56
望ましい制御対象モデリング (プラントモデリング)環境 2009925大畠 明、伊藤 久弘 トヨタ自動車株式会社 2009年度第1回SICEプラントモデリング研究会

望ましい制御対象モデリング (プラントモデリン …...ここでの用語の定義 1.制御対象モデル(プラントモデル): 入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出

  • Upload
    others

  • View
    0

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: 望ましい制御対象モデリング (プラントモデリン …...ここでの用語の定義 1.制御対象モデル(プラントモデル): 入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出

望ましい制御対象モデリング(プラントモデリング)環境

2009年9月25日

大畠 明、伊藤 久弘

トヨタ自動車株式会社

2009年度第1回SICEプラントモデリング研究会

Page 2: 望ましい制御対象モデリング (プラントモデリン …...ここでの用語の定義 1.制御対象モデル(プラントモデル): 入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出

報告要旨

1. 扱うモデルの範囲

2. ここでの用語の定義

3. 現状の問題

4. 望ましいプラントモデリング環境

5. 物理モデル記述(HLMD)

6. 物理モデリングツール(HLMT)

7.まとめ

Page 3: 望ましい制御対象モデリング (プラントモデリン …...ここでの用語の定義 1.制御対象モデル(プラントモデル): 入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出

報告要旨

1. 扱うモデルの範囲

2. ここでの用語の定義

3. 現状の問題

4. 望ましいプラントモデリング環境

5. 物理モデル記述(HLMD)

6. 物理モデリングツール(HLMT)

7.まとめ

Page 4: 望ましい制御対象モデリング (プラントモデリン …...ここでの用語の定義 1.制御対象モデル(プラントモデル): 入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出

扱うモデルの範囲1. 制御システム開発時に用いるプラントモデルを対象とする。

2. 制御設計、適合(制御パラメータチュニング)、検証などに用いる。

3. 常微差分方程式や微差分代数方程式で扱えるモデルを対象とする。 Simulinkで扱える範囲と考えると分かり易いかも。 分布定数系が扱えない訳ではない

例)10分割の触媒モデルなど例)積層バッテリーを少数モード(時定数の違う)で記述

4. プラントモデルは、物理モデルと統計モデルを組み合わせたモデルと考える。

5. 物理・統計モデルの統合理論と統合環境が最終目標。   (モデル簡易化が重要な技術かも?)

Page 5: 望ましい制御対象モデリング (プラントモデリン …...ここでの用語の定義 1.制御対象モデル(プラントモデル): 入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出

MBD Framework制御システム

開発活動

Model/Data Management

DatabaseModel/Data/Process/

Architecture/Schedule

ProcessManagement

RequirementManagement

Analysis &Methodologies

ModelExecution

Control Design

Calibration

Verification & Validation

Plant Modeling

Model/Data Management

DatabaseModel/Data/Process/

Architecture/Schedule

ProcessManagement

RequirementManagement

Analysis &Methodologies

ModelExecution

Control Design

Calibration

Verification & Validation

Plant Modeling サービスモデル/データ管理

ModelArchitecture

ModelArchitecture

Page 6: 望ましい制御対象モデリング (プラントモデリン …...ここでの用語の定義 1.制御対象モデル(プラントモデル): 入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出

報告要旨

1. 扱うモデルの範囲

2. ここでの用語の定義

3. 現状の問題

4. 望ましいプラントモデリング環境

5. 物理モデル記述(HLMD)

6. 物理モデリングツール(HLMT)

7.まとめ

Page 7: 望ましい制御対象モデリング (プラントモデリン …...ここでの用語の定義 1.制御対象モデル(プラントモデル): 入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出

ここでの用語の定義

1.制御対象モデル(プラントモデル):入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出力までの関係を表現したもの。表やプログラムでもよい。

2.システム同定:プラントモデルを物理的知見や実験データに基づき決定すること!静的モデル決定や構造同定を含む。

3.集中定数系モデル:分布を少数のパラメータで表現したモデル。したがって、ここでは分布を無視したモデルとは捉えない。

4.物理モデル:関係する保存則を満たすモデル

5.統計モデル:  調整するパラメータを持つモデル

Page 8: 望ましい制御対象モデリング (プラントモデリン …...ここでの用語の定義 1.制御対象モデル(プラントモデル): 入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出

