明書の提出を不要とし、手続きの簡素化を図った。•主な変更点を1年前に公表し、全国各地で説明会を12回行って、関係者に周知した。•4回/年の受付を電子申請のみ10回/年に増やし、電子申請を選択する動機付けをした。

    ⚫ 電子証明書の廃止、電子申請回数を増やすなどの動機付けの結果、電子申請率が著しく向上。

    *カッコ内は、電子+CD申請率

    電子申請17,795

    書類持参14,898

    2018年度(合計32,693件)

    申出件数割合の比較(第1回)

    2014230

    69779

    417

    0

    500

    1000

    2018年度 2019年度

    事業者数比較(第1回)

    電子申請 光ディスクを郵送 書類持参

    2019年度第1回少量新規化学物質の申出状況①

    31

  • ◼ 申出製造・輸入数量を数量調整された物質数が大幅に減少

    ■対策•環境排出量への換算に必要な、事業者の顧客からの用途証明書入手を円滑化するため、用途証明書を提出した場合、提出のない申出よりも優先的に数量調整することにし、また提出がない場合は、1回当たりの確認数量の上限を100kg(通常1,000kg)として、用途証明書を提出する動機付けをした。

    ⚫ 全国数量上限を環境排出量ベースへと変更した結果、数量調整される物質数が大幅に減少。これによって、事業者は、法改正前より事業の予見性が高くなったと考えられる。

    2018年度第1回 2019年度第1回

    数量調整件数 4,027 ⇒ 496

    数量調整件数/申出件数 12% ⇒ 2%

    ※用途証明書提出率67%中間物, 14%

    輸出用, 14%電気材料又は電

    子材料, 8%

    レジスト材料、写

    真材料又は印刷

    版材料, 8%

    水系洗浄剤(家庭用

    又は業務用), 4%芳香剤又は消臭

    剤, 4%

    塗料又はコー

    ティング剤, 3%

    化学プロセス調

    節剤, 2%

    接着剤、粘着剤

    又はシーリング

    材, 2%

    その他, 8%

    用途証明無し, 33%

    用途別申出件数割合(2019年度第1回)

    4027

    4960

    1000

    2000

    3000

    4000

    2018年度 2019年度

    数量調整件数比較(第1回)

    数量調整件数

    ☆数量調整対象は排出係数1の申出のみ・用途証明有の場合

    113:水系洗浄剤(家庭用又は業務用のものに限る)

    122:芳香剤又は消臭剤・用途証明無し

    Ⅱ-7-②. 少量新規・低生産量新規化学物質の確認制度

    2019年度第1回少量新規化学物質の申出状況③

    32

  • ◼ 高い電子申請率、数量調整件数の大幅減

    ⚫ 低生産量新規制度について、申出手続きの電子化を開始。少量新規と同じシステム・操作方法としたため、約8割の電子申請率(申出件数ベース)となった。

    ⚫ 数量調整件数についても少量新規と同様、昨年度より大幅に減少。事業者は、法改正前より事業の予見性が高くなったと考えられる。

    *カッコ内は、電子+CD申請率

    合計1,545物質

    240

    380

    100

    200

    300

    2018年度 2019年度

    数量調整件数比較(第1回)

    数量調整件数

    電子申請 1,154

    光ディスク 112

    書類郵送 279

    申出件数割合(2019年度第1回)

    ☆数量調整対象は排出係数1の申出のみ・用途証明有の場合

    113:水系洗浄剤(家庭用又は業務用のものに限る)

    122:芳香剤又は消臭剤・用途証明無し

    2018年度第1回 2019年度第1回

    申出件数 1,677 ⇒ 1,545

    電子申請率(申出件数ベース) - 75%(82%)

    電子申請率(事業者ベース) - 54%(60%)

    数量調整件数 240 ⇒ 38

    数量調整件数/申出件数 14% ⇒ 2%*各年度の数量調整件数には、第1回少量新規申出物質と競合したために数量調整されたものを含んでいる。

    Ⅱ-7-③. 少量新規・低生産量新規化学物質の確認制度

    2019年度第1回低生産量新規化学物質の申出・数量確認状況

    33

  • その他の審査特例制度(中間物等、低懸念高分子化合物)

