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平成 26 年度「特別支援教育に関する研究Ⅱ」研究成果物 「身体面の課題チェックシート」 活用の手引き・実践事例集

「身体面の課題チェックシート」 活用の手引き・実践事例集...平成26 年度「特別支援教育に関する研究Ⅱ」研究成果物 「身体面の課題チェックシート」

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Page 1: 「身体面の課題チェックシート」 活用の手引き・実践事例集...平成26 年度「特別支援教育に関する研究Ⅱ」研究成果物 「身体面の課題チェックシート」

平成 26年度「特別支援教育に関する研究Ⅱ」研究成果物

「身体面の課題チェックシート」

活用の手引き・実践事例集

Page 2: 「身体面の課題チェックシート」 活用の手引き・実践事例集...平成26 年度「特別支援教育に関する研究Ⅱ」研究成果物 「身体面の課題チェックシート」
Page 3: 「身体面の課題チェックシート」 活用の手引き・実践事例集...平成26 年度「特別支援教育に関する研究Ⅱ」研究成果物 「身体面の課題チェックシート」

1

授業中に机にすぐ突っ伏してしまう

落ち着きがなく、じっと座っていられない

ドッチボールを片手で投げにくい

走り方がぎこちない

鉛筆の持ち方がおかしい

字がプリントのマスからすぐにはみ出してしまう

はさみで線の通りに切ることが難しい ・・・

みなさんが担任されている学級でも見かける姿ではないでしょうか。

原因は何でしょう?

平成26年度の「特別支援教育に関する研究Ⅱ」では、小学校の特別支援学級

に在籍する児童の「身体の動きのぎこちなさ」など「身体面の課題」に焦点を

あてました。そして、医療分野で発達障害のある児童の日常的な動作や運動面

の改善の治療を専門領域の一つとする作業療法士の助言を受けながら、実態把

握と「身体面の課題」の改善に向けた授業改善を進めました。

この冊子は本研究をもとに、教員が日々の学校生活の中で出会う、児童の「身

体面の課題」に気付き、その「気付き」を「実践」につなぐ手助けとなるよう

作成しました。

特別支援教育のより一層の推進のために活用していただければ幸いです。

Page 4: 「身体面の課題チェックシート」 活用の手引き・実践事例集...平成26 年度「特別支援教育に関する研究Ⅱ」研究成果物 「身体面の課題チェックシート」

2

第 1章 「身体面の課題チェックシート」活用の手引き・・3

1 運動で得られる自信や有能感の大切さ ・・・3

2 児童の「身体面の課題」に気付く ・・・3

(1)「身体面の課題チェックシート」(学校)第 1版 ・・・4

(2)記入のポイント ・・・6

(3)身体の動きに関する質問項目の評価の観点 ・・・8

(4)「身体面の課題チェックシート」(保護者)第 1版 ・・・10

点 ・・・9

第2章 身体つくりの実践 事例集・・12

事例集の見方 ・・・12

1 姿勢保持が困難な児童 ・・・14

2 粗大運動がぎこちない児童 ・・・16

3 巧緻動作が苦手な児童 ・・・18

4 文房具などの使用がぎこちない児童 ・・・20

第3章 実践事例 ・・23

1 「トランポリン」 ・・・24

2 「スクーターボード:ロケットになろう」 ・・26

3 「スクーターボード:貨車になろう」 ・・・28

4 「スクーターボード:機関車になろう」 ・・・30

5 「タオル相撲」 ・・・31

6 生活単元学習 指導案 ・・・32

付録(こちらをプリントアウトしてご利用ください。)

「身体面の課題チェックシート」(学校)第 1版 ・・・36

「身体面の課題チェックシート」(保護者)第 1版 ・・・38

参考資料 ・・・40

ミニコラム

1「机が前に動いてしまうのはなぜ?」 ・・・14

2「見えない身体」 ・・・16

3「お箸を持つための土台」 ・・・18

4「利き手と非利き手の役割分担」 ・・・20

5「作業療法士の言葉かけ」 ・・・22

※このミニコラムは研究を進める中で実

践したことや、作業療法士からの聞き取

り、県内の実践をもとに、再構成したも

のです。

Page 5: 「身体面の課題チェックシート」 活用の手引き・実践事例集...平成26 年度「特別支援教育に関する研究Ⅱ」研究成果物 「身体面の課題チェックシート」

3

第 1章 「身体面の課題チェックシート」活用の手引き

1 運動で得られる自信や有能感の大切さ

「イスに座った姿勢がすぐに崩れてしまう」「ボールを片手で投げにくい」「鉛筆の持

ち方が間違っている」など、粗大運動や巧緻動作に困難さがある児童が小学校にはたく

さん在籍しています。一般的に「不器用」と呼ばれるこのような問題は、どの程度であ

れば支援が必要なのかが分かりにくく、また、具体的な指導方法がわかりにくいため、

見過ごされることが多くあります。

しかし、こうした課題がある児童は、身体的な活動の有能感に欠け、自信を無くしや

すく、活動への主体性も育ちにくくなります。

身体を使う活動で有能感を育むことは、学力の向上や将来の積極的な社会参加に向け

大切です。身体面に課題がある児童がスモールステップで課題を改善し、「できた」こと

を実感していく。このことが、実感を伴った自己認識の深まりにもつながると考えられ

ます。

2 児童の「身体面の課題」に気付く

適切な指導のためには、何よりも実態把握が大切です。

そこで、本研究では児童の「身体面の課題」に気付くための第一歩となるよう「身体

面の課題チェックシート」を作成しました。

「身体面の課題チェックシート」は、児童の実態把握に使用することはもちろん、個

別の指導計画に結果を反映させていくことや保護者や関係機関と連携する際の基礎資料

として活用することも考えています。

様式1(学校)は、教師が児童の「身体面の課題」を把握するための様式です(4~5ペ

ージ)。様式2(保護者)は、保護者が家庭での様子から記入する様式です(10~11ページ)。

2つの様式を併せることで学校と家庭が児童の情報を共通理解したり、役割を分担して

取り組んだりすることができると考えます。

また、この「チェックシート」で把握した児童の「課題」は、「できないこと」と捉え

るのではなく、児童の「特性」として捉えることが大切です。「今」できていること、努

力していることから実践を計画していくこと、また、保護者、本人、関係機関と共通確

認するために利用することで、より有効なツールになります。

Page 6: 「身体面の課題チェックシート」 活用の手引き・実践事例集...平成26 年度「特別支援教育に関する研究Ⅱ」研究成果物 「身体面の課題チェックシート」

4

※児童の普段の様子について、質問項目ごとに、「気になる程

度」を3段階で○をしてください。分からない場合は「?」

に○をしてください。その他、気付かれたことは右ページの

「特記事項」に記入してください。

児童名(学年)

記入日: 年 月 日( )

初回 ・ 前回記入から か月経過

評価者: 担任 特別支援教育コーディネーター

その他( )

気になる程度 気になる行動の状況や背景

番号 身体の動きに関する質問項目

気にならない

時々気になる

非常に気になる

分からない

例:

○ 授業開始5分後にはイス座位で机に

突っ伏してしまう。腹筋の弱さが原因

と考える。

○ 鉛筆の持ち方が握るような持ち方で、

巧緻作業が苦手である。 等

1 授業中、イス座位姿勢を保持する

ことができる。 0 1 2 ?

2 集会などで、立位姿勢を保持する

ことができる。 0 1 2 ?

3 目を開いて片足立ち(片足10秒ずつ)

を保持することができる。 0 1 2 ?

4 片足とび(ケンケン)ができる。 0 1 2 ?

5 授業中に立ち歩いたり、

体を揺らしたりすることがある。 0 1 2 ?

6 体育等の準備体操を模倣すること

ができる。 0 1 2 ?

7 なめらかに歩くことができる。 0 1 2 ?

8 腕や足の動きを協調させて走る

ことができる。 0 1 2 ?

9 なめらかな動きでボールを上から

投げることができる。 0 1 2 ?

10 ボールを受けることができる。 0 1 2 ?

11 鉄棒(ぶら下がり10秒)ができる。 0 1 2 ?

12 人物の絵を描くときに身体部位を

すべて描ける。 0 1 2 ?

13 鉛筆を正しく持って書くことが

できる。 0 1 2 ?

14 鉛筆の筆圧調整ができる。 0 1 2 ?

15 文字や数字をノートのマス内に

収めて書くことができる。 0 1 2 ?

(1)「身体面の課題チェックシート」(学校)第1版

2015.3

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5

特記事項

気になる動作や行動など

※評価の基準:小学校学習指導要領(総則、体育など)の学年相当の内容や同学年の児童と比較して評価する。

「気になる程度」の評価基準の目安は「気にならない」はできる、だいたいできる。

「時々気になる」はあまりできない。

「非常に気になる」はほぼできないと考えてください。

「分からない」は気付いていない、見る機会がない場合を想定しています。

参考資料: 「IESA(Individualized Education Support Assessment)) 、『ムーブメント教育・療法プログラムアセスメント(MEPA‐R)』、『小学校学習指導要領』、「特別支援教育

に活かす作業療法の知と技 改訂版」(京都府作業療法士会 特別支援教育 OT チーム)、「学校版運動面アセスメントシート」(『自閉症スペクトラムの子供の感覚運動の

問題への対処法』岩永竜一郎)、『気になる子どものできたが増える 体の動き指導アラカルト』(笹田哲)

気になる程度 気になる行動の状況や背景

番号 身体の動きに関する質問項目

気にならない

時々気になる

非常に気になる

分からない

16 消しゴムを正しく持って、きれい

に消すことができる。 0 1 2 ?

17 はさみを正しく持って、曲線を

切ることができる。 0 1 2 ?

18 箸を正しく持って、食べることが

できる。 0 1 2 ?

19 スプーンでこぼさずに食べること

ができる。 0 1 2 ?

20 衣服の着脱(速さ、間違い)が

スムーズにできる。 0 1 2 ?