物理・統計モデルの定義

統計モデル物理モデル

近似物理モデル

保存側を満たすモデル

Model

調整パラメータを持つモデル

目標とするモデル(最小次数・最小パラメータ数)

Page 9: 望ましい制御対象モデリング (プラントモデリン …...ここでの用語の定義 1.制御対象モデル(プラントモデル): 入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出

目標に辿り着くアプローチ

統計モデル物理モデル

近似物理モデル

Model目標モデル

最初のモデル

A

B

A: 物理モデルを如何に簡易化し、統計モデルを組合わせるか?

B: 物理的知見をどのように加えるか?

Page 10: 望ましい制御対象モデリング (プラントモデリン …...ここでの用語の定義 1.制御対象モデル(プラントモデル): 入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出

物理モデルの例

( )

mcatmm

mctmm

TRmTRmVpdtd

prpmmmdt

Vd

1111

,,

--

-=

þýü

îíì

-

-=

kk

kk

k

r

比熱比量スロットル弁通過空気

筒内流入空気量容積密度

:::::

k

r

t

cmm

mmV

空気のガス定数大気温度

吸気室内空気温度

:::

RTT

a

m

燃料噴射弁

スロットル弁

吸気室

空気流量計

質量保存:

エネルギー保存:

吸気脈動、伝熱など多くの現象が無視・簡略化されている。

保存則を満たす ≠ 実験と合う

簡易表現なので所詮合う訳がない!→ 統計モデルでの補正

Page 11: 望ましい制御対象モデリング (プラントモデリン …...ここでの用語の定義 1.制御対象モデル(プラントモデル): 入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出

統計モデルの例

rpm

Pm

0

rpm

Pm

0

従来(全格子点)

DoEモデルパラメータ決定

(実験数低減)入力数が多い場合の効果はさらに大

テーブル作成

( )

++

++

++=

25

42

3

210

,

m

m

m

mc

P

PrpmrpmPrpm

prpmm

a

aa

aaa

は実験で決定,, 10 aa

基底関数としてRBFなども利用。

定常から非線形過渡にDoEを展開!

測定点

Page 12: 望ましい制御対象モデリング (プラントモデリン …...ここでの用語の定義 1.制御対象モデル(プラントモデル): 入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出

非線形システム同定法の例

• Hammerstein-Wiener Model:

Input Nonlinearity

Linear ARX Model

Output Nonlinearity

u yw x

( ) ( )( )kufkw = ( ) ( )( )kxhky =( ) ( ) ( )( ) ( )

( ) ( )mkkkwnkx

kxkxkx

m

n

-++-++-++

-+-=

bbbaaa

1

11

1

0

21

• Volterra Series

自動車エンジン適合では,下記のモデル表現は一般的になった。

( ) ( ) ( ) ( )( ) ( ) ( )

( ) ( ) ( )NNn

NN

NN

n

n

nkukuku

nkukuku

nkukukuky

-++-++

-++-++

-++-++=

aaa

aaa

aaaa

1

1

1

10

22

221

220

1111000

Page 13: 望ましい制御対象モデリング (プラントモデリン …...ここでの用語の定義 1.制御対象モデル(プラントモデル): 入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出

実験データへの適用例

時間[sec.]

HC

流量

[g/s

.]

時間[sec.]

HC

流量

[g/s

.]