    34

  • ○予定されている取扱いの方法等から見て環境の汚染が生じるおそれがないものとして、3大臣から確認を受けた場合、新規化学物質の製造・輸入の事前審査は不要。

    ○確認を受けた者は、必要に応じ報告徴収及び立入検査の対象となる。○中間物等の確認制度のうち製造輸入数量が年間1トン以下のケースについて、「少量中間物等確認制度」を平成26年に創設。これまでの中間物等の確認制度より、提出資料の簡素化と国の審査時間の大幅短縮等のメリットがある。

    ○平成29年度の中間物等の特例制度の全確認件数は、321件。中間物が最も多く、8割程度を占める。残り約2割は輸出専用品※であり、閉鎖系等用途の件数はごくわずか。また、平成26年10月に制定した少量中間物確認制度の確認件数は年々増加しており、平成29年度では189件と全確認件数の6割を占める。

    Ⅱ-8-①.中間物等(中間物・閉鎖系等用途・輸出専用品)の確認

    0

    50

    100

    150

    200

    250

    300

    350

    16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29

    中間物 閉鎖系等用途 輸出専用品

    件数

    年度(平成)

    中間物等の確認件数

    少量輸入製造

    35

  • 1.中間物(1)当該化学物質が全量、中間物として利用されること

    (2)反応後物質中に、おける当該物質の含有割合が1重量%未満であること

    (3)予測環境放出量(製造・輸入・使用)が製造・輸入量の1重量%未満又は10tを超える場合は100kg未満であること

    2.閉鎖系用途(1)当該化学物質が全量、閉鎖系用途で利用されること

    (2)予測環境放出量が製造・輸入量の1重量%未満又は10tを超える場合は100kg未満であること

    3.輸出専用品(1)当該化学物質が全量、省令で定める地域に輸出されること

    アイルランド、アメリカ合衆国、イタリア、英国、オーストラリア、オーストリア、オランダ、カナダ、ギリシャ、スイス、スウェーデン、スペイン、スロバキア、大韓民国、チェコ、中華人民共和国、デンマーク、ドイツ、ニュージーランド、ノルウェー、ハンガリー、フィンランド、フランス、ブルガリア、ベルギー、ポーランド、ポルトガル及びルクセンブルク

    (2)予測環境放出量が製造・輸入量の1重量%未満又は10tを超える場合は100kg未満であること

    Ⅱ-8-②.中間物等(中間物・閉鎖系等用途・輸出専用品)の確認

    中間物等の判定基準

    36

  • ●高分子化合物(ポリマー)の定義

    ○1種類以上の単量体単位の連鎖により生成する分子の集合から構成され、3連鎖以上の分子の合計重量が全体の50%以上を占め、かつ、同一分子量の分子の合計重量が全体の50%未満

    ○数平均分子量が1,000以上

    ●低懸念高分子化合物の確認制度について(平成21年度に追加)

    ○新規化学物質のうち、高分子化合物であって、人の健康又は生活環境動植物の生息等に被害を生ずるおそれがないものとして、3大臣の確認を受けたもの。

    ○物理化学的安定性、溶解性、分子量分布、化学構造の情報を申出。自社で試験可能。○申出から確認まで約1ヶ月、物質名が公示されない、製造輸入量の届出不要。

    (参考)通常新規化学物質届出における高分子化合物の審査制度について

    ○化審法独自の安全性評価試験方法(高分子化合物評価フロースキーム)が定められている。

    ○分解度試験、濃縮度試験に代わり、安定性や溶解性に係る試験により分解性、蓄積性を評価。人健康影響、生態影響については化学構造から評価。

    ○高分子化合物評価フロースキームの試験は、GLP試験施設で行わなくても良い(自社で試験可能)。

    低懸念高分子化合物

    高分子フロースキームの基準を満たす高分子化合物

    Ⅱ-9.低懸念高分子化合物(PLC)の確認

    37

  • Ⅲ.上市後の一般化学物質等の継続的な管理

    38

  • ○化学物質が、人の健康と環境にもたらす著しい悪影響を最小化する方法で使用、生産されることを2020年までに達成することを目指すとの目標(Goal)。

    ○ 2002年の「持続可能な開発に関する世界首脳会議(World Summit on Sustainable Development)」で合意された。

    国内の目標(Goal)

    ○約28,000の既存化学物質について「リスクを最小化」することを目指す。

    ○具体的には、著しいリスクがあると認められる優先評価化学物質を特定するためのリスク評価を行い、著しいリスクがあると判明したものを第二種特定化学物質に指定することを目指している。