合計点数

利き手・ 左 ・ 右 ・ 不定

「?」(わからない)の合計数

個 利き目

・ 左 ・ 右 ・ 不定

2015.3

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6

(2) 記入のポイント

※児童の普段の様子について、質問項目ごとに、「気になる程度」

を3段階で○をしてください。分からない場合は「?」に○を

してください。その他、気付かれたことは右ページの「特記事

項」に記入してください。

児童名(学年)

記入日: 年 月 日( )

初回 ・ 前回記入から か月経過

評価者: 担任 特別支援教育コーディネーター

その他( )

気になる程度 気になる行動の状況や背景

番号 身体の動きに関する質問項目

気にならない

時々気になる

非常に気になる

分からない

例:

○ 授業開始 5 分後にはイス座位で机に

突っ伏してしまう。腹筋の弱さが原因

と考える。

○ 鉛筆の持ち方が握るような持ち方で、

巧緻作業が苦手である 等

1 授業中、イス座位姿勢を保持する

ことができる。 0 1 2 ?

2 集会などで、立位姿勢を保持する

ことができる 0 1 2 ?

3 目を開いて片足立ちを保持する

(片足 10秒ずつ)ことができる 0 1 2 ?

4 片足とび(ケンケン)ができる 0 1 2 ?

5 授業中に立ち歩いたり、体を揺ら

したりしない 0 1 2 ?

6 体育等の準備体操を模倣すること

ができる 0 1 2 ?

7 なめらかに歩くことができる 0 1 2 ?

8 腕や足の動きを協調させて走るこ

とができる 0 1 2 ?

9 なめらかな動きでボールを上手か

ら投げることができる 0 1 2 ?

10 ボールを受けることができる 0 1 2 ?

11 鉄棒(ぶら下がり 10秒)ができる 0 1 2 ?

12 人物の絵を描くときに身体部位を

すべて描ける。 0 1 2 ?

13 鉛筆を正しく持って書くことがで

きる。 0 1 2 ?

14 鉛筆の筆圧調整ができる。 0 1 2 ?

15 文字や数字をノートのマス内に収

めて書くことができる。 0 1 2 ?

質問項目は小学校学習指導要

領(総則、体育など)の学年相当

の内容や同学年の児童と比較し

て評価します。

「気になる程度」評価のめやす

気にならない できる

だいたいできる

時々気になる あまりできない

非常に気になる ほぼできない

分からない 気付いていない

見る機会がない

評価時の観点(P.8~9)を

参考に記入します。

気になる行動を記入してください。

行動の状況やその背景となること

を記入することで、次の相談や連携に

役立つことがあります。

年間、数回記入することで

児童の変容を把握できます。

特別支援教育コーディネ

ーターや支援員など複数名

で評価することで、客観性が

高まります。

記入者を〇で囲みます。

Page 9: 「身体面の課題チェックシート」 活用の手引き・実践事例集...平成26 年度「特別支援教育に関する研究Ⅱ」研究成果物 「身体面の課題チェックシート」

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特記事項

気になる動作や行動など

※評価の基準:小学校学習指導要領(総則、体育など)の学年相当の内容や同学年の児童と比較して担任が評価する。

:「気になる程度」の評価基準の目安は「気にならない」はできる、だいたいできる。「時々気になる」は

あまりできない。「非常に気になる」はできない程度と考えてください。

「分からない」は見ていない、見る機会がない場合を想定しています。

参考資料: IESA(Individualized Education Support Assessment) 、ムーブメント教育・療法プログラムアセスメント(MEPA‐R)、小学校学習指導要領、「特別支援教育に活か

す作業療法の知と技 改訂版」(京都府作業療法士会 特別支援教育 OT チーム)、学校版運動面アセスメントシート(自閉症スペクトラムの子供の感覚運動の問題へ

の対処法 岩永竜一郎著)、「気になる子どものできたが増える 身体の動き指導アラカルト」(笹田哲)

気になる程度 気になる行動の状況や背景

番号 身体の動きに関する質問項目

気にならない

時々気になる

非常に気になる

分からない

16 消しゴムを正しく持って、きれい

に消すことができる。 0 1 2 ?

17 はさみを正しく持って、曲線を切

ることができる 0 1 2 ?

18 箸を正しく持って、食べることが

できる 0 1 2 ?

19 スプーンでこぼさずに食べること

ができる 0 1 2 ?

20 衣服の着脱(速さ、間違い)がス

ムーズにできる 0 1 2 ?

合計点数

利き手 左 ・ 右 ・ 不定

「?」(わからない)の合計数 個

利き目 左 ・ 右 ・ 不定

質問項目で「わから

ない」に○をした合計

数を記入します。「?」

の数がある項目には

今後注目するとよい

でしょう。

「気になる程度」の合計点数を

記入します。何点以上は支援が必

要という基準はありません。

前回との点数の変化により、児

童の変容を確認することができ

ます。

児童が困っている行動や教師が

「気になる」児童の動作や活動、

「気になる行動の状況や背景に記

入しきれなかったことなどを記入

します。

身体面の課題の原因理解について詳しく勉強したい、

知りたい場合は、参考資料をご覧ください。

利き手は普段の様子から判断

しますが、左右同じくらい使って

いる場合は利き手が定まってい

ないこともあります。

利き目の調べ方は両手の親指

と人差し指で三角形を作って両

目で枠内に対象物を見て、手・顔

をそのまま動かさずに左右の眼

を順番に閉じ、両目と同じように

見える方が利き目です。

左写真のように片目でも同様に見える方が

利き目。右写真のようにずれる方が非利き目。

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8

(3) 身体の動きに関する質問項目の評価の観点

評価の観点は小学校低学年の体育の学習指導要領を参考に作成しました。

◎を「評価の観点」と考ました。その他は評価時に注目してほしい点です。該当することや、

気になることは「気になる行動の状況や背景」の欄、もしくは特記事項「気になる動作や行動

など」に記入してください。

番号 身体の動きに関する質問項目 評価時の観点

1 授業中、イス座位姿勢を 保持することができる。

前提:机、イスの高さは体格にあっているかを確認する。 ◎同学年の児童と比較して同程度の時間、姿勢保持ができる。 ・保持が可能な時間。 ・姿勢が崩れやすい活動。 ・姿勢が崩れたときの特徴(机に突っ伏す、すべりすわりなど)。 ・座席と黒板との距離、視線の角度と顔の向き。

2 集会などで、立位姿勢を 保持することができる。

◎同学年の児童と比較して同程度の時間、姿勢保持ができる。 ・姿勢保持が可能な時間。 ・必要以上に背中を反らせたり、左右に傾いている姿勢。 ・全身に力が入りすぎているなど、姿勢が崩れたときの特徴。 ・膝を棒のように突っ張らせている立位姿勢。

3 目を開いて片足立ち(片足10 秒ずつ)を保持することができる。

◎目を開いて片足立ち(片足10秒ずつ)を保持できる。 ・保持が可能な時間(左右別に確認)。 ・バランスが崩れた時に膝や腰をつかって立ち直りができる。 ・足元を見ないで片足立ちができる。 ・目を閉じて片足立ちができる。

4 片足とび(ケンケン)ができる。

◎片足でリズムよく 5回連続して跳ぶことができる。 ・両足でリズムよく連続して跳ぶことができる。 ・跳んでいる足側に上体が極端に傾かず、バランスがとれる。 ・縄跳び(前跳び)ができる。

5 授業中に立ち歩いたり、体を揺らしたりすることがある。

◎授業中、立ち歩かずに授業を受けられる。 ・立ち歩きやすい教科、活動。 ・「身体を揺らす」、「何かを触る」、「鉛筆を噛む」、「物をたたく」

「話し続ける」など、落ち着くためにしていると思われる行動。

6 体育の準備体操を 模倣することができる。

◎全身を使った準備体操で、教師の動きを見て模倣できる。 ・模倣できる動作のスピード。 ・肘や膝の伸び方の特徴や左右の間違い、非対称などの動作。 ・指先まで力が入り、震えがなく姿勢がとれる。

7 なめらかに歩くことが できる。

◎全身をリラックスさせて、なめらかに歩くことができる。 ・肩や首に力が入りすぎている。 ・上体の左右への揺れが大きい歩き方。 ・線の上を意識して小股でゆっくり歩くことができる(5m程度)。 ・階段を下りる時に、両足を揃えて降りるなどの動作の特徴。

8 腕や足の動きを協調させて 走ることができる。

◎リラックスしてかけ足を2~3分程度続けることが可能。 ・腕の曲がり、振れと体のひねりの程度。 ・足元を見ないで走ることができる。 ・肩や首に力が入りすぎずに走ることができる。 ・色々な形の線上を蛇行したり、真直ぐに走ったりできる。

9 なめらかな動きでボールを上から投げることができる。

◎ドッジボールや的当てゲームなどで、目標をねらっておおよそ正確な方向に上から投げられる。

・上半身と下半身、左右の腕や足の使いこなしができている。 ・ボールを手放すタイミングがとれている。

10 ボールを受けることができる。

◎頭上に投げたボールを両手や片手でタイミングよくつかむことができる。

・ドッジボールなどの球技でボールの動きを追視できている。また、追視することができるスピードやボールの大きさや種類(風船、ドッジボール、野球のボールなど)。

2015.3

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9

番号 身体の動きに関する質問項目 評価時の観点

11 鉄棒(ぶら下がり10秒)ができる。

◎鉄棒に10秒間ぶら下がることができる。 ・親指が他の指と対向するように鉄棒を握ることができている。 ・支持しての上がり下りができる。 ・片膝をかけて揺れる、腹をかけてのぶら下がりなどができる ・回転ができる(前まわり、逆上がりなど)。