《 HC瞬時流量 》

計測値[g]

予測

値[g

]

V6/3.5L始動時水温:25[deg.C]

予測値計測値《 累積HC量@2.0[sec.] 》

冷間HC流量モデル

Page 14: 望ましい制御対象モデリング (プラントモデリン …...ここでの用語の定義 1.制御対象モデル(プラントモデル): 入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出

冷間始動HCの過渡モデル

燃料噴射量 fim燃料噴射時期 fit点火時期 saスロットル開度 ta

排出HC流量 HC

09288.0)10k(ta02531.0)10k(ta)10k(fim00229.0)10k(fim00609.0)10k(ta)10k(fit00083.0

)10k(fim)10k(fit00817.0)10k(fit00054.0)10k(ta)10k(sa00059.0)10k(fim)10k(sa00043.0)10k(fit)10(sa01828.0)10k(sa0039.0

)10k(ta00099.0)10k(fim00206.0)10k(fit013918.0)10k(sa016913.0)k(ta05124.0)k(ta)k(fit03198.0

)k(fit01101.0)k(ta)k(fit00525.0)k(fim)k(fit0162.0)k(fit03813.0)k(ta)k(sa00008.0)k(fim)k(sa0094.0)k(fit)k(sa05236.0)k(sa00206.0

)k(ta02281.0)k(fim01619.0)k(fit03331.0)k(sa05555.0)k(HC

22

22

222

2

+---------+----+--+

-----+-+-+---+-+

++++--+-+-

+-+=

k:time step(0.01sec./step)

Page 15: 望ましい制御対象モデリング (プラントモデリン …...ここでの用語の定義 1.制御対象モデル(プラントモデル): 入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出

近似物理モデル

例)エンジンモデル

( )

( ) 統計モデル

:物理モデル

:322

1 awawaw

ww

++=

--=

I

TTTdtdI lfi

:負荷トルク,:エンジン正味トルク

:エンジン速度,慣性モーメント

le TTI w,:

プラントモデル

•本来、慣性モーメント I は定数であり、オリジナル物理 モデルの意味(I は定数)では、力学エネルギーも角運動量も保存されない。

•保存側を満たさない変更は各種考えられる。

Page 16: 望ましい制御対象モデリング (プラントモデリン …...ここでの用語の定義 1.制御対象モデル(プラントモデル): 入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出

近似物理モデルの例 1

物理モデルは下記の式で表される。

( )

( ) p

Nmn

Ryuxgy

RcRuRxcuxfdtdx

C

Î=

ÎÎÎ=

,

,,,,

例1)

( )C

rn

r

NNnnRxWhere r

<<Î,

( )

( ) ( )( )uxgy

uxfwuxfw

wwuxfdt

dx

r

rNNr

Nrrr

,,,

,,,,

11

1

=++@

=

状態方程式近似や陰形式微分方程式の近似

Page 17: 望ましい制御対象モデリング (プラントモデリン …...ここでの用語の定義 1.制御対象モデル(プラントモデル): 入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出

エンジンモデルの例

1p c_ L

6Co n n 1 0

5Co n n 8

4Co n n 7

3

Co n n 5

2Co n n 3

1Co n n 1

c yl5

c yl3

c yl1

M u x

Ato m sp h e r

Ato m sp h e r

Ato m sp h e r1

pc_L

6Conn10

5Conn8

4Conn7

3Conn5

2Conn3

1Conn1

cyl5

cyl3

cyl1

Mux

Atom spher

Atom spher

Atom spher

4

mt

3

st

2

pr

1

rps

1

Startor

pcRConn1

Conn4

Conn7

Conn3

Conn6

Conn9

right_bank

pc_LConn1

Conn5

Conn8

Conn3

Conn7

Conn10

left_bank

darea TH_fld

U_st TH_fl

Throttle_valve

st pr

Pres_sensor

Piston_Crankshaft

V_state

IN_ch

IN_port1

IN_port3

IN_port5

IN_port2

IN_port4

IN_port6

Intake_chamber

[pc_R]

[pc_L]

Atomspher

fl flow

Air_flow_sensor

1

darea

Atmosphere

Page 18: 望ましい制御対象モデリング (プラントモデリン …...ここでの用語の定義 1.制御対象モデル(プラントモデル): 入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出

エンジンモデルの計算例

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6 1.8 20

50010001500

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6 1.8 20

50

100

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6 1.8 20.0

1.0

2.0

time  (s)

rpm

Intakepressure

(kPa)

筒内圧(MPa)

Page 19: 望ましい制御対象モデリング (プラントモデリン …...ここでの用語の定義 1.制御対象モデル(プラントモデル): 入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出