    ※「予防的取組方法に留意しつつ、透明性のある科学的根拠に基づくリスク評価手順と科学的根拠に基づくリスク管理手順を用いて、化学物質が人の健康と環境にもたらす著しい悪影響を最小化する方法で、使用、生産されることを2020年までに達成することを目指す」

    Ⅲ-1.WSSD2020年目標について

    39

  • リスク =有害性

    (ハザード) ×環境排出量(暴露量)

    有害性:化学物質が、人や環境中の動植物に対し、どのような望ましくない影響を及ぼす可能性があるか

    暴露量:人や動植物が、どのくらいの量(濃度)の化学物質にさらされているか

    Ⅲ-2-①.ハザードベースに加えてリスクベースの評価管理へ

    <リスクベースの評価管理の一般的なメリット>

    ○有害性情報が不足している化学物質について、一定以上の暴露が想定される場合にはリスクが十分に低いと判断できないとして、詳細な評価対象とすることが可能となる。

    ○有害性が高くない化学物質についても、暴露量が多くなることにより人健康影響・生態影響が懸念される場合に、管理対象とすることが可能となる。

    ○取り扱いや使用方法など、暴露量を制御・管理して、リスクをなくすことにより、種々の化学物質の利用が可能となる。

    ○平成21年改正により、化学物質の「有害性(ハザード)」のみに着目した規制体系から、人及び動植物へどれだけ影響を与える可能性があるかの「環境排出量(暴露量)」を加味した、「リスク」ベースの評価体系になった。

    40

  • 長期使用製品

    家畜

    水、魚

    塗膜樹脂剥離

    建築資材添加剤浸出

    ゴム添加剤摩耗

    下水処理場

    燃料添加剤揮発

    家庭用・業務用用途

    水系非点源

    大気系非点源

    様々な排出源の影響を含めた 排出源、暴露シナリオが様々

    土壌

    植物

    大気

    排出源ごと

    点源

    複数の暴露シナリオ

    Ⅲ-2-②.ハザードベースに加えてリスクベースの評価管理へ

    41

  • スクリーニング評価

    (長期毒性があればリスクが懸念される化学物質)

    リスク評価(一次)

    (リスクが十分に低いと言えない化学物質)

    有害性調査指示(製造・輸入事業者に長期毒性試験の実施を指示)

    第二種特定化学物質に指定(必要により、製造・輸入数量を調整)

    (リスクが懸念される化学物質)

    絞り込み

    物質数評価の精度

    簡易

    詳細

    Ⅲ-3.上市後の化学物質におけるリスク評価の流れ

    優先度マトリックスにより、リスクが十分に低いとは判断できず、さらにリスク評価を行う必要がある化学物質を絞り込む。

    絞り込んだ物質について、各種のデータを用い、リスク懸念の程度を詳細に評価する。

    PRTRデータ

    環境モニタリングデータ

    有害性データ

    詳細用途別出荷量(化審法に基づく優先評価化学物質の届出データ)

    有害性調査指示による長期毒性試験の結果を踏まえて最終的にリスクを評価。

    優先評価化学物質に指定

    一般化学物質

    リスク評価(二次)

    物理化学的性状等データ

    用途別出荷量(化審法に基づく一般化学物質の届出データ)

    有害性データ

    42

  • Ⅲ -4-①.上市後の化学物質におけるスクリーニング評価

    有害性クラス

    強 弱

    1 2 3 4 外

    暴露クラス

    1 高 高 高 高 外

    2 高 高 高 中 外

    3 高 高 中 中 外

    4 高 中 中 低 外

    5 中 中 低 低 外

    外 外 外 外 外 外

    優先度「中」「低」は必要に応じてエキスパートジャッジで優先評価化学物質に指定

    • 一般化学物質について、暴露クラス(推計排出量の大きさ)及び有害性クラス(有害性の強さ)を付与し、以下のマトリックスを用いてスクリーニング評価が行われる。

    優先評価化学物質

    一般化学物質

    リスクが十分に低いと判断できない

    【総推計環境排出数量】・製造・輸入数量等の届出情報・分解性の判定結果

    から推計環境排出数量を算出し、暴露クラスを設定(毎年更新)

    暴露クラス 総推計環境排出数量

    クラス1 10,000トン以上

    クラス2 1,000 – 10,000トン

    クラス3 100 – 1000トン

    クラス4 10 – 100トン

    クラス5 1-10トン

    クラス外 1トン未満

    【人・健康】一般毒性、生殖発生毒性、変異原性、発がん性に係る有害性情報※から有害性クラスを設定【生態】水生生物の生態毒性試験データ(藻類・甲殻類・魚類)に係る有害性情報※から有害性クラスを設定