12 人物の絵を描くときに身体部位をすべて描ける。

◎人物の絵を描くときに身体部位をすべて描ける。 ・首、背中、鼻、耳、頭など特に見えにくいところも描ける。 ・人物の顔から手や足が出ているなどの絵の特徴。

13 鉛筆を正しく持って書くことができる。

◎鉛筆を正しく持って書くことができる。 ・持ち方の特徴、正しく持ち直した時の文字の形。 ・指や手首、肩に部分的に力が入りすぎず、書字ができる。 ・書字の姿勢の崩れや、目と鉛筆の距離や角度。 ・持ち方の補助具の使用の有無、また、使用の検討が必要。

14 鉛筆の筆圧調整ができる。

◎書字が薄すぎない、または濃すぎない。 ・指先、手首、肩、首など、極端に力が入りすぎている、もしくは力が入らない身体部位。

・教科や場面、文字の大きさによる筆圧への影響。

15 文字や数字をノートのマス内に収めて書くことができる。

◎学年相応の大きさのマスに書くことができる。 ・縦書き、横書きで書きやすさに違いがある。 ・プリントの縦横の向きで書きやすさや見落としに違いがある。 ・書きやすいマスの大きさがある。 ・字の傾きがある、「止め」や「はらい」ができない、斜めの線が書きにくいといった書字の特徴。

16 消しゴムを正しく持って、 きれいに消すことができる。

◎消しゴムを持つ反対の手で紙を押さえ、消すことができる。 ・指先で消しゴムを握ることができる。 ・消す時の姿勢の傾き、消す対象を見る顔との距離や角度。 ・消すのにかかる時間。

17 はさみを正しく持って、 曲線を切ることができる。

◎はさみを正しく持って、曲線を切ることができる。 ・はさみを持つことができる。 ・開くときと閉じて切るときの力の入り方。 ・肘を机につくなどして、手首の角度が保持できている。 ・はさみを持つ反対側の手で、紙の向きを操作できている。 ・切り口を見るときの見方、紙と顔の距離。 ・はさみを使った作業にかかる時間。

18 箸を正しく持って、 食べることができる。

◎箸を正しく持って、食べることができる。 ・持ち方の特徴。 ・指や手首、肩に力が入りすぎず、食事ができる。 ・姿勢の特徴や食器と顔の位置関係。 ・反対の手の食器を持つ力や持ち方、動きの協調性。

19 スプーンでこぼさずに 食べることができる。

◎スプーンでこぼさずに食べることができる。 ・指や手首、肩の力が入りすぎず、食事ができる。 ・反対の手で食器を持つ力や持ち方、両手の動きの協調。 ・姿勢の特徴や食器と顔の位置関係。

20 衣服の着脱(速さ、間違い)がスムーズにできる。

◎衣服の着脱が同学年の児童と同じくらいスムーズにできる。 ・前後、左右の間違えずに着替えることができる。 ・扱うことのできるボタン、ホック、ファスナーなどの種類と大

きさ。 ・床に座らずに、またはイスがあれば着替えることができる。 ・特に嫌がる素材の服はない。

2015.3

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10

(4)「身体面の課題チェックシート」(保護者)第1版

1 身体面の課題チェックシート

このチェックシートは子どもさんの身体面の課題を明らか

にし、これからの学習のための資料となるものです。

わからない場合は「?」を記入してください。その他、気付

かれたことは「特記事項」に記入してください。

子どもの氏名

記入日: 年 月 日( )

記入者: (子どもとの関係)

子どもの様子 気になる様子と原因の推測

番号 身体の動きに関する質問項目

だいたいできる

あまりできない

ほぼできない

分からない

例:

○ 食事中すぐにイス座位が崩れる。原

因は腹筋の弱さではないか。等

1 食事の時などで、イス座位姿勢を

保持することができる。 0 1 2 ?

2 立った姿勢をしばらく保持

できる。 0 1 2 ?

3 なめらかに歩くことができる。 0 1 2 ?

4 腕や足の動きを協調させて走る

ことができる。 0 1 2 ?

5 転んだり、バランスを崩すことは

ない。 0 1 2 ?

6 箸を正しく持って食べることが

できる。 0 1 2 ?

7 スプーンでこぼさずに食べること

ができる。 0 1 2 ?

8 衣服の着脱(速さ、間違い)が

スムーズにできる。 0 1 2 ?

9 靴を立ったまま履くことが

できる。 0 1 2 ?

10 はさみで曲線を切ることが

できる。 0 1 2 ?

11 鉛筆を正しく持って書くことが

できる。 0 1 2 ?

12 消しゴムできれいに消すことが

できる。 0 1 2 ?

合計点数

「?」(わからない)の合計数

2015.3

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11

2 一日の生活リズム

排便は●で記入してください。

※下の例を参考に普段の食事の時刻、就寝・起床時刻などを記入してください。余暇の過ごし方や休

日の過ごし方などもご記入ください。健康面や生活習慣について把握できます。

(記入例)

排便は●で記入してください。

3 平熱

4 子どもさんが好きな遊びや活動 (持続時間、興味が移り変わる間隔なども分かれば記入してください。)

5 特記事項

※ 評価の方法:本人が生活上困っている様子がある場合や記入者から見て「ぎこちない」と感じる

項目について記入してください。

6時 9時 12時 15時 18時 21時 24時 3時

6時 9時 12時 15時 18時 21時 24時 3時

起床(六時)

登校(七時半)

●排便

朝食

学校

おやつ

宿題(1

時間)

帰宅

入浴

ゲーム(1

時間)

(九時)

就寝

寝言が多い

トイレには起きない

(八時)

休日の起床

(十時)

休日の就寝

学級担任へ伝えたいことや質問項目の他にも困っていること など

2015.3

休日は TVゲームをして過ごすことが多い。

Page 14: 「身体面の課題チェックシート」 活用の手引き・実践事例集...平成26 年度「特別支援教育に関する研究Ⅱ」研究成果物 「身体面の課題チェックシート」

12

第2章 身体つくりの実践 事例集

「身体つくりの実践 事例集」は

「たとえば」「困難さの理由として考えられること」「支援例」「活動例」「お助け教材」

の5つの視点に基づいて内容を構成しました。

事例集の見方

困難さの観点を以下の4つ

に分けました。

1 姿勢保持が困難な児童

2 粗大運動がぎこちない

児童

3 巧緻動作が困難な児童

4 文房具などの使用が

ぎこちない児童

<たとえば>

どんな場面でどんな時に児

童が困っているのか、典型的

な事例をあげています。

<困難さの理由として

考えられること>

困難さの理由として考えら

れることを身体の視点から

まとめています。

<ミニコラム>

本研究で連携した作業療法

士の児童への支援や、身体を

理解するときに必要な知識を

紹介しています。

Page 15: 「身体面の課題チェックシート」 活用の手引き・実践事例集...平成26 年度「特別支援教育に関する研究Ⅱ」研究成果物 「身体面の課題チェックシート」

13

<矢印>

本研究で実践した「生活単

元学習」に関わる資料へつな

がります。

<お助け教材>

教材や教具などを紹介して

います。

<支援例>

学級で実践できる具体的で

有効な支援の例を紹介してい

ます。

<活動例>

本研究で実践した「生活単

元学習」を中心とした活動の

ねらいや内容について説明し

ています。

Page 16: 「身体面の課題チェックシート」 活用の手引き・実践事例集...平成26 年度「特別支援教育に関する研究Ⅱ」研究成果物 「身体面の課題チェックシート」

14

たとえば

困難さの理由として考えられること

体育館や廊下で話を

聞くときや待つときに

座ったり、寝そべった

りしてしまう。

・ 筋肉の緊張をちょうど良い強さに保ち続けることが難しい。

・ 足裏やお尻の感覚がわかりにくい。

・ 意識がぼんやりとしていて、動いていないと覚醒しない。

・ 授業が難しいと混乱し、落ち着かない。

1 姿勢保持が困難な児童

授業中に立ち歩いた

り、イスをガタガタ

とさせたりする。

時間が経つと、イスに

ふんぞり返ったり、机に

伏ったりしてしまう。

小学 1年生のAさんは授業中、座っていると机ごと前に前に

動いてしまい、姿勢が前のめりになってしまいます。担任の先

生はなぜかな?と思いながらAさんが学習に集中しやすいよう

に机の前に桟を置いて机が前に動かなくする支援をしました。

このことについて作業療法士は「Aさんは、手を使った活動を

するために、胸や肘で机にもたれ、自分の身体を預けることで、

姿勢を保持して手を使いやすくしている。結果、がんばればが

んばるほど机が前に移動してしまう」という評価をしました。

担任は机が動く理由とAさんが「努力していたこと」に納得し

ました。

ミニコラム「机が前に動いてしまうのはなぜ?」

姿勢を支えるために机を押してしまうため、机が前に移動してしまうことがあります。 この場合、机を固定することが有効な支援になる場合があります。

Page 17: 「身体面の課題チェックシート」 活用の手引き・実践事例集...平成26 年度「特別支援教育に関する研究Ⅱ」研究成果物 「身体面の課題チェックシート」

15

支援例

活動例

お助け教材・教具

机やイスの高さはあっていますか?