0 10 20 400

20

40

60

80

100

120

時間 (s)

簡易モデル

実験データ

30

過渡モデルの簡易化例

吸気圧力

(kPa)

シミュレーションデータでの同定 → 実験データでの同定

  (モデル簡易化の一手法)      (実験検証)

Page 20: 望ましい制御対象モデリング (プラントモデリン …...ここでの用語の定義 1.制御対象モデル(プラントモデル): 入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出

スロットル開度・吸気圧の近似モデル

( ) ( ) ( ){ } ( )( ) ( ){ } ( )

gqbbb

aaa

++++

++=+--

--

kkpkp

kpkpkpkp

3001.0

2002.0

1

312.0

224.0

11

( ) ( ) ( ) ( ){ } ( )( ) ( ) ( ){ } ( )( ) ( ) ( ){ }01

77

88

017

78

8

017

78

81

glgg

qbbbb

aaaa

+++++

+++++

++++=+

kpkpkp

kkpkpkp

kpkpkpkpkp

シミュレーションデータを用いた局所システム同定結果に平衡実現を適用し、局所低次元化線形モデルを大域化。

課題:パラメータ最小とする簡易式をどのように求めるか?

( ) ( ) :時間:スロットル開度:吸気圧 kkkp q

Page 21: 望ましい制御対象モデリング (プラントモデリン …...ここでの用語の定義 1.制御対象モデル(プラントモデル): 入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出

近似物理モデルの例 2例2)

( ) ( )( )( )( ) ( ) simulatedrrmeasured

simulatedrmeasured

simulatedrmeasured

Nrrr

yuxerruxerrytypeyuxerrytype

yuxerrytypewwuxfuxerr

,,:3,:2,:1

,,,,,

21

1

+=+=

例3)

例1)、例2)と例3)の組み合わせも可能

( )nrr wwuxfC ,,,, 1 =モデルパラメータを状態の関数にする

誤差関数の導入

(エンジンの慣性モーメントをエンジン速度の関数とするなど)

Page 22: 望ましい制御対象モデリング (プラントモデリン …...ここでの用語の定義 1.制御対象モデル(プラントモデル): 入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出

誤差関数の概念

元のモデル

実験データ 補正されたモデル

input x (vector)

OUPUT y

Table points

Page 23: 望ましい制御対象モデリング (プラントモデリン …...ここでの用語の定義 1.制御対象モデル(プラントモデル): 入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出

定常モデルへの誤差関数の適用例

( ) ( )( )XfXfXerr

actual

model=

Air Charge Estimation Error [%}

Num

ber

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

-45~

-40

-40~

-35

-35~

-30

-30~

-25

-25~

-20

-20~

-15

-15~

-10

-10~

-5

-5~

00~

5

5~10

10~

15

15~

20

20~

25

25~

30

Air Charge Estimation [%]

Num

ber

物理モデル

Air Charge Estimation Error [%}-40

4

8

12

16

-30 -20 -10 0 10 20 300

Num

ber

-40 -30 -20 -10 0 10 20 30

4

8

12

16

0

Air Charge Estimation Error [%}

Num

ber

-40 -30 -20 -10 0 10 20 30

4

8

12

16

0

2次のテーラ展開

物理・統計モデル統合 モデル誤差を統計モデルで修正

()吸気弁開弁時期吸気弁リフト

吸気圧エンジン速度吸気流量=

,,,f=

Page 24: 望ましい制御対象モデリング (プラントモデリン …...ここでの用語の定義 1.制御対象モデル(プラントモデル): 入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出

報告要旨

1. ここでの言葉の定義

2. 扱うモデルの範囲

3. 現状の問題

4. 望ましいプラントモデリング環境

5. 物理モデル記述(HLMD)

6. 物理モデリングツール(HLMT)

7.まとめ

Page 25: 望ましい制御対象モデリング (プラントモデリン …...ここでの用語の定義 1.制御対象モデル(プラントモデル): 入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出