    ※化審法上で届出又は報告された情報、国が実施した既存点検情報、

    国が収集した文献情報、事業者からの任意の報告情報等

    優先度マトリックスを用いたスクリーニング評価

    43

  • 人健康影響の有害性クラス付け

    有害性の

    項目1 2 3 4 クラス外

    一般毒性D≤0.005

    GHS区分1D>0.5

    生殖発生毒性

    D≤0.005 D>0.5

    変異原性GHS区分

    1A

    発がん性GHS区分

    1AGHS区分1B, 2 GHS区分外

    4つの有害性項目のクラスのうち、

    最も厳しいクラスを有害性クラスとして付与

    D:有害性評価値=NOEL等/不確実係数積 (mg/kg/day)

    ・GHS区分1B,2・化審法「強い陽性」・化管法「クラス1」・強弱不明の陽性

    化審法の変異原性試験のいずれかで陽性※1

    化審法の変異原性試験のいずれも陽性※1

    • GHS区分外

    •化審法の変異原性試験のいずれも陰性

    • in vivo試験で陰性※2

    0.05

  • 生態影響の有害性クラス付けについて

    有害性クラス 1 2 3 4 クラス外

    PNECの

    区切り

    PNEC

    ≤0.001

    0.001<

    PNEC

    ≤0.01

    0.01<

    PNEC

    ≤0.1

    0.1<

    PNEC

    ≤1

    PNEC

    > 1

    最も厳しい最小毒性値からPNEC(mg/L)を導出

    有害性の評価対象となる3つの栄養段階

    藻類甲殻類(ミジンコ)

    魚類

    各栄養段階の

    慢性毒性値を優先的に採用

    各栄養段階の最小毒性値を比較(不確実係数を考慮)

    有害性クラス強 弱

    Ⅲ-4-③.上市後の化学物質におけるスクリーニング評価

    45

  • 製造・輸入者からの届出情報 暴露クラスの付与について

    スクリーニング評価用排出係数一覧表

    有害性クラス

    強 弱

    1 2 3 4 外

    暴露クラス

    1 (>10000t) 高 高 高 高

    2 (1000t~≦10000t) 高 高 高 中

    3 (100t~≦1000t) 高 高 中 中

    4 (10t~≦100t) 高 中 中 低

    5 (1t~≦10t) 中 中 低 低

    外 (≦1t) クラス外

    製造・輸入数量・用途別出荷数量

    生分解性の情報難分解性/良分解性の

    判定結果

    全国総排出量(推計値)

    水域への排出量×0.5(良分解性判定のとき)

    暴露クラス5は優先度「高」にならない

    ○全ての一般化学物質について、製造・輸入者から届け出られた用途別出荷量をもとに全国総排出量を推計し、暴露クラスを付与する。

    Ⅲ-4-④.上市後の化学物質におけるスクリーニング評価

    46

  • Ⅲ-4-⑤.上市後の化学物質におけるスクリーニング評価

    届出された用途別の出荷数量に排出係数をかけて排出量を推計47

  • 製造・輸入者からの実績数量等の届出

    48

  • Ⅲ-5-①. 一般化学物質等の製造・輸入実績数量等の届出

    1. 届出対象➢ 化審法の規定に基づき、一般化学物質、優先評価化学物質又は監視化学物質を製造・輸入した者に義務付け

    【一般化学物質とは】

    ① 既存化学物質名簿に掲載された化学物質

    ② 新規公示化学物質

    ③ 旧第二種・第三種監視化学物質

    ④ 優先評価化学物質の指定を取り消された化学物質

    ⑤ 公示される前の、判定通知を受けた新規化学物質(一般化学物質に準じる)

    ➢ 製造・輸入数量が1化学物質につき1事業者あたり1トン以上の化学物質(監視化学物質は1kg以上)

    ➢ 1トンに満たない化学物質(1kgに満たない監視化学物質)、試験研究用途、大臣指定の届出不要物質等は、届出対象から除外

    ➢ 混合物においては、混合物中の重量割合が10%未満の一般化学物質、1%未満の不純物である監視化学物質及び優先評価化学物

    質は届出対象外

    ➢ 同一事業所内か否かにかかわらず、自社内で全量消費する化学物質(自家消費する中間物)の製造については届出対象から除外(自

    社内で全量消費する化学物質の輸入は届出対象)