一般に机の高さはみぞおちの高さ、軽く肘が置けると、そ

こが支点になって手指が使いやすくなります。

また、イスの高さはお尻を深く腰かけて、足裏が床につき、

ひざ裏と座面の間に少し隙間がある高さが標準的とされて

います。

(児童の実態によって調整が必要です。)

授業の途中に少しリラックス

授業中に立ち歩くことが多い児童には授業の途中で、席を離

れてもよいルールを意図的に作ってみましょう。例えば、答え

の確認に廊下まで解答を見に行けるようにする。教材を取りに

行って、配る係に指名する等です。

その他にも、授業の途中で片足立ちや背伸びなどのバランス

を取る体操を取り入れることで、覚醒を高め、リフレッシュし

でき、有効なことがあります。

・イスの座面にすべり止め。

・足を載せる台を置く。

・一本足イスでバランスの力を

育てる。

トランポリンで身体の中心軸を作っていく

姿勢を調整するためには基準となる身体の中心軸ができるこ

とが必要です。トランポリンは身体の中心軸を作り、バランス

を保って跳ぶことで身体の傾きなどを感じる力を伸ばします。

全身運動なので体力向上にも有効です。

指導案p24~25

肘をついて作業がし

やすい机の高さにな

っているか。

足裏がしっかりと

床について、体重を

支えられているか。

何かに足をからめ

て固定していない

か。体を支えるため

の足台は必要か。

黒板やノートを見るとき

にアゴを引いて、首の後

ろが伸びているか、また

左右に傾いていないか。

一本足イス

座面がすべり過ぎてい

ないか。すべり止めや

クッションが必要か。

足置き台 すべり止め

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16

たとえば

困難さの理由として考えられること

人にぶつかったり

転倒することが多い。

・姿勢を保持する力が弱い。

・自分の身体の大きさや手足や頭の位置関係をつかむのが苦手。

・次にどう身体を動かしたらいいのか分からない。考えにくい。

・手や足、身体の力の加減ができにくい。

2 粗大運動がぎこちない児童

ボールを上手に

投げたり受けたり

しにくい。

歩き方や走り方に

ぎこちなさがある。

身体感覚の分かりにくさがある人は、自分の目で見えない身体部位は「無い」ように感じ

ている場合があります。自分の背中や首、耳、お尻などは普段の生活の中で自分の目では見

て確認できません。筋肉からの感覚や触覚に分かりにくさや問題があると、目で見えにくい

身体部位の位置や状態が把握しにくいため、つまずきやすかったり、ケガが多かったり、人

と身体が触れても気付かないためにトラブルになることがあります。いろいろな運動の時に

背中を床や壁に押し付けて分かりやすくしたり、身体部位を触って、見て、意識する運動を

取り入れたりすると、身体のイメージが高まりやすくなります。「おしくらまんじゅう」な

どの遊びでも人に触れる身体の部分の認識を高めることができます。

ミニコラム「見えない身体」

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17

活動例

支援例

自分の身体の位置や動きのイメージを育てる

スクーターボードにバランスよく乗るには、手足や体幹をどこ

にどう動かせばいいのか?壁を蹴って遠くまで進むにはどんな

強さと蹴り方がいいのか?

身体の使い方や力の入れ方を繰り返し工夫することで、身体の

大きさ、手や足の位置など身体部位のイメージができ、また、力

加減の調整もできていきます。ジャングルジムや、的当てゲーム

のような遊びの中でも身体の位置や大きさの認識を高め、身体の

次の動かし方を考える力を育てることができます。

運動会のダンスなど、初めてのことは予習をする

運動会のダンス発表などは練習の前にビデオを見せて予習をさ

せるなどの支援があると、「先に知っている」ことや「練習した」

ことが安心感を生み、主体的な参加につながることがあります。

ダンスは「ここを触る」など、動作のゴールとなる目印の身体部

位があると分かりやすくなります。タブレットPCなどで、見本や

自分の動作を確認しながら練習するのも身体の動かし方を分かり

やすくする支援の一つです。

体幹の保持力を高める スクーターボードの活用

スクーターボードにうつ伏せに乗り、背中側の筋肉を

緊張させた伸展姿勢(右上の写真)を持続することで、

姿勢を保持する体幹の力がつきます。ボードに乗って

操作し、物にぶつからないように移動することで、身体

の使い方や大きさが意識できます。ロープをたぐる活動

で、腕や手の力を伸ばすこともできます。 指導案p26~30

指導案p26~30

頭や背中、手や足が 引っかからないようによけながらバランスを取って進みます。

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18

たとえば

困難さの理由として考えられること

鍵盤ハーモニカや

リコーダーが苦手。

・左右の手が同時に一緒に動いてしまうなどの未熟さがある。

・手や頭の動きを支え操作をするための姿勢保持が難しい。

・物の見え方に特徴がある。

・目標達成の手順を考えることが難しい。

・2つ以上のことを同時に調整することが難しい。

3 巧緻動作が苦手な児童

ボタンかけやヒモ結

びが苦手。

お箸がうまくつかえ

ない。

お箸を使うなどの手指を使った巧緻動作の上

達に大事なのは、まず、全身運動の中で体幹の力

やバランス力を高め、姿勢が安定することです。

そして手を動かす支点となる肩や腕の支持力が

整うことで、腕や手を安定して動かせるようにな

ります。四つ這いの姿勢や、雑巾がけ、物を運ぶ

等の様々な活動で、手のひらや腕、肩で身体を支

える力が付き、物を握る力が付きます。このよう

に手指を使うための土台を整えることも、手指の

操作を高めるためには大切です。

ミニコラム「お箸を持つための土台」

肘関節を突っ張らせすぎないで、体重を支えているか。手のひらの付け根(手根)や指先だけで支えず、手のひら全体で支えているかが四つ這いを見るポイントです。

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19

支援例

お助け教材・教具

生活の中に手指の操作をする機会を意図的に

増やす

児童の服や靴、鞄などは、ファスナーやマジックテープ、

磁石の留め具が多くなり、ボタンを留めたり、ヒモを結ぶ

機会が少なくなっています。手指の巧緻性は経験すること

で上達することが多く、大きいボタンをいつも使う鞄に付

けたり、給食の用意の袋に結びやすいヒモを付けて結ぶな

ど必然性のある場面を作っておくことも大切です。

手元を見てする操作が苦手

板書や手元の物を見続けることが苦手

な児童がいます。その原因の一つに姿勢

の問題が考えられます。

頭を支える首の筋肉の支持力やコントールの力が弱いと、頭が固定できずに動いてしま

い、しっかりと物を見られません。そこで本研究では、顔を上げて、スクーターボードを

操作する中で、手を使いながら首を支える力を育て、学習時の姿勢改善や、「見る」ことの

改善を目指しました。

指導案p26~30

普段の学校生活の中で、ページめくり、スタンプ押し、シー

ル貼りなどをする場面、家庭生活の中で、洗濯ばさみではさむ、

洗濯物をたたむ、ボタン留め等の指先を使う場面を意図的に設

定することで、生活の中で指の操作性を高めていく機会を作る

ことができます。

また、休憩時間に、パチンコ遊びやカエルを指ではじく玩具、

粘土あそび(粘土の中からビー玉さがしなど)やコマ回しなど

の遊びをすることで、工夫して楽しみながら、手指の力を付け

たり、力の調整をする経験の機会を増やすことができます。

カエルを指ではじく玩具

パチンコで指先の力をつける

エプロンや給食袋などに大きなボタンを付けると普段から使う機会が増えます。

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たとえば

困難さの理由として考えられること

定規をうまくあてら

れず、線がひけない。

・左右の手が同じ動作をしてしまい、別々の役割をすることが難しい。

・操作する物を固定したり、保持し続けたりすることが難しい。

・物の見え方に特徴がある。

・手や頭を操作しやすくするための姿勢保持が困難である。

・操作の手順や運動の手順を考えることが難しい。

4 文房具などの使用がぎこちない児童

はさみが上手に使え

ない。

鉛筆の持ち方が正しく

ない。筆圧が極端に濃

い(薄い)。

利き手が左右はっきりしない児童がい

ます。利き手が確立するには、まず、身体

の中心軸が確立することが必要です。中心

軸ができることで、左右の手の使い分けが

進み、片方の手が食器やお皿持って固定し

たり、身体を支えたりする補助的な役割を

するようになります。

左右の手の協調した使い分けで、より緻

密な操作ができるようになるのです。

定規を非利き手で押さえ、利き手は定規に沿わせて線を引く。力の入れ方も方向も違う動きを協調しないと線は引けません。

ミニコラム「利き手と非利き手の役割分担」

Page 23: 「身体面の課題チェックシート」 活用の手引き・実践事例集...平成26 年度「特別支援教育に関する研究Ⅱ」研究成果物 「身体面の課題チェックシート」

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支援例

お助け教材・教具

鉛筆の持ち方が正しくできないとき

手で支える力や物を握る力の弱さが原因となることが考えられま

す。これらの力が弱い時期から無理に持たせようとすると、その時

の持ち方が定着してしまい、持ち方を注意されることで、「書くこと」

への意欲が低くなる恐れもあります。まず、手指の基礎の力をつけ

てから持ち方を意識させることが大切です。補助具(クリップや市

販の補助具)を使うことが有効な場合があります。

はさみを使いやすくするには・・・

はさみで紙を切るときは、利き手ではさみを持ち、指で開いた

り閉じたりする動作と同時に、反対の手で、紙の向きや動きを調

整してはさみの交差するところを切りたいところに合わせない

といけません。はさみの持ち手がずれないようにすること(右の

写真)や、切る線を太くして見やすくしたり、肘を机の上につい

て腕を固定したりすると切りやすくなります。また、厚紙など、

抵抗がしっかりした「切っている感じ」がわかりやすい紙など

様々なものを切って練習することも有効です。

指が持ち手の中でずれないようにクッションや布を巻くと使いやすくなることがあります。

たくさんの感覚を使うと文字が覚えやすい

漢字を覚えるときによく筆順を数えながら空書きします。

これは、「視覚」と「聴覚」、腕を空間に保持したり、指先の

位置の変化を感じる関節の感覚など多くの感覚を使って、記

憶に残りやすくするためと考えられます。そこで、下敷きに

紙ヤスリを貼り、その上で文字を書くようにすると、指に感

覚が大きく返ってくることで書くことに集中しやすかった

り、覚えやすくなります。また、文字の形が整いやすくなる

場合もあります。

Page 24: 「身体面の課題チェックシート」 活用の手引き・実践事例集...平成26 年度「特別支援教育に関する研究Ⅱ」研究成果物 「身体面の課題チェックシート」