制御対象モデリングの問題物理モデルは限られた範囲でしか十分な精度が得られず、想定される運転領域全体の精度は統計モデルに敵わない。

error

The number of experiments used in the model development

Polynomial modelworse

better

Traditional physical modeling

想定される全運転条件をカバーする必要がある。

( )2å -= modelexperimenterror

Page 26: 望ましい制御対象モデリング (プラントモデリン …...ここでの用語の定義 1.制御対象モデル(プラントモデル): 入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出

物理モデルの課題のまとめ

1. 重要な現象を落とす。精度が不十分。繰り返しが多い。  (修正を繰り返しモデルが複雑化→誰も物理モデルを信じない)

2. タイムリーに開発側にモデルを提供できない。

(モデルが完成したときは開発は終わっている)

3. システムを構成するサブモデルの品質が人に依存し、全体の整合が取れない。理解し難い。再利用ができない。

1. モデリング手法の形式化2. モデリングプロセスの共有3. モデルアーキテクチャーの共有4. 統計モデルとの統合5. ツールサポートの促進

対応策

Page 27: 望ましい制御対象モデリング (プラントモデリン …...ここでの用語の定義 1.制御対象モデル(プラントモデル): 入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出

統計モデルに関する誤解

1. 原理原則に基づいていない。   → 関数近似理論(項を増やせば求める関数に収束)、     統計理論に基づいている。逆に、物理モデルは試

行錯誤を繰り返しても収束する保証がない。統計モデルの方が理論的にはしっかりしている。

2. フィッティングした条件しか成り立たず信頼性がない。   → 全ての可能性のある運転条件をカバーするように

     実験計画するのが基本なので、この批判は当たら     ない(カバーするための方法論は確立していない)。

3. 新しいシステムには適用できない。  → 企業活動は継続しており、参照できるデータがある

    場合が多い。適用でないとする根拠は乏しい。

Page 28: 望ましい制御対象モデリング (プラントモデリン …...ここでの用語の定義 1.制御対象モデル(プラントモデル): 入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出

統計モデルの課題のまとめ1. 実験条件が的確ならば、必要な現象がデータに反映している。

(可能性のある運転条件をカバーするための実験数が膨大。)

2. タイムリーにモデルが開発できるかは実験可否に依存する。実験が可能であれば、タイムリーにモデルを供給できる可能性大。

3. 非線形同定は、特定のクラスに適用できる方法論として確立されている。基底関数近似は、変数間の関係が失われる(パラメータ数の増加→実験データ数の増大)。

1. モデリング手法の形式化2. モデリングプロセスの共有3. モデルアーキテクチャーの共有4. 物理モデル利用による実験数削減5. ツールサポートの促進

対応策

Page 29: 望ましい制御対象モデリング (プラントモデリン …...ここでの用語の定義 1.制御対象モデル(プラントモデル): 入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出

報告要旨

1. 扱うモデルの範囲

2. ここでの用語の定義

3. 現状の問題

4. 望ましいプラントモデリング環境

5. 物理モデル記述(HLMD)

6. 物理モデリングツール(HLMT)

7.まとめ

Page 30: 望ましい制御対象モデリング (プラントモデリン …...ここでの用語の定義 1.制御対象モデル(プラントモデル): 入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出

モデル流通

部品サプライヤーA

OEM

部署a 部署b 部署c

部品サプライヤーB 部品サプライヤーC

部品モデル1 部品モデル2 部品モデル3

部品モデル4 部品モデル5 部品モデル6

システムモデル

Page 31: 望ましい制御対象モデリング (プラントモデリン …...ここでの用語の定義 1.制御対象モデル(プラントモデル): 入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出

システムとコンポーネントモデリング

System Modeling Environment

Component ModelingEnvironment

Model/Data/Requirement/Process/Physical law

Management Environment

コンポーネントをアッセンブルするだけでは、システムモデル精度は保証できない。システム全体を調整する機構が必要である。

注)

Services

Static Modeling Environment

Page 32: 望ましい制御対象モデリング (プラントモデリン …...ここでの用語の定義 1.制御対象モデル(プラントモデル): 入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出