    2. 届出内容➢ 化審法施行規則で定められた様式

    ➢ 前年度の製造数量、輸入数量及び出荷数量について届出

    ➢ 用途は約50の用途分類(3桁)で届出(監視化学物質及び優先評価化学物質は用途分類(3桁)と詳細用途分類(1桁)を届出)

    ➢ (把握していれば)CAS番号をその他の番号欄に記載

    3. 届出の時期➢ 書面:4月1日~6月30日

    ➢ 電子・光ディスク:4月1日~7月31日

    ※①~③、⑤については、監視化学物質及び優先評価化学物質の指定を受けた物質を除く

    49

  • 運用通知の改正

    一般化学物質等の届出制度で届出された情報に基づき、段階的にスクリーニング評価(簡易なリスク評価)、リスク評価を実施しています。正しく化学物質を同定し、適切に評価を進めるために、届出を化合物ごとに1区分とすることを原則とします。

    ➢ 一般化学物質の届出、優先評価化学物質の届出において、「物質名称」の記載欄に製造・輸入した化合物の構造がわかる名称を記載いただくことになりました。

    ➢ 同じ官報整理番号であっても、異なる化合物の場合は、化合物毎に数量を集計し、複数の届出書を作成する必要があります。

    ➢ 優先評価化学物質又は一般化学物質の届出に関する取扱いの明確化〔改正箇所:3-2〕

    平成31年4月からの主な改正点①

    3-2 優先評価化学物質又は一般化学物質の製造数量等の届出に関する取扱い(新設)

    優先評価化学物質又は一般化学物質の法第9条又は第8条に定める製造数量等の届出に関する取扱いは、化合物ごとに1区分とすることを原則とし、内容が不詳なもの又は分離等できないものについては製法、性状、混合状態等に基づいて区分する。

    Ⅲ-5-②.一般化学物質等の製造・輸入実績数量等の届出

    50

  • ➢ 新規化学物質として取り扱わないとした化学物質の取扱いの変更〔改正箇所:3-1〕

    新規化学物質として取り扱わないとした、複数の既存化学物質等で構成される分子間化合物等(※)や既存化学物質である酸及び塩基で構成される付加塩(金属塩は除く)、オニウム塩については、届出単位が変わりました。

    従来、混合物として取り扱うこととしていましたが、本改正により、今後は一つの化合物として取り扱い、その製造数量等の届出についても構成する成分ごとではなく化合物を1区分とすることを原則とします。

    ※分子間化合物、包接化合物、水和物、複塩、無機高分子化合物、混合金属塩、ブロック重合物、グラフト重合物に限る。

    ➢ 物質名称、CAS登録番号、製造・輸入合計数量等は塩等の単位で記載してください。

    ➢ 官報公示名称、官報整理番号の記載欄を複数設けました。酸、塩基等各々に該当する官報公示名称、官報整理番号を記載してください。

    運用通知の改正

    平成31年4月からの主な改正点②

    Ⅲ-5-③.一般化学物質等の製造・輸入実績数量等の届出

    51

  • 届出様式の改正箇所一覧

    変更のある項目 様式11一般化学物質

    様式12優先評価化学物質

    様式13監視化学物質等

    様式14第二種特定化学物

    様式共通で変更した項目• 和暦 → 西暦• 届出者等整理コード → 法人番号• 担当者連絡先 → 記載欄を追加

    • 製造・輸入合計数量 → 欄を新設• 出荷数量欄2箇所を1箇所に統一

    〇 〇 〇 〇

    用途番号• 2桁 → 3桁• 用途の内容 → 一部変更

    〇 〇 〇 〇化学物質名称等

    • 官報公示名称以外の物質名称の欄新設• 複数の官報公示名称、官報整理番号の欄新設

    〇 〇その他

    • 取り消された優先評価化学物質の物質管理番号の欄新設

    • 数量の有効数字は1桁→1桁又は実数

    〇備考

    • 構造・組成について参考となる事項を記載した書類を必要に応じて添付

    〇 〇

    Ⅲ-5-④.一般化学物質等の製造・輸入実績数量等の届出

    52

  • Ⅲ-6.一般化学物質の製造・輸入実績数量等の届出状況

    ○22年度実績から、一般化学物質を年間1トン以上製造・輸入した事業者に対し、その数量の届出義務を課す制度を導入。

    ○・平成22年度実績:31,301件(1,422社) 6,813物質・平成23年度実績:29,938件(1,406社) 7,067物質・平成24年度実績:28,883件(1,361社) 6,728物質・平成25年度実績:28,357件(1,348社) 6,673物質・平成26年度実績:28,365件(1,341社) 6,700物質・平成27年度実績:28,401件(1,336社) 6,649物質・平成28年度実績:28,344件(1,370社) 6,653物質