22

お助け教材

プリントやノートの工夫

・書きやすいプリントやノートはそれぞれ違います。

「縦書き」、「横書き」、「書きやすいマスの大きさ」

など、児童に応じたプリントの用意が有効です。

・ガイドラインノート

ドットなどの目印を利用して形を認識して書くと形が整い

やすくなることがあります。

・黄色で書字のガイド枠を書くと、後でコピーしたときに線

が残らないのできれいな字を作品として残せます。

コンパスの使用

持ち手を太くし、すべりにくくする

ために輪ゴムを巻き、紙の下に針が固定

しやすい、段ボールやゴムシートを敷く

と操作しやすくなります。

Aさんは定規で線を引くときに線が薄くなってしまったり、定規がずれて線が曲がった

りします。定規を線の始点と終点に合わせることはできているのに、思ったように線が引

けないのはなぜでしょうか。

定規で決まった長さの線を引くときの手順を考えてみます。①利き手で鉛筆を持ち、②

反対の手で、定規を始点と終点に沿って合わせ、押さえます。③始点に鉛筆の先を合わせ

て、④筆圧を加減して定規に沿って線を引き、⑤目的の目盛で止めます。その時、⑥定規

を持つ側の手は、「ずれない」ように押さえ続けます。線を「引きながら」、定規を「押さ

える」という左右別々の動きと力加減を同時にできないと線はうまく引けないのです。

Aさんに対して、作業療法士はこんな支援をしました。

鉛筆を使う手の動きに合わせて始まりから終わりまで、「ぎゅーっ」と言葉をかけ続け、

力を入れ続けることを意識させ、動作のスピードも伝えました。「言葉かけ」だけの支援で

したが、力の入れ方がうまく伝わり、Aさんは、上手に線を引くことができました。上手

にできたAさんは、次も「もう一回言って」と笑顔で支援を依頼しました。同じような支

援が続き、本人が心の中で声を出せるようになり、調整ができてくると自分だけで線が引

けるようになっていきます。

いくつものことを同時にすることが難しい児童の実態をとらえ、必要な分かりやすい支

援で成功させた例です。

ミニコラム「作業療法士の言葉かけ」

黄色のガイドラインとドット

の入ったノート(上)↑、

その コピー(下)↓

Page 25: 「身体面の課題チェックシート」 活用の手引き・実践事例集...平成26 年度「特別支援教育に関する研究Ⅱ」研究成果物 「身体面の課題チェックシート」

23

第3章 実践事例

「トランポリン」 p.24

「スクーターボード:ロケットになろう」 p.26

「スクーターボード:貨車になろう」 p.28

「スクーターボード:機関車になろう」 p.30

「タオル相撲」 p.31

生活単元学習 指導案 p.32

タオル相撲

スクーターボード

トランポリン

Page 26: 「身体面の課題チェックシート」 活用の手引き・実践事例集...平成26 年度「特別支援教育に関する研究Ⅱ」研究成果物 「身体面の課題チェックシート」

24

トランポリン

目標

・全身の筋肉を継続的に使って、跳び続けることを楽しむことができる。

・膝を使って高く、腰を安定させて同じところで跳ぶことができる。

・リズムよく跳びながら風船の動きに合わせて身体の向きを変え、追視することができる。

・バランスをとって運動中の姿勢を保ち続けることができる。

段階 学習内容 指導上の留意点

トランポリンで跳びながら風船バレーでラリー

をする。

○ラリーの続いた回数を児童にわかるように記録

したり、次回の目標を持って挑戦したりできるよ

うにする。

○トランポリンを取り囲んでいろいろなところか

ら風船が飛んでくるようにしたり、方向を変えた

りして風船をよく見るように促す。

活動のバリエーション

○跳ぶリズムを変化させたり、児童の選んだ歌

のリズムに乗って跳んだりするなどの変化を

つける。

○風船を飛ばす距離を大きくして、目で追う距

離を伸ばしたり、風船の数を増やしたり、風

船からボール等、徐々に動きの速いものに変

えたりする。

○終わりのポーズを自分で考える。

○一緒に活動する教師が風船の高さや位置などを

調整して風船を目で追って見ることを促す。ラリ

ーが続きにくいときには、棒の先に風船をつけて

教師が提示するなどして視点を移動させる。

○継続して跳ぶことが難しい場合は、友だちと跳ん

で、一緒に終わること意識させ、決まった回数を

最後まで跳びきることができるようにする。

トランポリンでリズムよく跳びながら風船バレ

ーができる(歌を歌ってもよい)。

トランポリンで跳びながら風船を2つ使った

バレーができる。

大人と

1対1で

ラリーする。

大人と

1対1で

リズムよく

ラリーする。

何人かで周

りを囲んで

風船を2つ

にしてラリ

ーする。

Page 27: 「身体面の課題チェックシート」 活用の手引き・実践事例集...平成26 年度「特別支援教育に関する研究Ⅱ」研究成果物 「身体面の課題チェックシート」

25

バンザイ 飛行機 L字 パンチ 足開き

新しいポーズを考えよう

※ 児童にポーズを考えさせ、主体的に楽しませるように工夫する。

※ トランポリンは沈み込みの大きいものの方が跳ぶときに膝を使いやすく、滞空時間が長くなります。

トランポリンで飛びながら風船バレーをする。

決められた回数のときに風船をキャッチする。

評価のポイント

○膝を使って高く跳べているか。

○腰を安定させて同じところで跳べているか。

○上半身と下半身の向きが同じ方向を向くように

動きが連動しているか。

○体幹を固定し、肘や指先を伸ばしてポーズをとる

ことができているか。

○ポーズをとって着地するときに足で踏ん張るこ

とができているか。

○ポーズは初め左右対称の粗大なものから、徐々に

左右非対称のポーズなどに難易度を上げていく。

(下図参照)

○怪我の無いよう安全面に十分留意する。

○楽しみながら試行錯誤させることを意識して

関わる。

トランポリンで飛びながらポーズをとり、決め

られた回数で着地してポーズを決めて止まる。

決めた数の

時に風船を

キャッチす

る。

決めた数の

時にポーズ

を決めて止

まる。

Page 28: 「身体面の課題チェックシート」 活用の手引き・実践事例集...平成26 年度「特別支援教育に関する研究Ⅱ」研究成果物 「身体面の課題チェックシート」

26

スクーターボード : ロケットになろう

目標

・下半身の動かし方を工夫して力強く壁を蹴ることができる。

・筋収縮を持続してうつ伏せの伸展姿勢を維持できる。

・他の児童のやり方を見て、楽しみながら身体の使い方を工夫することができる。

学習内容 指導上の留意点

スクーターボードにうつ伏せに乗って、壁を

蹴ってなるべく遠くへ進む。

ルール

① 壁を足の裏で強く蹴って進む。

② スタート地点に戻るときにうつ伏せで後

ろ向きに戻る。

○進んだ距離や成功回数などを児童にわかるよう

に記録するなど、次回の目標を持って挑戦できる

カードを用意する。

活動のバリエーション

○スクーターボードの大きさは骨盤と上体が

乗ることができる面積の大きなものから使

い始め、個々の体幹の強さに応じて面積の

小さいものに変えていく。小さい物になる

ほど、身体を預けられる部位が少なくなり、

体幹の保持力が必要になる。

風船ぐらいの大きさのものを持ったときの評価

のポイント:

○頭部、上肢の上がり方の程度はどうか

○肘が伸びているか

○全身の伸展を維持できているか

○左右対称の姿勢で活動できるか

○対象となるところへの注視ができるか

スクーターボードにうつ伏せに乗って、風船を

両手で持ち、壁を蹴って目標のカゴまで移動し、

風船を入れる。

スクーターボードにうつ伏せに乗って、風船を

両手で手に持ち、壁を蹴って移動し、次の友だち

へ渡してリレーする。

キック

キック

キック

進んだところに

テープを貼る

カゴ

次の人に渡す。

Page 29: 「身体面の課題チェックシート」 活用の手引き・実践事例集...平成26 年度「特別支援教育に関する研究Ⅱ」研究成果物 「身体面の課題チェックシート」

27

学習内容 指導上の留意点

スクーターボードにうつ伏せに乗って、風船を

両手で持ち、壁を蹴って移動し、風船の先につい

た両面テープで的に貼り付ける。

片手で持てるぐらいの大きさのボールを両手に

持った時の評価のポイント:

○風船の時のポイントに加え左右対称から非対称、

さらに対称位への動きがスムーズにできるか。

腕を使って元に場所に戻るときのポイント

○両腕をたくさん使って腕の力を高めるというこ

とに加え、目標をもって移動をする中で、自然に

首を上げて背中を伸展した姿勢を保持すること

ができるか。

○児童の実態に応じてボードから降りて元に戻る

ことを許容したり、戻る距離を短くしたりなど

の配慮をする。

○車輪に手を挟んだり、足や腕を引きずって擦

りむいたりして怪我をしないよう、安全面に

十分留意する。

○楽しみながら試行錯誤させることを意識して

関わる。

姿勢保持や腕を使いこなす力を高めるために、

「ロケットになろう」が終わるたび、スクーター

ボードにうつ伏せに乗ったまま、顔を上げ、手指

や腕を使って後ろ向きに移動してスタート位置ま

で戻る。

風船を貼り付ける

キック

うつ伏せのまま腕で床を押して

後ろ向きに動いてスタート位置まで戻る。

)))

Page 30: 「身体面の課題チェックシート」 活用の手引き・実践事例集...平成26 年度「特別支援教育に関する研究Ⅱ」研究成果物 「身体面の課題チェックシート」