プラントモデリング環境

Model Simplification

System Modeling Environment

Statistical Modeling Environment

Integration of Physical and Statistical models

Physical Model Optimization

Model/Data/Requirement/Process

Management

3D Sim. HLMT Physical Law Library

Page 33: 望ましい制御対象モデリング (プラントモデリン …...ここでの用語の定義 1.制御対象モデル(プラントモデル): 入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出

Combined Physical Domains

Mechanical domain

Electric domain

Motor

Bridge between domains(current general tool)

Fully combined physical domains(required tool)

Piston

pressure Heattransfer

Force, Velocity

Chemical reaction

Heattransfer

Desired modelingSeparated physical domains

Page 34: 望ましい制御対象モデリング (プラントモデリン …...ここでの用語の定義 1.制御対象モデル(プラントモデル): 入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出

報告要旨

1. 扱うモデルの範囲

2. ここでの用語の定義

3. 現状の問題

4. 望ましいプラントモデリング環境

5. 物理モデル記述(HLMD)

6. 物理モデリングツール(HLMT)

7.まとめ

Page 35: 望ましい制御対象モデリング (プラントモデリン …...ここでの用語の定義 1.制御対象モデル(プラントモデル): 入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出

モデリング手順

component

system

component

system

system

component

component

構成要素分解

相互作用の記述

式の集約

拘束の記述

Page 36: 望ましい制御対象モデリング (プラントモデリン …...ここでの用語の定義 1.制御対象モデル(プラントモデル): 入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出

HLMD

[ ]Tmolculesofnumbermomentumenergymassquantityconserved

speedgeneratedrateflowoutletrateflowinletdt

quantityconservedd

,,,,=

+-=å å

generatedInlet flow Outlet flowelement

elementelement

element

system

HLMD: 保存則によるモデル要素挙動の記述

Page 37: 望ましい制御対象モデリング (プラントモデリン …...ここでの用語の定義 1.制御対象モデル(プラントモデル): 入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出

拘束の記述

elementelement

HLMD: 保存則によるモデル要素挙動の記述

constraints

baba yyxx == ,リンクa

リンクb

例)

例)

既燃ガス 未燃ガス 0, VVVpp baba =+=

拘束式の例

Page 38: 望ましい制御対象モデリング (プラントモデリン …...ここでの用語の定義 1.制御対象モデル(プラントモデル): 入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出

HLMDの基本式

モデル は下記のように表される。S~

( )

( )( )

( )( )

( )ïïï

î

ïïï

í

ì

===

==

=

S

形状の定義

保存量流量の定義

拘束

中間変数の定義

保存則の定義

:0~,~~:0~,~~:0~,~~:,~,~~~:,~~

~,~,~,~,~~

XEXEe

XEheXEgX

VefdtEd

hgf

jf

jf

(関数の可能性有り)中間変数

保存量流量保存量

PropertyRVRX

ReREqp

ln

::~::~ ~

ÎÎ

ÎÎ

~ は状態の冗長性があることを示す。

Page 39: 望ましい制御対象モデリング (プラントモデリン …...ここでの用語の定義 1.制御対象モデル(プラントモデル): 入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出

HLMDの目的

物理的に正しいモデルの導出

物理的意味が分かり易い記述

複合物理領域モデルを同様に扱える

物理モデリングの形式化

自然なPartitioning

フレキシブルなモデル要素と接続の変更

HLMD: High Level Model Description

Page 40: 望ましい制御対象モデリング (プラントモデリン …...ここでの用語の定義 1.制御対象モデル(プラントモデル): 入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出

報告要旨

1. 扱うモデルの範囲

2. ここでの用語の定義

3. 現状の問題

4. 望ましいプラントモデリング環境

5. 物理モデル記述(HLMD)

6. 物理モデリングツール(HLMT)

7.まとめ

Page 41: 望ましい制御対象モデリング (プラントモデリン …...ここでの用語の定義 1.制御対象モデル(プラントモデル): 入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出

High Level Modeling Tool (HLMT)

HLMD 微分代数方程式 数値計算可能な式

数式処理で簡易な式に変換

シミュレーション

• GUI Support• モデル定義• 変数定義• 物理法則定義• モデルExport• ライブラリー登録

Page 42: 望ましい制御対象モデリング (プラントモデリン …...ここでの用語の定義 1.制御対象モデル(プラントモデル): 入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出