    ○本届出実績を集計・公表するとともに、暴露クラスの推計に活用。

    (注)リスク評価を行う必要がないものとして指定された化学物質は届出不要とされている。

    4,192

    1,459

    726 208 55 13

    0500

    1,0001,5002,0002,5003,0003,5004,0004,500

    <届出物質の数量分布(平成28年度実績)>

    製造・輸入数量(t)

    53

  • WSSD2020年目標の達成状況と今後の取組

    54

  • Ⅲ-7-①.WSSD2020年目標(Goal)について

    ⚫ 化学物質が、人の健康と環境にもたらす著しい悪影響を最小化する方法で使用、生産されることを2020年までに達成することを目指すとの目標(Goal)。

    ※「予防的取組方法に留意しつつ、透明性のある科学的根拠に基づくリスク評価手順と科学的根拠に基づくリスク管理手順を用いて、化学物質が人の健康と環境にもたらす著しい悪影響を最小化する方法で、使用、生産されることを2020年までに達成することを目指す」

    ⚫ 2002年の「持続可能な開発に関する世界首脳会議(World Summit on Sustainable Development)」で合意された。

    ⚫ 約28,000の既存化学物質について「リスクを最小化」することを目指す。具体的には、下記のことを目指している。 スクリーニング評価によりリスクがないとは言えない化学物質を絞り込み、優先評価化学物質に指定する。

    その上で、リスク評価を行い、著しいリスクがあると判明したものを、第二種特定化学物質に指定する。

    また、2020年時点までに著しいリスクが判明しなかった優先評価化学物質について、リスク評価を進め、著しいリスクが判明した場合は、第二種特定化学物質に追加指定する。

    国内の目標(化審法のリスク評価の目標)

    55

  • Ⅲ-7-②.WSSD2020年目標の達成に向けた化審法の取組

    2020年までに、• 科学的な信頼性のある有害性データが

    得られている物質について

    【目標①】スクリーニング評価をひととおり終え

    【目標②】第二種特定化学物質に指定すべきものを指定する

    • 評価を行うためのデータが得られなかった物質について

    【目標③】評価を行える目処が立っている

    2020年目標達成のための目標※2016年10月、3省合同審議会

    56

    ⚫ 既存化学物質のうち96%(約27,000物質)はリスクが十分小さい旨判明済み。評価未実施の化学物質のリスク評価を着実に進めるべく、3つの目標を設定。

    ⚫ 概ね順調に達成に向け進捗している一方で、第二種特定化学物質に指定すべきものを指定するにあたり課題が明らかとなったため、一層の加速化・合理化が必要な状況。

    評価Ⅰにおいて、第二種特定化学物質の指定に適した評価対象物質の選定手法の見直し(PRTR情報等の活用、発がん性定量評価の実施など)

    評価Ⅱスケジュールの再検討(他法令で基準の定まっていない物質を優先的に評価など)

    【目標①】着実に進捗。概ね達成できる見込み。

    【目標③】評価実施可能な目途を立てるための方策は着実に進捗。概ね達成できる見込み。

    【目標②】スケジュールに概ね沿って進められてきており、着実に進捗しているが、一層の加速化・合理化が必要。

  • Ⅳ. 第一種・第二種特定化学物質

    57

  • Ⅳ-1-①.第一種特定化学物質について

    ○難分解、高蓄積、人への長期毒性又は高次捕食動物への長期毒性のおそれがある物質で、政令で指定している33物質群。 (平成31年4月1日時点)

    難分解性、高蓄積、長期毒性を有する化学物質の環境中への放出を回避

    第一種特定化学物質とは

    ○第一種特定化学物質の製造・輸入の許可制。

    (試験研究用途や必要不可欠用途(エッセンシャルユース)以外での製造・輸入は原則禁止)