28

スクーターボード : 貨車になろう

目標

・うつ伏せの伸展姿勢を持続して保持し、バランスを取って活動することができる。

・握力をつける。

・腕や身体の使い方を工夫して、スクーターボードの操作を楽しむことができる。

・他の児童のやり方を見て、身体の使い方を工夫することができる。

学習内容 指導上の留意点

スクーターボードにうつ伏せで乗り、ロープ

を両手で持って、教師や友だちに引っ張っても

らう。

ロープから手を離さないように握り、ボード

から落ちないようにバランスを取る。

ルール

① 両手でロープを持って放さずに引っ張られる。

② スクーターボードから落ちないようにバラン

スを取る。

③ 障害物に当たらないように手指で床を押して

自分でボードを操作する。

○スクーターボードの大きさは骨盤と上体が乗ること

ができる面積の大きなものから使い始め、個々の体

幹の強さに応じて面積の小さいものに変えていく。

小さい物になるほど、身体を預けられる部位が少な

くなり、体幹の保持力が必要になる。

活動のバリエーション

○ロープを細くしたり、ゴムひもに変えることで、

ロープの持ち方やスピードの感じ方が変わり、

変化をつけられる。

○引っ張られる姿勢を仰向けにする等、変化させ、

バランスを取ってみる。

○腕で進むときに後ろ向きに進む。

○障害物を変える。

評価のポイント:引っ張られるとき

○ロープを握り続けることができたか。

○左右対称の姿勢や顔を上げた姿勢を保持できたか。

○対象となるところを注視できているか。

○方向を変えるときにバランスが取れたか。

足を膝から上に曲げてしまう姿勢は、足全体の重さ

を体幹部で支えられていない

と考えられる。足でゴムボール

等を挟ませることで膝を伸ば

して取り組むことが意識できる。

両手でロープを持つ。

Page 31: 「身体面の課題チェックシート」 活用の手引き・実践事例集...平成26 年度「特別支援教育に関する研究Ⅱ」研究成果物 「身体面の課題チェックシート」

29

体育館などでスクーターボードにうつ伏せに

乗り、自分の手や指で床を押して進む。途中、

障害物に身体が当たらないように意識して方向

を変え、くぐりながら進む。

<カラーコーンを使った例>

評価のポイント:腕で進むとき

○腕をうまく使って進み、目的にたどり着くことがで

きたか。

○前に進みやすいように腕や身体の使い方を工夫でき

たか。

○左右対称の姿勢を維持できたか。

○顔を上げ、ゴールや障害物を注視できているか。

○怪我の無いよう安全面に十分留意する。

○楽しみながら試行錯誤させることを意識して

関わる。

スクーターボードについて

手や指で床を

押して進む。

厚めのクッション材を四隅に付け

て壁などと指を挟みにくくします。 ボードの表面にはカーペットやウ

レタンのマットを両面テープなどで張り付けて乗り心地をよくしました。

車輪の直径は6センチ程度が望ましいです。それよ

り大きい車輪だとスピードが出すぎ、手をはさみやすくなり、危険です。 進行方向の前輪2つのみ360度回転するものを付

けると斜めに動かず、安心して活動できます。4輪とも回転するものにすると上級者向けになります。 車輪はなるべく外側の四隅に付けると傾きにくく

安全です。

ボード本体はコンパネを2枚重ねて

接着剤で貼り合わせ、頑丈にします。そこにドリルで穴を開け、ボルトで車輪を固定しました。 ボードの長さや幅は、骨盤から肩ま

でが乗る大きなものほど、体幹の力が弱くても乗りやすく、小さいものほど体幹で支える力が必要になります。 児童の実態や課題に応じて大きさ

を変えられるように数種類用意できると、より楽しめます。

定期的に車輪の回り

にゴミが挟まっていないかなど、すべりの確認や、ボルトの緩みなどの安全面の点検が必要です。

Page 32: 「身体面の課題チェックシート」 活用の手引き・実践事例集...平成26 年度「特別支援教育に関する研究Ⅱ」研究成果物 「身体面の課題チェックシート」

30

スクーターボード : 機関車になろう

目標

・両手でロープをたぐって、スクーターボードを動かすことを楽しむことができる。

・筋収縮を持続して、姿勢を保持し、バランスを取って活動することができる。

・他の児童のやり方を見て、身体の使い方を工夫することができる。

学習内容 指導上の留意点

スクーターボードにあぐら座位で乗り、ロープを両手

交互にたぐって進む。

ルール

① 両手で交互にロープをたぐる。

② 最後までたどりついたらゴール。

○スクーターボードは安定して乗ることができる

大きなものから使い始め、身体を固定できる力に

応じて小さいものに変えていく。

活動のバリエーション

○たぐるロープの長さを変えることで難易度が

変わる。また、ロープを細くしたり、ゴムひも

に変えたりすることで、力の入れ方や、たぐり

方が変わり、難易度に変化をつけられる。

○たぐる姿勢を膝立ちや横向き、仰向け、うつ伏

せ等に変化させ、いろいろな姿勢でバランスを

取る経験をする。

○たぐる力がついてきたら、ボードに教師が一緒

に乗るなどして抵抗を増やしても難易度を変

えられる。

評価のポイント:

○左右対称に両手を交互に使うことができたか。

○姿勢を保持できたか。

○いろいろな姿勢で腕の使い方を工夫できたか。

○怪我の無いよう安全面に十分留意する。

○楽しみながら試行錯誤させることを意識して

関わる。

両手でロープをたぐる。

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31

タオル相撲

目標

・いろいろな姿勢で実施し、姿勢を保持しようとバランスを取ることができる。

・持続してタオルなどを両手で握り、引っ張り続けることができる。

・ルールを理解して他の児童と一緒に活動を楽しむことができる。

学習内容 指導上の留意点

「イス相撲」

イスに座ってタオルを

両手で握り、引っ張り合

う。床に足の裏がついた

り、イスからお尻を浮かし

てしまわないようにバラ

ンスをとる。

(後ろに倒れてけがをしないように、イスは背も

たれのある安全なもので実施してください。)

① タオルやロープを両手で放さないように握

り続ける。

② 床や座面に付いていないといけない部位な

どを決める。

例:膝立ち相撲の時は両膝が床に付いてい

ないといけない。

イス相撲の時は足裏が、片足相撲の時

は上げた足が床に付かないようにす

る。

④ 制限時間は児童の実態に応じて変える。

ルール

○教師が児童の工夫したところや努力した点をそ

の都度、評価し、児童に伝える。

○タオルなどを急に放さないように安全を意識さ

せる。

○姿勢安定の変化や握り続けられているのかに注

目し、児童の心身面の変化を把握する。

活動のバリエーション

○引っ張り合うものをタオルからロープやゴム

に変えても握り方や力の伝わり方に変化が加

わり、難易度に変化をつけられる。

○活動を継続して楽しむため、いろいろな姿勢

でバランスをとってみる。

○怪我の無いよう安全面に十分留意する。

○イスは背もたれのあるものを使用し、転倒し

て怪我をしないように留意して実施する。

○児童が楽しみながら試行錯誤できる活動を設

定することを意識して関わる。

「ひざだち相撲」

膝立ちでタオルを両

手で握り、相撲をする。

膝が床から離れた

り、お尻をついてしま

わないようにバランス

をとる。

「たち相撲」

立ってタオルを両手で握

り、相撲をする。

足の位置が枠から出たり、

足裏が床から離れたりしな

いようにバランスとる。

「かたあし相撲」

片足立ちでタオルを両手

で握り、相撲をする。

上げている方の足裏が床

についたり、枠の外に軸足が

出たりしてしまわないよう

にバランスをとる。

Page 34: 「身体面の課題チェックシート」 活用の手引き・実践事例集...平成26 年度「特別支援教育に関する研究Ⅱ」研究成果物 「身体面の課題チェックシート」

32

生活単元学習「身体を使って遊ぼう」 指導案

日時:平成 27年○月○日△校時

学級:○○組 5名

場所:体育館、教室

授業者:○○○○

1 単元名 「身体を使って遊ぼう」

2 単元によせて

○組は1年生から6年生までの5名の知的障害特別支援学級である。児童それぞれの認知面の課題

は様々であり、身体面では学習時の姿勢の保持が難しかったり、体育や生活動作で粗大運動にぎこち

なさが見られたりする。書字や箸の使い方等の手指を使った巧緻動作にも課題がある児童が多い。こ

れらの課題を改善して学びやすく、「しっかりとした身体」を早期に作ることは児童が自立していく

ためや生活動作の獲得に大変重要である。そこで、トランポリン、スクーターボード、タオルを使い、

身体を大きく使った遊びを繰り返し、楽しみながら、日常生活や学習場面で姿勢を保持する力や身体

のバランスをとる力などを育む学習として、「身体を使って遊ぼう」を計画した。

学習内容は児童が自分から「もっとやりたい」「もっと上手になりたい」と思って楽しんで取り組

み続けているうちに力が付くよう工夫した。特に、次の3点に指導の重点をおいた。①様々な活動に

児童が継続して挑戦し、身体を使った活動の楽しみを感じられるようになる。②身体のバランスを保

ち、姿勢を保持したり、力の入れ方や身体の使い方を工夫できたりするようになる。③「振り返りシ

ート」に記入することにより、教師と児童が成果と課題を実感し、身体を使った活動に主体的に取り

組もうとする。これらの活動で児童が自ら努力し、できるようになったことを実感させ、自信につな

げることで日常生活の中の身体を使った活動への主体性を育みたい。

さらに、友だちにがんばったことを発表することや他学級の児童と一緒に活動を楽しむことを目標

に「○○運動会」を企画・進行させたい。自分たちが繰り返し練習して、自信を持ってできようにな

ったことを、児童が自ら見本を見せ、人に伝えることや発表することの楽しさを経験させたい。

3 単元の目標

・姿勢を保持する運動あそびを楽しむことで、生活の中で主体的に身体を動かす態度を身に付ける。

(運動あそびへの関心・意欲・態度)

・様々な活動を自ら工夫して行うとともに、筋緊張の調整力、姿勢バランスの力、リズムを取る力

や手指を使う力を身に付ける。(運動あそびについての思考・判断、運動あそびの技能)

・○○運動会の実施に向けた計画や準備を友達と協力して行い、他学級の児童に発表することがで

きる。(社会生活への関心・意欲・態度)