GUIモデリングのパラダイム

モデル要素のアッセンブルパラダイム

mass

2m

spring damper

力学モデルのモデル部品要素の例

1m

非因果的モデリングの例

Page 43: 望ましい制御対象モデリング (プラントモデリン …...ここでの用語の定義 1.制御対象モデル(プラントモデル): 入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出

因果的モデリングの定義因果的モデリング:入出力が定義されたモデリング

従来ツールの都合により、物理法則とは無関係な制約がモデリングに課せられるていた。

Output z1

Input uy1Output y

Input uz1

y = uz1

Input uy2

Input uz2Output z2

接続は計算順序を暗に示す

因果的モデリング

モデル要素 A

モデル要素 B

Page 44: 望ましい制御対象モデリング (プラントモデリン …...ここでの用語の定義 1.制御対象モデル(プラントモデル): 入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出

非因果的モデリングの定義非因果的モデリング:入出力を定義しないモデリング

M Fs1

M1s1F x+

-

K L+-

因果的モデリングでは入出力でモデルが変わる      → 物理モデリングは非因果的モデリング

因果的モデリング 望ましいモデリング

同じ構成要素には同じモデルを利用

FSpring

xF++

LK1

Spring

Page 45: 望ましい制御対象モデリング (プラントモデリン …...ここでの用語の定義 1.制御対象モデル(プラントモデル): 入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出

Data Flow Mechanism

s1

s1

-- xm1

d

kl+-

Data Flow Machineのモデル要素例

+-

ks1

integratorgainsum

Page 46: 望ましい制御対象モデリング (プラントモデリン …...ここでの用語の定義 1.制御対象モデル(プラントモデル): 入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出

232

731

12

612

11

yuyu

yuyulu

=====

57

6

56

45

34

yuyxyuyuyu

=====

因果モデルの記述と式生成

結線情報モデル要素の信号伝達情報

44

32313

22

12111

1 um

y

uuyuky

uuy

=

--==

+-=

77

66

55

udy

udt

dy

udt

dy

=

=

=

s1

s1

-- xm1

d

kl+-

1 2 3

4 5 6

7

Page 47: 望ましい制御対象モデリング (プラントモデリン …...ここでの用語の定義 1.制御対象モデル(プラントモデル): 入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出

因果モデルの実行

( )( )

( ){ }

( ){ }

6

57

56

655

674

673

62

61

1

1

yxydy

ydt

dy

ylkydmdt

dy

ylkym

y

ylkyyylky

yly

==

=

-+-=

-+-=

---=-=

-=( ){ }

( )( )( ){ }

úúúúúúúú

û

ù

êêêêêêêê

ë

é

=

-+-

-----

=

úúúúúúúú

û

ù

êêêêêêêê

ë

é

úú

û

ù

êê

ë

é -+-=úû

ùêë

é

6

5

65

67

6

6

7

4

3

2

1

5

65

6

5

1

1

yyd

ylkydm

ylkyylk

yl

xyyyyy

y

ylkydmy

ydtd

導出された常微分方程式

生成された式を統合しODE (Ordinal Differential Equation)を数値計算で解き、シミュレーションを実行。

Page 48: 望ましい制御対象モデリング (プラントモデリン …...ここでの用語の定義 1.制御対象モデル(プラントモデル): 入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出

因果的モデリングの問題点

( ) umkxf

mx

xdtdx

+-=

=

11

1

1

s1

+- xm1

( )f

ku

1x

これまでのData flow Machineは代数ループを扱えない。これは微分代数方程式(DAE)が扱えないことに起因する。

代数ループ(algebraic loop)

代数微分方程式

Page 49: 望ましい制御対象モデリング (プラントモデリン …...ここでの用語の定義 1.制御対象モデル(プラントモデル): 入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出

出力Portの結線

( )

( )( ) ( ) 0

,

2211 =-=

=

xhxhxgy

uxfdtdx

úû

ùêë

é=

2

1

yy

yúû

ùêë

é=

2

1

uu

u

( )