    ○試験研究用途や必要不可欠用途以外での第一種特定化学物質の使用禁止。

    ○政令で指定している第一種特定化学物質の使用製品の輸入禁止。

    ○法令に違反した製造者、輸入者、使用者に対する回収措置命令、罰則。

    第一種特定化学物質の規制内容

    58

  • Ⅳ-1-②.第一種特定化学物質の新たな指定(POPs条約対応)

    ○ ポリ塩化直鎖パラフィン(炭素数が十から十三までのものであつて、塩素の含有量が全重量の四十八パーセントを超えるものに限る。)、一・一′―オキシビス(二・三・四・五・六―ペンタブロモベンゼ

    ン)(別名デカブロモジフェニルエーテル)については、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)に基づき国際的に製造・使用を原則禁止(廃絶)とすることが決定したため、化審法施行令(政令)を改正し、これらの物質を化審法の第一種特定化学物質に指定。

    ・平成30年4月 改正化審法施行令の施行(第1条)ポリ塩化直鎖パラフィン及びデカブロモジフェニルエーテルの製造・輸入・使用禁止

    ・平成30年10月 改正化審法施行令の施行(第7条)ポリ塩化直鎖パラフィン及びデカブロモジフェニルエーテルを使用した以下の製品の輸入禁止

    <ポリ塩化直鎖パラフィン>①潤滑油、切削油及び作動油、②生地に防炎性能を与えるための調整添加剤、③樹脂用又はゴム用の可塑剤、④塗料(防水性かつ難燃性のものに限る。)、⑤接着剤及びシーリング用の充塡料、⑥皮革用の加脂剤

    <デカブロモジフェニルエーテル>①防炎性能を与えるための処理をした生地、②生地、樹脂又はゴムに防炎性能を与えるための調整添加剤、③接着剤及びシーリング用の充塡料、④防炎性能を与えるための処理をした床敷物、⑤防炎性能を与えるための処理をしたカーテン、⑥防炎性能を与えるための処理をした旗及びのぼり

    ポリ塩化直鎖パラフィン(炭素数が十から十三までのものであつて、塩素の含有量が全重量の四十八パーセントを超えるものに限る。)

    デカブロモジフェニルエーテル

    Cl

    Cl

    Cl

    Cl

    (上記構造式は一例)

    O

    Br

    Br Br

    BrBr Br

    Br

    Br

    Br Br

    59

  • 3.化審法における措置

    ○我が国では、条約の対象物質について、その妥当性に鑑み、化審法の第一種特定化学物質に指定し、その製造、使用等を制限する等の措置を講じて、条約の義務を履行してきている。○第9回COPでPFOA等が廃絶対象物質になったため、今後施行令を改正し、以下の措置を講じる予定。(1)第一種特定化学物質の追加指定(2)当該一特物質を使用した製品を輸入禁止製品に追加指定

    Ⅳ-1-③.POPs条約の最近の動きと化審法での対応

    ○第14回POPRC(2018年9月)において、ペルフルオロオクタン酸(PFOA)とその塩及びPFOA関連物質について、廃絶対象物質(附属書A)への追加を締約国会議に勧告すること、また、ペルフルオロヘキサンスルホン酸(PFHxS)とその塩及びPFHxS関連物質については、リスク管理に関する評価の検討段階に進めることを決定。○第9回COP(2019年4~5月)でPFOA等について附属書Aへの追加が決定された。

    2.最近の動き

    1.POPs条約とは

    ○POPs条約(残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約)とは、 環境中での残留性、生物蓄積性、人や生物への毒性が高く、長距離移動性が懸念される残留性有機汚染物質(POPs:Persistent Organic Pollutants)の製造及び使用の廃絶・制限、排出の削減、これらの物質を含む廃棄物等の適正処理等を規定している条約(2004年5月17日発効)。〇対象物質については、POPsの検討委員会(POPRC)において議論されたのち、締約国会議(COP)において決定される。

    60

  • Ⅳ-2.監視化学物質について

    ○難分解性、高蓄積性であるが、毒性が不明なもの(第一種特定化学物質に該当するかどうか明らかでないもの)で、現在38物質が指定されている(平成31年4月1日現在)。