4 評価の規準

運動あそびへの関心・意欲・態度 運動あそびに進んで取り組み、仲よく運動しようとする。

運動あそびについての思考・判断 運動あそびの方法を工夫できる。

運動あそびの技能 筋緊張の調整力、姿勢バランスの力、リズムを取る力や手

指を使う力を身に付けることができる。

社会生活への関心・意欲・態度 自分の経験や得意なことを生かして運動会を計画し、実行

することができる。

5 単元計画(全 18時間)

トランポリンの活動 6時間

スクーターボードの活動 6時間 (本時1/6)

○○運動会の企画、実施 6時間

Page 35: 「身体面の課題チェックシート」 活用の手引き・実践事例集...平成26 年度「特別支援教育に関する研究Ⅱ」研究成果物 「身体面の課題チェックシート」

33

6 本時の目標

初めて取り組むスクーターボード、「ロケットになろう」の運動あそびに慣れ、楽しみ、少しで

も遠くに進もうと、身体の使いこなしを工夫することができる。

7 児童の実態と単元・本時のねらい

実態(得意なこと、不得意なこと) 単元のねらい 本時のねらい

A児

・経験した運動に自信を持って取り組む

ことができるが、初めてのことは苦手

である。

・身体の使いこなしや運動の企画に未熟

さがある。

・首のコントロールや、全身の筋緊張を

持続して高めておくことが苦手であ

る。

・自分から進んで新しいことに挑

戦しようとする。

・主体的に身体を動かす態度を身

につける。

・様々な運動あそびに合わせて身

体を使う経験を積む。

・他学級の児童の前で発表するこ

とができる。

・初めてのスクーターボードの

活動に挑戦しようとする。

・トランポリンで膝を使って高

く跳ぶ。

・スクーターボードにバランス

よく乗り、動かせるようにな

る。

B児

・体操の模倣やボール運動に積極的に取

り組むことができる。

・注意が逸れやすい場面が多く見られ、

集団で行動することに苦手さがある。

・学習時の姿勢が崩れやすい。

・箸の使い方がぎこちない。

・活動に見通しを持ち、友だちと

一緒に最後まで活動することが

できる。

・教師からの助言を受けとめ、身

体の使い方を工夫する。

・他学級の児童と一緒に活動を楽

しむことができる。

・最後まで授業に参加すること

ができる。

・スクーターボードでの運動あ

そびに見通しを持って楽し

み、壁の蹴り方を工夫する。

C児

・縄跳び等、体を動かす活動に積極的で

ある。

・学習時の姿勢が崩れやすく、授業中に

立ち歩くことが頻繁である。

・持久走などが苦手で、疲れやすさが見

られる。

・ボールを使った運動、文房具の使用や

書字の動作にぎこちなさが見られる。

・自分から進んで新しいことに挑

戦したり、友だちと一緒に楽し

もうとしたりする。

・身体の動かし方を工夫する活動

を繰り返し、下半身の筋力を高

め、姿勢保持の力を高める。

・他学級の児童に活動の内容を説

明したり、見本を見せて一緒に

楽しんだりすることができる。

・トランポリンの運動あそびで

上半身と下半身の動きを連

動させて動かすことができ

る。

・スクーターボードの運動あそ

びで、うつ伏せの伸展姿勢を

取ることができるようにな

り、壁の蹴り方を工夫する。

D児

・体操の模倣や片足立ちやスキップがで

きる。

・運動経験の不足が原因と考えられる身

体の使いこなしの未熟さがある。

・持続した運動が苦手である。

・学習時の姿勢が崩れやすい。

・新しい活動に挑戦し、身体を動

かすことの楽しさを感じる。

・運動量を補償し、体力や筋力を

つける。

・他学級の児童と一緒に活動する

ことができる。

・トランポリンの運動あそびを

持続して楽しむことができ

る。

・スクーターボードにバランス

よく乗り、動かせるようにな

る。

E児

・跳び箱、ボールを使った活動が得意で

ある。粗大運動時に動きのぎこちなさ

が見られる。

・体幹の保持力の弱さが見られる。

・人物の絵を描くことが苦手である。

・動作を順序立てて考えること、いくつ

かの動作を同時に行うことが苦手であ

る。

・自分から進んで新しいことに挑

戦して楽しんだり、友だちにア

ドバイスしたりできる。

・教師からの評価を参考に、身体

の使い方を調整することができ

る。

・他学級の児童に活動の内容を説

明したり、見本を見せて一緒に

楽しむことができる。

・教師の師範を見て、うつ伏せ

の伸展姿勢や壁の蹴り方を

理解し、距離を伸ばすことを

目標に、遊ぶことができる。

・友だちにアドバイスしたり、

一緒に活動したりすること

ができる。

Page 36: 「身体面の課題チェックシート」 活用の手引き・実践事例集...平成26 年度「特別支援教育に関する研究Ⅱ」研究成果物 「身体面の課題チェックシート」

34

8 本時の学習 (全 18時間中7時間目)

学習内容(学習活動) 引き出したい児童の姿 教師の指導・支援 評価の観点

① 始まりの挨拶を

する。

本時の学習に見通し

を持つ。

○ボードに注目し、学習の見通

しを持つことができる。

B児:学習の流れをボードで確

認して活動に期待する

ことができる。

○ボードに本時の流れを示す。

B児:ボードにカードを並べ、

友だちに活動を提示す

る。

○内容を理解し、学習

内容に見通しを持

つことができたか。

② 自己目標カード

に目標を記入し、

発表する。

○前回の学習を思い出し、実現

可能な回数や距離の目標を

設定できる。

○自分で目標が決めにくい児

童に助言する。

○前回の学習を思い

出して目標を決め

ることができたか。

③ 準備体操をする。

屈伸、腕回し、ひね

り、片足立ち(左右)、

両足ジャンプ(枠

内)、片足ジャンプ左

右、線上を継足歩行

○主体的に活動を楽しむこと

ができる。

○児童が模倣できるスピード

で模範を示す。見ただけで

は、分かりにくい動きについ

ては教師が一緒にする。

○毎時間同じ体操を繰り返し、

身体の使いこなしを上達さ

せる。

○教師の模範を見て、

模倣できたか。

④ みんなでトラン

ポリン遊びをす

る。

リズムよく跳びなが

らポーズをとる。

リズムよく跳びなが

ら教師と風船バレー

をする。

○主体的に活動を楽しむこと

ができる。

○ポーズをとったり、風船バレ

ーをするために、高く、安定

して跳び、姿勢やリズムの取

り方がうまくいくように試

行錯誤したり、友だちの様子

を見て工夫したりできる。

C児:風船に合わせて向きを変

える時に上半身と下半

身と顔の向きを併せて

風船バレーができる。

○姿勢がどのようになってい

たのか等、児童に伝えること

で工夫できるように促す。

○努力していることや、できた

ことを認める言葉かけをし

て評価し、児童に結果をフィ

ードバックする。

C児:風船をゆっくりと大きく

動かすことで、スムーズ

に向きを変える経験を

させる。

○主体的に全身運動

を楽しむことがで

きたか。

○膝を使い、腰を安定

させて同じところ

で跳ぶことができ

たか。

○風船の追視、向きを

変えるときの上半

身と下半身の連動

ができているか。

○ポーズを取る時に

体幹を固定させ、腕

を伸ばしたポーズ

ができているか。

⑤ スクーターボード

「ロケットになろう」

をする。

うつ伏せになり、壁

を蹴ってどこまで遠

くへ行けるか挑戦す

る。

計測後、うつ伏せ姿

勢のまま、スタート

地点まで腕で後ろ向

きにボードを押して

スタートまで戻る。

○遠くまで進むために壁の蹴

り方やうつ伏せの伸展姿勢

の取り方などを試行錯誤す

ることができる。

○友だちの様子を見て身体の

使い方を工夫する。

○元の場所に戻るときにうつ

伏せでボードに乗ったまま、

スタートまで戻ることを理

解する。

A児:初めてボードに乗ること

を楽しむ。

○姿勢や記録等を、模範を示し

て伝えることで児童の工夫

を促す。

○努力していることや、できた

ことを認める言葉かけをし

て評価し、児童に結果をフィ

ードバックする。

A児:大きいボードを使わせ、

支えたり、乗る姿勢を見

せるなど、乗りやすい支

援をする。

○主体的に活動を楽

しむことができた

か。

○意識して身体の使

い方を工夫できた

か。

○他の友だちの様子

や工夫を意識する

ことができたか。

Page 37: 「身体面の課題チェックシート」 活用の手引き・実践事例集...平成26 年度「特別支援教育に関する研究Ⅱ」研究成果物 「身体面の課題チェックシート」

35

B児、C児、E児:うつ伏せの

伸展姿勢を意識するこ

とができる。

C児:E児やB児を見て、良い

ところを真似ようとす

ることができる。

D児:初めての活動でも楽しん

で参加することができ

る。

E児:壁の蹴り方や姿勢を工夫

することができる。

B児、C児、E児:教師の師範

を見せてから取り組ま

せる。

C児:一人ずつ順番に実施して

記録やよかったところ

を全体の前で発表する。

D児:事前に師範を見せたり、

乗りやすいボードを使

わせる。

E児:具体的な工夫の方法をア

ドバイスする。

○顔を上げて前を見

て、背中側の筋肉を

緊張させ、腰を反ら

せた姿勢を保持し

て操作ができてい

るか。

○個人の目標を意識

して活動できたか。

⑥ 整理体操をする。 ○主体的に活動を楽しむこと

ができる。

○準備体操時に同じ。 ○準備体操の時より

も身体の使いこな

しが上達している

か。

⑦ おわりの挨拶を

する。

自己評価カードにで

きたことを記入す

る。

○自分が頑張ったこと等を表

現し、振り返ることができ

る。

○本時を振り返り、児童のがん

ばりを評価する。

○次の時間に見通しを持たせ

る。

○本時を振り返るこ

とができたか。

9 準備物

スクーターボード、トランポリン、ゴム風船、メジャー、ホワイトボード、活動の見通しを持たせ

るための写真カード

10 体育館の配置

出入口

ステージ

出入口

配置に関しての留意事項

スクーターボード(ロケットになろう)は児童5人が横に並んで友だちを意識して活動できるように、壁際に並ばせる。

トランポリンは周囲に物を置かないなど、児童の安全に十分留意する。転落に備えて、教師が周囲について行う。

跳びながらポーズの時には整列して座り、風船バレーの時には児童もトランポリンの周囲に並び、風船バレーに参加させる。

挨拶や準備体操は集合して行う。

スクーターボードロケットになろう。

)))