( )( )111

111

1111 ,

xhzxgy

uxfdtdx

==

=

( )

( )( )22

22

2222 ,

xhzxgy

uxfdt

dx

==

=

1u

2u

1y

2y

1z

2z= 21 zz =

DAE

ODE

出力の結線はDAEを導く

Page 50: 望ましい制御対象モデリング (プラントモデリン …...ここでの用語の定義 1.制御対象モデル(プラントモデル): 入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出

モデリングにおける拘束の例

gm

v

0 xx

L

yxT

ïïïïïï

î

ïïïïïï

í

ì

=+

--=

-=

=

=

222 Lxx

gmxLT

dtdv

m

xLT

dtdvm

dtdx

v

dtdxv

yx

yy

xx

yy

xx

拘束式

Page 51: 望ましい制御対象モデリング (プラントモデリン …...ここでの用語の定義 1.制御対象モデル(プラントモデル): 入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出

一般的化表現

問題 : 代数方程式を含む微分方程式の解法

( )

( )

hnn

nnmn

RRh

RxRxxx

xRuRx

xh

uxfdtdx

®

ÎÎúû

ùêë

é=ÎÎ

=

=

1

21

:

,,,,

,0

,

212

1

2

ここで

DAE: Differential Algebraic Equation

これまでのData Flow MachineはDAEソルバを持たない。

Page 52: 望ましい制御対象モデリング (プラントモデリン …...ここでの用語の定義 1.制御対象モデル(プラントモデル): 入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出

望ましい物理モデリングの基本要素

保存則記述

任意なポート位置

拘束記述(Port変数による等号を含む)

DAE solver

数式処理

( )

( )( ) 0

,

==

=

xhxgy

uxfdtdx

yu

System 1 System 2

Constraints

å=

=n

iie

dtdE

1

1e

2e

3eE

Page 53: 望ましい制御対象モデリング (プラントモデリン …...ここでの用語の定義 1.制御対象モデル(プラントモデル): 入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出

物理モデリングツールの問題

mass

2m

spring damper

1m

熱が発生

慣性が無視できない

静電力を受ける

流体からの力を受ける

伝熱

ジョイントによる結合

既存モデル部品ではカバーできない Libraryが破綻!

Page 54: 望ましい制御対象モデリング (プラントモデリン …...ここでの用語の定義 1.制御対象モデル(プラントモデル): 入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出

Plant Modeling Toolの進展

要素分解

物理モデリングツール

実装

物理モデリング

要求分析

既存非因果的ツール

DAEソルバ

数式処理

積分アルゴリズム

数値計算アルゴリズム

物理法則記述

因果解析

HLMTData Flow Machine

コーディング

W/LINPAKコーディング

Port配置・接

拘束記述

問題解析

: Human effort : Graphical support : Automated support

Page 55: 望ましい制御対象モデリング (プラントモデリン …...ここでの用語の定義 1.制御対象モデル(プラントモデル): 入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出

報告要旨

1. 扱うモデルの範囲

2. ここでの用語の定義

3. 現状の問題

4. 望ましいプラントモデリング環境

5. 物理モデル記述(HLMD)

6. 物理モデリングツール(HLMT)

7. まとめ

Page 56: 望ましい制御対象モデリング (プラントモデリン …...ここでの用語の定義 1.制御対象モデル(プラントモデル): 入力から出力(観測量と制御量)、および、外乱から出

まとめ

1.エンジン適合領域では非線形定常モデル(DoE or MBC)が展開され、過渡モデルに向かっている。

2.従来の物理モデリングではタイムリーにモデル開発ができない。統計モデルの実験工数低減手段として物理モデル利用を考える。

3.望ましいプラントモデリング環境を紹介した。  ① 物理・統計モデルの明確な定義を行った。

  ② 目標モデルは物理・統計モデルを統合したモデル。

  ③ 混合物理領域モデリングが必要。

  ④ 保存則に基づく物理モデル記述を提唱(HLMD)

  ⑤ HLMDから数値計算可能な式の生成(HLMT)