    監視化学物質とは

    ○監視化学物質の製造・輸入実績数量等の届出。

    ○製造・輸入した化学物質に関して、難分解性・高濃縮性・人や動植物に対する有害性を示す知見を得たときは、国に報告する義務。既に有している有害性情報は努力義務。

    ○監視化学物質の取扱事業者は、譲渡・提供先に物質名称と監視化学物質である旨を伝える努力義務。

    ○製造、輸入、使用等の状況からみて、環境汚染が生ずるおそれがあると認められる場合、国は製造・輸入者に対して、長期毒性に関する調査を行いその結果を報告する指示を行うことができる 等

    監視化学物質への措置事項

    ○平成30年4月に、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)及びドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)を監視化学物質に指定。

    最近の動き

    61

  • ○環境中に広く残留し、人への長期毒性又は生活環境動植物への長期毒性の恐れがある物質で、政令で指定している物質(トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、四塩化炭素等の23物質を指定)。 (平成31年4月1日時点)

    ○第二種特定化学物質及び第二種特定化学物質使用製品の製造・輸入予定数量の事前届出義務、製造・輸入数量実績の届出義務。

    ○第二種特定化学物質及び政令指定製品の表示義務。技術指針の遵守。

    ○届出者に対する予定数量の変更命令、勧告、報告徴収、立入検査。取扱者への勧告。

    ○法令を違反した製造者、輸入者に対する罰則。

    第二種特定化学物質とは

    第二種特定化学物質の規制内容

    ※左記3物質以外の第二種特定化学物

    質(トリフェニルスズ類、トリブチルス

    ズ類)は製造輸入数量実績がない。

    第二種特定化学物質の出荷数量(輸出及び中間物向け以外)の推移

    Ⅳ-3.第二種特定化学物質について

    (t)・トリクロロエチレン○代替フロン原料、金属脱脂洗浄に活用

    ・テトラクロロエチレン○ドライクリーニング、金属脱脂洗浄に活用

    ・四塩化炭素○フロン原料に活用

    代表的な事例

    62

  • Ⅴ. トピックス

    63

  • ◼背景:化審法では化学物質の性状のうち環境中での分解性や生物の蓄積性等を確認。◼現状:・新規化学物質の分解性や蓄積性等の審査においては、事業者から提出される化審法の法定試験法に基づくデータを利用している。

    ・既存化学物質のリスク評価については、法定試験法以外のデータも評価に利用しているが、法定試験法と法定試験法以外の両方のデータが得られる際、矛盾する結果となっている場合もある。

    ◼課題:・化審法の法定試験法に基づくデータだけでは実環境中の挙動を必ずしもカバーしきれない。・国際的に認められた多数の試験法に基づくデータの利用が進んでいない。

    Ⅴ-1.化審法の今後の方向性

    目指す方向性

    分解性、蓄積性の

    ・各種試験法、推計法の整理

    ・各種クライテリアの整理

    ・各種試験法、

    推計法の結果と

    化審法の試験法

    結果との関係解析等

    ・受け入れる試験法の拡大

    ・QSAR・リードアクロス

    の一層の導入

    ・実環境データの活用

    • 分解性と蓄積性について様々なデータを活用して総合的に評価する手法の導入

    • 新規化学物質の審査と既存化学物質のリスク評価における扱いの連携

    ※ある物質がある特定の影響を引き起こすという仮定を、ある単独のデータに基づく評価ではなく、複数の利用可能なデータや情報を組み合わせて評価する考え方。

    • 分解性・蓄積性の評価について、様々なデータを活用しながら、総合的な評価手法(ウェイトオブエビデンス※)の導入に向けた検討を実施していく。

    64

  • Ⅵ. 参考資料

    65

  • ◆ 化審法トップページ

    https://www.meti.go.jp/policy/chemical

    _management/kasinhou/index.html

    ◆ 化審法体系図https://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/kasinhou/about/laws.html

    ◆ 新規化学物質の届出・申出についてhttps://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/kasinhou/todoke/shinki_index.html

    ◆ 一般化学物質、優先評価化学物質、監視化学物質の製造数量等の届出についてhttp://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/kasinhou/general-chemical.html

    ◆ お問い合わせ先経済産業省製造産業局化学物質管理課化学物質安全室e-mail:kashinhou-junbi“アット”meti.go.jp (“アット”を@に変換してください。)TEL:03-3501-0605

    情報提供サイトと問い合わせ先

    66

    https://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/kasinhou/index.htmlhttps://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/kasinhou/index.htmlhttps://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/kasinhou/about/laws.htmlhttps://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/kasinhou/todoke/shinki_index.htmlhttp://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/kasinhou/general-chemical.htmltel:03-3501-0605