④ トランポリン

Page 38: 「身体面の課題チェックシート」 活用の手引き・実践事例集...平成26 年度「特別支援教育に関する研究Ⅱ」研究成果物 「身体面の課題チェックシート」

36

※児童の普段の様子について、質問項目ごとに、「気になる程

度」を3段階で○をしてください。分からない場合は「?」

に○をしてください。その他、気付かれたことは右ページの

「特記事項」に記入してください。

児童名(学年)

記入日: 年 月 日( )

初回 ・ 前回記入から か月経過

評価者: 担任 特別支援教育コーディネーター

その他( )

気になる程度 気になる行動の状況や背景

番号 身体の動きに関する質問項目

気にならない

時々気になる

非常に気になる

分からない

例:

○ 授業開始5分後にはイス座位で机

に突っ伏してしまう。腹筋の弱さ

が原因と考える。

○ 鉛筆の持ち方が握るような持ち方

で、巧緻作業が苦手である。等

1 授業中、イス座位姿勢を保持する

ことができる。 0 1 2 ?

2 集会などで、立位姿勢を保持する

ことができる。 0 1 2 ?

3 目を開いて片足立ち(片足 10 秒ずつ)

を保持することができる。 0 1 2 ?

4 片足とび(ケンケン)ができる。 0 1 2 ?

5 授業中に立ち歩いたり、体を揺ら

したりすることがある。 0 1 2 ?

6 体育等の準備体操を模倣すること

ができる。 0 1 2 ?

7 なめらかに歩くことができる。 0 1 2 ?

8 腕や足の動きを協調させて走る

ことができる。 0 1 2 ?

9 なめらかな動きでボールを上から

投げることができる。 0 1 2 ?

10 ボールを受けることができる。 0 1 2 ?

11 鉄棒(ぶら下がり 10秒)ができる。 0 1 2 ?

12 人物の絵を描くときに身体部位を

すべて描ける。 0 1 2 ?

13 鉛筆を正しく持って書くことが

できる。 0 1 2 ?

14 鉛筆の筆圧調整ができる。 0 1 2 ?

15 文字や数字をノートのマス内に

収めて書くことができる。 0 1 2 ?

「身体面の課題チェックシート」(学校)第1版

2015.3

Page 39: 「身体面の課題チェックシート」 活用の手引き・実践事例集...平成26 年度「特別支援教育に関する研究Ⅱ」研究成果物 「身体面の課題チェックシート」

37

特記事項

気になる動作や行動など

※評価の基準:小学校学習指導要領(総則、体育など)の学年相当の内容や同学年の児童と比較して評価する。

「気になる程度」の評価基準の目安は「気にならない」はできる、だいたいできる。

「時々気になる」はあまりできない。

「非常に気になる」はほぼできない、程度と考えてください。

「分からない」は気付いていない、見る機会がない場合を想定しています。

参考資料:「IESA(Individualized Education Support Assessment)) 、『ムーブメント教育・療法プログラムアセスメント(MEPA‐R)』、『小学校学習指導要領』、「特別支援教育に活か

す作業療法の知と技 改訂版」(京都府作業療法士会 特別支援教育 OT チーム)、「学校版運動面アセスメントシート」(『自閉症スペクトラムの子供の感覚運動の問題への

対処法』岩永竜一郎)、『気になる子どものできたが増える 体の動き指導アラカルト』(笹田哲)

気になる程度 気になる行動の状況や背景

番号 身体の動きに関する質問項目

気にならない

時々気になる

非常に気になる

分からない

16 消しゴムを正しく持って、きれい

に消すことができる。 0 1 2 ?

17 はさみを正しく持って、曲線を

切ることができる。 0 1 2 ?

18 箸を正しく持って、食べることが

できる。 0 1 2 ?

19 スプーンでこぼさずに食べること

ができる。 0 1 2 ?

20 衣服の着脱(速さ、間違い)が

スムーズにできる。 0 1 2 ?

合計点数

利き手・ 左 ・ 右 ・ 不定

「?」(わからない)の合計数

個 利き目

・ 左 ・ 右 ・ 不定

2015.3

Page 40: 「身体面の課題チェックシート」 活用の手引き・実践事例集...平成26 年度「特別支援教育に関する研究Ⅱ」研究成果物 「身体面の課題チェックシート」

38

「身体面の課題チェックシート」(保護者)第1版

1身体面の課題チェックシート

このチェックシートは子どもさんの身体面の課題を明らか

にし、これからの学習のための資料となるものです。

わからない場合は「?」を記入してください。その他、気付

かれたことは「特記事項」に記入してください。

子どもの氏名

記入日: 年 月 日( )

記入者: (子どもとの関係)

子どもの様子 気になる様子と原因の推測

番号 身体の動きに関する質問項目

だいたいできる

あまりできない

ほぼできない

分からない

例:

○ 食事中すぐにイス座位が崩れる。

原因は腹筋の弱さではないか。等

1 食事の時などで、イス座位姿勢を

保持することができる。 0 1 2 ?

2 立った姿勢をしばらく保持

できる。 0 1 2 ?

3 なめらかに歩くことができる。 0 1 2 ?

4 腕や足の動きを協調させて走る

ことができる。 0 1 2 ?

5 転んだり、バランスを崩すことは

ない。 0 1 2 ?

6 箸を正しく持って食べることが

できる。 0 1 2 ?

7 スプーンでこぼさずに食べること

ができる。 0 1 2 ?

8 衣服の着脱(速さ、間違い)が

スムーズにできる。 0 1 2 ?

9 靴を立ったまま履くことが

できる。 0 1 2 ?

10 はさみで曲線を切ることが

できる。 0 1 2 ?

11 鉛筆を正しく持って書くことが

できる。 0 1 2 ?

12 消しゴムできれいに消すことが

できる。 0 1 2 ?

合計点数

「?」(わからない)の合計数

個 2015.3

Page 41: 「身体面の課題チェックシート」 活用の手引き・実践事例集...平成26 年度「特別支援教育に関する研究Ⅱ」研究成果物 「身体面の課題チェックシート」

39

2 一日の生活リズム

排便は●で記入してください。

※下の例を参考に普段の食事の時刻、就寝・起床時刻などを記入してください。余暇の過ごし方や休

日の過ごし方などもご記入ください。健康面や生活習慣について把握できます。

(記入例)

排便は●で記入してください。

3 平熱

4 子どもさんが好きな遊びや活動 (持続時間、興味が移り変わる間隔なども分かれば記入しましょう)

5 特記事項

※ 評価の方法:本人が生活上困っている様子がある場合や兄弟や記入者から見て「ぎこちない」と

感じる項目について記入してください。

6時 9時 12時 15時 18時 21時 24時 3時

6時 9時 12時 15時 18時 21時 24時 3時

起床(六時)

登校(七時半)

●排便

朝食

学校

おやつ

宿題(1

時間)

帰宅

入浴

ゲーム(1

時間)

(九時)

就寝

寝言が多い

トイレには起きない

休日の起床

(八時)

(十時)

休日の就寝

学級担任へ伝えたいことや質問項目の他にも困っていること など

2015.3

休日は TVゲームをして過ごすことが多い。

Page 42: 「身体面の課題チェックシート」 活用の手引き・実践事例集...平成26 年度「特別支援教育に関する研究Ⅱ」研究成果物 「身体面の課題チェックシート」

40

参考文献・資料

・『小学校学習指導要領』文部科学省、平成20年(2008年)

・文部科学省委託「おやこ元気アップ!事業」ブック「おやこでタッチ!」、財団法人日本レクリエ

ーション協会、平成21年(2009年)

・文部科学省委託事業、「子どもの発達段階に応じた体力向上プログラムの普及啓発「アクティブ・

チャイルド・プログラム」、公益財団法人日本体育協会、平成25年(2013年)

・岩永竜一郎『自閉症スペクトラムの子どもの感覚・運動の問題への対処法』、東京書籍、平成26年

(2014年)

・京都府作業療法士会特別支援教育OTチーム『特別支援教育に活かす作業療法 -通常の学級におけ

る作業療法観察チェックリスト-』、平成25年(2013年)

・辻井正次・宮原資英編『子どもの不器用さ-その影響と発達的援助-』、ブレーン出版、平成11年

(1999年)

・土田玲子監修『感覚統合Q&A 改訂第2版 子どもの理解と援助のために』、協同医書出版社、平

成25年(2013年)

・鴨下賢一編 立石加奈子・中島そのみ著『苦手が「できる」に変わる!発達が気になる子への生活

動作の教え方』、中央法規出版株式会社、平成25年(2013年)

・木村順監修『健康ライブラリー スペシャル 「発達障害の子の感覚遊び・運動遊び」 感覚統合

をいかし、適応力を育てよう1』、講談社、平成22年(2010年)

・木村順監修『健康ライブラリー・スペシャル 遊んでいるうちに手先が器用になる! 「発達障害

の子の指遊び・手遊び・腕遊び」 感覚統合をいかし、適応力を育てよう3』、講談社、平成25年

(2013年)

・小林芳文『ムーブメント教育・療法プログラムアセスメント(MEPA‐R)』日本文化科学社、平成17

年(2005年)

・笹田哲『気になる子どものできたが増える 体の動き指導アラカルト』平成24年(2012年)

・伊藤紗由実・小林芳文「身体運動に不器用を示す子どものためのIESA(Individualized Education

Support Assessment)の開発と適応、横浜国立大学教育人間科学部紀要(11)、21-36